特許第6051412号(P6051412)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6051412圧電アクチュエータデバイスとその製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6051412
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】圧電アクチュエータデバイスとその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 41/18 20060101AFI20161219BHJP
   H01L 41/047 20060101ALI20161219BHJP
   H01L 41/113 20060101ALI20161219BHJP
   H01L 41/053 20060101ALI20161219BHJP
   H01L 41/09 20060101ALI20161219BHJP
   H03H 9/24 20060101ALI20161219BHJP
   H03H 3/007 20060101ALI20161219BHJP
   H01H 57/00 20060101ALI20161219BHJP
   H02N 2/00 20060101ALI20161219BHJP
   G02B 26/08 20060101ALI20161219BHJP
   G02B 26/10 20060101ALI20161219BHJP
   G01C 19/56 20120101ALI20161219BHJP
   B81B 3/00 20060101ALI20161219BHJP
   B81C 1/00 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   H01L41/18
   H01L41/047
   H01L41/113
   H01L41/053
   H01L41/09
   H03H9/24 A
   H03H9/24 B
   H03H3/007 M
   H01H57/00 A
   H02N2/00
   G02B26/08 E
   G02B26/10 104Z
   G01C19/56
   B81B3/00
   B81C1/00
【請求項の数】14
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-556260(P2013-556260)
(86)(22)【出願日】2013年1月29日
(86)【国際出願番号】JP2013000455
(87)【国際公開番号】WO2013114857
(87)【国際公開日】20130808
【審査請求日】2015年9月17日
(31)【優先権主張番号】特願2012-17685(P2012-17685)
(32)【優先日】2012年1月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100170494
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 浩夫
(72)【発明者】
【氏名】平岡 聡一郎
(72)【発明者】
【氏名】小牧 一樹
(72)【発明者】
【氏名】中園 晋輔
(72)【発明者】
【氏名】黒塚 章
(72)【発明者】
【氏名】堀江 寿彰
【審査官】 小山 満
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−015757(JP,A)
【文献】 特開2009−174420(JP,A)
【文献】 特開2010−081573(JP,A)
【文献】 特開2010−263061(JP,A)
【文献】 特開2006−303466(JP,A)
【文献】 特開2010−148265(JP,A)
【文献】 特開2011−181556(JP,A)
【文献】 特許第4835813(JP,B1)
【文献】 特開2009−193804(JP,A)
【文献】 特開2001−024460(JP,A)
【文献】 特開2009−117687(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 41/18
H01L 41/047
H01L 41/113
H01L 41/053
H01L 41/09
H03H 9/24
H03H 3/007
H01H 57/00
H02N 2/00
G02B 26/08
G02B 26/10
G01C 19/56
B81B 3/00
B81C 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動する下部振動層と、
前記下部振動層の上面に結合してかつ前記下部振動層と共に振動する上部振動層と、
を有する振動部と、
前記下部振動層の下面に設けられた上部電極層と、
前記上部電極層の下面に設けられた圧電体層と、
前記圧電体層の下面に設けられた下部電極層と、
を有して前記振動部を振動させるように構成された駆動部と、
を備え、
前記振動部の前記下部振動層の主成分は有機材料であり、
前記振動部の前記上部振動層の主成分は無機材料であり、
前記下部振動層の縦弾性係数は前記上部振動層の縦弾性係数より小さくし、
前記下部電極層と前記上部電極層とは、
前記下部振動層が、前記有機材料を含む1つ以上の第1の有機材料と、1つ以上の第1の無機材料とよりなり、前記下部振動層において、前記下部振動層の前記1つ以上の第1の有機材料の体積比率の合計は1/3以上であり、かつ前記下部振動層の前記1つ以上の第1の無機材料の体積比率のそれぞれより大きくする、あるいは、
前記上部振動層が、前記無機材料を含む1つ以上の第2の無機材料と、1つ以上の第2の有機材料とよりなり、前記上部振動層において、前記上部振動層の前記1つ以上の第2の無機材料の体積比率の合計は1/3以上であり、かつ前記上部振動層の前記1つ以上の第2の有機材料の体積比率のそれぞれより大きくする、
ように構成されている、圧電アクチュエータデバイス。
【請求項2】
前記振動部は前記下部振動層の前記上面と前記上部振動層の下面とに接合する中間電極層をさらに有し、
前記下部振動層は圧電性高分子材料よりなる、請求項1に記載の圧電アクチュエータデバイス。
【請求項3】
前記圧電体層と前記下部振動層は電界に対して互いに反対の方向に分極するように構成されており、
前記下部電極層と前記中間電極層とが同電位となるように構成されている、請求項2に記載の圧電アクチュエータデバイス。
【請求項4】
前記下部振動層は圧電性高分子材料よりなり、
前記上部振動層は導電性材料よりなる、請求項1に記載の圧電アクチュエータデバイス。
【請求項5】
前記圧電体層と前記下部振動層は電界に対して互いに反対の方向に分極するように構成されており、
前記下部電極層と前記上部振動層とが同電位となるように構成されている、請求項4に記載の圧電アクチュエータデバイス。
【請求項6】
前記下部振動層が、前記1つ以上の第1の有機材料と、前記1つ以上の第1の無機材料とよりなる場合には、前記下部振動層の前記1つ以上の第1の有機材料の体積比率の前記合計が50%を超え、
前記上部振動層が、前記1つ以上の第2の無機材料と、前記1つ以上の第2の有機材料とよりなる場合には、前記上部振動層の前記1つ以上の第2の無機材料の体積比率の前記合計は50%を超える、請求項1に記載の圧電アクチュエータデバイス。
【請求項7】
前記振動部の一端を支持する枠体と、
前記振動部の他端に支持されたミラー部と、
をさらに備え、
前記振動部はミアンダ形状を有する、請求項1に記載の圧電アクチュエータデバイス。
【請求項8】
前記振動部の一端を支持する第1の枠体と、
前記振動部の他端に支持された第2の枠体と、
前記第2の枠体に支持された一端を有する別の振動部と、
前記別の振動部の他端に支持されたミラー部と、
を備え、
前記振動部と前記別の振動部とはミアンダ形状を有する、請求項1に記載の圧電アクチュエータデバイス。
【請求項9】
前記別の振動部を振動させるように構成された別の駆動部をさらに備え、
前記別の振動部は
振動する別の下部振動層と、
前記別の下部振動層の上面に結合してかつ前記別の下部振動層と共に振動する別の上部振動層と、
を有し、
前記別の駆動部は、
前記別の下部振動層の下面に設けられた別の上部電極層と、
前記別の上部電極層の下面に設けられた別の圧電体層と、
前記別の圧電体層の下面に設けられた別の下部電極層と、
を有し、
前記別の振動部の前記別の下部振動層の主成分は有機材料であり、
前記別の振動部の前記別の上部振動層の主成分は無機材料であり、
前記別の上部振動層の縦弾性係数は前記別の下部振動層の縦弾性係数より小さい、請求項8に記載の圧電アクチュエータデバイス。
【請求項10】
前記振動部の歪みを検出する検出部をさらに備えた、請求項1に記載の圧電アクチュエータデバイス。
【請求項11】
前記振動部により変位するスイッチ接点として機能する導電体部をさらに備えた、請求項1に記載の圧電アクチュエータデバイス。
【請求項12】
基板の上面に設けられた下部電極層と、前記下部電極層の上面に設けられた圧電体層と、前記圧電体層の上面に設けられた上部電極層とを有する駆動部を形成するステップと、
感光性を有する弾性樹脂を用いて光架橋反応により、有機材料を主成分とした下部振動層を前記駆動部の前記上部電極層の上面に形成するステップと、
メッキ法により、無機材料を主成分とした上部振動層を前記下部振動層の上面に形成するステップと、
を含み、
前記下部振動層の縦弾性係数は前記上部振動層の縦弾性係数より小さくし、
前記上部振動層と前記下部振動層は、
前記下部振動層が、前記有機材料を含む1つ以上の第1の有機材料と、1つ以上の第1の無機材料とよりなり、前記下部振動層において、前記下部振動層の前記1つ以上の第1の有機材料の体積比率の合計は1/3以上であり、かつ前記下部振動層の前記1つ以上の第1の無機材料の体積比率のそれぞれより大きくする、あるいは、
前記上部振動層が、前記無機材料を含む1つ以上の第2の無機材料と、1つ以上の第2の有機材料とよりなり、前記上部振動層において、前記上部振動層の前記1つ以上の第2の無機材料の体積比率の合計は1/3以上であり、かつ前記上部振動層の前記1つ以上の第2の有機材料の体積比率のそれぞれより大きくする、
ように構成されている、圧電アクチュエータデバイスの製造方法。
【請求項13】
エッチング処理により前記駆動部の一部を除去するステップをさらに含む、請求項12に記載の圧電アクチュエータデバイスの製造方法。
【請求項14】
前記基板の前記駆動部に接している部分を前記基板の下面からエッチングにより除去するステップをさらに含む、請求項12に記載の圧電アクチュエータデバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電アクチュエータデバイスとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の圧電アクチュエータデバイスは、下部電極層と、この下部電極層上に形成された圧電体層と、この圧電体層上に形成された上部電極層により構成された駆動部が、振動部上に形成されている。
【0003】
この圧電アクチュエータデバイスは、下部電極層と上部電極層の間に電界を印加することで圧電体層が平面方向に伸縮し、その結果振動部が厚み方向に撓むように動作する。
【0004】
このような圧電アクチュエータデバイスは、例えば機械式のスイッチ素子や可変容量素子、バーコードリーダーのような光走査型デバイス、角速度センサに用いられる音叉型デバイスといったように、多種多様な用途として用いられている。
【0005】
従来のアクチュエータデバイスは、例えば、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−193804号公報
【発明の概要】
【0007】
圧電アクチュエータデバイスは、振動部と、振動部を振動させるように構成された駆動部とを備える。振動部は、振動する下部振動層と、下部振動層の上面に結合してかつ下部振動層と共に振動する上部振動層とを有する。駆動部は、下部振動層の下面に設けられた上部電極層と、上部電極層の下面に設けられた圧電体層と、圧電体層の下面に設けられた下部電極層とを有する。振動部の下部振動層の主成分は有機材料である。振動部の上部振動層の主成分は無機材料である。下部振動層の縦弾性係数は上部振動層の縦弾性係数より小さい。
【0008】
この圧電アクチュエータデバイスは、サイズや消費電力を増大させることなく、外乱振動に対する耐性と振動部の撓み量とを大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は実施の形態1における圧電アクチュエータデバイスの斜視図である。
図2図2は実施の形態1における圧電アクチュエータデバイスの周波数と振幅量の関係を示す図である。
図3A図3Aは実施の形態1における圧電アクチュエータデバイスの製造方法を説明する断面図である。
図3B図3Bは実施の形態1における圧電アクチュエータデバイスの製造方法を説明する断面図である。
図3C図3Cは実施の形態1における圧電アクチュエータデバイスの製造方法を説明する断面図である。
図3D図3Dは実施の形態1における圧電アクチュエータデバイスの製造方法を説明する断面図である。
図3E図3Eは実施の形態1における圧電アクチュエータデバイスの製造方法を説明する断面図である。
図3F図3Fは実施の形態1における圧電アクチュエータデバイスの製造方法を説明する断面図である。
図3G図3Gは実施の形態1における圧電アクチュエータデバイスの製造方法を説明する断面図である。
図4図4は実施の形態1における他の圧電アクチュエータデバイスの斜視図である。
図5図5は実施の形態2における圧電アクチュエータデバイスの斜視図である。
図6図6図5に示す圧電アクチュエータデバイスの線6−6における断面図である。
図7A図7Aは実施の形態2における圧電アクチュエータデバイスの動作を示す側面図である。
図7B図7Bは実施の形態2における他の圧電アクチュエータデバイスの断面図である。
図8A図8Aは実施の形態3における圧電アクチュエータデバイスの斜視図である。
図8B図8B図8Aに示す圧電アクチュエータデバイスの拡大斜視図である。
図9A図9Aは実施の形態4における圧電アクチュエータデバイスの斜視図である。
図9B図9B図9Aに示す圧電アクチュエータデバイスの拡大斜視図である。
図10図10は実施の形態5における圧電アクチュエータデバイスの斜視図である。
図11図11は実施の形態6における圧電アクチュエータデバイスの斜視図である。
図12図12図11に示す圧電アクチュエータデバイスの線12−12における断面図である。
図13図13は実施の形態6における圧電アクチュエータデバイスを備えた機械式スイッチの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施の形態1)
図1は実施の形態1における圧電アクチュエータデバイス1の斜視図である。圧電アクチュエータデバイス1は駆動部2と振動部3を備える。駆動部2は、下部電極層4と、下部電極層4の上面4aに設けられた圧電体層5と、圧電体層5の上面5aに設けられた上部電極層26から構成されている。振動部3は、上部電極層26の上面26aに接して設けられた下部振動層7と、下部振動層7の上面7aに設けられた上部振動層8とを有する。このように、上部振動層8は下部振動層7の上面7aに直接的に結合する。圧電アクチュエータデバイス1は、上記の層の上面や下面に平行な長手方向1001Aに延びる矩形状を有し、長手方向1001Aに交差する端面9が支持体10に動かないように保持されている。下部電極層4と圧電体層5と上部電極層26と下部振動層7と上部振動層8とは、これらの層の上面と下面に直角の厚み方向1001Bに積層されている。
【0011】
下部電極層4と上部電極層26の間に電界を印加すると、逆圧電効果により圧電体層5が上面5aと下面5bと平行な平面方向に伸縮する。この時、圧電体層5の伸縮により発生した力は、圧電アクチュエータデバイス1の厚み方向1001Bにモーメントとして働き、振動部3は厚み方向1001Bに撓む。振動部3は、上面7aや下面7b、8bと平行で、かつ撓んでも長手方向の長さが変わらない面である中立面PNを有する。
【0012】
従来の圧電アクチュエータデバイスにおいて、撓み量を大きくするためには振動部の剛性を下げることが有効である。しかし、これに伴い圧電アクチュエータの固有振動数が低下し、これにより、外乱振動の影響を受けやすくなり、アクチュエータデバイスとして機能しない場合がある。即ち、外乱振動に対する耐性と撓み量はトレードオフの関係にあり、両者を同時に向上させることは困難である。外乱振動に対する耐性と撓み量を同時に向上するためには、圧電体を厚く形成して剛性を高めることが有効である。しかし、この場合には下部電極層と上部電極層との間に印加する電圧を増大させる必要があり、消費電力が大きくなる。また、微細な加工が困難であり、デバイスが大型化する。
【0013】
図1に示す実施の形態1における圧電アクチュエータデバイス1では、下部振動層7の縦弾性係数は上部振動層8の縦弾性係数に比べて小さいので、厚み方向1001Bでの中立面PNから圧電体層5までの距離を大きくすることが可能となり、圧電体層5によって生じる力を効率的に撓みへ変換できる。このように、圧電アクチュエータデバイス1は振動部3を大きく撓ませることができ、かつ振動部3の剛性を上げることが可能となり、外乱振動に対する耐性と撓み量を同時に向上することができる。
【0014】
図2は実施の形態1における圧電アクチュエータデバイス1の電極層4、26間に印加する電界の周波数と振幅量の関係を示す。図2において、横軸は周波数を示し、縦軸は振幅量を示す。印加する電界の周波数を、圧電アクチュエータデバイス1が有する固有振動数f0と等しく設定した場合には撓み量が顕著に増大するが、駆動波形が正弦波となるので、使用範囲が限定される。すなわち、任意の波形やタイミングで振動部3を駆動することが不可能であり、圧電アクチュエータデバイス1の使用用途が限られる。図2に示すように、固有振動数f0を高く設計し、固有振動数f0以下の最高周波数を有する領域Wfの周波数の電界を印加することにより、振動部3を任意の波形で駆動することが可能となる。圧電アクチュエータデバイス1では、固有振動数f0を高く設計しながらも、領域Wfにおける撓み量を大きくすることが可能である。したがって、任意の波形やタイミングで振動部3を駆動することができ、圧電アクチュエータデバイス1は様々な用途に用いることができる。
【0015】
実施の形態1では、下部振動層7は例えば縦弾性係数が1〜10GPaのエポキシ樹脂のような有機材料よりなり、上部振動層8は例えば縦弾性係数が100〜150GPaの銅のような無機材料よりなる。これにより、撓みの中立面PNから圧電体層5までの距離をより大きくすることが可能となるので、外乱振動に対する耐性を維持したまま、撓み量を飛躍的に向上させる圧電アクチュエータデバイス1が得られる。
【0016】
下部振動層7を、上記の有機材料に混合された無機フィラーをさらに含んでもよい。無機フィラーは例えば縦弾性係数が300〜350GPaの窒化アルミニウム等の無機材料よりなる。振動層7において有機材料の体積比率は50%以上であり、振動層7の縦弾性係数は10〜50GPaである。この場合には、下部振動層7の縦弾性係数等の材料特性を所望の値に制御することが可能となり、設計の自由度を高めることができる。なお、無機フィラーは、酸化ケイ素のような無機材料が窒化アルミニウムに加えられた複合材料より形成されていてもよい、この場合には、有機材料の体積比率は複数の無機材料のそれぞれの体積比率より高く、振動層7は有機材料を主成分とする。この場合も、窒化アルミニウム単体と有機材料の複合材料とした場合と同様の効果を期待できる。なお、無機材料を複合材料とした場合には有機材料の体積比率を1/3以上とすることにより同様の効果を期待できる。さらには、駆動時に発生する熱が課題となるような用途においては、無機材料により圧電アクチュエータデバイス1のなかで最も放熱性が低い下部振動層7の放熱性を向上させることができる。
【0017】
実施の形態1では、上部振動層8は、無機材料と、例えばポリオルガノシロキサンを原料として有機基を分解することで形成された複合材料とよりなる。上部振動層8は、無機材料の体積比率が50%以上である複合材料(縦弾性係数50〜100GPa)よりなる。この場合には、下部振動層7と上部振動層8が強固に密着し、圧電アクチュエータデバイス1の信頼性を向上させることができる。なお、この複合材料はエポキシやポリエステルのような他の有機材料をさらに含んでいてもよい。この場合、無機材料の体積比率を複数の有機材料のそれぞれの体積比率より高く、振動層8は無機材料を主成分とする。この場合も、ポリオルガノシロキサン単体から複合材料を形成したときと同様の効果を期待することができる。なお、振動層8が複数の有機材料を含む複合材料よりなる場合には無機材料の体積比率を1/3以上とすることにより同様の効果を期待することができる。
【0018】
上述のように、下部振動層7は、有機材料を含む1つ以上の有機材料と、1つ以上の無機材料とよりなる。下部振動層7において、下部振動層7の1つ以上の有機材料の体積比率の合計は1/3以上であり、かつ下部振動層7の1つ以上の無機材料の体積比率のそれぞれより大きいことが好ましい。また、下部振動層7において、下部振動層の1つ以上の有機材料の体積比率の合計が50%を超えていることがより好ましい。
【0019】
さらに、上部振動層8は、1つ以上の無機材料と、1つ以上の有機材料とよりなる。上部振動層8において、上部振動層8の1つ以上の無機材料の体積比率の合計は1/3以上であり、かつ上部振動層8の1つ以上の有機材料の体積比率のそれぞれより大きいことが好ましい。また、上部振動層8において、上部振動層8の1つ以上の無機材料の体積比率の合計は50%を超えていることがより好ましい。
【0020】
圧電アクチュエータデバイス1の製造方法を以下に説明する。図3Aから図3Gは圧電アクチュエータデバイス1の製造方法を示す断面図である。
【0021】
まず、図3Aに示すように、支持体10となる基板11上の上面11aに白金からなる下部電極層4を形成し、下部電極層4の上面4aにチタン酸ジルコン酸鉛からなる圧電体層5を形成し、圧電体層5の上面5aに金からなる上部電極層26をスパッタ法等により形成する。基板11はシリコンよりなる。
【0022】
次に、感光性を有する弾性樹脂層をエッチングマスクとして用い、ICPドライエッチングによって下部電極層4と、圧電体層5と、上部電極層26の一部を除去し、図3Bに示す駆動部2を形成する。
【0023】
次に、図3Cに示すように、感光性を有し光架橋反応が進行するような弾性樹脂層を用い、駆動部2の上部電極層26の上面26aに下部振動層7を形成する。
【0024】
次に、図3Dに示すように、銅からなるメッキ用電極層212を下部振動層7の上面7aに形成し、その後、メッキ用被覆層13を、メッキ用電極層212が形成されていない部分に形成する。その後、図3Eに示すように、銅からなる上部振動層8を下部振動層7の上面7aにメッキ法により形成する。その後、図3Fに示すように、メッキ用被覆層13を除去する。メッキ用電極層212は非常に薄いので、上部振動層8は下部振動層7に実質的に接合している。
【0025】
最後に、図3Gに示すように、基板11の下面11bから、感光性を有する弾性樹脂層をエッチングマスクとして用い、ICPドライエッチングによって基板11の支持体10となる部分を残して除去することで、圧電アクチュエータデバイス1が完成する。
【0026】
このように、感光性を有し光架橋反応が進行するような弾性樹脂にて下部振動層7を形成し、メッキ用被覆層を用いた電界メッキ法により上部振動層8を形成することで、微細化が容易となるので、圧電アクチュエータデバイス1の小型化が実現できる。
【0027】
図4は実施の形態1における他の圧電アクチュエータデバイス21の斜視図である。図4において、図1に示す圧電アクチュエータデバイス1と同じ部分には同じ参照番号を付す。圧電アクチュエータデバイス21は、駆動部2と、振動部23とを備える。駆動部2は、下部電極層4と、下部電極層4の上面4aに設けられた圧電体層5と、圧電体層5の上面5aに設けられた上部電極層26から構成されている。また、振動部23は、上部電極層26の上面26aに接して設けられた下部振動層7と、下部振動層7の上面7aに設けられた中間電極層328と、中間電極層328の上面328aに設けられた上部振動層8から構成されている。このように、上部振動層8は中間電極層328を介して下部振動層7の上面7aに結合する。中間電極層328は下部振動層7の上面7aと上部振動層8の下面8bとに接合する。圧電アクチュエータデバイス21は、上記の層の上面や下面に直角の長手方向1001Aに延びる矩形状を有し、長手方向1001Aに交差する端面30が、支持体10に動かないように保持されている。下部電極層4と圧電体層5と上部電極層26と下部振動層7と中間電極層328と上部振動層8とは、これらの層の上面と下面に直角の厚み方向1001Bに積層されている。
【0028】
下部電極層4と上部電極層26の間に電界を印加すると、逆圧電効果により圧電体層5が上面5aと下面5bと平行な平面方向に伸縮する。この時、圧電体層5の伸縮により発生した力は、圧電アクチュエータデバイス21の厚み方向1001Bにモーメントとして働き、振動部23は厚み方向1001Bに撓む。下部振動層7の縦弾性係数を上部振動層8の縦弾性係数に比べて小さくすることにより、撓みの中立面PNから圧電体層5までの距離を大きくすることが可能となり、圧電体層5によって生じる力を効率的に撓みへ変換できる。また、このような構成にすることで、大きな撓みが得られるのと同時に、振動部23の剛性を上げることが可能となり、外乱振動に対する耐性と撓み量を同時に向上することができる。
【0029】
図4に示す圧電アクチュエータデバイス21では、下部振動層7は圧電性高分子材料から形成されている。上部電極層26と中間電極層328の間に電界を印加した場合には、下部振動層7が平面方向に伸縮する。このとき、下部振動層7が圧電体層5と同方向に伸縮する様に下部振動層7に電界を印加すると、圧電体層5に電界を印加したときと同様に下部振動層7が平面方向に伸縮する。具体的には、上部電極層26と中間電極層328との間に電圧を印加する。下部振動層7の伸縮により発生した力が圧電アクチュエータデバイス21の厚み方向1001Bにモーメントとして働き、振動部23が厚み方向1001Bに撓む。このように、下部振動層7が振動部23の機能を有しながら、駆動部と同様の機能を有するため、下部振動層7を圧電性高分子とすることにより振動部23の剛性を低下させることなく、さらに大きな撓みが得られる。中間電極層328は下部振動層7や上部振動層8に比べてごく薄いので、振動部23の振動に与える中間電極層328の影響は小さい。中間電極層328の線弾性率を下部振動層7または上部振動層8のそれと同じにすることで、振動部23の振動に与える中間電極層328の影響を実質的に無くすことができる。なお、図3Aから図3Gにおいてメッキ用電極層212を中間電極層328として用いることができる。
【0030】
また、図1に示す圧電アクチュエータデバイス1では、上部振動層8を導電性材料で形成することで図4に示す中間電極層328として機能させることができる。すなわち、圧電アクチュエータデバイス1では、導電性材料よりなる上部振動層8と上部電極層26との間に電圧を印加してもよい。このとき、下部振動層7が圧電体層5と同方向に伸縮する様に下部振動層7に電界を印加すると、中間電極層328を有する圧電アクチュエータデバイス21と同様に、下部振動層7が振動部3の機能を有しながら、駆動部としての機能を有するので、振動部3の剛性を低下させることなく、大きな撓みを得られるとともに、中間電極層328を形成する場合に比べ工程を簡素化できる。
【0031】
圧電アクチュエータデバイス1では、具体的には、下部振動層7を例えば縦弾性係数が1〜20GPaのポリフッ化ビニルデンのような圧電高分子材料で形成し、上部振動層8を例えば縦弾性係数が100〜150GPaの銅のような無機材料で形成する。これにより、撓みの中立面PNから圧電体層までの距離をより大きくすることが可能である上に、下部振動層7が駆動部2と共に駆動部としても機能するので、外乱振動に対する耐性を維持したまま、撓み量を飛躍的に向上させることが可能となる。
【0032】
また、圧電体層5と圧電性高分子から成る下部振動層7とが厚み方向1001Bにおいて電界に対して互いに反対の方向に分極するように構成し、導電性材料から成る上部振動層8と下部電極層4とが同電位となるように形成する。下部振動層7と圧電体層5の分極方向が反対であるため、下部電極層4と上部電極層26の間及び上部振動層8と上部電極層26との間に電界を印加すると、圧電体層5と下部振動層7の分極方向が反対のため、圧電体層5と下部振動層7は同じ方向に撓む。ここで、下部電極層4と上部振動層8とを短絡することにより、下部電極層4と上部振動層8とを同電位とすることができ、また、下部電極層4と上部振動層8を同じ電源に接続すればよいため、下部電極層4と上部振動層8を異なる電源に接続する場合に比べ、小型化及び工程の簡素化をすることが出来る。
【0033】
(実施の形態2)
図5は実施の形態2における圧電アクチュエータデバイス32の斜視図である。図5において、図1から図4に示す実施の形態1における圧電アクチュエータデバイス1、21と同じ部分には同じ参照番号を付す。圧電アクチュエータデバイス32は振動軸32aに沿ってミアンダ形に延びるミアンダ形状を有するミアンダ形振動子である。圧電アクチュエータデバイス32は、振動軸32aに直角の長手方向1001Aに細長く延びる圧電アクチュエータ34、35を備える。複数の圧電アクチュエータ34と複数の圧電アクチュエータ35は振動軸32aに沿って交互に配列されて折返し部32bで接続されている。圧電アクチュエータデバイス32は支持体33に接続されている。
【0034】
図6図5に示す圧電アクチュエータデバイス32の線6−6における断面図である。圧電アクチュエータ34は、図1に示す実施の形態1における圧電アクチュエータデバイス1の下部電極層4と圧電体層5と上部電極層26と下部振動層7と上部振動層8とそれぞれ同様の材料よりなり同様に厚み方向1001Bに積層された下部電極層24と圧電体層25と上部電極層126と下部振動層27と上部振動層28とを備える。また、圧電アクチュエータ35は、図1に示す実施の形態1における圧電アクチュエータデバイス1の下部電極層4と圧電体層5と上部電極層26と下部振動層7と上部振動層8とそれぞれ同様の材料よりなり同様に配置された下部電極層24と圧電体層25と上部電極層226と下部振動層27と上部振動層28とを備える。圧電アクチュエータ34、35を異なる駆動波形で駆動する場合、圧電アクチュエータ34、35の上部振動層28が下部電極層24と同電位となるように構成することが好ましい。したがって、実施の形態2における圧電アクチュエータデバイス32では、圧電アクチュエータ34、35の下部電極層24は互いに繋がっており、上部振動層28は互いに繋がっている。圧電アクチュエータ34、35の上部電極層126、226は互いに接続されていない。複数の圧電アクチュエータ34の上部電極層126は配線126wで接続されている。配線126wは、複数の圧電アクチュエータ35の圧電体層25の上面25aと下部振動層27の下面27bとに挟まれて圧電アクチュエータ35と折返し部32bとに沿って延びる。同様に、複数の圧電アクチュエータ35の上部電極層226は配線226wで接続されている。配線226wは複数の圧電アクチュエータ34の圧電体層25の上面25aと下部振動層27の下面27bとに挟まれて圧電アクチュエータ34と折返し部32bとに沿って延びる。交流電源126sは圧電アクチュエータ34の配線126wを介して下部電極層24と上部振動層28のそれぞれと上部電極層126との間に交流電圧を印加する。交流電源226sは圧電アクチュエータ35の配線226wを介して下部電極層24と上部振動層28のそれぞれと上部電極層226との間に交流電圧を印加する。交流電源126sが上部電極層126に印加する交流電圧の位相は交流電源226sが上部電極層226に印加する交流電圧の位相と逆相である。圧電アクチュエータ34において、圧電体層25と下部振動層27は電界に対して逆の方向に分極するので、上述のように下部電極層24と上部振動層28のそれぞれと上部電極層126との間に交流電圧が印加されると、圧電体層25と下部振動層27は厚み方向1001Bにおいて同じ方向に撓む。同様に、圧電アクチュエータ35において、圧電体層25と下部振動層27は電界に対して逆の方向に分極するので、上述のように下部電極層24と上部振動層28のそれぞれと上部電極層226との間に交流電圧が印加されると、圧電体層25と下部振動層27は厚み方向1001Bにおいて同じ方向に撓む。
【0035】
図7Aは圧電アクチュエータデバイス32の動作を示す側面図である。交流電源126s、226sから交流電圧が印加されると、図7Aに示すように、圧電アクチュエータ34、35の厚み方向1001Bの撓みが重畳され、単一の圧電アクチュエータで駆動するよりも大変位で圧電アクチュエータデバイス32を駆動することが出来る。圧電アクチュエータ34、35の上部振動層28を同電位にすることにより、電極構成を簡素化することが出来る。このように、複数の圧電アクチュエータを備え、それらのうちの少なくとも2つの圧電アクチュエータを逆相で駆動する複雑な動作を実現する圧電アクチュエータデバイス32であっても、電極構成を複雑化させることなく、撓みを大きくすることができる。
【0036】
また、圧電アクチュエータ34、35の上部振動層28を導電性材料で形成し、図6に示すように、圧電アクチュエータ34、35の上部振動層28と下部電極層24を接続することにより、電源の数を減らすことが出来るので、さらに電極構成を簡素化することが出来る。
【0037】
実施の形態2における圧電アクチュエータデバイス32の複数の圧電アクチュエータ34、35はミアンダ形状を有するが、互いに逆相の交流電源で駆動される少なくとも2つの圧電アクチュエータ34、35を有していればミアンダ形状以外の形状を有していてもよく、同様の効果が得られる。
【0038】
図7Bは実施の形態2における他の圧電アクチュエータデバイス132の断面図である。図7Bにおいて、図6に示す圧電アクチュエータデバイス32と同じ部分には同じ参照番号を付す。図7Bに示す圧電アクチュエータデバイス132では、図4に示す圧電アクチュエータデバイス21と同様に、圧電アクチュエータ34、35は、下部振動層27の上面27aと上部振動層28の下面28bとの間に設けられた中間電極層428をさらに備える。圧電アクチュエータデバイス132では、図6に示す圧電アクチュエータデバイス32の上部振動層28の代りに中間電極層428が下部電極層24に接続されて交流電源126s、226sに接続されて電圧が印加されることにより、圧電アクチュエータデバイス132は図6に示す圧電アクチュエータデバイス32と同様の効果を有する。
【0039】
(実施の形態3)
図8Aは実施の形態3における圧電アクチュエータデバイス41の斜視図である。圧電アクチュエータデバイス41は光学反射素子である。圧電アクチュエータデバイス41は、枠体41fと、枠体41fで支持された一対の振動部43と、一対の振動部43に支持されたミラー部41mとを備える。一対の振動部43の外端は枠体41fの対向する二辺の内側にそれぞれ接続されている。ミラー部41mは一対の振動部43の内端に接続されている。振動部43はミアンダ形状を有する。このように、枠体41fは一対の振動部43の一端を支持する。ミラー部41mは一対の振動部43の他端に支持されている。なお、枠体41fは1つの振動部43の一端を支持してもよい。この場合には、ミラー部41mは1つの振動部43の他端に支持されている。
【0040】
振動部43はミラー部41mのほぼ中心を通る振動軸41aに沿ってミアンダ形に延びる。一対の振動部43は、ミラー部41mの中心を通る振動軸41aの法線に対して互いに線対称である。
【0041】
図8Bは圧電アクチュエータデバイス41の振動部43の拡大斜視図である。振動部43は、図5図6に示す実施の形態2における圧電アクチュエータデバイス32と同様の構造を有し、圧電アクチュエータデバイス32の下部振動層27と上部振動層28と同様の材料よりなり同様に積層された下部振動層47と上部振動層48とを有する。下部振動層47と上部振動層48はミアンダ形状を有する。振動部43は、圧電アクチュエータデバイス32の下部電極層24と圧電体層25と上部電極層126(226)と同様の材料よりなり同様に積層されて駆動部42を構成する下部電極層44と圧電体層45と上部電極層46とをさらに有する。図6に示す実施の形態2における圧電アクチュエータデバイス32の下部電極層24と上部電極層126(226)と上部振動層28と同様に振動部43の下部電極層44と上部電極層46と上部振動層48に電圧を印加する。これにより、実施の形態2における圧電アクチュエータデバイス32と同様に、振動部43は振動軸41aを中心に回動するように振動し、ミラー部41mが振動軸41aを中心に回動するように振動する。
【0042】
圧電アクチュエータデバイス41は、実施の形態2における圧電アクチュエータデバイス32と同様の効果を有し、振動部43の大きな撓みが得られるのと同時に、振動部43の剛性を上げることが可能となる。したがって、外乱振動に対する耐性と回転動作の振幅量が同時に向上した圧電アクチュエータデバイス41が実現できる。
【0043】
なお、実施の形態3における圧電アクチュエータデバイス41では、図7Bに示す実施の形態2における圧電アクチュエータデバイス132と同様に、振動部43は、下部振動層47の上面と上部振動層48の下面とに接合する中間電極層を有していてもよく、圧電アクチュエータデバイス132と同様の効果を有する。
【0044】
(実施の形態4)
図9Aは実施の形態4における圧電アクチュエータデバイス61の斜視図である。図9Aにおいて、図8Aに示す実施の形態3における圧電アクチュエータデバイス41と同じ部分には同じ参照番号を付す。圧電アクチュエータデバイス61は光学反射素子である。圧電アクチュエータデバイス61は、枠体41fと、枠体41fに支持された一対の振動部43と、一対の振動部43に支持した枠体61fと、枠体61fに支持された一対の振動部73と、振動部73のそれぞれの内端で支持されたミラー部61mを備える。振動部43、73は振動軸41a、61aに沿ってミアンダ形にそれぞれ延びるミアンダ形状を有する。振動軸41aは振動軸61aに直交している。一対の振動部43の一端は枠体41fの対向する二辺の内側にそれぞれ接続されて支持されている。枠体61fは一対の振動部43のそれぞれの他端で支持されている。振動部73の一端は、振動軸61a上で枠体61fの対向する二辺の内側に接続されて支持されている。
【0045】
振動軸41a、61aはミラー部61mのほぼ中心で互いに直交する。一対の振動部43は振動軸61aに対して互いに線対称形であり、一対の振動部73は振動軸41aに対して互いに線対称形である。
【0046】
図9Bは圧電アクチュエータデバイス61の振動部73の拡大斜視図である。振動部73は、図5図6に示す実施の形態2における圧電アクチュエータデバイス32すなわち図8Bに示す振動部43と同様の構造を有し、圧電アクチュエータデバイス32の下部振動層27と上部振動層28と同様の材料よりなり同様に積層された下部振動層77と上部振動層78とを有する。下部振動層77と上部振動層78はミアンダ形状を有する。振動部73は、圧電アクチュエータデバイス32の下部電極層24と圧電体層25と上部電極層126(226)と同様の材料よりなり同様に積層されて駆動部72を構成する下部電極層74と圧電体層75と上部電極層76とをさらに有する。図6に示す実施の形態2における圧電アクチュエータデバイス32の下部電極層24と上部電極層126(226)と上部振動層28と同様に振動部73の下部電極層74と上部電極層76と上部振動層78に電圧を印加する。これにより、実施の形態2における圧電アクチュエータデバイス32と同様に、振動部73は振動軸61aを中心に回動するように振動し、ミラー部61mが振動軸61aを中心に回動するように振動する。また、振動部43が振動軸41aを中心に回動するように振動することで枠体61fが振動軸41aを中心に回動するように振動する。したがって、ミラー部61mが、互いに直交する振動軸41a、61aを中心に回転するように振動する。
【0047】
圧電アクチュエータデバイス61は、実施の形態3における圧電アクチュエータデバイス41と同様の効果を有し、振動部43、73の大きな撓みが得られるのと同時に、振動部43、73の剛性を上げることが可能となる。したがって、外乱振動に対する耐性と回転動作の振幅量が同時に向上した圧電アクチュエータデバイス61が実現できる。
【0048】
振動部73を振動部43より縦弾性係数の大きな材料で構成することにより、振動部43を大面積化することなく振動軸41aを中心として回動する振動の固有振動数を、振動軸61aを中心として回動する振動の固有振動数より非常に低くすることが可能となり、ディスプレイ用途に適した圧電アクチュエータデバイス61が得られる。さらには、振動軸41aを中心として回動する振動の固有振動数を高く設計しながらも、その固有振動数以下の領域における回動の振幅量を大きくすることが可能であり、三角波や鋸波等の正弦波以外の任意の駆動波形で安定に枠体61fやミラー部61mを回動させるよう駆動することができる。したがって、理想的なラスタースキャンによる画像を表示できる圧電アクチュエータデバイス61が得られる。
【0049】
振動部43、73と駆動部42、72の層を共通化する。振動部43の下部振動層47と上部振動層48とを別の振動部73の別の下部振動層77と別の上部振動層78とそれぞれ同じ層で形成する。また、駆動部42の下部電極層44と圧電体層45とを別の駆動部72の別の下部電極層74と別の圧電体層75とそれぞれ同じ層で形成する。駆動部42の上部電極層46は図6に示す実施の形態2における圧電アクチュエータデバイス32の上部電極層126、226と同様に形成し、別の駆動部72の別の上部電極層76も図6に示す圧電アクチュエータデバイス32の上部電極層126、226と同様に形成する。これにより、圧電アクチュエータデバイス61の構造を簡素化できる。
【0050】
なお、実施の形態4における圧電アクチュエータデバイス61では、図7Bに示す実施の形態2における圧電アクチュエータデバイス132と同様に、振動部43は、下部振動層47の上面と上部振動層48の下面とに接合する中間電極層を有し、別の振動部73は、別の下部振動層77の上面と別の上部振動層78の下面とに接合する別の中間電極層を有していてもよく、圧電アクチュエータデバイス132と同様の効果を有する。
【0051】
(実施の形態5)
図10は実施の形態5における圧電アクチュエータデバイス81の斜視図である。圧電アクチュエータデバイス81は角速度を検出するセンサである。
【0052】
圧電アクチュエータデバイス81は、振動部83と、振動部83を支持する支持部81sとを備える。振動部83は、図1に示す圧電アクチュエータデバイス1の下部振動層7と上部振動層8とそれぞれ同様の材料よりなり同様に積層されている下部振動層87と上部振動層88とを有する。振動部83は、アーム部83a、83bと、アーム部83a、83bを支持する振動遷移部83cとを備える。アーム部83a、83bは振動遷移部83cから互いに平行に延びており、振動部83は音叉形状を有する。角速度を検出する際、アーム部83a、83bをX軸方向に振動させ、X軸方向に振動させたアーム部83a、83bが回転時に受けるZ軸方向のコリオリ力を角速度として検出する。
【0053】
アーム部83a、83bのそれぞれの1つの面には、駆動部82a、82bと、駆動部82a、82b間に配置された検出部81pとが設けられている。駆動部82a、82bおよび検出部81pのそれぞれは、図1に示す実施の形態1における圧電アクチュエータデバイス1の駆動部2の下部電極層4、圧電体層5、上部電極層26と同様の材料よりなり同様に振動部83の下部振動層87に積層された下部電極層と圧電体層と上部電極層とを有する。下部電極層や上部電極層は配線81wを介して振動遷移部83cまたは支持部81sに設けた外部電極89に接続されている。外部電極89に交流電圧を印加することで、駆動部82a、82bの圧電体層や下部振動層87に周期的に歪を生じさせることでアーム部83a、83bを駆動して振動させる。
【0054】
アーム部83aの上記の面の互いに反対側の周縁部に駆動部82a、82bがそれぞれ設けられている。駆動部82a、82bに外部電極89から互いに逆位相の電圧を印加することで、駆動部82aにおける圧電体層はY軸の正方向に伸び、駆動部82bにおける圧電体層はY軸の負方向に収縮する。その結果、アーム部83aはX軸方向に撓む。アーム部83bの上記の面の互いに反対側の周縁部に駆動部82a、82bがそれぞれ設けられている。駆動部82a、82bに外部電極89から互いに逆位相の電圧を印加することで、駆動部82aにおける圧電体層はY軸の正方向に伸び、駆動部82bにおける圧電体層はY軸の負方向に収縮する。その結果、アーム部83bはX軸方向に撓む。これらを周期的に繰り返し、アーム部83a、83bが逆方向に撓むように駆動部82a、82bに印加する電圧の位相を制御することで、アーム部83a、83bはX軸とY軸とを含むXY面内で繰り返し振動する。
【0055】
アーム部83a、83bがXY面内で繰り返し振動している状態で、Y軸周りに角速度が作用すると、角速度に起因するコリオリ力によりアーム部83a、83bは互いにZ軸の互いに逆の方向に撓む。検出部81pは、このコリオリ力によるアーム部83a、83bのZ軸方向の撓みを角速度として検出する。すなわち、アーム部83a、83bの撓みにより生じる検出部81pの圧電体層に生じる電荷を、上部電極層と下部電極層を介して外部電極89から取り出して角速度として検出する。
【0056】
下部振動層87の縦弾性係数は上部振動層88の縦弾性係数に比べて小さいので、撓みの中立面から駆動部82a、82bの圧電体層までの距離を大きくすることが可能となり、圧電体層にて生じる力を効率的に撓みへ変換できる。このような構成にすることで、振動部83の剛性を保持しながらアーム部83a、83bを効率的に繰り返し振動させることができ、その結果、駆動部82a、82bに印加する駆動電圧を低減できる。また、検出部81pから生じる電荷も増加するので、圧電アクチュエータデバイス81のセンサとしての感度も高めることができる。
【0057】
なお、圧電アクチュエータデバイス81は角速度を検出するセンサのみならず、振動している振動部83の歪みを検出することで高感度に物理量を検出するセンサとして用いることができる。
【0058】
(実施の形態6)
図11は実施の形態6における圧電アクチュエータデバイス91の斜視図である。圧電アクチュエータデバイス91は機械式のスイッチ素子である。
【0059】
圧電アクチュエータデバイス91は、貫通孔93が設けられた基板92と、貫通孔93の上方に配置された伝送電極部95と、伝送電極部95を支持する支持体98とを備える。伝送電極部95の上面には、機械式スイッチの短絡片となる導電体部94が設けられている。支持体98は、弾性体部96と、弾性体部96に接続された圧電アクチュエータ97とを有する。弾性体部96の一端は伝送電極部95に接続されて伝送電極部95を懸架する。圧電アクチュエータ97の一端は基板92の貫通孔93の周縁部93cに接続されて支持されている。これにより、支持体98は、伝送電極部95を貫通孔93の上方に位置させるように支持する。
【0060】
実施の形態6では、伝送電極部95の外形は矩形状である。2つの支持体98が貫通孔93の周縁部93cから互いに平行に延びるように配置している。2つの支持体98の弾性体部96が伝送電極部95の互いに反対側の両端部をそれぞれ支持することで、伝送電極部95を両持ち構造で貫通孔93の上に懸架している。
【0061】
伝送電極部95の略中央には導電体部94が位置する。伝送電極部95には、導電体部94を囲むように貫通部99が設けられている。貫通部99により、伝送電極部95は所定の空隙が設けられた桟形状を有する。貫通部99が形成されていない部分である桟の幅は、圧電アクチュエータ97の幅より狭くなっている。
【0062】
図12は、図11に示す圧電アクチュエータデバイス91の線12−12における断面図である。伝送電極部95とそれを支持する弾性体部96は、下部電極層304と、下部電極層304の上面に設けられた圧電体層305とを有する。実施の形態6では下部電極層304は白金よりなり、圧電体層305はPZTよりなる。伝送電極部95に設けられた導電体部94は、圧電体層305の上面に設けられた金からなる上部電極層306により構成されている。
【0063】
圧電アクチュエータ97は、振動部303と、振動部303の下面に設けられた駆動部302とを有する。駆動部302は、下部電極層304と、下部電極層304の上面に設けられた圧電体層305と、圧電体層305の上面に設けられた上部電極層306とを有する。上述のように、下部電極層304は白金よりなり、圧電体層305はPZTよりなり、上部電極層306は金よりなる。振動部303は、上部電極層306の上面に設けられた下部振動層307と、下部振動層307の上面に設けられた上部振動層308とを有する。下部電極層304は圧電体層305から露出する取出し電極105を有する。上部電極層306は振動部303から露出する取出し電極106を有する。取出し電極105、106は支持体98が支持されている貫通孔93の周縁部93cに設けられている。取出し電極105、106を通じて、下部電極層304および上部電極層306に所定の一定電圧を印加して圧電体層305を反らせることで、懸架されている伝送電極部95を上下に駆動させる。このように、導電体部94は振動部303により変位するスイッチ接点として機能する。
【0064】
弾性体部96は、圧電アクチュエータ97を形成している下部電極層304と圧電体層305とからなり、上面から見て、ミアンダ形状を有する。弾性体部96がバネとして作用して伸縮することで、圧電アクチュエータ97を反らせたときに生じる伝送電極部95への応力を緩和することができ、破損することなく伝送電極部95を繰り返し上下動させることができる。弾性体部96の共振周波数がスイッチの動作周波数、すなわち伝送電極部95の上下動の周波数より高くなるように、弾性体部96の形状が設計されている。これにより、伝送電極部95を共振させることなく、所望の速度で伝送電極部95を上下動させることができ、圧電アクチュエータデバイス91を動作させることができる。弾性体部96の幅と折り返しの間隔は、幅より空隙が大きくなるように設定されている。
【0065】
実施の形態6では、伝送電極部95の4つの部分が弾性体部96を介して圧電アクチュエータ97により支持されている。これにより、製造工程に起因する圧電アクチュエータ97の反り量(変位量)のバラツキを緩和し、伝送電極部95を傾斜させることなく伝送線路に対して略水平に上下動させることができる。
【0066】
下部振動層307の縦弾性係数は上部振動層308の縦弾性係数より小さいので、撓みの中立面から圧電体層305までの距離を大きくすることが可能となり、圧電体層305にて生じる力を効率的に撓みへ変換できる。この構成により、振動部303の剛性を保持しながら圧電アクチュエータ97の撓み量を増大することができ、その結果駆動電圧を低減できる。また、固有振動数を高く設計しつつ、その振動数以下の領域における撓み量を大きくすることが可能であり、任意の駆動波形で安定に圧電アクチュエータ97を駆動できる。これにより、様々な用途で圧電アクチュエータデバイス91を機械式スイッチ素子として用いることができる。
【0067】
図13は機械式のスイッチ素子である圧電アクチュエータデバイス91を実装した、高周波対応の機械式スイッチ591の分解斜視図である。
【0068】
機械式スイッチ591では、圧電アクチュエータデバイス91はセラミックパッケージ107に実装され封止されている。下方より、セラミックパッケージ107の実装面である底面107aには、伝送線路108および圧電アクチュエータデバイス91に電圧を印加するための駆動用電極109が設けられている。伝送線路108と伝送電極部95(導電体部94)とが所定の間隔で対向し、駆動用電極109と取出し電極105、106とが所定の間隔で対向するように、スペーサ等を介して圧電アクチュエータデバイス91が底面107aに実装、固定される。このとき、貫通孔93を介して伝送電極部95の下面の位置を測定することにより、伝送線路108と伝送電極部95との間隙を正確に検出でき、圧電アクチュエータデバイス91を正確に位置決めして固定することができる。
【0069】
底面107aに設けられた伝送線路108および駆動用電極109はビアや内部配線などを通じてセラミックパッケージ107の外側面の外部電極110に接続されている。セラミックパッケージ107内にアクチュエータを実装した後、FeやNi、Coなどからなる蓋111でセラミックパッケージ107を覆って封止し、セラミックパッケージ107の内部に不活性ガスやドライエアを充填する、または真空状態で封止することで機械式スイッチ591が構成されている。機械式スイッチ591を回路基板上に実装した後、セラミックパッケージ107の外部電極110を介して内部の圧電アクチュエータデバイス91を駆動させ、所望のタイミングで伝送線路108を切り替える。
【0070】
実施の形態6では、基板92に貫通孔93をエッチングで形成するが、伝送電極部95の変位量に余裕度がある場合は、貫通孔93は底を有する凹部であってもよい。
【0071】
圧電アクチュエータデバイス91を用いることにより、数Vの低電圧であっても、確実に動作して所望の応答速度で伝送線路を切り替えることのできる機械式スイッチ591を実現することができる。
【0072】
上記の実施の形態において、「上面」「下面」「上部振動層」「下部振動層」「上部電極層」「下部電極層」等の方向を示す用語は駆動部や振動部等の圧電アクチュエータデバイスの構成部品の相対的な位置関係のみに依存する相対的な方向を示し、鉛直方向等の絶対的な方向を示すものではない。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明における圧電アクチュエータデバイスは、耐振動性能及び駆動効率に優れており、モバイル用途のアクチュエータデバイスに有用である。その中でも、光学反射素子として用いた場合には、その圧電アクチュエータデバイスはモバイルプロジェクタやヘッドマウントディスプレイなどの小型画像投影装置に有用である。
【符号の説明】
【0074】
2,42 駆動部
3,23,43,83,303 振動部
4,304 下部電極層
5,305 圧電体層
7,307 下部振動層
8,308 上部振動層
11 基板
26,306 上部電極層
41f 枠体
41m,61m ミラー部
61f 枠体(別の枠体)
72 駆動部(別の駆動部)
73 振動部(別の振動部)
74 下部電極層(別の下部電極層)
75 圧電体層(別の圧電体層)
76 上部電極層(別の上部電極層)
77 下部振動層(別の下部振動層)
78 上部振動層(別の上部振動層)
81p 検出部
94 導電体部
328 中間電極層
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13