(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、駆動軸に対する駆動リンク部材のガタを抑えて、駆動リンク部材と駆動軸との間の動力伝達の安定性を高いレベルまで向上させるには、駆動リンク部材の嵌挿穴の内周面と駆動軸の端部の外周面との間のクリアランスを極力小さく設定する必要がある。一方、駆動リンク部材の加工上、駆動リンク部材の嵌挿穴のコーナ側の曲率半径が駆動軸の端部のコーナ側の曲率半径よりも大きくなり易く、駆動リンク部材の嵌挿穴の内周面と駆動軸の端部の外周面との間のクリアランスを小さく設定すると、駆動軸の端部を駆動リンク部材の嵌挿穴に嵌挿させる際に、駆動軸の端部のコーナ側と駆動リンク部材の嵌挿穴のコーナ側が干渉して(引っ掛かって)、駆動リンク部材と駆動軸の組付け不良が発生することがある。つまり、駆動リンク部材と駆動軸の組付け不良を十分に防止した上で、駆動リンク部材と駆動軸との間の動力伝達の安定性を高いレベルまで向上させることは容易でないという問題がある。
【0006】
なお、前述の問題は、可変ノズルユニットにおける別の結合構造、可変ノズルユニット以外の装置又は機構における結合構造においても同様に生じるものである。
【0007】
そこで、本発明は、前述の問題を解決することができる、新規な構成の結合構造等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の
態様は、回動軸の端部に動力伝達部材の基端部(基端側部分)を一体的に結合するための結合構造において、前記動力伝達部材の基端部に前記回動軸の端部を嵌挿可能な嵌挿穴が貫通形成され、前記回動軸の端部を前記動力伝達部材の前記嵌挿穴に嵌挿させた状態で、前記回動軸の端部に結合処理部が形成され、前記動力伝達部材の前記嵌挿穴の内周面は、前記動力伝達部材の前記嵌挿穴の穴中心からの放射方向(前記回動軸の径方向)に対して交差する内周平面部分及び円弧状の内周曲面部分を有し、前記回動軸の端部の外周面は、前記回動軸の軸心からの放射方向に対して交差する外周平面部分及び円弧状の外周曲面部分を有し、前記動力伝達部材の前記嵌挿穴のコーナ側(前記嵌挿穴における前記内周平面部分と前記内周曲面部分の境目側)
であって前記内周曲面部分のみに湾曲状に窪んだ逃げ部が形成されていること
である。
【0009】
なお、本願の明細書及び特許請求の範囲において、「動翼伝達部材」とは、回動軸に動力伝達する部材又は回動軸から動力伝達される部材のことをいう。また、「結合処理部」とは、かしめ結合によって生じるかしめ頭、溶接結合によって生じる溶接頭等を含む意である。
【0010】
第1の
態様によると、前記動力伝達部材の前記嵌挿穴のコーナ側に湾曲状に窪んだ前記逃げ部が形成されているため、前記動力伝達部材の前記嵌挿穴の内周面と前記回動軸の端部の外周面との間のクリアランスを小さく設定しても、前記回動軸の端部のコーナ側と前記動力伝達部材の前記嵌挿穴のコーナ側との干渉(引っ掛かり)を回避しつつ、前記回動軸の端部を前記動力伝達部材の前記嵌挿穴に嵌挿させることができる。また、前記動力伝達部材の前記逃げ部の曲率半径の設定自由度が高く、前記動力伝達部材の前記逃げ部の曲率半径を大きめに設定することにより、前記動力伝達部材の前記逃げ部付近に応力集中よるクラックが発生することを十分に防止することができる。
【0011】
本発明の第2の
態様は、第1の
態様からなる結合構造が用いられ、可変容量型過給機におけるタービンインペラ側へ供給される排気ガスの流路面積を可変とする可変ノズルユニットにおいて、前記可変容量型過給機におけるタービンハウジング内に前記タービンインペラと同心状に配設された第1ベースリングと、前記第1ベースリングに対して前記タービンインペラの軸方向に離隔対向した位置に前記第1ベースリングと一体的かつ同心状に設けられ、複数の支持穴が円周方向に等間隔に貫通形成(形成)された第2ベースリングと、前記第1ベースリングの対向面と前記第2ベースリングの対向面との間に円周方向に等間隔に配設され、前記タービンインペラの軸心に平行な軸心周りに回動可能であって、前記軸方向一方側の側面に前記第2ベースリングの対応する前記支持穴に回動可能に貫通支持(支持)されるノズル軸が一体形成された複数の可変ノズルと、複数の前記可変ノズルを同期して回動させるための回動機構と、を具備し、前記回動機構は、前記第2ベースリングの前記軸方向一方側に前記第2ベースリングと同心状でかつ回動可能に設けられ、円周方向に等間隔に配置した複数(前記可変ノズルと同数)の同期用係合部、及び駆動用係合部を有した駆動リングと、各可変ノズルの前記ノズル軸の端部に基端部(基端側部分)が一体的に結合され、先端部(先端側部分)が前記駆動リングの対応する前記係合部に係合したノズルリンク部材と、前記可変容量型過給機における固定部に前記タービンインペラの軸心に平行な軸心周りに回動可能に設けられた駆動軸と、前記駆動軸の前記軸方向一方側の端部に基端部が一体的に結合され、アクチュエータの駆動によって前記駆動軸の軸心周りに揺動する駆動レバーと、前記駆動軸の前記軸方向他方側の端部に基端部が一体的に結合され、先端部が前記駆動リングの前記駆動用係合部に係合した駆動リンク部材と、を備え、前記駆動軸の前記軸方向他方側の端部に前記駆動リンク部材の基端部を一体的に結合するため、前記可変ノズルの前記ノズル軸の端部に前記ノズルリンク部材の基端部を一体的に結合するため、又は前記駆動軸の前記軸方向一方側の端部に前記駆動レバーの基端部を一体的に結合するためのうち少なくともいずれかのために前記結合構造が用いられていること
である。
【0012】
ここで、前記駆動軸の前記軸方向他方側の端部に前記駆動リンク部材の基端部を一体的に結合するために前記結合構造が用いられた場合にあっては、前記駆動軸が前記回動軸に相当し、前記駆動リンク部材が前記動力伝達部材に相当することになる。また、前記可変ノズルの前記ノズル軸の端部に前記ノズルリンク部材の基端部を一体的に結合するために前記結合構造が用いられた場合にあっては、前記可変ノズルの前記ノズル軸が前記回動軸に相当し、前記ノズルリンク部材が前記動力伝達部材に相当することになる。更に、前記駆動軸の前記軸方向一方側の端部に前記駆動レバーの基端部を一体的に結合するために前記結合構造が用いられた場合にあっては、前記駆動軸が前記回動軸に相当し、前記駆動レバーが前記動力伝達部材に相当することになる。
【0013】
なお、本願の明細書及び特許請求の範囲において、「配設され」とは、直接的に配設されたことの他に、別部材を介して間接的に配設されたことを含む意であって、「設けられ」とは、直接的に設けられたことの他に、別部材を介して間接的に設けられたことを含む意である。また、「前記可変容量型過給機における固定部」とは、前記可変容量型過給機におけるベアリングハウジング又はタービンハウジングの一部を含む意である。
【0014】
第2の
態様によると、前記可変容量型過給機の運転中、エンジン回転数が高回転域にある場合には、前記アクチュエータの駆動によって前記駆動レバーを一方向へ揺動させて、前記駆動軸を一方向へ回動させることにより、前記駆動リンク部材を一方向へ揺動させつつ、前記駆動リングを正方向へ回動させる。これにより、複数の前記ノズルリンク部材を正方向へ揺動させながら、複数の前記可変ノズルを同期して正方向(開方向)へ回動させて、前記タービンインペラ側に供給される排気ガスの流路面積を大きくすることができる。
【0015】
一方、エンジン回転数が低回転域にある場合には、前記アクチュエータの駆動によって前記駆動レバーを他方向へ揺動させて、前記駆動軸を他方向へ回動させることにより、前記駆動リンク部材を他方向へ揺動させつつ、前記駆動リングを逆方向へ回動させる。これにより、複数の前記ノズルリンク部材を逆方向へ揺動させながら、複数の前記可変ノズルを同期して逆方向(閉方向)へ回動させて、前記タービンインペラ側に供給される排気ガスの流路面積を小さくすることができる(第2の特徴による通常の作用)。
【0016】
前記第2の
態様による通常の作用を奏する他に、前記駆動軸の前記軸方向他方側の端部に前記駆動リンク部材の基端部を一体的に結合するために前記結合構造が用いられた場合にあっては、前記駆動リンク部材の前記嵌挿穴のコーナ側に湾曲状に窪んだ前記逃げ部が形成されていることにより、前記駆動リンク部材の前記嵌挿穴の内周面と前記駆動軸の前記軸方向他方側の端部の外周面との間のクリアランスを小さく設定しても、前記駆動軸の前記軸方向他方側の端部のコーナ側と前記駆動リンク部材の前記嵌挿穴のコーナ側との干渉(引っ掛かり)を回避しつつ、前記駆動軸の前記軸方向他方側の端部を前記駆動リンク部材の前記嵌挿穴に嵌挿することができる。また、前記駆動リンク部材の前記逃げ部の曲率半径の設定自由度が高く、前記駆動リンク部材の前記逃げ部の曲率半径を大きめに設定することにより、前記駆動リンク部材の前記逃げ部付近に応力集中によるクラックが発生することを十分に防止することができる。
【0017】
前記可変ノズルの前記ノズル軸の端部に前記ノズルリンク部材の基端部を一体的に結合するために前記結合構造が用いられた場合にあっては、前記ノズルリンク部材の前記嵌挿穴のコーナ側に湾曲状に窪んだ前記逃げ部が形成されていることにより、前記ノズルリンク部材の前記嵌挿穴の内周面と前記可変ノズルの前記ノズル軸の端部の外周面との間のクリアランスを小さく設定しても、前記可変ノズルの前記ノズル軸の端部のコーナ側と前記ノズルリンク部材の前記嵌挿穴のコーナ側との干渉(引っ掛かり)を回避しつつ、前記可変ノズルの前記ノズル軸の端部を前記ノズルリンク部材の前記嵌挿穴に嵌挿させることができる。また、前記ノズルリンク部材の前記逃げ部の曲率半径の設定自由度が高く、前記ノズルリンク部材の前記逃げ部の曲率半径を大きめに設定することにより、前記ノズルリンク部材の前記逃げ部付近に応力集中によるクラックが発生することを十分に防止することができる。
【0018】
前記駆動軸の前記軸方向一方側の端部に前記駆動レバーの基端部を一体的に結合するために前記結合構造が用いられた場合にあっては、前記駆動レバーの前記嵌挿穴のコーナ側に湾曲状に窪んだ前記逃げ部が形成されていることにより、前記駆動レバーの前記嵌挿穴の内周面と前記駆動軸の前記軸方向一方側の端部の外周面との間のクリアランスを小さく設定しても、前記駆動軸の前記軸方向他方側の端部のコーナ側と前記駆動レバーの前記嵌挿穴のコーナ側との干渉(引っ掛かり)を回避しつつ、前記駆動軸の前記軸方向一方側の端部を前記駆動レバーの前記嵌挿穴に嵌挿させることができる。また、前記駆動レバーの前記逃げ部の曲率半径の設定自由度が高く、前記駆動レバーの前記逃げ部の曲率半径を大きめに設定することにより、前記駆動レバーの前記逃げ部付近に応力集中によるクラックが発生することを十分に防止することができる。
【0019】
本発明の第3の
態様は、エンジンからの排気ガスのエネルギーを利用して、前記エンジン側に供給される空気を過給する可変容量型過給機において、第2の
態様からなる可変ノズルユニットを具備したこと
である。
【0020】
第3の
態様によると、第2の
態様による作用と同様の作用を奏する
。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、前記動力伝達部材の前記嵌挿穴の内周面と前記回動軸の端部の外周面との間のクリアランスを小さく設定しても、前記回動軸の端部のコーナ側と前記動力伝達部材の前記嵌挿穴のコーナ側との干渉を回避しつつ、前記回動軸の端部を前記動力伝達部材の前記嵌挿穴に嵌挿させることができるため、前記動力伝達部材と前記回動軸の組付け不良を十分に防止した上で、前記回動軸に対する前記動力伝達部材のガタを抑えて、前記動力伝達部材と前記回動軸との間の動力伝達の安定性を高いレベルまで向上させることができる。特に、前記動力伝達部材の前記逃げ部付近に応力集中によるクラックが発生することを十分に防止することができるため、前記動力伝達部材と前記回動軸との間の動力伝達の安定性をより高いレベルまで向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施形態について
図1から
図10を参照して説明する。なお、図面に示すとおり、「R」は、右方向、「L」は、左方向である。
【0024】
図8に示すように、本発明の実施形態に係る可変容量型過給機1は、エンジン(図示省略)からの排気ガスのエネルギーを利用して、エンジンに供給される空気を過給(圧縮)するものである。そして、可変容量型過給機1の具体的な構成等は、以下のようになる。
【0025】
可変容量型過給機1は、ベアリングハウジング3を具備しており、ベアリングハウジング3内には、ラジアルベアリング5及び一対のスラストベアリング7が設けられている。また、複数のベアリング5,7には、左右方向へ延びたロータ軸(タービン軸)9が回転可能に設けられており、換言すれば、ベアリングハウジング3には、ロータ軸9が複数のベアリング5,7を介して回転可能に設けられている。
【0026】
ベアリングハウジング3の右側には、コンプレッサハウジング11が設けられており、このコンプレッサハウジング11内には、遠心力を利用して空気を圧縮するコンプレッサインペラ13がその軸心(換言すれば、ロータ軸9の軸心)C周りに回転可能に設けられている。また、コンプレッサインペラ13は、ロータ軸9の右端部に一体的に結合(連結)されたコンプレッサホイール(コンプレッサディスク)15と、このコンプレッサホイール15の外周面に周方向に等間隔に設けられた数枚のコンプレッサブレード17とを備えている。
【0027】
コンプレッサハウジング11におけるコンプレッサインペラ13の入口側(コンプレッサハウジング11の右側部)には、空気を導入する空気導入口19が形成されており、この空気導入口19は、空気を浄化するエアクリーナ(図示省略)に接続可能である。また、ベアリングハウジング3とコンプレッサハウジング11との間におけるコンプレッサインペラ13の出口側には、圧縮された空気を昇圧する環状のディフューザ流路21が形成されている。更に、コンプレッサハウジング11の内部には、渦巻き状のコンプレッサスクロール流路23が形成されており、このコンプレッサスクロール流路23は、ディフューザ流路21に連通してある。そして、コンプレッサハウジング11の適宜位置には、圧縮された空気を排出する空気排出口25が形成されており、この空気排出口25は、コンプレッサスクロール流路23に連通してあって、エンジンの吸気マニホールド(図示省略)に接続可能である。
【0028】
図4及び
図8に示すように、ベアリングハウジング3の左側には、タービンハウジング27が設けられており、このタービンハウジング27内には、排気ガスの圧力エネルギーを利用して回転力(回転トルク)を発生させるタービンインペラ29が軸心(タービンインペラ29の軸心、換言すれば、ロータ軸9の軸心)C周りに回転可能に設けられている。また、タービンインペラ29は、ロータ軸9の左端部に一体的に設けられたタービンホイール(タービンディスク)31と、このタービンホイール31の外周面に周方向に等間隔に設けられた複数のタービンブレード33とを備えている。
【0029】
タービンハウジング27の適宜位置には、排気ガスを導入するガス導入口35が形成されており、このガス導入口35は、エンジンの排気マニホールド(図示省略)に接続可能である。また、タービンハウジング27の内部には、渦巻き状のタービンスクロール流路37が形成されており、このタービンスクロール流路37は、ガス導入口35に連通してある。更に、タービンハウジング27におけるタービンインペラ29の出口側(タービンハウジング27の左側部)には、排気ガスを排出するガス排出口39が形成されており、このガス排出口39は、排気ガスを浄化する排気ガス浄化装置(図示省略)に接続可能である。
【0030】
可変容量型過給機1は、タービンインペラ29側へ供給される排気ガスの流路面積(流量)を可変とする可変ノズルユニット41が装備されており、この可変ノズルユニット41の構成の詳細は、以下のようになる。
【0031】
図4に示すように、タービンハウジング27内には、第1ベースリングとしてのシュラウドリング43がタービンインペラ29と同心状に配設されており、このシュラウドリング43は、複数のタービンブレード33の外縁(先端縁)を覆うようになっている。また、シュラウドリング43には、複数の支持穴45が円周方向に等間隔に貫通形成(形成)されている。
【0032】
シュラウドリング43に対して左右方向(タービンインペラ29の軸方向)に離隔対向した位置には、第2ベースリングとしてのノズルリング47が複数の連結ピン49を介してシュラウドリング43と一体的かつ同心状に設けられている。また、ノズルリング47には、複数の支持穴51がシュラウドリング43の複数の支持穴45に整合するように円周方向に等間隔に貫通形成(形成)されている。なお、複数の連結ピン49は、シュラウドリング43の対向面とノズルリング47の対向面との間隔を設定する機能を有している。
【0033】
シュラウドリング43の対向面とノズルリング47の対向面との間には、複数の可変ノズル53が円周方向に等間隔に配設されており、各可変ノズル53は、タービンインペラ29の軸心Cに平行な軸心周りに正逆方向(開閉方向)へ回動可能である。また、各可変ノズル53の右側面(タービンインペラ29の軸方向一方側の側面)には、ノズル軸55が一体形成されており、各ノズル軸55は、ノズルリング47の対応する支持穴51に回動可能に貫通支持(支持)されている。更に、各可変ノズル53の左側面(タービンインペラ29の軸方向他方側の側面)には、別のノズル軸57が一体形成されており、各別のノズル軸57は、シュラウドリング43の対応する支持穴45に回動可能に支持されている。なお、各可変ノズル53は、ノズル軸55と別のノズル軸57を備えた両持ちタイプであるが、別のノズル軸57を省略して片持ちタイプにしても構わない。
【0034】
ノズルリング47の右側(タービンインペラ29の軸方向一方側)には、複数の可変ノズル53を同期して正逆方向へ回動させるための回動機構59が配設されており、この回動機構59の具体的な構成は、次のようになる。
【0035】
図4及び
図7に示すように、ノズルリング47の右側面(タービンインペラ29の軸方向一方側の側面)には、3本以上の取付ピン61が円周方向に間隔を置いて配設されており、各取付ピン61は、ノズルリング47の支持穴51よりも径方向外側に位置している。また、複数の取付ピン61の右端面(タービンインペラ29の軸方向一方側の端面)に亘って、ガイドリング63が設けられており、このガイドリング63は、ノズルリング47と同心状に位置している。
【0036】
図4、
図5、及び
図6に示すように、ガイドリング63の外周面には、駆動リング65が回動可能に設けられており、この駆動リング65は、ノズルリング47と同心状に位置している。換言すれば、ノズルリング47の右側(タービンインペラ29の軸方向一方側)には、駆動リング65がガイドリング63及び複数の取付ピン61を介してノズルリング47と同心状でかつ回動可能に設けられている。また、駆動リング65の左側面には、可変ノズル53と同数の同期用係合部としての矩形の同期用係合ジョイント67が連結ピン69を介して円周方向に沿って等間隔に配置して設けられており、駆動リング65の右側面には、駆動用係合部としての矩形の駆動用係合ジョイント71が連結ピン73を介して設けられている。換言すれば、駆動リング65は、円周方向に沿って等間隔に配置した複数の同期用係合ジョイント67、及び駆動用係合ジョイント71を有している。
【0037】
図4及び
図7に示すように、ガイドリング63の右側面には、複数の取付ピン61の右端面と協働して駆動リング65の左右方向の移動を規制するC字状のストッパ75が設けられている。なお、ストッパ75は、C字状を呈しているが、環状を呈するようにしても構わない。
【0038】
図1及び
図4に示すように、各可変ノズル53のノズル軸55の右端部には、ノズルリンク部材77の基端部(基端側部分)が一体的に結合されており、各ノズルリンク部材77は、金属粉末射出成形法(MIM工法)によって成形された成形体を焼結してなるものである。また、各ノズルリンク部材77の先端部(先端側部分)は、二股状に分岐してあって、駆動リング65の対応する同期用係合ジョイント67を挟むように係合してある。
【0039】
図1、
図4、及び
図5に示すように、ベアリングハウジング3の左側部(可変容量型過給機1における固定部)には、駆動軸79がタービンインペラ29の軸心に平行な軸心周りに回動可能にブッシュ81を介して設けられている。また、駆動軸79の右端部(タービンインペラ29の軸方向一方側の端部)には、駆動レバー83の基端部が一体的に結合されており、この駆動レバー83は、電動モータ等のアクチュエータ85の駆動によって駆動軸79の軸心周りに揺動するものである。
【0040】
駆動軸79の左端部(タービンインペラ29の軸方向他方側の端部)には、駆動リンク部材87の基端部が一体的に結合されており、この駆動リンク部材87は、金属粉末射出成形法によって成形された成形体を焼結してなるものである。また、各駆動リンク部材87の先端部は、二股に分岐してあって、駆動リング65の対応する別の駆動用係合ジョイント71を挟むように係合してある。
【0041】
可変ノズルユニット41には、回動軸としての駆動軸79の左端部に動力伝達部材としての駆動リンク部材87の基端部を一体的に結合するための結合構造89が用いられており、この結合構造89の具体的な構成は、次のようになる。
【0042】
図1、
図2(a)(b)、及び
図3に示すように、駆動リンク部材87の基端部には、駆動軸79の左端部を嵌挿可能な嵌挿穴91が貫通形成されている。そして、駆動軸79の左端部には、駆動軸79の左端部を駆動リンク部材87の嵌挿穴91に嵌挿させた状態で、かしめによるかしめ頭(結合処理部の一例)93が形成されている。なお、駆動軸79の左端部にかしめ頭93が形成される代わりに、溶接による溶接頭等、他の結合処理部が形成されるようにしても構わない。
【0043】
図3に示すように、駆動リンク部材87の嵌挿穴91は、二面幅形状になっており、駆動リンク部材87の嵌挿穴91の内周面Hは、駆動リンク部材87の嵌挿穴91の穴中心からの放射方向に対して直交しかつ平行な一対の内周平面部分Haと、一対の内周平面部分Haを繋ぎかつ駆動リンク部材87の嵌挿穴91の穴中心を曲率中心とする円弧状の一対の内周曲面部分Hbとを有している。また、駆動軸79の左端部の断面は、駆動リンク部材87の嵌挿穴91に対応する二面幅形状(駆動リンク部材87の嵌挿穴91と相似形状)になっており、駆動軸79の左端部の外周面Sは、駆動軸79の軸心からの放射方向(駆動軸79の径方向)に対して直交しかつ平行な一対の外周平面部分Saと、一対の外周平面部分Saを繋ぎかつ駆動軸79の軸心を曲率中心とする円弧状の一対の外周曲面部分Sbとを有している。
【0044】
駆動リンク部材87の嵌挿穴91の各コーナ側(嵌挿穴91における内周平面部分Haと内周曲面部分Hbの境目側)であって内周曲面部分Hbのみに、湾曲状に窪んだ逃げ部95が形成されている。なお、駆動リンク部材87の嵌挿穴91の各コーナ側における内周曲面部分Hbのみに逃げ部95が形成される代わりに、駆動リンク部材87の嵌挿穴91の各コーナ側における内周平面部分Haのみに又は内周平面部分Haから内周曲面部分Hbに亘って逃げ部95が形成されるようにしても構わない。
【0045】
駆動リンク部材87の嵌挿穴91の内周面Hが一対の内周平面部分Haを有しかつ駆動軸79の左端部の外周面Sが一対の外周平面部分Saを有する代わりに、
図9(a)(b)及び
図10に示すように、駆動リンク部材87の嵌挿穴91の内周面Hが1つの内周平面部分Haを有しかつ駆動軸79の左端部の外周面Sが1つの外周平面部分Saを有するようにしても構わない。この場合、駆動リンク部材87の嵌挿穴91の内周面Hが1つの内周曲面部分Hbを有しかつ駆動軸79の左端部の外周面Sが1つの外周曲面部分Sbを有することになる。
【0046】
続いて、本発明の実施形態の作用及び効果について説明する。
【0047】
ガス導入口35から導入した排気ガスがタービンスクロール流路37を経由してタービンインペラ29の入口側から出口側へ流通することにより、排気ガスの圧力エネルギーを利用して回転力(回転トルク)を発生させて、ロータ軸9及びコンプレッサインペラ13をタービンインペラ29と一体的に回転させることができる。これにより、空気導入口19から導入した空気を圧縮して、ディフューザ流路21及びコンプレッサスクロール流路23を経由して空気排出口25から排出することができ、エンジンに供給される空気を過給(圧縮)することができる。
【0048】
可変容量型過給機1の運転中、エンジン回転数が高回転域にある場合には、アクチュエータ85の駆動によって駆動レバー83を一方向へ揺動させて、駆動軸79を一方向(
図5において時計回り方向)へ回動させることにより、駆動リンク部材87を一方向へ揺動させつつ、駆動リング65を正方向(
図5において時計回り方向、
図6において反時計回り方向)へ回動させる。これにより、複数のノズルリンク部材77を正方向へ揺動させながら、複数の可変ノズル53を同期して正方向(開方向)へ回動させて、複数の可変ノズル53の開度を大きくすることができる。よって、タービンインペラ29側に供給される排気ガスの流路面積(流量)を大きくして、タービンインペラ29側に多くの排気ガスを供給することができる。
【0049】
エンジン回転数が低回転域にある場合には、アクチュエータ85の駆動によって駆動レバー83を他方向へ揺動させて、駆動軸79を他方向(
図5において反時計回り方向)へ回動させることにより、駆動リンク部材87を他方向へ揺動させつつ、駆動リング65を逆方向(
図5において反時計回り方向、
図6において時計回り方向)へ回動させる。これにより、複数のノズルリンク部材77を逆方向へ揺動させながら、複数の可変ノズル53を同期して逆方向(閉方向)へ回動させて、複数の可変ノズル53の開度を小さくすることができる。よって、タービンインペラ29側に供給される排気ガスの流路面積を小さくして、排気ガスの流速を高くして、タービンインペラ29の仕事量を十分に確保することができる(可変容量型過給機1の通常の作用)。
【0050】
可変容量型過給機1の通常の作用の他に、駆動リンク部材87の嵌挿穴91の各コーナ側に湾曲状に窪んだ逃げ部95が形成されているため、駆動リンク部材87の嵌挿穴91の内周面と駆動軸79の左端部の外周面との間のクリアランスを小さく設定しても、駆動軸79の左端部のコーナ側と駆動リンク部材87の嵌挿穴91のコーナ側との干渉(引っ掛かり)を回避しつつ、駆動軸79の左端部を駆動リンク部材87の嵌挿穴91に嵌挿することができる。また、駆動リンク部材87の各逃げ部95の曲率半径の設定自由度が高く、駆動リンク部材87の各逃げ部95の曲率半径を大きめに設定することにより、駆動リンク部材87の各逃げ部95付近に応力集中によるクラックが発生することを十分に防止することができる。
【0051】
更に、逃げ部95が駆動リンク部材87の嵌挿穴91の各コーナ側であって内周曲面部分Hbのみに形成されている場合には、駆動リンク部材87の嵌挿穴91の内周面Hの内周平面部分Haと駆動軸79の左端部の外周面Sの外周平面部分Saとの接触面積、換言すれば、駆動リンク部材87と駆動軸79との間の動力伝達面積をより十分に確保することができる(可変容量型過給機1(可変ノズルユニット41)の特有の作用)。
【0052】
従って、本発明の実施形態によれば、駆動リンク部材87の嵌挿穴91の内周面と駆動軸79の左端部の外周面との間のクリアランスを小さく設定しても、駆動軸79の左端部のコーナ側と駆動リンク部材87の嵌挿穴91のコーナ側との干渉を回避しつつ、駆動軸79の左端部を駆動リンク部材87の嵌挿穴91に嵌挿させることができるため、駆動リンク部材87と駆動軸79の組付け不良を十分に防止した上で、駆動軸79に対する駆動リンク部材87のガタを抑えて、駆動リンク部材87と駆動軸79との間の動力伝達の安定性を高いレベルまで向上させることができる。特に、駆動リンク部材87の各逃げ部95付近に応力集中によるクラックが発生することを十分に防止することができるため、駆動リンク部材87と駆動軸79との間の動力伝達の安定性をより高いレベルまで向上させると共に、駆動リンク部材87の耐久性、換言すれば、可変容量型過給機1の耐久性を高めることができる。
【0053】
更に、逃げ部95が駆動リンク部材87の嵌挿穴91の各コーナ側であって内周曲面部分Hbのみに形成されている場合には、駆動リンク部材87と駆動軸79との間の動力伝達面積をより十分に確保できるため、駆動リンク部材87と駆動軸79との間の動力伝達の安定性を更に向上させることができる。
【0054】
本発明は、前述の実施形態の説明に限るものでなく、例えば、次のように種々の態様で実施可能である。
【0055】
回動軸としての可変ノズル53のノズル軸55の右端部に動力伝達部材としてのノズルリンク部材77の基端部を一体的に結合するために、結合構造89と同様の結合機構(図示省略)を用いても構わない。また、回動軸としての駆動軸79の右端部に動力伝達部材としての駆動レバー83の基端部を一体的に結合するために、結合構造89と同様の結合機構(図示省略)を用いても構わない。
【0056】
シュラウドリング43を第1ベースリングとしかつノズルリング47を第2ベースリングとする代わりに、ノズルリング47を第1ベースリングとしかつシュラウドリング43を第2ベースリングとしても構わない。この場合には、駆動軸79がタービンハウジング27にタービンインペラ29の軸心Cに平行な軸心周りに正逆方向へ回動可能に設けられることになる。
【0057】
駆動リング65が複数の同期用係合ジョイント67及び駆動用係合ジョイント71を有する代わりに、例えば、特開2009−243431号公報、特開2009−243300号公報に示すように、凹状の複数の同期用係合部(図示省略)及び凹状の駆動用係合部(図示省略)を有するようにしても構わない。この場合には、ノズルリンク部材77及び駆動リンク部材87に代えて、先端部が凹状の同期用係合部に挟まるように係合した別のノズルリンク部材(図示省略)、及び先端部が凹状の駆動用係合部に挟まるように係合した別の駆動リンク部材(図示省略)が用いられる。
【0058】
なお、本発明に包含される権利範囲は、これらの実施形態に限定されないものである。