特許第6051650号(P6051650)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6051650
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】空気電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 12/06 20060101AFI20161219BHJP
   H01M 12/08 20060101ALI20161219BHJP
   H01M 2/10 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   H01M12/06 A
   H01M12/06 F
   H01M12/08 K
   H01M2/10 E
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-162788(P2012-162788)
(22)【出願日】2012年7月23日
(65)【公開番号】特開2014-22316(P2014-22316A)
(43)【公開日】2014年2月3日
【審査請求日】2015年4月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102141
【弁理士】
【氏名又は名称】的場 基憲
(72)【発明者】
【氏名】松岡 直哉
(72)【発明者】
【氏名】柴田 格
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 篤史
【審査官】 井原 純
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/012558(WO,A1)
【文献】 特開平03−037972(JP,A)
【文献】 米国特許第04950561(US,A)
【文献】 特開昭63−310579(JP,A)
【文献】 米国特許第04828939(US,A)
【文献】 特開2011−165353(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0195321(US,A1)
【文献】 特開平07−105990(JP,A)
【文献】 特表2013−537686(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 12/06
H01M 2/10
H01M 12/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解液層の一方の側に負極、他方の側に正極を配設した発電部を枠体内に収容し、かつ、組電池として互いに積み重ねて用いられる空気電池において、
互いに積み重ねたときに生じる応力が正極に作用することを抑制する応力抑制機構を設け、
上記正極は、上記枠体の内周縁側において弾性体である上記応力抑制機構を介して支持されていることを特徴とする空気電池。
【請求項2】
上記正極は、正極支持板上に載置され、
上記正極支持板は、上記枠体の内周縁側において、その外周部が上記枠体と嵌合して上記枠体内に配置され、
上記正極支持板上の正極よりも外周側に上記応力抑制機構を備えることを特徴とする請求項1に記載の空気電池。
【請求項3】
上記正極支持板が、上記正極を配設した底板の外縁に側板を立設しているとともに、その側板の開口縁に、互いに当接する枠体間に挟入される鍔部を形成したものであり、
上記鍔部が応力抑制機構である請求項2に記載の空気電池。
【請求項4】
上記正極支持板が、上記正極を配設した底板の外縁に側板を立設しているとともに、その側板の開口縁に、互いに当接する枠体間に挟入される鍔部を形成したものであり、
上記側板が応力抑制機構である請求項2に記載の空気電池。
【請求項5】
上記正極が正極導電層と正極触媒層とを有しており、
上記正極支持板が、上記正極を配設した底板の外縁に側板を立設しているとともに、その側板の開口縁に、互いに当接する枠体間に挟入される鍔部を形成したものであり、
上記正極触媒層と上記正極支持板の底板との間に応力抑制機構を設けた請求項2に記載の空気電池。
【請求項6】
上記正極が正極導電層と正極触媒層とを有しており、
上記正極支持板が、上記正極を配設した底板の外縁に側板を立設しているとともに、その側板の開口縁に、互いに当接する枠体間に挟入される鍔部を形成したものであり、
上記正極触媒層を抑えるための抑え板を応力抑制機構として配置している請求項2に記載の空気電池。
【請求項7】
空気電池が、負極を配設した負極アッセンブリと、正極を配設した正極アッセンブリとを結合している請求項1〜のいずれか1項に記載の空気電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解液層の両側に負極と正極とを配設した発電部を枠体内に収容し、かつ、組電池として互いに積み重ねて用いられる空気電池とこれを用いた組電池に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来技術として、「折り畳み可能な空気電池」とした名称において特許文献1に開示されたものがある。
特許文献1に開示された折り畳み可能な空気電池は、一対の金属フレームと、この金属フレームの右側及び左側の各下側に接着されるゴム枠と、上記金属フレームの外側に接着される隔離板と、上記金属フレームの外側に接着される陽極と、上記金属フレームの内側に挿入される、平板のような金属燃料電極とを有するセルを備えたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2007−524209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されているものは、水を使用しない状態での大きさおよび重量を低減することができると考えられるものの、高い電流値を得るための大きな反応面を有するものではない。
車両に搭載しようとする空気電池は、従来使用されていた空気電池に比べて高い電流値を必要とするため、大きな反応面が必要であるとともに、複数の空気電池を積層させた構造のものとなる。
【0005】
複数の空気電池を積層させた場合、正極の触媒層はカーボン粉末を主体とした多孔性シートであるため、積層時における変形や破損が起こり、発電性能が低下する一方、積層時における変形破損を避けるために荷重を低下させると、部品界面の接触抵抗が増加するという課題があった。
【0006】
そこで本発明は、複数の空気電池を積層させたときにも、正極の変形や破損を防止して発電性能の低下とともに、部品界面の接触抵抗の増加を防ぐことができる空気電池とこれを用いた組電池の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明は、電解液層の両側に負極と正極とを配設した発電部を枠体内に収容し、かつ、組電池として互いに積み重ねて用いられる空気電池において、互いに積み重ねたときに生じる応力が正極に作用することを抑制する応力抑制機構を設けたことを特徴としている。
【0008】
この構成においては、空気電池を互いに積み重ねたとき、それら空気電池を積み重ねたときに生じる応力が正極に作用することを応力抑制機構によって抑制している。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数の空気電池を積み重ねたときにも、正極の変形や破損を防止して発電性能の低下とともに部品界面の接触抵抗の増加をそれぞれ防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】(A)は、本発明の一実施形態に係る空気電池を用いた組電池の平面図、(B)は、(A)に示すI‐I線に沿う断面図である。
図2】(A)は、その組電池を分解して示す分解断面図、(B)は、本発明の一実施形態に係る空気電池の一部をなす正極アッセンブリの変形状態を示す断面図である。
図3】第一の他例に係る正極アッセンブリの断面図である。
図4】第二の他例に係る正極アッセンブリの断面図である。
図5】第三の他例に係る正極アッセンブリの断面図である。
図6】第四の他例に係る正極アッセンブリの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。図1(A)は、本発明の一実施形態に係る空気電池を用いた組電池の平面図、(B)は、(A)に示すI‐I線に沿う断面図、図2(A)は、その組電池を分解して示す分解断面図、(B)は、本発明の一実施形態に係る空気電池の一部をなす正極アッセンブリの変形状態を示す断面図である。
【0012】
本発明の一実施形態に係る組電池Aは、二つの空気電池B1,B1を上下二段に積み重ねたものである。
第一の実施形態に係る空気電池B1は、負極アッセンブリ10と正極アッセンブリ20とを互いに連結してなるものであり、枠体30、発電部40及び整流部材50を有している。
【0013】
負極アッセンブリ10は、分割枠11と、この分割枠11内に配設された負極支持板12と、この負極支持板12上に載置された整流部材50を有している。
負極支持板12は、一定の厚みにした平面視方形の基板12aの外縁部に鍔部12bを連成突設しているとともに、その基板12aの中央部分に負極13を固着したものである。
【0014】
分割枠11は、絶縁性を有する合成樹脂製のものであり、所要の厚みにしかつ平面視において正方枠形に形成されている。
負極支持板12は、これの外縁部を分割枠11に埋設することにより固定されている。
【0015】
整流部材50は、負極支持板12の鍔部12bの内側壁12cで区画される大きさの基板51上に、空気を整流するための複数の整流片52…を所要の間隔にして配列したものである。
なお、整流片52…の上端面52aは、分割枠11の一端面11aと面一となるように形成されている。
【0016】
正極アッセンブリ20は、分割枠21と、この分割枠21内に配設された正極支持板22と、この正極支持板22上に載置された正極14とを有するものである。
分割枠21は、絶縁性を有する合成樹脂製のものであり、所要の厚みにしかつ平面視において正方枠形に形成されている。
この分割枠21の一端面21aの内周縁側には、一定幅の円環状に凹陥させた支持板嵌合部21bが形成されている。
【0017】
正極支持板22は、正極14を配設した底板22aの外縁に側板22b〜22eを立設しているとともに、それら側板22b〜22eの開口縁に、互いに当接する他の空気電池B1の分割枠11との間に挟入される鍔部22fを形成したものであり、その鍔部32fに一例に係る応力抑制機構Cを配設している。
【0018】
なお、鍔部22fの厚みと支持板嵌合部21bの深さとは互いに一致させており、また、分割枠21の内壁間の寸法W1は、側板22b,22dの寸法W2よりも大きくすることにより、それらの間に間隙を持たせている。
正極14は、正極導電層14aと正極触媒層14bとからなる。
本実施形態においては、正極14,負極13及び下記の電解液層αにより、発電部40を構成している。
【0019】
本実施形態において示す応力抑制機構Cは、鍔部22fを弾性変形可能な蛇腹構造にしたものである。
すなわち、空気電池B1どうしを互いに積み重ねたときに枠体30,30(分割枠11,21)間に生じる応力を、鍔部22fが弾性変形することにより正極14に作用することを抑制している。本実施形態においては、分割枠11,21により枠体30を構成している。
なお、鍔部22fは、弾性変形可能な上記蛇腹構造にしたものの他、弾性変形する板厚にしたものであってもよい。
このような鍔部22fを応力抑制機構Cとすることにより、簡易な構成にすることができる。
【0020】
各空気電池B1は、上記した負極アッセンブリ10と正極アッセンブリ20とを互いに連結すると、分割枠11,21どうしが、鍔部22fを挟入した状態で当接するとともに、分割枠11と分割枠21との間、換言すると、負極支持板12と正極支持板22との間に電解液を溜めるための電解液層α(図1参照)が区画形成される。
【0021】
また、下側の空気電池B1に上側の空気電池B1を積み重ねると、下側の空気電池B1の整流部材50の整流片52が、上側の空気電池B1の正極支持板32に当接するとともに、それら空気電池B1,B1の枠体11,21どうしが当接する。これにより、整流部材50と正極支持板32とがしっかりと密着して、これらの接触抵抗を低減することができる。
【0022】
さらに、それら空気電池B1,B1の枠体11,21どうしが当接したとき、それらの当接面が不均一に形成されているときにも、当該不均一に形成されていることに起因する応力は、図2(B)に(ア)で示すように、応力抑制機構Cが弾性変形することによって吸収され、正極14に作用することがない。
これにより、複数の空気電池B1を積層させたときにも、正極14の変形や破損を防止して発電性能の低下とともに、部品界面の接触抵抗の増加を防ぐことができる。
【0023】
次に、図3〜6を参照して、第一〜第四の他例に係る正極アッセンブリについて説明する。図3〜6は、第一〜第四の他例に係る正極アッセンブリの断面図である。なお、上述した実施形態において説明したものと同等のものについては、それらと同一の符号を付して説明を省略する。
【0024】
第一の他例に係る正極アッセンブリ20Aは、図3に示すように、正極支持板22Aの22b´〜22e´を蛇腹構造にした応力抑制機構C1を配設したものである。
すなわち、応力抑制機構C1は側板22b´〜22e´により構成されている。
なお、図3には、側板22c´,22e´については図示していない。
【0025】
この応力抑制機構C1によれば、互いに積み重ねた空気電池B1,B1の枠体11,12どうしが当接したとき、それらの当接面が不均一に形成されているときにも、当該不均一に形成されていることに起因する応力は、応力抑制機構C1をなす側板22b´〜22e´が弾性変形することによって吸収され、正極14に作用することがない。
【0026】
第二の他例に係る正極アッセンブリ20Bは、図4に示すように、底板22a上の正極導電層14aの外周端面と側板22b〜22eとの間であって、かつ、上記正極触媒層14bの外周縁部下面に、応力抑制機構C2をなすシール機能を有する弾性材60を密着させて配設したものである。
【0027】
この応力抑制機構C2によれば、空気電池B1,B1の枠体11,21どうしが当接したとき、それらの当接面が不均一に形成されているときにも、当該不均一に形成されていることに起因する応力は、弾性材60が弾性変形することによって吸収され、正極14に作用することがない。
【0028】
第三の他例に係る正極アッセンブリ20Cは、図5に示すように、上記正極触媒層14bを抑えるための抑え板70からなる応力抑制機構C3を設けたものである。
本例に示す分割枠21Aは、絶縁性を有する合成樹脂製のものであり、所要の厚みにしかつ平面視において正方枠形に形成されている。
【0029】
この分割枠21Aの一端面21aの内周縁側には、一定幅の円環状にしかつ抑え板70の厚みを考慮した深さに凹陥させた支持板嵌合部21b´が形成されている。
抑え板70は、これの外面が側板22b〜22eの内面に当接する大きさにした平面視正方枠形のものである。
「抑え板70の厚みを考慮した深さ」とは、抑え板70の一面70aが、分割枠21Aの一端面21aと面一になる深さである。
なお、本例に示す正極14Aは、正極触媒層14b´の厚みを鍔部22fの一面22f´とほぼ面一となるように形成したものである。
【0030】
この応力抑制機構C3によれば、空気電池B1,B1の枠体11,21どうしが当接したとき、それらの当接面が不均一に形成されているときにも、当該不均一に形成されていることに起因する応力は、抑え板70も分担することになって、正極14に作用することがない。
【0031】
第四の他例に係る正極アッセンブリ20Dは、図6に示すように、分割枠21B内に正極支持板23を配設しているとともに、その正極支持板23上に正極14を載置したものである。
分割枠21Bは、絶縁性を有する合成樹脂製のものであり、所要の厚みにしかつ平面視において正方枠形に形成されている。
【0032】
正極支持板23は、正極14を中央部分に配設するとともに、その正極14の周囲に応力抑制機構C4を配設している。
この正極支持板23は、これの外周縁部を分割枠21Bの中間部分に埋設することにより固定されてい縷々。
【0033】
本例に示す応力抑制機構C4は、正極14を囲繞する所要の幅領域を弾性変形可能な蛇腹構造にした弾性材80であり、空気電池B1どうしを互いに積み重ねたときに生じる応力により弾性材80が変形し、これにより正極14に応力が作用することを抑制している。
【0034】
なお、本発明は上述した実施形態に限るものではなく、次のような変形実施が可能である。
上述した実施形態においては、応力抑制機構C1〜C4をそれぞれ単独で正極アッセンブリに配設したものを例として示しているが、それらを任意に組み合わせて用いるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0035】
10 負極アッセンブリ
13 負極(発電部)
14 正極(発電部)
14a 正極導電層
14b 正極触媒層
20 正極アッセンブリ
22,23 正極支持板
22a 底板
22b〜22e 側板
22f 鍔部
30 枠体
40 発電部
70 抑え板
A 組電池
B1 空気電池
C,C1〜C4 応力抑制機構
α 電解液層(発電部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6