特許第6051556号(P6051556)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6051556
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】内燃機関
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/24 20060101AFI20161219BHJP
   F01N 1/02 20060101ALI20161219BHJP
   F01N 1/00 20060101ALI20161219BHJP
   F01N 13/08 20100101ALI20161219BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   F01N3/24 N
   F01N3/24 J
   F01N1/02 E
   F01N1/00 E
   F01N13/08 E
   B01D53/94 100
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-65949(P2012-65949)
(22)【出願日】2012年3月22日
(65)【公開番号】特開2013-194705(P2013-194705A)
(43)【公開日】2013年9月30日
【審査請求日】2015年2月25日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068021
【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 信雄
(72)【発明者】
【氏名】高津 秀久
(72)【発明者】
【氏名】山本 淳氏
(72)【発明者】
【氏名】中野 純
(72)【発明者】
【氏名】村上 茂樹
【審査官】 稲村 正義
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−137720(JP,A)
【文献】 実開平01−080618(JP,U)
【文献】 実開昭57−198317(JP,U)
【文献】 特開2003−222013(JP,A)
【文献】 特開昭56−115810(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 1/00−13/20
B01D 53/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に燃焼室が形成された内燃機関本体と、前記内燃機関本体の排気流路に配設され、排気ガスを浄化する触媒および前記触媒を収容する触媒部を有する触媒コンバータと、前記触媒コンバータの触媒よりも上流側の前記排気流路に設けられ、排気ガス流れの圧力脈動の周期を変えることにより排気ガス流れと前記触媒コンバータの触媒部との共鳴を回避するように構成された突起とを備え
前記触媒コンバータは、前記触媒部に接続され、排気ガスを前記触媒部に導入する上流側排気ガス管部を有し、前記上流側排気ガス管部は、その上流端にフランジを有し、前記突起は、前記フランジの内径部の一部に設けられることを特徴とする内燃機関。
【請求項2】
前記触媒コンバータは、前記触媒部に接続され、排気ガスを前記触媒部から排出する下流側排気ガス管部有し、前記突起は、前記上流側排気ガス管部の上流端の内壁面に設けられる請求項1に記載の内燃機関。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒コンバータを備えた内燃機関に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、内燃機関において、排気ガスを浄化する触媒を有する触媒コンバータを、内燃機関本体に取り付けた排気ガス管の管路中に配設している。
【0003】
触媒コンバータを備えた内燃機関は、例えば特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−174343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
排気ガスを浄化する触媒の大きさや構造、内燃機関本体から触媒に至るまでの排気ガス管の形状等により、排気ガス流れによる共鳴現象が触媒コンバータで発生する場合がある。
【0006】
排気ガス流れによる触媒コンバータの共鳴現象を軽減させる方法として、例えば、以下の(1)〜(3)に示すものがある。
(1)ヘルムホルツ型共鳴器により共鳴音を打ち消す。
(2)整流板を排気ガス管の管路中に設けることで、排気ガス流れの圧力脈動を低減させる。
(3)排気ガス管を絞ることで(管内径小径化)、排気ガス流れの圧力脈動を低減させる。
【0007】
上記の(1)〜(3)に示す方法により排気ガス流れによる触媒コンバータの共鳴現象を軽減させることは可能であるが、車両レイアウト上の問題並びに製造上の問題(コスト高)や、他性能への悪影響があり、必ずしも上記の(1)〜(3)に示す方法を採用出来るとは限らない。
【0008】
そこで、本発明の目的は、車両レイアウト上の問題並びに製造上の問題(コスト高)や、他性能への悪影響を招くことなく、排気ガス流れによる触媒コンバータの共鳴現象を軽減させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するために、本発明に係る内燃機関は、内部に燃焼室が形成された内燃機関本体と、前記内燃機関本体の排気流路に配設され、排気ガスを浄化する触媒を有する触媒コンバータとを備え、前記触媒コンバータの触媒よりも上流側の前記排気流路に、前記排気流路内の排気ガスの流れを乱して排気ガスの圧力脈動を低減させる突起を設けたことを特徴とするものである。
【0010】
前記触媒コンバータは、前記触媒を収容する触媒部と、前記触媒部に接続され、排気ガスを前記触媒部に導入する上流側排気ガス管部と、前記触媒部に接続され、排気ガスを前記触媒部から排出する下流側排気ガス管部とを有し、前記突起は、前記上流側排気ガス管部の上流端の内壁面に設けられても良い。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、車両レイアウト上の問題並びに製造上の問題(コスト高)や、他性能への悪影響を招くことなく、排気ガス流れによる触媒コンバータの共鳴現象を軽減させることが出来るという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る内燃機関(過給機付内燃機関)の概略構成図である。
図2】(a)は触媒コンバータの側面図であり、(b)は(a)のA−A線矢視図である。
図3】触媒コンバータ出口音の測定結果を示す図である。
図4】本発明の他の実施形態に係る内燃機関(自然吸気内燃機関)の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0014】
図1に本発明の一実施形態に係る内燃機関を示す。
【0015】
図1に示す本実施形態に係る内燃機関(エンジン)1は、車両に搭載されるものであって、ターボチャージャ(過給機)5が装着された過給機付内燃機関(過給機付エンジン)である。図示例では、内燃機関1は直列4気筒エンジンであるが、内燃機関1は、単気筒エンジンや、直列6気筒エンジン及びV型6気筒エンジン等の他の多気筒エンジンであっても良い。
【0016】
内燃機関1は、内部に燃焼室4が形成された内燃機関本体(エンジン本体)3(例えば、ディーゼルエンジンやガソリンエンジン等)と、内燃機関本体3に取り付けられ、吸気流路6の一部を形成する吸気マニホールド7と、内燃機関本体3に取り付けられ、排気流路8の一部を形成する排気マニホールド9と、吸気流路6及び排気流路8に配設され、内燃機関本体3に供給する吸気を昇圧するためのターボチャージャ5と、排気流路8に配設され、排気ガスを浄化する触媒11を有する触媒コンバータ10とを備える。
【0017】
ターボチャージャ5は、排気流路8に配設されたタービン5aと、吸気流路6に配設されたコンプレッサ5bとを有する。タービン5aよりも下流側の排気流路8には、触媒コンバータ10や、図示しないマフラー等が設けられる。コンプレッサ5bよりも上流側の吸気流路6には、図示しないエアフィルタ等が設けられ、コンプレッサ5bよりも下流側の吸気流路6には、インタークーラ6a等が設けられる。
【0018】
図2に触媒コンバータ10を示す。
【0019】
図2に示す本実施形態の触媒コンバータ10は、車両の床下(アンダーフロア)に配置されるものではなく、排気マニホールド9に直接接続され又は排気マニホールド9にタービン5aを挟んで接続される所謂マニホールドコンバータと称されるものである。
【0020】
本実施形態の触媒11は、排気ガス中のHC(炭化水素)、CO(一酸化炭素)を酸化して無害化する酸化触媒(DOC)である。なお、触媒11は、酸化触媒には限定はされず、排気ガス中のNOx(窒素酸化物)を還元するNOx選択還元触媒(SCR)やNOx吸蔵還元触媒(LNT)等の他の触媒であっても良い。
【0021】
触媒コンバータ10は、触媒11を収容する略円筒状の触媒部(キャタリスト部)12と、触媒部12に接続され、排気ガスを触媒部12に導入する上流側排気ガス管部13と、触媒部12に接続され、排気ガスを触媒部12から排出する下流側排気ガス管部14とを備える。
【0022】
上流側排気ガス管部13は、触媒部12の上流端に接続された排気ガス管(上流側排気ガス管)15と、排気ガス管15の上流端に固定され、触媒コンバータ10の上流端(コンバータ入口)をタービン5aの下流端(タービン出口)と締結するフランジ(上流側フランジ)16とから主に構成されている。
【0023】
下流側排気ガス管部14は、触媒部12の下流端に接続された排気ガス管(下流側排気ガス管)17と、排気ガス管17の下流端に固定され、触媒コンバータ10の下流端(コンバータ出口)を下流側の排気ガス管(図示せず)と締結するフランジ(下流側フランジ)18とから主に構成されている。
【0024】
ここで、本実施形態に係る内燃機関1では、タービン5aと触媒コンバータ10の触媒11との間の排気流路8に、排気流路8内の排気ガスの流れを乱して排気ガスの圧力脈動を低減させる突起19を設けている(図1参照)。
【0025】
より詳細には、触媒コンバータ10の上流端をタービン5aの下流端と締結するフランジ16の内径部に、突起19を設けている。即ち、突起19は、触媒コンバータ10における上流側排気ガス管部13の上流端の内壁面に設けられている。
【0026】
突起19の大きさや位置は、特に他性能への影響(エンジン排圧の上昇等)を考慮して、実験やシミュレーション等の結果(コンバータ出口音)に基づいて決定することが考えられる。例えば、突起19の高さhは、フランジ16の内径dの0.25倍程度に設定される(図2(b)参照)。
【0027】
次に、本実施形態に係る内燃機関1の作用効果を説明する。
【0028】
ここで、本発明に至る試験により以下の(1)〜(5)に示すことが分かった。
(1)排気ガス流れによる共鳴音の発生は、エンジン回転数に依存しない。
(2)共鳴音の発生は、触媒コンバータの圧力損失の大小にも依存しない。
(3)排気ガス流れによる共鳴音の発生はターボチャージャのブースト圧(ガス流量)に関係し、ブースト圧が大きい場合に発生する。
(4)排気ガス流れによる共鳴音の発生は触媒コンバータの触媒部の容積に関係し、触媒部の容積がある一定以上大きい場合に発生する。
(5)触媒コンバータ上流の排気ガス流れの圧力脈動が触媒コンバータの触媒部で増幅され(共振)、異音(共鳴音)となっている。
【0029】
また、排気ガス流れによる共鳴音は、飲料瓶の口元に息を吹きかけたときに音が発生する現象と同じ原理(共鳴現象)で発生していると考えられる。
【0030】
そこで、本実施形態に係る内燃機関1では、タービン5aと触媒コンバータ10の触媒11との間の排気流路8に突起19を設け、排気流路8内の排気ガス流れを積極的に乱して、排気ガス流れの圧力脈動を低減させる。
【0031】
タービン5aから排出される排気ガスは、タービン5aのタービン翼の枚数による排気ガス流れの圧力脈動を持っている。その排気ガス流れの圧力脈動が触媒コンバータ10の触媒部12の共鳴周波数に一致すると、共鳴音が触媒コンバータ10の触媒部12で発生する。
【0032】
このような状況において、タービン5aと触媒コンバータ10の触媒11との間の排気流路8に突起19を設けることにより、排気ガス流れの圧力脈動の周期(周波数)を乱し、排気ガス流れの圧力脈動の周期を変えることにより、排気ガス流れと触媒コンバータ10の触媒部12との共鳴を回避することが出来、触媒コンバータ10での異音(共鳴音)の発生を抑制することが可能となる。
【0033】
また、タービン5aと触媒コンバータ10の触媒11との間の排気流路8に突起19を設けることにより、突起19によってカルマン渦を積極的に発生させ、そのカルマン渦を排気流路8内の排ガス流れに合流させることで、タービン5aのタービン翼において生じた排気ガス流れの圧力脈動の脈動成分(脈動振幅)を乱し、触媒コンバータ10の共鳴現象を引き起こす排気ガス流れの圧力脈動の脈動成分の低減を図る。排気ガス流れの圧力脈動の脈動成分を低減することにより、排気ガス流れと触媒コンバータ10の触媒部12との共鳴を回避することが出来、触媒コンバータ10での異音(共鳴音)の発生を抑制することが可能となる。
【0034】
触媒コンバータ10への突起19の追加は触媒コンバータ10の外観に変化を生じさせるものではないので、車両レイアウト上の問題を招くことはない。また、触媒コンバータ10に追加される突起19は排気ガス流れを僅かに乱す程度の比較的小さなもので良いので、製造上の問題(コスト高)や、他性能への悪影響(エンジン排圧の上昇等)を招くこともない。
【0035】
さらに、本実施形態に係る内燃機関1では、触媒コンバータ10の上流端をタービン5aの下流端と締結するフランジ16の内径部に、突起19を設けている。即ち、突起19は、触媒コンバータ10における上流側排気ガス管部13の上流端の内壁面に設けられている。上流側排気ガス管部13の上流端(フランジ16)に突起19を設けるのは、この突起19の成形乃至加工が上流側排気ガス管15等の途中に突起19を設ける場合と比較して容易であるためである。
【0036】
図3に触媒コンバータ出口音を測定した結果を示す。
【0037】
図3から分かるように、突起が無い場合(突起無し)には、エンジン回転数が2000rpmを超えると、触媒コンバータ出口音が急激に大きくなり、共鳴が生じる。一方、図3から分かるように、突起が有る場合(突起有り)には、エンジン回転数が2000rpmを超えても、触媒コンバータ出口音が急激に大きくはならない。また、図3から分かるように、突起が有る場合には、エンジン回転数が2000rpmを超える領域において、触媒コンバータ出口音を突起が無い場合と比べて10dB(A)程度低減することが出来る。
【0038】
以上要するに、本実施形態に係る内燃機関1によれば、車両レイアウト上の問題並びに製造上の問題(コスト高)や、他性能への悪影響を招くことなく、排気ガス流れによる触媒コンバータ10の共鳴現象を軽減させることが可能となる。
【0039】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態には限定されず他の様々な実施形態を採ることが可能である。
【0040】
例えば、上述の実施形態では、本発明を過給機付内燃機関に適用したが、本発明は自然吸気内燃機関(自然吸気エンジン)にも適用することが可能である。本発明を自然吸気内燃機関に適用する場合、図4に示す内燃機関2のように、触媒コンバータ10の触媒11よりも上流側の排気流路8に、排気流路8内の排気ガスの流れを乱して排気ガスの圧力脈動を低減させる突起19を設ける。この場合も、タービン出口とコンバータ入口とを締結するフランジ16の内径部に突起19を有する触媒コンバータ10(図2参照)を用いることが出来、上述の実施形態と同様に、車両レイアウト上の問題並びに製造上の問題(コスト高)や、他性能への悪影響を招くことなく、排気ガス流れによる触媒コンバータの共鳴現象を軽減させることが出来る。
【0041】
即ち、内燃機関本体3から排出される排気ガスは、内燃機関本体3の燃焼室4の数による排気ガス流れの圧力脈動を持っている。その排気ガス流れの圧力脈動が触媒コンバータ10の触媒部12の共鳴周波数に一致すると、共鳴音が触媒コンバータ10の触媒部12で発生する。このような状況において、触媒コンバータ10の触媒11よりも上流側の排気流路8に突起19を設けることにより、排気ガス流れの圧力脈動の周期(周波数)を乱し、排気ガス流れの圧力脈動の周期を変えることにより、排気ガス流れと触媒コンバータ10の触媒部12との共鳴を回避することが出来、触媒コンバータ10での異音(共鳴音)の発生を抑制することが可能となる。また、触媒コンバータ10の触媒11よりも上流側の排気流路8に突起19を設けることにより、内燃機関本体3の燃焼室4において生じた排気ガス流れの圧力脈動の脈動成分(脈動振幅)を乱し、排気ガス流れの圧力脈動の脈動成分を低減することにより、排気ガス流れと触媒コンバータ10の触媒部12との共鳴を回避することが出来、触媒コンバータ10での異音(共鳴音)の発生を抑制することが可能となる。
【0042】
さらに、タービン出口とコンバータ入口とを締結するフランジ16の内径部に突起19を設けることに代えて、図1に示す内燃機関(過給機付内燃機関)1においては、タービン5aの下流端の内壁面に突起19を設けても良い。また、図4に示す内燃機関(自然吸気内燃機関)2においては、排気マニホールド9の下流端(マニホールド出口)の内壁面に突起19を設けても良い。これらのようにしても、上述の実施形態と同様に、車両レイアウト上の問題並びに製造上の問題(コスト高)や、他性能への悪影響を招くことなく、排気ガス流れによる触媒コンバータの共鳴現象を軽減させることが出来る。
【符号の説明】
【0043】
1 内燃機関(過給機付内燃機関)
2 内燃機関(自然吸気内燃機関)
3 内燃機関本体
4 燃焼室
8 排気流路
10 触媒コンバータ(マニホールドコンバータ)
11 触媒
12 触媒部
13 上流側排気ガス管部
14 下流側排気ガス管部
19 突起
図1
図2
図3
図4