特許第6051467号(P6051467)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6051467
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】アロマターゼ阻害剤を含む医薬組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4196 20060101AFI20161219BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20161219BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20161219BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20161219BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20161219BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20161219BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20161219BHJP
   A61P 5/00 20060101ALI20161219BHJP
   A61P 5/24 20060101ALI20161219BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   A61K31/4196
   A61K47/38
   A61K47/26
   A61K47/36
   A61K47/12
   A61K47/04
   A61K9/48
   A61P5/00
   A61P5/24
   A61P15/00
【請求項の数】8
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-529833(P2014-529833)
(86)(22)【出願日】2012年9月6日
(65)【公表番号】特表2014-526465(P2014-526465A)
(43)【公表日】2014年10月6日
(86)【国際出願番号】US2012053846
(87)【国際公開番号】WO2013036563
(87)【国際公開日】20130314
【審査請求日】2015年9月4日
(31)【優先権主張番号】61/532,459
(32)【優先日】2011年9月8日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/638,588
(32)【優先日】2012年4月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516336080
【氏名又は名称】メレオ バイオファーマ 2 リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128761
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】テイラー,アン
(72)【発明者】
【氏名】クリックシュタイン,ロイド ビー.
(72)【発明者】
【氏名】タークル,ジーワン
【審査官】 今村 明子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−300866(JP,A)
【文献】 国際公開第2003/082254(WO,A1)
【文献】 DIABETES, OBESITY AND METABOLISM,2005年 5月,V7 N3,P211-215,<DOI:10.111/j.1463-1326.2004.00397.x>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00− 9/72
A61K 31/00−31/80
A61K 33/00−33/44
A61K 47/00−47/48
A61P 1/00−43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)1カプセルあたり0.01〜5mgである治療有効量の4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルと、
(b)微結晶セルロース、乳糖一水和物及びトウモロコシデンプンの3種の充填剤の混合物と、
(c)デンプングリコール酸ナトリウム(SSG)である崩壊剤と、
(d)ステアリン酸マグネシウムである滑沢剤と、
(e)コロイド状二酸化ケイ素である流動促進剤
を含むブレンド混合物を含
前記充填剤の混合物が、カプセル容量の80〜96重量%の量であり、
前記崩壊剤が、カプセル容量の3〜6重量%の量であり、
前記滑沢剤が、カプセル容量の0.25〜5重量%の量であり、
前記流動促進剤が、カプセル容量の0.25〜1重量%の量である、カプセル形態の、低用量医薬組成物。
【請求項2】
4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルの前記治療有効量が、1カプセルあたり.01mg、.05mg、.1mg、.3mg、.5mg、mg、mg、mgまたは5mgある、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記充填剤の混合物が、カプセル容量の85〜95重量%の量である、請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記崩壊剤が、カプセル容量の4重量%または5重量%の量である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記滑沢剤が、カプセル容量の0.5重量%、1重量%または2重量%の量である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記流動促進剤が、カプセル容量の0.25重量%、0.5重量%または0.75重量%の量である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
(a)2回分の充填剤または充填剤の混合物と、1回分の治療化合物4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリル(CGP47645)とを、1回目の充填剤、治療化合物、2回目の充填剤の順序で、適切な混合容器に順次に加え、成分の層を適切な混合機を使用して混合して、プレミックスを製造する工程と、
(b)プレミックスを、1.0mm以下のメッシュサイズの篩にかける工程と、
(c)場合により、篩にかけたプレミックスを適切な混合機を使用して混合する工程と、
(d)滑沢剤を除く残りの賦形剤の混合物を、1.0mm以下のメッシュサイズの篩にかける工程と、
(e)プレミックスを、滑沢剤を除く残りの賦形剤の混合物と、適切な混合機を使用して混合する工程と、
(f)得られた混合物を、1.0mm以下のメッシュサイズの篩にかける工程と、
(g)場合により、篩にかけた混合物を適切な混合機を使用して混合する工程と、
(h)滑沢剤を、1.0mm以下のメッシュサイズの篩にかけ、続いて滑沢剤を、工程(f)または工程(g)で得られた混合物に添加する工程と、
(i)得られた混合物を、適切な混合機を使用して混合して、最終的なブレンドを得る工程と、
(j)工程(i)の最終的なブレンドを、場合により適切なカプセル充填機を使用して、カプセルに充填する工程と
を含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の医薬組成物の調製方法。
【請求項8】
(i)胸部腫瘍、子宮内膜症、子宮筋腫、子宮平滑筋腫、子宮腺筋症、機能不全性子宮出血および異常な子宮内膜肥厚を含むエストロゲン依存性疾患;早産;女性の子宮内膜腫瘍;男性の女性化乳房からなる群から選択されるアロマターゼ活性に関連する状態または障害の処置または予防、
(ii)テストステロンレベルの上昇を必要とする男性患者の処置、または
(iii)男性患者の性腺機能低下症または低ゴナドトロピン性性腺機能低下症の処置
に使用するための、請求項1〜のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アロマターゼ阻害剤4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルを適切な担体中に有効成分として含む低用量医薬組成物に関する。また本発明は、その調製プロセス、およびその医薬としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
アロマターゼ阻害剤4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルは、4−[α−4−シアノフェニル)−α−フルオロ−1−(1,2,4−トリアゾリル)メチル]−ベンゾニトリルまたはCGP47645としても知られ、1992年に初めて記述されたもので[EP490816およびUS5,637,605]、以下の構造式(I)を有する。
【0003】
【化1】
【0004】
化合物4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルは、169.5℃の鋭い融解吸熱を有する結晶性化合物である。この結晶性粉末は、非吸湿性で、水に難溶である。
【0005】
4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリル(CGP47645)は、非常に特異的で強力なアロマターゼ阻害剤であり、レトロゾール[Femara(登録商標)、CGP47645と構造的に関連する市販のアロマターゼ阻害剤]よりも、ヒトにおける半減期が長いことが本明細書で示された。ヒト胎盤ミクロソームのアロマターゼを用いたインビトロの実験では、IC50=6nMが示された。CGP47645のラットへの経口投与では、T1/2は75時間であった。AUCとして表される曝露は、投与量に比例した。2つの異なるアロマターゼ依存実験モデルである、ラットにおけるアンドロステンジオン誘導子宮肥大の阻害と、ラットにおけるDMBA誘導乳房腫瘍の阻害とにおいて、ED50は、それぞれ0.003mg/kgおよび0.01mg/kgであった。これらの結果から、CGP47645がレトロゾールより、およそ10倍強力であることが示唆された。
【0006】
4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルは、低用量で調合される必要のある非常に強力で凝集性の薬物である。そのような薬物は、許容される含量均一性および物理的安定性を有する固体経口剤形を得るために、慎重な製剤化および製造が必要となる。この化合物の治療上の利益が、必要な患者に安全に送達され得るために、4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルを、医薬組成物、特に固体経口剤形に製剤化する必要がある。
【0007】
低用量医薬の製剤化は、非常に挑戦的なものであり得、含量均一性および物理的安定性に関する問題が生じる場合もある。含量均一性は、経口固体剤形における重要なパラメータであるが、その理由は、活性物質含量の著しい偏りが、効能および安全性の点で製品の実効性に影響を与え得るためである。賦形剤の選択および製造の間の特定の工程が重要な因子であり、この制御が均一で分離の無い低用量製剤を得るために必要となる。
【0008】
したがって、本発明は、CGP47645を含む、経口投与に適切な固体医薬組成物を提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様において、本発明は、
(a)治療有効量の4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルと、
(b)充填剤、または1種もしくは複数の、例えば1、2もしくは3種の充填剤の混合物と、
(c)崩壊剤、または1種もしくは複数の、例えば1、2もしくは3種の崩壊剤の混合物と、
(d)滑沢剤、または1種もしくは複数の、例えば1、2もしくは3種の滑沢剤の混合物と、
(e)流動促進剤、または1種もしくは複数の、例えば1、2もしくは3種の流動促進剤の混合物と
を含むブレンド混合物を含む、好ましくはカプセル形態の、低用量医薬組成物に関する。
【0010】
別の態様において、本発明は、
(a)2回分の充填剤または充填剤の混合物と、1回分の治療化合物4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリル(CGP47645)とを、1回目の充填剤、治療化合物、2回目の充填剤の順序で、適切な混合容器に順次に加え、成分の層を適切な混合機を使用して混合して、プレミックスを製造する工程と、
(b)プレミックスを、1.0mm以下のメッシュサイズ、好ましくは0.5mmのメッシュサイズの篩にかける工程と、
(c)場合により、篩にかけたプレミックスを適切な混合機を使用して混合する工程と、
(d)滑沢剤を除く残りの賦形剤の混合物を、1.0mm以下のメッシュサイズ、好ましくは0.5mmのメッシュサイズの篩にかける工程と、
(e)前記プレミックスを、滑沢剤を除く残りの賦形剤の混合物と、適切な混合機を使用して混合する工程と、
(f)得られた混合物を、1.0mm以下のメッシュサイズ、好ましくは0.5mmのメッシュサイズの篩にかける工程と、
(g)場合により、篩にかけた混合物を適切な混合機を使用して混合する工程と、
(h)滑沢剤を、1.0mm以下のメッシュサイズ、好ましくは0.5mmのメッシュサイズの篩にかけ、続いて滑沢剤を、工程(f)または工程(g)で得られた混合物に添加する工程と、
(i)得られた混合物を、適切な混合機を使用して混合して、最終的なブレンドを得る工程と、
(j)工程(i)の最終的なブレンドを、場合により適切なカプセル充填機を使用して、カプセルに充填する工程と
を含む、本発明の医薬組成物の調製方法に関する。
【0011】
さらなる態様において、本発明は、アロマターゼ活性に関連する状態または障害、例えば、限定されないが、胸部腫瘍、子宮内膜症、子宮筋腫、子宮平滑筋腫、子宮腺筋症、機能不全性子宮出血および異常な子宮内膜肥厚などのエストロゲン依存性疾患、早産、女性の子宮内膜腫瘍、または男性の女性化乳房の処置または予防に使用するための、本発明の医薬組成物を提供する。
【0012】
一実施形態において、本発明は、テストステロンレベルの上昇を必要とする男性患者、好ましくはテストステロンレベルの上昇を必要とする体重過多または肥満の男性患者の処置に使用するための、本発明の医薬組成物に関する。
【0013】
別の実施形態において、本発明は、男性患者、好ましくは体重過多または肥満の男性患者の、性腺機能低下症または低ゴナドトロピン性性腺機能低下症の処置に使用するための、本発明の医薬組成物に関する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリル(CGP47645)を含む新規医薬組成物を提供する。医薬組成物は、固体経口剤形、特に即時放出プロファイルを有するカプセルの形態である。医薬組成物は、4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリル(CGP47645)と薬学的に許容される賦形剤とを含むブレンド混合物を調製することによって調製することができ、続いて前記ブレンド混合物は、カプセルに、例えば封入装置を使用することによって、充填される。
【0015】
当技術分野で公知の任意のカプセルを使用して、ブレンド混合物を封入してもよい。そのようなカプセルの一例は、硬ゼラチンカプセル、例えば、Capsugel(Morris Plains、New Jersey)製のCONI−SNAPである。そのようなカプセルの適切なサイズとしては、限定されないが、サイズ番号0〜5が挙げられる。
【0016】
本発明による、特にカプセル形態の医薬組成物は、例えば、1カプセルあたり約0.01mg〜20mg、好ましくは約0.01mg〜約10mg、最も好ましくは約0.01〜約5mgの治療化合物、例えば、1カプセルあたり約0.01mg、約0.05mg、約0.1mg、約0.3mg、約0.5mg、約1mg、約2mg、約3mg、約5mg、約10mgまたは約20mgの治療化合物を含有し得る。
【0017】
本明細書で使用するとき、用語「治療化合物」は、式I:
【0018】
【化2】
の4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリル(CGP47645)を指す。
【0019】
本明細書で使用するとき、用語「医薬組成物」は、例えば、疾患を処置するために哺乳類(例えば、ヒト)に投与される、特定量(例えば、治療有効量)の治療化合物を薬学的に許容される担体中に含有する混合物を意味する。
【0020】
本明細書で使用するとき、用語「薬学的に許容される」とは、健全な医学的判断の範囲内で、哺乳類(特にヒト)との組織の接触に適し、過度の毒性、刺激、アレルギー応答、および他の問題のある合併症を生ずることなく、合理的な利益/リスク比に合う化合物、材料、組成物および/または剤形を指す。
【0021】
本明細書で使用するときの用語「即時放出(immediate-release)」は、治療化合物の大部分、例えば、約50%超、約55%超、約60%超、約65%超、約70%超、約75%超、約80%超、または約90%超が、経口摂取後、比較的短時間、例えば、1時間以内、40分以内、30分以内、または20分以内に、急速に放出されることを指す。即時放出の特に有用な状態は、治療化合物の約80%以上が、経口摂取後30分以内に放出されることである。特定の治療化合物に関する特別な即時放出状態は、当技術分野の当業者にとって認識されているか既知であろう。即時放出プロファイルは、インビトロ溶解試験で測定することができる。
【0022】
本明細書で使用するとき、用語「賦形剤」は、固体経口投薬製剤を調製するための薬学的技術で一般的に使用される薬学的に許容される成分を指す。賦形剤の種類の例としては、限定されないが、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、流動促進剤、安定剤、充填剤および希釈剤が挙げられる。使用される各賦形剤の量は、当技術分野の通常範囲内で変動し得る。参照によって本明細書に全て組み込まれる下記参考文献には、経口剤形を製剤化するために使用される技術および賦形剤が開示されている。The Handbook of Pharmaceutical Excipient, 4th edition, Rowe et al., Eds., American Pharmaceuticals Association (2003)、およびRemington: the Science and Practice of Pharmacy, 20th edition, Gennaro, Ed., Lippincott Williams & Wilkins (2000)を参照のこと。
【0023】
用語「予防」は、状態の発症を予防するための健常な対象への防御的投与を指す。さらに、用語「予防」は、処置される状態の前段階にある患者への防御的投与を意味する。
【0024】
用語「処置」は、疾患、状態または障害と闘うことを目的とする患者の管理およびケアと理解される。
【0025】
本発明は、
(a)治療有効量の4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルと、
(b)充填剤、または1種もしくは複数の、例えば1、2もしくは3種の充填剤の混合物と、
(c)崩壊剤、または1種もしくは複数の、例えば1、2もしくは3種の崩壊剤の混合物と、
(d)滑沢剤、または1種もしくは複数の、例えば1、2もしくは3種の滑沢剤の混合物と、
(e)流動促進剤、または1種もしくは複数の、例えば1、2もしくは3種の流動促進剤の混合物と
を含むブレンド混合物を含む、好ましくはカプセル形態の、低用量医薬組成物を提供する。
【0026】
4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルの治療有効量は、例えば、1カプセルあたり約0.01mg〜20mg、好ましくは約0.01mg〜約10mg、最も好ましくは約0.01mg〜約5mg、例えば、1カプセルあたり約0.01mg、約0.05mg、約0.1mg、約0.3mg、約0.5mg、約1mg、約2mg、約3mg、約5mg、約10mg、または約20mgであり得る。
【0027】
一実施形態において、本発明の、特にカプセル形態の医薬組成物は、1カプセルあたり約0.1mg〜約10mgの治療化合物、好ましくは、1カプセルあたり約0.1mg〜約5mgの治療化合物を含有する。
【0028】
本発明に従って使用される充填剤としては、限定されないが、微結晶セルロース(例えば、セルロースMK GR、および登録商標AVICEL、FILTRAK、HEWETENまたはPHARMACEL、Vivapur、emcocelまたはtabuloseで販売されている製品)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、炭水化物、例えば、糖、糖アルコール、デンプンまたはデンプン誘導体、例えば、ショ糖、乳糖、デキストロース、サッカロース、ブドウ糖、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、バレイショデンプン、トウモロコシデンプン、米デンプン、小麦デンプンまたはアミロペクチン、リン酸三カルシウム、リン酸水素カルシウム、硫酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、酸化マグネシウム、またはそれらの混合物が挙げられる。
【0029】
いくつかの実施形態において、本発明による使用に適切な充填剤は、崩壊特性を有する。崩壊特性を有する充填剤としては、限定されないが、トウモロコシデンプン、微結晶セルロース、アルギン酸、α化デンプンまたはその混合物が挙げられる。
【0030】
好ましくは、充填剤は、微結晶セルロース、乳糖、トウモロコシデンプンおよびその混合物からなる群から選択される。
【0031】
好ましくは、乳糖は、乳糖一水和物である。いくつかの実施形態において、前記乳糖一水和物は、噴霧乾燥されている。
【0032】
より好ましくは、充填剤は、乳糖一水和物と、微結晶セルロースと、トウモロコシデンプンとの混合物である。
【0033】
充填剤は、カプセル容量の約50〜約99重量%、好ましくは約70〜約97重量%、最も好ましくは約80〜96重量%、例えば、85〜95重量%または89〜94重量%の範囲の量で使用され得る。
【0034】
一実施形態において、充填剤は、乳糖一水和物と、他の2つの充填剤、例えば、微結晶セルロースとトウモロコシデンプンとの組合せである。この実施形態の一態様において、充填剤は、乳糖一水和物と、微結晶セルロースと、トウモロコシデンプンとの混合物であり、ここで前記混合物における乳糖一水和物の量は、充填剤の混合物の約60〜約75重量%、好ましくは充填剤の混合物の約65〜70重量%であり、前記混合物における微結晶セルロースの量は、充填剤の混合物の約10〜約30重量%、好ましくは充填剤の混合物の約15〜約25重量%であり、前記混合物におけるトウモロコシデンプンの量は、充填剤の混合物の約5〜約20重量%、好ましくは充填剤の混合物の約7.5〜約17.5重量%である。
【0035】
本発明に従って使用される崩壊剤の例としては、限定されないが、カルボキシメチルセルロースカルシウム(CMC−Ca)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC−Na)またはクロスカルメロースナトリウム、例えば、AC−DI−SOL、デンプングリコール酸ナトリウム(SSG)、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、およびグアーガムまたはその混合物、好ましくは、クロスカルメロースナトリウム、例えば、AC−DI−SOL、架橋ポリビニルピロリドン(例えば、CROSPOVIDONE、POLYPLASDONE、もしくはKOLLIDON XL)およびデンプングリコール酸ナトリウム(SSG)またはそれらの混合物が挙げられる。
【0036】
好ましい崩壊剤は、デンプングリコール酸ナトリウム(SSG)である。
【0037】
崩壊剤は、カプセル容量の約1〜約10重量%、好ましくは約2〜約7.5重量%、最も好ましくは約3〜約6重量%の範囲の量で使用され得る。
【0038】
本発明に従って使用される滑沢剤としては、限定されないが、ステアリン酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムもしくはカルシウム、ステアリン酸、クチナ(cutina)、PEG4000−8000、タルク、またはこれらの混合物が挙げられ、好ましくはフマル酸ステアリルナトリウムまたはステアリン酸マグネシウム、より好ましくはステアリン酸マグネシウムが挙げられる。
【0039】
滑沢剤は、カプセル容量の約0.1〜約10重量%、好ましくは約0.25〜約5重量%、例えば、約0.5〜約2重量%の範囲の量で使用され得る。
【0040】
本発明に従って使用され得る適切な流動促進剤としては、限定されないが、コロイド状二酸化ケイ素(例えば、Aerosil 200)、三ケイ酸マグネシウム、粉末セルロース、デンプン、タルク、またはそれらの混合物が挙げられ、好ましくはコロイド状二酸化ケイ素が挙げられる。
【0041】
流動促進剤は、カプセル容量の約0.05〜約5重量%、好ましくは約0.1〜約1重量%、より好ましくは約0.25〜約1重量%の範囲の量、例えば、0.25重量%、0.5重量%または0.75重量%で使用され得る。
【0042】
本発明の一実施形態において、カプセルに充填され得るブレンド混合物は、
(a)治療有効量の4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルと、
(b)微結晶セルロース、乳糖一水和物およびトウモロコシデンプンである3種の充填剤の混合物と、
(c)デンプングリコール酸ナトリウム(Sodium Starch Glycollate)(SSG)である崩壊剤と、
(d)ステアリン酸マグネシウムである滑沢剤と、
(e)コロイド状二酸化ケイ素(例えば、Aerosil 200)である流動促進剤と
を含むものである。
【0043】
特定の好ましい実施形態において、カプセルに充填され得るブレンド混合物は、
(a)治療有効量の4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルと、
(b)微結晶セルロース、乳糖一水和物およびトウモロコシデンプンである3種の充填剤の混合物と、
(c)デンプングリコール酸ナトリウム(Sodium Starch Glycollate)(SSG)である崩壊剤と、
(d)ステアリン酸マグネシウムである滑沢剤と、
(e)コロイド状二酸化ケイ素(例えば、Aerosil 200)である流動促進剤と
を含み、
4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルの前記治療有効量は、1カプセルあたり約0.01mg〜20mg、好ましくは約0.01mg〜約10mg、最も好ましくは約0.01mg〜約5mg、例えば、1カプセルあたり約0.01mg、約0.05mg、約0.1mg、約0.3mg、約0.5mg、約1mg、約2mg、約3mg、約5mg、約10mg、または約20mgであり、
前記充填剤の混合物は、カプセル容量の約50〜約99重量%、好ましくは約70〜約97重量%、最も好ましくは約80〜約96重量%の範囲の量、例えば、85〜95重量%、または89〜94重量%で使用され、
前記崩壊剤は、カプセル容量の約1〜約10重量%、好ましくは約2〜約7.5重量%、最も好ましくは約3〜約6重量%の範囲の量、例えば、4重量%、または5重量%で使用され、
前記滑沢剤は、カプセル容量の約0.1〜約10重量%、好ましくは約0.25〜約5重量%の範囲の量、例えば、0.5重量%、1重量%、または2重量%で使用され、
前記流動促進剤は、カプセル容量の約0.05〜約5重量%、好ましくは約0.1〜約1重量%、より好ましくは約0.25〜約1重量%の範囲の量、例えば、0.25重量%、0.5重量%、または0.75重量%で使用される。
【0044】
本発明の別の態様は、4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリル(CGP47645)の低用量カプセル製剤の調製方法に関する。
【0045】
従って、
(a)2回分の充填剤または充填剤の混合物と、1回分の治療化合物4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリル(CGP47645)とを、1回目の充填剤、治療化合物、2回目の充填剤の順序で、適切な混合容器に順次に加え、成分の層を適切な混合機を使用して混合して、プレミックスを製造する工程と、
(b)プレミックスを、1.0mm以下のメッシュサイズ、好ましくは0.5mmのメッシュサイズの篩にかける工程と、
(c)場合により、篩にかけたプレミックスを適切な混合機を使用して混合する工程と、
(d)滑沢剤を除く残りの賦形剤の混合物を、1.0mm以下のメッシュサイズ、好ましくは0.5mmのメッシュサイズの篩にかける工程と、
(e)前記プレミックスを、滑沢剤を除く残りの賦形剤の混合物と、適切な混合機を使用して混合する工程と、
(f)得られた混合物を、1.0mm以下のメッシュサイズ、好ましくは0.5mmのメッシュサイズの篩にかける工程と、
(g)場合により、篩にかけた混合物を適切な混合機を使用して混合する工程と、
(h)滑沢剤を、1.0mm以下のメッシュサイズ、好ましくは0.5mmのメッシュサイズの篩にかけ、続いて滑沢剤を、工程(f)または工程(g)で得られた混合物に添加する工程と、
(i)得られた混合物を、適切な混合機を使用して混合して、最終的なブレンドを得る工程と、
(j)工程(i)の最終的なブレンドを、場合により適切なカプセル充填機を使用して、カプセルに充填する工程と
を含む、上記本明細書に記載の、カプセル形態の、低用量医薬組成物の調製方法も提供される。
【0046】
本発明の一実施形態において、プレミックスに使用される充填剤は、トウモロコシデンプン、もしくは乳糖一水和物、またはそれらの混合物であり、好ましくはトウモロコシデンプンである。
【0047】
一実施形態において、トウモロコシデンプンまたは乳糖一水和物の全量が、プレミックスのために使用される。別の実施形態において、トウモロコシデンプンまたは乳糖一水和物の一部のみが、プレミックスのために使用される。
【0048】
好ましくは、プレミックスのための充填剤は、トウモロコシデンプンであり、プレミックス中のトウモロコシデンプンの量は、ブレンド中のトウモロコシデンプンの全量の約5〜約100重量%、例えば、ブレンド中のトウモロコシデンプンの全量の約13重量%、約70重量%、または約100重量%である。
【0049】
本発明の一実施形態において、工程(a)の2回分の充填剤は、約1:1の比率で使用される。
【0050】
別の実施形態において、工程(c)および/または工程(g)は、必須工程である。
【0051】
上述のように、低用量医薬の製剤化は、非常に挑戦的なものであり得、含量均一性および物理的安定性に関する問題が生じる場合もある。含量均一性は、経口固体剤形における重要なパラメータであるが、その理由は、活性物質含量の著しい偏りが、効能および安全性の点で、製品の実効性に影響を与え得るためである。賦形剤の選択および製造の間の特定の工程が重要な因子であり、これらを制御することが均一で分離の無い低用量製剤を得るために必要となる。
【0052】
本発明の4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリル(CGP47645)の低用量カプセル製剤の最終的なブレンド混合物のブレンド均一性は、理論量に対して95〜101%であることが見出された。同様に、ブレンドをカプセルに充填した後の含量均一性は、ラベルに対して97〜104%であった。分離の傾向は観察されなかった(実施例3)。
【0053】
したがって、本発明の一実施形態において、上記本明細書に記載の4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリル(CGP47645)の低用量カプセル製剤のブレンド均一性は、理論量に対して、90〜110%、好ましくは95〜105%である。
【0054】
本発明の別の実施形態において、上記本明細書に記載の4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリル(CGP47645)の低用量カプセル製剤の含量均一性は、理論量に対して、90〜110%、好ましくは95〜105%である。
【0055】
ヒトにおいて、本発明の医薬組成物に製剤化される化合物4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリル(CGP47645)を、まずヒト女性志願者において単回用量漸増プロトコルで試験し、CGP47645の単回用量の安全性、忍容性、薬物動態(PK)および薬力学的(PD)効果について評価した(実施例4参照)。
【0056】
この試験により、摂取後1時間以内にTmax中央値が生じること、また半減期が非常に長く、0.01mgを超える用量においておよそ25日間であることが示された。
【0057】
一態様において、本発明は、アロマターゼ活性に関連する状態または障害、例えば、限定されないが、胸部腫瘍、子宮内膜症、子宮筋腫、子宮平滑筋腫、子宮腺筋症、機能不全性子宮出血および異常な子宮内膜肥厚などのエストロゲン依存性疾患、早産、女性の子宮内膜腫瘍、または男性の女性化乳房の処置または予防に使用するための、上記本明細書に記載の医薬組成物に関する。
【0058】
一実施形態において、本発明は、テストステロンレベルの上昇を必要とする男性患者、好ましくはテストステロンレベルの上昇を必要とする体重過多または肥満の男性患者の処置に使用するための、上記本明細書に記載の医薬組成物に関する。
【0059】
別の実施形態において、本発明は、男性患者、好ましくは体重過多または肥満の男性患者の、性腺機能低下症または低ゴナドトロピン性性腺機能低下症の処置に使用するための、上記本明細書に記載の医薬組成物に関する。
【0060】
別の態様において、本発明は、アロマターゼ活性に関連する状態または障害、例えば、限定されないが、胸部腫瘍、子宮内膜症、子宮筋腫、子宮平滑筋腫、子宮腺筋症、機能不全性子宮出血および異常な子宮内膜肥厚などのエストロゲン依存性疾患、早産、女性の子宮内膜腫瘍、または男性の女性化乳房の処置または予防方法であって、そのような処置を必要とする動物(例えばヒト患者)に治療有効量の本発明の医薬組成物を投与することを含む方法に関する。
【0061】
一実施形態において、本発明は、テストステロンレベルの上昇を必要とする男性患者、好ましくはテストステロンレベルの上昇を必要とする体重過多または肥満の男性患者の処置方法であって、前記患者に、治療有効量の上記本明細書に記載の医薬組成物を投与することを含む方法に関する。
【0062】
別の実施形態において、本発明は、男性患者、好ましくは体重過多または肥満の男性患者の、性腺機能低下症または低ゴナドトロピン性性腺機能低下症の処置方法であって、前記患者に、治療有効量の上記本明細書に記載の医薬組成物を投与することを含む方法に関する。
【0063】
同様に、本発明は、アロマターゼ活性に関連する状態または障害、例えば、限定されないが、胸部腫瘍、子宮内膜症、子宮筋腫、子宮平滑筋腫、子宮腺筋症、機能不全性子宮出血および異常な子宮内膜肥厚などのエストロゲン依存性疾患、早産、女性の子宮内膜腫瘍、または男性の女性化乳房の処置または予防のための医薬の製造のための、本発明の医薬組成物の使用を提供する。
【0064】
一実施形態において、本発明は、テストステロンレベルの上昇を必要とする男性患者、好ましくはテストステロンレベルの上昇を必要とする体重過多または肥満の男性患者の処置のための医薬の製造のための、上記本明細書に記載の医薬組成物の使用に関する。
【0065】
別の実施形態において、本発明は、男性患者、好ましくは体重過多または肥満の男性患者の、性腺機能低下症または低ゴナドトロピン性性腺機能低下症の処置のための医薬の製造のための、上記本明細書に記載の医薬組成物の使用に関する。
【0066】
以下の実施例は、例示であって、本明細書に記載の本発明の範囲を限定するものではない。実施例は、本発明を実施する方法の示唆を意味するにすぎない。
【実施例1】
【0067】
4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルの調製
【0068】
以下の実施例では、Langらの米国特許第5,637,605号に開示されている、4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリル(4−[α−4−シアノフェニル)−α−フルオロ−1−1,2,4−トリアゾリル)−メチル]−ベンゾニトリルまたはCGP47645としても知られる)の合成法を記載する。
【0069】
0.8mmolのヘキサメチルジシラザンカリウムを含有する1.6mlのトルエン溶液を、5mlのTHFで希釈し、−78℃に冷却した後、これに、190mgの4−[α−(4−シアノフェニル)−1−(1,2,4−トリアゾリル)メチル]−ベンゾニトリル(EP−A−236940、実施例20aを参照)を含有する3mlのTHF溶液を添加する。1時間、同じ温度で撹拌後、この暗赤色の溶液に、301mgのN−フルオロ−ジメチルサッカリンサルタム(dimethylsaccharinsultam)を含有する3mlのTHFに滴下添加する。−78℃でさらに1.5時間後、反応混合物を1時間以内に室温に加熱して、飽和塩化アンモニウム水溶液に注ぎ、次いで塩化メチレンで抽出する。塩化マグネシウム上での乾燥、および蒸発による溶媒濃縮により、粗生成物が得られ、これをフラッシュクロマトグラフィーにより精製する(SiO、ヘキサン/酢酸エチル9:1、4:1〜1:1)。TLC(SiO、CHCl/メタノール9:1、Rf=0.85);IR(KBr):2220cm−1H−NMR(CDCl):δ(ppm)=7.46および7.76(8H,m)、8.07(1H,s)、8.16(1H,s)。
【0070】
Langらの米国特許第5,376,669号に記載された4−[α−4−シアノフェニル)−α−フルオロ−1−1,2,4−トリアゾリル)−メチル]−ベンゾニトリルの調製に関連する全ての開示は、ここで参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0071】
上記段落は、EP−A−236940の実施例20aに言及している。EP−236940の米国対応出願は、Bowmanの米国特許第4,749,713号である。EP−A−236940(米国対応特許第4,749,713号)の実施例20(a)では、4−[1−(1,2,4−トリアゾリル)−メチル]−ベンゾニトリルを、米国特許第4,749,713号の実施例2の手順に従って、tert−ブトキシドカリウムおよび4−フルオロベンゾニトリルと反応させ、4−[α−(4−シアノフェニル)−1−(1,2,4−トリアゾリル)−メチル]ベンゾニトリル(融点181℃〜183℃)を得ることが述べられている。
【0072】
米国特許第4,749,713号の実施例2の手順には、次のことが示されている:tert−ブトキシドカリウム(61.6g)を含有するジメチルホルムアミドの懸濁液(500mL)を撹拌し、−10℃に冷却し(氷塩浴)、4−(1−イミダゾリルメチル)−ベンゾニトリル(45.6g)含有ジメチルホルムアミド溶液(250mL)を、反応温度が0℃未満に維持されるように添加する。得られた溶液を、0℃で0.5時間撹拌し、次いで4−フルオロベンゾニトリル(38.3g)含有ジメチルホルムアミド溶液(100mL)を添加し、一方で、反応温度を5℃未満に維持する。0.75時間後、反応混合物を十分な3N塩酸の添加によってpH7に中和し、次いで溶媒のバルクを減圧下で除去する。残留物を、水(500mL)で希釈し、粗生成物を酢酸エチル(3x200mL)に抽出する。次いで、合わせた抽出物を3N塩酸(3x150mL)で抽出し、この酸抽出物を酢酸エチル(100mL)で洗浄した後、溶液を6N水酸化アンモニウムで塩基性(pH8)にして、生成物を再び酢酸エチル(3x150mL)に抽出する。合わせた抽出物を乾燥させ(MgSO)、炭を用いた処理で脱色させ、次いで蒸発させて、粗4−[α−(4−シアノフェニル)−1−イミダゾリルメチル]−ベンゾニトリルを油状物として得る。この材料をイソプロパノール(250mL)に溶解し、温かい溶液を、コハク酸(14.4g)と一緒に撹拌する。ジエチルエーテル(100mL)で希釈し、周囲温度で撹拌すると、ヘミコハク酸塩が分離する。この塩を濾過し、少量の冷イソプロパノールで洗浄し、次いで空気乾燥し、4−[α−(4−シアノフェニル)−1−イミダゾリルメチル]−ベンゾニトリルヘミコハク酸塩(融点149℃〜150℃)が得られる。ヘミフマル酸塩は、融点157℃〜158℃を有する。
【0073】
Bowmanの米国特許第4,749,713号に記載された4−[α−(4−シアノフェニル)−1−(1,2,4−トリアゾリル)−メチル]ベンゾニトリルの調製に関連する全ての開示は、ここで参照することにより本明細書に組み込まれる。
【実施例2】
【0074】
4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリル(CGP47645)の低用量カプセル製剤
【0075】
CGP47645含有硬ゼラチンカプセルは、以下のプロセスで調製される:
必要とされる賦形剤を、下記表1に示される最終的な組成物を得るための個々の量で、およびCGP47645原薬を適切な量で、秤量する。
【0076】
次いで、およそ50%のコーンスターチを適切な容器に充填し、原薬を添加し、その後、残りの50%のコーンスターチを添加し、2つのトウモロコシデンプンの層に挟まれた原薬を得る。前記混合物を、ブレンドし、篩にかけて、原薬(DS)プレミックスを得る。
【0077】
残りの賦形剤(微結晶セルロース、噴霧乾燥乳糖、デンプングリコール酸ナトリウム、およびコロイド状二酸化ケイ素[Aerosil(登録商標)200])を混合し、篩にかけ、適切な容器に移す。次いで、DSプレミックスを、篩にかけた賦形剤を含有する容器に添加し、混合物を一緒にブレンドする。最後に、予め篩にかけたステアリン酸マグネシウムを、このDSを含有するブレンドに添加し、この混合物を再度ブレンドして、最終的なブレンドを得る。最終的なブレンドを、硬ゼラチンカプセルに充填する。
【0078】
全ての賦形剤が、適切な概論的研究書(Ph. Eur., NF)の要件に適合している。硬ゼラチンカプセルを、小児用安全(child-resistant)螺子型封止材を備えたアルミニウム誘導シールを有するHDPEボトルに詰める。
【0079】
最終的な剤形は、白色〜黄色がかった粉末が、ピンク色の不透明のカプセルに含有された硬ゼラチンカプセル(サイズ1〜3)である。
【0080】
下記表1に、0.1mg、0.5mg、1mgおよび10mgの強度のCGP47645硬ゼラチンカプセルの組成を示す。
【0081】
【表1】
【実施例3】
【0082】
4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルの製剤(CGP47645)
【0083】
必要とされる賦形剤を、下記表2に示される最終的な組成物を得るための個々の量で、およびCGP47645原薬を適切な量で、秤量する。
【0084】
次いで、下記表2に示されるプレミックスの充填剤の量のおよそ50%を、適切な容器に充填し、原薬を添加し、次いで、表2に示されるプレミックスの充填剤の量の残りの50%を充填し、2つの充填剤の層に挟まれた原薬を得る。前記混合物を、ブレンドし、篩にかけ、再度ブレンドし、原薬(DS)プレミックスを得る。
【0085】
ステアリン酸マグネシウムを除く残りの賦形剤を、混合し、篩にかけ、適切な容器に移す。次いで、DSプレミックスを、篩にかけた賦形剤を含有する容器に添加し、混合物を一緒にブレンドし、篩にかけ、再度混合する。最後に、予め篩にかけたステアリン酸マグネシウムを、このDSを含有するブレンドに添加し、この混合物を再度ブレンドして、最終的なブレンドを得る。最終的なブレンドを、硬ゼラチンカプセルに充填する。
【0086】
全ての賦形剤が、適切な概論的研究書(Ph. Eur., NF)の要件に適合している。硬ゼラチンカプセルを、小児用安全(child-resistant)螺子型封止材を備えたアルミニウム誘導シールを有するHDPEボトルに詰める。
【0087】
最終的な剤形は、白色〜黄色がかった粉末が、ピンク色の不透明のカプセルに含有された硬ゼラチンカプセル(サイズ1〜3)である。
【0088】
下記表2に、0.1mgおよび0.5mgの強度のCGP47645硬ゼラチンカプセルの組成を示す。
【0089】
【表2】
【0090】
表2によるブレンドされた混合物またはカプセルのブレンド均一性および含量均一性を、各組成物について10個の試料のHPLC分析により測定する。
【0091】
下記表3に、表2に記載のブレンドされた混合物または対応する硬ゼラチンカプセルの充填工程終了時のブレンド均一性(BU)および含量均一性(CU)の平均値をそれぞれ示す。
【0092】
【表3】
【0093】
実施例3による最終的なブレンドのブレンド均一性は、理論量に対して95〜101%である。同様に、ブレンドをカプセルに充填した後の含量均一性は、ラベルに対して97〜104%である。分離の傾向は観察されなかった。
【実施例4】
【0094】
4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリル(CGP47645)の単回用量漸増試験(Single ascending dose study)
【0095】
この試験は、閉経前および閉経後の女性における、無作為化、二重盲検、プラセボおよび活性対照、単回用量漸増試験であり、4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリル(CGP47645)の単回用量の安全性、忍容性、PKおよびPD効果について評価した。CGP47645:プラセボを6:2に無作為化した8人の閉経後対象に、CGP47645の単回用量を、0.01mgの用量から開始して、毒物曝露範囲限界の20mgまで到達させる、8つのコホートを設けた。患者は、実施例2に記載の0.1mg、1mg、および10mgの原薬含有硬ゼラチンカプセル、または適切に対応するプラセボカプセルのいずれかを服用した。最小となる2つの投与コホートに関しては、0.1mg薬物含有カプセルを使用して、0.01投与強度と0.03投与強度の投与用にCGP47645経口溶液を再構成した(コホート1および2)。
【0096】
最小毒物致死量(minimal toxic dose、MTD)には達しなかった。出産可能性のある対象(コホート番号9)を除く8人の閉経前対象の単一コホートに、0.1mgのCGP47645またはプラセボを、6:2に無作為化して服用させ、最後の1つのコホートには、PD測定に対する内部陽性対照コホートとしてレトロゾール2.5mgを服用させた。表4に、この試験から得られた濃度−時間プロファイルの予備分析に基づくPKパラメータを表す。
【0097】
【表4】
【0098】
CGP47645は、用量比例的な薬物動態、ならびに用量依存的なエストロン、硫酸エストロンおよびエストラジオールの阻害を示した。CGP47645の薬物動態の差は、閉経後と閉経前との女性の間で観察されなかった。CGP47645は、Tmaxが0.5〜2時間で、急速に吸収される。CmaxとAUCの両方が、用量比例的に増加した。CGP47645は、10〜30%の低い対象間変動性を示し、さらに、全く予想外に23〜27日の範囲の長い半減期を示した。
【0099】
試験により、0.1mgおよび0.3mgの用量ですでに少なくともレトロゾールと等
しいエストロン抑制を有するという、PDパラメータにおける効能の証拠が示された。化
学発光または放射免疫分析を使用して、閉経後の女性において一時的なエストロゲン抑制
が見られた最低単回用量は0.01mgであり、また閉経後の女性において、最大のエス
トロゲン抑制が観察された最低単回用量は、0.1mgであった。ステロイドホルモン合
成または代謝に関与する他の酵素の阻害は観察されなかった。特に、24時間の間に採取
された尿において、アンドロゲン濃度、プロゲステロン、アルドステロン、コルチゾル、
ACTH、または17−ケトもしくは17−OHステロイドに変化はなかった。6ヶ月後
のDEXAによる骨密度に変化はなかった。

本願発明は以下の態様を含み得る。
[1]
(a)治療有効量の4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1
−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルと、
(b)充填剤、または1種もしくは複数の、例えば1、2もしくは3種の充填剤の混合物
と、
(c)崩壊剤、または1種もしくは複数の、例えば1、2もしくは3種の崩壊剤の混合物
と、
(d)滑沢剤、または1種もしくは複数の、例えば1、2もしくは3種の滑沢剤の混合物
と、
(e)流動促進剤、または1種もしくは複数の、例えば1、2もしくは3種の流動促進剤
の混合物と
を含むブレンド混合物を含む、好ましくはカプセル形態の、低用量医薬組成物。
[2]
4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]
ビスベンゾニトリルの前記治療有効量が、1カプセルあたり約0.01mg〜20mg、
好ましくは約0.01mg〜約10mg、最も好ましくは約0.01mg〜約5mg、例
えば、1カプセルあたり約0.01mg、約0.05mg、約0.1mg、約0.3mg
、約0.5mg、約1mg、約2mg、約3mg、約5mg、約10mg、または約20
mgである、請求項1に記載の医薬組成物。
[3]
前記充填剤が、微結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキ
シエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、炭水化物、例えば、糖、糖
アルコール、デンプンまたはデンプン誘導体、例えば、ショ糖、乳糖、デキストロース、
サッカロース、ブドウ糖、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、バレイショデン
プン、トウモロコシデンプン、米デンプン、小麦デンプンまたはアミロペクチンなど、リ
ン酸三カルシウム、リン酸水素カルシウム、硫酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、酸
化マグネシウム、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1または2に
記載の医薬組成物。
[4]
前記充填剤が、微結晶セルロース、乳糖、トウモロコシデンプンおよびこれらの混合物
からなる群から選択される、請求項1〜3のいずれかに記載の医薬組成物。
[5]
前記崩壊剤が、カルボキシメチルセルロースカルシウム(CMC−Ca)、カルボキシ
メチルセルロースナトリウム(CMC−Na)、クロスカルメロースナトリウム、デンプ
ングリコール酸ナトリウム(SSG)、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、およびグア
ーガム、ならびにこれらの混合物からなる群から選択され、好ましくはデンプングリコー
ル酸ナトリウム(SSG)である、請求項1〜4のいずれかに記載の医薬組成物。
[6]
前記滑沢剤が、ステアリン酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムもしくはカルシウム、
ステアリン酸、クチナ(cutina)、PEG4000−8000、タルクおよびこれらの混
合物からなる群から選択され、好ましくはステアリン酸マグネシウムである、請求項1〜
5のいずれかに記載の医薬組成物。
[7]
前記流動促進剤が、コロイド状二酸化ケイ素、三ケイ酸マグネシウム、粉末セルロ−ス
、デンプン、タルク、およびこれらの混合物からなる群から選択され、好ましくはコロイ
ド状二酸化ケイ素である、請求項1〜6のいずれかに記載の医薬組成物。
[8]
(a)2回分の充填剤または充填剤の混合物と、1回分の治療化合物4,4’−[フル
オロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリル
(CGP47645)とを、1回目の充填剤、治療化合物、2回目の充填剤の順序で、適
切な混合容器に順次に加え、成分の層を適切な混合機を使用して混合して、プレミックス
を製造する工程と、
(b)プレミックスを、1.0mm以下のメッシュサイズ、好ましくは0.5mmのメッ
シュサイズの篩にかける工程と、
(c)場合により、篩にかけたプレミックスを適切な混合機を使用して混合する工程と、
(d)滑沢剤を除く残りの賦形剤の混合物を、1.0mm以下のメッシュサイズ、好まし
くは0.5mmのメッシュサイズの篩にかける工程と、
(e)プレミックスを、滑沢剤を除く残りの賦形剤の混合物と、適切な混合機を使用して
混合する工程と、
(f)得られた混合物を、1.0mm以下のメッシュサイズ、好ましくは0.5mmのメ
ッシュサイズの篩にかける工程と、
(g)場合により、篩にかけた混合物を適切な混合機を使用して混合する工程と、
(h)滑沢剤を、1.0mm以下のメッシュサイズ、好ましくは0.5mmのメッシュサ
イズの篩にかけ、続いて滑沢剤を、工程(f)または工程(g)で得られた混合物に添加
する工程と、
(i)得られた混合物を、適切な混合機を使用して混合して、最終的なブレンドを得る工
程と、
(j)工程(i)の最終的なブレンドを、場合により適切なカプセル充填機を使用して、
カプセルに充填する工程と
を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の医薬組成物の調製方法。
[9]
アロマターゼ活性に関連する状態または障害の処置または予防に使用するための、請求
項1〜7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[10]
アロマターゼ活性に関連する前記状態または障害が、胸部腫瘍、子宮内膜症、子宮筋腫
、子宮平滑筋腫、子宮腺筋症、機能不全性子宮出血および異常な子宮内膜肥厚などのエス
トロゲン依存性疾患、早産、女性の子宮内膜腫瘍、男性の女性化乳房からなる群から選択
される、請求項9に記載の使用のための医薬組成物。
[11]
テストステロンレベルの上昇を必要とする男性患者、好ましくはテストステロンレベル
の上昇を必要とする体重過多または肥満の男性患者の処置に使用するための、請求項1〜
7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[12]
男性患者、好ましくは体重過多または肥満の男性患者の、性腺機能低下症または低ゴナ
ドトロピン性性腺機能低下症の処置に使用するための、請求項1〜7のいずれか一項に記
載の医薬組成物。
[13]
アロマターゼ活性に関連する状態または障害の処置または予防方法であって、そのよう
な処置を必要とする、ヒト患者を含む動物に、治療有効量の請求項1〜7のいずれか一項
に記載の医薬組成物を投与することを含む方法。
[14]
アロマターゼ活性に関連する前記状態または障害が、胸部腫瘍、子宮内膜症、子宮筋腫
、子宮平滑筋腫、子宮腺筋症、機能不全性子宮出血および異常な子宮内膜肥厚などのエス
トロゲン依存性疾患、早産、女性の子宮内膜腫瘍、ならびに男性の女性化乳房からなる群
から選択される、請求項12に記載の処置または予防方法。
[15]
テストステロンレベルの上昇を必要とする男性患者、好ましくはテストステロンレベル
の上昇を必要とする体重過多または肥満の男性患者の処置方法であって、前記患者に、治
療有効量の請求項1〜7のいずれか一項に記載の医薬組成物を投与することを含む方法。
[16]
男性患者、好ましくは体重過多または肥満の男性患者の、性腺機能低下症または低ゴナ
ドトロピン性性腺機能低下症の処置方法であって、前記患者に、治療有効量の請求項1〜
7のいずれか一項に記載の医薬組成物を投与することを含む方法。