(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記センター装置は、前記被保守装置特定情報と前記異常通知情報とを受信すれば、所定の被保守装置に関連付けられた接続ジョブが存在するか否かを判断し、接続ジョブが存在しない場合には所定の保守装置と前記異常通知情報を送信した被保守装置とを関連付けた接続ジョブを自動的に作成する、請求項1に記載の通信システム。
前記被保守装置は、接続された端末に異常が発生したと判断すれば、保守装置が前記被保守装置に接続中かどうかを判断し、接続中でない場合には前記被保守装置特定情報と前記異常通知情報とを、前記送信部が前記センター装置に送信する、請求項1又は2に記載の通信システム。
前記被保守装置特定情報と前記異常通知情報とを受信すれば、前記被保守装置リストに異常情報を記録する被保守装置リスト管理部をさらに有している、請求項1〜3のいずれかに記載の通信システム。
前記被保守装置リスト管理部は、前記異常通知情報を送信した被保守装置又は保守装置から異常解除情報を受信すれば、前記被保守装置リストから異常情報の記録を消去する、請求項4に記載の通信システム。
前記被保守装置特定情報と前記異常通知情報とを受信すれば、所定の被保守装置に関連付けられた接続ジョブが存在するか否かを判断し、接続ジョブが存在しない場合には所定の保守装置と前記異常通知情報を送信した被保守装置とを関連付けた接続ジョブを自動的に作成する、請求項6に記載のセンター装置。
前記被保守装置特定情報と前記異常通知情報とを受信すれば、前記被保守装置リストに異常情報を記録する被保守装置リスト管理部をさらに有している、請求項6又は7に記載のセンター装置。
前記被保守装置リスト管理部は、前記異常通知情報を送信した被保守装置又は保守装置から異常解除情報を受信すれば、前記被保守装置リストから異常情報の記録を消去する、請求項8に記載のセンター装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
遠隔保守システムの一例として、ネットワークを介して互いに接続されたサーバを介して、各サーバに接続されたクライアント端末同士が必要に応じて接続する通信システムが用いられたものが知られている。具体的には、コールセンターのサーバと、保守センターのサーバと、客先のサーバが互いに通信可能に接続されている。コールセンターのサーバ及び保守センターのサーバにはそれぞれ端末が接続され、客先のサーバには保守対象システムが接続されている。
従来の遠隔保守システムにおいては、コールセンターのサーバが、保守センターにあるサーバに保守要求を通知する。このとき、コールセンターのセンター員から保守センターの保守員にワンタイムパスワードが電話で連絡され、そのワンタイムパスワードを用いて保守センターのオペレータは客先のサーバに接続を行う。そして、オペレータが、保守センターのサーバを操作することで、客先のサーバに接続された保守対象システムを遠隔保守する。
しかし、従来の遠隔保守システムでは、コールセンターから保守センターにワンタイムパスワードが電話で連絡されており、その手間が面倒であった。また、ワンタイムパスワードを知った保守員しかログインできないので、迅速な対応が困難であった。
【0005】
本発明の課題は、被保守装置に接続された通信端末に異常が発生した場合に、保守装置から被保守装置への迅速な接続を可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
【0007】
本発明の一見地に係る通信システムは、センター装置と、1以上の被保守装置と、1以上の保守装置とを備えている。
任意の被保守装置は、接続された端末から所定のデータを受信し、予め登録された情報に基づいて端末に異常が発生したと判断すれば、被保守装置特定情報と異常通知情報とを、センター装置に送信する送信部を有している。
センター装置は、第1記憶部と、第2記憶部と、接続ジョブ作成部と、接続ジョブ通知部とを有している。
第1記憶部には、
通信システムにアクセスが許されている複数の保守装置の情報が記録された保守装置リストが保存されている。
第2記憶部には、
通信システムにアクセスが許されている複数の被保守装置の情報が記録され
、記録された各被保守端末に接続可能な一又は複数の保守装置が登録された被保守装置リストが保存されている。
接続ジョブ作成部は、被保守装置リストから選んだ被保守装置と保守装置リストから選んだ保守装置を関連付けた接続ジョブを作成して登録することができ、被保守装置特定情報と異常通知情報とを受信すれば、
異常通知情報を送信した被保守装置と
当該被保守端末と接続可能な保守端末とを関連付けた接続ジョブを自動的に作成する。
接続ジョブ通知部は、関連付けられた保守装置に接続ジョブが新たに作成されたことを通知する。
関連付けられた保守装置は、新たに作成された接続ジョブの情報に基づいて、異常通知情報を送信した被保守装置に接続する。
【0008】
この通信システムでは、被保守装置は、接続された端末が異常であると判断すれば、送信部は、被保守装置特定情報と異常通知情報とを、センター装置に送信する。上記情報を受信すれば、センター装置の接続ジョブ作成部は、所定の保守装置と異常通知情報を送信した被保守装置とを関連付けた接続ジョブを、自動的に作成する。次に、接続ジョブ通知部は、関連付けられた保守装置に、接続ジョブが新たに作成されたことを通知する。
【0009】
この結果、保守装置は、新たに作成された接続ジョブの情報に基づいて、被保守装置に接続する。以上に述べたように、被保守装置が端末に異常が発生したと判断してから保守装置に接続ジョブ作成が通知されるまでの動作は、自動的に行われる。
この結果、被保守装置に接続された端末に異常が発生した場合に、保守装置から被保守装置への迅速な接続が可能になる。
【0010】
センター装置は、被保守装置特定情報と異常通知情報とを受信すれば、所定の被保守装置に関連付けられた接続ジョブが存在するか否かを判断し、接続ジョブが存在しない場合には所定の保守装置と異常通知情報を送信した被保守装置とを関連付けた接続ジョブを自動的に作成してもよい。この装置では、接続ジョブがすでに存在する場合は新たな接続ジョブが作成されない。これにより、1つの被保守装置に対して複数の接続ジョブが形成されることが防止されている。その結果、接続後の作業の重複又は混乱が防止される。
【0011】
被保守装置は、接続された端末が異常であると判断すれば、保守装置が被保守装置に接続中かどうかを判断し、接続中でない場合にのみ被保守装置特定情報と異常通知情報とを、センター装置に送信してもよい。この装置では、被保守装置に保守装置がすでに接続している場合は、被保守装置特定情報と異常通知情報とがセンター装置に送信されず、したがって被保守装置に関しては新たな接続ジョブが形成されない。これにより、1つの被保守装置に対して複数の接続ジョブが形成されることが防止されている。その結果、接続後の作業の重複又は混乱が防止される。
【0012】
センター装置は、被保守装置特定情報と異常通知情報とを受信すれば、被保守装置リストに異常情報を記録する被保守装置リスト管理部をさらに有していてもよい。
【0013】
被保守装置リスト管理部は、異常通知情報を送信した被保守装置又は保守装置から異常解除情報を受信すれば、被保守装置リストから異常情報の記録を消去してもよい。
【0014】
本発明の他の見地に係るセンター装置は、センター装置と、1以上の被保守装置と、1以上の保守装置とを有する通信システムに用いられる。センター装置は、第1記憶部と、第2
記憶部と、接続ジョブ作成部と、接続ジョブ通知部とを有している。
第1記憶部には、
通信システムにアクセスが許されている複数の保守装置の情報が記録された保守装置リストが保存されている。
第2記憶部には、
通信システムにアクセスが許されている複数の被保守装置の情報が記録され
、記録された各被保守端末に接続可能な一又は複数の保守装置が登録された被保守装置リストが保存されている。
接続ジョブ作成部は、被保守装置リストから選んだ被保守装置と保守装置リストから選んだ保守装置を関連付けた接続ジョブを作成して登録することができ、被保守装置特定情報と異常通知情報とを受信すれば、
異常通知情報を送信した被保守装置と
当該被保守端末と接続可能な保守端末とを関連付けた接続ジョブを自動的に作成する。
接続ジョブ通知部は、関連付けられた保守装置に接続ジョブが新たに作成されたことを通知する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形として、遠隔保守システムを説明する。なお、以下は一例でしかない。
(1)通信システムの基本構成
本実施の形態に係る通信システム1の概要について説明する。
図1は、通信システムの基本構成を示す図である。通信システム1は、ネットワークで接続されたクライアント端末とサーバから構成されている。各クライアント端末は、接続しているサーバを介して、他のサーバあるいはサーバに接続されているクライアント端末と通信可能である。さらに、各サーバ装置も、他のサーバあるいはサーバ装置に接続されているクライアント端末と通信可能である。
【0017】
通信システム1は、WAN(Wide Area Network)3を介して互いに通信可能に接続された複数のサーバを有している。WAN3は、例えばインターネットなどの広域ネットワークである。
複数のサーバは、センター装置5と、第1被保守装置7Aと、第2被保守装置7B、第1保守装置9Aと、第2保守装置9Bとを含んでいる。なお、被保守装置及び保守装置はそれぞれ3台以上であってもよい。また、被保守装置は1台であってもよい。
センター装置5、第1被保守装置7A、第2被保守装置7B、第1保守装置9A及び第2保守装置9Bは、クライアント同士の通信をそれぞれ中継するサーバである。なお、第1保守装置9A及び第2保守装置9Bは、パーソナルコンピュータに着脱自在に取り付けられたメモリに保存されたアプリケーションであってもよい。
【0018】
センター装置5は、例えば、ユーザからの問い合わせなどを受け付けるコールセンターに設置されている。センター装置5は、第1被保守装置7A及び第2被保守装置7Bに対する第1保守装置9A及び第2保守装置9Bのアクセス権を管理する。センター装置5には、センター装置操作端末11がLAN(Local Area Network)13を介して通信可能に接続されている。センター装置5のIDは、Center@relaysystem.netである。
【0019】
第1被保守装置7Aは、例えば、客先サーバである。第1被保守装置7Aには、第1保守対象システム15A及び第2保守対象システム15Bが第1LAN17を介して通信可能に接続されている。以上の装置によって、第1LANグループ14が構成されている。第1保守対象システム15A及び第2保守対象システム15Bは、遠隔保守の対象となるファイルサーバ又はWebサーバである。なお、第1被保守装置7Aに接続された保守対象システムは、1台であってもよいし、3台以上であってもよい。第1被保守装置7AのIDは、Target1@relaysystem.netである。
【0020】
第2被保守装置7Bは、例えば、客先サーバである。第2被保守装置7Bには、第3保守対象システム19A及び第4保守対象システム19Bが第2LAN21を介して通信可能に接続されている。以上の装置によって、第2LANグループ16が構成されている。第3保守対象システム19A及び第4保守対象システム19Bは、遠隔保守の対象となるファイルサーバ又はWebサーバである。なお、第2被保守装置7Bに接続された保守対象システムは1台であってもよいし、3台以上であってもよい。第2被保守装置7BのIDは、Target2@relaysystem.netである。
【0021】
第1被保守装置7A及び第2被保守装置7Bは、それぞれのネットワークシステムに存在する保守対象システムを監視している。この管理プログラムは、例えば、SNMP(Simple Network Management Protocol)である。つまり、被保守装置にはマネージャが設定され、保守対象システムにはエージェントが設定される。マネージャは、エージェントに対して情報の要求を供給し、エージェントは要求された情報を取得してそれをマネージャに応答する。また、エージェントは、保守対象システムの状態をマネージャに対して通知する。
【0022】
第1保守装置9Aは、保守センターに設けられたサーバである。第1保守装置9Aには、第1保守操作端末23A及び第2保守操作端末23Bが第3LAN25を介して通信可能に接続されている。以上の装置によって、第3LANグループ18が構成されている。なお、第1保守装置9Aに接続された保守操作端末は1台であってもよいし、3台以上であってもよい。第1保守装置9AのIDは、Maintainance2@relaysystem.netである。
【0023】
第2保守装置9Bは、保守センターに設けられたサーバである。第2保守装置9Bには、第3保守操作端末27A及び第4保守操作端末27Bが第4LAN29を介して通信可能に接続されている。以上の装置によって、第4LANグループ20が構成されている。なお、第2保守装置9Bに接続された保守操作端末は1台であってもよいし、3台以上であってもよい。第2保守装置9BのIDはMaintainance1@relaysystem.netである。
【0024】
以上の構成において、センター装置操作端末11、第3保守対象システム19A、第4保守対象システム19B、第1保守操作端末23A、第2保守操作端末23B、第3保守操作端末27A、第4保守操作端末27Bは、パーソナルコンピュータなどの端末である。
【0025】
保守員が第1保守装置9A又は第2保守装置9Bを使用して、第1保守対象システム15A、第2保守対象システム15B、第3保守対象システム19A、又は第4保守対象システム19Bを遠隔保守する場合、第1保守装置9A又は第2保守装置9Bと、第1被保守装置7A又は第2被保守装置7Bとの間に、ルーティングセッションが確立される。
【0026】
ルーティングセッションは、第1LANグループ14又は第2LANグループ16と第3LANグループ18又は第4LANグループ20との間で転送される通信パケットを、ルーティング制御するためのメディアセッションである。
【0027】
ルーティングセッションを確立するためには、第1保守装置9A又は第2保守装置9Bは、センター装置5に対して、第1被保守装置7A又は第2被保守装置7Bへのアクセス許可を取得しなければならない。第1保守装置9A又は第2保守装置9Bは、アクセス許可を取得した後に、第1被保守装置7A又は第2被保守装置7Bとの間にルーティングセッションを確立する。
【0028】
以上述べたシステムでは、保守員は特定の保守装置に結びつけられていない。つまり、保守員はいずれの保守装置を用いても通信システム1に参加できる。より具体的には、各保守員のID及びパスワードはセンター装置5に保存されており、センター装置5が認証動作を行うので、保守員はIDとパスワードを保守操作端末に入力することで、通信システム1にログインできる。
【0029】
(2)センター装置の構成
図2を用いて、センター装置5の構成を説明する。
図2は、センター装置の構成を示す図である。
【0030】
センター装置5は、主に、制御部31と、データベース格納部33と、インタフェース35とを備える。
【0031】
制御部31は、センター装置5全体の制御を行う。制御部31は、CPU、RAM、ROMを含むコンピュータであり、メモリに保存されたプログラムを実行することで各種機能を実現する。
以下、制御部31の機能を説明する。制御部31は、接続ジョブ作成部43と、接続ジョブ通知部45と、接続可否判断部47と、接続ジョブリスト管理部49と、接続完了受信部50と、被保守装置リスト管理部51と、異常通知情報受信部52とを有している。
【0032】
接続ジョブ作成部43は、第1被保守装置7A又は第2被保守装置7Bへの接続に関連する情報である接続ジョブを、作成する。接続ジョブ作成部43は、被保守装置リスト57aから選んだ被保守装置と保守装置リスト55aから選んだ保守装置を関連付けた接続ジョブを作成し登録できる。接続ジョブ作成部43は、被保守装置特定情報と異常通知情報とを受信すれば、所定の保守装置と異常通知情報を送信した被保守装置とを関連付けた接続ジョブを自動的に作成する。接続ジョブ作成部43は、異常通知情報を送信してきた被保守装置に関してすでに接続ジョブが形成されているか否かを判定できる。
【0033】
接続ジョブ通知部45は、関連付けられた保守装置に、接続ジョブが新たに作成されたことを通知する。
接続可否判断部47は、保守装置と被保守装置とが接続できるか否かを判断する。
【0034】
接続ジョブリスト管理部49は、後述するように、作成された接続ジョブを接続ジョブリスト59aの形式で管理し、必要に応じて接続ジョブを接続ジョブリスト59aに追加し、接続ジョブリスト59aにある接続ジョブを更新し、又は接続ジョブを接続ジョブリスト59aから削除する。
【0035】
被保守装置リスト管理部51は、作成された被保守装置リスト57aの形式で管理し、必要に応じて被保守装置を被保守装置リスト57aに追加し、被保守装置リスト57aを更新し、又は被保守装置リスト57aから削除する。被保守装置リスト管理部51は、被保守端末からアラートを受信すれば、被保守装置リスト57aに異常検知を記録し、異常通知情報を送信した被保守装置から異常解除情報を受信すれば、被保守装置リスト57aから異常通知情報の記録を消去する。
接続完了受信部50は、保守装置から接続完了通知を受信するのを待つ。
異常通知情報受信部52は、被保守装置からの異常通知情報を受信する。
【0036】
データベース格納部33は、オペレータリスト格納部53と、保守装置リスト格納部55(第1記憶部の一例)と、被保守装置リスト格納部57(第2記憶部の一例)と、接続ジョブリスト格納部59と有している。
【0037】
オペレータリスト格納部53には、オペレータリスト53aが保存されている。
図3は、オペレータリスト53aを示している。オペレータリスト53aの各オペレータは、通信システム1にアクセスすることが許されているオペレータの「ID」、「パスワード」及び、「ログインサーバ」から構成されている。ログインサーバは、オペレータのIDとログインしている装置のIDが組み合せて示されている。
図3の例では、オペレータOp1〜Op4が登録されており、第1オペレータOp1が第1保守装置9Aにログインしており、第2オペレータOp2がセンター装置5にログインしており、第3オペレータOp3が第2保守装置9Bにログインしていることが分かる。また、第4オペレータOp4がログインしていないことも分かる。
【0038】
保守装置リスト格納部55(第1記憶部の一例)には、保守装置リスト55aが保存されている。
図4は、保守装置リスト55aを示している。保守装置リスト55aの各保守装置は、通信システム1にアクセスすることが許されている保守装置の「名称」及び「装置ID」から構成されている。
図4に示すように、保守装置リスト55aには、接続情報が登録されている。接続情報は、図示しない保守装置リスト管理部によって管理される。
【0039】
被保守装置リスト格納部57(第2記憶部の一例)には、被保守装置リスト57aが保存されている。
図5は、被保守装置リスト57aを示している。被保守装置リスト57aは、前述のように、被保守装置リスト管理部51によって管理されている。被保守装置リスト57aの各被保守装置は、通信システム1にアクセスすることが許されている被保守装置の「名称」及び「装置ID」を含んでいる。
なお、図示していないが、各被保守装置に接続可能な一又は複数の保守装置は予め設定されており、被保守装置リスト57aに登録されている。
被保守装置リスト管理部51は、アラートを受信すれば、被保守装置リスト57aに異常通知情報を記録し、異常通知情報を送信した被保守装置から又は保守装置から異常解除情報を受信すれば、被保守装置リスト57aから異常通知情報の記録を消去する。
【0040】
図5に示すように、被保守装置リスト57aは、各被保守装置が異常通知情報をセンター装置5に対してすでに送信しているか否かを示す「状態情報」を含んでいる。状態情報は、異常通知情報を記録した場合の異常と、それ以外の正常のいずれかであるまた、被保守装置リスト57aは、さらに、接続ジョブがすでに作成されて保守装置が接続中であるか否かを示す「接続情報」を含んでいる。
これら情報がディスプレイに示されることで、センター装置5のオペレータは、現在いずれの被保守装置から異常通知情報が送られており、どの被保守装置に保守装置が接続中であるかを知ることができる。
【0041】
接続ジョブリスト格納部59には、接続ジョブリスト59aが保存されている。
図6は、接続ジョブリスト59aを示している。接続ジョブリスト59aは、1又は複数の接続ジョブを含んでいる。各接続ジョブは、「被保守装置ID」と、「接続候補ID」と、「ジョブ情報」とから構成されている。「被保守装置ID」は、例えばメンテナンスを要求している被保守装置のIDである。「接続候補ID」は、被保守装置に対して接続してもよいオペレータのIDであり、1又は複数記憶されている。「ジョブ情報」は、実際にどのオペレータが接続しているか否かを示している。
【0042】
図6では、第1被保守装置7A及び第2被保守装置7Bについてそれぞれ第1接続ジョブ及び第2接続ジョブが形成されており、第1接続ジョブには第1オペレータOp1が候補とされており、第2接続ジョブには第1オペレータOp1及び第3オペレータOp3が候補とされていることが分かる。さらに、第1接続ジョブは第1オペレータOp1によって実行中であることも分かる。
なお、接続ジョブ作成部43が接続ジョブを作成すれば、接続ジョブリスト管理部49が接続ジョブを接続ジョブリスト59aに追加する。また、接続ジョブリスト管理部49は、サーバ同士の接続が開始されると、ジョブ情報を変更する。また、接続が遮断されれば、接続ジョブリスト管理部49は、接続ジョブを接続ジョブリスト59aから削除する。
【0043】
インタフェース35は、LAN13内の端末に対して通信を実行する。また、インタフェース35は、WAN3に対して通信を実行する。
【0044】
(3)保守装置の構成
図7を用いて、第1保守装置9Aの構成を説明する。なお、第2保守装置9Bの構成は、第1保守装置9Aと同様であるので、省略する。
図7は、保守装置の構成を示す図である。第1保守装置9Aは、制御部61と、データベース格納部63と、インタフェース65とを備えている。
【0045】
制御部61は、第1保守装置9Aの全体制御を行う。制御部61は、CPU、RAM、ROMを含むコンピュータであり、メモリに保存されたプログラムを実行することで各種機能を実現する。制御部61は、ルーティングセッション確立部71と、ルーティング制御部73とを有している。
【0046】
ルーティングセッション確立部71は、第1被保守装置7A又は第2被保守装置7Bとの間にルーティングセッションを確立する。ルーティング制御部73は、ルーティングセッションを利用して、他のLANとの間で通信パケットのルーティング制御を行う。
【0047】
データベース格納部63は、センター装置情報格納部81を有している。センター装置情報格納部81には、センター装置情報が記憶されている。センター装置情報は、図示しないが、センター装置5の名称とIDとから構成されている。
【0048】
(4)被保守装置の構成
図8を用いて、第1被保守装置7Aの構成を説明する。なお、第2被保守装置7Bの構成の説明は、第1被保守装置7Aと同様であるので、省略する。
図8は、被保守装置の構成を示す図である。第1被保守装置7Aは、制御部91と、データベース格納部93と、インタフェース95とを備えている。
【0049】
制御部91は、第1被保守装置7Aの全体制御を行う。制御部91は、CPU、RAM、ROMを含むコンピュータであり、メモリに保存されたプログラムを実行することで各種機能を実現する。制御部91は、ルーティングセッション確立部101と、ルーティング制御部103と、異常判定部107と、異常通知情報送信部109とを有している。
【0050】
ルーティングセッション確立部101は、第1被保守装置7Aと第1保守装置9A又は第2保守装置9Bとの間にルーティングセッションを確立する。ルーティング制御部103は、ルーティングセッションを利用して、他のLANとの間で通信パケットのルーティング制御を行う。
異常判定部107は、接続された保守対象システムから所定のデータを受信し、予め登録された情報に基づいて保守対象システムに異常が発生したか否かを判断する。
異常通知情報送信部109は、アラート発行が必要な場合に、被保守装置特定情報と異常通知情報とを、センター装置5に送信する。
【0051】
データベース格納部93は、センター装置情報格納部111を有している。センター装置情報格納部111には、センター装置情報が記憶されている。センター装置情報は、図示しないが、センター装置5の名称とIDとから構成されている。
(5)異常発生時の接続制御動作
図9〜
図12を用いて、被保守装置に対して保守対象システムから異常信号が送信されてから、保守装置が被保守装置に接続して保守対象システムの異常を解消するまでの制御動作を説明する。
【0052】
(5−1)被保守装置の異常発生通知制御動作
最初に、
図9を用いて、被保守装置の制御動作を説明する。
図9は、保守対象システムの異常発生の判定及び異常発生の場合の被保守装置の制御動作を示すフローチャートである。
【0053】
以下の実施形態では、第1被保守装置7Aの制御動作を説明する。
ステップS1では、第1被保守装置7Aの異常判定部107が、MIB(Management Information Base)を参照することで監視対象である第1保守対象システム15A又は第2保守対象システム15Bの情報を取得したか否かを判断する。「No」であればプロセスはステップS2に移行し、「Yes」であればプロセスはステップS2をスキップしてステップS3に移行する。
【0054】
ステップS2では、異常判定部107が、保守対象システム15A又は15BからTRAPを受信したか否かを判断する。TRAPは、通信端末によって定期的に取得された情報である。「No」であればプロセスはステップS1に戻り、「Yes」であればプロセスはステップS3に移行する。
【0055】
ステップS3では、異常判定部107は、受信した内容を解読し、ステップS4においてアラート発行が必要か否かを判断する。「No」であればプロセスはステップS1に戻り、「Yes」であればプロセスはステップS5に移行する。
【0056】
ステップS5では、異常通知情報送信部109は、被保守装置特定情報と異常通知情報とを、センター装置5に送信する
この後、第1被保守装置7Aは、予め設定されたメールアドレスに対して異常情報をメールで知らせる。メールは自動的に送信されてもよい。これにより、オペレータは第1保守装置9Aに駆けつけて、すでに接続が完了している接続ジョブに基づいて、保守作業を実行できる。また、同じタイミング又は前後のタイミングで、異常が発生した保守対象システムのオペレータにもメールで異常情報が送られてもよい。
【0057】
(5−2)センター装置の接続ジョブ作成制御動作
次に、
図10を用いて、センター装置5の制御動作を説明する。
図10は、被保守装置から異常通知情報を受信した場合のセンター装置の制御動作を示すフローチャートである。
ステップS11では、異常通知情報受信部52は、被保守装置から被保守装置特定情報と異常通知情報を受信するのを待つ。これらを受信すれば(ステップS5に対応)、プロセスはステップS12に移行する。
【0058】
ステップS12では、被保守装置リスト管理部51は、
図5に示すように、被保守装置リスト57aに異常情報を記録する。
ステップS13では、接続ジョブ作成部43は、接続ジョブリスト59aを参照することで、第1被保守装置7Aに関連付けられた接続ジョブが存在するか否かを判断し、接続ジョブが存在しない場合には第1保守装置9Aと第1被保守装置7Aとを関連付けた接続ジョブを自動的に作成する。この装置では、接続ジョブがすでに存在する場合は新たな接続ジョブが作成されることがない。これにより、1つの被保守装置に対して複数の接続ジョブが形成されることが防止されている。その結果、接続後の作業の重複又は混乱が防止される。「Yes」であればプロセスはステップS1に戻り、「No」であればプロセスはステップS5に移行する。
【0059】
ステップS14では、接続可否判断部47は、ジョブ選択を送信してきた保守装置と被保守装置とが接続できるか否かを判断する。接続ジョブ作成部43は、接続可能な保守装置と異常通知情報を送信した被保守装置とを関連付けた接続ジョブを、自動的に作成する。
ステップS15では、接続ジョブ通知部45は、関連する保守装置に接続ジョブ更新を通知する。その後、接続が実行されると、被保守装置リスト管理部51は、
図5に示すように、接続中であることを被保守装置リスト57aに登録する。また、接続ジョブリスト管理部49は、
図6に示すように、接続中であることを接続ジョブリスト59aに登録する。
【0060】
(5−3)保守装置の接続制御動作
次に、
図11を用いて、保守装置が被保守装置に接続する制御動作を説明する。
図11は、被保守装置に接続するときの保守装置の制御動作を示すフローチャートである。
以下、第1保守装置9Aの制御動作を説明する。具体的には、第1オペレータOp1が第1保守操作端末23Aを操作して、第1保守装置9Aにアクセスしている場合を説明する。
【0061】
ステップS21では、第1保守装置9Aが第1被保守装置7Aに接続を行う。具体的には、第1保守装置9Aは、第1被保守装置7Aに対して、ルーティングセッションの確立を開始する。具体的には、ルーティングセッション確立部71が、リクエストIDを用いて、ルーティングセッションの確立要求を第1被保守装置7Aに送信する。以上の接続動作は、第1オペレータOp1が第1保守操作端末23Aを介して第1保守装置9Aを手動操作することで行われる。ただし、第1保守装置9Aが接続を自動的に行うようになっていてもよい。また、接続ジョブの種類によって、手動接続及び自動接続のいずれになるかが決められてもよい。
以上の第1保守装置9Aの動作に対して、第1被保守装置7Aのルーティングセッション確立部101は、第1保守装置9Aに対して、アクセス許可としてOKレスポンスを返信する。この結果、第1保守装置9Aと第1被保守装置7Aとの間に、メディアセッションが確立される。
メディアセッションが確立すれば、第1保守装置9Aと第1被保守装置7Aは、ルーティング対象である第1LAN17及び第3LAN25のネットワークアドレスを交換する。これにより、第1保守装置9Aと第1保守対象システム15Aとの通信が、ルーティングセッションを介して可能となる。第1オペレータOp1は、第1保守操作端末23Aを用いて、例えば、第1保守対象システム15Aに対する遠隔保守を開始できる。
【0062】
ステップS22では、ルーティング制御部73は、接続が成功したか否かを判断する。「Yes」であればプロセスはステップS23に移行し、「No」であればプロセスはステップS30に移行する。
【0063】
ステップS30では、ルーティング制御部73は、第1保守操作端末23Aに接続失敗通知を送信する。その後、プロセスはステップS32に移行する。
ステップS23では、ルーティング制御部73は、第1保守操作端末23Aに接続成功通知を送信する。
【0064】
ステップS24では、ルーティング制御部73は、センター装置5に接続成功通知を送信する。
ステップS25では、ルーティング制御部73は、作業が完了したか否かを判断する。「Yes」であればプロセスはステップS26に移行し、「No」であればプロセスはステップS31に移行する。
【0065】
ステップS31では、ルーティング制御部73は、異常終了か否かを判断する。「Yes」であればプロセスはステップS32に移行し、「No」であればプロセスはステップS25に戻って作業が完了するのを待つ。
ステップS32では、ルーティング制御部73は、センター装置5にエラー通知を送信する。
【0066】
ステップS26では、ルーティング制御部73は、第1被保守装置7Aに完了通知を送信し、それにより接続を切断する。
ステップS27では、ルーティング制御部73は、センター装置5に接続完了通知を送信する。
【0067】
ステップS28では、制御部61は、センター装置5に対して、第1オペレータOp1が実行可能な接続ジョブがあるか否かを問い合わせる。
ステップS29では、センター装置5から第1オペレータOp1が実行可能な接続ジョブがあるか否かが送信されてきて、センター装置5の制御部61は、接続ジョブリストを更新する。
【0068】
(5−4)センター装置
最後に、
図12を用いて、センター装置5の制御動作を説明する。
図12は、保守装置から接続完了を受信した場合のセンター装置の制御動作を示すフローチャートである。
ステップS41では、センター装置5の接続完了受信部50は、第1保守装置9Aから接続完了通知を受信するのを待つ。上記受信がされれば(ステップS27に対応)、プロセスはステップS42に移行する。
【0069】
ステップS42では、被保守装置リスト管理部51は、被保守装置リスト57aを参照することで、第1被保守装置7Aが異常発生状態であるか否かを判断する。この判断は、第1被保守装置7A又は第1保守装置9Aから異常解除情報を受信したか否かによって判断される。「Yes」であればプロセスはステップS41に戻り、「No」であればプロセスはステップS43に移行する。
【0070】
ステップS43では、被保守装置リスト管理部51は、第1被保守装置7Aの異常発生状態の登録を被保守装置リスト57aから消去する。また、接続ジョブリスト管理部49は、接続情報の登録を接続ジョブリスト59aから消去する。
その後、プロセスはステップS41に戻る。
【0071】
以上に述べた通信システム(通信システムの一例)は、第3サーバC(センター装置の一例)と、第1被保守装置7A(被保守装置の一例)と、第1保守装置9A(保守装置の一例)とを備えている。
第1被保守装置7Aは、接続された端末から所定のデータを受信し、予め登録された情報に基づいて端末に異常が発生したと判断すれば、被保守装置特定情報と異常通知情報とを、センター装置5に送信する異常通知情報送信部109(送信部の一例)を有している。
センター装置5は、保守装置リスト格納部55(第1記憶部の一例)と、被保守装置リスト格納部57(第2記憶部の一例)と、接続ジョブ作成部43(接続ジョブ作成部の一例)と、接続ジョブ通知部45(接続ジョブ通知部の一例)とを有している。
保守端末リスト格納部55には、複数の保守装置の情報が記録された保守装置リスト55a(保守装置リストの一例)が保存されている。
被保守装置リスト格納部57には、複数の被保守装置の情報が記録された被保守装置リスト57a(被保守装置リストの一例)が保存されている。
接続ジョブ作成部43は、被保守装置リスト57aから選んだ被保守装置と保守装置リスト55aから選んだ保守装置を関連付けた接続ジョブを作成して登録することができ、被保守装置特定情報と異常通知情報とを受信すれば、所定の保守装置と異常通知情報を送信した被保守装置とを関連付けた接続ジョブを自動的に作成する。
接続ジョブ通知部45は、関連付けられた保守装置に接続ジョブが新たに作成されたことを通知する。
関連付けられた保守装置は、新たに作成された接続ジョブの情報に基づいて、異常通知情報を送信した被保守装置に接続する。
【0072】
この通信システムでは、第1被保守装置7Aは、接続された端末から異常通知情報を受信すれば、異常通知情報送信部109は、被保守装置特定情報と異常通知情報とを、センター装置5に送信する。上記情報を受信すれば、センター装置5の接続ジョブ作成部43は、第1保守装置9A(所定の保守装置の一例)と第1被保守装置7A(異常通知情報を送信した被保守装置の一例)とを関連付けた接続ジョブを、自動的に作成する。次に、接続ジョブ通知部43は、第1保守装置9A(関連付けられた保守装置)に、接続ジョブが新たに作成されたことを通知する。
【0073】
この結果、第1保守装置9Aは、新たに作成された接続ジョブの情報に基づいて、第1被保守装置7Aに接続する。以上に述べたように、第1被保守装置7Aが端末に異常が発生したと判断してから第1保守装置9Aに接続ジョブ作成が通知されるまでの動作は、自動的に行われる。
この結果、被保守装置に接続された端末に異常が発生した場合に、保守装置から被保守装置への迅速な接続が可能になる。
【0074】
(6)他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
【0075】
(a)
図13を用いて、前記実施形態における
図9のステップS3(判定処理)の変形例を説明する。
図13は、被保守装置における判定処理の変形例のフローチャートである。
ステップS51では、異常判定部107は、接続された端末から所定のデータを受信し、予め登録された情報に基づいて端末が異常であるか否かを判断する。「Yes」であればプロセスはステップS52に移行し、「No」であればプロセスはステップS54に移行する。
ステップS52では、制御部91は、いずれかの保守装置が第1被保守装置7Aに接続中かどうかを判断する。「Yes」であればプロセスはステップS51に戻って接続が解除されるのを待ち、「No」であればプロセスはステップS53に移行する。
ステップS53では、制御部91は、アラートを送信することを決定する。
ステップS54では、制御部91は、アラートを送信しないことを決定する。
以上より、第1被保守装置7Aは、接続された保守対象システムが異常であって保守装置が接続中でない場合のみ、アラートを送信することを決定する。この結果、第1被保守装置7Aに保守装置がすでに接続している場合は、被保守装置特定情報と異常通知情報とがセンター装置5に送信されず、したがって被保守装置に関しては新たな接続ジョブが形成されない。これにより、1つの被保守装置に対して複数の接続ジョブが形成されることが防止されている。その結果、接続後の作業の重複又は混乱が防止される。