特許第6051401号(P6051401)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6051401
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】ヒートポンプ式冷暖房給湯装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 29/00 20060101AFI20161219BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20161219BHJP
   F24H 4/02 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   F25B29/00 371D
   F25B1/00 101Z
   F25B1/00 331E
   F24H4/02 F
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-132453(P2012-132453)
(22)【出願日】2012年6月12日
(65)【公開番号】特開2013-257057(P2013-257057A)
(43)【公開日】2013年12月26日
【審査請求日】2015年5月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100170494
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 浩夫
(72)【発明者】
【氏名】青山 繁男
(72)【発明者】
【氏名】諌山 安彦
(72)【発明者】
【氏名】中谷 和人
(72)【発明者】
【氏名】森脇 俊二
(72)【発明者】
【氏名】松井 大
【審査官】 西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/164608(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/125111(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/089637(WO,A1)
【文献】 特開2008−020152(JP,A)
【文献】 実公昭59−022437(JP,Y2)
【文献】 特開2010−196953(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00
F25B 13/00
F25B 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、四方弁、熱源側熱交換器、熱源側膨張手段、過冷却器、利用側膨張手段、利用側熱交換器が環状に接続された第1冷媒回路と、前記熱源側膨張手段と前記過冷却器の間または前記過冷却器と前記利用側膨張手段の間で前記第1冷媒回路から分岐し、バイパス膨張手段および前記過冷却器を経由して、前記四方弁と前記圧縮機との間で前記第1冷媒回路に接続する第1バイパス回路と、前記圧縮機と前記四方弁の間から分岐して温水用熱交換器を介して、前記過冷却器と前記利用側膨張手段との間に接続する第2冷媒回路と、前記第2冷媒回路と前記第1冷媒回路との接続部と前記利用側膨張手段との間に設けられた第1開閉手段と、前記熱源側膨張手段と前記過冷却器との間から分岐して第2開閉手段を介して、前記第1開閉手段と前記利用側膨張手段との間に接続する第2バイパス回路と、制御装置とを備え、前記制御装置は、前記利用側熱交換器にて冷房運転を行い、かつ、前記温水用熱交換器にて温水生成運転を行う場合に、前記第1開閉手段を閉、前記第2開閉手段を開、前記熱源側膨張手段を閉とすることを特徴とするヒートポンプ式冷暖房給湯装置。
【請求項2】
前記第1バイパス回路の出口側における冷媒過熱度を検出する冷媒過熱度検出手段を備え、前記制御装置は、前記冷媒過熱度検出手段による冷媒過熱度が所定範囲内となるように、前記バイパス膨張手段の開度を制御することを特徴とする請求項1に記載のヒートポンプ式冷暖房給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷暖房および給湯運転を行うヒートポンプ式冷暖房給湯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、冷房運転時に発生する高温排熱を利用して給湯運転を行うヒートポンプ式冷暖房給湯装置として、図6に示すようなヒートポンプ式冷暖房給湯装置90が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このヒートポンプ式冷暖房給湯装置90は、冷暖房運転のために冷媒を循環させる第1冷媒回路110と、給湯運転のための第2冷媒回路120とを備えている。第1冷媒回路110は、圧縮機111、四方弁112、熱源側熱交換器113、熱源側膨張手段114、過冷却器115、利用側膨張手段116、利用側熱交換器117、四方弁112、および気液分離器118が配管により環状に接続されて構成されている。
【0004】
また、第2冷媒回路220は圧縮機111の吐出側配管から分岐して、開閉手段である電磁弁119、温水用熱交換器121、および温水用膨張手段122を介して、熱源側膨張手段114と利用側膨張弁116との間との間の第1冷媒回路110に連通する。
【0005】
上記ヒートポンプ式冷暖房給湯装置90において、第1冷媒回路110と第2冷媒回路220とにより、圧縮機111から吐出された冷媒は、温水用熱交換器121、温水用膨張手段122、利用側膨張手段116、利用側熱交換器117、四方弁112、および気液分離器118を介して圧縮機へ戻るサイクルを構成する。
【0006】
これにより、温水用熱交換器121において加熱(給湯運転)、利用側熱交換器117において冷却(冷房運転)の作用をさせて、冷房排熱を利用した給湯運転を行うことにより省エネルギー化が可能となる。
【0007】
また、図7に示すようなヒートポンプ式冷暖房給湯装置100が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
このヒートポンプ式冷暖房給湯装置100は、特許文献1と同様、冷暖房運転のために冷媒を循環させる第1冷媒回路110と、給湯運転のための第2冷媒回路120とを備えているが、第1冷媒回路110には、過冷却器115と利用側膨張手段116との間から分岐した一部の冷媒がバイパス膨張弁119を介して減圧冷却され、過冷却器115において第1冷媒回路110を循環する冷媒と熱交換して加熱、蒸発した後、気液分離器118の出口側配管に連通するバイパス回路130が追加されている点が異なる。
【0009】
上記ヒートポンプ式冷暖房給湯装置100において、第1冷媒回路110と第2冷媒回路120とにより、圧縮機111から吐出された高温高圧のガス冷媒は、四方弁112に入るまでの間で分岐され、まず、一部の冷媒は熱源側熱交換器113により大気中に放熱されて冷媒自身は冷却される。
【0010】
その後、過冷却器115で更に冷却されて、過冷却器115と利用側膨張手段116との間から分岐した一部の冷媒がバイパス回路130側へ分岐し、バイパス膨張弁119を介して減圧冷却され、過冷却器115において第1冷媒回路110を循環する冷媒と熱交換して加熱、蒸発した後、気液分離器118の出口側配管に連通する。
【0011】
これによって、熱源側熱交換器113により冷却された冷媒は、過冷却器115にて第1バイパス回路130に分岐した低圧低温の冷媒により更に冷却され、冷媒過冷却度が大きくなり、蒸発器である室内熱交換器117に流入する冷媒エンタルピーが低下する。
【0012】
その結果、室内熱交換器117に流入する冷媒乾き度が小さくなり、即ち気相冷媒成分
が減少するため、利用側熱交換器117にて蒸発に寄与する冷媒量の比率が高まり、蒸発器としての性能を引き出される。
【0013】
また、室内熱交換器117に流入する冷媒乾き度が小さくなる(液相成分が多い)ことにより、冷媒乾き度が大きい場合(気相成分が多い)と比較して、複数の冷媒流路から構成される利用側熱交換器117(蒸発器)の流入側において冷媒流量が不均一となる現象が回避(冷媒分流性能が向上)され、利用側熱交換器117の伝熱面積が有効に活用される。
【0014】
さらに、利用側熱交換器117での蒸発に寄与しない冷媒は第1バイパス回路130を介して、利用側熱交換器117へ流入せずに圧縮機111へ戻ることにより、冷媒配管内における不要な圧力損失の発生がなくなる。
【0015】
一方、圧縮機111から吐出された高温高圧のガス冷媒は、四方弁112に入るまでの間で分岐された残りの冷媒は、温水用熱交換器121、温水用膨張手段122、利用側膨張手段116、利用側熱交換器117、四方弁112、および気液分離器118を介して圧縮機へ戻るサイクルを構成する。
【0016】
これらの作用により、熱源側熱交換器113での大気放熱運転、および温水用熱交換器121での温水加熱運転を行いながら、利用側熱交換器117において冷房運転する場合には、第1バイパス回路130を活用することができ、利用側熱交換器117での蒸発熱交換量(冷却能力)を維持したまま、低圧側での冷媒圧力損失を低減できる。その結果、圧縮機1の吸入側の冷媒密度が増大して冷媒流量が増大し、熱源側熱交換器113での放熱量増大、および温水用熱交換器121における加熱量の増大が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】登録実用新案第1586330号公報
【特許文献2】特開2010−196953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、前記従来の構成では、ヒートポンプ式冷暖房給湯装置の高性能化のために設置されているバイパス回路130が、冷房排熱利用給湯運転では活用することができず、更なる省エネルギー化を図ることができない。
【0019】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、冷房排熱利用給湯運転においても、過冷却器を有するバイパス回路を、有効に活用することができるヒートポンプ式冷暖房給湯装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
前記課題を解決するために、本発明のヒートポンプ式冷暖房給湯装置は、圧縮機、四方弁、熱源側熱交換器、熱源側膨張手段、過冷却器、利用側膨張手段、利用側熱交換器が環状に接続された第1冷媒回路と、前記熱源側膨張手段と前記過冷却器の間または前記過冷却器と前記利用側膨張手段の間で前記第1冷媒回路から分岐し、バイパス膨張手段および前記過冷却器を経由して、前記四方弁と前記圧縮機との間で前記第1冷媒回路に接続する第1バイパス回路と、前記圧縮機と前記四方弁の間から分岐して温水用熱交換器を介して、前記過冷却器と前記利用側膨張手段との間に接続する第2冷媒回路と、前記第2冷媒回路と前記第1冷媒回路との接続部と前記利用側膨張手段との間に設けられた第1開閉手段と、前記熱源側膨張手段と前記過冷却器との間から分岐して第2開閉手段を介して、前記
第1開閉手段と前記利用側膨張手段との間に接続する第2バイパス回路と、制御装置とを備え、前記制御装置は、前記利用側熱交換器にて冷房運転を行い、かつ、前記温水用熱交換器にて温水生成運転を行う場合に、前記第1開閉手段を閉、前記第2開閉手段を開、前記熱源側膨張手段を閉とすることを特徴とするものである。
【0021】
これによって、温水用熱交換器を凝縮器として作用させ、温水と熱交換することにより冷却された冷媒は、過冷却器と室外膨張手段との間で一部の冷媒が分岐して第1バイパス回路を流れる低圧低温の冷媒により更に冷却され、冷媒過冷却度が大きくなり、蒸発器である室内熱交換器に流入する冷媒エンタルピーが低下する。
【0022】
その結果、室内熱交換器に流入する冷媒乾き度が小さくなり、即ち気相冷媒成分が減少するため、利用側熱交換器にて蒸発に寄与する冷媒量の比率が高まり、蒸発器としての性能を引き出される。
【0023】
また、室内熱交換器に流入する冷媒乾き度が小さくなる(液相成分が多い)ことにより、冷媒乾き度が大きい場合(気相成分が多い)と比較して、複数の冷媒流路から構成される利用側熱交換器(蒸発器)の流入側において冷媒流量が不均一となる現象が回避(冷媒分流性能が向上)され、利用側熱交換器(蒸発器)の伝熱面積が有効に活用される。
【0024】
さらに、利用側熱交換器での蒸発に寄与しない冷媒は第1バイパス回路を介して、利用側熱交換器へ流入せずに圧縮機へ戻ることにより、冷媒配管内における不要な圧力損失の発生がなくなる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、冷房排熱利用給湯運転においても、過冷却器を有するバイパス回路を、有効に活用することができるヒートポンプ式冷暖房給湯装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の第1実施の形態に係る冷房単独運転におけるヒートポンプ式冷暖房給湯装置の概略構成図
図2】同ヒートポンプ式冷暖房給湯装置のモリエル線図(冷媒圧力P−冷媒エンタルピーh線図)
図3】同ヒートポンプ式冷暖房給湯装置の冷房排熱利用給湯運転における第1バイパス回路利用時の原理説明図
図4】同ヒートポンプ式冷暖房給湯装置の冷凍サイクル制御全体のフローチャート
図5】本発明の第1実施の形態に係るヒートポンプ式冷暖房給湯装置の第1バイパス回路におけるバイパス膨張弁の開度制御フローチャート
図6】従来のヒートポンプ式冷暖房給湯装置の概略構成図
図7】従来の他のヒートポンプ式冷暖房給湯装置の概略構成図
【発明を実施するための形態】
【0027】
第1の発明は、圧縮機、四方弁、熱源側熱交換器、熱源側膨張手段、過冷却器、利用側膨張手段、利用側熱交換器が環状に接続された第1冷媒回路と、前記熱源側膨張手段と前記過冷却器の間または前記過冷却器と前記利用側膨張手段の間で前記第1冷媒回路から分岐し、バイパス膨張手段および前記過冷却器を経由して、前記四方弁と前記圧縮機との間で前記第1冷媒回路に接続する第1バイパス回路と、前記圧縮機と前記四方弁の間から分岐して温水用熱交換器を介して、前記過冷却器と前記利用側膨張手段との間に接続する第2冷媒回路と、前記第2冷媒回路と前記第1冷媒回路との接続部と前記利用側膨張手段との間に設けられた第1開閉手段と、前記熱源側膨張手段と前記過冷却器との間から分岐して第2開閉手段を介して、前記第1開閉手段と前記利用側膨張手段との間に接続する第2
バイパス回路と、制御装置とを備え、前記制御装置は、前記利用側熱交換器にて冷房運転を行い、かつ、前記温水用熱交換器にて温水生成運転を行う場合に、前記第1開閉手段を閉、前記第2開閉手段を開、前記熱源側膨張手段を閉とすることを特徴とするヒートポンプ式冷暖房給湯装置である。
【0028】
これにより、温水用熱交換器を凝縮器(加熱器)として作用させ、温水と熱交換することにより冷却された冷媒は、過冷却器と室外膨張手段との間で一部の冷媒が分岐して第1バイパス回路を流れる低圧低温の冷媒により更に冷却され、冷媒過冷却度が大きくなり、蒸発器(冷却器)である室内熱交換器に流入する冷媒エンタルピーが低下する。
【0029】
その結果、室内熱交換器に流入する冷媒乾き度が小さくなり、即ち気相冷媒成分が減少するため、利用側熱交換器にて蒸発に寄与する冷媒量の比率が高まり、蒸発器としての性能が引き出される。
【0030】
また、室内熱交換器に流入する冷媒乾き度が小さくなる(液相成分が多い)ことにより、冷媒乾き度が大きい場合(気相成分が多い)と比較して、複数の冷媒流路から構成される利用側熱交換器(蒸発器)の流入側において冷媒流量が不均一となる現象を回避(冷媒分流性能が向上)でき、利用側熱交換器(蒸発器)の有効活用が可能となる。
【0031】
さらに、利用側熱交換器での蒸発に寄与しない冷媒は第1バイパス回路を介して、利用側熱交換器へ流入せずに圧縮機へ戻ることにより、冷凍サイクルにおける不要な配管内圧力損失の上昇を回避できる。
【0032】
これらの作用により、利用側熱交換器での冷房運転、および温水側熱交換器での温水生成運転を同時に行う冷房排熱利用給湯運転においても、利用側熱交換器での蒸発熱交換量(冷却能力)を維持したまま、低圧側での冷媒圧力損失を低減できるため、圧縮機吸入側の冷媒密度が増大し、その結果、冷媒流量が増大し、温水用熱交換器における加熱量の増大が可能となる。
【0033】
第2の発明は、特に、第1の発明のヒートポンプ式冷暖房給湯装置において、前記第1バイパス回路の出口側における冷媒過熱度を検出する冷媒過熱度検出手段を備え、前記制御装置は、前記冷媒過熱度検出手段による冷媒過熱度が所定範囲内となるように、前記バイパス膨張手段の開度を制御することを特徴とするものである。
【0034】
これにより、第1の発明の効果に加えて、第1バイパス回路の出口側冷媒過熱度を所定の目標範囲内に収めることが可能となり、運転条件ごとに第1バイパス回路を通過するバイパス流量が最適化される。
【0035】
特に、第1バイパス回路の出口側冷媒過熱度の制御目標の上限値を1K以内と設定することにより、第1バイパス回路の出口側における冷媒が過度に過熱されることがなく、過熱度がほぼゼロ(冷媒飽和状態)にすることができ、過冷却器の性能を最大限に引き出すことができ、効率の最大化が可能となる。
【0036】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0037】
(実施の形態1)
図1に、本発明の第1の実施の形態に係るヒートポンプ式冷暖房給湯装置10を示す。このヒートポンプ式冷暖房給湯装置10は、冷媒を循環させる第1冷媒回路20、第2冷媒回路21、第1バイパス回路30、第2バイパス回路40と、各種アクチュエータ、各
種センサ、および、制御装置50とを備えている。
【0038】
冷媒としては、例えば、R407C等の非共沸混合冷媒、R410A等の擬似共沸混合冷媒、または単一冷媒等を用いることができる。
【0039】
第1冷媒回路20は、圧縮機1、四方弁2、熱源側熱交換器3、熱源側膨張弁4、過冷却器5、第1開閉手段41、利用側膨張弁6、および、利用側熱交換器7が環状に接続され、第2冷媒回路21は圧縮機1と四方弁2の間から分岐して温水用熱交換器22、温水用膨張弁23を介して、過冷却器5と利用側膨張弁6との間の第1冷媒回路20に連通する。
【0040】
この温水用熱交換器22としては外側流路に水が流動し、内側流路に冷媒が流動する冷媒対水熱交換器、例えば、二重管式熱交換器とし、熱源側熱交換器3、および利用側熱交換器6はフィンチューブ熱交換器とする。
【0041】
第2冷媒回路21と第1冷媒回路20との接続部と、利用側膨張弁6との間に第1開閉手段41が設けられている。
【0042】
次に、第1バイパス回路30は、過冷却器5と第1開閉手段41との間で第1冷媒回路20から分岐し、バイパス膨張弁9、および、過冷却器5の低圧側熱交換部を経由して気液分離器8と圧縮機1との間で第1冷媒回路に再び連通し、第2バイパス回路40は熱源側膨張弁4と過冷却器5との間で第1冷媒回路20から分岐し、第2開閉手段42を介して、第1開閉手段41と利用側膨張弁6との間に再び連通する。
【0043】
なお、冷媒回路20には冷媒の流動方向を切り換えるための四方弁2が設けられ、利用側熱交換器7における冷房運転、および暖房運転、温水用熱交換器22における温水生成(給湯)運転など、運転モードによって切替え制御を行う。
【0044】
また、第1バイパス回路30には、過冷却器5から流出した冷媒の温度Tr、および圧力Prを検出する温度センサTh、および圧力センサPSが設けられている。
【0045】
また、制御装置50は、温度検出手段51、圧力検出手段52、冷媒過熱度検出手段53、開閉手段制御手段54、および膨張弁制御手段55から構成され、温度検出手段51は温度センサThによる検出値を取り込み、圧力検出手段52は圧力センサPSによる検出値を取り込み、それらの検出値を冷媒過熱度検出手段53に入力し、第1バイパス回路30の出口側における冷媒過熱度SHを検出する。
【0046】
以上のように構成されたヒートポンプ式冷暖房給湯装置10における冷房排熱利用給湯運転時の運転動作について説明する。
【0047】
図1では、利用側熱交換器6での冷房運転、および、温水側熱交換器22での温水生成運転を同時に行う冷房排熱利用給湯運転時の冷媒および温水の流れ方向を矢印で示しており、図2に本発明の第1実施の形態に係るヒートポンプ式冷暖房給湯装置のモリエル線図(冷媒圧力P−冷媒エンタルピーh線図)を示す。
【0048】
冷房排熱利用給湯運転では、温水用膨張弁23:全開、四方弁2:冷房モード(圧縮機1と熱源側熱交換器3を連通)、熱源側膨張弁4:全閉、第1開閉手段:閉、第2開閉手段:開、利用側膨張弁6:所定開度、バイパス膨張弁9:所定開度と設定する。
【0049】
この設定により、圧縮機1から吐出された高圧高温ガス冷媒(図2中a点)は、熱源側
膨張弁4:全閉に設定されているため熱源側熱交換器3側には流れず、温水用熱交換器22に流入して放熱器として機能し、温水端末機器と連通する温水利用回路の水媒体を加熱して温水を生成して、高圧高温ガス冷媒自身は冷却されて液化凝縮し、飽和液状態または過冷却液状態となる(図2中b点)。
【0050】
温水用熱交換器22から流出した高圧液冷媒は温水用膨張弁23(全開)を通過後、第1開閉手段が閉に設定されているため、過冷却器5側に流れ、過冷却器5の入口側にて一部の高圧冷媒は第1バイパス回路30側に分岐し、残りの高圧冷媒は過冷却器5により更に過冷却された後(図2中c点)、熱源側膨張弁4が全閉に、かつ、第2開閉手段が開に設定されているため熱源側熱交換器3側には流れず、熱源側膨張弁4と過冷却器5との間で第1冷媒回路20から第2バイパス回路40側に流れ、第2開閉手段42(開)を介して、第1開閉手段41と利用側膨張弁6との間に流れる。
【0051】
その後、第1開閉手段が閉に設定されているため、高圧液冷媒は利用側熱交換器7側に流れ、利用側膨張弁6にて減圧されて膨張した後(図2中d点)、蒸発器として作用する利用側熱交換器7に流入する。
【0052】
利用側熱交換器7に流入した低圧二相冷媒は、冷房単独運転の場合と同様、ここで蒸発して空気側から吸熱して、空気を冷却、除湿し、冷媒自身は加熱され、過熱ガス状態(図2中g点)となって圧縮機1へと戻る。
【0053】
一方、過冷却器5の入口側にて第1バイパス回路30側に分岐した高圧冷媒は、バイパス膨張弁9によって減圧、膨張した後(図2中e点)、過冷却器5の2次側熱交換部にて1次側熱交換部を流れる第1冷媒回路20の液冷媒を冷却しながら、自身は加熱されて二相冷媒状態または飽和ガス状態(図2中f点)となり、圧縮機1の吸入側にて第1冷媒回路20を流れる冷媒に再び合流し(図2中h点)、再度圧縮機1に吸入される。
【0054】
その際、第1バイパス回路30の出口側冷媒過熱度SHを所定の目標範囲内、例えば±1Kに収めるように、バイパス膨張弁9の開度制御を行うものである。
【0055】
以上の運転動作により、利用側熱交換器7において冷房運転を行いながら、温水用熱交換器22を介して温水を生成する運転においても、第1バイパス回路30を利用でき、高効率な運転が可能になる。
【0056】
従って、冷房排熱利用給湯運転時においても、この第1バイパス回路30を用いた運転により、蒸発器である利用側熱交換器7に流入する冷媒エンタルピーを低減、すなわち高圧側における過冷却度の拡大を図りながら(図2中矢印A)、同時に蒸発に寄与しない冷媒ガス成分を、第1バイパス回路30を介して圧縮機1の吸入側にバイパスできるため、蒸発器における無意味な圧力損失増大を抑制、すなわち圧縮機1の吸入圧力上昇を図れ(図2中矢印B)、冷媒流量の増大、凝縮(加熱)能力の増大を図ることが可能となる。
【0057】
なお、温水利用回路において生成された温水は、例えばラジエータ等の熱交換ユニット(図示せず)や、貯湯タンク(図示せず)など搬送され、これにより暖房や給湯が行われる。
【0058】
それに対して、各種アクチュエータの設定変更、および制御装置50の制御により、図3に示すような、利用側熱交換器6での冷房運転、熱源側熱交換器3にて冷房排熱を大気へ放熱する運転を行う冷房単独運転時も従来と同様に実施することができ、この場合の動作について図3を用いて以下に説明する。
【0059】
冷房単独運転では、温水用膨張弁23:全閉、四方弁2:冷房モード(圧縮機1と熱源側熱交換器3を連通)、熱源側膨張弁4:全開、第1開閉手段:開、第2開閉手段:閉、利用側膨張弁6:所定開度、バイパス膨張弁9:所定開度と設定する。なお、設定により本発明のヒートポンプ式冷暖房給湯装置は、図5に示す従来例と基本的に同様の冷房サイクルを形成することになる。
【0060】
この設定により、圧縮機1から吐出された高圧ガス冷媒(図2中a点)は、熱源側熱交換器3に流入し、室外側空気に放熱して、冷媒自身は冷却されて液化凝縮し、過冷却液状態(図2中b点)となる。
【0061】
熱源側熱交換器3から流出した高圧液冷媒(図2中b点)は過冷却器5により更に過冷却(図2中c点)され、過冷却器5の出口側にて一部の高圧冷媒は第1バイパス回路30側に分岐し、残りの高圧冷媒は利用側膨張弁6にて減圧されて膨張した後(図2中d点)、蒸発器として作用する利用側熱交換器7に流入する。
【0062】
フィンチューブ熱交換器である利用側熱交換器7に流入した低圧二相冷媒は、ここで蒸発して空気側から吸熱して、空気を冷却、除湿し、冷媒自身は加熱され、過熱ガス状態(図2中g点)となって利用側熱交換器7から流出し、圧縮機1へと戻る。
【0063】
一方、過冷却器5の出口側にて第1バイパス回路30側に分岐した高圧冷媒は、バイパス膨張弁9によって減圧、膨張した後(図2中e点)、過冷却器5の2次側熱交換部にて1次側熱交換部を流れる第1冷媒回路20の液冷媒を冷却しながら、自身は加熱されて二相冷媒状態または飽和ガス状態(図2中f点)となり、圧縮機1の吸入側にて第1冷媒回路20を流れる冷媒に再び合流し(図2中h点)、再度圧縮機1に吸入される。
【0064】
その際、第1バイパス回路30の出口側冷媒過熱度SHを所定の目標範囲内、例えば±1Kに収めるように、バイパス膨張弁9の開度制御を行うものである。
【0065】
以上の運転動作により、利用側熱交換器6での冷房運転、熱源側熱交換器3にて冷房排熱を大気へ放熱する運転を行う冷房単独運転が可能になる。
【0066】
以上のような運転動作を行う本発明のヒートポンプ式冷暖房給湯装置10に関連する冷房排熱利用給湯運転時の冷凍サイクル制御アルゴリズムについて、図4に示す冷凍サイクル制御全体のフローチャート、および図5に示す第1バイパス回路30におけるバイパス膨張弁9の開度制御のフローチャートを参照して以下に詳細に説明する。
【0067】
まず、図4に示すステップS1にて、冷房排熱利用給湯運転に向けた各アクチュエータの設定として、温水用膨張弁23:全開、四方弁2:冷房モード(圧縮機1と熱源側熱交換器3を連通)、熱源側膨張弁4:全閉、第1開閉手段:閉、第2開閉手段:開、利用側膨張弁6:所定開度、バイパス膨張弁9:所定開度と設定する。
【0068】
次に、ステップS2にて圧縮機1の運転周波数Fqを設定し、ステップS3にて利用側膨張弁6の開度制御を行った後、ステップS4にて圧縮機1の運転を開始する。
【0069】
その後、所定条件を満足した時点で、ステップS5にて第1バイパス回路30のバイパス膨張弁9の開度制御に移行する。
【0070】
バイパス膨張弁9の開度制御としては、図5に示すステップS6にて、温度センサTh、および圧力センサPSにより、過冷却器5から流出した冷媒温度Tr、および冷媒圧力Prを検出し、ステップS7にて、上記冷媒圧力Prの検出値を冷媒過熱度検出手段53
に入力して冷媒の飽和温度Tsatを算出する。
【0071】
そして、ステップS8にて、第1バイパス回路30の出口側における冷媒過熱度SHを算出する。
【0072】
その後、ステップS9にて、検出された冷媒過熱度SHが予め設定された下限値SH1と上限値SH2の間にあるか否かを判定し、SH1〜SH2の範囲内にある場合(ステップS9でYesの場合)は、バイパス膨張弁9の開度は維持したまま、ステップS6へ戻る。
【0073】
一方、冷媒過熱度SHが下限値SH1と上限値SH2の間にない場合(ステップS9でNoの場合)には、制御装置50にて冷媒過熱度SHと下限値SH1の大小関係を比較するべくステップS10に移行する。
【0074】
ステップS10にて、冷媒過熱度SHが下限値SH1以下となると判定された場合(ステップS10でYesの場合)は、ステップS11に移行し、制御装置50によりバイパス膨張弁9の開度を所定量下げて流れる冷媒流量を少なくする動作を行う。
【0075】
逆にステップS11にて冷媒過熱度SHが上限値SH2以上となると判定された場合(ステップS10でNoの場合)は、ステップS12に移行し、制御装置50によりバイパス膨張弁9の開度を所定量上げて流れる冷媒流量を多くする動作を行った後、ステップS6に戻り、ステップS6〜ステップS12の動作を繰り返す。
【0076】
以上のように、冷房排熱利用給湯運転時においても、第1バイパス回路30を用いたステップS1〜ステップS12の動作を繰り返すことにより、蒸発器である利用側熱交換器7に流入する冷媒エンタルピーを低減、すなわち高圧側における過冷却度の拡大を図りながら、同時に蒸発に寄与しない冷媒ガス成分を、第1バイパス回路30を介して圧縮機1の吸入側にバイパスできるため、蒸発器における無意味な圧力損失増大を抑制、すなわち圧縮機1の吸入圧力上昇を図れ、冷媒流量の増大、凝縮(加熱)能力の増大を図ることが可能となる。
【0077】
さらに、バイパス膨張弁9の開度制御により、第1バイパス回路30の出口側冷媒過熱度SHを所定の目標範囲内に収めることが可能となり、運転条件ごとに第1バイパス回路30を通過するバイパス流量が最適化される。
【0078】
特に、第1バイパス回路30の出口側冷媒過熱度SHの制御目標範囲を、例えば0K〜1K以内とする制御を行うことにより、第1バイパス回路30の出口側における冷媒が過度に過熱されることがなく、過熱度がほぼゼロ(冷媒飽和状態)にすることができ、過冷却器5の性能を最大限に引き出すことができ、効率の最大化が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
以上のように、本発明は、ヒートポンプ装置によって、冷房、暖房、および、水を加熱し、その水を暖房・給湯に利用するヒートポンプ式冷暖房給湯装置に特に有用である。
【符号の説明】
【0080】
1 圧縮機
2 四方弁
3 熱源側熱交換器
4 熱源側膨張弁(熱源側膨張手段)
5 過冷却器
6 利用側膨張弁(利用側膨張手段)
7 利用側熱交換器
9 バイパス膨張弁(バイパス膨張手段)
10 ヒートポンプ式冷暖房給湯装置
20 第1冷媒回路
21 第2冷媒回路
22 温水用熱交換器
23 温水用膨張弁(温水用膨張手段)
30 第1バイパス回路
40 第2バイパス回路
41 第1開閉手段
42 第2開閉手段
50 制御装置
51 温度検出手段
52 圧力検出手段
53 冷媒過熱度検出手段
54 開閉手段制御手段
55 膨張弁制御手段(膨張手段制御手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7