特許6051704IP Force 特許公報全文掲載

技術分野

三相同期モータの電機子巻線に通電する電流をフィードバック制御するモータ制御装置に関し、より詳細には、dq座標軸上における電機子巻線のインダクタンス値の調整手段

発明が解決しようとする課題[発明の詳細な説明]から抜粋

ところで、特許文献1では、実施形態の説明にあるように、インダクタンスLd、Lqは予め決められた定数とされている。したがって、突極型同期モータのようにインダクタンス値が電流の振幅および位相に依存して変化する場合には、相互干渉成分に誤差が生じてしまう。また、特許文献2では、電流指令値をパラメータとしたマップを用いて干渉成分の誤差を算出している。この方法では、モータの個体差や経年特性変化などに起因してインダクタンス値の想定値と実際の値との間にずれが生じると、干渉成分の誤差を正確に求められなくなる。このように、インダクタンス値の変化に追従しなかったり、変化を正確に算出できなかったりすると、電流のフィードバック制御性能が低下して、応答性や安定性が改善しないという問題点がある。 また、特許文献3では、トルク指令値と電流指令値との対応関係が予め決定された電流マップにより固定的に定められている。したがって、経年特性変化などに起因してインダクタンス値が変化した場合には、トルク指令値と電流指令値との対応関係が成り立たなくなり、実際の出力トルクがトルク指令値から外れてしまう。 さらに、特許文献2や3で用いるマップは、事前の適合作業で予め実験的に求めておく必要があり、手間がかかって煩わしい。また、事前の適合作業を行っても、経年特性変化には対応できない。加えて、モータの個体差に対応するためには、事前の適合作業を全数で実施することになるため、大変な手間がかかる。 本発明は、背景技術の問題点に鑑みてなされたもので、電機子巻線のインダクタンス値をフィードバック制御することで事前の適合作業を不要とすること、また、電流の変化やモータの個体差または経年特性変化に対応して電流制御の応答性および安定性を改善したモータ制御装置を提供することを解決すべき課題とする。

課題を解決するための手段[発明の詳細な説明]から抜粋

課題を解決する請求項1に係るモータ制御装置の発明は、回転子に磁石を有し固定子に電機子巻線を有する三相同期モータの前記電機子巻線に流れる三相電流を検出する電流検出部と、前記回転子が回転する位相角を検出し、角速度を演算する回転検出部と、検出した三相電流を、前記回転子の磁石の位相角を基準とするdq座標軸上のd軸電流およびq軸電流に変換する検出電流変換部と、外部からの指令トルクに基づいて、前記d・・・ 続きを知財ポータルサイト IP Force にログインして見る
【発明の効果】
請求項1に係るモータ制御装置の発明では、電圧ベクトル演算部は、指令d軸電流からd軸電流を減算したd軸電流偏差、および指令q軸電流からq軸電流を減算したq軸電流偏差に基づいて、電機子巻線のインダクタンス値を可変にフィードバック制御する。つまり、モータの運転中にインダクタンス値の変化を逐次推定してゆくので、予めインダクタンス値を求めてマップなどの形態で保持する事前の適合作業が不要となる。また、電流の変化やモータの経年特性変化などの要因でインダクタンス値が変化したり、モータの個体差によってインダクタンス値がばらついていたりしても、フィードバック制御による推定によってインダクタンス値の誤差が低減される。したがって、電流制御の応答性および安定性を改善できる。 さらに、電圧ベクトル演算部は、目標電圧制御器、補正電圧制御器、電圧加算器、およびインダクタンス制御器を含んでいる。目標電圧制御器は指令トルクおよび指令電流を実現するための目標電圧を算出し、補正電圧制御器は電流偏差を無くすための補正電圧を算出し、電圧加算器は目標電圧と補正電圧とを加算して指令電圧を算出する。一方、インダクタンス制御器は、電流偏差の一因となるインダクタンス値の誤差を低減するように動作する。これらの制御器の協調制御により、インダクタンス値の誤差および電流偏差を無くすフィードバック制御を実現でき、電流制御の応答性および安定性を改善できる。 請求項2に係る発明では、インダクタンス制御器は、補正電圧制御器の積分項の正負の符号を反転した入力に基づく比例積分制御器とされている。補正電圧制御器の積分項はインダクタンス値の誤差に対応して増減する項であるので、比例積分型のインダクタンス制御器を用いてインダクタンス値をフィードバック制御することにより、インダクタンス値の誤差を低減することができる。また、インダクタンス制御器が補正電圧制御器から独立して動作するのでなく、積分項の値を受け取って動作するので、協調制御により確実にインダクタンス値の誤差を低減することができる。仮に、インダクタンス制御器が電流偏差に基づいてインダクタンス値を独立に制御すると、補正電圧制御器との協調制御が難しくなり、例えば、指令電圧が細かく上下動して安定制御できなくなるおそれが生じる。 請求項3に係る発明では、補正電圧制御器は、電流偏差に基づく比例積分制御器とされている。これにより、確実に電流偏差をなくして、実際の出力トルクを指令トルクに一致させることができる。また、積分項の出力をインダクタンス制御器に受け渡して、インダクタンス値の誤差の低減に寄与できる。 請求項4に係る発明では、電流指令演算部は、最大トルク/電流制御法を用いて指令d軸電流および前記指令q軸電流を算出する。したがって、指令トルクに対して電流を最小にしつつ、請求項1〜3の各効果を得ることができる。

この発明についての権利主張の範囲[特許請求の範囲]

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この特許公報に記載されている図面[図面の簡単な説明]から抜粋

【図1】実施形態のモータ制御装置の全体構成を示すブロック図である。

【図2】実施形態のモータ制御装置の電圧ベクトル演算部の内部構成を示すブロック図である。

【図3】インダクタンス制御器の内部構成の一例を示すブロック図である。

【図4】実施形態において、インダクタンス制御器を省略したときの電圧ベクトル演算部内部構成を示すブロック図である。

選択図 図1出願人が指定した本件の代表的な図

1:モータ制御装置   2v、2w:電流検出部   3:回転検出部 31:角度センサ 32:角速度変換部   4:検出電流変換部   5:電流指令演算部   6:電圧ベクトル演算部 6d:d軸演算部 6q:q軸演算部   61d、61q:目標電圧制御器 62d、62q:補正電圧制御器   63d、63q:偏差演算器 64d、64q;比例制御器   65d、65q:積分制御器 66d、66q:加算器   67d、67q:電圧加算器 68d、68q:反転器   69d、69q:インダクタンス制御器 691d、691q:比例制御器   692d、692q:積分制御器 693d、693q:加算器   7:指令電圧変換部   8:電力変換部   9:三相同期モータ   Tq*:指令トルク Id*:指令d軸電流 Iq*:指令q軸電流   Vd*:指令d軸電圧 Vq*:指令q軸電圧   Vu、Vv、Vw:三相電圧 Iv、Iw:V相およびW相電流   θ:位相角 ω:角速度   Ld:d軸インダクタンス値 Lq:q軸インダクタンス値   Id:d軸電流 ΔId:d軸電流偏差   Iq:q軸電流 ΔIq:q軸電流偏差   Vd1:目標d軸電圧 Vd2:補正d軸電圧   Vq1:目標q軸電圧 Vq2:補正q軸電圧

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