【文献】
小山 匡子 Masako Koyama,フレグランスジャーナル,日本,フレグランス ジャーナル社,1997年10月15日,第25巻 第10号,75〜80頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、細胞機能の低下を引き起こす特定の化合物を含有していながら、安定性、使用感に優れ、細胞機能の低下が緩和された組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明者は、前記の問題点に鑑み鋭意検討した結果、特定のステロールエステルを併用することにより、上記課題が解決することを見出し、また得られる組成物は、安定性、使用感に優れることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明は、以下の通りである。
【0007】
[1](A)下記一般式(I):
【0008】
【化1】
【0009】
(式中、
R
1およびR
3は、それぞれ独立して、水素原子、C
1−6アルキル基(当該C
1−6アルキル基はヒドロキシ基で置換されていてもよい。)またはC
1−10アルキル−カルボニル基(当該C
1−10アルキル−カルボニル基はCOR(Rはフィトスフィンゴシン残基を示す。)で置換されていてもよい。)を示し、
R
2は、水素原子、C
1−6アルキル基またはC
1−6アルコキシ基を示し、
R
4は、水素原子、アミノ基、ハロゲン原子、C
1−10アルキル基、C
7−10アラルキル基(当該C
7−10アラルキル基は、ヒドロキシ基、C
1−6アルキル基およびC
1−6アルコキシ基から選ばれる置換基で置換されていてもよい。)、C
1−6アルキル−カルボニル基またはC
6−10アリール−カルボニル基を示し、
R
5は、水素原子またはN含有複素環カルボニルビニル基(当該N含有複素環はオキソ基で置換されていてもよい。)を示し、
R
6は、水素原子またはアミノ基を示す。
但し、レゾルシノールおよび4−ブチルレゾルシノールを除く。)
で示される化合物またはその塩、
下記一般式(II):
【0010】
【化2】
【0011】
(式中、
各R
7および各R
8は、それぞれ独立して、水素原子、−P(O)(OH)
2またはC
1−6アルキル−カルボニル基(当該C
1−6アルキル−カルボニル基はS含有複素環基で置換されていてもよい。)を示し、
mおよびnは、それぞれ独立して、1または2を示す。)
で示される化合物またはその塩、
下記一般式(III):
【0012】
【化3】
【0013】
(式中、
R
9は、C
1−6アルキル基(当該C
1−6アルキル基はヒドロキシ基で置換されていてもよい。)を示し、
R
10は、C
1−6アルキル基(当該C
1−6アルキル基はカルボキシラト基、スルホナト基およびヒドロキシ基から選ばれる置換基で置換されていてもよい。)を示し、
R
11は、C
1−6アルキル基を示し、
Zは、水素原子またはヒドロキシ基を示し、
Wは、結合、酸素原子または−CONH−を示し、
R
12は、C
1−24アルキル基を示す。
但し、R
10がC
1−6アルキル基の場合は対アニオンが存在する。)
で示される化合物、および
下記一般式(IV):
【0014】
【化4】
【0015】
(式中、R
13は、C
1−10アルキル基を示す。)
で示される化合物
から選択される化合物、並びに
(B)ステロールエステル
を含む組成物。
[2](A)の濃度が0.001重量%〜40重量%である、上記[1]記載の組成物。
[3](B)の濃度が0.001重量%〜40重量%である、上記[1]または[2]に記載の組成物。
[4](A)が、一般式(I)で示される化合物である、上記[1]〜[3]の何れか1項に記載の組成物。
[5](A)が、一般式(II)で示される化合物である、上記[1]〜[3]の何れか1項に記載の組成物。
[6](A)が、一般式(III)で示される化合物である、上記[1]〜[3]の何れか1項に記載の組成物。
[7](A)が、一般式(IV)で示される化合物である、上記[1]〜[3]の何れか1項に記載の組成物。
[8](A)が、N−(2−ヒドロキシアルキル(C
12−14))−N−(ヒドロキシエチル)サルコシン、ベヘニルプロピレングリコールトリモニウムクロリド、4−(1−フェニルエチル)レゾルシノール、ピペロングミン、レスベラトロール三リン酸三ナトリウムおよびフェノキシエチルカプリレートからなる群から選択される、上記[1]〜[3]の何れか1項に記載の組成物。
[9](B)が、N−アシルアミノ酸ステロールエステルである、上記[1]〜[8]の何れか1項に記載の組成物。
[10](B)が、式(1):
【0016】
【化5】
【0017】
(式中、
Xは、水素原子、C
8−38脂肪族アルコールのエステル生成残基、またはステロールのエステル生成残基を示し、
COR
14は、C
8−22アシル基を示し、
R
15は、水素原子、または−C(O)OY(式中、Yは、水素原子、C
8−38脂肪族アルコールのエステル生成残基、またはステロールのエステル生成残基を示す。)で示される基を示し、
R
16は、水素原子またはC
1−6アルキル基を示し、
nは1または2を示す。
但し、R
15が水素原子のとき、Xはステロールのエステル生成残基であり、R
15が−C(O)OYで示される基のとき、XまたはYの少なくとも一方がステロールのエステル生成残基である。)
で示されるN−アシルアミノ酸ステロールエステルである、上記[1]〜[8]の何れか1項に記載の組成物。
[11]ステロールのエステル生成残基がフィトステロールのエステル生成残基であり、COR
14がラウロイル基であり、かつnが2である、上記[10]記載の組成物。
[12](B)が、N−ミリストイル−N−メチル−β−アラニン(フィトステリル/デシルテトラデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/2−オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/2−オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル/2−オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/2−オクチルドデシル)またはN−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/2−オクチルドデシル/イソステアリル)である、上記[1]〜[8]の何れか1項に記載の組成物。
[13](B)が、脂肪酸ステロールエステルである、上記[1]〜[8]の何れか1項に記載の組成物。
[14](B)が、酪酸フィトステリル、ノナン酸フィトステリル、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸フィトステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸フィトステリル、カプリル/カプリン酸フィトステリル、リシノール酸フィトステリル、オレイン酸コレステリル、オレイン酸フィトステリル、オレイン酸ジヒドロコレステリル、分岐脂肪酸(C
12−31)フィトステリル、フィトステリルカノラ油脂肪酸グリセリズ、フィトステリルナタネグリセリズ、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸ジヒドロコレステリル、ヒマワリ種子油脂肪酸フィトステリル、コメヌカ油脂肪酸フィトステリル、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/ベヘニル)およびダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)からなる群から選択される、上記[1]〜[8]の何れか1項に記載の組成物。
[15]ステロールエステル(B)を含有する、
下記一般式(I):
【0018】
【化6】
【0019】
(式中、
R
1およびR
3は、それぞれ独立して、水素原子、C
1−6アルキル基(当該C
1−6アルキル基はヒドロキシ基で置換されていてもよい。)またはC
1−10アルキル−カルボニル基(当該C
1−10アルキル−カルボニル基はCOR(Rはフィトスフィンゴシン残基を示す。)で置換されていてもよい。)を示し、
R
2は、水素原子、C
1−6アルキル基またはC
1−6アルコキシ基を示し、
R
4は、水素原子、アミノ基、ハロゲン原子、C
1−10アルキル基、C
7−10アラルキル基(当該C
7−10アラルキル基は、ヒドロキシ基、C
1−6アルキル基およびC
1−6アルコキシ基から選ばれる置換基で置換されていてもよい。)、C
1−6アルキル−カルボニル基またはC
6−10アリール−カルボニル基を示し、
R
5は、水素原子またはN含有複素環カルボニルビニル基(当該N含有複素環はオキソ基で置換されていてもよい。)を示し、
R
6は、水素原子またはアミノ基を示す。)
で示される化合物またはその塩、
下記一般式(II):
【0020】
【化7】
【0021】
(式中、
各R
7および各R
8は、それぞれ独立して、水素原子、−P(O)(OH)
2またはC
1−6アルキル−カルボニル基(当該C
1−6アルキル−カルボニル基はS含有複素環基で置換されていてもよい。)を示し、
mおよびnは、それぞれ独立して、1または2を示す。)
で示される化合物またはその塩、
下記一般式(III):
【0022】
【化8】
【0023】
(式中、
R
9は、C
1−6アルキル基(当該C
1−6アルキル基はヒドロキシ基で置換されていてもよい。)を示し、
R
10は、C
1−6アルキル基(当該C
1−6アルキル基はカルボキシラト基、スルホナト基およびヒドロキシ基から選ばれる置換基で置換されていてもよい。)を示し、
R
11は、C
1−6アルキル基を示し、
Zは、水素原子またはヒドロキシ基を示し、
Wは、結合、酸素原子または−CONH−を示し、
R
12は、C
1−24アルキル基を示す。
但し、R
10がC
1−6アルキル基の場合は対アニオンが存在する。)
で示される化合物、および
下記一般式(IV):
【0024】
【化9】
【0025】
(式中、R
13は、C
1−10アルキル基を示す。)
で示される化合物
から選択される化合物(A)により引き起こされる細胞機能の低下を緩和する剤。
[16]下記一般式(I):
【0026】
【化10】
【0027】
(式中、
R
1およびR
3は、それぞれ独立して、水素原子、C
1−6アルキル基(当該C
1−6アルキル基はヒドロキシ基で置換されていてもよい。)またはC
1−10アルキル−カルボニル基(当該C
1−10アルキル−カルボニル基はCOR(Rはフィトスフィンゴシン残基を示す。)で置換されていてもよい。)を示し、
R
2は、水素原子、C
1−6アルキル基またはC
1−6アルコキシ基を示し、
R
4は、水素原子、アミノ基、ハロゲン原子、C
1−10アルキル基、C
7−10アラルキル基(当該C
7−10アラルキル基は、ヒドロキシ基、C
1−6アルキル基およびC
1−6アルコキシ基から選ばれる置換基で置換されていてもよい。)、C
1−6アルキル−カルボニル基またはC
6−10アリール−カルボニル基を示し、
R
5は、水素原子またはN含有複素環カルボニルビニル基(当該N含有複素環はオキソ基で置換されていてもよい。)を示し、
R
6は、水素原子またはアミノ基を示す。
但し、レゾルシノールおよび4−ブチルレゾルシノールを除く。)
で示される化合物またはその塩、
下記一般式(II):
【0028】
【化11】
【0029】
(式中、
各R
7および各R
8は、それぞれ独立して、水素原子、−P(O)(OH)
2またはC
1−6アルキル−カルボニル基(当該C
1−6アルキル−カルボニル基はS含有複素環基で置換されていてもよい。)を示し、
mおよびnは、それぞれ独立して、1または2を示す。)
で示される化合物またはその塩、
下記一般式(III):
【0030】
【化12】
【0031】
(式中、
R
9は、C
1−6アルキル基(当該C
1−6アルキル基はヒドロキシ基で置換されていてもよい。)を示し、
R
10は、C
1−6アルキル基(当該C
1−6アルキル基はカルボキシラト基、スルホナト基およびヒドロキシ基から選ばれる置換基で置換されていてもよい。)を示し、
R
11は、C
1−6アルキル基を示し、
Zは、水素原子またはヒドロキシ基を示し、
Wは、結合、酸素原子または−CONH−を示し、
R
12は、C
1−24アルキル基を示す。
但し、R
10がC
1−6アルキル基の場合は対アニオンが存在する。)
で示される化合物、および
下記一般式(IV):
【0032】
【化13】
【0033】
(式中、R
13は、C
1−10アルキル基を示す。)
で示される化合物
から選択される化合物(A)を含む組成物における、(A)により引き起こされる細胞機能の低下を緩和するための、ステロールエステル(B)の使用。
[17]下記一般式(I):
【0034】
【化14】
【0035】
(式中、
R
1およびR
3は、それぞれ独立して、水素原子、C
1−6アルキル基(当該C
1−6アルキル基はヒドロキシ基で置換されていてもよい。)またはC
1−10アルキル−カルボニル基(当該C
1−10アルキル−カルボニル基はCOR(Rはフィトスフィンゴシン残基を示す。)で置換されていてもよい。)を示し、
R
2は、水素原子、C
1−6アルキル基またはC
1−6アルコキシ基を示し、
R
4は、水素原子、アミノ基、ハロゲン原子、C
1−10アルキル基、C
7−10アラルキル基(当該C
7−10アラルキル基は、ヒドロキシ基、C
1−6アルキル基およびC
1−6アルコキシ基から選ばれる置換基で置換されていてもよい。)、C
1−6アルキル−カルボニル基またはC
6−10アリール−カルボニル基を示し、
R
5は、水素原子またはN含有複素環カルボニルビニル基(当該N含有複素環はオキソ基で置換されていてもよい。)を示し、
R
6は、水素原子またはアミノ基を示す。
但し、レゾルシノールおよび4−ブチルレゾルシノールを除く。)
で示される化合物またはその塩、
下記一般式(II):
【0036】
【化15】
【0037】
(式中、
各R
7および各R
8は、それぞれ独立して、水素原子、−P(O)(OH)
2またはC
1−6アルキル−カルボニル基(当該C
1−6アルキル−カルボニル基はS含有複素環基で置換されていてもよい。)を示し、
mおよびnは、それぞれ独立して、1または2を示す。)
で示される化合物またはその塩、
下記一般式(III):
【0038】
【化16】
【0039】
(式中、
R
9は、C
1−6アルキル基(当該C
1−6アルキル基はヒドロキシ基で置換されていてもよい。)を示し、
R
10は、C
1−6アルキル基(当該C
1−6アルキル基はカルボキシラト基、スルホナト基およびヒドロキシ基から選ばれる置換基で置換されていてもよい。)を示し、
R
11は、C
1−6アルキル基を示し、
Zは、水素原子またはヒドロキシ基を示し、
Wは、結合、酸素原子または−CONH−を示し、
R
12は、C
1−24アルキル基を示す。
但し、R
10がC
1−6アルキル基の場合は対アニオンが存在する。)
で示される化合物、および
下記一般式(IV):
【0040】
【化17】
【0041】
(式中、R
13は、C
1−10アルキル基を示す。)
で示される化合物から選択される化合物(A)、並びにステロールエステル(B)を含む組成物の製造方法であって、該(A)を含む組成物に、(A)により引き起こされる細胞機能の低下を緩和する(B)を添加する工程を含む、方法。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、細胞機能の低下を引き起こす特定の化合物を含有していながら、安定性、使用感に優れ、細胞機能の低下が緩和された組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明の組成物は、細胞機能の低下を引き起こす特定の化合物(A成分)とステロールエステル(B成分)を含有する。
【0044】
[A成分:細胞機能の低下を引き起こす化合物]
本発明において、細胞機能とは、細胞の増殖、修復、代謝、細胞間の情報交換等を意味し、細胞機能の低下を引き起こす化合物とは、細胞量を測定する通常の試験において、該化合物を含むサンプルの細胞量が、該化合物を含まないコントロールサンプルの細胞量と比較して減少している化合物を意味する。
本発明において、細胞機能の低下を引き起こす化合物は、具体的には、下記一般式(I)〜(IV)で示される化合物である:
【0047】
(式中、
R
1およびR
3は、それぞれ独立して、水素原子、C
1−6アルキル基(当該C
1−6アルキル基はヒドロキシ基で置換されていてもよい。)またはC
1−10アルキル−カルボニル基(当該C
1−10アルキル−カルボニル基はCOR(Rはフィトスフィンゴシン残基を示す。)で置換されていてもよい。)を示し、
R
2は、水素原子、C
1−6アルキル基またはC
1−6アルコキシ基を示し、
R
4は、水素原子、アミノ基、ハロゲン原子、C
1−10アルキル基、C
7−10アラルキル基(当該C
7−10アラルキル基は、ヒドロキシ基、C
1−6アルキル基およびC
1−6アルコキシ基から選ばれる置換基で置換されていてもよい。)、C
1−6アルキル−カルボニル基またはC
6−10アリール−カルボニル基を示し、
R
5は、水素原子またはN含有複素環カルボニルビニル基(当該N含有複素環はオキソ基で置換されていてもよい。)を示し、
R
6は、水素原子またはアミノ基を示す。)
で示される化合物またはその塩。
【0048】
R
1またはR
3で示される「C
1−6アルキル基」としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル等が挙げられる。中でも、メチル、エチルが好ましい。当該「C
1−6アルキル基」はヒドロキシ基で置換されていてもよく、その数は好ましくは1〜3個であり、より好ましくは1個である。ヒドロキシ基で置換された「C
1−6アルキル基」としては、2−ヒドロキシエチル等が挙げられる。
R
1またはR
3で示される「C
1−10アルキル−カルボニル基」としては、例えば、アセチル、プロパノイル、ブタノイル、2−メチルプロパノイル、2−エチルヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイル、ノニノイル、デカノイル等が挙げられる。中でも、アセチル、プロパノイル、2−エチルヘキサノイルが好ましい。当該「C
1−10アルキル−カルボニル基」はCORで置換されていてもよく、ここで、Rはフィトスフィンゴシン残基(即ち、フィトスフィンゴシンの3つのヒドロキシ基のうちの一つの水素原子を除いた部分)である。その数は好ましくは1個である。CORで置換された「C
1−10アルキル−カルボニル基」としては、−CO(CH
2)
2COR等が挙げられる。
R
1およびR
3は、好ましくは、それぞれ独立して、水素原子、メチル、2−ヒドロキシエチル、アセチル、プロパノイル、2−エチルヘキサノイルまたは−CO(CH
2)
2CORであり、より好ましくは、共に水素原子またはメチルであり、特に好ましくは共に水素原子である。
【0049】
R
2で示される「C
1−6アルキル基」としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル等が挙げられる。中でも、メチルが好ましい。
R
2で示される「C
1−6アルコキシ基」としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、へキシルオキシ等が挙げられる。中でも、メトキシが好ましい。
R
2は、好ましくは、水素原子、メチルまたはメトキシであり、より好ましくは、水素原子またはメトキシであり、特に好ましくは水素原子である。
【0050】
R
4で示される「ハロゲン原子」としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が挙げられる。中でも、塩素原子が好ましい。
R
4で示される「C
1−10アルキル基」としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、ぺプチル、オクチル、ノニル、デシル等が挙げられる。中でも、ブチル、ヘキシルが好ましい。
R
4で示される「C
7−10アラルキル基」としては、例えば、ベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、3−フェニルプロピル等が挙げられる。中でも、1−フェニルエチル、3−フェニルプロピルが好ましい。当該「C
7−10アラルキル基」は、ヒドロキシ基、C
1−6アルキル基およびC
1−6アルコキシ基から選ばれる置換基で置換されていてもよく、置換基の数は好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜3個である。置換基としての「C
1−6アルキル基」および「C
1−6アルコキシ基」としては、R
2で示される「C
1−6アルキル基」および「C
1−6アルコキシ基」と同様のものが挙げられる。当該置換基は、好ましくは、ヒドロキシ、メチルおよびメトキシである。ヒドロキシ基、C
1−6アルキル基およびC
1−6アルコキシ基から選ばれる置換基で置換された「C
7−10アラルキル基」としては、3−(2,4−ヒドロキシフェニル)プロピル、3−(2,4−ジメトキシ−3−メチルフェニル)プロピル等が挙げられる。
R
4で示される「C
1−6アルキル−カルボニル基」としては、例えば、アセチル、プロパノイル、ブタノイル、ペンタノイル、2−メチルプロパノイル等が挙げられる。中でも、アセチルが好ましい。
R
4で示される「C
6−10アリール−カルボニル基」としては、例えば、ベンゾイル、1−ナフトイル、2−ナフトイル等が挙げられる。中でも、ベンゾイルが好ましい。
R
4は、好ましくは、水素原子、アミノ、塩素原子、ブチル、ヘキシル、3−(2,4−ヒドロキシフェニル)プロピル、1−フェニルエチル、3−(2,4−ジメトキシ−3−メチルフェニル)プロピル、アセチルまたはベンゾイルであり、より好ましくは、水素原子または1−フェニルエチルであり、特に好ましくは、1−フェニルエチルである。
【0051】
R
5で示される「N含有複素環カルボニルビニル基」における「N含有複素環」としては、例えば、ピロリジン、ピペリジン、ピぺラジン、モルホリン、チオモルホリン等が挙げられる。中でも、ピペリジンが好ましい。「N含有複素環カルボニルビニル基」としては、2−(ピペリジルカルボニル)ビニル等が挙げられる。当該「N含有複素環」はオキソ基で置換されていてもよく、その数は好ましくは1個である。オキソ基で置換された「N含有複素環カルボニルビニル基」としては、2−(2−オキソピペリジルカルボニル)ビニル等が挙げられる。
R
5は、好ましくは、水素原子または2−(2−オキソピペリジルカルボニル)ビニルであり、特に好ましくは、水素原子である。
【0052】
R
6は、好ましくは、水素原子である。
【0053】
本発明の組成物においては、上記一般式(I)で示される化合物からレゾルシノールおよび4−ブチルレゾルシノールは除かれる。
【0054】
上記一般式(I)で示される化合物としては、以下の化合物が挙げられる。
【0058】
即ち、4−(1−フェニルエチル)レゾルシノール、および
【0065】
(式中、
各R
7および各R
8は、それぞれ独立して、水素原子、−P(O)(OH)
2またはC
1−6アルキル−カルボニル基(当該C
1−6アルキル−カルボニル基はS含有複素環基で置換されていてもよい。)を示し、
mおよびnは、それぞれ独立して、1または2を示す。)
で示される化合物またはその塩。
【0066】
R
7またはR
8で示される「C
1−6アルキル−カルボニル基」としては、例えば、アセチル、プロパノイル、ブタノイル、ペンタノイル、2−メチルプロパノイル等が挙げられる。中でも、アセチル、ペンタノイルが好ましい。当該「C
1−6アルキル−カルボニル基」は、S含有複素環基で置換されていてもよく、その数は好ましくは1個である。当該「S含有複素環基」としては、ジチオラニル、チエニル、ジヒドロチエニル、テトラヒドロチエニル等が挙げられる。中でも、ジチオラニル(特に、1,3−ジチオラン−2−イル)が好ましい。S含有複素環基で置換された「C
1−6アルキル−カルボニル基」としては、5−(1,3−ジチオラン−2−イル)ペンタノイル等が挙げられる。
各R
7および各R
8は、好ましくは、それぞれ独立して、水素原子、−P(O)(OH)
2、アセチルまたは5−(1,3−ジチオラン−2−イル)ペンタノイルであり、特に好ましくは、−P(O)(OH)
2である。
mは、好ましくは、1である。このとき、OR
7の置換位置は、好ましくは4位である。
nは、好ましくは、2である。このとき、OR
8の置換位置は好ましくは3,5位である。
【0067】
上記一般式(II)で示される化合物としては、以下の化合物が挙げられる。
【0071】
即ち、レスベラトロール三リン酸三ナトリウムが好ましい。
【0074】
(式中、
R
9は、C
1−6アルキル基(当該C
1−6アルキル基はヒドロキシ基で置換されていてもよい。)を示し、
R
10は、C
1−6アルキル基(当該C
1−6アルキル基はカルボキシラト基、スルホナト基およびヒドロキシ基から選ばれる置換基で置換されていてもよい。)を示し、
R
11は、C
1−6アルキル基を示し、
Zは、水素原子またはヒドロキシ基を示し、
Wは、結合、酸素原子または−CONH−を示し、
R
12は、C
1−24アルキル基を示す。
但し、R
10がC
1−6アルキル基の場合は対アニオンが存在する。)
で示される化合物。
【0075】
R
9、R
10またはR
11で示される「C
1−6アルキル基」としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル等が挙げられる。中でも、メチル、エチル、プロピルが好ましい。
R
9で示される「C
1−6アルキル基」は、ヒドロキシ基で置換されていてもよく、その数は好ましくは1〜3個、より好ましくは1個である。ヒドロキシ基で置換された「C
1−6アルキル基」としては、2−ヒドロキシエチル等が挙げられる。
R
10で示される「C
1−6アルキル基」は、カルボキシラト基(−COO
−)、スルホナト基(−SO
3−)およびヒドロキシ基から選ばれる置換基で置換されていてもよく、その数は好ましくは1〜2個である。カルボキシラト基(−COO
−)、スルホナト基(−SO
3−)およびヒドロキシ基から選ばれる置換基で置換された「C
1−6アルキル基」としては、カルボキシラトメチル、2−ヒドロキシ−3−スルホナトプロピル等が挙げられる。
R
12で示される「C
1−24アルキル基」としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、へプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル(ラウリル)、トリデシル、テトラデシル(ミリスチル)、ペンタデシル、ヘキサデシル(パルミチル、セチル)、ヘプタデシル、オクタデシル(ステアリル)、ノナデシル、イコシル(アラギジニル)、ドコシル(ベヘニル)、トリコシル、テトラコシル等が挙げられる。中でも、C
8−24アルキル基が好ましく、ノニル、デシル、ウンデシル、オクタデシル(ステアリル)またはドコシル(ベヘニル)がより好ましく、ノニル、デシルまたはウンデシルが特に好ましい。
対アニオンとしては、クエン酸、乳酸、グルタミン酸、ピロリドンカルボン酸、アスパラギン酸等の有機酸由来のアニオン;塩化水素、硫酸、硝酸等の無機酸由来のアニオン;等が挙げられる。中でもグルタミン酸由来のアニオン、ピロリドンカルボン酸由来のアニオン、アスパラギン酸由来のアニオン、塩化水素由来のアニオン(塩化物イオン)が好ましく、より好ましくは、塩化物イオンである。
R
9は、好ましくは、メチルまたは2−ヒドロキシエチルであり、特に好ましくは、2−ヒドロキシエチルである。
R
10は、好ましくは、メチル、カルボキシラトメチルまたは2−ヒドロキシ−3−スルホナトプロピル、であり、特に好ましくは、カルボキシラトメチルである。
R
11は、好ましくは、メチルである。
Zは、好ましくは、ヒドロキシ基である。
Wは、好ましくは、結合である。
R
12は、好ましくは、C
8−24アルキル基であり、より好ましくは、ノニル、デシル、ウンデシル、オクタデシル(ステアリル)またはドコシル(ベヘニル)であり、特に好ましくは、ノニル、デシルまたはウンデシルである。
【0076】
上記一般式(III)で示される化合物としては、以下の化合物が挙げられる。
【化27】
【0079】
即ち、N−(2−ヒドロキシアルキル(C
12−14))−N−(ヒドロキシエチル)サルコシン、または
【0081】
即ち、ベヘニルプロピレングリコールトリモニウムクロリド(ベヘニルPGトリモニウムクロリド)が好ましく、
【0084】
(式中、R
13は、C
1−10アルキル基を示す。)
で示される化合物。
【0085】
R
13で示される「C
1−10アルキル基」としては、R
4で示される「C
1−10アルキル基」と同様のものが挙げられる。中でも、へプチルが好ましい。
【0086】
上記一般式(IV)で示される化合物としては、
【0088】
即ち、フェノキシエチルカプリレートが挙げられる。
【0089】
細胞機能の低下を引き起こす化合物としては、N−(2−ヒドロキシアルキル(C
12−14))−N−(ヒドロキシエチル)サルコシン、ベヘニルプロピレングリコールトリモニウムクロリド、4−(1−フェニルエチル)レゾルシノール、ピペロングミン、レスベラトロール三リン酸三ナトリウムおよびフェノキシエチルカプリレートからなる群から選択されることが好ましい。
【0090】
本発明の組成物には、A成分として細胞機能の低下を引き起こす化合物を1種以上含有させることができる。
【0091】
本発明の組成物中の(A)の濃度は、0.001重量%〜40重量%が好ましい。(A)の効能を発揮する組成物が得られるという観点で、下限値は、0.005重量%がより好ましく、0.01重量%が更に好ましい。一方、得られる組成物の使用感の観点から、上限値は、20重量%がより好ましく、10重量%が更に好ましく、5重量%が更に一層好ましく、3重量%が特に好ましい。
【0092】
[B成分:ステロールエステル]
ステロールエステルとしては、ステロールをアシルアミノ酸でエステル化して得られるN−アシルアミノ酸ステロールエステル、またはステロールを脂肪酸でエステル化して得られる脂肪酸ステロールエステル等が挙げられる。
【0093】
ステロールとしては、カンペステロール、カンペスタノール、ブラシカステロール、22−デヒドロカンペステロール、スティグマステロール、スチグマスタノール、22−ジヒドロスピナステロール、22−デヒドロスチグマスタノール、7−デヒドロスチグマステロール、シトステロール、チルカロール、オイホール、フコステロール、イソフコステロール、コジステロール、クリオナステロール、ポリフェラステロール、クレロステロール、22−デヒドロクレロステロール、フンギステロール、コンドリラステロール、アベナステロール、ベルノステロール、ポリナスタノール等のフィトステロール;コレステロール、ジヒドロコレステロール、コレスタノール、コプロスタノール、エピコプロステロール、エピコプロスタノール、22−デヒドロコレステロール、デスモステロール、24−メチレンコレステロール、ラノステロール、24,25−ジヒドロラノステロ−ル、ノルラノステロ−ル、スピナステロール、ジヒドロアグノステロール、アグノステロール、ロフェノール、ラトステロール等の動物性ステロール;デヒドロエルゴステロール、22,23−ジヒドロエルゴステロール、エピステロール、アスコステロール、フェコステロール等の菌類性ステロール等、ならびにこれらの水添物およびこれらの配合物等が挙げられる。植物から抽出等によって得られるステロールの混合物を用いても良い。
ステロールとしては、フィトステロール、ラノステロール、コレステロールまたはジヒドロコレステロールが好ましく、フィトステロールまたはコレステロールがより好ましく、フィトステロールが特に好ましい。シトステロール、スティグマステロールおよびカンペステロールを含むフィトステロールを用いることがより好ましい。
シトステロール、スティグマステロールおよびカンペステロールの比、シトステロール:スティグマステロール:カンペステロールが35〜65:10〜40:10〜40であることが好ましく、55〜65:20〜30:10〜20であることがより好ましい。
【0094】
アシルアミノ酸のアミノ酸としては、グリシン、N−メチルグリシン、アラニン、β−アラニン、N−メチル−β−アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、シスチン、システイン、メチオニン、プロリン、ヒドロキシプロリン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン、グルタミン酸、アルギニン、ヒスチジン、リシン等が挙げられる。
【0095】
ステロールエステルは、好ましくは、N−アシルアミノ酸ステロールエステルであり、中でも、式(1)で示されるN−アシルアミノ酸ステロールエステルが特に好ましい。
【0097】
(式中、
Xは、水素原子、C
8−38脂肪族アルコールのエステル生成残基、またはステロールのエステル生成残基を示し、
COR
14は、C
8−22アシル基を示し、
R
15は、水素原子、または−C(O)OY(式中、Yは、水素原子、C
8−38脂肪族アルコールのエステル生成残基、またはステロールのエステル生成残基を示す。)で示される基を示し、
R
16は、水素原子またはC
1−6アルキル基を示し、
nは1または2を示す。
但し、R
15が水素原子のとき、Xはステロールのエステル生成残基であり、R
15が−C(O)OYで示される基のとき、XまたはYの少なくとも一方がステロールのエステル生成残基である。)
【0098】
XまたはYで示される「C
8−38脂肪族アルコールのエステル生成残基」における「C
8−38脂肪族アルコール」としては、天然または合成の、直鎖または分岐鎖の、飽和または不飽和の、一価のC
8−38脂肪族アルコールであり、カプリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラギジニルアルコール、ベヘニルアルコール等の直鎖飽和アルコール;2−ヘキシルデシルアルコール、2−オクチルドデシルアルコール、イソステアリルアルコール、デシルテトラデシルアルコール等の分岐鎖飽和アルコール;オレイルアルコール、リノレイルアルコール等の直鎖不飽和アルコール;等が挙げられる。
XまたはYで示される「C
8−38脂肪族アルコールのエステル生成残基」における「C
8−38脂肪族アルコール」は、好ましくは、C
8−30脂肪族アルコール(好ましくはC
12−24脂肪族アルコール、より好ましくはC
16−20脂肪族アルコール)でかつ融点が25℃以上のものであり、好適な具体例としては、例えば、2−ヘキシルデシルアルコール、2−オクチルドデシルアルコール、イソステアリルアルコール、デシルテトラデシルアルコール等の分岐鎖飽和アルコール;オレイルアルコール、リノレイルアルコール等の直鎖不飽和アルコールが挙げられる。中でも、2−ヘキシルデシルアルコール、2−オクチルドデシルアルコールまたはデシルテトラデシルアルコールが好ましく、2−オクチルドデシルアルコールがより好ましい。
別の態様として、XまたはYで示される「C
8−38脂肪族アルコールのエステル生成残基」における「C
8−38脂肪族アルコール」は、好ましくは、飽和C
12−38脂肪族アルコール(好ましくはC
12−24脂肪族アルコール、より好ましくはC
16−22脂肪族アルコール)でかつ融点が25℃未満のものであり、好適な具体例としては例えば、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等が挙げられる。中でも、ステアリルアルコールまたはベヘニルアルコールが好ましく、ベヘニルアルコールがより好ましい。
【0099】
XまたはYで示される「ステロールのエステル生成残基」における「ステロール」としては、前述のステロールが挙げられる。中でも、フィトステロール、ラノステロール、コレステロールまたはジヒドロコレステロールが好ましく、フィトステロールまたはコレステロールがより好ましく、フィトステロールが特に好ましい。シトステロール、スティグマステロールおよびカンペステロールを含むフィトステロールを用いることがより好ましい。
シトステロール、スティグマステロールおよびカンペステロールの比、シトステロール:スティグマステロール:カンペステロールが35〜65:10〜40:10〜40であることが好ましく、55〜65:20〜30:10〜20であることがより好ましい。
【0100】
R
15としては、−C(O)OYで示される基が好ましい。
【0101】
COR
14で示される「C
8−22アシル基」としては、例えば、直鎖または分岐鎖の、飽和または不飽和のC
8−22脂肪酸より誘導されるアシル基が挙げられ、オクタノイル、ノナノイル、デカノイル、ウンデカノイル、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル、オレオイル、リノレイル等が挙げられる。単一組成の脂肪酸より誘導されるアシル基のほか、ヤシ油脂肪酸、ヒマシ油脂肪酸、オリーブ油脂肪酸、パーム油脂肪酸等の天然より得られる混合脂肪酸、あるいは合成により得られる脂肪酸(分岐脂肪酸を含む)より誘導されるアシル基であっても良い。中でも、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイルまたはステアロイルが好ましく、ラウロイルがより好ましい。
【0102】
R
16で示される「C
1−6アルキル基」としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル等が挙げられる。中でも、メチル、エチルが好ましい。
R
16としては、水素原子が好ましい。
【0103】
nは1または2を示す。nが1の場合、N−アシルアミノ酸ステロールエステルは、N−アシルアスパラギン酸ステロールエステルになり、nが2の場合、N−アシルグルタミン酸ステロールエステルとなる。nが2の場合、すなわちN−アシルグルタミン酸ステロールエステルが好ましい。なお、アミノ酸は光学活性体又はラセミ体のいずれであってもよい。
【0104】
なお、本発明において、N−アシルアミノ酸ステロールエステルは、2種以上の混合物であってもよい。
【0105】
N−アシルアミノ酸ステロールエステルとしては、N−ミリストイル−N−メチル−β−アラニン(フィトステリル/デシルテトラデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/2−オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/2−オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル/2−オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/2−オクチルドデシル)またはN−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/2−オクチルドデシル/イソステアリル)が好ましく、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/2−オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/2−オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル/2−オクチルドデシル)またはN−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/2−オクチルドデシル)がより好ましく、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/2−オクチルドデシル)またはN−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/2−オクチルドデシル)が好ましく、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/2−オクチルドデシル)がより好ましい。
【0106】
なお、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/2−オクチルドデシル)とは、N−ラウロイル−L−グルタミン酸の2つのカルボキシ基を、フィトスロールおよび2−オクチルドデシルアルコールでエステル形成して得られる化合物を示す。即ち、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジフィトステリルエステル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸γ−フィトステリル−α−2−オクチルドデシルエステル、およびN−ラウロイル−L−グルタミン酸α−フィトステリル−γ−2−オクチルドデシルエステルを含む。
また、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/2−オクチルドデシル)とは、N−ラウロイル−L−グルタミン酸の2つのカルボキシ基を、フィトスロール、ベヘニルアルコールおよび2−オクチルドデシルアルコールでエステル形成して得られる化合物を示す。即ち、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジフィトステリルエステル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸γ−フィトステリル−α−2−オクチルドデシルエステル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸α−フィトステリル−γ−2−オクチルドデシルエステルおよびN−ラウロイル−L−グルタミン酸γ−フィトステリル−α−ベヘニルエステルおよびN−ラウロイル−L−グルタミン酸α−フィトステリル−γ−ベヘニルエステルを含む。
【0107】
ステロールエステルとしては、脂肪酸ステロールエステルを用いることもできる。ここで、脂肪酸としては、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ノナン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、イソステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、ネルボン酸等の、直鎖または分岐鎖の、飽和または不飽和のC
4−31脂肪酸の1種または2種以上が挙げられる。これらは、天然の動植物油由来の脂肪酸でもよく、例えば、ヒマシ油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸、マカデミアナッツ油脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、ピーナッツ油脂肪酸、魚油脂肪酸、菜種油脂肪酸(カノラ油脂肪酸)、ハイブリッドヒマワリ油脂肪酸、ヒマワリ油脂肪酸、ヒマワリ種子油脂肪酸、パーム油脂肪酸、綿実油脂肪酸、大豆油脂肪酸、サンフラワー油脂肪酸、小麦胚芽油脂肪酸、コメヌカ油脂肪酸、ゴマ油脂肪酸、コーン油脂肪酸、月見草種子油脂肪酸、ラノリン脂肪酸、非ヒドロキシラノリン脂肪酸、ヒドロキシラノリン脂肪酸、乳脂肪脂肪酸等が挙げられる。これらの脂肪酸は、水素添加がされていてもよい。また、不飽和脂肪酸の分子間重合反応によって得られる二塩基酸であるダイマー酸(例えばダイマージリノール酸)であってもよい。この中でも、酪酸、ノナン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、カプリル酸、カプリン酸、リシノール酸、オレイン酸、マカデミアナッツ油脂肪酸、ヒマワリ種子油脂肪酸、コメヌカ油脂肪酸、またはダイマージリノール酸が好ましく、マカデミアナッツ油脂肪酸またはダイマージリノール酸がより好ましく、ダイマージリノール酸がより好ましい。
【0108】
脂肪酸ステロールエステルとしては、例えば、酪酸フィトステリル、ノナン酸フィトステリル、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸フィトステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸フィトステリル、カプリル/カプリン酸フィトステリル、リシノール酸フィトステリル、オレイン酸コレステリル、オレイン酸フィトステリル、オレイン酸ジヒドロコレステリル、分岐脂肪酸(C
12−31)フィトステリル、フィトステリルカノラ油脂肪酸グリセリズ、フィトステリルナタネグリセリズ、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸ジヒドロコレステリル、ヒマワリ種子油脂肪酸フィトステリル、コメヌカ油脂肪酸フィトステリル、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/ベヘニル)およびダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)等が挙げられる。
【0109】
本発明の組成物には、B成分としてステロールエステルを1種以上含有させることができる。
【0110】
本発明の組成物中、(B)の濃度は、0.001〜40重量%が好ましい。下限値は、0.005重量%がより好ましく、0.01重量%が更に好ましい。上限値は、35重量%がより好ましく、30重量%が更に好ましく、25重量%が更により好ましく、20重量%が更に一層好ましく、10重量%が特に好ましい。
【0111】
(A)の重量/(B)の重量は、1/99〜99/1が好ましい。5/95〜95/5がより好ましく、10/90〜90/10が更に好ましく、15/85〜85/15が更に一層好ましい。
【0112】
本発明の組成物は、(A)を含む組成物に(B)を添加することにより、製造することができる。当該製造方法は、(A)により引き起こされる細胞機能の低下を緩和する(B)を添加する工程を含むため、得られる組成物は細胞機能の低下が緩和されている。
【0113】
本発明の組成物の形態には特に制限はなく、液状、ペースト状、ゲル状、固体状、粉末状等の任意の形態をとることができる。具体的には、化粧水、ローション、クリーム、乳液、美容液、シャンプー、ヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアムース、ヘアジェル、ヘアワックス、エナメル、ファンデーション、アイライナー、アイブロウペンシル、マスカラ、アイシャドウ、チーク、リップスティック、おしろい、パウダー、パック、パックマスク、香水、オーデコロン、洗顔フォーム、クレンジングフォーム、クレンジングオイル、クレンジングジェル、クレンジングミルク、マスカラ、歯磨、石鹸、エアゾル、浴用剤、養毛剤、日焼け防止剤の形態とすることができる。
【0114】
化粧料または皮膚外用剤とする場合、本発明の成分に加え、化粧料、皮膚外用剤、または医薬部外品に使用し得る成分を、本発明の効果を阻害しない範囲で配合しても良い。例えば、油性成分、界面活性剤、アミノ酸類、アミノ酸誘導体類、低級アルコール、高級アルコール、多価アルコール、糖アルコールおよびそのアルキレンオキシド付加物、水溶性高分子、ゲル化剤、保湿剤、殺菌剤および抗菌剤、抗炎症剤、鎮痛剤、抗真菌剤、角質軟化剥離剤、皮膚着色剤、ホルモン剤、紫外線吸収剤、育毛剤、発汗防止剤および収斂活性成分、汗防臭剤、ビタミン剤、血管拡張剤、生薬、pH調整剤、金属イオン封鎖剤、粘度調整剤、パール化剤、天然香料、合成香料、色素、顔料、酸化防止剤、防腐剤、乳化剤、脂肪及びワックス、シリコーン化合物、香油等が挙げられる。
【実施例】
【0115】
次に実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0116】
評価1:正常ヒト皮膚繊維芽細胞を用いた細胞機能低下緩和効果
予め、10%牛胎児血清を添加したDulbecco’s Modified Eagle Medium(D−MEM)にて前培養した正常ヒト皮膚繊維芽細胞に、表1のA成分(またはA’成分)のみをD−MEMに溶解した溶液、およびA成分(またはA’成分)とB成分の両方をD−MEMに溶解した溶液を作用させ、24時間後の細胞量(V)をニュートラルレッド法により測定した。ニュートラルレッド法とは、生細胞の細胞膜に特異的に取り込まれるニュートラルレッド(3‐アミノ‐7−ジメチルアミノ‐2‐メチルフェノジンハイドロクロライド)が生細胞のリソソームに取り込まれ蓄積することを利用した方法で、ニュートラルレッド取り込み量は生細胞膜数に比例することから生細胞数を測定できる。生細胞に取り込まれたニュートラルレッドを溶解し呈色させたあとで吸光度を測定し、緩和率を次式より求めた。
緩和率(%)=(V
A+B/V
0)/(V
A/V
0)×100
【0117】
細胞機能低下緩和効果は、以下の基準に従って評価した。
◎:緩和率が130%以上
○:緩和率が110%以上、130%未満
×:緩和率が110%以下。
【0118】
ただし、V
A+BはA成分(またはA’成分)とB成分の両方が溶解した溶液作用時の細胞量、V
AはA成分(またはA’成分)のみが溶解した溶液作用時の細胞量、V
0は被検化合物が溶解していない溶液作用時の細胞量である。
【0119】
【表1】
【0120】
なお、使用した成分は以下の通りである。
N−(2−ヒドロキシアルキル(C
12−14))−N−(ヒドロキシエチル)サルコシン:「ソフタゾリン」LMEB、川研ファインケミカル社製、(27%水溶液)
ベヘニルPGトリモニウムクロリド(ベヘニルプロピレングリコールトリモニウムクロリド):「カチナール」BHC−60BE、東邦化学工業社製
4−(1−フェニルエチル)レゾルシノール:「シムホワイト」377、シムライズ社製
ピペロングミン:INDOFINEchemical社製
ラウレス硫酸ナトリウム:Sigma社製
N−ラウロイル−L−グルミタミン酸ジ(フィトステリル/2−オクチルドデシル):「エルデュウ」PS−203、味の素社製
【0121】
表1の実施例1〜4のように、A成分であるN−(ヒドロキシアルキル(C
12−14))−N−(ヒドロキシエチル)サルコシン、ベヘニルPGトリモニウムクロリド、4−(1−フェニルエチル)レゾルシノールまたはピペロングミンに、B成分であるN−ラウロイル−L−グルミタミン酸ジ(フィトステリル/2−オクチルドデシル)を共存させた場合、細胞機能低下緩和効果が確認された。しかし、これらの効果は、(A)に該当しないラウレス硫酸ナトリウム(比較例1)を共存させた場合には認められなかった。
【0122】
評価2:ヒト皮膚3次元モデルを用いた細胞機能低下緩和効果
ヒト皮膚3次元モデル(EPI―200;クラボウ社)をEPI−100−NMM培地を用いて、37℃、5%CO2条件下にて培養した。培養2日目に被験組成物を添加し、さらに24時間培養した。培養終了後、細胞量をMTT還元法により測定した。MTT還元法とは、MTT[3−(4,5−dimethylthiazol −2−yl)−2,5−diphenyl tetrazolium bromide]がミトコンドリア内のコハク酸脱水素酵素等により青色の産物に還元されるが、この生成物を溶解し呈色させたあとでこの吸光度を測定し、生細胞量の指標とする方法である。緩和率を次式より求め評価した。また、細胞機能低下緩和効果の判定は以下の基準に従った。
緩和率(%)=(V
A+B/V
0)/(V
A/V
0)×100
【0123】
細胞機能低下緩和効果は、以下の基準に従って評価した。
◎:緩和率が200%以上
○:緩和率が120%以上、200%未満
×:緩和率が120%以下
【0124】
ただし、V
A+BはA成分(またはA’成分)とB成分の両方を含有する組成物作用時の細胞量、V
AはA成分(またはA’成分)のみを含有する組成物作用時の細胞量、V
0は被検化合物が溶解していない溶液作用時の細胞量である。
【0125】
評価3:使用感
使用感ついて、5人の専門パネラーが下記の評価基準により評価を行った。
3点:べたつきがまったく感じられない
2点:べたつきがあまり感じられない
1点:べたつきがやや感じられる
0点:べたつきが感じられる
専門パネラーの合計点が13以上を◎、10以上12未満を○、6以上10未満を△、5以下を×とした。
【0126】
評価4:エモリエント性
エモリエントついて、組成物を皮膚に塗布した後、5分後に5人の専門パネラーが下記の評価基準により評価を行った。なお、エモリエント性については、「油性の膜の働きにより肌からの水分の蒸散がおさえられることにより、皮膚を柔軟にする作用を意味する」ことを事前にパネラーに説明した。
3点:エモリエント性が感じられる
2点:エモリエント性がやや感じられる
1点:エモリエント性があまり感じられない
0点:エモリエント性がまったく感じられない
専門パネラーの合計点が13以上を◎、10以上12未満を○、6以上10未満を△、5以下を×とした。
【0127】
評価5:延展性
調製した組成物の塗布時ののびについて、5人の専門パネラーが下記の評価基準により評価を行った。
3点:塗布時に非常にのびが感じられる
2点:塗布時にのびが感じられる
1点:塗布時にのびがあまり感じられない
0点:塗布時にのびがまったく感じられない
専門パネラーの合計点が13以上を◎、10以上12未満を○、6以上10未満を△、5以下を×とした。
【0128】
評価6:保存安定性1(乳化)
表○の組成物を調製した後、40℃で1週間保存し、その分離の様子を目視観察した。
◎:乳化が完全に維持されている
○:分離とまではいかないがわずかに変化がある
△:少し分離が認められる
×:完全に分離が認められる
【0129】
評価7:保存安定性2(着色)
表○の組成物を調製した後、40℃で1週間保存し、その着色の様子を目視観察した。
◎:まったく着色が見られない
○:ほとんど着色が感じられない
△:やや着色が観察された
×:着色が見られた
【0130】
【表2】
【0131】
PPG−6デシルテトラデセスー30:「NIKKOL」PEN−4630、Nikkol 社製
(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10−30))クロスポリマー:「PEMULEN」TR−1、日光ケミカルズ社製
メチルパラベン:和光純薬工業社製
レスベラトロール三リン酸三ナトリウム:味の素オムニケム社製
フェノキシエチルカプリレート:エボニック インダストリーズ社製