特許第6051640号(P6051640)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コニカミノルタ株式会社の特許一覧

特許6051640光学部材の保持構造、光学装置及び画像形成装置
<>
  • 特許6051640-光学部材の保持構造、光学装置及び画像形成装置 図000002
  • 特許6051640-光学部材の保持構造、光学装置及び画像形成装置 図000003
  • 特許6051640-光学部材の保持構造、光学装置及び画像形成装置 図000004
  • 特許6051640-光学部材の保持構造、光学装置及び画像形成装置 図000005
  • 特許6051640-光学部材の保持構造、光学装置及び画像形成装置 図000006
  • 特許6051640-光学部材の保持構造、光学装置及び画像形成装置 図000007
  • 特許6051640-光学部材の保持構造、光学装置及び画像形成装置 図000008
  • 特許6051640-光学部材の保持構造、光学装置及び画像形成装置 図000009
  • 特許6051640-光学部材の保持構造、光学装置及び画像形成装置 図000010
  • 特許6051640-光学部材の保持構造、光学装置及び画像形成装置 図000011
  • 特許6051640-光学部材の保持構造、光学装置及び画像形成装置 図000012
  • 特許6051640-光学部材の保持構造、光学装置及び画像形成装置 図000013
  • 特許6051640-光学部材の保持構造、光学装置及び画像形成装置 図000014
  • 特許6051640-光学部材の保持構造、光学装置及び画像形成装置 図000015
  • 特許6051640-光学部材の保持構造、光学装置及び画像形成装置 図000016
  • 特許6051640-光学部材の保持構造、光学装置及び画像形成装置 図000017
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6051640
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】光学部材の保持構造、光学装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 26/10 20060101AFI20161219BHJP
   B41J 2/47 20060101ALI20161219BHJP
   H04N 1/113 20060101ALI20161219BHJP
   G02B 7/182 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   G02B26/10 F
   B41J2/47 101D
   H04N1/04 104A
   G02B7/182
【請求項の数】13
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-160085(P2012-160085)
(22)【出願日】2012年7月19日
(65)【公開番号】特開2014-21288(P2014-21288A)
(43)【公開日】2014年2月3日
【審査請求日】2015年3月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松尾 隆宏
(72)【発明者】
【氏名】田島 直樹
(72)【発明者】
【氏名】長坂 泰志
【審査官】 右田 昌士
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−267907(JP,A)
【文献】 特開平03−068908(JP,A)
【文献】 特開2008−185995(JP,A)
【文献】 特開2006−259368(JP,A)
【文献】 特開2003−121774(JP,A)
【文献】 特開平10−206617(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/046507(WO,A1)
【文献】 特開平10−253872(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 26/10 − 26/12
B41J 2/47
H04N 1/113
G02B 7/00
G02B 7/18 − 7/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学部材を所定の平面上の位置で位置決めする位置決め部材と、
前記位置決め部材によって位置決めされた前記光学部材を保持する保持部材と、
を備え、
前記光学部材には、前記位置決め部材と別体で形成された重りが取り付けられており、
前記重りが取り付けられた光学部材の重心は、重りが取り付けられる前の光学部材の重心よりも前記所定の平面側に位置することを特徴とする光学部材の保持構造。
【請求項2】
光学部材を所定の平面上の位置で位置決めする位置決め部材と、
前記位置決め部材によって位置決めされた前記光学部材を保持する保持部材と、
を備え、
前記光学部材には、重りが取り付けられており、
前記重りが取り付けられた光学部材の重心は、重りが取り付けられる前の光学部材の重心よりも前記所定の平面側に位置し、
前記光学部材は、直方体であり、前記光学部材における最も長い辺に沿う方向である長手方向の両端近傍の2点で保持部材により押圧保持され、
前記2点は、前記所定の平面と平行な平面上であって、かつ、前記光学部材と前記位置決め部材との3点の当接点により形成される三角形状の領域内に位置し、
前記重りは、前記2点を結んだ線を通り、かつ、前記所定の平面に直交する平面に対して対称となるように配置されることを特徴とする光学部材の保持構造。
【請求項3】
前記重りは、前記光学部材から前記所定の平面側に突出していることを特徴とする請求項1に記載の光学部材の保持構造。
【請求項4】
前記光学部材は、光を反射する反射面を有することを特徴とする請求項1又はに記載の光学部材の保持構造。
【請求項5】
前記反射面は、前記所定の平面上に位置することを特徴とする請求項に記載の光学部材の保持構造。
【請求項6】
前記重りは、前記反射面に設けられていることを特徴とする請求項又はに記載の光学部材の保持構造。
【請求項7】
前記光学部材は、直方体であり、前記光学部材における最も長い辺に沿う方向である長手方向の両端近傍の2点で保持部材により押圧保持され、
前記2点は、前記所定の平面と平行な平面上であって、かつ、前記光学部材と前記位置決め部材との3点の当接点により形成される三角形状の領域内に位置し、
前記重りは、前記2点を結んだ線を通り、かつ、前記所定の平面に直交する平面に対して対称となるように配置されることを特徴とする請求項1、3から6のいずれか一項に記載の光学部材の保持構造。
【請求項8】
前記重りは、前記光学部材の長手方向に沿うよう設けられた部材であり、前記光学部材の外面に貼り付けられることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の光学部材の保持構造。
【請求項9】
前記重りは、金属製であることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の光学部材の保持構造。
【請求項10】
光源と、
前記光源から発せられた光を射出する射出部と、
前記光を射出部に導く光学部材と、
請求項1からのいずれか一項に記載の光学部材の保持構造と、を備え、
前記光学部材は、前記光学部材の保持構造により保持されることを特徴とする光学装置。
【請求項11】
前記光源から発せられた光の射出角度を変更する変更手段を備え、
前記変更手段により射出角度が変更された光によって被照射体を走査することを特徴とする請求項10に記載の光学装置。
【請求項12】
感光体と、
請求項1に記載の光学装置と、
前記光学装置により走査された感光体にトナーを担持させる担持手段と、
前記担持手段により前記感光体に担持されたトナーを記録媒体に転写する転写手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
光源と、
前記光源から発せられた光を射出する射出部と、
前記光を射出部に導く光学部材と、
前記光源から発せられた光の射出角度を変更する変更手段と、
前記光学部材を保持する光学部材の保持構造と、を備え、
前記変更手段により射出角度が変更された光によって被照射体を走査し、
前記光学部材の保持構造は、
前記光学部材を所定の平面上の位置で位置決めする位置決め部材と、
前記位置決め部材によって位置決めされた前記光学部材を保持する保持部材と、
を備え、
前記光学部材には、重りが取り付けられており、
前記重りが取り付けられた光学部材の重心は、重りが取り付けられる前の光学部材の重心よりも前記所定の平面側に位置することを特徴とする光学装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学部材の保持構造、光学装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザー走査光学装置等の光学機器において用いられる反射鏡を取り付ける方法として、図12に示すように、反射鏡101を位置決めするシャシ110と、当該シャシと協働して反射鏡を挟み込むように設けられた板バネ113とに反射鏡を保持させる方法が知られている(例えば、特許文献1等)。
【0003】
また、上記の保持方法により取り付けられる反射鏡101は、外部からの振動を受けると共振を起こし、保持点間で撓むように振動する撓み振動を生じることがある。撓み振動を生じると、反射面も撓み、また振動することから、反射面により反射された光線の光軸がぶれて所望の軌跡を通らなくなる問題がある。そこで、図13に示すように、反射鏡101に重り102を取り付けて撓み振動を防止することにより当該問題を解消する方法が知られている(例えば、特許文献2等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−38347号公報
【特許文献2】特開平9−120039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の方法では、反射鏡に回転振動が生じる場合があった。以下、回転振動が生じる場合について説明する。
図14は、重り102が取り付けられて保持された反射鏡101の一例を示す図である。
図14に示すように、反射鏡101は、反射鏡101が取り付けられるシャシ110の突起111、112と、反射鏡101を挟んで突起111、112が設けられた側と対向する位置に設けられて反射鏡101を突起111、112側に付勢する板バネ113とにより挟持されることにより保持される。ここで、突起111、112が反射鏡101の保持平面S1を形成する。即ち、反射鏡101と突起111、112とが当接する反射面101aは、反射鏡101の保持平面S1上に位置する。
また、図14に示すように、重り102が反射鏡101の板バネ113側に取り付けられている。
【0006】
図15は、反射鏡101と重り102との複合体100の重心Gの位置を示す図である。図15では、図14に示す板バネ113の図示を省略している。
図15に示すように、反射鏡101と重り102との複合体の重心Gは重り102が取り付けられていない状態の反射鏡101の重心と比較して重り102が取り付けられた側に寄ることとなる。
【0007】
ここで、図15に示すように、反射鏡101に対して外部からの衝撃等による付勢力Xgが働いたとする。付勢力Xgのベクトルと突起111、112による反射鏡101の保持平面S1との角度をθとすると、付勢力Xgは、反射鏡101と重り102との複合体に作用するに際して、重心Gを基点として、XgSIN(θ)とXgCOS(θ)とに分解される。
【0008】
図15に示すような、板バネ113の反対側、かつ、突起111から突起112側に向かう方向の成分を含む付勢力Xgが働いた場合、図16に示すように、反射鏡101と突起112との当接点Oを中心とした回転モーメントM1が反射鏡101に働く。ここで、当接点Oと重心Gとの距離のうち、保持平面S1と平行な方向の距離を距離A、保持平面S1に直交する方向の距離をBとすると、以下の式(1)により回転モーメントM1を算出することができる。
M1=A×Xg×SIN(θ)+B×Xg×COS(θ)…(1)
【0009】
一方、図14に示すように、反射鏡101は板バネ113により付勢されていることから、突起111、112側への付勢力Xbが反射鏡101に加えられている。ここで、板バネ113による反射鏡101の押圧点Qと当接点Oとの距離のうち、反射鏡101の反射面101aに沿った方向の距離を距離Cとすると、以下の式(2)により算出される当接点Oを中心とした回転モーメントM2が、反射鏡101に加えられていることとなる。
M2=C×Xb…(2)
【0010】
ここで、回転モーメントM1が回転モーメントM2を上回った場合、図16に示すように、反射鏡101は、当接点Oを中心とした回転振動を生じる。当該回転振動により、反射面101aは、突起111から離れて角度を変ずる。この場合、反射面101aにより反射される光線の光軸が乱れて予め想定された軌跡を通らなくなる。即ち、反射鏡101を用いた光学機器の精度が低下する。
このような回転振動による光学機器の精度の低下は、反射鏡101に限らず、光線を誘導する全ての光学部材の取り付け機構において発生しうる。
【0011】
本発明は、より高精度に光を導くことができる光学部材の保持構造、光学装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載の発明による光学部材の保持構造は、光学部材を所定の平面上の位置で位置決めする位置決め部材と、前記位置決め部材によって位置決めされた前記光学部材を保持する保持部材と、を備え、前記光学部材には、前記位置決め部材と別体で形成された重りが取り付けられており、前記重りが取り付けられた光学部材の重心は、重りが取り付けられる前の光学部材の重心よりも前記所定の平面側に位置することを特徴とする。
請求項2に記載の発明による光学部材の保持構造は、光学部材を所定の平面上の位置で位置決めする位置決め部材と、前記位置決め部材によって位置決めされた前記光学部材を保持する保持部材と、を備え、前記光学部材には、重りが取り付けられており、前記重りが取り付けられた光学部材の重心は、重りが取り付けられる前の光学部材の重心よりも前記所定の平面側に位置し、前記光学部材は、直方体であり、前記光学部材における最も長い辺に沿う方向である長手方向の両端近傍の2点で保持部材により押圧保持され、前記2点は、前記所定の平面と平行な平面上であって、かつ、前記光学部材と前記位置決め部材との3点の当接点により形成される三角形状の領域内に位置し、前記重りは、前記2点を結んだ線を通り、かつ、前記所定の平面に直交する平面に対して対称となるように配置されることを特徴とする。
【0013】
請求項に記載の発明は、請求項1に記載の光学部材の保持構造であって、前記重りは、前記光学部材から前記所定の平面側に突出していることを特徴とする。
【0014】
請求項に記載の発明は、請求項1又はに記載の光学部材の保持構造であって、前記光学部材は、光を反射する反射面を有することを特徴とする。
【0015】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の光学部材の保持構造であって、前記反射面は、前記所定の平面上に位置することを特徴とする。
【0016】
請求項に記載の発明は、請求項又はに記載の光学部材の保持構造であって、前記重りは、前記反射面に設けられていることを特徴とする。
【0017】
請求項に記載の発明は、請求項1、3から6のいずれか一項に記載の光学部材の保持構造であって、前記光学部材は、直方体であり、前記光学部材における最も長い辺に沿う方向である長手方向の両端近傍の2点で保持部材により押圧保持され、前記2点は、前記所定の平面と平行な平面上であって、かつ、前記光学部材と前記位置決め部材との3点の当接点により形成される三角形状の領域内に位置し、前記重りは、前記2点を結んだ線を通り、かつ、前記所定の平面に直交する平面に対して対称となるように配置されることを特徴とする。
【0018】
請求項に記載の発明は、請求項1からのいずれか一項に記載の光学部材の保持構造であって、前記重りは、前記光学部材の長手方向に沿うよう設けられた板状の部材であり、前記光学部材の外面に貼り付けられることを特徴とする。
【0019】
請求項に記載の発明は、請求項1からのいずれか一項に記載の光学部材の保持構造であって、前記重りは、金属製であることを特徴とする。
【0020】
請求項10に記載の発明による光学装置は、光源と、前記光源から発せられた光を射出する射出部と、前記光を射出部に導く光学部材と、請求項1からのいずれか一項に記載の光学部材の保持構造と、を備え、前記光学部材は、前記光学部材の保持構造により保持されることを特徴とする。
【0021】
請求項1に記載の発明は、請求項10に記載の光学装置であって、前記光源から発せられた光の射出角度を変更する変更手段を備え、前記変更手段により射出角度が変更された光によって被照射体を走査することを特徴とする。
【0022】
請求項1に記載の発明による画像形成装置は、感光体と、請求項1に記載の光学装置と、前記光学装置により走査された感光体にトナーを担持させる担持手段と、前記担持手段により前記感光体に担持されたトナーを記録媒体に転写する転写手段と、を備えることを特徴とする。
請求項13に記載の発明による光学装置は、光源と、前記光源から発せられた光を射出する射出部と、前記光を射出部に導く光学部材と、前記光源から発せられた光の射出角度を変更する変更手段と、前記光学部材を保持する光学部材の保持構造と、を備え、前記変更手段により射出角度が変更された光によって被照射体を走査し、前記光学部材の保持構造は、前記光学部材を所定の平面上の位置で位置決めする位置決め部材と、前記位置決め部材によって位置決めされた前記光学部材を保持する保持部材と、を備え、前記光学部材には、重りが取り付けられており、前記重りが取り付けられた光学部材の重心は、重りが取り付けられる前の光学部材の重心よりも前記所定の平面側に位置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、より高精度に光を導くことができることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態による画像形成装置の概略構成を示す図である。
図2】レーザー走査光学装置の上面図である。
図3図2に示すレーザー走査光学装置を線Lで切断した場合の断面図である。
図4】折り返しミラーの保持構造を示す斜視図である。
図5】折り返しミラーの保持構造を示すY−Z平面図である。
図6】折り返しミラーの保持構造を、図4(b)、図5に示す矢印V1から見た場合を示す図である。
図7】折り返しミラーを位置決めする筐体を上方から見た図である。
図8】折り返しミラー等の重心の位置を示すY−Z平面図である。
図9】重りの配置の変形例を示す図である。図9(a)はY−Z平面図、図9(b)は、反射面側から折り返しミラーを見た場合を示す図である。
図10】反射面に設けられた重りの配置の別の例を示す図である。図10(a)はY−Z平面図、図10(b)は、反射面側から折り返しミラーを見た場合を示す図である。
図11】折り返しミラーに取り付けられた重りの配置の別の例を示す図である。
図12】従来の光学部材の保持構造を示す図である。
図13】光学部材に設けられた重りの従来例を示す図である。
図14】重りが取り付けられて保持された反射鏡の一例を示す図である。
図15】反射鏡と重りとの複合体の重心の位置を示す図である。
図16】回転振動が生じる例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態による画像形成装置1000の概略構成を示す図である。
本実施形態に係る画像形成装置1000は、例えば、複写機やプリンタ等として用いられ、図1に示すように、シアン色、マゼンタ色、イエロー色、ブラック色の色ごとに設けられた複数のレーザー走査光学装置1と、レーザー走査光学装置1に応じて設けられた感光体200と、感光体200に対してトナーを供給する現像部250と、中間転写ベルト300と、転写ローラ400と、定着部500と、等を備えて構成される。
【0027】
レーザー走査光学装置1は、レーザー光を照射し、そのレーザー光によって感光体200を走査する。また、現像部250は、トナーを供給して、走査により露光された感光体200にトナー像を形成する。また、感光体200は、トナー像を中間転写ベルト300に転写する。また、転写ローラ400は、中間転写ベルト300に転写されたトナー像を用紙Pに転写する。また、定着部500は、トナー像が転写された用紙Pを加熱及び加圧することで、トナー像を用紙P上に定着する。そして、画像形成装置1000は、トナー像が定着された用紙Pを排紙ローラ(図示省略)等により搬送してトレイ(図示省略)に排紙する。
即ち、画像形成装置1000は、被照射体(感光体200)と、レーザー走査光学装置1により走査された被照射体にトナーを担持させる担持手段(例えば、現像部250)と、担持手段により被照射体に担持されたトナーを記録媒体(例えば、用紙P)に転写する転写手段(例えば、中間転写ベルト300及び転写ローラ400)と、を備える。
【0028】
図2は、レーザー走査光学装置1の上面図である。
図3は、図2に示すレーザー走査光学装置1を線Lで切断した場合の断面図である。
レーザー走査光学装置1は、レーザー光を発する光源11と、レーザー走査光学装置1からのレーザー光の射出角度を変更するポリゴンミラーユニット12と、ポリゴンミラーユニット12により射出角度が変更されたレーザー光を通過させるレンズ部13、14、15、16と、レンズ部13、14、15、16を通過したレーザー光を反射する折り返しミラー17、18と、折り返しミラー17、18に反射されたレーザー光がレーザー走査光学装置1外へ射出される射出部19と、を備える。
以下、説明において、鉛直方向(上下方向)をZ方向、折り返しミラー17の長手方向が沿う方向をX方向、Z方向及びX方向に直交する方向をY方向とする。
【0029】
光源11は、例えば、電子写真方式の画像形成装置において感光体に露光処理を施すためのレーザー光を発するレーザー発振器である。
光源11から発せられたレーザー光は、例えば、2つの反射部材11a、11bによる反射を経てポリゴンミラーユニット12へ導かれる。
【0030】
ポリゴンミラーユニット12は、回転多面鏡12aや、回転多面鏡12aを回転させるポリゴンモーター12b等を備える。
回転多面鏡12aは、例えば、板状の部材であって、外周の形状が多角形状である。回転多面鏡12aは、外周の側面が鏡面である。回転多面鏡12aの側面は、光源11からのレーザー光を反射する機能を有する。
ポリゴンモーター12bは、回転多面鏡12aの回転軸を回転させる電動機等のモーターである。ポリゴンモーター12bの回転軸と、回転多面鏡12aの回転軸とは一致する。ポリゴンモーター12bが動作すると、回転多面鏡12aが回転する。当該回転に伴い、多角形状の側面の角度が回転多面鏡12aの回転角度に応じて変化し、レーザーの反射角度を変化させる。
ポリゴンミラーユニット12は、回転多面鏡12aの側面の回転角度を変化させることで、射出部19から射出されるレーザー光が感光体を走査するように、光源11から発せられたレーザー光の反射角度を変更してレンズ部13、14、15、16側に反射する。
【0031】
レンズ部13、14、15、16は、例えば、光の透過性を有するガラス又はプラスチック等の樹脂を素材とするレンズであり、ポリゴンミラーユニット12により反射されたレーザー光の角度を屈折により変更、調整して折り返しミラー17側に通過させる。
【0032】
折り返しミラー17、18は、レンズ部13、14、15、16を通過したレーザー光を反射して射出部19へ導く光学部材である。本実施形態の折り返しミラー17、18は、レーザー走査光学装置1内で互いに上下に位置するよう設けられる。
例えば、折り返しミラー17は、ポリゴンミラーユニット12からレンズ部13、14、15、16を経たレーザー光を下方に反射して折り返しミラー18の反射面へ導く。また、折り返しミラー18は、折り返しミラー17により反射されたレーザー光を、ポリゴンミラーユニット12からレンズ部13、14、15、16へ向かうレーザーの進行方向とほぼ逆方向に反射してレーザー光を射出部19へ導く。
【0033】
射出部19は、レーザー走査光学装置1内で光源11により発せられたレーザー光がレーザー走査光学装置1外へ射出される部位である。本実施形態において、射出部19は、ポリゴンミラーユニット12の下方に設けられている。折り返しミラー17、18の反射を経て導かれることにより、レーザー光は射出部19から射出される。
上記のように、射出部19から射出されるレーザー光の射出角度はポリゴンミラーユニット12の反射角度の変更に応じて変化する。これにより、レーザー光により感光体が走査される。即ち、レーザー走査光学装置1は、ポリゴンミラーユニット12によりレーザー光の射出角度を変更することによって感光体を走査する。
【0034】
なお、図2図3及び上記の説明にて示す各部の位置関係、レンズ部の個数及びレーザー光の軌跡はあくまで一例であってこれに限られるものでなく、適宜変更可能である。
【0035】
以下、レーザー走査光学装置1における折り返しミラー17、18の保持構造について詳細に説明する。
図4図6は、折り返しミラー17の保持構造を示す図である。図4(a)、(b)は斜視図、図5はY−Z平面図、図6は、図4(b)、図5に示す矢印V1から見た場合を示す図である。
図4図6に示すように、折り返しミラー17は、筐体2に設けられた保持平面(例えば、保持平面S)に沿って位置決めされ、保持部材21により保持平面側に押し付けられることにより保持されている。図5等において、保持平面Sを破線により図示する。
【0036】
筐体2は、例えば、図5に示すように、側部2aを有する。側部2aは、例えば、Y−Z平面を正面として見た場合の筐体2の側面において筐体2に下向きの凹状に設けられ、Y方向及びZ方向に対して傾斜したL字状を描く。側部2aは、それぞれがY方向及びZ方向に対して傾斜し、互いに略直交してL字状を描く傾斜部2b、2cを有する。
【0037】
一方の傾斜部2bは、折り返しミラー17を位置決めするための保持平面Sを形成する突起2d、2e、2fを有する。
突起2d、2e、2fは、折り返しミラー17を3点で保持する。即ち、傾斜部2bに設けられた突起2d、2e、2fが、折り返しミラー17を位置決めする位置決め部材として機能し、折り返しミラー17を保持する3点により形成される三角形Tの平面に沿う保持平面Sを形成する。
【0038】
図7は、折り返しミラー17を位置決めする筐体2を上方から見た図である。図7では、説明のため、折り返しミラー17や保持部材21等を取り外した状態の筐体2を示している。
具体的には、筐体2は、例えば、図7に示すように、上方から見た場合にコの字状となる形状をしている。ここで、側部2aは、Y方向に沿って略平行に設けられたコの字の2辺である。また、当該2辺の一端側を接続するようにX方向に沿って設けられた長手部2gを含めた3辺により、筐体2はコの字を形成している。
【0039】
突起2dは、側部2aとして機能する2辺のうち一方に設けられ、突起2e、2fは、2辺のうち他方に設けられている。即ち、突起2d、2e、2fにより形成される三角形Tは、図7に示すように、長手方向がX方向に沿う三角形である。筐体2は折り返しミラー17を当該三角形状の保持平面Sに沿わせることで位置決めする。
【0040】
また、他方の傾斜部2cは、保持平面Sに沿って設けられた折り返しミラー17が筐体2から脱落することを防止する。
【0041】
保持部材21は、例えば、図4図5等に示すように、筐体2に固定された板バネ等の弾性部材であり、保持部材21は、側部2aの2辺に対応するように2つ設けられている。保持部材21は、側部2aと協働して折り返しミラー17を挟み込み、その弾性により折り返しミラー17を保持平面S側に付勢することで折り返しミラー17を保持する。
【0042】
本実施形態の側部2a及び保持部材21は、直方体である折り返しミラー17の長手方向(X方向)の両端近傍で折り返しミラー17を保持するが、一例であってこれに限られるものでない。側部2a及び保持部材21は、折り返しミラー17によるレーザー光の反射を阻害することなく折り返しミラー17を位置決め及び保持することができる形態であればよく、その具体的な形状及び配置は適宜変更可能である。
【0043】
また、本実施形態の保持部材21は、折り返しミラー17を保持平面S側に付勢する付勢部21aに加えて、位置決めされた折り返しミラー17のX方向の両端の側面を覆うように付勢部21aから延出された側方カバー21bと、位置決めされた折り返しミラー17の上方を覆うように付勢部21aから延出された上方カバー21cと、を有する。側方カバー21b及び上方カバー21cにより、折り返しミラー17を筐体2に取り付けて保持部材21により保持する際に折り返しミラー17をより確実に位置決めすることができることに加え、折り返しミラー17の取り付け後に衝撃等により折り返しミラー17が位置決めされた位置から脱落することを防止することができる。
【0044】
また、折り返しミラー17には、重り31、32が取り付けられている。
具体的には、例えば、図5図6に示すように、保持平面S側に突出するよう設けられた重り31、32が折り返しミラー17に取り付けられている。
図4(b)、図5図6等に示すように、重り31、32は、例えば、折り返しミラー17の長手方向に沿うよう設けられた板状の部材であり、光学部材の外面に貼り付けられている。具体的には、重り31、32は、例えば、保持平面Sに直交する折り返しミラー17の上下側の側面に取り付けられ、当該側面から保持平面S側に突出している。重り31、32は、例えば、ステンレス鋼等を素材とする金属製の部材であり、樹脂等を素材とする折り返しミラー17に比して比重が大きい。
【0045】
図8は、折り返しミラー17等の重心の位置を示すY−Z平面図である。
折り返しミラー17と重り31、32との複合体の重心G4は、重り31、32が取り付けられる前の折り返しミラー17の重心G1よりも保持平面S側に位置する。
具体的には、図8に示すように、折り返しミラー17自体の重心G1、即ち、仮に重り31、32が取り付けられていない場合における折り返しミラー17の重心は、折り返しミラー17のY−Z平面における断面形状である長方形の対角線の交差点にほぼ重なる位置に存在する。一方、重り31、32の重心G2、P3は、折り返しミラー17に対して保持平面S側に突出した位置に存在する。このため、折り返しミラー17と重り31、32との複合体の総合的な重心である重心G4の位置は、折り返しミラー17自体の重心G1の位置に対して保持平面S側に位置することとなる。
【0046】
仮に、保持された折り返しミラー17に対して外部から振動や衝撃等による力が加わった場合、折り返しミラー17の重心を基点として折り返しミラー17を回転振動させる回転モーメントを生じさせる力(例えば、図15に示すXgSIN(θ)とXgCOS(θ)等)が生じることとなる。ここで、折り返しミラー17は保持平面S側で突起2d、2e、2fに当接し、位置決めされていることから、当該力により生じた回転モーメントによって揺動すると仮定した場合、突起2d、2e、2fのうち、突起2dと、突起2e、2fの何れか一方とを結んだ直線α、βの何れか一方を回転中心として揺動することとなる。よって、直線α、βを回転中心として揺動する回転モーメントの大きさと、保持平面Sと重心との距離の相対関係を想定した場合、保持平面Sと重心との距離が大きい程、直線α、βの何れか一方を回転中心として揺動させる回転モーメントが大きくなることとなる。
【0047】
そこで、重り31、32により、折り返しミラー17と重り31、32との複合体の重心G4を保持平面S側とすることで、重心G4と保持平面Sとの距離をより小さくすることができる。即ち、保持平面S側を支点として折り返しミラー17に働く回転モーメントをより小さくすることができ、外部からの力による折り返しミラー17の回転振動をより低減することができる。折り返しミラー17の回転振動をより低減することで、折り返しミラー17により反射されるレーザー光の反射角度のずれ、ぶれをより低減することができ、レーザー走査光学装置1から射出されるレーザー光の射出角度の精度をより高めることができる。
【0048】
また、図6図8に示すように、2つの重り31、32は、折り返しミラー17における最も長い辺に沿う方向である長手方向(X方向)の両端近傍の2点で保持部材21により押圧保持される。また、2つの重り31、32は、保持部材21が折り返しミラー17を押圧保持する2点を結んだ線を通り、かつ、保持平面Sに直交する平面L2に対して対称となるように配置される。
【0049】
具体的には、図5図6に示すように、保持部材21は、折り返しミラー17と当接する当接部21dを有する。当接部21dは、付勢部21aから折り返しミラー17側に突出するよう設けられた突起であり、当該突起の先端部で折り返しミラー17の長手方向の両端近傍に当接する。
折り返しミラー17のX方向の両端側に1つずつ設けられた保持部材21はそれぞれ1つずつ当接部21dを有し、折り返しミラー17の一側面(例えば、保持平面S上にある反射面の逆側の面)を長手方向に沿って2分する線L1上の2点で折り返しミラーを押圧して保持する。ここで、当接部21dによる保持部材21と折り返しミラー17との当接位置は、突起2d、2e、2fに囲まれた三角形Tの領域内である。即ち、直方体である折り返しミラー17の反射面上に存し、保持平面Sを形成している突起2d、2e、2fに囲まれた三角形Tの領域に対応する領域を反射面の逆側の面に描いた場合、当接部21dの当接位置は当該領域内に含まれる。
【0050】
また、重り31、32は、線L1(図6参照)を通り、かつ、保持平面Sに直交する平面L2(図8参照)に対して対称となるよう配置されている。即ち、平面L2と重り31との距離と、平面L2と重り32との距離とは等しく、また平面L2を挟んだ重り31と重り32の配置は線対称である。このように複数の重り(例えば2つの重り31、32)を配置することにより、折り返しミラー17の回転中心と保持部材22による押圧点との間の距離と、折り返しミラー17の回転中心と折り返しミラー17と重り31、32との複合体の重心との間の距離をより小さくすることができる。即ち、保持部材21と折り返しミラー17との当接点Q1と、折り返しミラー17の回転中心となるα、β上の1点であるQ2、Q3との3点により形成される三角領域T2内に、折り返しミラー17と重り31、32との複合体の重心G4を位置させることができることから、2つの回転中心(α、β)に対する重心G4の距離を小さくすることができる。即ち、図15を用いて示した従来の説明における距離Bをより小さくすることができ、折り返しミラー17と重り31、32との複合体に対して働く回転モーメントをより小さくすることができる。
【0051】
なお、本実施形態の重り31、32は、折り返しミラー17と重り31、32との複合体の総合的な重心である重心G4が保持平面S上に位置させるよう重量及び配置を調整されている。これにより、2つの回転中心(α、β)に対する重心G4の距離の合計が最小となるので、折り返しミラー17に対して保持平面S上に存する軸を回転中心とした場合の回転モーメントをより低減することができる。
また、折り返しミラー17が保持平面S側に突出した重り31、32により、重心G4がより確実に保持平面S側に近接するので、回転振動を生じさせる回転モーメントをより確実に低減することができる。
なお、これらの重り31、32の重量及び配置の調整はあくまで一例であってこれに限られるものでない。
【0052】
また、重り31、32は、折り返しミラー17が有する共振周波数に応じて重量やサイズ、延設された各部(特に長手方向)における重量配分等の各種設計が行われている。即ち、重り31、32は、レーザー走査光学装置1に生じる振動に伴う折り返しミラー17の共振を防止するために取り付けられると共に、重り31、32の重心G2、G3が、取り付けられる前の折り返しミラー17の重心G1よりも保持平面S側に位置することで、折り返しミラー17の重心を保持平面S側とする。
【0053】
また、本実施形態の重り31、32は、接着剤を用いて折り返しミラー17に貼り付けられているが、一例であってこれに限られるものでなく、折り返しミラー17に重り31、32を取り付けられればよい。
【0054】
折り返しミラー18は、レーザー走査光学装置1内において反射面が設けられる角度が折り返しミラー17と異なる点を除いて折り返しミラー17と同様である。即ち、折り返しミラー18の位置決め及び保持に係る各部の構造は、上記の折り返しミラー17のものと同様である。
【0055】
なお、折り返しミラー17、18は共に、反射面が保持平面S上に位置するよう位置決め及び保持されているが、一例であってこれに限られるものでなく、反射面以外の面(例えば、反射面の反対側の面等)が保持平面Sに沿うよう位置決め及び保持されてもよい。その場合、重り31、32は、折り返しミラー17(又は折り返しミラー18)と重り31、32との複合体の重心を保持平面S側に寄らせるよう取り付けられ、必ずしも反射面側に取り付けられるわけではない。
【0056】
以上、本実施形態の画像形成装置1000によれば、折り返しミラー17(18)と重り31、32との複合体の重心G4が、重り31、32が取り付けられる前の折り返しミラー17の重心G1よりも保持平面S側に位置するので、保持平面Sと折り返しミラー17(18)と重り31、32との複合体の総合的な重心との距離をより小さくすることができ、保持平面S側を支点として折り返しミラー17、18に働く回転モーメントをより小さくすることができることから、外部からの力による折り返しミラー17、18の回転振動をより低減することができ、より高精度にレーザー光を導くことができる。
ここで、折り返しミラー17、18の回転振動をより低減することにより、折り返しミラー17、18により反射されるレーザー光の反射角度のずれ、ぶれをより低減することができることから、レーザー走査光学装置1から射出されるレーザー光の射出角度の精度をより高めることができ、より高精度な感光体200の走査による現像処理を行うことができる。即ち、本実施形態のレーザー走査光学装置1を備える画像形成装置1000は、より高精度な画像形成を行うことができる。
【0057】
また、重り31、32は、折り返しミラー17、18の保持平面S側に突出するよう取り付けられるので、折り返しミラー17(18)と重り31、32との複合体の総合的な重心である重心G4と保持平面Sとの距離をより確実に小さくすることができ、保持平面S側を支点として折り返しミラー17、18に働く回転モーメントをより小さくすることができることから、外部からの力による折り返しミラー17、18の回転振動をより低減することができる。
【0058】
また、折り返しミラー17、18は、レーザー光を反射する反射面を有する。光学部材の振動による光軸のずれは、屈折より反射の方がより大きく生じる傾向を示すことから、反射を行う光学部材である折り返しミラー17、18に本発明による光学部材の保持構造を適用することにより、より顕著な効果が得られる。即ち、折り返しミラー17、18を保持する構造として本実施形態の筐体2及び保持部材21を用いることで、反射角度のぶれの低減により、折り返しミラー17、18の反射を伴うレーザー走査光学装置1からのレーザー光の射出角度の精度をより高精度にすることができる。
【0059】
また、折り返しミラー17、18の反射面が保持平面S上に位置するので、外部からの力に伴う回転振動の支点と反射面との距離をより小さくすることができ、万が一の振動の際にも回転振動に伴う反射面の位置ずれの量を最小限とすることができることから、レーザー走査光学装置1から射出されるレーザー光の射出角度の精度をより高めることができる。
【0060】
また、保持部材21が、保持平面Sと平行な方向において突起2d、2e、2fにより囲まれた三角形Tの内側かつ折り返しミラー17の長手方向に配置された2点で折り返しミラーを押圧して保持する。そして、重り31、32が、当該2点を結んだ線L1を通り、かつ、保持平面Sに直交する平面に対して対称となるように配置されるので、折り返しミラー17の回転中心と保持部材22による押圧点との間の距離と、折り返しミラー17の回転中心と折り返しミラー17と重り31、32との複合体の重心との間の距離をより小さくすることができ、折り返しミラー17と重り31、32との複合体に対して働く回転モーメントをより小さくすることができる。
また、保持部材21が、保持平面Sと平行な方向において突起2d、2e、2fにより囲まれた三角形Tの内側の2点で折り返しミラー17を保持するので、突起2d、2e、2fにより形成される保持平面Sに対してバランスを崩すことなくより確実に折り返しミラー17を押し付けて保持することができる。
【0061】
また、重り31、32が、折り返しミラー17、18の長手方向に沿うよう取り付けられた部材であり、折り返しミラー17、18の外面に貼り付けられるので、より簡単に折り返しミラー17、18に重り31、32を取り付けることができ、組み立てコストを低減することができる。
【0062】
また、重り31、32は、金属製であるので、金属の比重を利用して容易に折り返しミラー17、18の重心の位置を保持平面S側とすることができる。
【0063】
また、側部2a及び保持部材による光学部材の保持構造が、ポリゴンミラーユニット12により射出角度を変更されて射出部19から射出されることにより感光体200を走査するレーザー光の射出角度に関わる折り返しミラー17、18の保持に用いられることから、感光体200に対する現像処理に係るレーザー光の射出角度の精度向上に寄与し、より高精度な現像処理、ひいては、画像形成装置1000によるより高精度な画像形成を行うことができる。
【0064】
なお、本発明の実施の形態は、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0065】
例えば、重りの形状や配置パターンは上記の実施形態に限られるものでない。
以下、本発明の変形例について、折り返しミラー17の保持構造の変形例を参照して説明するが、折り返しミラー18やその他の光学部材についても同様に適用することができる。
【0066】
[変形例1]
図9(a)、(b)は、重りの配置の変形例を示す図である。図9(a)はY−Z平面図、図9(b)は、反射面側から折り返しミラー17を見た場合を示す図である。
折り返しミラー17の保持平面が反射面側である場合、重り33、34は、折り返しミラー17の反射面に設けられてもよい。
具体的には、重り33、34は、例えば、図9に示すように、折り返しミラー17の反射面側において、レーザー光を反射する反射領域17aの外側に貼り付けられていてもよい。
【0067】
このように重り33、34を配置することで、重り33、34の全体が折り返しミラー17に対して保持平面側に存することとなり、保持平面側に重心G4を移動させるための重り33、34の質量をより小さくすることができ、重りと折り返しミラー17との複合体をよりコンパクトにすることができる。
【0068】
[変形例2]
また、折り返しミラー17の反射面に設けられる重りの配置は、図9に示す例に限らない。
図10(a)、(b)は、反射面に設けられた重りの配置の別の例を示す図である。図10(a)はY−Z平面図、図10(b)は、反射面側から折り返しミラー17を見た場合を示す図である。
図9に示す例において、重り33、34は、反射領域17aの上下に貼り付けられているが、図10に示す重り35、36の例のように、折り返しミラー17の長手方向の両端側に対応する反射領域17aの側方に貼り付けられてもよい。
【0069】
また、反射面に設けられる重りの配置は、折り返しミラー17によるレーザー光の反射を妨げない配置であればよく、例えば、図9図10に示す重り33〜36の配置の組み合わせによってもよいし、図9図10に示す配置に限らず、適宜変更してよい。
【0070】
また、反射面に設けられる重りに限らず、重りは、重りが取り付けられる前の折り返しミラー17の重心の位置に対して、重りの重心の位置が保持平面側となるように取り付けられていればよい。例えば、上記の実施形態において、重り31、32は、保持平面に直交する折り返しミラー17の上下の側面に取り付けられているが、長手方向の両端の側面等に取り付けられてもよいし、その組み合わせによってもよいし、上記の図9図10の例に示すような反射面に設けられた重りの配置との組み合わせによってもよい。
また、重りは保持平面側に突出しなくてもよい。例えば、図11に示すように、重り37、38は、その重心G5、G6の位置が、取り付けられる前の折り返しミラー17の重心G1の位置に対して保持平面S側となるように取り付けられる。これにより、折り返しミラー17と重り37、38との複合体の重心G7の位置を保持平面S側に近づけることができ、回転振動を低減することができる。
【0071】
また、折り返しミラー17の反射面は保持平面上でなくてもよい。例えば、図4図6に示す折り返しミラー17の反射面と、その反対側の側面との位置関係を逆にしてもよいし、それ以外の角度としてもよい。ここで、折り返しミラー17が有する重りは、反射面の角度に連動するのでなく、重りが取り付けられる前の折り返しミラー17の重心の位置に対して、重りの重心の位置が保持平面側となるように取り付けられる。よって、例えば、図4図6に示す折り返しミラー17の反射面と、その反対側の側面との位置関係を逆にした場合でも、筐体2及び保持部材21に対する重り31、32の配置は変わらないこととなる。
【0072】
また、上記の実施形態では、保持平面に沿う方向について、保持部材21と折り返しミラー17との当接点が折り返しミラー17の中央に位置していることから、重り31、32の重量、形状等の重心の移動に係る特徴が略均一であるが、複数の重りの形状や配置等の重心の移動に係る特徴は、折り返しミラー17の回転振動の中心として機能する軸の位置と保持平面と重心との関係に基いて定められ、適宜変更可能である。一例として、重りは金属製に限らず、他の材質を用いてもよい。また、重りは板状に限らず、別の形状であってもよい。また、重りは2つに限らず、3つ以上であってもよいし、重心の位置調整を鑑みて1つで十分であれば1つでもよい。また、重りは、金属製に限らず、光学部材の重心の位置を調整する重量があればどのような素材によってもよい。
また、重心G4の位置を調整するための重りに加えて、別の用途(例えば、共振の防止等)を目的とする重りを取り付けてもよい。
【0073】
また、保持平面を形成する側部2aの突起2d、2e、2fの形状や配置等はあくまで一例であってこれに限られるものでない。折り返しミラー17等の光学部材に当接して光学部材を位置決めする当接点又は面であって、保持部材21等の保持部材により押し付けられる光学部材を係止する形態を取るものであれば、係止する側の当接点又は面どうしを結んで形成される面が所定の平面となる。
【0074】
また、本発明による光学部材の保持構造は、折り返しミラー17、18のような鏡としての機能を有する光学部材に限らず、光の屈折、透過その他のあらゆる用途に用いられる光学部材の利用に際して適用することができる。当該光学部材の保持構造を光学装置、画像形成装置に採用することについても同様である。
【0075】
また、上記の画像形成装置1000及びレーザー走査光学装置1の具体的な形態はあくまで一例であり、本発明の特徴を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。例えば、光学部材により導かれる光はレーザー光に限らず、他の原理による光ビームであってもよいし、コヒーレント光に限らずインコヒーレント光であってもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 レーザー走査光学装置
2 筐体
2a 側部
2d、2e、2f 突起(位置決め部材)
11 光源
12 ポリゴンミラーユニット
13、14、15、16 レンズ部
17、18 折り返しミラー
19 射出部
21 保持部材
31、32、33、34、35、36 重り
200 感光体
250 現像部(担持手段)
300 中間転写ベルト
400 転写ローラ(転写手段)
500 定着部
1000 画像形成装置
L2 平面
S 保持平面(所定の平面)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16