(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下図面により本発明の実施の形態について説明する。
【0014】
図1は、本発明の表示制御装置の実施形態に係るタッチパネル式情報端末装置10の電子回路の構成を示すブロック図である。
【0015】
このタッチパネル式情報端末装置10は、以下に説明するタブレットPCとして構成されるか電子黒板などとして構成される。
【0016】
このタッチパネル式情報端末装置10の電子回路には、コンピュータであるCPU11が備えられる。CPU11は、メモリ12に予め記憶された端末制御プログラム、あるいはメモリ・カードなどの外部記録媒体13から記録媒体読み取り部14を介してメモリ12に読み込まれた端末制御プログラム、あるいは通信ネットワークN上のWebサーバ(ここでは教育サーバ)20から通信部15を介してメモリ12に読み込まれた端末制御プログラムに従い、同メモリ12を作業領域として回路各部の動作を制御する。
【0017】
前記メモリ12に記憶される端末制御プログラムとしては、通信部15を介して外部の各種電子機器と通信するための通信制御プログラム、テキスト処理,テーブル処理,画像/音声再生処理,メール処理,演算処理等を行うための各種のアプリケーションプログラムの他、外部記録媒体13から読み込まれるか教育サーバ20からダウンロードされた学習教材データに基づき図と当該図に対応する公式との対応関係を効果的に学習するための表示制御処理プログラム12aが記憶される。
【0018】
前記端末制御プログラムは、キー入力部16からのユーザ操作に応じたキー入力信号、あるいはタッチパネル式カラー表示部17からのユーザ操作に応じたタッチ入力信号、あるいは通信部15を介して外部から受信される通信信号に応じて起動される。
【0019】
そして、前記メモリ12には、前記学習教材データを記憶するための学習教材データ領域12bが確保され、例えば指定された単元の公式データ(図公式対応部分データ)12cが記憶される。
【0020】
図2は、前記タッチパネル式情報端末装置10の学習教材データ領域12bに記憶される各種指定単元の公式データ(図公式対応部分データ)12cの内容を示す図である。
【0021】
この各種指定単元の公式データ(図公式対応部分データ)12cとしては、例えば小学算数・面積の単元で、長方形,台形,三角形等の図形面積に関する公式データ(図公式対応部分データ)12c1,12c2,…が記憶される。また、例えば高校物理・運動方程式の単元で、自然落下,滑車と加速度等の図解された物理量に関する公式データ(図公式対応部分データ)12c11,12c12,…が記憶される。
【0022】
例えば、
図2に示すように、台形の面積に関する公式データ(図公式対応部分データ)12c2としては、そのモデル
図ABCDEと公式[台形の面積=(上底+下底)×高さ÷2]が記憶され、当該公式を構成する各計算要素「上底」「下底」「高さ」とこれに対応付けられるモデル
図ABCDEの各部分「A−D」「B−C」「A−E」とは、それぞれ同じ色の表示色「ピンク;Pi」「レッド;Re」「ブルー;Bu」で識別可能なデータとして設定される。
【0023】
また、滑車と加速度の図解物理量に関する公式データ(図公式対応部分データ)12c12としては、水平移動する物体Mから滑車を介して垂下された重りmの重力加速度g=9.8での加速度αを表すモデル図と公式[α=mg/(M+m)]が記憶され、当該公式を構成する各計算要素「α」「m」「g」「M」とこれに対応付けられるモデル図の各部分とは、それぞれ同じ色の表示色「レッド;Re」「グリーン;Gr」「ピンク;Pi」「イエロー;Ye」で識別可能なデータとして設定される。
【0024】
また、前記メモリ12には、各種作業用の記憶領域として、表示データ領域12d、タッチ位置データ領域12e、ワークエリア12fなどが確保される。
【0025】
表示データ領域12dは、タッチパネル式カラー表示部17の表示画面領域に対応するカラービットマップデータの記憶領域を有し、この記憶領域12dには、実行中のプログラムに従い生成された表示画面データが記憶される。
【0026】
タッチ位置データ領域12eには、前記タッチパネル式カラー表示部17のユーザ操作に応じて検出されたタッチ位置の座標データが記憶される。
【0027】
このように、CPU11には、メモリ12、記録媒体読み取り部14、通信部15、キー入力部16、およびタッチパネル式カラー表示部17が接続されて構成される。
【0028】
そして、この情報端末装置10は、前記学習教材データ領域12bに記憶された指定単元の公式データ(図公式対応部分データ)12cに基づいた図と公式とがタッチパネル式カラー表示部17に表示された状態で、公式を構成する各計算要素の各部分とこれに対応する図の各部分とをそれぞれ同じ色(表示形態)にして識別表示させる機能を有する。また、表示中の公式に従いユーザにより代入された数値が、表示中の図の各対応する部分に設定された数値と一致するか否かを判断し、一致しない場合には当該公式に従い代入された数値を反転表示等により識別表示させてエラーを報知する機能を有する。
【0029】
このように構成された情報端末装置10は、CPU11が前記端末制御プログラム(12a)に記述された命令に従い回路各部の動作を制御し、ソフトウエアとハードウエアとが協働して動作することにより、以下の動作説明で述べる表示制御処理に伴う図公式対応部分識別表示機能を実現する。
【0030】
次に、前記構成の図公式対応部分識別表示機能を備えた情報端末装置10の動作について説明する。
【0031】
図3Aは、前記タッチパネル式情報端末装置10の表示制御処理(その1)を示すフローチャートである。
【0032】
図3Bは、前記タッチパネル式情報端末装置10の表示制御処理(その2)を示すフローチャートである。
【0033】
(第1実施例)
図4Aは、前記タッチパネル式情報端末装置(タブレットPC)10の表示制御処理に伴う図公式対応表示動作(その1)を示す図である。
【0034】
図4Bは、前記タッチパネル式情報端末装置(タブレットPC)10の表示制御処理に伴う図公式対応表示動作(その2)を示す図である。
【0035】
図4Cは、前記タッチパネル式情報端末装置(タブレットPC)10の表示制御処理に伴う図公式対応表示動作(その3)を示す図である。
【0036】
図4Dは、前記タッチパネル式情報端末装置(タブレットPC)10の表示制御処理に伴う図公式対応表示動作(その4)を示す図である。
【0037】
タブレットPC10のユーザ操作に応じて学習用のアプリケーション(表示制御プログラム12a)が起動され、教育サーバ20からユーザ指定の学習教材(各種単元の公式データ(図公式対応部分データ)12cを含む)がダウンロードされると、ダウンロードされた学習教材のデータ12cは学習教材データ領域12bに記憶される(ステップS1,S2)。
【0038】
そして、前記学習教材データ領域12bに記憶された各種単元の公式データ(図公式対応部分データ)12cのうち、
図4Aに示すように、ユーザにより指定された単元(例えば「小学算数・台形の面積」)の公式データ(図公式対応部分データ)12c2が読み出され、台形の図形ILとその公式F[台形の面積=(上底+下底)×高さ÷2]および当該公式Fに応じた数値代入用の公式Fn[(□+□)×□÷□=]が共に学習教材画面としてタッチパネル表示部17に表示される(ステップS3)。
【0039】
この台形の図形ILには、例題としてその上底部分、下底部分、高さ部分に、予め具体的数値が設定されている。
【0040】
なお、前記教育サーバ20からダウンロードするユーザ指定の学習教材は、各種単元あるいは指定の単元の公式データ(図公式対応部分データ)12cのみであってもよい(ステップS4,S5)。
【0041】
前記学習教材画面(17)に表示された台形の図形ILを対象として、
図4Bに示すように、当該図形ILの例えば下底部分をペン18によりタッチして指定すると(ステップS6(Yes))、指定された図形ILの下底部分について、前記公式F[台形の面積=(上底+下底)×高さ÷2]に対応するところの図形部分と合致するか否か判断される(ステップS7)。
【0042】
ここで、前記台形の図形ILの指定された下底部分について、前記公式F[台形の面積=(上底+下底)×高さ÷2]に対応する図形部分に合致すると判断されると(ステップS7(Yes))、当該台形の図形ILに対応する公式F[台形の面積=(上底+下底)×高さ÷2]および数値代入用の公式Fn[(□+□)×□÷□=]が表示されているか否かが判断される(ステップS8)。
【0043】
そして、前記台形の図形ILに対応する公式F[台形の面積=(上底+下底)×高さ÷2]および数値代入用の公式Fn[(□+□)×□÷□=]が表示されていると判断されると(ステップS8(Yes))、前記ユーザ指定された台形の図形ILの下底部分(下底と設定数値)がデフォルト設定された赤色Reで表示されると共に、前記公式Fの対応部分[下底]および前記数値代入用の公式Fnの対応部分も同色の赤色Reにより識別表示される(ステップS9)。
【0044】
この後同様に、
図4Cに示すように、前記学習教材画面(17)に表示された図形ILの上底部分と高さ部分がペン18により順次タッチされて指定されると(ステップS6(Yes))、当該指定された図形ILの上底部分(上底と設定数値)と高さ部分(高さと設定数値)が、それぞれデフォルト設定されたピンク色Piと青色Buで表示されると共に、前記公式Fの対応部分([上底]と[高さ])および前記数値代入用の公式Fnの対応部分もそれぞれ同色であるピンク色Piと青色Buにより識別表示される(ステップS7〜S9)。
【0045】
これにより、学習教材画面(17)に表示させた台形の図形ILの各部分と当該台形の面積の公式F[台形の面積=(上底+下底)×高さ÷2]および数値代入用の公式Fnを構成する各計算要素との対応関係を容易かつ明確に確認することができ、当該図形ILの各部分に設定された数値を公式F(Fn)の何処の計算要素として代入すべきか誤りなく確認できる。
【0046】
なお、前記
図4Bおよび
図4Cを参照して説明した図形ILと公式F(Fn)との対応部分の色付け識別表示処理(ステップS6〜S9)では、学習教材としてデフォルト設定された色により識別表示させる処理としているが、図形ILの各部分を指定するのと共にユーザ任意の表示色を設定することで、当該ユーザ設定された表示色によって図形ILと公式F(Fn)との対応部分を色付けし識別表示させてもよい(ステップS10〜S13)。
【0047】
そして、前記
図4Cで示したように、台形の図形ILと公式F[台形の面積=(上底+下底)×高さ÷2]および数値代入用の公式Fnとの対応部分がそれぞれ色付けされて識別表示された状態で、
図4Dに示すように、図形ILの各部分に設定された数値を参照し数値代入用の公式Fnの各対応する計算要素の部分に該当する数値を手書き入力(文字認識処理)して表示させると(ステップS14(Yes),S15)、入力操作された数式が数値代入用の公式Fnであることが判断確認され(ステップS16(Yes))、さらに、当該公式Fnに対応する図形ILが表示されていることが判断確認される(ステップS17(Yes))。
【0048】
すると、前記数値代入用の公式Fnの各要素部分に入力された数値が、それぞれ図形ILの各対応する部分および公式Fの各要素部分に設定された表示色(ピンク色Pi/赤色Re/青色Bu/黒色K)により識別表示される(ステップS18)。
【0049】
ここで、前記数値代入された公式Fnに対応した図形ILの各部分に数値が設定されていることが判断確認されると(ステップS19(Yes))、当該図形ILの各部分に設定された数値とこれに対応付けられた公式Fnの各要素部分に代入された数値とが一致するか否か判断される(ステップS20)。
【0050】
そして、公式Fnの各要素部分に代入された数値について、図形ILの各対応部分に設定された数値と一致しないと判断された場合には(ステップS20(No))、不一致であると判断された公式Fn中の数値は、反転されて表示されるかエラーメッセージが表示されて報知される(ステップS21)。
【0051】
具体的には、
図4Dに示すように、数値代入用の公式Fnの[高さ]の要素部分に代入された数値“2”が反転した青色Burで表示され、また[÷2]の定数要素部分に代入された数値“4”が反転した黒色Krで表示される。
【0052】
これにより、公式Fの各要素部分に対応して色付けされた図形ILの各部分に設定されている数値を誤りなく数値代入用の公式Fnに代入できるようになるだけでなく、もし誤った数値が入力されてしまった場合でも、誤入力された数値は反転表示あるいはエラーメッセージの表示によりユーザに報知されるので、簡単に誤りを訂正し、正しい数値を代入し直すことができる。
【0053】
(第2実施例)
図5Aは、前記タッチパネル式情報端末装置(電子黒板)10Eの表示制御処理に伴う図公式対応表示動作(その1)を示す図である。
【0054】
図5Bは、前記タッチパネル式情報端末装置(電子黒板)10Eの表示制御処理に伴う図公式対応表示動作(その2)を示す図である。
【0055】
図5Cは、前記タッチパネル式情報端末装置(電子黒板)10Eの表示制御処理に伴う図公式対応表示動作(その3)を示す図である。
【0056】
図5Dは、前記タッチパネル式情報端末装置(電子黒板)10Eの表示制御処理に伴う図公式対応表示動作(その4)を示す図である。
【0057】
電子黒板10Eにおいて、学習教材の各種単元の公式データ(図公式対応部分データ)12cが外部記録媒体13から読み取られるかあるいは教育サーバ20からダウンロードされ、学習教材データ領域12bに記憶された状態で(ステップS1〜S3/S4,S5)、
図5Aに示すように、例えば先生がタッチパネル表示部17に台形の図形ILをペン18により描画すると(ステップS22(Yes))、描画された台形の図形ILはワークエリア12fに記憶されると共に表示部17に表示される(ステップS23)。
【0058】
前記台形の図形ILの描画に続けて、当該図形ILの面積計算の公式F[台形の面積=(上底+下底)×高さ÷2]を描画すると(ステップS14(Yes))、描画された公式Fは文字認識されてワークエリア12fに記憶されると共に表示部17に表示される(ステップS15)。
【0059】
この際、入力された数式(公式F)は、数値代入用の公式Fnではないと判断され(ステップS16(No))、この時点ではこれ以降の処理ステップS17〜S21は実行されない。
【0060】
ここで、前記表示部17に描画表示されワークエリア12fに記憶された台形の図形ILとその公式F[台形の面積=(上底+下底)×高さ÷2]について、学習教材データ領域12bに記憶されている各種単元の公式データ(図公式対応部分データ)12cとの一致/不一致が判断され、単元「小学算数・台形の面積」の公式データ(図公式対応部分データ)12c2と一致すると判断されると、該当単元の公式データ12c2が用意されていることを報知する図公式アイコンMがタッチパネル表示部17の右上に表示される。
【0061】
ここで、
図5Bに示すように、台形の図形ILの上底部分をペン18により指定し、当該上底部分の表示色として、図示しないカラーメニューから緑色Grを選択して設定すると(ステップS10(Yes))、指定された上底部分について、前記公式F[台形の面積=(上底+下底)×高さ÷2]に対応するところの図形部分と合致するか否か判断される(ステップS11)。
【0062】
ここで、前記台形の図形ILの指定された上底部分について、前記公式F[台形の面積=(上底+下底)×高さ÷2]に対応する図形部分に合致すると判断されると(ステップS11(Yes))、当該台形の図形ILに対応する公式F[台形の面積=(上底+下底)×高さ÷2]が表示されているか否かが判断される(ステップS12)。
【0063】
そして、前記台形の図形ILに対応する公式F[台形の面積=(上底+下底)×高さ÷2]が表示されていると判断されると(ステップS12(Yes))、前記ユーザ指定された台形の図形ILの上底部分が前記ユーザ設定された緑色Grで表示されると共に、前記公式Fの対応部分[上底]も同色の緑色Grにより識別表示される(ステップS13)。
【0064】
またこれに伴い、前記緑色Grで表示させた図形ILの上底部分を指定して数値“3”をペン18により手書き入力(文字認識処理)して設定すると(ステップS24(Yes))、設定された数値“3”が当該図形ILの上底部分に表示される(ステップS25)。
【0065】
すると、前記指定された上底部分について、前記公式F[台形の面積=(上底+下底)×高さ÷2]に対応するところの図形部分と合致するか否か判断される(ステップS26)。
【0066】
ここで、前記台形の図形ILの指定された上底部分について、前記公式F[台形の面積=(上底+下底)×高さ÷2]に対応する図形部分に合致すると判断されると(ステップS26(Yes))、当該上底部分に設定された数値“3”が前記公式F[台形の面積=(上底+下底)×高さ÷2]の計算要素[上底]に対応付けられて記憶される(ステップS27)。
【0067】
この後同様に、
図5Cに示すように、前記表示されている図形ILの下底部分を指定して赤色Reの表示色を設定すると(ステップS10(Yes))、当該図形ILの下底部分が設定された赤色Reで表示されると共に、前記公式Fの対応部分[下底]も同色の赤色Reにより識別表示される(ステップS11〜S13)。
【0068】
またこれに伴い、前記赤色Grで表示させた図形ILの下底部分を指定して数値“7”をペン18により手書き入力(文字認識処理)して設定すると(ステップS24(Yes))、設定された数値“7”が当該図形ILの下底部分に表示され(ステップS25)、前記公式F[台形の面積=(上底+下底)×高さ÷2]の計算要素[下底]に対応付けられて記憶される(ステップS26,S27)。
【0069】
さらに同様に、
図5Cに示すように、前記表示されている図形ILの高さ部分を指定して青色Buの表示色を設定すると(ステップS10(Yes))、当該図形ILの高さ部分が設定された青色Buで表示されると共に、前記公式Fの対応部分[高さ]も同色の青色Buにより識別表示される(ステップS11〜S13)。
【0070】
またこれに伴い、前記青色Buで表示させた図形ILの高さ部分を指定して数値“4”をペン18により手書き入力(文字認識処理)して設定すると(ステップS24(Yes))、設定された数値“4”が当該図形ILの高さ部分に表示され(ステップS25)、前記公式F[台形の面積=(上底+下底)×高さ÷2]の計算要素[高さ]に対応付けられて記憶される(ステップS26,S27)。
【0071】
これにより、電子黒板10Eに表示させた台形の図形ILの各部分と当該台形の面積の公式F[台形の面積=(上底+下底)×高さ÷2]を構成する各計算要素との対応関係を、ユーザ設定した色で識別表示させて容易かつ明確に確認することができ、当該図形ILの各部分にユーザ設定した数値を公式Fの何処の計算要素として代入すべきか誤りなく確認できる。
【0072】
そして、前記
図5Cで示したように、台形の図形ILとその公式F[台形の面積=(上底+下底)×高さ÷2]との対応関係がユーザ設定された表示色により識別表示された状態で、
図5Dに示すように、例えば生徒が、図形ILの各部分に設定された数値を参照し当該数値を代入した公式Fnを手書き入力(文字認識処理)して表示させると(ステップS14(Yes),S15)、入力された数式が数値代入された公式Fnであることが判断確認され(ステップS16(Yes))、さらに、当該公式Fnに対応する図形ILが表示されていることが判断確認される(ステップS17(Yes))。
【0073】
すると、前記数値代入された公式Fnの各要素部分に入力された数値が、それぞれ図形ILの各対応する部分および公式Fの各要素部分に設定された表示色(緑色Gr/赤色Re/青色Bu/黒色K)により識別表示される(ステップS18)。
【0074】
ここで、前記数値代入された公式Fnに対応した図形ILの各部分に数値が設定されていることが判断確認されると(ステップS19(Yes))、当該図形ILの各部分に設定された数値とこれに対応付けられた公式Fnの各要素部分に代入された数値とが一致するか否か判断される(ステップS20)。
【0075】
そして、公式Fnの各要素部分に代入された数値について、図形ILの各対応部分に設定された数値と一致しないと判断された場合には(ステップS20(No))、不一致であると判断された公式Fn中の数値は、反転されて表示されるかエラーメッセージが表示されて報知される(ステップS21)。
【0076】
具体的には、
図5Dに示すように、数値代入された公式Fnの[高さ]の要素部分に代入された数値“2”が反転した青色Burで表示され、また[÷2]の定数要素部分に代入された数値“4”が反転した黒色Krで表示される。
【0077】
これにより、図形ILの色付けした各部分に対応して設定した数値を公式Fの各対応する要素部分に誤りなく代入できるようになるだけでなく、もし誤った数値が入力されてしまった場合でも、誤入力された数値は反転表示あるいはエラーメッセージの表示によりユーザに報知されるので、簡単に誤りを訂正し、正しい数値を代入し直すことができる。
【0078】
したがって、前記構成のタッチパネル式情報端末装置10の図公式対応部分識別表示機能によれば、学習教材データ領域12bに、台形の図形ILと当該台形の面積を計算する公式F[台形の面積=(上底+下底)×高さ÷2]とを、その図形の各部分と公式Fの各計算要素部分とを対応付けて記憶させ、前記図形ILとその公式Fとをタッチパネル表示部17に表示させる。そして、表示された図形ILの各部分を指定すると、この指定された図形部分が前記公式Fの計算要素部分と対応付けられて記憶された図形部分であるか否か判断され、同公式Fの計算要素部分と対応付けられた図形部分であると判断されると、当該指定された図形ILの部分と公式Fの対応する要素部分とが同じ表示色(表示形態)で識別表示される。
【0079】
これにより、タッチパネル表示部17に表示させた台形の図形ILの各部分と当該台形の面積の公式F[台形の面積=(上底+下底)×高さ÷2]を構成する各計算要素との対応関係を容易かつ明確に確認することができ、当該図形ILの各部分に設定された数値を公式Fの何処の計算要素として代入すべきか誤りなく確認できる。
【0080】
また、前記構成のタッチパネル式情報端末装置10の図公式対応部分識別表示機能によれば、学習教材データ領域12bには、複数種類の図形と当該各図形に関する値を計算する複数種類の公式とを、それぞれその図形の各部分と公式の各計算要素部分とを対応付けて記憶させ、タッチパネル表示部17にユーザ操作に応じて任意の図形と公式を描画すると、描画認識された図形と公式に対応する種類の図形と公式が前記学習教材データ領域12bに記憶されているか否か判断される。そして、ユーザにより描画された任意の図形と公式に対応する種類の図形と公式が記憶されていると判断されると、この後に指定される図形の各部分と公式の対応する要素部分とが同じ表示色(表示形態)で識別表示される。
【0081】
これにより、例えば先生が手書きで電子黒板10Eに描画した図形とその公式とを例題としてそのまま授業に利用できるだけでなく、生徒は、例題である図形の各部分と当該図形の公式を構成する各計算要素との対応関係を容易かつ明確に確認することができ、同図形の各部分に設定された数値を公式の何処の計算要素として代入すべきか誤りなく確認できる。
【0082】
また、前記構成のタッチパネル式情報端末装置10の図公式対応部分識別表示機能によれば、前記表示された図形部分を指定するのに伴いその図形部分の表示色を設定すると、当該図形部分とこれに対応する前記公式の計算要素部分とが設定された表示色で識別表示される。
【0083】
これにより、学習対象である図形の各部分とこれに対応する公式の各計算要素部分とをユーザ任意の表示色で色分けして識別表示させることができる。
【0084】
さらに、前記構成のタッチパネル式情報端末装置10の図公式対応部分識別表示機能によれば、前記表示された図形の各部分に対応付けて予め設定されたあるいはユーザ入力された数値を表示させた状態で、ユーザ操作に応じて前記表示された公式に基づき当該公式の各要素部分に数値を代入すると、代入された各要素部分の数値も該当する要素部分の表示色(表示形態)で識別表示される。そして、図形の各部分に表示された数値と当該図形の各部分に対応する公式の要素部分に代入された数値とが不一致である場合は、該当する要素部分に代入された数値が反転表示等により識別表示される。
【0085】
これにより、前記表示された図形の各部分に設定表示された数値を、ユーザ(学習者)により前記公式の各対応する計算要素部分に代入した際に、もし誤った数値が入力されてしまった場合でも、簡単にその誤りを見つけて正しい数値を代入し直すことができる。
【0086】
なお、前記実施形態では、学習教材データ領域12bに記憶させた各種指定単元の公式データ(図公式対応部分データ)12c1,12c2,…,12c11,12c12,…のうち、小学算数・面積の単元で、台形の図形面積に関する公式データ(図公式対応部分データ)12c2を学習対象にした場合の動作について説明したが、その他の単元、例えば高校物理・運動方程式の単元で、自然落下,滑車と加速度等の図解された物理量に関する公式データ(図公式対応部分データ)12c11,12c12,…を学習対象とした場合でも、前記実施形態同様の図公式対応部分識別表示機能によりそれと同様の作用効果が得られるのは勿論である。
【0087】
なお、前記実施形態において記載したタッチパネル式情報端末装置10による各処理の手法およびデータベース、すなわち、
図3Aのフローチャートに示す表示制御処理(その1)、
図3Bのフローチャートに示す表示制御処理(その2)などの各手法、および学習教材データ領域12bに記憶される各種指定単元の公式データ(図公式対応部分データ)12cなどの各データベースは、何れもコンピュータに実行させることができるプログラムとして、メモリ・カード(ROMカード、RAMカード等)、磁気ディスク(フロッピディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD等)、半導体メモリ等の外部記憶媒体23に格納して配布することができる。そして、タッチパネル式の表示部(17)を備えた電子機器のコンピュータは、この外部記憶媒体23に記憶されたプログラムを記憶装置(22)に読み込み、この読み込んだプログラムによって動作が制御されることにより、前記実施形態において説明した図公式対応部分識別表示機能を実現し、前述した手法による同様の処理を実行することができる。
【0088】
また、前記各手法を実現するためのプログラムのデータは、プログラムコードの形態としてネットワークN上を伝送させることができ、このプログラムデータを、ネットワークNに接続されたタッチパネル式の表示部(17)を備えた電子機器のコンピュータに通信部25によって取り込むことで、前述した図公式対応部分識別表示機能を実現することもできる。
【0089】
本願発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。さらに、前記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されたり、幾つかの構成要件が異なる形態にして組み合わされても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除されたり組み合わされた構成が発明として抽出され得るものである。
【0090】
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0091】
[1]
図と当該図に関係する公式とをその図の各部分と公式の各計算要素部分とを対応付けて記憶する図公式対応部分記憶手段と、
この図公式対応部分記憶手段により記憶された図と当該図に関係する公式とを表示部に表示させる図公式表示手段と、
ユーザ操作に応じて前記表示部に表示された図の任意の部分を指定する図部分指定手段と、
この図部分指定手段より指定された図の部分が前記図公式対応部分記憶手段により記憶された公式の計算要素部分に対応付けられた図の部分であるか否かを判断する図部分判断手段と、
この図部分判断手段により前記ユーザ操作に応じて指定された図の部分が前記公式の計算要素部分に対応付けられた図の部分であると判断された場合に、当該図の部分と対応する公式の計算要素部分とを同じ表示形態で識別表示させる対応部分識別表示手段と、
を備えたことを特徴とする表示制御装置。
【0092】
[2]
前記図公式対応部分記憶手段は、複数種類の図と当該各図に関係する複数種類の公式とをそれぞれその図の各部分と公式の各計算要素部分とを対応付けて記憶し、
ユーザ操作に応じて前記表示部に図と公式を入力して表示させる図公式入力手段と、
この図公式入力手段により前記表示部に表示された図と公式が前記図公式対応部分記憶手段により記憶された何れかの図と公式に対応する図と公式であるかを判断する図公式判断手段とを備え、
前記図部分判断手段は、前記図公式判断手段により前記表示部に表示された図と公式が前記図公式対応部分記憶手段により記憶された何れかの図と公式に対応する図と公式であると判断された場合に、前記図部分指定手段より指定された図の部分が前記図公式対応部分記憶手段により記憶された公式の計算要素部分に対応付けられた図の部分であるか否かを判断する、
ことを特徴とする[1]に記載の表示制御装置。
【0093】
[3]
ユーザ操作に応じて前記図部分指定手段より指定された図の部分に任意の表示形態を設定する表示形態設定手段を備え、
前記対応部分識別表示手段は、前記図部分判断手段により前記ユーザ操作に応じて指定された図の部分が前記公式の計算要素部分に対応付けられた図の部分であると判断された場合に、当該図の部分とこれに対応する公式の計算要素部分とを前記表示形態設定手段により設定された表示形態で識別表示させる、
ことを特徴とする[1]または[2]に記載の表示制御装置。
【0094】
[4]
前記表示部に表示された図の部分に対応付けて数値を入力して表示させる図部分数値入力手段と、
ユーザ操作に応じて前記表示部に表示された公式の各計算要素部分に対応した数値を代入する公式要素数値代入手段と、
この公式要素数値代入手段により代入された数値を前記対応部分識別表示手段により識別表示された該当する図の部分および公式の計算要素部分と同じ表示形態で識別表示させる代入数値識別表示手段と、
前記公式要素数値代入手段により前記公式の各計算要素部分に対応して代入された数値が前記図部分数値入力手段により当該計算要素部分と対応する図の部分に対応付けて入力された数値と一致するか否かを判断する代入数値正誤判断手段と、
この代入数値正誤判断手段により前記公式の計算要素部分に対応して代入された数値が不一致と判断された場合に、当該数値を識別表示させる代入誤り識別表示手段と、
を備えたことを特徴とする[1]ないし[3]の何れかに記載の表示制御装置。
【0095】
[5]
メモリと表示部を備えた電子機器のコンピュータを制御するためのプログラムであって、
前記コンピュータを、
図と当該図に関係する公式とをその図の各部分と公式の各計算要素部分とを対応付けてメモリに記憶させる図公式対応部分記憶手段、
この図公式対応部分記憶手段により記憶された図と当該図に関係する公式とを表示部に表示させる図公式表示手段、
ユーザ操作に応じて前記表示部に表示された図の任意の部分を指定する図部分指定手段、
この図部分指定手段より指定された図の部分が前記図公式対応部分記憶手段により記憶された公式の計算要素部分に対応付けられた図の部分であるか否かを判断する図部分判断手段、
この図部分判断手段により前記ユーザ操作に応じて指定された図の部分が前記公式の計算要素部分に対応付けられた図の部分であると判断された場合に、当該図の部分と対応する公式の計算要素部分とを同じ表示形態で識別表示させる対応部分識別表示手段、
として機能させるためのプログラム。