(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
作動流体が充填された共鳴管に、加熱部とスタックと冷却部とが配設された複数の熱音響機関と、前記複数の熱音響機関の前記共鳴管を多段に接続する接続管と、最上段に位置する前記熱音響機関の前記共鳴管に接続された吸入管と、前記吸入管に取り付けられ、最上段に位置する前記熱音響機関側に向かう流れを許容し且つ逆方向の流れを阻止する吸入用逆止弁と、前記接続管に取り付けられ、上段に位置する前記熱音響機関側から下段に位置する前記熱音響機関側に向かう流れを許容し且つ逆方向の流れを阻止する接続用逆止弁と、最下段に位置する前記熱音響機関の前記共鳴管に接続された吐出管と、前記吐出管に取り付けられ、最下段に位置する前記熱音響機関側に向かう流れを阻止し且つ逆方向の流れを許容する吐出用逆止弁とを備え、
前記共鳴管は、下段側の前記熱音響機関ほど、前記共鳴管内に生じる音波の共鳴周波数が低くなるように設定されることを特徴とする熱音響ポンプ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のピストンポンプにおいては、ピストンとシリンダとの間はピストンシールによりシールするが、そのシールは通常接触シールであるためシールの耐久性が低いという問題があった。また、シールの耐久性を高めるためにはシール部をオイルで潤滑する必要があるが、オイルの循環や圧縮空気へのオイル混入に注意する必要があり、フィルタやエアードライヤ等によりオイルを取り除く必要があった。
【0006】
また、近年、機械的な可動部分が無い所謂熱音響機関の開発研究が活発に行われており(例えば、特開2011−208911号公報参照)、熱音響機関内部で発生する圧力変動を利用することでピストン等の可動部品の無いポンプが実現され得る。しかしながら、熱音響機関内部に発生可能な圧力振幅は加熱部と冷却部との温度差に比例して増大するが、熱源温度が低い場合には大きな圧力振幅が得られず、必要な空気圧(圧力)が得られない場合がある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、ピストン等の可動部品が無く、耐久性が高く、且つ、熱音響機関を利用する際に、熱源温度を上げることなく必要な圧力を得ることができるポンプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、本発明に係る熱音響ポンプは、作動流体が充填された共鳴管に、加熱部とスタックと冷却部とが配設された複数の熱音響機関と、前記複数の熱音響機関の前記共鳴管を多段に接続する接続管と、最上段に位置する前記熱音響機関の前記共鳴管に接続された吸入管と、前記吸入管に取り付けられ、最上段に位置する前記熱音響機関側に向かう流れを許容し且つ逆方向の流れを阻止する吸入用逆止弁と、前記接続管に取り付けられ、上段に位置する前記熱音響機関側から下段に位置する前記熱音響機関側に向かう流れを許容し且つ逆方向の流れを阻止する接続用逆止弁と、最下段に位置する前記熱音響機関の前記共鳴管に接続された吐出管と、前記吐出管に取り付けられ、最下段に位置する前記熱音響機関側に向かう流れを阻止し且つ逆方向の流れを許容する吐出用逆止弁とを備え、前記共鳴管は、下段に位置する前記熱音響機関の前記共鳴管内に生じる音波の共鳴周波数が上段に位置する前記熱音響機関の前記共鳴管内に生じる音波の共鳴周波数より低くなるように設定されるものである。
【0009】
前記共鳴管の管路長を下段側の前記熱音響機関ほど長くすることで、前記共鳴管は、下段に位置する前記熱音響機関の前記共鳴管内に生じる音波の共鳴周波数が上段に位置する前記熱音響機関の前記共鳴管内に生じる音波の共鳴周波数より低くなるように設定されても良い。
【0010】
前記熱音響ポンプは、前記吐出用逆止弁よりも下流の前記吐出管に配設され、前記吐出用逆止弁を通過した作動流体を貯留するタンクをさらに備えても良い。
【0011】
前記熱音響ポンプは、前記接続管に配設されたサージタンクをさらに備えても良い。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ピストン等の可動部品が無く、耐久性が高く、且つ、熱音響機関を利用する際に、熱源温度を上げることなく必要な圧力を得ることができるポンプを提供することができるという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0015】
本発明の一実施形態に係る熱音響ポンプの構造を
図1に示す。
【0016】
図1に示すように、本実施形態に係る熱音響ポンプ10は、複数(本実施形態では、二つ)の熱音響機関11と、接続管12と、吸入管13と、第一チェック弁(吸入用逆止弁)14と、第二チェック弁(接続用逆止弁)15と、吐出管16と、第三チェック弁(吐出用逆止弁)17と、タンク(エアータンク)18とを備えている。
【0017】
各熱音響機関11は、作動流体が充填された共鳴管20に、加熱部(加熱器)21とスタック(再生器)22と冷却部(冷却器)23とを配設して構成されている。共鳴管20内の作動流体を加熱部21において局所的に加熱し、冷却部23において冷却すると、熱エネルギの一部が力学的エネルギである音響エネルギに変換されて共鳴管20内の作動流体が自励振動を起こし、共鳴管20内に音響振動すなわち音波が発生する。
【0018】
共鳴管20は、ループ状(矩形ループ)に形成されたループ管部24と、直線状に形成され、ループ管部24に接続された直線管部25とを有する。本実施形態では、加熱部21、スタック22及び冷却部23は、ループ管部24に配設されている。作動流体には、空気、ヘリウム、窒素、アルゴン等の気体(圧縮性流体)を用いるのが好ましい。
【0019】
本実施形態に係る熱音響ポンプ10では、共鳴管20は、下段に位置する熱音響機関11の共鳴管20内に生じる音波の共鳴周波数が上段に位置する熱音響機関11の共鳴管20内に生じる音波の共鳴周波数より低くなるように設定されている。共鳴管20は、共鳴管20の管路長、共鳴管20の管路太さを適宜変更することで、その共鳴管20内に生じる音波の共鳴周波数を設定することができる。本実施形態では、直線管部25の管路長を下段側の熱音響機関11ほど長くすることで、共鳴管20は、下段に位置する熱音響機関11の共鳴管20内に生じる音波の共鳴周波数が上段に位置する熱音響機関11の共鳴管20内に生じる音波の共鳴周波数より低くなるように設定されている。
【0020】
ここで、スタック22の内部で行われる熱交換は、作動流体の角速度ω(オメガ)と作動流体の熱緩和時間τ(タウ)との積で定義されるωτにより決定される。また、作動流体の角速度ωは、ω=2πfにより求められる。但し、fは作動流体の周波数(音波の共鳴周波数)である。さらに、作動流体の熱緩和時間τは、流路壁部(後述する金属メッシュ材料27の骨格材)の温度と流路内の作動流体の温度とが平衡になるまでの時間を表し、τ=r
2/(2α)により求められる。但し、rは流路径(
図1のA−A断面参照)であり、αは作動流体の熱拡散係数である。上段に位置する熱音響機関11のスタック22におけるωτと、下段に位置する熱音響機関11のスタック22におけるωτとが等しくなるように共鳴周波数を設定するのが好ましい。
【0021】
加熱部21は、高温熱源との熱交換を行うものである。加熱部21は、加熱部21内に流路(ループ管部24の長手方向)と平行になるように複数配設された内部フィン26を有している。また、高温熱源には、他のシステムで生じた廃熱(車両廃熱や工場廃熱等)を用いるのが好ましい。
【0022】
スタック22は、加熱部21と冷却部23との間で温度勾配を保持するものである。スタック22は、スタック22内に流路(ループ管部24の長手方向)を横断するように複数積層された金属メッシュ材料(例えば、金網)27を有している。
【0023】
冷却部23は、低温熱源との熱交換を行うものである。冷却部23は、冷却部23内に流路(ループ管部24の長手方向)と平行になるように複数配設された内部フィン28を有している。
【0024】
接続管12は、複数の熱音響機関11の共鳴管20(本実施形態では、直線管部25)を多段に接続するためのものである。接続管12は、ループ管部24及び直線管部25よりも十分に径が小さい細管からなる。接続管12は、各熱音響機関11に対して、共鳴管20内の圧力変動が最も大きくなる箇所に接続するのが好ましい。また、接続管12は、各熱音響機関11に対して、熱音響機関11のエンジン部分(加熱部21、スタック22、冷却部23)から離れた箇所に接続するのが好ましい。
【0025】
吸入管13は、最上段に位置する熱音響機関11の共鳴管20(本実施形態では、直線管部25)に接続され、作動流体を最上段に位置する熱音響機関11の共鳴管20内に吸入するためのものである。吸入管13は、ループ管部24及び直線管部25よりも十分に径が小さい細管からなる。吸入管13の下流端は、最上段に位置する熱音響機関11に対して、共鳴管20内の圧力変動が最も大きくなる箇所に接続するのが好ましい。また、吸入管13の下流端は、最上段に位置する熱音響機関11に対して、熱音響機関11のエンジン部分(加熱部21、スタック22、冷却部23)から離れた箇所に接続するのが好ましい。本実施形態では、吸入管13の上流端は、大気開放されている。
【0026】
第一チェック弁14は、最上段に位置する熱音響機関11の共鳴管20に向かって作動流体が流れるように吸入管13に取り付けられている。すなわち、第一チェック弁14は、最上段に位置する熱音響機関11側に向かう流れを許容し、その逆方向の流れを阻止するものである。第一チェック弁14の開弁圧(セット荷重)は、例えば、第一チェック弁14の上流側圧力が下流側圧力よりも大きくなると開弁するように設定される。
【0027】
第二チェック弁15は、上段に位置する熱音響機関11の共鳴管20から下段に位置する熱音響機関11の共鳴管20に向かって作動流体が流れるように接続管12に取り付けられている。すなわち、第二チェック弁15は、上段に位置する熱音響機関11側から下段に位置する熱音響機関11側に向かう流れを許容し、その逆方向の流れを阻止するものである。第二チェック弁15の開弁圧(セット荷重)は、例えば、第二チェック弁15の上流側圧力が下流側圧力よりも大きくなると開弁するように設定される。
【0028】
吐出管16は、最下段に位置する熱音響機関11の共鳴管20(本実施形態では、直線管部25)に接続され、作動流体を最下段に位置する熱音響機関11の共鳴管20内から吐出するためのものである。吐出管16は、ループ管部24及び直線管部25よりも十分に径が小さい細管からなる。吐出管16の上流端は、最下段に位置する熱音響機関11に対して、共鳴管20内の圧力変動が最も大きくなる箇所に接続するのが好ましい。また、吐出管16の上流端は、最下段に位置する熱音響機関11に対して、熱音響機関11のエンジン部分(加熱部21、スタック22、冷却部23)から離れた箇所に接続するのが好ましい。本実施形態では、吐出管16の下流端は、タンク18に接続されている。
【0029】
第三チェック弁17は、最下段に位置する熱音響機関11の共鳴管20からタンク18に向かって作動流体が流れるように吐出管16に取り付けられている。すなわち、第三チェック弁17は、タンク18側から最下段に位置する熱音響機関11側に向かう流れを阻止し、その逆方向の流れを許容するものである。第三チェック弁17の開弁圧(セット荷重)は、例えば、第三チェック弁17の上流側圧力が下流側圧力よりも大きくなると開弁するように設定される。
【0030】
タンク18は、第三チェック弁17よりも下流の吐出管16に配設され、第三チェック弁17を通過した作動流体を貯留するものである。タンク18は、タンク18に貯留した作動流体を他のシステムにおいて使用するために、吐出管16に対して着脱可能に接続されている。なお、本実施形態ではタンク18は吐出管16の下流端に接続されているが、タンク18を吐出管16の途中に接続すると共に、タンク18よりも下流の吐出管16に止め弁を設けても良い。
【0031】
図2を用いて本実施形態に係る熱音響ポンプ10の作動原理を説明する。なお、
図2では、上段に位置する一段目の熱音響機関11の共鳴管20内の圧力を細線で示し、下段に位置する二段目の熱音響機関11の共鳴管20内の圧力を太線で示している。
【0032】
作動流体は、空気であるとする。また、熱音響機関11の共鳴管20内の圧力は、初期状態で大気圧であるとする。この初期状態から熱音響機関11が自励発振を始めると、熱音響機関11の共鳴管20内に周期的な圧力変動が発生する。このとき、一段目の熱音響機関11の共鳴管20内の圧力が大気圧よりも低い負圧の領域(負圧時)では、外気が吸入管13及び第一チェック弁14を通って外部から一段目の熱音響機関11の共鳴管20内に流入する。第一チェック弁14の上流側圧力(外部の圧力すなわち大気圧)が下流側圧力(一段目の熱音響機関11の共鳴管20内の圧力)よりも高くなるためである。
【0033】
次に、熱音響機関11の共鳴管20内の圧力が上昇すると、共鳴管20内の圧力は大気圧以上となる。このとき、二段目の熱音響機関11の共鳴管20内の圧力が一段目の熱音響機関11の共鳴管20内の圧力よりも低いと、圧縮空気が接続管12及び第二チェック弁15を通って一段目の熱音響機関11の共鳴管20から二段目の熱音響機関11の共鳴管20に流れる。また、二段目の熱音響機関11の共鳴管20内の圧力が大気圧以上である正圧の領域(正圧時)においてタンク18内の圧力が二段目の熱音響機関11の共鳴管20内の圧力よりも低いと、圧縮空気が吐出管16及び第三チェック弁17を通って二段目の熱音響機関11の共鳴管20からタンク18に流れる。
【0034】
このようなサイクルを繰り返すと熱音響機関11の共鳴管20内の平均圧力は徐々に上昇し、それに伴い共鳴管20内の圧力振幅も増大する。最終的に
図2の右端のような圧力状態になると、本実施形態に係る熱音響ポンプ10により発生可能な圧力の上限(最大発生圧力)になる。
図2の右端のような圧力状態においては、一段目の熱音響機関11の共鳴管20内の圧力が大気圧よりも低くならず、第一チェック弁14による一段目の熱音響機関11の共鳴管20への外気の吸入が行われなくなるためである。但し、熱音響機関11の加熱部21における加熱温度を上げれば、さらに高い圧力を熱音響機関11の共鳴管20内及びタンク18内に発生させることは可能である。
【0035】
すなわち、本実施形態に係る熱音響ポンプ10は、熱音響機関11の共鳴管20内で発生する圧力振動を利用し、熱音響機関11の共鳴管20内の圧力が低圧となったときに外気を熱音響機関11の共鳴管20内に吸入し、熱音響機関11の共鳴管20内の圧力が高圧となったときに圧縮空気を熱音響機関11の共鳴管20内からタンク18に吐き出す、ピストン等の可動部品の無いコンプレッサ(エアーコンプレッサ)として機能する。
【0036】
なお、タンク18は、必ずしも吐出管16に接続しておく必要はない。すなわち、圧縮空気をタンク18に貯留せずに流すだけなら、熱音響ポンプ10は、ピストン等の可動部品の無いポンプ(エアーポンプ)として機能する。
【0037】
また、本実施形態に係る熱音響ポンプ10においては、二段目の熱音響機関11の共鳴管20は、一段目の熱音響機関11の共鳴管20内で圧力が上昇した状態の圧縮空気を接続管12及び第二チェック弁15を介して吸入するため、二段目の熱音響機関11の共鳴管20内の平均圧力は一段目の熱音響機関11の共鳴管20内の平均圧力よりも高圧となる。従って、吐出管16及び第三チェック弁17を通ってタンク18に流れる圧縮空気の圧力も高くすることが可能となる。また、二段目の熱音響機関11では共鳴管20内の平均圧力が一段目の熱音響機関11よりも高くなるため、共鳴管20内の圧力振幅も一段目の熱音響機関11よりも高くなり、より高い圧力を得ることができる。
【0038】
ところで、熱音響機関11では共鳴管20内に充填される作動流体が同じである場合、共鳴管20内の圧力が上がると作動流体の単位体積当たりの熱容量が増加し、作動流体の加熱及び冷却に時間を要することになる。つまり、熱音響機関11を多段に配置する構成で効率の良い加圧を行うためには熱音響機関11の内圧に見合う共鳴管20を選択する必要がある。このため、本実施形態では、上述のように、直線管部25の管路長を下段側の熱音響機関11ほど長くすることで共鳴管20内に生じる音波の共鳴周波数を下段側の熱音響機関11ほど低くなるようにして、作動流体の流速を下段側の熱音響機関11ほど遅くするようにしている。
【0039】
以上要するに、本実施形態に係る熱音響ポンプ10によれば、作動流体が充填された共鳴管20に、加熱部21とスタック22と冷却部23とが配設された複数の熱音響機関11と、複数の熱音響機関11の共鳴管20を多段に接続する接続管12と、最上段に位置する熱音響機関11の共鳴管20に接続された吸入管13と、吸入管13に取り付けられ、最上段に位置する熱音響機関11側に向かう流れを許容し且つ逆方向の流れを阻止する吸入用逆止弁14と、接続管12に取り付けられ、上段に位置する熱音響機関11側から下段に位置する熱音響機関11側に向かう流れを許容し且つ逆方向の流れを阻止する接続用逆止弁15と、最下段に位置する熱音響機関11の共鳴管20に接続された吐出管16と、吐出管16に取り付けられ、最下段に位置する熱音響機関11側に向かう流れを阻止し且つ逆方向の流れを許容する吐出用逆止弁17とを備え、共鳴管20は、下段に位置する熱音響機関11の共鳴管20内に生じる音波の共鳴周波数が上段に位置する熱音響機関11の共鳴管20内に生じる音波の共鳴周波数より低くなるように設定されるので、ピストン等の可動部品が無く、耐久性が高く、且つ、熱音響機関11を利用する際に、熱源温度を上げることなく必要な圧力を得ることができるポンプを提供することができる。
【0040】
また、本実施形態に係る熱音響ポンプ10は、オイルを必要とせず、圧縮空気にオイルの混入がない。
【0041】
また、熱音響機関11(加熱部21)の加熱を他のシステムで生じた廃熱(車両廃熱や工場廃熱等)により行うことで、維持費が殆どかからないポンプが実現する。
【0042】
さらに、作動圧力に見合う共鳴周波数を有する共鳴管20を各熱音響機関11に用いることにより、より効率の良い加圧が可能となると共に、高い圧力を発生可能となる。
【0043】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態には限定されず他の様々な実施形態を採ることが可能である。
【0044】
例えば、
図1の実施形態では熱音響機関11の段数を二段とした場合の例を示したが、当然ながら、熱音響機関11の段数を三段、四段と増やすことで圧力をさらに上げていくことが可能である。すなわち、熱音響機関11の段数は、二段に限定されず、三段以上であっても良い。熱音響機関11の熱源温度を上げることなく、熱音響機関11の段数の変更(追加)により必要な圧力を得ることが可能となる。
【0045】
また、
図3に示すように、ループ管部24の管路長(つまり、共鳴管20の管路長)を下段側の熱音響機関11ほど長くすることで、共鳴管20は、下段に位置する熱音響機関11の共鳴管20内に生じる音波の共鳴周波数が上段に位置する熱音響機関11の共鳴管20内に生じる音波の共鳴周波数より低くなるように設定されても良い。なお、
図3では、矩形ループとしたループ管部24の長辺方向に対する管路長を長くしているが、矩形ループとしたループ管部24の短辺方向に対する管路長を長くしても良い。
【0046】
また、
図4に示すように、作動流体を一時的に貯留するサージタンク19を接続管12に設けても良い。
図4では、サージタンク19の上下流の接続管12に、第二チェック弁15をそれぞれ配置している。
【0047】
また、熱音響機関11の構造は
図1の実施形態のものには限定されない。熱音響機関11の変形例を
図5に示す。
図5(a)に示すように、共鳴管31が、ループ状に形成されたループ管部32を有しており、ループ管部32に加熱部21とスタック22と冷却部23とが配設されていると共に、ループ管部32に、接続管12、吸入管13及び吐出管16が接続されている。また、
図5(b)に示すように、共鳴管33が、直線状に形成された直線管部34を有しており、直線管部34に加熱部21とスタック22と冷却部23とが配設されていると共に、直線管部34に接続管12、吸入管13及び吐出管16が接続されている。
【0048】
また、
図1の実施形態では、共鳴管20の管路長を適宜変更することで、共鳴管20内に生じる音波の共鳴周波数を下段側の熱音響機関11ほど低くなるように設定するとしたが、これには限定はされない。例えば、共鳴管20の管路太さを適宜変更する(一般的に、管路の太さが細くなると共鳴周波数が低くなる)ことが考えられる。共鳴管20の管路太さの変更が共鳴周波数に与える影響は共鳴管20の管路長を変更する場合と比較すると小さいものの、共鳴管20の管路太さを適宜変更することで、共鳴管20内に生じる音波の共鳴周波数を下段側の熱音響機関11ほど低くなるように設定することは可能である。