(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
誘電体の上面に沿って設けられた放射素子、この放射素子に電気的に接続された給電部材、及び前記誘電体の下面に沿って設けられた接地導体を有し、円偏波アンテナとして動作するパッチアンテナにおいて、
放射素子の上面は、電流経路を上下方向に屈曲又は湾曲させる起伏部を有し、
前記起伏部の稜線及び谷線は前記誘電体の平面視中央で収束していることを特徴とするパッチアンテナ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に基づいて、本発明を実施するための形態を具体的に説明する。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るパッチアンテナの斜視図である。
このパッチアンテナ110aは、誘電体112aの上面に放射素子111aを、誘電体112aの下面に接地導体113aを備えている。
【0013】
このうち、誘電体112aは、平面視で横長の長方形である。この誘電体112aの厚さ(上面の高さ)サイズは、
図1に示すように、後部側で一定で、前部側で前方に向けて徐々に減少している。すなわち、誘電体112aの上面は、後部側では厚さサイズ一定の水平面112a−1、前部側では前方に向けて下向き傾斜を有する傾斜面112a−2となっている。換言すれば、誘電体112aの上面は、縦方向(奥行き方向)で所定角度屈曲された形状となっていて起伏部を有している。
ここで、誘電体112aの水平面112a−1と傾斜面112a−2とは、特に限定はされないが、同じ面積となっている。そのため、平面視で、水平面112a−1の縦サイズの方が、傾斜面112a−2の縦サイズよりも大きくなっている。勿論、平面視で、水平面112a−1の縦サイズと、傾斜面112a−2の縦サイズとが同じとなるように誘電体112aを形成してもよい。この場合には、水平面112a−1の面積の方が、傾斜面112a−2の面積よりも小さくなる。
【0014】
また、放射素子111aは誘電体112aの上面に沿って一定の厚さサイズで形成されている。この放射素子111aは、
伸展した状態では、縦長の長方形となっている。ここで、「
伸展」とは、平面となるように伸び拡げることを言う。この放射素子111aの上面は、側面視で、誘電体112aの上面に倣って、縦方向(奥行き方向)で所定角度屈曲された形状となっていて起伏部を有している。そして、この放射素子111aは、平面視で、4つの辺のそれぞれが誘電体112aの4つの辺のそれぞれと1対1で対向し、この対向する辺同士が互いに平行となるように誘電体112aの上面に形成されている。この場合、特に限定はされないが、誘電体112aの水平面112a−1に形成される素子部分111a−1と、誘電体112aの傾斜面112a−2に形成される素子部分111a−2とは同じ面積となっている。そのため、平面視で、素子部分111a−1の縦サイズの方が、素子部分111a−2の縦サイズよりも大きくなっている。勿論、平面視で、素子部分111a−1の縦サイズと、素子部分111a−2の縦サイズとが同じとなるように放射素子111aを形成してもよい。この場合には、素子部分111a−1の面積の方が、素子部分111a−2の面積よりも小さくなる。
【0015】
また、接地導体113aは誘電体112aの下面に沿って形成されている。この接地導体113aは、後述する同軸ケーブル120aが位置している箇所を除いて、誘電体112aの下面全体に亘って形成されている。つまり、接地導体113aの外形は、平面視で、誘電体112aと同様に横長の長方形となっている。この接地導体113aは、例えば、所定の銀箔、金側板又は金属膜で構成されている。
【0016】
そして、
図3に示すように、この接地導体113aと誘電体112aとを貫通するように給電部材である同軸ケーブル120aが配置されている。この同軸ケーブル120aの芯線(内部導体)121aは放射素子111aに半田(図示せず)を介して電気的に接続されている。この場合の放射素子111aへの接続位置(給電位置)123aはインピーダンス整合が図れ、且つ、円偏波を受信するために90°の位相差を持った直交する電流を放射素子111a上に流すことができる位置である。
一方、同軸ケーブル120aの外部導体122aは接地導体113aに半田(図示せず)を介して電気的に接続されている。
なお、同軸ケーブル120aに代えて、同じく給電部材である給電ピンによって放射素子111aに給電するようにしてもよい。
【0017】
ここで、同軸ケーブル120aと放射素子111aとの電気的接続位置である給電位置123aについて
図2を用いて説明する。
図2は、
図1のパッチアンテナ110aの放射素子111aを
伸展した状態を示す図である。同図においては、説明の便宜上、放射素子110aの中心Oを通る横線をX軸、放射素子110aの中心Oを通る縦線をY軸としている。そして、X軸において、放射素子110aの中心Oより右の部分をX(+)、放射素子110aの中心Oより左の部分をX(−)とし、Y軸において、放射素子110aの中心Oより上の部分をY(+)、放射素子110aの中心Oより下の部分をY(−)としている。
第1の実施形態のパッチアンテナ110aの給電位置123aは、インピーダンス整合が図れ且つ右旋偏波アンテナとして機能するように、放射素子111aを
伸展した状態で見た場合に、放射素子111aの中心Oからオフセットされた位置で、X(−)且つY(−)となる領域に設けられている。具体的には、放射素子111aの横方向の辺の共振周波数をf1、縦方向の辺の共振周波数をf2としたとき、受信周波数f0(=(f1−f2)/2))における位相差が90°となり、さらに、インピーダンス整合が取れた状態となるように各辺の長さと給電位置とを調整している。この給電位置123aは、放射素子111aを
伸展した状態で見た場合に、放射素子111aの中心Oからオフセットされた位置で、X(+)且つY(+)となる領域に設けられていてもよい。
なお、ここでは、パッチアンテナ110aを右旋偏波アンテナとして機能させる場合を述べたが、左旋偏波アンテナとして機能させる場合には、放射素子111aを
伸展した状態で見た場合に、放射素子111aの中心Oからオフセットされた位置で、X(+)且つY(−)となる領域又はX(−)且つY(+)となる領域に設ければよい。
【0018】
以上のように構成されたパッチアンテナ110aによれば、次のような効果を得ることができる。
すなわち、誘電体112aの上面は、後部側の水平面112a−1に対して前部側の傾斜面112a−2が下方に所定角度屈曲された形状であり、この誘電体112aの上面に沿って放射素子111aが形成されているので、放射素子111aの縦方向の辺を流れる電流の経路が、上面に屈曲のない放射素子の場合よりも長くなり、アンテナ外形の縦方向のサイズを小さくしても電流経路のバランスが取れて円偏波特性とすることができる。その結果、パッチアンテナ110aの小型化が実現できる。
ちなみに、放射素子の対向する1組の辺のそれぞれに切り込みを入れて当該辺のサイズを小さくした円偏波のパッチアンテナと比較すれば、切り込みを入れた場合には、切り込み長さが長くなると(電流が流れる幅が狭くなり)電流が流れにくくなるため、熱損失を生じてアンテナ特性の劣化が生じる虞があるが、このパッチアンテナ110aでは切り込みが存在しないため、そのような問題を生じることはない。この点は、以下の実施形態において同様である。
【0019】
(第2の実施形態)
図4は、本発明の第2の実施形態に係るパッチアンテナの斜視図である。
このパッチアンテナ110bは、誘電体112bの上面に放射素子111bを、誘電体112bの下面に接地導体113bを備えている。この点では、このパッチアンテナ110bは第1の実施形態のパッチアンテナ110aと共通している。
【0020】
このうち、誘電体112bは、平面視で横長の長方形である。この誘電体112bの上面の高さは、後部側で前方に向けて徐々に増加し、前部側で前方に向けて徐々に減少している。すなわち、誘電体112bの上面は、後部側では前方に向けて上向き傾斜を有する傾斜面112b−1となっており、前部側では前方に向けて下向き傾斜を有する傾斜面112b−2となっている。換言すれば、誘電体112bの上面は、側面視で、後部側の傾斜面112b−1と前部側の傾斜面112b−2とが山形状に屈曲された形状となっていて起伏部を有している。
ここで、傾斜面112b−1の面積と傾斜面112b−2の面積とについて言えば、同じ面積であっても、異なっていてもよい。
【0021】
また、放射素子111bは誘電体112bの上面に沿って形成されている。この放射素子111bは、
伸展した状態では、縦長の長方形となっている。そして、放射素子111bの上面は、後部側では前方に向けて上向き傾斜を有する素子部分111b−1となっており、前部側では前方に向けて下向き傾斜を有する素子部分111b−2となっている。換言すれば、放射素子111bの上面は、側面視で、誘電体112bの上面に倣って、後部側の素子部分111b−1と前部側の素子部分111b−2とが山形に屈曲された形状となって起伏部を有している。この場合、特に限定はされないが、素子部分111b−1の面積と素子部分111b−2の面積とは同じであっても、異なっていてもよい。
【0022】
なお、このパッチアンテナ110bは、他の点では第1の実施形態のパッチアンテナ110aと同様となっている。また、パッチアンテナ110bの実装構造は第1の実施形態のパッチアンテナ110aと同様の実装構造を採用可能である。また、
図4において符号123bは給電位置である。
【0023】
以上のように構成されたパッチアンテナ110bによれば、次のような効果を得ることができる。
すなわち、誘電体112bの上面は、後部側では前方に向けて上向き傾斜を有する傾斜面112b−1、前部側では前方に向けて下向き傾斜を有する傾斜面112b−2であり、この誘電体112bの上面に沿って放射素子111bが形成されているので、放射素子111bの縦方向の辺を流れる電流の経路が、上面に屈曲のない放射素子の場合よりも長くなり、アンテナ外形の縦方向のサイズを小さくしても電流経路のバランスが取れて円偏波特性とすることができる。その結果、パッチアンテナ110bの小型化が実現できる。
【0024】
(第3の実施形態)
図5は、本発明の第3の実施形態に係るパッチアンテナの斜視図である。
このパッチアンテナ110cは、誘電体112cの上面に放射素子111cを、誘電体112cの下面に接地導体113cを備えている。この点では、このパッチアンテナ110cは第1の実施形態のパッチアンテナ110aと共通している。
【0025】
このうち、誘電体112cは、平面視で横長の長方形である。また、誘電体112cの前面及び後面は長方形である。一方、誘電体112cの右側面及び左側面の上縁は、側面視で、正弦波状となっている。そして、誘電体112cの右側面及び左側面の頂点同士を結ぶ稜線と、誘電体112cの右側面及び左側面の谷底同士を結ぶ谷線とは、誘電体112cの前辺及び後辺に対して平行となっている。このように、誘電体112cの上面は全体的に正弦波状に湾曲した形状となっていて周期的に起伏部を有している。
【0026】
また、放射素子111cは誘電体112cの上面に沿って形成されている。この放射素子111cは、
伸展した状態では、縦長の長方形となっている。そして、この放射素子111cの上面は、誘電体112cの上面に倣って正弦波状に湾曲した形状となっていて周期的に起伏部を有している。
【0027】
なお、このパッチアンテナ110cは、他の点では第1の実施形態のパッチアンテナ110aと同様となっている。また、パッチアンテナ110cの実装構造は第1の実施形態のパッチアンテナ110aと同様の実装構造を採用可能である。また、
図5において符号123cは給電位置である。
【0028】
以上のように構成されたパッチアンテナ110cによれば、次のような効果を得ることができる。
すなわち、誘電体112cの上面は正弦波状に湾曲した形状であり、この誘電体112cの上面に沿って放射素子111cが形成されているので、放射素子111cの縦方向の辺を流れる電流の経路が、上面に湾曲のない放射素子の場合よりも長くなり、アンテナ外形の縦方向のサイズを小さくしても電流経路のバランスが取れて円偏波特性とすることができる。その結果、パッチアンテナ110cの小型化が実現できる。
【0029】
(第4の実施形態)
図6は、本発明の第4の実施形態に係るパッチアンテナの斜視図である。
このパッチアンテナ110dは、誘電体112dの上面に放射素子111dを、誘電体112dの下面に接地導体113dを備えている。この点では、このパッチアンテナ110dは第1の実施形態のパッチアンテナ110aと共通している。
【0030】
このうち、誘電体112dは、平面視で横長の長方形である。また、誘電体112dの前面及び後面は長方形である。一方、誘電体112dの右側面及び左側面の上縁は、側面視で、三角波状となっている。そして、誘電体112dの右側面及び左側面の頂点同士を結ぶ稜線と、誘電体112dの右側面及び左側面の谷底同士を結ぶ谷線とは、誘電体112dの前辺及び後辺に対して平行となっている。このように、誘電体112dの上面は三角波状に屈曲した形状となっていて周期的に起伏部を有している。
【0031】
また、放射素子111dは誘電体112dの上面に沿って形成されている。この放射素子111dは、
伸展した状態では、縦長の長方形となっている。この放射素子111dは誘電体112dの上面に沿って形成されている。そして、放射素子111dの上面は、誘電体112dの上面に倣って三角波状に屈曲した形状となっていて周期的に起伏部を有している。
【0032】
なお、このパッチアンテナ110dは、他の点では第1の実施形態のパッチアンテナ110aと同様となっている。また、パッチアンテナ110dの実装構造は第1の実施形態のパッチアンテナ110aと同様の実装構造を採用可能である。また、
図6において符号123dは給電位置である。
【0033】
以上のように構成されたパッチアンテナ110dによれば、次のような効果を得ることができる。
すなわち、誘電体112dの上面は三角波状に屈曲した形状であり、この誘電体112dの上面に沿って放射素子111dが形成されているので、放射素子111dの縦方向を流れる電流の経路が、上面に屈曲のない放射素子の場合よりも長くなり、アンテナ外形の縦方向のサイズを小さくしても電流経路のバランスが取れて円偏波特性とすることができる。その結果、パッチアンテナ110dの小型化が実現できる。
【0034】
(第5の実施形態)
図7は、本発明の第4の実施形態に係るパッチアンテナの斜視図である。
このパッチアンテナ110eは、誘電体112eの上面に放射素子111eを、誘電体112eの下面に接地導体113eを備えている。この点では、このパッチアンテナ110eは第1の実施形態のパッチアンテナ110aと共通している。
【0035】
このうち、誘電体112eは、平面視で横長の長方形である。また、誘電体112eの前面及び後面は長方形である。一方、誘電体112eの右側面及び左側面の上縁は、側面視で、鋸歯状となっている。そして、誘電体112eの右側面及び左側面の頂点同士を結ぶ稜線と、誘電体112eの右側面及び左側面の谷底同士を結ぶ谷線とは、誘電体112eの前辺及び後辺に対して平行となっている。このように、誘電体112eの上面は鋸歯状に屈曲した形状となっていて周期的に起伏部を有している。
【0036】
また、放射素子111eは誘電体112eの上面に沿って形成されている。この放射素子111eは、
伸展した状態では、縦長の長方形となっている。そして、放射素子111eの上面は、誘電体112eに倣って鋸歯状に屈曲した形状となっていて周期的に起伏部を有している。
【0037】
なお、このパッチアンテナ110eは、他の点では第1の実施形態のパッチアンテナ110aと同様となっている。また、パッチアンテナ110eの実装構造は第1の実施形態のパッチアンテナ110aと同様の実装構造を採用可能である。また、
図7において符号123eは給電位置である。
【0038】
以上のように構成されたパッチアンテナ110eによれば、次のような効果を得ることができる。
すなわち、誘電体112eの上面は鋸歯状に屈曲した形状であり、この誘電体112eの上面に沿って放射素子111eが形成されているので、放射素子111eの縦方向の辺を流れる電流の経路が、上面に屈曲のない放射素子の場合よりも長くなり、アンテナ外形の縦方向のサイズを小さくしても電流経路のバランスが取れて円偏波特性とすることができる。その結果、パッチアンテナ110eの小型化が実現できる。
【0039】
(第6の実施形態)
図8は、本発明の第6の実施形態に係るパッチアンテナの斜視図である。
このパッチアンテナ110fは、誘電体112fの上面に放射素子111fを、誘電体112fの下面に接地導体113fを備えている。この点では、このパッチアンテナ110fは第1の実施形態のパッチアンテナ110aと共通している。
【0040】
このうち、誘電体112fは、前面及び後面が長方形、右側面及び左側面の上縁が三角波状に形成されている。そして、誘電体112fの前面及び後面の高さと、右側面及び左側面の三角波状部分の谷底の高さとが同じとなっている。また、右側面及び左側面の三角波状部分の頂部を含む稜線と、右側面及び左側面の三角波状部分の谷底を含む谷線とが、誘電体112fの平面視中央で収束している。このように、誘電体112fの上面は起伏部を有している。なお、収束点の高さは、右側面及び左側面の三角波状部分の谷底の高さと同じであっても、右側面及び左側面の三角波状部分の頂点の高さと同じであってもよい。或いは、収束点の高さは、右側面及び左側面の三角波状部分の谷底の高さ、右側面及び左側面の三角波状部分の頂点の高さの何れとも異なっていてもよい。
【0041】
また、放射素子111fは誘電体112fの上面に沿って形成されている。この放射素子111fは、平面視で横長の長方形となっている。そして、放射素子111fの上面は、誘電体112fの上面に倣った形状となっていて起伏部を有している。
【0042】
なお、このパッチアンテナ110fは、他の点では第1の実施形態のパッチアンテナ110aと同様となっている。また、パッチアンテナ110fの実装構造は第1の実施形態のパッチアンテナ110aと同様の実装構造を採用可能である。また、
図8において符号123fは給電位置である。
【0043】
以上のように構成されたパッチアンテナ110fによれば、次のような効果を得ることができる。
すなわち、誘電体112fの上面は屈曲した形状であり、この誘電体112fの上面に沿って放射素子111fが形成されているので、放射素子111fの縦方向の辺を流れる電流の経路が、上面に起伏のない放射素子の場合よりも長くなり、アンテナ外形の縦方向のサイズを小さくしても電流経路のバランスが取れて円偏波特性とすることができる。その結果、パッチアンテナ110fの小型化が実現できる。
【0044】
次に、実施形態のパッチアンテナを搭載した無線通信機器の一例を説明する。この無線通信機器の一例は腕時計である。
図9(A)は実施形態の腕時計の平面図、
図9(B)は実施形態の腕時計の一部を切欠いて示す側面図である。
この腕時計600は、指針式時計の6時及び12時の方向にバンド取付部601a,601bが付設された本体ケース601と、バンド取付部601a,601bに取り付けられたバンド602a,602bとを備えている。このうち本体ケース601とバンド取付部601a,601bは樹脂によって一体的に形成されている。そして、本体ケース601にはGPSモジュールが組み込まれている。
【0045】
この腕時計600のバンド取付部601a,601bは、平面視で、本体ケース601側からバンド602a,602b側に向けて幅が狭窄するように等脚台形状に形成されている。また、このバンド取付部601a,601bは、下面が本体ケース601と面一に形成され、上面の高さサイズがバンド602a,602b側から本体ケース601側に向けて増加するように形成されている。つまり、バンド取付部601a,601bの上面は、バンド602a,602b側から本体ケース601側に向けて上向き傾斜を有する傾斜面となっている。そして、この2つのバンド取付部601a,601bのうち、指針式時計における6時側に位置するバンド取付部601aはアンテナケースを構成し、このバンド取付部601aには上記パッチアンテナ110aが収納状態で実装されている。ここで、収納状態とは、バンド取付部601aにパッチアンテナ110aがはみ出さないで収められている状態を言う。
【0046】
なお、ここでは、パッチアンテナ110aを搭載した場合について説明したが、このパッチアンテナ110aに代えてパッチアンテナ110b〜110fのうちの1つを搭載してもよいことは勿論である。
【0047】
このように構成された腕時計600によれば、バンド取付部601aの幅方向の実装スペースに比べて奥行き方向の実装スペースが小さい場合であっても、パッチアンテナ110aの短辺を奥行き方向に合致させることで、容易に実装することができる。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
【0049】
例えば、上記実施形態では、誘電体112a〜112fを平面視で長方形とした場合について説明したが、平面視で、正方形であってもよい。要は、放射素子111a〜111fの上面を誘電体112a〜112fの上面に倣わせて屈曲又は湾曲させて起伏させることで、アンテナ外形の一辺方向のサイズを小さくできることである。
【0050】
また、上記実施形態では、放射素子111a〜111fを縦方向と横方向での2共振状態としたが、このうち、放射素子111a〜111eの場合には、
図10に示すように、放射素子111gを
伸展状態で正方形の対向する1組の角部を切欠いた形状として、対角方向での2共振状態としてもよい。この場合の給電位置123gは、円偏波アンテナとして動作させる場合、放射素子111gの中心Oに対して縦又は横方向に少しずれた位置となる。なお、放射素子111eの場合にも、対向する1組の角部を切欠いた形状とすればよいが、対角方向での電流経路長さを増加させるため、少なくとも対角方向での電流経路途中に屈曲部又は湾曲部が位置するように構成する必要がある。
なお、放射素子111a〜111eの場合には、
伸展状態で正方形又は長方形として2点給電方式としてもよい。要は、円偏波のパッチアンテナとして構成することである。
【0051】
さらに、上記実施形態では、放射素子111a〜111fにおいて、2つの共振周波数のうち低い方の共振周波数に対応する辺の延在方向に沿って、放射素子面を上下に屈曲又は湾曲させたが、高い方の共振周波数に対応する辺の延在方向に沿って、放射素子面を上下に屈曲又は湾曲させてもよい。この場合には、アンテナ外形の縦横比をさらに大きくすることができる。また、放射素子111a〜111fにおいて、2つの共振周波数に対応する各辺の延在方向に沿って、放射素子面を上下に屈曲又は湾曲させてもよい。この場合には、アンテナ外形を縦横で小さくすることができる。
【0052】
また、
図9では、本発明のアンテナを腕時計に搭載させた例を示したが、腕時計に限ることなく、他の電波受信機器に搭載できることは勿論である。例えば、デジタルカメラ、スマートフォン、小型のカーナビゲーション装置(PND(Personal Navigation Device))その他の無線通信機器のアンテナにも適用できる。
【0053】
なお、上記実施形態で、放射素子111a,111b,111d,111e,111fの上面を屈曲させたが、この場合、屈曲部分が尖らないように丸みを付けることが好ましい。
【0054】
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。
付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
【0055】
[付記]
<請求項1>
誘電体の上面に沿って設けられた放射素子、この放射素子に電気的に接続された給電部材、及び前記誘電体の下面に沿って設けられた接地導体を有し、円偏波アンテナとして動作するパッチアンテナにおいて、
放射素子の上面は、電流経路を上下方向に屈曲又は湾曲させる起伏部を有していることを特徴とするパッチアンテナ。
<請求項2>
前記誘電体は平面視で長方形であり、前記起伏部の稜線及び谷線は前記誘電体の長辺に平行となっていることを特徴とする請求項1に記載のパッチアンテナ。
<請求項3>
前記放射素子は展伸状態で長方形であり、前記放射素子の平面視上での長辺を上下方向に屈曲又は湾曲させるように前記起伏部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のパッチアンテナ。
<請求項4>
前記放射素子は、展伸状態で、正方形の対向する1組の角部に切欠きを形成した形状となっていることを特徴とする請求項1又は2に記載のパッチアンテナ。
<請求項5>
前記放射素子の上面は、電流経路の向きに周期的に起伏部を有していることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のパッチアンテナ。
<請求項6>
請求項1から5のいずれか一項に記載のパッチアンテナを備えたことを特徴とする無線通信機器。