(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで近年、小型電子機器の薄型化が進んでいることにより、カメラモジュールも薄型化することが要求されている。また、カメラモジュールの高画素化が進んできており、オートフォーカス方式のカメラモジュールにおいても、用いられるCMOSセンサーの画素数が増えてきている。具体的には、300万画素から500万画素、さらには800万画素以上のCMOSセンサーが用いられている。このように、CMOSセンサーの高画素化が進んでいることに伴い、組み込まれるレンズの性能を向上させるため、レンズの口径が大きくなってきている。
【0006】
このように、カメラモジュールのオートフォーカス駆動機構が小型化する一方で、カメラモジュールのレンズユニットが大きくなっている。このため、カメラモジュール内で板バネの取り付けスペースが狭くなり、板バネを筐体やレンズユニットに接着する面積が十分に確保できなくなってきている。このことにより、板バネを狭い領域に貼り付ける際、接着剤が漏れてスプリング部に付着したり、板バネの接着が不十分になりカメラモジュールにおける板バネのバネ定数が不安定になったりするおそれがある。
【0007】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、板バネを筐体、ヨーク又はホルダに接着する際、接着剤がスプリング部に付着したり、板バネと筐体、ヨーク又はホルダとの接着が不十分になったりする不具合を防止することが可能な、板バネ、カメラモジュールの駆動機構および電子機器端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、カメラモジュールの駆動機構に用いられる板バネにおいて、外枠部と、外枠部の内側に配置された内枠部と、内枠部と外枠部との間に設けられ、外枠部と内枠部とを板バネの法線方向へ伸縮させるスプリング部とを備え、内枠部又は外枠部の一面に、内枠部又は外枠部の周方向に沿って延びるとともに、内部に接着剤が充填される接着溝が形成されていることを特徴とする板バネである。
【0009】
本発明は、接着溝は、内枠部の外周縁、内周縁または幅方向内側に形成されていることを特徴とする板バネである。
【0010】
本発明は、接着溝は、外枠部の外周縁、内周縁または幅方向内側に形成されていることを特徴とする板バネである。
【0011】
本発明は、接着溝は、ハーフエッチング加工により形成されていることを特徴とする板バネである。
【0012】
本発明は、接着溝は、内枠部又は外枠部の略全周にわたり形成されていることを特徴とする板バネである。
【0013】
本発明は、筐体と、光学系を構成するレンズユニットと、筐体内に配置され、レンズユニットを収納してレンズユニットの光軸方向に移動可能なホルダと、ホルダに設けられたコイルと、筐体に設けられコイルに磁界を提供するヨーク及びマグネット片と、筐体とホルダとの間に介在された、板バネとを備え、板バネは、外枠部と、外枠部の内側に配置された内枠部と、内枠部と外枠部との間に設けられ、外枠部と内枠部とを板バネの法線方向へ伸縮させるスプリング部とを有し、板バネの内枠部又は外枠部の一面に、内枠部又は外枠部の周方向に沿って延びるとともに、内部に接着剤が充填される接着溝が形成され、板バネは、板バネの接着溝に充填された接着剤により、筐体、ヨーク又はホルダに接着されていることを特徴とするカメラモジュールの駆動機構である。
【0014】
本発明は、接着溝は、内枠部の外周縁、内周縁または幅方向内側に形成されていることを特徴とするカメラモジュールの駆動機構である。
【0015】
本発明は、接着溝は、外枠部の外周縁、内周縁または幅方向内側に形成されていることを特徴とするカメラモジュールの駆動機構である。
【0016】
本発明は、接着溝は、ハーフエッチング加工により形成されていることを特徴とするカメラモジュールの駆動機構である。
【0017】
本発明は、接着溝は、内枠部又は外枠部の略全周にわたり形成されていることを特徴とするカメラモジュールの駆動機構である。
【0018】
本発明は、カメラモジュールの駆動機構を備えたことを特徴とする電子機器端末である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、内枠部又は外枠部の一面に、内枠部又は外枠部の周方向に沿って延びるとともに、内部に接着剤が充填される接着溝が形成されている。このことにより、板バネを筐体、ヨーク又はホルダに接着する際、接着剤がスプリング部に付着したり、板バネと筐体、ヨーク又はホルダとの接着が不十分になったりする不具合を防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0022】
(カメラモジュールの駆動機構の構成)
図1および
図2に示すように、本発明によるカメラモジュールの駆動機構1は、カバー2とベース13とからなる筐体2Aと、光学系を構成する複数のレンズ26からなるレンズユニット26Aと、筐体2A内に配置されレンズユニット26Aを収納してレンズユニット26Aの光軸方向へ移動可能なホルダ9と、ホルダ9の外周に設けられたコイル8と、筐体2Aのベース13に設けられコイル8に磁界を提供するヨーク6及びマグネット片7とを備えている。
【0023】
また筐体2Aのカバー2と、ホルダ9の上部との間に上部板バネ5が介在され、筐体2Aのベース13とホルダ9の下部との間に下部板バネ11が介在されている。
【0024】
そして下部板バネ11を介してコイル8に電流を流すことによりホルダ9に上方への力が作用し、レンズユニット26Aを上部板バネ5および下部板バネ11の力に抗して全体として上方へ持上げることができる(
図2参照)。
【0025】
また、入力する電流量を調整することにより、ホルダ9を上方へ移動させる力を変化させ、上部板バネ5および下部板バネ11の力とのバランスをとることで、ホルダ9の上下移動及びその位置調整を行うことができる。
【0026】
なお、
図2に示すように、筐体2Aは、中間支持体21を介して基体20上方に固定され、中間支持体21には赤外線カットガラス24が支持され、基体20上には撮像素子25が配置されている。
【0027】
このように筐体2Aを有するカメラモジュールの駆動機構1と、赤外線カットガラス24を支持する中間支持体21と、撮像素子25が配置された基体20とによりカメラモジュール1Aが構成されている。
【0028】
なお、上記構成のうち、上部板バネ5は
図3に示すように、筐体2A側の外枠部5aと、ホルダ9側の内枠部5bと、外枠部5aと内枠部5bとの間に設けられたバネ性をもつスプリング部5cとを有している。また下部板バネ11は
図4に示すように、筐体2A側の外枠部11aと、ホルダ9側の内枠部11bと、外枠部11aと内枠部11bとの間に設けられたバネ性をもつスプリング部11cとを有している。
【0029】
次にカメラモジュールの駆動機構1の各構成部分について、更に説明する。
【0030】
上述のようにカバー2とベース13とからなる筐体2A内の空間には、レンズユニット26Aを保持しているホルダ9がレンズユニット26Aの光軸方向へ変位可能に収容されている。
【0031】
ホルダ9の上下の各円筒縁部には、それぞれ上部板バネ5の内枠部5bと下部板バネ11の内枠部11bが取付けられており、上部板バネ5の外枠部5a(
図3参照)は筐体2Aのベース13に固定されているヨーク6の上面に取付けられ、下部板バネ11の外枠部11a(
図4参照)は筐体2Aのベース13に取付けられている。
【0032】
上記ヨーク6には複数のマグネット片7が接着されており、カメラモジュールの駆動機構1の磁気回路を構成している。そしてこの磁気回路により形成された磁界内にコイル8が配置されている。このコイル8はホルダ9の外周に巻回されており、コイル8に電流を供給することによりホルダ9をレンズユニット26Aの光軸方向へ変位させることができる。なお、
図2において、符号12により示す部材は外部電源からコイル8へ電流を供給するためのフレキシブルプリント基板や金属端子等の導体であり、符号4により示す部材は上部板バネ5の上面に装着される調整板である。
【0033】
このようなカメラモジュール1Aは、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、ノートPCなど、カメラ付き小型電子機器等の電子機器端末に組み込まれて用いられる。本実施の形態において、このような電子機器端末も提供する。
【0034】
(板バネの構成)
次に
図3乃至
図6により、上部板バネ5および下部板バネ11について更に述べる。なお、
図3および
図4は、それぞれ上部板バネ5および下部板バネ11の平面図であり、上部板バネ5および下部板バネ11の上面側を示す図である。また、
図5および
図6は、それぞれ上部板バネ5および下部板バネ11の底面図であり、上部板バネ5および下部板バネ11の下面側を示す図である。なお、上面とはカメラモジュール1Aおける被写体側の面をいい、下面とは被写体と反対側の面をいう。
【0035】
上部板バネ5および下部板バネ11は、それぞれ銅合金等、金属製の板バネ材料を用いて作製されたものである。
【0036】
上部板バネ5は
図3に示すように略四角形状の外枠部5aと、ホルダ9側であって外枠部5aの内側に配置されたリング状の内枠部5bと、外枠部5aと内枠部5bとの間に設けられ、外枠部5aと内枠部5bとを上部板バネ5の法線方向へ伸縮させるバネ性をもつスプリング部5cとを有している。
【0037】
また外枠部5aは内周縁5fと外周縁5nとを有しており、このうち内周縁5fの4隅近傍には、それぞれ外枠部5aと各スプリング部5cとを連結する連結部5gが設けられている。さらに、外枠部5aの4隅に、それぞれ上部板バネ5を筐体2Aのベース13に固定されているヨーク6の上面に取付ける際の位置決め孔17が設けられている。位置決め孔17はヨーク6の上面側に設けられた位置決め突起(図示せず)に係合して、上部板バネ5をヨーク6の上面側に精度良く位置決めするものである。
【0038】
一方、内枠部5bは、円形状の内周縁5pと外周縁5hとを有している。内枠部5bの外周縁5hの4箇所には、それぞれ内枠部5bと各スプリング部5cとを連結する連結部5iが設けられている。
【0039】
また、各スプリング部5cは、細い線を幾重にも折り返したような蛇行形状を有している。
【0040】
本実施の形態において、
図5に示すように、内枠部5bの下面に、内枠部5bの周方向に沿って延びる平面円環状の接着溝18が形成されている。この接着溝18は、上部板バネ5をホルダ9に取付ける際に、その内部に接着剤が充填されるものであり、これにより、上部板バネ5の内枠部5bをホルダ9に確実に接着することができるようになっている。
【0041】
接着溝18は、内枠部5bの内周縁5pに沿って、内枠部5bの全周にわたって形成されている。この接着溝18は、内枠部5bの底面側からハーフエッチング加工により形成されたものである。
【0042】
なお、接着溝18の深さは、上部板バネ5の厚みの30%〜80%とすることが好ましい。また、接着溝18の幅は、内枠部5bの幅の30%〜70%とすることが好ましい。接着溝18の幅は、内枠部5bの全周にわたって均一としても良く、部分的に異ならせても良い。なお、
図5において、接着溝18を斜線で示している(他の図についても同様)。
【0043】
次に下部板バネ11について、
図4および
図6により説明する。なお、
図4および
図6に示す下部板バネ11において、
図3および
図5に示す上部板バネ5の構成と同一部分には同一符号を付して一部詳細な説明を省略する。
【0044】
下部板バネ11は、
図4に示すように四角形状の外枠部11aと、ホルダ9側であって外枠部11aの内側に配置されたリング状内枠部11bと、外枠部11aと内枠部11bとの間に設けられ、外枠部11aと内枠部11bとを下部板バネ11の法線方向へ伸縮させるバネ性をもつスプリング部11cとを有している。
【0045】
このうち外枠部11aは内周縁11fと外周縁11nとを有している。内周縁11fの4隅近傍には、それぞれ外枠部11aと各スプリング部11cとを連結する連結部11gが設けられている。
【0046】
一方、内枠部11bは、円形状の内周縁11pと外周縁11hとを有している。内枠部11bの外周縁11hの4箇所には、それぞれ内枠部11bと各スプリング部11cとを連結する連結部11iが設けられている。
【0047】
各スプリング部11cは、細い線を幾重にも折り返したような蛇行形状を有している。なお、スプリング部11cの形状は、スプリング部5cの形状と同一である。
【0048】
また、下部板バネ11の外枠部11aには外部電源に接続される一対の接続端子11e、11eが設けられている。この接続端子11e、11eと外部の導体12(
図2)とが例えば半田接合されることにより、接続端子11e、11eと外部電源とが電気接続されるようになっている。
【0049】
さらに内枠部11bにはコイル8側に接続される一対の電気接続用の接続端子11d、11dが設けられている。この接続端子11d、11dとコイル8(
図2)とが例えば半田接合されることにより、接続端子11d、11dとコイル8とが電気接続されるようになっている。このようにして、外部電源から下部板バネ11を介してコイル8側へ電流を流すことができる。
【0050】
また、
図4に示すように、外枠部11aは、互いに離間した一対の外枠部材11a
1、11a
2からなっており、これにより接続端子11e、11e同士が短絡しないようになっている。また、内枠部11bは、互いに離間した一対の内枠部材11b
1、11b
2からなっており、これにより接続端子11d、11d同士が短絡しないようになっている。
【0051】
本実施の形態において、
図4に示すように、内枠部11bの上面に、内枠部11bの周方向に沿って延びる平面略円環状の接着溝18が形成されている。この接着溝18は、下部板バネ11をホルダ9に取付ける際に、その内部に接着剤が充填されるものであり、これにより、下部板バネ11の内枠部11bをホルダ9に確実に接着することができるようになっている。
【0052】
この接着溝18は、内枠部11bの内周縁11pに沿って、内枠部材11b
1、11b
2の間の隙間を除き、内枠部11bの全周にわたって形成されている。このほか、下部板バネ11の接着溝18の構成は、上述した上部板バネ5の接着溝18の構成と略同一であるので、詳細な説明を省略する。
【0053】
次に上部板バネ5および下部板バネ11の材料について述べる。上部板バネ5および下部板バネ11は、いずれも銅合金等の金属からなる金属板をエッチング加工して作製される。このような銅合金としては、例えばベリリウム銅(Cu−Be)、ニッケル錫銅(Cu−Ni−Sn)、チタニウム銅(Cu−Ti)などを挙げることができる。コイル8へ外部電源からの電流を流す導体の一部として使用する場合は、導電率のよい材料が好ましい。また、バネ特性の観点からは、硬度もしくは引張強度が重視されることもあり、コイル8へ外部電源からの電流を流す導体の一部として使用しない場合は、ステンレス合金(SUS304、SUS316、TS−4など)などの硬い金属板から上部板バネ5および下部板バネ11を作製してもよい。なお、上部板バネ5および下部板バネ11の厚みは、例えば20μm〜100μmとすることができる。
【0054】
(板バネの製造方法)
次に
図7(a)〜(e)により、上部板バネ5および下部板バネ11の製造方法について述べる。
【0055】
上部板バネ5および下部板バネ11は、それぞれステンレス合金又は銅合金(ベリリウム銅、ニッケル錫銅、チタニウム銅など)を含む圧延された板バネ材料40を加工することにより作製される。
【0056】
具体的には、まず
図7(a)に示すように、所定の厚みを有する板バネ材料40を準備する。
【0057】
次に、
図7(b)に示すように、板バネ材料40上にカゼインレジスト(レジスト)41を塗布し乾燥させる。
【0058】
次にガラスパターンをレジスト41上に載せ、超高圧水銀灯で所定時間露光する。次にレジスト41を現像した後、ポストベークを施して、板バネ材料40上に所定パターンをもつレジスト41が形成される(
図7(c)参照)。なお、接着溝18が設けられる面のレジスト41のうち、接着溝18に対応する部分を選択的に除去しておく。
【0059】
その後、レジスト41が塗布された板バネ材料40に対して塩化第二鉄水溶液のようなエッチング液を用いてエッチングを施し、板バネ材料40が所定の平面形状をもつよう加工される(
図7(d)参照)。このようにして、板バネ材料40に外枠部5a、11a、内枠部5b、11bおよびスプリング部5c、11cが形成される。またこのとき、内枠部5b、11bの内周縁5p、11pに沿って、ハーフエッチングにより接着溝18が形成される。
【0060】
次に、例えば水酸化ナトリウム溶液等のレジスト剥離液を用いて、板バネ材料40からレジスト41を剥離し、次いで板バネ材料40を水洗及び乾燥させる(
図7(e)参照)。
【0061】
その後、板バネ材料40が断裁され、バネ形状に個片化され、このようにして板バネ材料40から上部板バネ5および下部板バネ11が得られる(
図7(e)参照)。
【0062】
(本実施の形態の作用)
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について述べる。具体的には、カメラモジュール1Aの組立時における板バネ5、11の取付作業を行う際の作用について説明する。
【0063】
図2に示すように、下部板バネ11は、その外枠部11aが筐体2Aのベース13に取付けられるとともに、内枠部11bがホルダ9に取付けられることにより、カメラモジュールの駆動機構1の内部に固定される。
【0064】
このように下部板バネ11を取り付ける際、まず下部板バネ11の外枠部11aの下面に接着剤を塗布し、この外枠部11aの下面をベース13の上面に接着する。このとき、下部板バネ11の位置決め孔17がベース13の上面側に設けられた位置決め突起(図示せず)に係合し、下部板バネ11がベース13の上面側に位置決めされる。
【0065】
また、下部板バネ11の内枠部11bに形成された接着溝18に接着剤を充填し、この内枠部11bの上面をホルダ9の下面に接着する。なお、接着溝18に接着剤を充填する際、例えばディスペンサーを用いて、接着溝18の全周又は点状に接着剤を充填しても良い。
【0066】
一方、上部板バネ5は、その外枠部5aがヨーク6の上面に取付けられるとともに、その内枠部5bがホルダ9に取付けられることにより、カメラモジュールの駆動機構1の内部に固定される。
【0067】
このように上部板バネ5を取り付ける際、まず上部板バネ5の外枠部5aの下面に接着剤を塗布し、この外枠部5aの下面をヨーク6の上面に接着する。このとき、上部板バネ5の各位置決め孔17が、ヨーク6の上面側に設けられた位置決め突起(図示せず)に係合し、上部板バネ5がヨーク6の上面側に位置決めされる。
【0068】
また、上部板バネ5の内枠部5bに形成された接着溝18に接着剤を充填し、この内枠部5bの下面をホルダ9の上面に接着する。なお、接着溝18に接着剤を充填する際、例えばディスペンサーを用いて、接着溝18の全周又は点状に接着剤を充填しても良い。
【0069】
このように本実施の形態においては、板バネ5、11の内枠部5b、11bの一面に、内部に接着剤が充填される接着溝18が形成されている。これにより、板バネ5、11と接着剤との接着面積が増加するので、板バネ5、11をベース13、ヨーク6又はホルダ9に接着する接着強度を高めることができる。
【0070】
また、接着剤が接着溝18に充填されることにより、接着剤が内枠部5b、11bから外方に漏れ出すことを防止することができる。これにより、接着剤がスプリング部5c、11cに付着してしまったり、板バネ5、11とベース13、ヨーク6又はホルダ9との接着が不十分になったりする不具合を防止することができる。
【0071】
さらに、板バネ5、11とベース13、ヨーク6又はホルダ9との接着面積を略一定にすることができるので、異なるカメラモジュール1A間で板バネ5、11のバネ定数がばらつくことを防止することができる。
【0072】
さらにまた、本実施の形態によれば、接着溝18は、板バネ5、11の内枠部5b、11bの内周縁5p、11pに形成されているので、接着剤がスプリング部5c、11cに付着する不具合をより確実に防止することができる。
【0073】
(カメラモジュールの駆動機構の作用)
次にカメラモジュールの駆動機構の作用について
図2により述べる。
【0074】
まず下部板バネ11を介してコイル8に電流を流す。このことにより電流とマグネット片7の磁界とで相互作用が起こり、ホルダ9に上方への力が作用し、レンズユニット26Aを上部板バネ5および下部板バネ11の力に抗して全体として上方へ持上げることができる(
図2参照)。
【0075】
また、コイル8に流す電流量を調整することにより、ホルダ9を上方へ移動させる力を変化させ、上部板バネ5および下部板バネ11の力とのバランスをとることで、ホルダ9の上下移動及びその位置調整を行うことができる。
【0076】
この場合、上部板バネ5および下部板バネ11の外枠部5a、11aがそれぞれ接着剤によりヨーク6およびベース13に接着され、内枠部5b、11bがそれぞれ接着溝18に充填された接着剤によりホルダ9に接着されている。
【0077】
このように上部板バネ5および下部板バネ11のスプリング部5c、11cの両端部を筐体2Aのベース13に固定されるヨーク6、ベース13およびホルダ9の各々に堅固に固定することにより、スプリング部5c、11cのバネ定数を安定化させることができる。
【0078】
このことにより安定したバネ特性をもつカメラモジュールの駆動機構を得ることができる。
【0079】
(変形例)
上述した実施の形態においては、本発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【0080】
図1乃至
図7に示す実施の形態においては、接着溝18は、板バネ5、11の内枠部5b、11bの内周縁5p、11pに沿って、内枠部5b、11bの全周にわたって形成されている。しかしながら、これに限られるものではなく、接着溝18は、内枠部5b、11b又は外枠部5a、11aの一面に、当該内枠部5b、11b又は外枠部5a、11aの周方向に沿って延びていれば良い。
【0081】
例えば、以下に説明するように、
図8乃至
図14(変形例1乃至7)に示す構成とすることも可能である。
図8乃至
図14は、それぞれ上部板バネ5の変形例を示す底面図(
図5に対応する図)である。なお、
図8乃至
図14において、
図1乃至
図7に示す構成と同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。また、以下においては、上部板バネ5に接着溝18が形成されている場合を例にとって説明するが、下部板バネ11に接着溝18が形成される場合も略同一である。
【0082】
(変形例1)
図8において、接着溝18は、内枠部5bの幅方向内側に形成されている。この接着溝18は、内周縁5pおよび外周縁5hから略等距離の位置(幅方向中央部)に設けられている。また、接着溝18は、内枠部5bの全周にわたって形成されている。このような構成により、上部板バネ5の内枠部5bをホルダ9に接着する際、接着剤が内枠部5bの内周縁5pおよび外周縁5hから外方に漏れ出す不具合を防止することができる。
【0083】
(変形例2)
図9において、接着溝18は、内枠部5bの外周縁5hに形成されている。この接着溝18は、連結部5iを除く内枠部5bの外周縁5hの全周にわたって形成されている。このような構成により、上部板バネ5の内枠部5bをホルダ9に接着する際、接着剤が内枠部5bの外周縁5hから外方に漏れ出す不具合を防止することができる。また、内枠部5bとホルダ9との接着部分が連結部5iに近い位置に設けられているので、スプリング部5cのバネ定数をより安定化させることができる。
【0084】
(変形例3)
図10において、接着溝18は、内枠部5bの内周縁5pと外周縁5hとの両方に形成されている。この接着溝18は、内枠部5bの内周縁5pの全周、および連結部5iを除く内枠部5bの外周縁5hの全周にわたって形成されている。このような構成により、上部板バネ5の内枠部5bをホルダ9に接着する際、接着剤が内枠部5bの内周縁5pおよび外周縁5hから外方に漏れ出す不具合を防止することができる。また、内枠部5bとホルダ9との接着部分が連結部5iに近い位置に設けられているので、スプリング部5cのバネ定数をより安定化させることができる。
【0085】
また、
図11乃至
図14に示すように、接着溝18を外枠部5aに形成しても良い。
【0086】
(変形例4)
図11において、接着溝18は、外枠部5aの内周縁5fに形成されている。この接着溝18は、連結部5gを除く外枠部5aの内周縁5fの全周にわたって形成されている。このような構成により、上部板バネ5の外枠部5aをヨーク6に接着する際、接着剤が外枠部5aの内周縁5fから外方に漏れ出す不具合を防止することができる。また、外枠部5aとヨーク6との接着部分が連結部5gに近い位置に設けられているので、スプリング部5cのバネ定数をより安定化させることができる。
【0087】
(変形例5)
図12において、接着溝18は、外枠部5aの幅方向内側に形成されている。この接着溝18は、内周縁5fおよび外周縁5nから略等距離の位置(幅方向中央部)に設けられている。また、接着溝18は、位置決め孔17周囲を除く外枠部5aの全周にわたって形成されている。このような構成により、上部板バネ5の外枠部5aをヨーク6に接着する際、接着剤が外枠部5aの内周縁5fおよび外周縁5nから外方に漏れ出す不具合を防止することができる。
【0088】
(変形例6)
図13において、接着溝18は、外枠部5aの外周縁5nに形成されている。この接着溝18は、外枠部5aの外周縁5nの全周にわたって形成されている。このような構成により、上部板バネ5の外枠部5aをヨーク6に接着する際、接着剤が外枠部5aの外周縁5nから外方に漏れ出す不具合を防止することができる。
【0089】
(変形例7)
図14において、接着溝18は、外枠部5aの内周縁5fと外周縁5nとの両方に形成されている。この接着溝18は、連結部5gを除く外枠部5aの内周縁5fの全周、および外枠部5aの外周縁5nの全周にわたって形成されている。このような構成により、上部板バネ5の外枠部5aをヨーク6に接着する際、接着剤が外枠部5aの内周縁5fおよび外周縁5nから外方に漏れ出す不具合を防止することができる。また、外枠部5aとヨーク6との接着部分が連結部5gに近い位置に設けられているので、スプリング部5cのバネ定数をより安定化させることができる。
【0090】
なお、上記において、各スプリング部5cは、それぞれ細い線を幾重にも折り返したような蛇行形状を有しているが、これに限られるものではない。
図15に示すように、各スプリング部5cは、内枠部5bの外周縁5hに沿って延びる円弧形状部分を含んでいても良い。
【0091】
上記実施の形態および変形例に開示されている複数の構成要素を必要に応じて適宜組合せることも可能である。あるいは、上記実施の形態および変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【0092】
例えば、
図1乃至
図10のいずれかに示す形態と、
図11乃至
図14のいずれかに示す形態とを組合せ、接着溝18を内枠部5b、11bと外枠部5a、11aとの両方に形成しても良い。また、
図8乃至
図14のいずれかに示すスプリング部5cを
図15に示すスプリング部5cに置き換えても良い。
【0093】
なお、本明細書において、「接着溝が略全周にわたって形成されている」とは、接着溝が周方向全域にわたって完全に延びている場合に限らず、(i)一対の内枠部材間の隙間を除く全周に形成されている場合(
図4参照)、(ii)連結部を除く全周に形成されている場合(
図9乃至
図11参照)、(iii)位置決め孔周囲を除く全周に形成されている場合(
図12参照)、及び/又は、(iv)内枠部又は外枠部に設けられた位置決め用切欠部(図示せず)を除く全周に形成されている場合も含む。