特許第6051498号(P6051498)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6051498
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】発電システム
(51)【国際特許分類】
   F03B 13/26 20060101AFI20161219BHJP
   F03B 17/06 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   F03B13/26
   F03B17/06
【請求項の数】4
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2016-129459(P2016-129459)
(22)【出願日】2016年6月29日
【審査請求日】2016年7月11日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】305004664
【氏名又は名称】加賀山 博
(74)【代理人】
【識別番号】100136146
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 明生
(72)【発明者】
【氏名】加賀山 博
【審査官】 松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5105652(JP,B1)
【文献】 国際公開第2010/125063(WO,A2)
【文献】 国際公開第2007/055554(WO,A1)
【文献】 米国特許第4313059(US,A)
【文献】 特開昭56−107974(JP,A)
【文献】 特開2014−185599(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03B 13/26
F03B 17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水底に係留された浮体と、
前記浮体に対し、水流の流れの方向に沿って往復移動が可能なように連結された複数の往復移動体と、
前記複数の往復移動体の各々に連結され、水流抵抗を生じる複数の抵抗体と、
前記複数の往復移動体の各々に設けられ、往復移動体に連結されている1以上の前記抵抗体を、水流に対する角度の変更および形状の変更の少なくとも一方により、大きい水流抵抗を生じる駆動状態と小さい水流抵抗を生じる非駆動状態との間で切り替える複数の切替機構と
を備え、
前記複数の切替機構は、前記複数の往復移動体のうち一部の往復移動体に連結された1以上の前記抵抗体を駆動状態とする間、他の往復移動体に連結された1以上の前記抵抗体を非駆動状態とし、
前記複数の往復移動体の各々に連結され、往復移動体の往復運動を、水流の上流側から下流側へと向かう直線の往路経路と、水流の下流側から上流側へと向かう直線の復路経路と、前記往路経路から前記復路経路へと向かう湾曲した下流側折返経路と、前記復路経路から前記往路経路へと向かう湾曲した上流側折返経路とを有する循環経路に沿った循環運動に変える複数のクランクと、
前記浮体の上に配置された発電装置と、
前記複数のクランクにより生じる循環運動による駆動力を前記発電装置のコイルの回転軸に伝達する動力伝達機構と
を備える発電システム。
【請求項2】
前記複数の往復移動体の間の水流の方向における位置関係が、1以上の往復移動体に連結された前記クランクの前記循環経路上を移動する連結点の位置が前記上流側折返経路内または前記下流側折返経路内にある間、他の1以上の往復移動体に連結された前記クランクの前記循環経路上を移動する連結点の位置が前記往路経路内にあるように調整されている
請求項1に記載の発電システム。
【請求項3】
前記複数の往復移動体の各々に関し、当該往復移動体に連結された前記クランクの前記循環経路上を移動する連結点の位置が前記上流折返経路内または前記下流折返経路内にあるときに当該連結点の移動速度が予め定められた閾値以下となるように当該往復移動体に抵抗を与え、当該抵抗の反作用により生じる力により発電を行う電気ブレーキを備える
請求項1または2に記載の発電システム。
【請求項4】
前記複数の往復移動体のうち1以上の往復移動体に連結された1以上の前記抵抗体は往復移動体に対し水流の下流側にロープ、チェーンおよび棒材のいずれか、もしくはロープ、チェーンおよび棒材のうちから選択された2以上の組み合わせを用いて連結されている
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水流発電に関する。
【背景技術】
【0002】
持続可能なエネルギーの開発が求められている。河川や海の水流の力により発電を行う水流発電により得られる電力は、持続可能なエネルギーの一つとして注目されている。
【0003】
水流発電に関する技術として、例えば、本願発明者が行った発明に関する特許文献1がある。特許文献1に記載の発明にかかる流水発電装置は、大型の浮体構造物を海流や潮汐流の力で牽引させ、そのエネルギーを電気に変えるものである。この装置は、水流の上流側に移動したときに水流抵抗が大きくなり、下流側に移動したときに水流抵抗が小さくなるように水流に対する角度が切り替えられる塞止板を備え、水流抵抗が大きい状態の塞止板に生じる水流抵抗の反力により、浮揚体に配置された発電装置のコイルの回転軸を駆動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5105652号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の発明においては、軸が鉛直方向の回転盤の円周面上に、水流の方向の左右及び中央に配置された一対の往復移動体の各々が端部に連結された駆動ベルトが掛けられており、左右または中央のいずれかの往復移動体の下流方向への移動に伴い、駆動ベルトがもう一方の往復移動体を上流方向へ引き上げる。これらの往復移動体の移動に伴い、中央の往復移動体に接続されたクランクが回転盤を回転させる。そして、回転盤の回転の力が歯車を介して発電装置のコイルの回転軸を回転させる。
【0006】
特許文献1に記載の発明にかかる水流発電装置は上記のような構造を備えるため、多くの構造上の制約がある。例えば、発電装置の位置が回転盤の中央近くに制限される。また、直径の大きな回転盤を要する。また、大きな直径の回転盤の回転を発電装置のコイルの回転軸に伝達するために複雑な動力伝達機構を要する。また、往復移動体の数を増やすことができない。
【0007】
本発明は、特許文献1に記載の発明にかかる水流発電装置と比べ、構造上の制約が少なく、同量の鋼材でより高い出力が可能な発電システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
水底に係留された浮体と、
前記浮体に対し、水流の流れの方向に沿って往復移動が可能なように連結された複数の往復移動体と、
前記複数の往復移動体の各々に連結され、水流抵抗を生じる複数の抵抗体と、
前記複数の往復移動体の各々に設けられ、往復移動体に連結されている1以上の前記抵抗体を、水流に対する角度の変更および形状の変更の少なくとも一方により、大きい水流抵抗を生じる駆動状態と小さい水流抵抗を生じる非駆動状態との間で切り替える複数の切替機構と
を備え、
前記複数の切替機構は、前記複数の往復移動体のうち一部の往復移動体に連結された1以上の前記抵抗体を駆動状態とする間、他の往復移動体に連結された1以上の前記抵抗体を非駆動状態とし、
前記複数の往復移動体の各々に連結され、往復移動体の往復運動を、水流の上流側から下流側へと向かう直線の往路経路と、水流の下流側から上流側へと向かう直線の復路経路と、前記往路経路から前記復路経路へと向かう湾曲した下流側折返経路と、前記復路経路から前記往路経路へと向かう湾曲した上流側折返経路とを有する循環経路に沿った循環運動に変える複数のクランクと、
前記浮体の上に配置された発電装置と、
前記複数のクランクにより生じる循環運動による駆動力を前記発電装置のコイルの回転軸に伝達する動力伝達機構と
を備える発電システム
を第1の態様として提案する。
【0009】
上述した第1の態様において、
前記複数の往復移動体の間の水流の方向における位置関係が、1以上の往復移動体に連結された前記クランクの前記循環経路上を移動する連結点の位置が前記上流側折返経路内または前記下流側折返経路内にある間、他の1以上の往復移動体に連結された前記クランクの前記循環経路上を移動する連結点の位置が前記往路経路内にあるように調整されている
という構成が第2の態様として採用されてもよい。
【0010】
上述した第1または第2の態様において、
前記複数の往復移動体の各々に関し、当該往復移動体に連結された前記クランクの前記循環経路上を移動する連結点の位置が前記上流折返経路内または前記下流折返経路内にあるときに当該連結点の移動速度が予め定められた閾値以下となるように当該往復移動体に抵抗を与え、当該抵抗の反作用により生じる力により発電を行う電気ブレーキを備える
という構成が第3の態様として採用されてもよい。
【0011】
上述した第1乃至第3のいずれかの態様において、
前記複数の往復移動体のうち1以上の往復移動体に連結された1以上の前記抵抗体は往復移動体に対し水流の下流側にロープ、チェーンおよび棒材のいずれか、もしくはロープ、チェーンおよび棒材のうちから選択された2以上の組み合わせを用いて連結されている
という構成が第4の態様として採用されてもよい。
【発明の効果】
【0012】
上述した第1の態様によれば、往復移動体の往復運動が、水流の方向に細長い循環経路上を移動する循環運動に変えられた後、発電装置のコイルの回転軸へと伝達される。そのため、例えば1本のシャフトに多数の往復移動体による駆動力を集約するなど、柔軟な構成が可能となる。
【0013】
上述した第2の態様によれば、循環経路上を移動するクランクの連結点が移動方向を切り替える際に、他のクランクにより本来の移動方向へと駆動されるため、当該連結点が上死点または下死点を越えずに循環経路上を逆方向に移動してしまう、という問題が回避される。
【0014】
上述した第3の態様によれば、曲率の高い上流側折返経路または下流側折返経路を移動するクランクの連結点に過度の負荷がかかることが防止されるとともに、当該連結点の減速により失われる運動エネルギーが電力として回収される。
【0015】
上述した第4の態様によれば、往復移動体に対しフレーム等の剛性部材のみによって抵抗体を連結する場合と比較し、一般的に軽量かつ低コストで発電システムが実現されるとともに、水流の方向の変化等に対する高い耐久性が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】一実施形態にかかる発電システムの上面図。
図2A】一実施形態にかかる上流側アセンブリの上面図。
図2B】一実施形態にかかる上流側アセンブリの右側面図。
図3A】一実施形態にかかる中央アセンブリの上面図。
図3B】一実施形態にかかる中央アセンブリの右側面図。
図4A】一実施形態にかかるサブクランクアセンブリの構造を説明するための図。
図4B】一実施形態にかかるサブクランクアセンブリの構造を説明するための図。
図4C】一実施形態にかかるサブクランクアセンブリの構造を説明するための図。
図4D】一実施形態にかかるサブクランクアセンブリの構造を説明するための図。
図5A】一実施形態にかかる下流側アセンブリの往復運動に伴い循環ベルトが循環する様子を示した図。
図5B】一実施形態にかかる下流側アセンブリの往復運動に伴い循環ベルトが循環する様子を示した図。
図5C】一実施形態にかかる下流側アセンブリの往復運動に伴い循環ベルトが循環する様子を示した図。
図5D】一実施形態にかかる下流側アセンブリの往復運動に伴い循環ベルトが循環する様子を示した図。
図5E】一実施形態にかかる下流側アセンブリの往復運動に伴い循環ベルトが循環する様子を示した図。
図5F】一実施形態にかかる下流側アセンブリの往復運動に伴い循環ベルトが循環する様子を示した図。
図6】一実施形態にかかるクランクと循環ベルトの連結点の循環経路を示した図。
図7A】一実施形態にかかる下流側アセンブリの上面図。
図7B】一実施形態にかかる下流側アセンブリの右側面図。
図8】一実施形態にかかる抵抗体の形状および当該抵抗体が保持される様子を示した図。
図9A】一実施形態にかかる上流側ロープ駆動ユニットを示した図。
図9B】一実施形態にかかる下流側ロープ駆動ユニットを示した図。
図10】一実施形態にかかる抵抗体を軸棒の周りに回転駆動する構造を示した図。
図11A】一実施形態にかかる抵抗体が駆動状態と非駆動状態の間で切り替わる様子を示した図。
図11B】一実施形態にかかる抵抗体が駆動状態と非駆動状態の間で切り替わる様子を示した図。
図11C】一実施形態にかかる抵抗体が駆動状態と非駆動状態の間で切り替わる様子を示した図。
図12】一実施形態にかかる発電システムが備える電気ブレーキのブレーキングローラの配置を例示した図。
図13】一変形例にかかる発電システムの上面図。
図14A】一変形例にかかる発電システムの複数の駆動ユニットにおける連結点の循環経路上の位置の関係を示した図。
図14B】一変形例にかかる発電システムの複数の駆動ユニットにおける連結点の循環経路上の位置の関係を示した図。
図14C】一変形例にかかる発電システムの複数の駆動ユニットにおける連結点の循環経路上の位置の関係を示した図。
図14D】一変形例にかかる発電システムの複数の駆動ユニットにおける連結点の循環経路上の位置の関係を示した図。
図15】一変形例にかかる発電システムの上面図。
図16A】一変形例にかかる補助駆動ユニットの上面図。
図16B】一変形例にかかる補助駆動ユニットの右側面図。
図17】一変形例にかかるフレームが補助駆動ユニットの抵抗体を保持する様子を示した図。
図18A】一変形例にかかる発電システムが有する駆動ユニットにおける連結点の循環経路上の位置の関係を示した図。
図18B】一変形例にかかる発電システムが有する駆動ユニットにおける連結点の循環経路上の位置の関係を示した図。
図18C】一変形例にかかる発電システムが有する駆動ユニットにおける連結点の循環経路上の位置の関係を示した図。
図18D】一変形例にかかる発電システムが有する駆動ユニットにおける連結点の循環経路上の位置の関係を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[実施形態]
以下、本発明の一実施形態にかかる発電システム1を説明する。図1は発電システム1の上面図である。発電システム1は、例えば定常的に流速が速い海域に設置され、海流の力により発電するシステムである。発電システム1は、上流側アセンブリ11、中央アセンブリ12、下流側アセンブリ13に区分される。
【0018】
図2Aは上流側アセンブリ11の上面図、図2Bは上流側アセンブリ11の右側面図である。なお、本願において、基準となる方向を明記しない場合、右とは水流の上流側から下流側に向かった場合の右を意味する。また、本願において、基準となる方向を明記しない場合、左とは水流の下流側から上流側に向かった場合の左を意味する。
【0019】
上流側アセンブリ11は、水面Wの上に浮かぶ偏平な円筒形状の浮揚体である上流側浮体111、海底Gに固定された複数のアンカー112、上流側浮体111と複数のアンカー112の各々とを連結する複数のロープ113、上流側浮体111に連結された連結プレート114を備える。ロープ113は、例えばワイヤロープである。アンカー112およびロープ113により、上流側浮体111および上流側浮体111に連結される中央アセンブリ12および下流側アセンブリ13は水底に係留され、概ね同じ場所に留まる。
【0020】
連結プレート114は上流側で上流側浮体111に連結され、下流側で中央アセンブリ12に連結されている。上流側において、連結プレート114は上流側浮体111の円周に沿って移動可能に上流側浮体111に対し連結されている。図2Bにおいて破線で示される部分は上流側浮体111の底面側に配置された連結プレート114の一部をなす円盤状の部材で、上流側浮体111との間で鉛直方向を軸とする回転が可能な状態で上流側浮体111に対し連結されている。
【0021】
上記のように、中央アセンブリ12は連結プレート114を介して上流側アセンブリ11に対し、図2Aにおいて両矢印で示すように回転可能であるため、中央アセンブリ12および中央アセンブリ12に連結される下流側アセンブリ13は水流の方向の変化に応じて移動することができる。そのため、中央アセンブリ12および下流側アセンブリ13に不要な力が加わらない。
【0022】
図3Aは中央アセンブリ12の上面図、図3Bは中央アセンブリ12の右側面図である。中央アセンブリ12は、連結プレート114を介して上流側アセンブリ11に連結された状態で水面Wの上に浮かぶ平板な中央浮体121、磁界内で回転するコイルにより電力を発生させる発電装置122、下流側アセンブリ13の水流方向における往復運動の力を細長い循環経路に沿った循環運動に変えるクランクアセンブリ123Rおよびクランクアセンブリ123L、クランクアセンブリ123Rおよびクランクアセンブリ123Lにより生成される細長い循環経路に沿った循環運動を回転運動に変えて発電装置122へと伝達するミッションアセンブリ124、ミッションアセンブリ124を介してクランクアセンブリ123Rおよびクランクアセンブリ123Lに対し循環運動を補助する力を加える補助モータ125を備える。
【0023】
以下、クランクアセンブリ123Rおよびクランクアセンブリ123Lを区別しない場合、それらをクランクアセンブリ123と総称する。なお、以下の説明において、構成部の符号の末尾に「L」または「R」を付す場合、それらは左右一対の2個の同じ構成部のうち左側または右側に配置される構成部を意味する。それらの左右一対の2個の同じ構成部を区別しない場合、「L」および「R」を付加しない符号を用いる。
【0024】
発電装置122、クランクアセンブリ123、ミッションアセンブリ124、補助モータ125は中央浮体121の上に配置され、図3Aおよび図3Bにおいて破線で示す壁および屋根で覆われている。そのため、発電装置122、クランクアセンブリ123、ミッションアセンブリ124、補助モータ125は水上において風雨にさらされることがない。
【0025】
クランクアセンブリ123Rは、サブクランクアセンブリ1231RRとサブクランクアセンブリ1231RLを備える。クランクアセンブリ123Lは、サブクランクアセンブリ1231LRとサブクランクアセンブリ1231LLを備える。これらのサブクランクアセンブリは同じ構成であり、以下、これらをサブクランクアセンブリ1231という。
【0026】
図4A図4B図4C図4Dはサブクランクアセンブリ1231の構造を説明するための図である。図4A図4B図4Cにおいて、左上の図はサブクランクアセンブリ1231の上面図、右上の図は上面図に示される矢印Xの方向にサブクランクアセンブリ1231を見た図、左下の図は上面図に示される矢印Yの方向にサブクランクアセンブリ1231を見た図である。
【0027】
図4Aに示されるように、サブクランクアセンブリ1231はスタンド12311Rとスタンド12311Lを備える。スタンド12311Rの上流側にはローラ12312Rが取り付けられている。ローラ12312Rは、流れに対し左右方向に貫通し自由に回転するシャフトと、スタンド12311Rを挟んで当該シャフトに取り付けられた左右2個のローラパッドを有する。
【0028】
スタンド12311Rのローラ12312Rより下流側には、4つのローラを含むローラ群12313Rが取り付けられている。ローラ群12313Rに含まれる4つのローラは、水流の方向の直線上に並べて配置されている。ローラ群12313Rに含まれる4つのローラの各々は、スタンド12311Rから流れに対し左方向に突出し自由に回転するシャフトと、当該シャフトに取り付けられたローラパッドを有する。
【0029】
スタンド12311Lには、スタンド12311Rのローラ12312Rおよびローラ群12313Rに対応するローラ12312Lおよびローラ群12313Lが取り付けられている。ただし、ローラ群12313Lはスタンド12311Lの右側に取り付けられている。
【0030】
図4Bに示されるように、ローラ12312Rとローラ群12313Rには循環ベルト12314Rが取り付けられている。循環ベルト12314Rの左側面上にはクランク12316(後述)の上流側連結部に回転可能に連結される連結部12315Rが取り付けられている。また、ローラ12312Lとローラ群12313Lには循環ベルト12314Lが取り付けられている。循環ベルト12314Lの右側面上にはクランク12316(後述)の上流側連結部に回転可能に連結される連結部12315Lが取り付けられている。
【0031】
図4Cに示されるように、連結部12315Rと連結部12315Lにはクランク12316の上流側連結部が取り付けられる。既述のように、クランク12316と連結部12315R、および、クランク12316と連結部12315Lは回転可能に連結される。従って、クランク12316の上流側連結部は、循環ベルト12314Rおよび循環ベルト12314Lの循環運動の経路に沿って上下方向に移動することができる。
【0032】
クランク12316の下流側連結部には連結アーム12317の上流側連結部が回転可能に連結されている。連結アーム12317は下流側において下流側アセンブリ13に連結されており、下流側アセンブリ13の水流の方向に沿った往復運動に伴い往復運動する。
【0033】
連結アーム12317の往復運動に伴い、クランク12316を介して循環ベルト12314Rおよび循環ベルト12314Lが駆動され循環する。循環ベルト12314Rおよび循環ベルト12314Lが循環すると、ローラ12312Rおよびローラ12312Lが回転する。
【0034】
図4Dに示されるように、ローラ12312Rの右側のローラパッドとシャフト1241(ミッションアセンブリ124の構成部)には循環ベルト12318Rが掛け渡されている。また、ローラ群12313Lの左側のローラパッドとシャフト1241には循環ベルト12318Lが掛け渡されている。ローラ12312Rおよびローラ12312Lの回転は循環ベルト12318Rおよび循環ベルト12318Lを介してシャフト1241に伝達される。
【0035】
図5A図5B図5C図5D図5E図5Fは、下流側アセンブリ13の往復運動に伴い循環ベルト12314が循環する様子を示した図である。図5Aおよび図5Bは、下流側アセンブリ13が上流側から下流側へと移動している間の状態を示している。下流側アセンブリ13が上流側から下流側へと移動している状態は、下流側アセンブリ13が水流の力を受けて自ら移動している状態である。従って、循環ベルト12314は連結アーム12317およびクランク12316を介して、下流側アセンブリ13の力により駆動されて循環する。
【0036】
図5Cは、クランク12316と循環ベルト12314の連結点が、循環ベルト12314の下流側の端点(以下、下死点という)に至った状態を示している。
【0037】
図5D図5Eは、下流側アセンブリ13が下流側から上流側へと移動している間の状態を示している。下流側アセンブリ13が下流側から上流側へと移動している状態は、下流側アセンブリ13がクランク12316、連結アーム12317、循環ベルト12318を介してシャフト1241により駆動され、水流の力に逆らって移動している状態である。
【0038】
後述するように、クランクアセンブリ123Rの循環ベルト12314が下流側アセンブリ13により駆動される間(図5A図5B)は、クランクアセンブリ123Lの循環ベルト12314がシャフト1241を介してクランクアセンブリ123Rの循環ベルト12314から受ける力によって、下流側アセンブリ13を駆動する(図5D図5E)。また、クランクアセンブリ123Lの循環ベルト12314が下流側アセンブリ13により駆動される間(図5A図5B)は、クランクアセンブリ123Rの循環ベルト12314がシャフト1241を介してクランクアセンブリ123Lの循環ベルト12314から受ける力によって、下流側アセンブリ13を駆動する(図5D図5E)。
【0039】
図5Fは、クランク12316と循環ベルト12314の連結点が、循環ベルト12314の上流側の端点(以下、上死点という)に至った状態を示している。
【0040】
図6はクランク12316と循環ベルト12314の連結点の循環経路Rを示した図である。循環経路Rは、水流の上流側から下流側へと向かう経路である往路経路r1と、水流の下流側から上流側へと向かう経路である復路経路r3と、往路経路r1から復路経路r3へと向かう下流側折返経路r2と、復路経路r3から往路経路r1へと向かう上流側折返経路r4を含んでいる。往路経路r1および復路経路r3は直線の経路である。下流側折返経路r2および上流側折返経路r4は半円を描く経路である。
【0041】
図7Aは下流側アセンブリ13の上面図、図7Bは下流側アセンブリ13の右側面図である。なお、図7Aにおいて、破線は中央浮体121の形状を示している。
【0042】
下流側アセンブリ13は、各々が中央浮体121に設けられたレール(図示略)に沿って水流の方向にスライド可能に取り付けられた浮体である往復移動体131Rと往復移動体131Lを備える。往復移動体131Rおよび往復移動体131Lは、中央浮体121の下流側に設けられた凹部の内側側面に設けられた溝状のレールに、左右に設けられたフランジが挿入され、当該レールに沿って移動可能である。クランクアセンブリ123Rの連結アーム12317は往復移動体131Rに連結されている。また、クランクアセンブリ123Lの連結アーム12317は往復移動体131Lに連結されている。
【0043】
往復移動体131Rの下流側の底面下側には、水底に向かい延伸する全体として直方体形状のフレーム132Rが取り付けられている。フレーム132Rは多数の棒材を連結して組み上げた水流に対する抵抗が小さく剛性の高い構造物である。フレーム132Rは、往復移動体131Rの底面下側から下流側に斜め下方向に伸びる複数のロープ1311(例えば、ワイヤロープ)で往復移動体131Rに連結されている。このロープ1311により、フレーム132Rは水流を受けても、長手方向が概ね鉛直方向となる姿勢を保つことができる。
【0044】
往復移動体131Rの下流側には、水流の方向に対し横断する方向を長手方向とする細長い直方体形状の浮体である連結浮体133Rが配置されている。連結浮体133Rの底面下側には、水底に向かい延伸する全体として直方体形状のフレーム134Rが取り付けられている。フレーム134Rはフレーム132Rと同様の構造物である。
【0045】
連結浮体133Rの下流側には、水流の方向に対し横断する方向を長手方向とする細長い直方体形状の浮体である端部浮体135Rが配置されている。端部浮体135Rの底面下側には、水底に向かい延伸する全体として直方体形状のフレーム136Rが取り付けられている。フレーム136Rはフレーム132Rおよびフレーム134Rと同様の構造物である。
【0046】
フレーム132Rとフレーム134Rの間、および、フレーム134Rとフレーム136Rの間には、各々、上から見て水流の方向に5列、水流の方向に横断する方向に5列に並べられた計25個の抵抗体1371の集まりである抵抗体群137Rが配置されている。抵抗体1371はフレーム132Rとフレーム134Rの間、または、フレーム134Rとフレーム136Rの間に掛け渡されたロープ(例えば、ワイヤロープ)により保持されている。
【0047】
図8は、抵抗体1371の形状を示すとともに、抵抗体1371がロープによって保持される様子を示した図である。抵抗体1371は、鉛直方向に細長い棒状体である軸棒13711と、軸棒13711から水平方向両側に突出する板状体である5枚のブレード13712を備える。5枚のブレード13712は平板な面の方向が揃っている。また、5枚のブレード13712の各々は、平板な面が水流に沿った方向に配置された状態において、水流抵抗が小さくなるように、水平面で切った場合の断面形状が翼形状(先端および末端が中央に対し細い形状)をしている。
【0048】
軸棒13711には、5枚のブレード13712の上、間および下の部分において、リング138が取り付けられている。軸棒13711はリング138の内側で回転可能である。リング138の各々には、上流側および下流側にロープ139が取り付けられている。ロープ139は、例えばワイヤロープである。或るリング138に一方の端部が取り付けられているロープ139の他方の端部は、水流の流れの方向において、当該リング138の上流側または下流側に隣接するフレーム132R、フレーム134R、フレーム136R、または他のリング138に連結されている。その結果、抵抗体1371は複数のリング138により軸棒13711の長手方向が概ね鉛直方向となる姿勢で保持されるとともに、上から見て、フレーム132Rとフレーム134Rの間、または、フレーム134Rとフレーム136Rの間の所定位置に保持されることになる。
【0049】
図8には、抵抗体1371および抵抗体1371を保持するためのリング138およびロープ139に加え、収容ボックス1301とロープ1302が示されている。収容ボックス1301とロープ1302は以下に説明する切替機構130の構成部である。ロープ1302は、例えばワイヤロープである。
【0050】
図7Aおよび図7Bを参照しつつ、下流側アセンブリ13の説明を続ける。下流側アセンブリ13は、上述した往復移動体131Rの下流側に連結されたフレーム132R、連結浮体133R、フレーム134R、端部浮体135R、フレーム136R、抵抗体群137Rと同様の構成部であり、往復移動体131Lの下流側に連結されたフレーム132L、連結浮体133L、フレーム134L、端部浮体135L、フレーム136L、抵抗体群137Lを備える。
【0051】
下流側アセンブリ13は、さらに、抵抗体群137Rに含まれる25本の抵抗体1371を軸棒13711周りに回転させて、ブレード13712の平板な面が水流の方向に沿った状態となり、抵抗体1371に生じる水流抵抗が小さい状態である非駆動状態と、ブレード13712の平板な面が水流の方向に対し所定の角度(例えば90度)をなし、抵抗体1371に生じる水流抵抗が大きい状態である駆動状態のいずれかに切り替える切替機構130Rを備える。また、下流側アセンブリ13は、抵抗体群137Lに含まれる25本の抵抗体1371を軸棒13711周りに回転させて非駆動状態と駆動状態のいずれかに切り替える切替機構130Lを備える。
【0052】
図9Aは切替機構130の構成部である上流側ロープ駆動ユニット1303を示した図である。図9Aにおいて実線で示される部分が上流側ロープ駆動ユニット1303である。図9Aの上の図は上流側ロープ駆動ユニット1303の上面図であり、図9Aの左下の図は上流側ロープ駆動ユニット1303の右側面図であり、図9Aの右下の図は右側面図に示す矢印Zの方向に見た上流側ロープ駆動ユニット1303の図である。
【0053】
上流側ロープ駆動ユニット1303は、抵抗体1371を非駆動状態にしたい場合に上流側に移動し、抵抗体1371を駆動状態にしたい場合に下流側に移動する移動装置13031Rおよび移動装置13031L、移動装置13031Rから下流側に延伸するアーム13032R、移動装置13031Lから下流側に延伸するアーム13032L、アーム13032Rとアーム13032Lに取り付けられたシフトバー13033、シフトバー13033の下面から下方に延伸する5本のロープ連結バー13034を備える。
【0054】
5本のロープ連結バー13034の各々は、水流の方向に横断する方向において抵抗体1371の位置に応じた位置に配置されており、5本のロープ連結バー13034の各々の下流側側面には、対応する位置の抵抗体1371を軸棒13711の周りに回転駆動するためのロープ1302の端部が連結されている。
【0055】
図9Bは切替機構130の構成部である下流側ロープ駆動ユニット1304を示した図である。図9Bにおいて実線で示される部分が下流側ロープ駆動ユニット1304である。図9Bの上の図は下流側ロープ駆動ユニット1304の上面図であり、図9Bの左下の図は下流側ロープ駆動ユニット1304の右側面図であり、図9Bの右下の図は右側面図に示す矢印Zの方向に見た下流側ロープ駆動ユニット1304の図である。
【0056】
下流側ロープ駆動ユニット1304は、抵抗体1371を駆動状態にしたい場合に上流側に移動し、抵抗体1371を非駆動状態にしたい場合に下流側に移動する移動装置13041Rおよび移動装置13041L、移動装置13041Rから下流側に延伸するアーム13042R、移動装置13041Lから下流側に延伸するアーム13042L、アーム13042Rとアーム13042Lに取り付けられたシフトバー13043、シフトバー13043の下面から下方に延伸する5本のロープ連結バー13044を備える。
【0057】
5本のロープ連結バー13044の各々は、水流の方向に横断する方向において抵抗体1371の位置に応じた位置に配置されており、5本のロープ連結バー13044の各々の下流側側面には、対応する位置の抵抗体1371を軸棒13711の周りに回転駆動するためのロープ1302の端部が連結されている。
【0058】
図10は、上流側ロープ駆動ユニット1303および下流側ロープ駆動ユニット1304により移動されるロープ1302によって、抵抗体1371を軸棒13711の周りに回転駆動する構造を示した図である。図10図8に示した収容ボックス1301を取り外した状態を示している。収容ボックス1301にはラック1305Rとラック1305Lが収容されている。ラック1305Rの両端およびラック1305Lの両端にはロープ1302が取り付けられている。
【0059】
ラック1305Rとラック1305Lは軸棒13711の頭頂部に固定されたピニオン1306を左右から挟み込む位置に配置されている。その状態で、ラック1305Rおよびラック1305Lの歯とピニオン1306の歯が噛み合っている。従って、ラック1305Rが上流側に移動するとともにラック1305Lが下流側に移動すると、抵抗体1371が軸棒13711の軸周りに上から見て時計回りに回転される。また、ラック1305Rが下流側に移動するとともにラック1305Lが上流側に移動すると、抵抗体1371が軸棒13711の軸周りに上から見て反時計回りに回転される。
【0060】
上流側ロープ駆動ユニット1303のロープ連結バー13034に一方の端部が連結されたロープ1302は往復移動体131の上に配置されている収容ボックス1301に収容された位置決め用の定滑車1307(図9A図9B参照)の一方の側面を通って下流方向へと延び、下流側に隣接する収容ボックス1301に収容されているラック1305Rの上流側に連結されている。当該ラック1305Rの下流側には別のロープ1302の一方の端部が連結されており、当該ロープ1302はさらに下流側の収容ボックス1301に収容されるラック1305Rの上流側に連結されている。このように、互いに隣接する収容ボックス1301に収容されているラック1305Rは互いにロープ1302により連結されている。
【0061】
最も下流側の抵抗体1371の頭頂部に配置されている収容ボックス1301に収容されているラック1305Rの下流側に連結されたロープ1302は端部浮体135の上に配置されている収容ボックス1301に収容された定滑車1308(図9A図9B参照)の側面に沿って180度方向を変えて、下流側から上流側へと延伸し、その端部が最も下流側の抵抗体1371の頭頂部に配置されている収容ボックス1301に収容されているラック1305Lの下流側に連結されている。当該ラック1305Lの上流側の端部には別のロープ1302が連結されており、当該ロープ1302の他方の端部は、上流側に隣接する収容ボックス1301に収容されているラック1305Lの下流側に連結されている。このように、互いに隣接する収容ボックス1301に収容されているラック1305Lは互いにロープ1302により連結されている。
【0062】
最も上流側の端部浮体135の上に配置されている収容ボックス1301に収容されているラック1305Lの上流側に一方の端部が連結されているロープ1302は、往復移動体131の上に配置されている収容ボックス1301に収容された位置決め用の定滑車1307の一方の側面を通って上流方向へと延び、下流側ロープ駆動ユニット1304のロープ連結バー13044に他方の端部が連結されている。
【0063】
上記のように上流側ロープ駆動ユニット1303と下流側ロープ駆動ユニット1304との間でロープ1302を介して互いに連結されたラック1305Rおよびラック1305Lは、移動装置13031と移動装置13041の移動に伴い水流の方向に沿って逆方向に移動し複数の抵抗体1371を同時に回転させる。
【0064】
図11A図11B図11Cは、移動装置13031と移動装置13041の移動に伴い、抵抗体1371が駆動状態と非駆動状態の間で切り替わる様子を示した図である。図11Aは移動装置13031が移動可能範囲における最も下流側に位置し、移動装置13041が移動可能範囲における最も上流側に位置した状態を示している。この状態において、抵抗体1371は駆動状態である。
【0065】
図11Bは移動装置13031および移動装置13041が各々の移動可能範囲における中間点に位置した状態を示している。この状態において、抵抗体1371は駆動状態と非駆動状態の間の状態(切り替わりの途中の状態)である。
【0066】
図11Cは移動装置13031が移動可能範囲における最も上流側に位置し、移動装置13041が移動可能範囲における最も下流側に位置した状態を示している。この状態において、抵抗体1371は非駆動状態である。
【0067】
なお、互いに隣接する移動装置13031と移動装置13041は移動する際、それらの移動方向が逆で移動速度が等しい必要がある。そのため、互いに隣接する移動装置13031と移動装置13041の間には複数のピニオンを含むピニオン群1309が配置されている。移動装置13031の左側面と移動装置13041の右側面にはラックが取り付けられており、当該ラックの歯がピニオン群1309に含まれるピニオンの歯と噛み合わされている。その結果、互いに隣接する移動装置13031と移動装置13041の移動方向は常に逆方向となり、かつ、それらの移動速度が等しくなる。
【0068】
移動装置13031と移動装置13041は、図示せぬ制御装置の制御に従い、それらが配置されている往復移動体131に連結アーム12317を介して連結されているクランク12316の循環ベルト12314との連結点が概ね循環経路Rの上死点に達するタイミングで抵抗体1371を駆動状態とする位置へ移動する。また、移動装置13031と移動装置13041は、当該連結点が概ね循環経路Rの下死点に達するタイミングで抵抗体1371を非駆動状態とする位置へ移動する。
【0069】
駆動状態となった抵抗体1371は大きな水流抵抗を生じ、その反作用による力によって上流側から下流側へと往復移動体131を牽引する。非駆動状態となった抵抗体1371は小さい水流抵抗を生じながら下流側から上流側へと往復移動体131により牽引される。なお、非駆動状態となった抵抗体1371を下流側から上流側へと牽引する力は、他の往復移動体131に連結された駆動状態の抵抗体1371が水流から受ける力の一部が、ミッションアセンブリ124のシャフト1241を介して伝達されたものである。
【0070】
なお、駆動状態の抵抗体1371の下流側の直後領域には水流に淀みが生じるが、さらに下流側の領域においてその淀みは周囲の水流の影響によって解消する。駆動状態の抵抗体1371の各々は淀みのない水流からより大きい力を受けることが望ましい。従って、上流側から下流側へと連なる複数の抵抗体1371の間には、駆動状態において上流側に隣接する抵抗体1371により生じた水流の淀みが一定以上解消するために必要な距離の間隔が確保されている。
【0071】
なお、上述したロープ1302、上流側ロープ駆動ユニット1303、下流側ロープ駆動ユニット1304、ラック1305、ピニオン1306、定滑車1307、定滑車1308、ピニオン群1309が切替機構130の構成部である。
【0072】
上記のように、駆動状態と非駆動状態の間で交互に切り替えられる抵抗体群137Rが連結された往復移動体131Rと、抵抗体群137Rとは逆のタイミングで駆動状態と非駆動状態の間で交互に切り替えられる抵抗体群137Lが連結された往復移動体131Lは、互いに逆の位相で往復運動を行う。
【0073】
往復移動体131の往復運動は、上述したクランクアセンブリ123により循環経路Rに沿った循環運動に変えられる。当該循環運動は、ローラ12312に回転運動として伝達される。ローラ12312の回転運動は、循環ベルト12318によりミッションアセンブリ124を介して発電装置122に伝達される。
【0074】
図3Aを参照しつつ、ミッションアセンブリ124の構成を説明する。ミッションアセンブリ124は、循環ベルト12318を介してローラ12312(図4C参照)と連動して回転するシャフト1241と、シャフト1241の回転運動を発電装置122のコイルの回転軸1221に伝達する循環ベルト1242を備える。
【0075】
ミッションアセンブリ124はさらに、補助モータ125の回転軸とシャフト1241とに掛け渡された循環ベルト1243を備える。補助モータ125は、図示せぬ制御装置の制御に従い、クランク12316と循環ベルト12314の連結点が概ね上死点または下死点に達したタイミングで動作し、シャフト1241に駆動力を加える。
【0076】
この補助モータ125からシャフト1241に加えられる駆動力は、回転速度が低下したシャフト1241の回転方向が逆方向に転じることを防止するためのものである。すなわち、クランク12316と循環ベルト12314の連結点が上死点に達した際、補助モータ125がシャフト1241に加える駆動力が循環ベルト12314へと伝達されることで、連結点が復路経路r3に沿って下流側へと逆行する不都合が生じない。また、クランク12316と循環ベルト12314の連結点が下死点に達した際、補助モータ125がシャフト1241に加える駆動力が循環ベルト12314へと伝達されることで、連結点が往路経路r1に沿って上流側へと逆行する不都合が生じない。なお、補助モータ125に代えて、フライホイールが用いられてもよい。
【0077】
発電装置122により発電された電力は離島などで使用される海底ケーブル等の送電線(図示略)を介して電力利用地へと送電される。なお、発電装置122により発電された電力の一部は、補助モータ125の運転、移動装置13031および移動装置13041の運転等に用いられる。
【0078】
上述したように、循環経路Rの下流側折返経路r2および上流側折返経路r4は大きな曲率で湾曲している。そのため、発電システム1は、クランク12316と循環ベルト12314の連結点が下流側折返経路r2内または上流側折返経路r4内にあるときに、当該連結点に過大な力が加わらないように、往復移動体131が移動可能範囲の最も下流側の位置に近付く直前に往復移動体131の移動速度を低下させる電気ブレーキを備える。
【0079】
図12は、発電システム1が備える電気ブレーキが備える複数の回転軸に取り付けられた複数のブレーキングローラを含むブレーキングローラ群126の配置を例示した図である。ブレーキングローラ群126に含まれるブレーキングローラは、側方を往復移動体131が上流側から下流側に移動する際に当該往復移動体131の側面に接触し抵抗を与え、往復移動体131の移動速度を低下させる。ブレーキングローラ群126に含まれるブレーキングローラが往復移動体131に与える抵抗の反作用により生じる力は、電力ブレーキにおいて発電に用いられる。すなわち、往復移動体131から受ける力により回転駆動される電気ブレーキの回転軸には磁場内に置かれたコイルが取り付けられており、発電が行われる。電気ブレーキにより発電された電力は、例えば、抵抗体1371の駆動状態と非駆動状態を切り替える電力として利用される。
【0080】
以上説明したように、発電システム1によれば、水流の力により異なる位相で往復運動を行う往復移動体131の運動エネルギーによって発電が行われる。発電システム1においては、複数の往復移動体131の往復運動がシャフト1241により循環経路Rに沿った循環運動に変えられ、さらに回転運動に変えられた後、当該回転運動の力が循環ベルト12318を介して、水平方向に配置されたシャフト1241に対し伝達される。そのため、発電システム1の設計の時点において、例えばシャフト1241の長さや位置を調整することで、複数の往復移動体131の各々の配置を柔軟に変更することができる。
【0081】
[変形例]
上述した実施形態は本発明の技術的思想の範囲内において様々に変形が可能である。以下にそれらの変形の例を示す。なお、以下に示す変形例の複数が組み合わされてもよい。
【0082】
(1)上述した実施形態にかかる発電システム1が備える構成部の数および配置は様々に変更可能である。例えば、発電システム1が備える抵抗体1371は5枚のブレード13712を備えるが、ブレード13712の数は5枚に限られず、4枚以下または6枚以上であってもよい。
【0083】
また、発電システム1は、往復移動体131Rおよび往復移動体131Lの各々の下流側には水流の方向に5列、水流の方向に横断する方向に5列、に並べられた計25個の抵抗体1371を、水流の方向に2セット、備えている。これらの列数およびセット数は様々に変更可能である。
【0084】
また、発電システム1は、シャフト1241を駆動するユニット(往復移動体131と、往復移動体131の上流側に連結されるクランクアセンブリ123等と、往復移動体131の下流側に連結される抵抗体群137等とにより構成されるユニット。以下、駆動ユニットという)を2つ備える。本発明にかかる発電システムが備える駆動ユニットの数は2つに限られず、3以上のいずれの数であってもよい。
【0085】
図13はこの変形例の一例にかかる発電システム2の上面図である。図13において、発電システム2が発電システム1と共通して備える構成部には発電システム1における符号と同じ符号が付されている。また、図13において、往復移動体の下流側に連結される構成部に関しては、図の簡略化のため破線の矩形で示されている。
【0086】
発電システム2は、8つの駆動ユニット、すなわち、右側から順に駆動ユニット201R1、駆動ユニット201R2、駆動ユニット201R3、駆動ユニット201R4、駆動ユニット201L4、駆動ユニット201L3、駆動ユニット201L2、駆動ユニット201L1を備える。発電システム2は、システム1の中央浮体121に代えて、これらの8つの駆動ユニットの往復移動体をスライド可能に収容する中央浮体221を備える。
【0087】
中央浮体221の右側に配置される駆動ユニット201R1、駆動ユニット201R2、駆動ユニット201R3、駆動ユニット201R4はシャフト2241Rに連結されている。また、中央浮体221の左側に配置される駆動ユニット201L1、駆動ユニット201L2、駆動ユニット201L3、駆動ユニット201L4はシャフト2241Lに連結されている。
【0088】
シャフト2241Rは発電装置222Rに連結されている。また、シャフト2241Lは発電装置222Lに連結されている。発電システム2は発電システム1が備える補助モータ125に対応する構成部は備えない。
【0089】
シャフト2241Rに連結されている駆動ユニット201R1、駆動ユニット201R2、駆動ユニット201R3、駆動ユニット201R4における、クランク(発電システム1のクランク12316に対応する構成部)と循環ベルト(発電システム1の循環ベルト12314に対応する構成部)の連結点(以下、単に連結点という)が互いに1/4周期だけずれた位相で循環経路Rに沿った循環運動を行うように、それらの駆動ユニットの配置が調整されている。
【0090】
また、シャフト2241Lに連結されている駆動ユニット201L1、駆動ユニット201L2、駆動ユニット201L3、駆動ユニット201L4における連結点が互いに1/4周期だけずれた位相で循環経路Rに沿った循環運動を行うように、それらの駆動ユニットの配置が調整されている。
【0091】
駆動ユニット201R1と駆動ユニット201L1、駆動ユニット201R2と駆動ユニット201L2、駆動ユニット201R3と駆動ユニット201L3、駆動ユニット201R4と駆動ユニット201L4は、それらの連結点の循環運動の位相は同じである。
【0092】
図14A図14B図14C図14Dは、発電システム2の左右に配置された4つの駆動ユニットにおける連結点の循環経路R上の位置の関係を示した図である。図14A図14B図14C図14Dの各々に示される連結点J1、連結点J2、連結点J3、連結点J4は、各々、駆動ユニット201R1または駆動ユニット201L1の連結点、駆動ユニット201R2または駆動ユニット201L2の連結点、駆動ユニット201R3または駆動ユニット201L3の連結点、駆動ユニット201R4または駆動ユニット201L4の連結点である。
【0093】
図14Aは、連結点J1が上死点に達し、連結点J3が下死点に達した状態を示している。この状態において、駆動ユニット201R2または駆動ユニット201L2が連結点J2において上流側から下流側へと循環ベルトを駆動している。そのため、連結点J1および連結点J3が循環経路Rに沿って逆方向に進路をとることはない。
【0094】
図14Bは、連結点J4が上死点に達し、連結点J2が下死点に達した状態を示している。この状態において、駆動ユニット201R1または駆動ユニット201L1が連結点J1において上流側から下流側へと循環ベルトを駆動している。そのため、連結点J4および連結点J2が循環経路Rに沿って逆方向に進路をとることはない。
【0095】
図14Cは、連結点J3が上死点に達し、連結点J1が下死点に達した状態を示している。この状態において、駆動ユニット201R4または駆動ユニット201L4が連結点J4において上流側から下流側へと循環ベルトを駆動している。そのため、連結点J3および連結点J1が循環経路Rに沿って逆方向に進路をとることはない。
【0096】
図14Dは、連結点J2が上死点に達し、連結点J4が下死点に達した状態を示している。この状態において、駆動ユニット201R3または駆動ユニット201L3が連結点J3において上流側から下流側へと循環ベルトを駆動している。そのため、連結点J2および連結点J4が循環経路Rに沿って逆方向に進路をとることはない。
【0097】
上記のように、いずれかの駆動ユニットの連結点が下流側折返経路r2内または上流側折返経路r4内にある間、いずれかの駆動ユニットの連結点が往路経路r1内に位置するため、シャフト2241Rまたはシャフト2241Lに対する順方向の駆動力が常時維持される。そのため、発電システム2は発電システム1の補助モータ125またはフライホイールに相当する構成部を備える必要がない。
【0098】
なお、上述した発電システム2においては、駆動ユニット201R1、駆動ユニット201R2、駆動ユニット201R3、駆動ユニット201R4の順に、1/4周期だけずれた位相で往復運動を行うように、それらの駆動ユニットの連結点の配置が調整されているが、位相のずらし方はこれに限られない。例えば、駆動ユニット201R1、駆動ユニット201R3、駆動ユニット201R2、駆動ユニット201R4の順に、1/4周期だけずれた位相で往復運動を行うように、それらの駆動ユニットの連結点の配置が調整されていてもよい。
【0099】
同様に、上述した発電システム2においては、駆動ユニット201L1、駆動ユニット201L2、駆動ユニット201L3、駆動ユニット201L4の順に、1/4周期だけずれた位相で往復運動を行うように、それらの駆動ユニットの連結点の配置が調整されているが、例えば、駆動ユニット201L1、駆動ユニット201L3、駆動ユニット201L2、駆動ユニット201L4の順に、1/4周期だけずれた位相で往復運動を行うように、それらの駆動ユニットの連結点の配置が調整されていてもよい。
【0100】
図15はこの変形例の他の一例にかかる発電システム3の上面図である。図15において、発電システム3が発電システム1と共通して備える構成部には発電システム1における符号と同じ符号が付されている。また、図15において、往復移動体の下流側に連結される構成部に関しては、図の簡略化のため破線の矩形で示されている。
【0101】
発電システム3は、発電システム1の中央浮体121に対応する構成部として中央浮体321を備える。中央浮体321の下流側の右側には駆動ユニット301R、下流側の左側には駆動ユニット301L、下流側の中央には駆動ユニット301Cが連結されている。
【0102】
駆動ユニット301Cが有する抵抗体1371の数は、例えば、駆動ユニット301Rが有する抵抗体1371の数と、駆動ユニット301Lが有する抵抗体1371の数の合計数である。
【0103】
中央浮体321の上流側の右側には、外側から順に補助駆動ユニット302R1と補助駆動ユニット302R2が連結されている。また、中央浮体321の上流側の左側には、外側から順に補助駆動ユニット302L1と補助駆動ユニット302L2が連結されている。補助駆動ユニット302R1、補助駆動ユニット302R2、補助駆動ユニット302L1、補助駆動ユニット302L2は、駆動ユニット301R、駆動ユニット301L、駆動ユニット301Cのいずれかの連結点が上死点または下死点に達するタイミングにおいてシャフト1241に対する回転駆動を与えるために設けられた補助的な駆動ユニットである。以下、補助駆動ユニット302R1、補助駆動ユニット302R2、補助駆動ユニット302L1、補助駆動ユニット302L2を補助駆動ユニット302と総称する。
【0104】
図16Aは補助駆動ユニット302の上面図、図16Bは補助駆動ユニット302の右側面図である。
【0105】
補助駆動ユニット302が有する抵抗体の数および当該抵抗体が備えるブレードの数は、駆動ユニット301R、駆動ユニット301L、駆動ユニット301Cが有する抵抗体の数および当該抵抗体が備えるブレードの数よりも少ない。
【0106】
また、補助駆動ユニット302が有する抵抗体は、棒材を組み上げたフレーム3021により保持されている。補助駆動ユニット302は中央浮体321の上流側に配置されているため、補助駆動ユニット302が有する抵抗体の位置および姿勢をロープによって保持することはできないためである。
【0107】
図17はフレーム3021が、補助駆動ユニット302が有する抵抗体3371を保持する様子を示した図である。なお、図17において、収容ボックス1301を水流の方向に貫通するロープ1302は図示が省略されている。図17に示されるように、抵抗体3371の軸棒33711に取り付けられているリング138にはフレーム3021が有する棒材のうち水平面上において水流の方向に対し斜め方向に取り付けられた複数の棒材が連結されている。そのため、抵抗体3371が水流の力を受けても、抵抗体3371と中央浮体321との間の距離およびその姿勢が保持される。
【0108】
図18A図18B図18C図18Dは、発電システム3が有する駆動ユニットにおける連結点の循環経路R上の位置の関係を示した図である。図18A図18B図18C図18Dの各々に示される連結点J1、連結点J2、連結点J3、連結点J4は、各々、駆動ユニット301Rまたは駆動ユニット301Lの連結点、駆動ユニット301Cの連結点、補助駆動ユニット302R1または補助駆動ユニット302L1の連結点、補助駆動ユニット302R2または補助駆動ユニット302L2の連結点である。
【0109】
図18Aは、連結点J3が上死点に達し、連結点J4が下死点に達した状態を示している。この状態において、駆動ユニット301Cが連結点J1において上流側から下流側へと循環ベルトを駆動している。そのため、連結点J3および連結点J4が循環経路Rに沿って逆方向に進路をとることはない。
【0110】
図18Bは、連結点J2が上死点に達し、連結点J1が下死点に達した状態を示している。この状態において、補助駆動ユニット302R1または補助駆動ユニット302L1が連結点J3において上流側から下流側へと循環ベルトを駆動している。そのため、連結点J2および連結点J1が循環経路Rに沿って逆方向に進路をとることはない。
【0111】
図18Cは、連結点J4が上死点に達し、連結点J3が下死点に達した状態を示している。この状態において、駆動ユニット301Rまたは駆動ユニット301Lが連結点J2において上流側から下流側へと循環ベルトを駆動している。そのため、連結点J4および連結点J3が循環経路Rに沿って逆方向に進路をとることはない。
【0112】
図18Dは、連結点J1が上死点に達し、連結点J2が下死点に達した状態を示している。この状態において、補助駆動ユニット302R2または補助駆動ユニット302L2が連結点J4において上流側から下流側へと循環ベルトを駆動している。そのため、連結点J1および連結点J2が循環経路Rに沿って逆方向に進路をとることはない。
【0113】
上記のように、駆動ユニット301Rおよび駆動ユニット301L、または、駆動ユニット301Cの連結点が下流側折返経路r2内または上流側折返経路r4内にある間、補助駆動ユニット302R1および補助駆動ユニット302L1、または、補助駆動ユニット302R2および補助駆動ユニット302L2の連結点が往路経路r1内に位置するため、シャフト1241に対する順方向の駆動力が常時維持される。そのため、発電システム3は発電システム1の補助モータ125またはフライホイールに相当する構成部を備える必要がない。
【0114】
(2)上述した発電システム1が備える抵抗体1371のブレード13712は軸棒13711の軸周りに回転される。ブレード13712の回転の方向はこれに限られない。例えば、ブレード13712が水平方向の軸周りに回転される構成が採用されてもよい。
【0115】
(3)上述した発電システム1が備える抵抗体1371は板状体のブレード13712を有し、ブレード13712の水流に対する角度を変更することにより、駆動状態と非駆動状態の切り替えが行われる。本発明にかかる抵抗体は板状体に限られず、水流抵抗の大きい状態と水流抵抗の小さい状態とを切り替えられる構造を備える限り、その構造は様々に変更可能である。例えば、可撓性のシート状部材を拡げた状態と折り畳んだ状態の間で切り替えることにより、駆動状態と非駆動状態の切り替えが可能な抵抗体が採用されてもよい。
【0116】
(4)上述した発電システム1においては、下流側から上流側へと駆動ユニットを引き上げるための力として、シャフト1241を介して上流側から下流側へと水流の力で移動する駆動ユニットの力の一部が用いられる。これに代えて、発電装置122により発電され蓄電装置に一時的に蓄電されている電力により動作するモータの力により、下流側から上流側への駆動ユニットの引き上げが行われてもよい。
【0117】
(5)上述した発電システム1においては、2つの駆動ユニットが1/2周期だけずれた位相で動作する。また、上述した変形例(1)または(2)にかかる発電システム2および発電システム3においては、4つのグループの駆動ユニットの各々が1/4周期だけずれた位相で動作する。異なる位相で動作する駆動ユニットの数(グループ数)は2または4に限られない。例えば、3つのグループに区分された駆動ユニットが、グループ毎に1/3周期だけずれた位相で動作する構成が採用されてもよい。この場合であっても、いずれかのグループの駆動ユニットの連結点が上流側折返経路r4内または下流側折返経路r2内にある間、他のいずれかのグループの駆動ユニットが往路経路r1内にあれば、連結点の逆行は生じない。
【0118】
(6)上述した発電システム1においては、往路経路r1および復路経路r3は直線を描く経路であり、下流側折返経路r2および上流側折返経路r4は半円を描く経路である。往路経路r1および復路経路r3は湾曲していてもよい。また、下流側折返経路r2および上流側折返経路r4は、往路経路r1および復路経路r3の曲率よりも大きな曲率で湾曲している限り、半円を描かなくてもよい。
【0119】
(7)上述した発電システム1においては、往復移動体131が最も下流側の位置に達する前に移動速度の低下が行われる。これに代えて、例えば往復移動体131が最も上流側の位置に達する前に移動速度を低下するようにブレーキングが行われてもよい。
【0120】
(8)上述した発電システム1において採用されているロープ113に代えて、チェーン、棒材等が用いられてもよい。また、ロープ、チェーン、棒材等のうち2以上の組み合わせが採用されてもよい。ロープ139に関しても同様である。
【0121】
(9)上述した発電システム1が備える構造物のうち水中に配置される構造物の少なくとも一部に、水中で自重を相殺する浮力を生じるように中空部を設けたり、フロートが取り付けられたりしてもよい。また、上述した発電システム1においては水上に配置される構造物の一部が水中または水面上に配置されるようにしてもよい。例えば、収容ボックス1301およびロープ1302を水面上に浮かせ、最上位置のロープ139を含む全てのロープ139を水中に配置する構成が採用されてもよい。
【符号の説明】
【0122】
1…発電システム、2…発電システム、3…発電システム、11…上流側アセンブリ、12…中央アセンブリ、13…下流側アセンブリ、111…上流側浮体、112…アンカー、113…ロープ、114…連結プレート、121…中央浮体、122…発電装置、123…クランクアセンブリ、124…ミッションアセンブリ、125…補助モータ、126…ブレーキングローラ群、130…切替機構、131…往復移動体、132…フレーム、133…連結浮体、135…端部浮体、137…抵抗体群、138…リング、139…ロープ、221…中央浮体、302…補助駆動ユニット、321…中央浮体、1221…回転軸、1231…サブクランクアセンブリ、1241…シャフト、1242…循環ベルト、1243…循環ベルト、1301…収容ボックス、1302…ロープ、1303…上流側ロープ駆動ユニット、1304…下流側ロープ駆動ユニット、1305…ラック、1306…ピニオン、1307…定滑車、1308…定滑車、1309…ピニオン群、1371…抵抗体、3021…フレーム、3371…抵抗体、12312…ローラ、12314…循環ベルト、12316…クランク、12317…連結アーム、12318…循環ベルト、13031…移動装置、13032…アーム、13033…シフトバー、13034…ロープ連結バー、13041…移動装置、13043…シフトバー、13044…ロープ連結バー、13711…軸棒、13712…ブレード、33711…軸棒
【要約】
【課題】構造上の制約が少ない水流の力を用いた発電システムを提供する。
【解決手段】発電システム1の下流側アセンブリ13は、各々に複数のブレードの連結された左右2枚の往復移動体を備える。複数のブレードは水流に対し90度の角度で配置されて水流の力を受けて下流側アセンブリ13の往復移動体を下流側へと牽引する駆動状態と、これらのブレードを水流に沿った方向に配置して水流の力をあまり受けない状態で上流側へと牽引される非駆動状態との間で切り替えられる。左右2枚の往復移動体の往復運動の位相は1/2周期だけずれている。往復移動体の往復運動は中央アセンブリ12に配置されたクランクにより細長い循環経路に沿って循環する循環運動に変えられ、さらに回転運動に変えられる。当該回転運動の力は、中央アセンブリ12に配置された発電装置のコイルの回転軸に伝達される。その結果、発電装置により発電が行われる。
【選択図】図1
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図6
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図10
図11A
図11B
図11C
図12
図13
図14A
図14B
図14C
図14D
図15
図16A
図16B
図17
図18A
図18B
図18C
図18D