特許第6051439号(P6051439)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6051439
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】油圧回路
(51)【国際特許分類】
   F16H 61/00 20060101AFI20161219BHJP
【FI】
   F16H61/00
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-190896(P2012-190896)
(22)【出願日】2012年8月31日
(65)【公開番号】特開2014-47837(P2014-47837A)
(43)【公開日】2014年3月17日
【審査請求日】2015年8月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115200
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修之
(72)【発明者】
【氏名】妻藤 靖
(72)【発明者】
【氏名】栗本 祥利
【審査官】 日下部 由泰
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−087222(JP,A)
【文献】 特開平09−236170(JP,A)
【文献】 特開2003−049933(JP,A)
【文献】 実開昭63−101355(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 59/00−61/12
61/16−61/24
61/66−61/70
63/40−63/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
油路を構成するバルブボデーを有する油圧制御のトランスミッションの油圧回路であって、
前記油路にはオリフィスが設けられ、
該オリフィスを設けたプレートを上流側バルブボデーと下流側バルブボデーとで挟み込み、
両バルブボデーの少なくとも一方側のバルブボデーには、油路を形成する油路壁と、前記オリフィスの周囲をプレートで支持する他の油路壁が形成される、ことを特徴とする油圧回路。
【請求項2】
前記油路壁は、切欠が設けられ、前記プレートと該切欠との間の隙間がオリフィスから流入した油の油路を形成する、ことを特徴とする請求項1に記載の油圧回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動変速機の油圧制御装置内にあるトランスミッションに設けたオリフィスで発生する振動の抑制に関する。
【背景技術】
【0002】
バルブボデーを備えた油圧制御のトランスミッションの油圧回路においてポンプの吐出圧等を原因とする油圧脈動が発生する。このため従来から油圧回路にオリフィスを設けて油量を調整することで油圧脈動を抑制する方法があった。
【0003】
しかしながら、オリフィスを設けた結果、油がオリフィスを通過するときに乱流が発生し、オリフィスを設けたプレートが振動して異音が発生するという問題が発生していた。これを回避すべくオリフィスを面取りすることで油を整流したり、ダブルオリフィスにすることで流速を落としたりして振動を抑制する方法も考えられるが、この方法では振動ひいては異音の発生を抑制するには不十分であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平05−87222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記課題に鑑み創作されたものであり、油圧制御のトランスミッションの油圧回路に設けたオリフィスの周囲で発生する振動を抑制する構成を有する油圧回路の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る本発明は、
油路を構成するバルブボデーを有する油圧制御のトランスミッションの油圧回路であって、
前記油路にはオリフィスが設けられ、
該オリフィスを設けたプレートを上流側バルブボデーと下流側バルブボデーとで挟み込み、
両バルブボデーの少なくとも一方側のバルブボデーには、油路を形成する油路壁と、前記オリフィスの周囲をプレートで支持する他の油路壁が形成される。
【0007】
請求項1に係る本発明の油圧回路によれば、バルブボデーに当接するプレートに孔を開けてオリフィスとし、このプレート内のオリフィスの周囲をバルブボデー側の油路壁が囲むように支持(担持)している。さらに、本油圧回路によれば、他にオリフィスの周囲をプレートで支持する油路壁を設けている。したがって、オリフィス周りのプレートの剛性が高くなり、振動を抑制することができる。すなわち、本油圧回路の場合、簡単な構造でオリフィスの油圧振動を防止することができ、異音の発生を低減し得る。
【0008】
また、本油圧回路はバルブボデーに油路壁を形成するだけで油路を作ることができ安価かつ簡単な構成で油圧振動および異音の発生を抑制することができる。
【0009】
なお、上記請求項1に係る本発明の油圧回路は、例えば
油路を構成するバルブボデーを有する油圧制御のトランスミッションの油圧回路であって
前記油路にはオリフィスが設けられ、
該オリフィスを設けたプレートを一方側のバルブボデーと他方側のバルブボデーとを合わせるときに挟み込み、両側のバルブボデーには前記オリフィスの周囲を支持する油路壁が形成される構成であっても良い。
【0010】
請求項1に係る本発明は、一方側のバルブボデーの油路壁を問題としているが、両バルブボデーの油路壁でオリフィス周囲を支持するケースは、さらに効果的が大きい。
【0011】
また、請求項2に係る本発明において、請求項1に記載する前記油路壁は、切欠が設けられ、前記プレートと該切欠との間の隙間がオリフィスから流入した油の油路を形成しても良い。
【0012】
このようにオリフィスを囲む油路壁に切欠を設けるだけで容易に油路を形成することができ、プレートの振動抑制効果も維持可能である。
【0013】
なお、上記段落「0009」で例示するケースの場合、請求項2に係る本発明の油圧回路の油路壁は、例えば、
それぞれの油路壁が、油路を形成するための切欠部が設けられ、該切欠部が、両バルブボデーを合わせた状態でズレた位置に配設される構成であっても良い。
【0014】
請求項2に係る油路壁は請求項1の場合と同様に、一方側のバルブボデーの油路壁を問題としているが、前述の上流側と下流側とでプレートを挟み込み両バルブボデーの油路壁でオリフィス周囲を支持するケースでは、さらに効果的である。
【0015】
上流側バルブボデーの油路壁の切欠と下流側バルブボデーの油路壁の切欠とをズラした位置に形成すると、油が上流油路(切欠)からオリフィスを通過して下流油路(切欠)にスムーズに流れていく流路を簡単に形成することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、バルブボデーの変更だけで油圧制御のトランスミッションの油圧回路に設けたオリフィスを通過する油の振動発生を抑制することができる点で有利である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】両側のバルブボデーのうち本発明についての油路壁とオリフィスの位置関係を示す略拡大図である。(a)は下流バルブボデー側の油路壁を示しており、(b)は上流バルブボデー側の油路壁を示している。
図2図1(a)(b)に続き、両側のバルブボデーのうち本発明についての油路壁とオリフィスの位置関係を示す略拡大図であり、(c)は図1(a)(b)の油路壁を重ね合わせた状態である。
図3】下流バルブボデーの一例であり図1(a)の領域Aに相当する部分が領域A’で示されている。
図4図3の下流バルブボデーと図5の上流バルブボデーとの間で挟み込まれるオリフィスを設けた平板状のプレートを示している。
図5】上流バルブボデーの一例であり図1(b)の領域Aに相当する部分が領域A’で示されている。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態に係る油圧回路について、図面を参照しつつ詳細に説明する。まず、図1は両側のバルブボデーのうち本発明についての油路壁とオリフィスの位置関係を示す概略図である。図1図2はバルブボデーの一部の油路壁を拡大しており、(a)は下流の油路を形成するバルブボデー(以下、「下流バルブボデー」)側の油路壁を示しており、(b)は(a)の油路壁と合わせられるバルブボデー(以下、「上流バルブボデー」)側の油路壁を示しており、図2に示す(c)は(a)(b)のバルブボデーの油路壁を重ね合わせた状態でのそれぞれの油路壁及びオリフィスの位置関係を示している。
【0019】
なお、図1(b)、図2において、上流バルブボデー側の油路壁は下流バルブボデーの油路壁に対して鏡面図で示されている。この図1の(a)下流バルブボデーと(b)上流バルブボデーとの間にオリフィス1を設けた平板状のプレート(図1では図示せず(図4のプレート6参照))を挟み込んで係合させることでバルブボデーは形成される。
【0020】
また、図1(a)において実線は下流バルブボデーの油路壁を示しており、右斜下ハッチングは下流バルブボデーの油路壁のうちプレート内のオリフィス1の周辺を支持する部分(下から支持する部分)を示している。
【0021】
図1(a)に示すようにまず、上流バルブボデーからプレートのオリフィス1を通過した油は、下流バルブボデー側の油路2に流入する。このとき右斜下ハッチングの油路壁がオリフィス1周辺のプレートを支持するためこの部分がプレートの振動の節となり、振動を低減することができる。図1(a)の下流バルブボデーでは振動を低減する油路壁が、オリフィス1の最近傍周囲の領域Aの部分とその外側周囲の領域Bとが存在するが、ここで特に振動低減に大きく寄与するのは領域Aの油路壁である。
【0022】
領域Aの油路壁は、図示するようにオリフィス1の周囲の大部分を囲んでプレートを支持するが、右方向に切欠3が設けられている。オリフィス1を通過(紙面に対して垂直下方方向に通過)した油は油路2に流入した後、切欠2を油路として右側に案内される。
【0023】
図1(b)において実線は上流バルブボデーの油路壁を示しており、左斜下ハッチングは上流バルブボデーの油路壁のうちプレート内のオリフィス1の周辺を支持する部分(上から支持する部分)を示している。
【0024】
図1(b)に示すようにまず、上流バルブボデー内を通過してきた油は油路4に流入した後にプレートのオリフィス1を通過し、図1(a)の下流バルブボデー側に流入する。また、領域Aの油路壁は、図示するようにオリフィス1の周囲の大部分を囲んでプレートを支持する点は図1(a)と同様であり、ここでは上方向に切欠5が設けられている。上流バルブボデー内の油は切欠5を通過して油路4に流入し、その後、オリフィス1を通過(紙面に対して垂直下方方向に通過)して図1(a)に示す下流バルブボデーの油路2に案内される。
【0025】
図2に示す(c)は、図1(a)(b)を重ね合わせた図、すなわち下流及び上流バルブボデーを合わせた状態での油路壁を示すものである。この図からも明らかなように領域Aでは図1(a)(b)の油路壁がオリフィス1の周囲全体を囲むように形成されており、これらの油路壁全体でオリフィス1の周囲のプレートを固定し、油のオリフィス1通過時のプレート振動を抑制している。さらに、プレートを支持する油路壁は領域Bでも形成されていることがわかる。図1(a)(b)のそれぞれではオリフィス1の周囲を囲んでいるとまでは言えなかったが、両者を重ね合わすとオリフィス1外周を全て囲んでいると言える。その意味では図1の実施形態の場合、領域Aとその外側の領域Bとの二重の油路壁でオリフィス1周りのプレートを囲んでいると言え、その振動抑制効果が非常に高い。
【0026】
さらに、図1(a)(b)からも明白なように切欠5は上側に空いており、切欠3は右側に空いている。したがって、油路に切欠を設けるだけで上流から下流に向かってのスムーズな油路が形成されていることがわかる。
【0027】
次に、本発明の油圧回路の他の実施形態について図3図5に例示する。図3は、下流バルブボデーの一例であり図1(a)の領域Aに相当する部分は図3では領域A’であり、プレート6に当接する油路壁も同様に右斜下ハッチングで示されている。図4は、図3の下流バルブボデーと後述する図5の上流バルブボデーとの間で挟み込まれるオリフィス1’を設けた平板状のプレート6を示している。図5は、上流バルブボデーの一例である。この例では図1(b)と異なり、上流バルブボデー側には特に図3のようなオリフィス1’周りの油路壁は特に設けられていない。
【0028】
図3に示すようにまず、上流バルブボデー(図5参照)からプレート6(図4参照)のオリフィス1’を通過した油は、図3の下流バルブボデー側の油路2’に流入する。このとき右斜下ハッチングの油路壁が図1(a)と同様にオリフィス1’周辺のプレート6を支持して、プレートの振動を抑制する。
【0029】
また、領域A’の油路壁は、図3に示すようにオリフィス1’の周囲の大部分を囲んでプレートを支持するが、右方向に切欠3’が設けられている。したがって、オリフィス1’を通過した油は油路2’に流入した後、切欠3’を油路として右側に案内される。
【0030】
次に図5に示すように上流バルブボデー内を通過してきた油は油路4’に流入した後にプレート6(図4参照)のオリフィス1’を通過し、図3の下流バルブボデー側に流入する。図3からも明白なように切欠3’は右側に空いている。これにより上流から下流に向かって油路が形成されていることがわかる。
【0031】
以上、本発明の油圧回路についての実施形態およびその概念について説明してきたが本発明はこれに限定されるものではなく特許請求の範囲および明細書等に記載の精神や教示を逸脱しない範囲で他の変形例、改良例が得られることが当業者は理解できるであろう。
【符号の説明】
【0032】
1,1’ オリフィス
2,2’ 油路
3,3’ 切欠
4,4’ 油路
5,5’ 切欠
6 プレート
図1
図2
図3
図4
図5