【実施例】
【0022】
図1は、本発明の導光板本体1の全体図、
図2は該導光板を縦方向に切断したときの端面図を示し、該導光板本体は略矩形で長手方向のほぼ中央部を略L字状に湾曲して形成し、透明で平板状の透明樹脂板2と該透明樹脂板を挟んでその一側3に反射板4を、その他側5には拡散板6を面合わせ状態で重ね合わせるように構成されている。
【0023】
さらに、その長手方向の両端面には光源であるLED(発光ダイオード)7内蔵の補強兼保護用の上フレーム8と、同じく下フレーム9が配置され、前記透明樹脂板2ならびに反射板4、拡散板6の端部を挟持・固定している。同様に該導光板本体の両側端面にも同形状の脇フレーム10(
図1)が配置し全体として前記各フレームによって導光板本体1の周囲を囲繞するように挟持・固定している。
【0024】
また、前記LEDの色は、普通は単色の白色光を用いるが、被写体の撮影目的に応じて数種類の発光色を使い分けたり、ミキシングして用いたりすることもできる。その場合は、それぞれの発光色に色むらが生じないよう後述するドットパターンで調整することとなる。なお、前記脇フレーム10は導光板本体側面の補強兼保護用として設けたものであるが、被写体の大きさに合わせて導光板本体の横幅寸法が大きくなった場合は拡散板6からの出射光を平均化するうえから前記上フレーム8及び下フレーム9と同様にLEDを内蔵することもできるが、本実施例ではLEDの内蔵はないことで以下説明をする。
【0025】
透明樹脂板2は、概ね厚さ5〜15ミリメートル程度の透明で板状のアクリル樹脂(ポリメチルメタクリレート(Polymethyl Methacrylate: PMMA))により成り、その裏面にあたる一側3には光を散乱させるためのドット印刷15が施されている。なお、この透明樹脂板2は前記材料に限らず、例えば透明なポリカーボネート、ポリスチレンポリプロピレンなど透明度が高く耐候性に優れ熱的特性や機械的強度,成型加工性などのバランスのよい樹脂材料を用いてもよい。
【0026】
導光板本体1には、そのほぼ中央部に略L字状の湾曲部11が形成し、該湾曲部からその両端面12,13間は平坦部14を形成している。この湾曲部11は被写体30の背後面をなだらかな曲線状に形成することによってその背景となる導光板本体の表面輝度を一様に保持するためで、この湾曲部の曲率半径は後述するドット印刷のドットサイズ及びドット密度等とも関係している。
【0027】
即ち、前記湾曲部の曲率半径が小さいと、導光板本体1の両端部に配置したLED7双方からの出射光が該湾曲部に集光し、その近傍の輝度が部分的に高くなるいわゆるホットスポットが生じて該表面全体の輝度が不均一となって写真に反映されるという不具合があると共に、被写体の背景部に無限遠が形成されず、平坦部と湾曲部の境界が線状に写し出されるという問題がある。そこで、本発明者らは試行錯誤の結果前記湾曲部の曲率半径は少なくも導光板本体1全長の概ね5%から20%の範囲とするのがよく、好ましくは15%前後とするのがよいことを知見した。
【0028】
また、この場合湾曲部11の双方に形成する平坦部14の長さは被写体30の形状や大きさに応じて双方均等でなくともよいが、導光板本体1上に被写体30を配置したときに該被写体の背面部が輝度の影響を受けない程度の適度な間隔でであって、前記湾曲部の曲率半径よりも大なる長さに設定しておくのがよい。
【0029】
また、透明樹脂板2の裏面に施したドット印刷15は、通常透明樹脂板2が平板の状態のときに印刷するのがよく、該印刷はその表面に屈折率の異なる樹脂成分を有するインクの他、例えばシリカ、酸化チタン等を含有した塗料等によるスクリーン印刷によって行い、印刷完了後該透明樹脂板を屈曲成形して導光板本体1を形成するが、前記スクリーン印刷に代えて例えばパターンロールによる熱転写やUV硬化樹脂等による微細凹凸形状に形成してもよく、また金型の表面にミクロン単位のプリズムパターンを作りこみ、これを転写することによって透明樹脂板自体を一工程で製造することでもよい。
【0030】
図3は、ドット印刷部15のドット配列の一例を誇張して示しており、略円形のドット16が所定のピッチ間隔Pをもって透明樹脂板1の裏面に千鳥状に一定間隔で配列し形成されている。本実施例において、前記ドットサイズ(ドットの直径)をD、導光板の長手方向におけるドットピッチ(ドット中心の間隔)をPとすると、前記ドットサイズDは透明樹脂板2の長手方向の両端部に配置した光源であるLED7の近傍では該ドットサイズDを小さく、湾曲部11中央部に近づくにしたがって次第にドットサイズDが大きくなり該湾曲部中央で最大となるように形成されている。
【0031】
この理由は、透明樹脂板2の端面12,13から入射した光は前記ドット印刷部を介して透明樹脂板2の背面側に設けた反射板4に反射して方向転換後透過・屈折してその他側(表側)5の拡散板6に入射後、その最表面から乱発光して放出されるが、このとき湾曲部11の中央部近傍に近づくに従って透明樹脂板2の双方の端面から出射したLEDの光同士が該湾曲部近傍で集光し、相対的にリング、円、又は楕円形状に輝度が高く不均一となるホットスポットが生ずることを防止するためで、これにより光源から近いところと遠いところにおける反射の光量は平均化され均一となって面発光する。
【0032】
なお、本実施例における前記ドットサイズとドットピッチ等の寸法関係を説明すると、透明樹脂板1の全長1200ミリメートルに対して前記湾曲部の曲率半径Rは200ミリメートル、その長手方向におけるドットピッチPは3.9ミリメートルの碁盤目状の中心線上に千鳥状に各ドット16が配列しており、各ドットサイズDはLED光源近傍では概ね直径1ミリメートル、湾曲部11の中央部において最大径3.3ミリメートルに設定されその間のドットサイズは距離にほぼ比例して次第に変化するようになっている。
【0033】
さらに具体的に説明すると、この各寸法相互の関係は本発明者らの試行錯誤の結果知見したもので、例えばドットの直径をD、各ドット中心のピッチをPとすると、LED光源近傍ではD/Pは
約0.2、湾曲部中央ではD/Pは1.0の範囲で、試行の結果0.25から0.85の範囲で順次変化するように設定するのが好適である。換言すると、透明樹脂板2表面における単位面積当たりのドットの占有面積(光の透過面積)の割合(以下ドット密度という)はLED光源近傍では
3%、湾曲部中央に近づくにつれて
75%の範囲がよく、試行の結果4.5%から50%の範囲で順次変化するように設定するのが好適で、この関係は導光板本体1の寸法を被写体の寸法に合わせて変更した場合にも適用可能である。
【0034】
また、このドット16の配列に関し、例えばドットサイズDは前述と同様に設定しておき、ドットピッチPのみを変更してその間隔を調整する方法、即ち透明樹脂板2の長手方向の両端部近傍ではドットピッチPを小さく、湾曲部11の中央部に近づくにしたがって次第にドットピッチを大きく設定することでも単位面積当たりのドット密度は、前記両端部近傍では低密度にまた湾曲部11の中央に近づくにしたがって次第に高密度に変化するので同様の効果がある。
【0035】
また、前記ドット密度はドットの形状即ち円形に限らず楕円、三角、四角、矩形、その他の形状とした場合も適用できかつ前述のような規則的配置でなくランダム配置であっても同様で、これらの何れを基準として変化させるかは被写体30の形状や大きさ、導光板表面の光量等に対応して適宜選択すればよく、要するに前述した要旨に沿う形態であれば同様の効果がある。
【0036】
また、導光板の寸法を変更するに際して湾曲部11の曲率半径Rが小さくなるほど前記湾曲部のドットサイズDも比例して小さく、また該湾曲部の曲率半径が大きくなるほどドットサイズDは大きくするのが好ましく、これらの設定は前記導光板本体1の大きさと前記湾曲部11の曲率半径に対応して適宜設定される。
【0037】
一方、さきに説明した反射板4は概ね厚さ0.2ミリメートルで反射率の高い白色樹脂シート又は樹脂シートに白色顔料などを塗布することでもよく、また拡散板6は、概ね1.5ミリメートルの厚さの透明基板に光拡散性能が付与されたものであり、材料としてはメタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂等の熱可塑性樹脂等が用いられるが、例えば光拡散剤が分散された透明樹脂層が形成されたものを用いてもよい。
【0038】
なお、透明樹脂板2は、本実施例では透明なアクリル樹脂板を用いることで説明したが、例えば透明性樹脂の原料中に予め拡散剤を均一に分散させておき、このような原料を使用してキャスト成形或いは押出成形、射出成形、プレス成形などによって製造したアクリル樹脂板を使用すれば、拡散板自体を不要にでき部品点数の削減にもなる。
【0039】
図4、
図5は、軽量で熱伝導率の比較的高い材料、例えばアルミ又は強化樹脂複合材により成る上フレーム8と下フレーム9の断面形状を示したもので、透明樹脂板の端面12、13に面するフレームの内側には複数のLED7が適宜間隔(本実施例では概ね15ミリメートル間隔)でその発光部を該端面に対向しつつその幅方向に添って配置すると共に、透明樹脂板2を挟んでその一側3には反射板4を、他側5には拡散板6の端部それぞれを挟み込むように挟持・固定している。
【0040】
一方、LED7の背後の隔壁20の外方向には複数の放熱フィンたる突起21がフレーム枠の長さ方向に沿って突設し前記LEDからの受熱を外部に放熱する構造となっている。なお、この突起の形状はフレームの強度と効率的な放熱が維持できる構造であれば特に制限はない。
【0041】
また、導光板本体1の両側端面に配置した脇フレーム10の断面構造も前記上フレーム及び下フレームと同構造となっており、該導光板自体が比較的小物被写体用として活用する場合はLEDの内蔵は必要なく単に導光板本体1の側面の補強兼保護用として機能するが、被写体30が比較的大きい場合は該被写体の大きさに合わせて導光板本体1の横幅寸法も大きくする必要があり、その場合は拡散板6からの出射光を平均化するうえから前記上フレーム及び下フレームと同様にLEDを内蔵するとより効果的である。併せて、幅方向のドットサイズD及びドットピッチPも変更するとさらによい。
【0042】
25は電源コード、26はLEDの照度調整用の調光コントローラで、図示しないリモコン装置からの信号を受けてLED7から発光する照度を撮影する被写体の形状や透過光の状況等に応じて導光板本体1の表面輝度を調整する。27は電源コンセントへの接続プラグである。
【0043】
次いで、
図6を基に被写体の撮影要領について説明する。まず撮影用に準備された固定台(図示せず)上に本発明導光板本体1を配置・固定し、該導光板本体の平坦部14上に被写体30を配置して、図示しない電源に接続した接続プラグ27、調光コントローラ26を介して上フレーム8、下フレーム9各々に内蔵のLED7に通電すると、該LEDが発光しその出射光は対向する透明樹脂板2の端面12、13から入射後導光板本体1の面内に沿ってその中央の湾曲部11に達する過程でドット印刷部15を介して反射板4に入射し、方向転換と屈折を繰り返して、拡散板6に入射後その光は、その最表面から乱発光して外部に放射する。
【0044】
同時に、導光板本体1上に配置した被写体30に対しても、前記導光板本体の最表面から放射した光によってその前後・左右・下方にわたる全周囲が均一な輝度で発光し、該被写体を満遍なく照射する。このとき、前記被写体の下方から照射される光によってその影は前記周囲の光によって打ち消され撮影した写真では該被写体のみが浮き出たように写し出される。
【0045】
特に、前記被写体が色付きの瓶類や透明ガラス、プラスチック製の調度品やアクセサリのように光の反射によって色合いが微妙に変化する物品をデジタルカメラのオート機能を利用して撮影する場合などに効果的で、その周囲を均等な光で満遍なく照らすと共にLEDの発光輝度も調光コントローラ26により自在調節可能なことから、適度の輝度による発光で当該物品の陰の発生もなく鮮明で鮮やかな写真となる。よって、撮影経験の少ないプロ以外のものでも容易に撮影することができるうえ、導光板本体1自体の光源にLEDを採用したことにより軽量かつ省電力で簡便な撮影器具としてその利用範囲は多大である。