(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記特許文献1の技術は、通信圏内にコンテンツの再生が可能な無線機器が複数存在する場合、コンテンツデータの送信対象となる無線機器を、ユーザーが選択しなければならない。このため、例えば携帯端末を所持したユーザーが、部屋を移動しながら、各部屋に設置されているAV機器でコンテンツの再生を楽しみたい場合、部屋を移動するたびに、コンテンツデータの送信対象となる無線機器を選択し直さなければならず、大変面倒である。また、スマートフォンや各種タブレット端末などの携帯端末では、各AV機器に対応する操作アプリケーションを起動する必要があるが、部屋を移動するたびに、操作アプリケーションの切替を行わなければならないため、さらに面倒である。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑み、携帯端末を所持したユーザーが部屋を移動しながら気軽にコンテンツ視聴を楽しむことが可能な携帯端末、無線通信システム、携帯端末の制御方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の携帯端末は、無線機器を操作可能な携帯端末であって、予め無線機器毎に設定された受信パワーレベルの閾値を記憶する閾値記憶部と、無線機器から受信パワーレベルを取得する受信パワーレベル取得部と、任意の無線機器を操作するための操作アプリケーションを起動している状態で、他の無線機器から取得した受信パワーレベルが閾値を超えた場合、任意の無線機器を操作するための操作アプリケーションを終了すると共に、他の無線機器を操作するための操作アプリケーションを起動する制御部と、を備えたことを特徴とする。
上記の携帯端末において、制御部は、任意の無線機器を操作するための操作アプリケーションを起動している状態で、他の無線機器から取得した受信パワーレベルが閾値を超えた場合、任意の無線機器に対して電源OFF指令信号を出力することを特徴とする。
上記の携帯端末において、制御部は、任意の無線機器を操作するための操作アプリケーションを起動している状態で、他の無線機器から取得した受信パワーレベルが閾値を超えた場合、他の無線機器に対して電源ON指令信号を出力することを特徴とする。
上記の携帯端末において、無線機器の操作を所望する位置で、当該無線機器から取得した受信パワーレベルを、閾値として閾値記憶部に記憶する初期設定部をさらに備えたことを特徴とする。
上記の携帯端末において、初期設定部は、複数の無線機器について、それぞれの操作を所望する位置で取得した受信パワーレベルを、各無線機器に対応する閾値として記憶し、制御部は、無線機器から取得した受信パワーレベルが、当該無線機器に対応する閾値を超えた場合、当該無線機器を操作するための操作アプリケーションを起動することを特徴とする。
上記の携帯端末において、複数の無線機器について、それぞれ設定情報を記憶する設定情報記憶部をさらに備え、制御部は、無線機器から取得した受信パワーレベルが閾値を超えた場合、当該無線機器に、当該無線機器に対応する設定情報を設定することを特徴とする。
上記の携帯端末において、無線機器から取得した受信パワーレベルが閾値を超えた場合、当該無線機器から、ネットワーク識別番号を取得する識別番号取得部をさらに備え、制御部は、取得したネットワーク識別番号を用いて無線機器のネットワーク制御を行うことを特徴とする。
上記の携帯端末において、無線機器は、クライアント機器と接続されたマスター機器であり、当該マスター機器は、接続された各クライアント機器のネットワーク識別番号を記憶しており、識別番号取得部は、マスター機器から取得した受信パワーレベルが閾値を超えた場合、当該マスター機器および当該マスター機器に接続された各クライアント機器のネットワーク識別番号を取得し、制御部は、取得したネットワーク識別番号を用いて、マスター機器および当該マスター機器に接続された各クライアント機器のネットワーク制御を行うことを特徴とする。
本発明の無線通信システムは、携帯端末と無線機器が無線通信可能に構成された無線通信システムであって、携帯端末は、予め無線機器毎に設定された受信パワーレベルの閾値を記憶する閾値記憶部と、無線機器から受信パワーレベルを取得する受信パワーレベル取得部と、任意の無線機器を操作するための操作アプリケーションを起動している状態で、他の無線機器から取得した受信パワーレベルが閾値を超えた場合、任意の無線機器を操作するための操作アプリケーションを終了すると共に、他の無線機器を操作するための操作アプリケーションを起動する制御部と、を備えたことを特徴とする。
本発明の携帯端末の制御方法は、無線機器を操作可能な携帯端末の制御方法であって、予め無線機器毎に設定された受信パワーレベルの閾値を記憶するステップと、無線機器から受信パワーレベルを取得するステップと、任意の無線機器を操作するための操作アプリケーションを起動している状態で、他の無線機器から取得した受信パワーレベルが閾値を超えた場合、任意の無線機器を操作するための操作アプリケーションを終了すると共に、他の無線機器を操作するための操作アプリケーションを起動するステップと、を実行することを特徴とする。
本発明のプログラムは、コンピューターに、上記の携帯端末の制御方法における各ステップを実行させることを特徴とする。
なお、以下の構成としても良い。
本発明の携帯端末は、無線機器を操作可能な携帯端末であって、予め無線機器毎に設定された
受信パワーレベルの閾値を記憶する閾値記憶部と、無線機器から
受信パワーレベルを取得する
受信パワーレベル取得部と、無線機器から取得した
受信パワーレベルが閾値を超えた場合、当該無線機器を操作するための操作アプリケーションを起動する制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明の無線通信システムは、携帯端末と無線機器が無線通信可能に構成された無線通信システムであって、携帯端末は、予め無線機器毎に設定された
受信パワーレベルの閾値を記憶する閾値記憶部と、無線機器から
受信パワーレベルを取得する
受信パワーレベル取得部と、無線機器から取得した
受信パワーレベルが閾値を超えた場合、当該無線機器を操作するための操作アプリケーションを起動する制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明の携帯端末の制御方法は、無線機器を操作可能な携帯端末の制御方法であって、予め無線機器毎に設定された
受信パワーレベルの閾値を記憶するステップと、無線機器から
受信パワーレベルを取得するステップと、無線機器から取得した
受信パワーレベルが閾値を超えた場合、当該無線機器を操作するための操作アプリケーションを起動するステップと、を実行することを特徴とする。
【0009】
これらの構成によれば、例えば携帯端末を所持したユーザーが、部屋を移動しながら各部屋に設置された無線機器の操作を行いたい場合、無線機器から取得した
受信パワーレベルによって、その無線機器に近づいたことを判定できるため、通信圏内に複数の無線機器が存在する場合でも、近くにある無線機器を操作対象として特定することができる。つまり、ユーザーが複数の無線機器の中から所望の1台を選択する手間を省略できる。また、無線機器から取得した
受信パワーレベルが閾値を超えた場合、当該無線機器を操作するための操作アプリケーションを起動するため、部屋を移動するたびにユーザーが操作アプリケーションの切替を行う必要がない。このように、ユーザーが何ら操作を行うことなく、操作対象となる無線機器の特定、および操作アプリケーションの起動を行うため、無線機器がコンテンツ再生装置の場合、ユーザーは部屋を移動しながら気軽にコンテンツ視聴を楽しむことができる。
なお、「無線機器」とは、映像や音声を再生するコンテンツ再生機器のみならず、携帯端末によって操作可能な各種電子機器を指す。
【0010】
上記の携帯端末において、制御部は、任意の無線機器を操作するための操作アプリケーションを起動している状態で、他の無線機器から取得した
受信パワーレベルが閾値を超えた場合、任意の無線機器を操作するための操作アプリケーションを終了すると共に、他の無線機器を操作するための操作アプリケーションを起動することを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、ユーザーは、不要になった操作アプリケーションの終了の手間を省略できる。
【0012】
上記の携帯端末において、制御部は、任意の無線機器を操作するための操作アプリケーションを起動している状態で、他の無線機器から取得した
受信パワーレベルが閾値を超えた場合、任意の無線機器に対して電源OFF指令信号を出力すると共に、他の無線機器に対して電源ON指令信号を出力することを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、電源ON指令信号の出力により、ユーザーは、操作対象となる無線機器が電源OFFの状態であっても、その起動の手間を省略できる。また、電源OFF指令信号の出力により、操作対象とならない無線機器が電源ON状態を維持し続けることによる、無駄な電力消費を防止できる。
【0014】
上記の携帯端末において、無線機器の操作を所望する位置で、当該無線機器から取得した
受信パワーレベルを、閾値として閾値記憶部に記憶する初期設定部をさらに備えたことを特徴とする。
【0015】
上記の携帯端末において、初期設定部は、複数の無線機器について、それぞれの操作を所望する位置で取得した
受信パワーレベルを、各無線機器に対応する閾値として記憶し、制御部は、無線機器から取得した
受信パワーレベルが、当該無線機器に対応する閾値を超えた場合、当該無線機器を操作するための操作アプリケーションを起動することを特徴とする。
【0016】
無線機器に近づいたか否かの判別は、各部屋の壁の反射やアンテナの損失などを考慮しなければならないため、単純に計算式で求めることが難しい。これらの構成によれば、初期設定により実際に取得した
受信パワーレベルを閾値として記憶するため、各部屋の状態等を考慮しつつ、ユーザーが所望する位置で、操作対象となる無線機器の切替(操作アプリケーションの起動・終了)を正確に行うことができる。
【0017】
上記の携帯端末において、複数の無線機器について、それぞれ設定情報を記憶する設定情報記憶部をさらに備え、制御部は、無線機器から取得した
受信パワーレベルが閾値を超えた場合、当該無線機器に、当該無線機器に対応する設定情報を設定することを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、操作対象となる無線機器に対し、設定情報を設定するため、ユーザーの好みの状態で、無線機器を操作できる。例えば、無線機器がコンテンツ再生機器の場合、各種再生情報(ボリューム、イコライザー値、エフェクト値、音色調整値、チャンネル、解像度、画質調整値など)を設定できる。
【0019】
上記の携帯端末において、無線機器から取得した
受信パワーレベルが閾値を超えた場合、当該無線機器から、ネットワーク識別番号を取得する識別番号取得部をさらに備え、制御部は、取得したネットワーク識別番号を用いて無線機器のネットワーク制御を行うことを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、ネットワーク識別番号(IPアドレスなど)を取得することにより、無線機器のネットワーク制御を行うことができる。
【0021】
上記の携帯端末において、無線機器は、クライアント機器と接続されたマスター機器であり、当該マスター機器は、接続された各クライアント機器のネットワーク識別番号を記憶しており、識別番号取得部は、マスター機器から取得した
受信パワーレベルが閾値を超えた場合、当該マスター機器および当該マスター機器に接続された各クライアント機器のネットワーク識別番号を取得し、制御部は、取得したネットワーク識別番号を用いて、マスター機器および当該マスター機器に接続された各クライアント機器のネットワーク制御を行うことを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、マスターとクライアントの関係にある無線機器群をまとめて操作対象とすることができる。なお、この場合、マスター機器用の操作アプリケーションに、クライアント機器用の操作アプリケーションが組み込まれているか、若しくはマスター機器用の操作アプリケーションとクライアント機器用の操作アプリケーションを同時に起動するものとする。
【0023】
本発明のプログラムは、コンピューターに、上記の携帯端末の制御方法における各ステップを実行させることを特徴とする。
【0024】
このプログラムを用いることにより、携帯端末を所持したユーザーが部屋を移動しながら気軽にコンテンツ視聴を楽しむことが可能な携帯端末の制御方法を実現できる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の携帯端末、無線通信システム、携帯端末の制御方法およびプログラムについて、添付図面を参照しながら詳細に説明する。本実施形態では、携帯端末10を所持したユーザーが、部屋を移動しながら、各部屋に設置されているAV機器20(無線機器)で、楽曲(コンテンツ)の再生を行う状況を想定する。
【0027】
図1は、本発明の一実施形態に係る無線通信システムSYのシステム構成図である。無線通信システムSYは、ユーザーが所持する携帯端末10と、各部屋に設置された複数台(同図では、2台)のAV機器20と、複数台のAV機器20と接続された無線LANルーター30と、から成る。なお、複数台のAV機器20および無線LANルーター30を接続するネットワークは、有線LANであっても良いし、無線LANであっても良い。
【0028】
携帯端末10は、スマートフォン、各種タブレット端末、ノート型PCなど、携帯可能な情報処理端末を指す。携帯端末10のディスプレイ12(
図2(a)参照)には、各部屋のAV機器20をリモートコントロールするための操作画面が表示される。当該操作画面は、操作対象となるAV機器20に応じて、その内容(操作アイコンの形態、操作方法など)が異なる。
【0029】
AV機器20は、AVレシーバー、ミニコンポーネントシステム、AVシステム、カラオケ機器等など、楽曲コンテンツを再生/出力可能な機器を指す。また、AV機器20は、各部屋に必ずしも1台のみの設置でなくても良いが、1つの部屋の中に複数台のAV機器20が設置される場合は、後述するマスター/クライアント機器を使った手法を用いて操作しても良い。
【0030】
ここで、無線通信システムSYの概要を説明する。例えば、ユーザーが、「部屋1」に設置された「AV機器1」で楽曲の視聴を楽しんでおり、携帯端末10には、「AV機器1」用の操作画面D1が表示されているものとする。そして、携帯端末10に、「AV機器1」用の操作画面D1を表示したまま、且つ「AV機器1」を再生した状態のまま、「部屋2」に移動したとする。携帯端末10を所持したユーザーが「AV機器2」に近づくと、携帯端末10のディスプレイ12は、「AV機器1」用の操作画面D1から「AV機器2」用の操作画面D2に切り替わる。また、「AV機器1」は電源OFFされ、代わって「AV機器2」は電源ON状態となる。これにより、ユーザーは、部屋を移動しても、何ら操作を行うことなく、最適な(身近な)AV機器20で楽曲を再生させることができる。また、これにより、楽曲の視聴を継続して楽しむことができる。
【0031】
図2(a)は、携帯端末10の制御ブロック図である。携帯端末10は、CPU(Central Processing Unit)11、ディスプレイ12、操作部13、メモリ14、無線通信制御部15およびLAN制御部16を備えている。
【0032】
CPU11は、中央演算処理装置であり、携帯端末10内の各部を制御する。ディスプレイ12は、
図1に示した操作画面D1,D2等を表示する。操作部13は、操作画面D1,D2の操作を行う。なお、ディスプレイ12と操作部13を統合し、タッチパネルとして搭載しても良い。
【0033】
メモリ14は、本実施形態(後述する設定処理、移動時処理等)を実現するための動作アプリケーション、各AV機器20を操作するための操作アプリケーション、各AV機器20に適した音場を設定するための設定情報、各AV機器20に近づいたことを判別するための閾値、楽曲コンテンツ等を記憶する。「設定情報」とは、ボリューム、エフェクト値、イコライザー値、チャンネルなどの各種再生情報を指す。また、「閾値」とは、初期設定処理により予めAV機器20別に設定された
受信パワーレベルを指し、AV機器20に携帯端末10を持つユーザーが近づいたことを判別する値である。初期設定処理の詳細については、後述する。
【0034】
また、「楽曲コンテンツ」は、各AV機器20を操作するための操作アプリケーションにより、再生操作可能に記憶されている。なお、楽曲コンテンツは、インターネット等を介して外部サーバーから取得する構成や、ホームネットワークにおけるNAS(Network Attached Storage)から取得する構成でも良い。
【0035】
無線通信制御部15は、Bluetooth(登録商標)の規格に基づいて通信制御を行うものであり、TPS(Tx Power Service)取得部15aと、SPP(Serial Port Protocol)取得部15bと、を含む。TPS取得部15aは、無線接続されたAV機器20の
受信パワーレベルの取得を行う。当該
受信パワーレベルの取得により、AV機器20に近づいたことを判別する。
【0036】
SPP取得部15bは、無線接続されたAV機器20のIPアドレス(ネットワーク識別番号)を取得する。一方、LAN制御部16は、LANネットワーク制御(LAN接続およびIPアドレスを用いたコントロール)を行う。LAN制御部16は、SPP取得部15bによりIPアドレスを取得することで、LAN経由でのAV機器20との1:1接続(特定のAV機器20に対するコントロール)が可能となる。
【0037】
図2(b)は、AV機器20の制御ブロック図である。AV機器20は、CPU21、再生処理部22、スピーカー23、無線通信制御部25およびLAN制御部26を備えている。CPU21は、中央演算処理装置であり、AV機器20内の各部を制御する。再生処理部22は、携帯端末10からの指令(LAN制御部16,26を介して取得したコントロール信号)に基づく再生処理(ボリューム調整、エフェクト調整など)を行う。スピーカー23は、再生処理された音声信号を出力する。
【0038】
無線通信制御部25は、携帯端末10の無線通信制御部15と無線通信を行うものであり、TPS送信部25aと、SPP送信部25bと、を含む。TPS送信部25aは、無線接続された携帯端末10に
受信パワーレベルの送信を行う。また、SPP送信部25bは、無線接続された携帯端末10に、自機器(AV機器20)のIPアドレスを送信する。LAN制御部26は、携帯端末10のLAN制御部16と同様に、LANネットワーク制御を行う。
【0039】
図3は、携帯端末10の機能ブロック図である。携帯端末10は、主な機能構成として、初期設定部110、
受信パワーレベル取得部120、識別番号取得部130、記憶部140および制御部150を備えている。
【0040】
初期設定部110は、初期設定処理により、各AV機器20について、それぞれの操作を所望する位置で取得した
受信パワーレベルを、各AV機器20に対応する閾値として、後述する閾値記憶部141に記憶する。つまり、任意のAV機器20から取得した
受信パワーレベルが、任意のAV機器20に対応する閾値を超えた場合、携帯端末10が任意のAV機器20に近づいたと判定される。このように、実際に取得した
受信パワーレベルを閾値として記憶することで、各部屋の壁の反射やアンテナの損失などを考慮しつつ、ユーザーが所望する位置で正確にAV機器20の切替(操作アプリケーションの起動・終了)を行うことができる。
【0041】
受信パワーレベル取得部120は、TPS取得部15aにより、各AV機器20から、
受信パワーレベルを取得する。なお、
受信パワーレベルの取得は、ポーリングによって常時(定期的に)行っても良いし、携帯端末10内蔵のジャイロセンサー等により携帯端末10の動きを検出し、一定量以上の動きがあった場合に取得するようにしても良い。
【0042】
識別番号取得部130は、任意のAV機器20から取得した
受信パワーレベルが、任意のAV機器20に対応する閾値を超えた場合、SPP取得部15bにより、当該任意のAV機器20から、IPアドレスを取得する。
【0043】
記憶部140は、閾値記憶部141、設定情報記憶部142およびアプリケーション記憶部143を含む。閾値記憶部141は、上記のとおり、各AV機器20に近づいたことを判定するための、各AV機器20に対応する
受信パワーレベルの閾値を記憶する。
【0044】
設定情報記憶部142は、各AV機器20に対応する設定情報を記憶する。設定情報を記憶させる方法としては、例えば、携帯端末10が任意のAV機器20に対応する操作アプリケーションを起動している状態で、任意のAV機器20を好みの設定情報に設定し、携帯端末10の操作画面上に表示されている所定のアイコン(設定ボタン等)を選択することで、その時点における設定情報を保存する、などが考えられる。また、前回、任意のAV機器20に対応する操作アプリケーションを終了した時点で任意のAV機器20に設定されていた設定情報を、当該任意のAV機器20に対応する設定情報として保存する方法でも良い。
【0045】
アプリケーション記憶部143は、各AV機器20に対応する複数の操作アプリケーションを記憶する。
【0046】
制御部150は、アプリケーション制御部151、電源制御部152、設定制御部153およびネットワーク制御部154を含む。アプリケーション制御部151は、任意のAV機器20から取得した
受信パワーレベルが、任意のAV機器20に対応する閾値を超えた場合、当該任意のAV機器20を操作するための操作アプリケーションを起動する。また、任意のAV機器20を操作するための操作アプリケーションを起動している状態で、他のAV機器20から取得した
受信パワーレベルが、当該他のAV機器20に対応する閾値を超えた場合、任意のAV機器20を操作するための操作アプリケーションを終了する。
【0047】
電源制御部152は、任意のAV機器20を操作するための操作アプリケーションを起動している状態で、他のAV機器20から取得した
受信パワーレベルが、当該他のAV機器20に対応する閾値を超えた場合、任意のAV機器20に対して電源OFF指令信号を出力すると共に、他のAV機器20に対して電源ON指令信号を出力する。
【0048】
設定制御部153は、任意のAV機器20から取得した
受信パワーレベルが、任意のAV機器20に対応する閾値を超えた場合、任意のAV機器20に、設定情報記憶部142から読み出した当該任意のAV機器20用の設定情報を設定する。
【0049】
ネットワーク制御部154は、識別番号取得部130により取得したIPアドレスを用いて、AV機器20のネットワーク制御を行う。
【0050】
図4は、初期設定処理を示すフローチャートである。初期設定処理では、まず携帯端末10とAV機器20とのペアリングを行い(S01)、AV機器20の操作を開始すべき位置(AV機器20に対する相対位置)を確定する(S02)。確定方法としては、例えば携帯端末10の操作画面上に表示された所定のアイコン(位置確定ボタンなど)を選択する、また携帯端末10に所定の動きを与える(回転させる、所定回数以上振動させるなど)、が考えられる。
【0051】
携帯端末10は、確定された位置で取得したAV機器20からの
受信パワーレベルに基づき、当該AV機器20用の閾値を算出する(S03)。また、AV機器20のアドレス(IPアドレスなど)と紐付けて、当該閾値を閾値記憶部141に保存する(S04)。以上、S01〜S04の工程を、操作したい全てのAV機器20に対して繰り返す。
【0052】
なお、「閾値」としては、ある任意の場所で、複数のAV機器20から取得した各
受信パワーレベルが、同時に各閾値を超えることがないように設定されていることが好ましい。つまり、初期設定処理の際、例えば同じ部屋に複数台のAV機器20が存在するような状況では、その離間距離に対して十分小さい距離以内に近づかない限り閾値が保存できないように、S02で位置確定の制限を行うことが好ましい。例えば、同じ部屋内に設置された「AV機器1」と「AV機器2」に対して初期設定処理を行う場合であって、「AV機器1」の初期設定処理において、「AV機器1」から
受信パワーレベルを取得した際に、「AV機器2」からも同程度以上の
受信パワーレベルを取得している場合、S02で位置確定を制限することが考えられる。
【0053】
図5は、移動時処理を示すフローチャートである。ここでは、「AV機器1」が設置されている「部屋1」から、「AV機器2」が設置されている「部屋2」に移動する場合を想定する(
図1参照)。また、「AV機器1」用の操作アプリケーションが起動状態にある(携帯端末10に「AV機器1」用の操作画面D1が表示されている)ものとする。
【0054】
携帯端末10は、「AV機器2」から取得した
受信パワーレベルが、「AV機器2」用の閾値を超えた場合(S11:Yes)、「AV機器2」とのSPP接続を行い(S12)、「AV機器2」からIPアドレスを含む機器情報を取得する(S13)。なお、特に図示しないが、S13で取得した機器情報により、AV機器20以外の機器であると判定した場合は、以降の処理を省略する。以上、S11〜S13は、本実施形態を実現するための動作アプリケーションの一部に相当する閾値監視アプリケーション(「AV機器1」用の操作アプリケーションのバックグラウンドで動作している)により実現される工程である。
【0055】
続いて、携帯端末10は、LANネットワークを介し、「AV機器1」に対し電源OFF指令信号を出力する(S14)。また、「AV機器1」用の操作アプリケーションを終了する(S15)。以上、S14,S15は、主に「AV機器1」用の操作アプリケーションにより実現される工程である。
【0056】
一方、携帯端末10は、「AV機器2」用の操作アプリケーションを起動し(S16)、「AV機器2」から取得したIPアドレスを用いて、「AV機器2」とLANネットワーク接続を行い、「AV機器2」に対する電源ON指令信号を出力する(S17)。その後、「AV機器2」用の操作画面D2を表示し(S18)、「AV機器2」に対し、「AV機器2」用の設定情報を設定する(S19)。以上、S16〜S19は、主に「AV機器2」用の操作アプリケーションにより実現される工程である。
【0057】
以上説明したとおり、本実施形態の無線通信システムSYによれば、携帯端末10を所持したユーザーが、部屋を移動しながら各部屋に設置されたAV機器20により楽曲コンテンツの再生を行いたい場合、AV機器20から取得した
受信パワーレベルによって、そのAV機器20に近づいたことを判定できるため、通信圏内に複数のAV機器20が存在する場合でも、近くにあるAV機器20を操作対象として特定することができる。これによりユーザーが、操作可能な複数のAV機器20の中から、所望の1台を選択する手間を省略できる。また、AV機器20から取得した
受信パワーレベルが閾値を超えた場合、当該AV機器20を操作するための操作アプリケーションを自動的に起動するため、部屋を移動するたびにユーザーが操作アプリケーションの切替(起動および終了)を行う必要がない。このように、ユーザーが何ら操作を行うことなく、操作対象となるAV機器20の特定、および操作アプリケーションの起動を行うため、ユーザーは部屋を移動しながら気軽にコンテンツ視聴を楽しむことができる。
【0058】
また、任意のAV機器20に近づいた場合、任意のAV機器20に対して電源ON指令信号を出力するため、ユーザーは、任意のAV機器20が電源OFFの状態であっても、その起動の手間を省略できる。また、それまで操作対象であったAV機器20に対しては、電源OFF指令信号を出力するため、操作対象とならないAV機器20が電源ON状態を維持し続けることによる、無駄な電力消費を防止できる。
【0059】
また、初期設定処理により、各AV機器20について、それぞれの操作を所望する位置で取得した
受信パワーレベルを、各AV機器20に対応する閾値として記憶するため、各AV機器20に近づいたか否かの判別を正確に行うことができる。また、携帯端末10に各AV機器20の設定情報(再生情報など)を記憶しておく構成であるため、各部屋で、好みの音場に設定することができる。
【0060】
また、操作対象として特定したAV機器20からIPアドレスを取得するため、AV機器20のネットワーク制御を行うことができる。つまり、スマートフォンや各種タブレット端末で、LANを介してAV機器20を操作する既存の操作アプリケーションを、そのまま本実施形態の操作アプリケーションとして用いることができる。
【0061】
なお、上記の実施形態では、各AV機器20に対応する閾値を記憶する構成としたが、複数のAV機器20について、同じ閾値を記憶する構成としても良い。
【0062】
また、上記の実施形態では、IPアドレスを用いてAV機器20のネットワーク制御を行うものとしたが、AV機器20がネットワーク接続されていない場合、SPPを使用して、AV機器20のコントロールを行っても良い。
【0063】
その他、以下の変形例を採用可能である。例えば、上記の実施形態では、初期設定処理により、実際に測定した
受信パワーレベルを、閾値として記憶する構成としたが、ユーザーが直接、各AV機器20に対応する閾値(
受信パワーレベル)を入力・設定する構成でも良い。この構成によれば、実際に各AV機器20の近くに行って初期設定処理を行う手間を軽減できる。
【0064】
また、各AV機器20に対応する距離を入力・設定する構成でも良い。この場合、
図6(a)に示す伝播損失の計算式を用い、入力された距離に基づいて、伝播損失を計算し、閾値を算出する。但し、
図6(b)に示すように距離が短い方が、損失変化が大きく移動検知が容易となるため、この場合の距離は、上限値(例えば、2[m])以内で設定可能とすることが好ましい。
【0065】
また、その距離を、数値として入力するのではなく、「近い」、「遠い」などの選択肢から選択可能としても良い。この場合、「近い」と設定された場合は、高い
受信パワーレベルを閾値として記憶し、「遠い」と設定された場合は、低い
受信パワーレベルを閾値として記憶することになる。これにより、例えば同じ部屋に複数台のAV機器20が存在するような状況では「近い」に設定し、そうでない場合は「遠い」に設定する、などの使い分けができる。また、距離を数値設定した場合、各部屋の壁の反射やアンテナの損失などで誤差が生じてしまう可能性があるが、「近い」、「遠い」など抽象的な距離感で選択・設定可能とすることで、誤差の問題を軽減しつつ、ユーザーのニーズに応えることができる。
【0066】
また、操作対象となるAV機器20は、必ずしも1台に限定されるものではない。例えば、
図7(a)に示すように、マスター/クライアントの関係となるAV機器20群を、全て操作対象としても良い。この場合、マスターAV機器20aは、
図7(b)に示す対応表31を記憶している。つまり、マスターAV機器20a用のIPアドレスと、接続された各クライアントAV機器20b用のIPアドレスを記憶している。なお、クライアントAV機器20b用のIPアドレスは、マスターAV機器20aが自動収集する構成でも良いし、ユーザーがマスターAV機器20aに対して手動入力する構成でも良い。
【0067】
そして、携帯端末10の識別番号取得部130は、マスターAV機器20aから取得した
受信パワーレベルが、当該マスターAV機器20aに対応する閾値を超えた場合、マスターAV機器20aから、マスターAV機器20aおよび当該マスターAV機器20aに接続された各クライアントAV機器20bのIPアドレスを取得する。また、携帯端末10のネットワーク制御部154は、取得したIPアドレスを用いて、マスターAV機器20aおよび各クライアントAV機器20bのネットワーク制御を行う。この構成によれば、マスターとクライアントの関係にある複数台のAV機器20をまとめて操作対象とすることができる。なお、この場合、マスターAV機器20a用の操作アプリケーションに、クライアントAV機器20b用の操作アプリケーションが組み込まれているか、若しくはアプリケーション制御部151が、マスターAV機器20a用の操作アプリケーションとクライアントAV機器20b用の操作アプリケーションを同時に起動するものとする。
【0068】
以上、各実施形態および各変形例を示したが、これらの実施形態および変形例における無線通信システムSYの各構成要素をプログラムとして提供することが可能である。また、そのプログラムを各種記録媒体(CD−ROM、フラッシュメモリ等)に格納して提供することも可能である。すなわち、コンピューターを無線通信システムSYの各構成要素として機能させるためのプログラム、およびそれを記録した記録媒体も、本発明の権利範囲に含まれる。
【0069】
また、上記の実施形態では、無線機器として、AV機器20を例示したが、楽曲以外のコンテンツ(映像コンテンツ、テキストコンテンツなど)を再生可能なコンテンツ再生機器に、本発明を適用しても良い。この場合、設定情報として、解像度や画質調整値などを設定可能としても良い。また、コンテンツ再生装置以外にも、携帯端末10により無線通信を介して操作可能な各種電子機器を、本発明の無線機器として用いても良い。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。