特許第6051415号(P6051415)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6051415ブラシレスモータ制御装置およびその診断処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6051415
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】ブラシレスモータ制御装置およびその診断処理方法
(51)【国際特許分類】
   H02P 6/12 20060101AFI20161219BHJP
   H02P 29/024 20160101ALI20161219BHJP
【FI】
   H02P6/12
   H02P29/024
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-513617(P2016-513617)
(86)(22)【出願日】2015年3月5日
(86)【国際出願番号】JP2015001177
(87)【国際公開番号】WO2015159474
(87)【国際公開日】20151022
【審査請求日】2016年9月2日
(31)【優先権主張番号】特願2014-85164(P2014-85164)
(32)【優先日】2014年4月17日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100170494
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 浩夫
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 大資
【審査官】 池田 貴俊
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/027348(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/125683(WO,A1)
【文献】 特開2007−74791(JP,A)
【文献】 特開2006−180610(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第103995229(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第103926533(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 6/12
H02P 29/024
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部からの指令に従った回転動作をするようにブラシレスモータを駆動制御するブラシレスモータ制御装置であって、
前記ブラシレスモータを駆動するための駆動信号を生成する駆動制御部と、
前記ブラシレスモータの各相の電流値を検出する電流検出回路と、
前記各相の電流検出回路に接続された複数のAD変換回路と、
動作周期の基準となるクロックパルスを出力するクロック発生回路と、
前記クロックパルスに基づいてパルス信号を出力するパルス出力回路と、
前記パルス信号を入力するRCフィルタとを備え、
前記RCフィルタは、抵抗とキャパシタが直列接続されてなり、その中間接続点には所定電源につながるプルアップ抵抗が接続され、さらに前記中間接続点は前記複数のAD変換回路に接続されていることを特徴とするブラシレスモータ制御装置。
【請求項2】
前記RCフィルタへの前記パルス信号がLowの状態であって、前記中間接続点の電圧を入力とした前記複数のAD変換回路の出力値が、所定範囲を逸脱している場合は、そのAD変換回路の異常と判定することを特徴とする請求項1に記載のブラシレスモータ制御装置。
【請求項3】
前記RCフィルタへの前記パルス信号がHighの状態であって、前記中間接続点の電圧を入力とした前記複数のAD変換回路の出力値のうち一つのみが所定範囲を逸脱した場合は、そのAD変換回路の異常と判定することを特徴とする請求項1または2に記載のブラシレスモータ制御装置。
【請求項4】
前記RCフィルタへの前記パルス信号がHighの状態であって、前記中間接続点の電圧を入力とした前記複数のAD変換回路の出力値のすべてが所定範囲を超えるか、もしくは出力値のすべてが所定範囲を下回る場合は、前記クロック発生回路の異常と判定することを特徴とする請求項1または2に記載のブラシレスモータ制御装置。
【請求項5】
前記ブラシレスモータの回転動作停止中であって、前記電流検出回路の出力を入力とした前記複数のAD変換回路の出力値が、所定範囲から逸脱している場合は、電流検出回路の異常と判定することを特徴とする請求項1または2に記載のブラシレスモータ制御装置。
【請求項6】
ブラシレスモータを駆動するための駆動信号を生成する駆動制御部と、
前記ブラシレスモータの各相の電流値を検出する電流検出回路と、
前記各相の電流検出回路に接続された複数のAD変換回路と、
動作周期の基準となるクロックパルスを出力するクロック発生回路とを備え、
外部からの指令に従った回転動作をするように前記ブラシレスモータを駆動制御するブラシレスモータ制御装置の異常を診断するブラシレスモータ制御装置の診断処理方法であって、
抵抗とキャパシタとを直列接続してRCフィルタを構成し、その中間接続点には所定電源につながるプルアップ抵抗を接続し、さらに前記中間接続点は前記複数のAD変換回路に接続し、前記クロックパルスに基づいて生成したパルス信号を前記RCフィルタに印加し、前記中間接続点の電圧を複数のAD変換回路によってデジタル信号に変換した出力値に基づき、前記AD変換回路と前記クロック発生回路とを診断することを特徴とするブラシレスモータ制御装置の診断処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラシレスモータを駆動制御するブラシレスモータ制御装置およびその診断処理方法に関し、特に、モータ制御回路の一部異常により、指令に対する回転速度およびトルクのズレが増加する前に、その原因となり得る回路を診断する機能を備えたブラシレスモータ制御装置およびその診断処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、一般的に使われている冷蔵庫用などの冷却ファンには、その寿命や省エネ化の要求からブラシレスモータが使用されている。そして、冷却ファンには、その時々の気温や冷却対象の温度に応じて、ファンに必要とされる風量や、周辺付近に発する駆動音が定められており、それを満足するよう制御する必要がある。風量のバラツキは、インペラー(羽根車)に取り付けられているモータの回転速度のバラツキに依存し、駆動音はモータの回転トルクに依存することが知られている。
【0003】
ところで、パルス幅変調(Pulse Width Modulation、以下、適宜、「PWM」と記す)駆動で制御されるセンサレスの三相ブラシレスモータの場合、従来、例えば、次のようなブラシレスモータ制御装置で制御される。まず、その制御装置では、各相のコイルに流れる電流値から、モータの回転位置を推定する。さらに、単位時間当たりの回転位置の変化量から実回転速度を算出する。そして、その制御装置において、算出された実回転速度に従い、PWM駆動を実現するインバータ回路内に備え付けられたMOS−FET素子のスイッチングパルス幅が制御される。
【0004】
そのため、コイルの電流値を検出する電流検出回路や、電流検出回路の出力をマイコンに取り込むためのAD変換回路、および、単位時間を生成するためのクロック発生回路に誤差がある場合、算出される実回転速度およびトルクにも同様に誤差が発生し、目標値からのズレが発生する。
【0005】
このクロック発生回路の異常誤差の判定方法として、従来、例えば、クロックパルスに基づいて生成した所定時間間隔のパルス電圧をRCフィルタに入力し、所定のサンプリングタイムにおける電圧が、所定の範囲を逸脱する場合にクロック発生回路の異常と判定するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
しかしながら、上記従来の構成ではクロック発生回路の異常は判定できても、電流検出回路やAD変換回路の異常を判定することができなかった。そのため、AD変換回路、電流検出回路の異常による、回転速度やトルクの誤差増加を事前に検出することができず、冷却ファンの風量や駆動音のバラツキ拡大に対応できなかった。さらに、これらバラツキへの余裕を確保するために、大きなモータを搭載していた。また、複雑な診断用回路を多数追加するなどして対応することも可能であるが、ピン数が少ない小型マイコンでは回路構成ができず、大型マイコンの搭載などでコストアップとなっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−230651号公報
【発明の概要】
【0008】
本発明のブラシレス制御装置は、外部からの指令に従った回転動作をするようにブラシレスモータを駆動制御するブラシレスモータ制御装置である。本ブラシレスモータ制御装置は、ブラシレスモータを駆動するための駆動信号を生成する駆動制御部と、ブラシレスモータの各相の電流値を検出する電流検出回路と、各相の電流検出回路に接続された複数のAD変換回路と、動作周期の基準となるクロックパルスを出力するクロック発生回路と、クロックパルスに基づいてパルス信号を出力するパルス出力回路と、パルス信号を入力するRCフィルタとを備える。さらに、RCフィルタは、抵抗とキャパシタが直列接続されてなり、その中間接続点には所定電源につながるプルアップ抵抗が接続され、さらに中間接続点は複数のAD変換回路に接続された構成とする。
【0009】
そして、複数のAD変換回路の出力値に基づいて、クロック発生回路とAD変換回路と電流検出回路の異常を判定し、異常と判定した場合は、例えばモータの回転動作を停止する。
【0010】
また、本発明のブラシレスモータ制御装置の診断処理方法は、ブラシレスモータを駆動するための駆動信号を生成する駆動制御部と、ブラシレスモータの各相の電流値を検出する電流検出回路と、各相の電流検出回路に接続された複数のAD変換回路と、動作周期の基準となるクロックパルスを出力するクロック発生回路とを備えるブラシレスモータ制御装置の診断処理方法である。本診断処理方法は、抵抗とキャパシタとを直列接続してRCフィルタを構成し、その中間接続点には所定電源につながるプルアップ抵抗を接続し、さらに中間接続点は複数のAD変換回路に接続する。そして、クロックパルスに基づいて生成したパルス信号をRCフィルタに印加し、中間接続点の電圧を複数のAD変換回路によってデジタル信号に変換する。本診断処理方法は、その変換した出力値に基づきAD変換回路とクロック発生回路とを診断する。
【0011】
本発明によれば、AD変換回路、クロック発生回路および電流検出回路の異常による、回転速度やトルクの誤差増加を事前に検出することができるため、冷却ファンの風量や駆動音のバラツキ拡大を未然に防ぐことができる。そのため、これらの余裕を確保するために大きなモータを搭載する必要がなくなり、冷却ファンの小型化・軽量化を図ることができる。また、本発明によれば、複雑な診断用回路を多数追加する必要がないため、ピン数が少ない小型マイコンと安価な回路構成とで容易に実現でき、回路のコストを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の実施の形態におけるブラシレスモータ制御装置の構成を示すブロック図である。
図2A図2Aは、クロック発生回路が正常である場合における、同ブラシレスモータ制御装置のRCフィルタに印加されるパルス信号Plsの波形と、判定用電圧Vcの波形およびAD変換回路の読込みタイミングを示すタイミングチャートである。
図2B図2Bは、クロック発生回路が異常である場合における、同ブラシレスモータ制御装置のRCフィルタに印加されるパルス信号Plsの波形と、判定用電圧Vcの波形およびAD変換回路の読込みタイミングを示すタイミングチャートである。
図3図3は、同ブラシレスモータ制御装置の異常の診断手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0014】
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態におけるブラシレスモータ制御装置10の構成を示すブロック図である。図1では、本ブラシレスモータ制御装置10にブラシレスモータ40を接続した構成の一例を示している。このような構成により、ブラシレスモータ制御装置10は、外部からの指令に従った回転動作をするようにブラシレスモータ40を駆動制御する。
【0015】
ブラシレスモータ40は、巻線をステータコアに巻回したコイル41を備えるステータと、コイル41を通電駆動することで、シャフトを中心に回転するロータとを備えている。本実施の形態では、ブラシレスモータ40がU相、V相、W相とする3相のコイル41を有し、ブラシレスモータ制御装置10が各相をパルス幅変調(PWM)された駆動信号Drvで回転駆動する一例を挙げて説明する。
【0016】
図1に示すように、ブラシレスモータ制御装置10は、制御部11と、インバータ回路14と、電流検出回路15と、RCフィルタ26と、を含む構成である。
【0017】
ブラシレスモータ制御装置10には、例えば、外部の上位コントローラ(図示せず)などからの指令の1つとして、回転速度やトルク量を指令するための信号である回転速度/トルク指令Tspが入力される。ブラシレスモータ制御装置10は、ブラシレスモータ40の回転が回転速度/トルク指令Tspに応じた回転速度やトルクとなるように、駆動信号Drvを生成する。そして、ブラシレスモータ制御装置10は、生成したそれぞれの駆動信号Drvを各コイル41に印加し、このようにして、ブラシレスモータ40を回転制御する。
【0018】
ブラシレスモータ制御装置10をこのように動作させるために、制御部11は、PID(比例、積分、微分)制御により回転速度/トルク指令Tspと実際の回転速度との残差に基づきPMW原信号Dpを生成して出力する。そして、インバータ回路14は、PMW原信号Dpに応じて、電源に接続された内部のスイッチング素子をスイッチングすることで、各相の駆動信号Drvを生成して出力する。
【0019】
また、本実施の形態では、位置センサなどを設けないセンサレスによって、ブラシレスモータ制御装置10がブラシレスモータ40を駆動制御するような構成としている。本実施の形態では、このようなセンサレスで、回転するロータの位置を検出するために、電流検出回路15を設けている。
【0020】
電流検出回路15は、各相の駆動信号Drvの近辺に配置され、ブラシレスモータ40のステータコアに巻かれたコイル41に流れる、U・V・Wの各相の電流値を検出する。そして、電流検出回路15は、検出したそれぞれの電流値に対応する電圧Detとしてそれぞれ、制御部11に供給している。また、詳細については以下で説明するが、制御部11は、AD(Analog−Digital)変換回路を備えており、この電圧DetをAD変換し、AD変換の出力データを利用して、ロータの回転位置や回転速度を算出している。
【0021】
さらに、本実施の形態では、電流検出回路15やAD変換回路などの異常を判定する機能を備えていることを特徴としている。すなわち、これらの異常を判定するため、本実施の形態では、ブラシレスモータ制御装置10に、抵抗器(R)とキャパシタ(C)とで構成されたRCフィルタ26を設けている。
【0022】
次に、ブラシレスモータ制御装置10の各部において、さらに詳細な構成について説明する。
【0023】
まず、制御部11は、ブラシレスモータ40が所望の回転動作をするようにブラシレスモータ40を駆動制御するため、回転制御部12と、駆動波形生成部13と、第1のAD変換回路221、第2のAD変換回路222、および第3のAD変換回路223(以降、第1〜3のAD変換回路を総称して、単にAD変換回路22という場合がある)と、モータ位置算出部18と、実回転速度算出部17とを備えている。そして、これら各部とインバータ回路14とによって、ブラシレスモータ40を駆動するための駆動信号Drvを生成する駆動制御部が構成されている。
【0024】
さらに、制御部11は、デジタル処理を行うために、そのクロック信号となるクロックパルスClkを生成するクロック発生回路23と、クロックパルスClkに基づき各種のタイミング信号を生成するためのタイマ回路24とを備えている。
【0025】
そして、制御部11は、各AD変換回路22、クロック発生回路23および電流検出回路15の異常を判定するために、パルス出力回路25と、AD変換回路診断部19と、クロック発生回路診断部20と、電流検出回路診断部21とを備えている。
【0026】
このように構成された制御部11において、AD変換回路22はそれぞれ、チャンネルch1、ch2に入力されたアナログの電圧をデジタル信号Dig1、Dig2、Dig3に変換して出力する。チャンネルch1には、電流検出回路15が検出した電流値に対応する電圧Detが供給されている。第1のAD変換回路221では、U相の電流値に対応する電圧Detである電圧DetUがチャンネルch1に供給され、電圧DetUに対応したデジタル値を示すデジタル信号Dig1が出力される。第2のAD変換回路222では、V相の電流値に対応する電圧Detである電圧DetVがチャンネルch1に供給され、電圧DetVに対応したデジタル値を示すデジタル信号Dig2が出力される。第3のAD変換回路223では、W相の電流値に対応する電圧Detである電圧DetWがチャンネルch1に供給され、電圧DetWに対応したデジタル値を示すデジタル信号Dig3が出力される。また、詳細については以下で説明するが、各AD変換回路22のチャンネルch2には共通に、RCフィルタ26から、異常判定をするために利用する判定用電圧Vcが供給されている。
【0027】
各AD変換回路22から出力されたデジタル信号Dig1〜3は、モータ位置算出部18に供給される。モータ位置算出部18は、各相の電流値を示すデジタル信号Dig1〜3を受けて、ブラシレスモータ40のロータ位置を算出する。すなわち、本実施の形態では、各相で検出した電流値に基づいて、モータ位置算出部18がロータの回転位置を検出している。モータ位置算出部18は、このように算出したロータ位置を示すロータ位置信号Pdを、実回転速度算出部17および駆動波形生成部13に出力する。
【0028】
実回転速度算出部17には、ロータ位置信号Pdに加えて、タイマ回路24から、所定の時間幅を示すタイマカウント数Cntが通知される。実回転速度算出部17は、このタイマカウント数Cntとロータ位置信号Pdとを用いて、所定の時間幅におけるロータ位置の変化量から、ブラシレスモータ40の実際の回転速度を算出している。実回転速度算出部17は、算出した回転速度を示す回転速度信号Vdを回転制御部12へ出力する。
【0029】
回転制御部12は、回転速度/トルク指令Tspと回転速度信号Vdとの差である偏差に対して、例えば比例積分微分などの演算処理(PID処理)を行い、この演算処理の結果に応じた駆動波形デューティ信号Ddを生成して出力する。駆動波形生成部13は、駆動波形デューティ信号Ddとロータ位置信号Pdから、インバータ回路14のスイッチング素子を制御するためのPMW原信号Dpを生成し、インバータ回路14へと出力する。
【0030】
このように、本実施の形態では、電流検出回路15が検出した電流値に基づいて、ロータの実回転速度を示す回転速度信号Vdが生成され、また、回転速度を制御するために指令された指令速度を示す回転速度/トルク指令Tspが通知される。そして、ブラシレスモータ制御装置10によって、回転速度信号Vdと回転速度/トルク指令Tspとに基づき、ロータの回転速度が指令速度に追従するようにフィードバック制御する速度制御ループが構成されている。ブラシレスモータ制御装置10は、この一連のループを連続的に実行することにより、ブラシレスモータ40を回転制御する。
【0031】
また、このような一連のループ処理をデジタル処理によって実行したり、AD変換回路22のサンプリングタイミングを生成したりするため、制御部11は、クロック発生回路23とタイマ回路24とを備えている。クロック発生回路23は、動作周期の基準となる周期的なクロックパルスClkを生成し、制御部11の各デジタル処理部とともに、タイマ回路24に出力する。このクロックパルスClkは制御部11の基準クロックとなる。タイマ回路24は、基準のクロックパルスClkを用いて動作する。そして、タイマ回路24は、所定のタイミングで、AD変換回路22へサンプリング信号としてのトリガ信号Trg1、Trg3を出力し、パルス出力回路25へトリガ信号Trg2、Trg4を出力する。
【0032】
タイマ回路24は、具体的には、クロックパルスClkをカウントするカウンタを有している。そして、タイマ回路24は、このカウンタによって、予め定めたカウント数に応じたタイミングを示すパルス信号を、トリガ信号Trg1〜4やタイマカウント数Cntとして出力している。
【0033】
より具体的な例として、例えば、クロックパルスClkの周期は0.1μS(すなわち、周波数では10MHz)とする。そして、タイマ回路24において、パルスのHigh期間とするカウント数を200とし、パルスのLow期間のカウント数を800とする。これにより、タイマ回路24から、High期間が20μS、Low期間が80μSとなる10KHzの周期的なパルス信号を出力することになる。また、例えばAD変換回路22は、このようなパルス信号のLowからHighへと立ち上がるタイミングや、その逆の立ち下がるタイミングをサンプリングのタイミングとして利用する。例えば、上記10KHzのパルス信号の立ち上がりをAD変換回路22のサンプリングタイミングとすると、AD変換回路22は、100μS毎にデジタル信号Digを出力する。なお、以下、デジタル処理における一般的な表現と同様に、パルス信号とは、HighのレベルとLowのレベルとで構成された信号であり、Highレベルは正電源Vccの電圧近辺のレベル、Lowレベルは負側電源となるグランドの電圧近辺のレベルとして説明する。
【0034】
次に、各AD変換回路22とクロック発生回路23と電流検出回路15との異常を判定するための詳細な構成について説明する。
【0035】
これらの異常を判定するために、ブラシレスモータ制御装置10に設けたRCフィルタ26は、抵抗27とキャパシタ28を直列につなぎ、構成されている。その抵抗27の一方には、制御部11のパルス出力回路25が出力した異常判定用のパルス信号Plsが接続されている。そして、そのキャパシタ28の一方は、グランド29に接続されている。さらに、抵抗27とキャパシタ28との中間接続点Pは、判定用電圧Vcとして、第1〜3のそれぞれのAD変換回路22のチャンネルch2に接続されている。さらに、例えば正の5V電源である正電源Vccと中間接続点Pとの間に、所定の抵抗値のプルアップ抵抗30が接続されている。
【0036】
RCフィルタ26の中間接続点Pの電圧である判定用電圧Vcに対し、AD変換回路22それぞれは、トリガ信号Trg1、Trg3が示す両タイミングで判定用電圧Vc読み込む。読込み完了後、タイマ回路24は、パルス出力回路25へトリガ信号Trg2、Trg4を出力する。トリガ信号Trg2、Trg4入力時、パルス出力回路25は、出力する信号レベルを切り替えることにより、パルス信号Plsを生成し、RCフィルタ26へ出力する。
【0037】
次に、以上のように構成されたRCフィルタ26を利用して、AD変換回路22それぞれの異常の診断を行うAD変換回路診断部19の診断手順について説明する。図1で示したように、RCフィルタ26にプルアップ抵抗30を接続したことにより、中間接続点Pの基準電圧は、0(ゼロ)からV1へシフトする。すなわち、パルス出力回路25からのパルス信号PlsがLowレベルで、キャパシタ28への充放電が完了してから十分な時間が経過したタイミングにおいては、中間接続点Pの電圧は、抵抗27とプルアップ抵抗30とで分圧された一定の電圧となる。例えば、正電源Vccが5Vで、プルアップ抵抗30を4KΩ、抵抗27を1KΩにしたとする。すると、パルス信号PlsがLowレベル(すなわち、グランド29の0V)であれば、中間接続点Pの電圧、すなわち判定用電圧Vcは、5Vの正電源Vccが分圧されて、1Vとなる。AD変換回路22はそれぞれに、パルス信号Plsが十分にLowレベルとなった時点における判定用電圧VcをAD変換し、デジタル信号Dig1〜3として出力する。そして、AD変換回路診断部19は、この時点のデジタル信号Dig1〜3の値が所定の範囲を逸脱していれば、AD変換回路22の異常と判断している。
【0038】
より具体的な例として、例えば、AD変換回路22が正常に動作する場合、入力に1Vの電圧が加わると、デジタル信号Dig1〜3の値として「128」が出力されるのが標準であるとする。このようなAD変換回路22に対しては、例えば、所定の範囲として、標準である「128」の上下となる「120」〜「140」という範囲を設けておく。そして、AD変換回路診断部19は、デジタル信号Dig1〜3のそれぞれの値が「120」〜「140」という範囲内かどうか確認し、所定の範囲「120」〜「140」を逸脱していれば、AD変換回路22の異常と判断する。
【0039】
図2Aは、正常時における、RCフィルタ26に印加されるパルス信号Plsの波形(上側)と、中間接続点Pのキャパシタ電圧、すなわち判定用電圧Vcの波形(下側)およびAD変換回路22の読込みタイミングを示している。
【0040】
パルス出力回路25には、タイマ回路24からトリガ信号Trg2、Trg4が供給される。パルス出力回路25は、図2Aの上側に示すように、トリガ信号Trg2のタイミングでLowからHighへ切り替わり、トリガ信号Trg4のタイミングでHighからLowへ切り替わるパルス信号Plsを出力する。さらに、このようなパルス信号PlsをRCフィルタ26に印加することで、キャパシタ28が充放電を繰り返すため、判定用電圧Vcは、図2Aの下側に示すような波形となる。
【0041】
本実施の形態では、図2Aに示すパルス信号PlsがLowからHighへ切り替わる直前のタイミングC1で、トリガ信号Trg1がサンプリングのタイミングとしてAD変換回路22へ出力されるように構成している。すなわち、このタイミングC1は、パルス信号PlsがLowへと切り替わった後のさらに十分な時間が経過したタイミングであるため、AD変換回路22は、抵抗27とプルアップ抵抗30とで分圧された電圧値V1となる判定用電圧Vcを安定に読み込むことができる。上述したように、AD変換回路診断部19は、このタイミングC1で読み込んだデジタル信号Dig1〜3のそれぞれの値が所定の範囲を逸脱しているかどうかによって、AD変換回路22の異常を判断している。
【0042】
以上のように、AD変換回路診断部19は、RCフィルタ26へのパルス信号PlsがLowの状態であって、中間接続点Pの電圧を入力とした複数のAD変換回路22の出力値を診断する。そして、AD変換回路診断部19は、診断した出力値が、所定範囲を逸脱している場合は、そのAD変換回路22の異常と判定している。
【0043】
本実施の形態では、さらに、パルス信号PlsがHighからLowへ切り替わる直前のタイミングC2においても、タイマ回路24からトリガ信号Trg3がサンプリングのタイミングとしてAD変換回路22へ出力される。そして、AD変換回路22は、RCフィルタ26の中間接続点Pの判定用電圧Vcを読み込む。このタイミングC2は、パルス信号PlsがHighへと切り替わった後、抵抗27の抵抗値とキャパシタ28の容量値で決まる時定数でキャパシタ28へ充電されたタイミングであり、AD変換回路22は、図2Aの下側で示すような電圧値V2となる判定用電圧Vcを読み込むことができる。
【0044】
ところで、これらトリガ信号Trg1〜4は、上述したように、カウンタによってクロックパルスClkをカウントするような手法で生成している。このため、クロックパルスClkは、その周期が所定の範囲内での周期的なパルスであれば、パルス信号Plsの波形も、その周期が所定の範囲内で同様に周期的である。逆にクロックパルスClkの周期が所定の範囲を逸脱すると、それに合わせてパルス信号Plsの周期も変化する。例えば、クロックパルスClkの周期が10%増えると、それに合わせて、パルス信号Plsの周期も10%増える。
【0045】
図2Aでは、このようにクロックパルスClkの周期が所定の範囲内、すなわち、クロック発生回路23が正常である場合のタイミングを示しており、判定用電圧Vcは、電圧値V1を基準として所定の電圧値V2をピークとするノコギリ状の波形となる。これに対し、図2Bでは、クロック発生回路23が異常となり、クロックパルスClkの周期が所定の範囲を逸脱した場合の一例(図2Bでは、クロック周波数が低下した場合)を示している。
【0046】
次に、図2Aおよび図2Bを参照しながら、クロック発生回路23の異常の診断を行うクロック発生回路診断部20の診断手順について説明する。
【0047】
もし、クロック発生回路23から出力されるクロックパルスClkの周波数であるクロック周波数が低下し、異常状態となった場合を考える。すると、パルス信号PlsはクロックパルスClkのカウントに基づいて生成されるため、図2Bのように、パルス信号Plsの周波数も低下することになる。その結果、キャパシタ28の充電時間が増加するため、判定用電圧Vcの波形のピーク電圧が正常時の電圧値V2を越える電圧となる。逆にパルス信号の周波数が増加した場合は正常時の電圧値V2より低くなる。
【0048】
したがって、このピーク電圧を正常時の電圧値V2と比較することでクロック発生回路23が正常かどうかの診断が可能となる。上述したように、トリガ信号Trg1〜4は、カウンタによってクロックパルスClkをカウントするような手法で生成している。このため、トリガ信号Trg3に基づくタイミングC2は、クロック周波数のバラツキにかかわらず、判定用電圧Vcのピーク電圧となる。そして、例えば、クロック周波数が標準よりも低い場合には、図2Bに示すように、この場合のピーク電圧は、正常時の電圧値V2よりも高くなる。
【0049】
クロック発生回路診断部20は、このような原理に基づき、タイミングC2時点でのデジタル信号Dig1〜3の値のすべてが、同じように所定の範囲を逸脱していれば、クロック発生回路23の異常と判断している。より具体的な例として、例えば、クロック周波数が正常である場合、タイミングC2で取り込んだデジタル信号Dig1〜3の値として「240」が出力されるのが標準であるとする。このようなクロック発生回路23に対しては、例えば、電圧値V2に対応した標準の場合での「240」に対し、所定の範囲として、その上下となる「230」〜「250」という範囲を設けておく。そして、クロック発生回路診断部20は、デジタル信号Dig1〜3のそれぞれの値が「230」〜「250」という範囲内かどうか確認する。この確認の結果、デジタル信号Dig1〜3のすべての値が所定の範囲での下限「230」よりも小さかったり、逆に、すべての値が所定の範囲での上限「250」よりも大きかったりして所定の範囲を逸脱していれば、クロック発生回路23の異常と判断する。
【0050】
以上のように、クロック発生回路診断部20は、RCフィルタ26へのパルス信号PlsがHighの状態であって、中間接続点Pの電圧を入力とした複数のAD変換回路22の出力値を診断する。そして、診断した出力値のすべてが所定範囲を超えるか、もしくは診断した出力値のすべてが所定範囲を下回る場合は、クロック発生回路の異常と判定している。
【0051】
なお、タイミングC2時点でのデジタル信号Dig1〜3の値を利用して、次のようにAD変換回路22を診断することも可能である。すなわち、本実施の形態では3つのAD変換回路22を備えている。ここで、各AD変換回路22に同じ電圧を入力しているにもかかわらず、1つのAD変換回路22の出力値が他の2つのAD変換回路22の出力値と異なっているような場合には、1つのAD変換回路22は異常と判断することができる。
【0052】
すなわち、クロック発生回路診断部20によって、RCフィルタ26へのパルス信号PlsがHighの状態であって、中間接続点Pの電圧を入力とした複数のAD変換回路22の出力値を診断する。そして、クロック発生回路診断部20は、診断した出力値のうち一つのみが所定範囲を逸脱した場合は、そのAD変換回路22の異常と判定する。このようにして、AD変換回路22の異常判定も可能である。
【0053】
また、電流検出回路診断部21は、ブラシレスモータ40が停止しているタイミングにおけるデジタル信号Dig1〜3の値に基づき、電流検出回路15が異常であるかどうかを判断している。すなわち、ブラシレスモータ40が停止しているタイミングにおいて、AD変換回路22がチャンネルch1を介して、それぞれ電圧Detを取り込む。電流検出回路診断部21は、取り込んだ電圧Detに対応するデジタル信号Dig1〜3を入力する。そして、電流検出回路診断部21は、デジタル信号Dig1〜3の値によって、電流検出回路15が異常であるかどうかを診断する。
【0054】
以上のように、電流検出回路診断部21は、ブラシレスモータ40の回転動作停止中であって、電流検出回路15の出力電圧を入力とした複数のAD変換回路の出力値を診断する。そして、電流検出回路診断部21は、診断した出力値が、所定範囲から逸脱している場合は、電流検出回路の異常と判定している。
【0055】
また、AD変換回路診断部19、クロック発生回路診断部20および電流検出回路診断部21は、診断結果が異常の場合、エラー停止信号Errを回転制御部12へ出力し、ブラシレスモータ40の回転動作を停止させる。なお、修理または交換の要求信号を出力したりして、ユーザーに異常の報知を行っても良い。
【0056】
なお、以上、制御部11はデジタル回路などによる機能ブロックを含む構成例を挙げて説明したが、例えば、プログラムのような処理手順に基づく処理で行うような構成であってもよい。すなわち、例えば、モータ位置算出部18、実回転速度算出部17、回転制御部12および駆動波形生成部13などの機能を、回転制御処理方法を実行するプログラムとしたり、AD変換回路診断部19、クロック発生回路診断部20および電流検出回路診断部21の機能を、診断処理の方法を実行するプログラムとしたりしてメモリなどに記憶させる。そして、マイコン(マイクロコンピュータ)がそれらのプログラムを実行するような構成とすることによっても、本実施の形態を実現できる。また、マイコンの機能とともに、マイコンの基準クロックを生成するクロック発生回路23やAD変換回路22も含めた制御部11を1チィップのLSI(大規模集積回路)とするような構成とすることも可能である。
【0057】
図3は、本実施の形態でのブラシレスモータ制御装置の診断処理方法における各ステップを示すフローチャートである。
【0058】
次に、本診断処理方法の各ステップによる、前述のクロック発生回路診断部20とAD変換回路診断部19と電流検出回路診断部21の一連の診断フローを、制御部11が実行するような一例について図3で説明する。
【0059】
なお、基本的には、本ブラシレスモータ制御装置の診断処理方法は、上述したように、抵抗27とキャパシタ28とを直列接続してRCフィルタ26を構成し、その中間接続点Pには所定電源Vccにつながるプルアップ抵抗30を接続し、さらに中間接続点Pは複数のAD変換回路22に接続する。そして、クロックパルスClkに基づいて生成したパルス信号PlsをRCフィルタ26に印加し、中間接続点Pの電圧を複数のAD変換回路22によってデジタル信号Digに変換する。本診断処理方法は、その変換した出力値に基づきAD変換回路22とクロック発生回路23とを診断している。そして、より詳細には、次のステップを実行することで診断処理を行っている。
【0060】
まず、制御部11は、タイマ回路24が生成するタイミングを参照して、AD変換回路22を診断するタイミング、すなわちタイミングC1に到達したかどうかを判断する(ステップS1)。そして、到達すれば、AD変換回路22は、判定用電圧Vcを読み込む(ステップS2)。
【0061】
次に、AD変換回路診断部19は、AD変換回路22からタイミングC1で読み込んだデジタル信号Dig1〜3を入力し(ステップS3)、デジタル信号Dig1〜3の値が所定の上限または下限範囲を逸脱しているかどうかを判断する(ステップS4)。
【0062】
AD変換回路診断部19は、ステップS4の判断で、逸脱していれば、AD変換回路22の異常と判定し(ステップS5)、エラー停止信号Errを出力する(ステップS6)。また、ステップS4の判断で、逸脱していなければ、ステップS7の処理に進む。
【0063】
ステップS7の処理に進むと、制御部11は、タイマ回路24が生成するタイミングを参照して、クロック発生回路23を診断するタイミング、すなわちタイミングC2に到達したかどうかを判断する(ステップS7)。そして、到達すれば、AD変換回路22は、判定用電圧Vcを読み込む(ステップS8)。そして、クロック発生回路診断部20は、AD変換回路22からタイミングC2で読み込んだデジタル信号Dig1〜3を入力する(ステップS9)。
【0064】
ここで、まず、クロック発生回路診断部20は、そのデジタル信号Dig1〜3のうち、1つのみが所定の範囲を逸脱しているかどうかを判断する(ステップS10)。
【0065】
クロック発生回路診断部20は、ステップS10の判断で、1つのみが所定の範囲を逸脱したと判断した場合には、その一つのAD変換回路22の異常と判定し(ステップS5)、エラー停止信号Errを出力する(ステップS6)。また、ステップS10の判断で、正常と判断すれば、ステップS11の処理に進む。
【0066】
ステップS11の処理に進むと、クロック発生回路診断部20は、デジタル信号Dig1〜3のすべての値が所定の範囲を超えたか、またはすべての値が所定の範囲を下回ったかどうかを判断する(ステップS11)。
【0067】
AD変換回路診断部19は、ステップS11の判断で、所定範囲を逸脱している場合は、クロック発生回路23の周波数が低下または増加したと想定し、クロック発生回路23の異常と判定し(ステップS12)、エラー停止信号Errを出力する(ステップS6)。また、ステップS11の判断で、クロック発生回路23が異常でなければ、ステップS13の処理に進む。
【0068】
ステップS13の処理に進むと、制御部11は、ブラシレスモータ40が回転動作しているかどうかを判断する(ステップS13)。そして、ブラシレスモータ40が停止しているタイミングにおいて、AD変換回路22は電流検出回路15からの電圧DetU、DetV、DetWを入力する(ステップS14)。
【0069】
そして、電流検出回路診断部21は、AD変換回路22からブラシレスモータ40の停止タイミングで読み込んだデジタル信号Dig1〜3を入力し(ステップS15)、その値が所定の上限または下限範囲を逸脱しているかどうかを判断する(ステップS16)。
【0070】
電流検出回路診断部21は、ステップS16の判断で、その値が所定の範囲を逸脱した場合は、電流検出回路15の異常と判定し(ステップS17)、エラー停止信号Errを出力し(ステップS6)、ブラシレスモータ40を回転停止させる。また、ステップS16の判断で、異常がなければ処理を終了する。なお、ステップS13で、ブラシレスモータ40が回転動作している場合は、前述したように通常のブラシレスモータ40を回転制御する。
【0071】
以上のようなブラシレスモータ制御装置を冷却ファンの制御へ適用すれば、AD変換回路、クロック発生回路および電流検出回路の異常による、回転速度やトルクの誤差増加を事前に検出することができる。このため、冷却ファンの風量や駆動音のバラツキ拡大を未然に防止することができる。そして、これらの余裕を確保するために大きなモータを搭載する必要がなくなり、冷却ファンの小型化・軽量化を図ることができる。
【0072】
また、本ブラシレスモータ制御装置は、複雑な診断用回路を多数追加する必要がないため、ピン数が少ない小型マイコンで容易に実現でき、回路のコストを抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明のブラシレスモータ制御装置は、簡単な構成で高精度な速度制御およびトルク制御が可能となるので、家庭用あるいは産業用のモータに適用でき、特に高効率、低騒音が要求される冷却ファンやブロアの制御に好適である。
【符号の説明】
【0074】
10 ブラシレスモータ制御装置
11 制御部
12 回転制御部
13 駆動波形生成部
14 インバータ回路
15 電流検出回路
17 実回転速度算出部
18 モータ位置算出部
19 AD変換回路診断部
20 クロック発生回路診断部
21 電流検出回路診断部
22 AD変換回路
23 クロック発生回路
24 タイマ回路
25 パルス出力回路
26 RCフィルタ
27 抵抗
28 キャパシタ
29 グランド
30 プルアップ抵抗
40 ブラシレスモータ
41 コイル
図1
図2A
図2B
図3