特許第6051777号(P6051777)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6051777
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】移動車両および階段昇降機
(51)【国際特許分類】
   B62B 5/02 20060101AFI20161219BHJP
【FI】
   B62B5/02 E
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-239933(P2012-239933)
(22)【出願日】2012年10月31日
(65)【公開番号】特開2014-88131(P2014-88131A)
(43)【公開日】2014年5月15日
【審査請求日】2015年9月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】100089082
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 脩
(74)【代理人】
【識別番号】100130188
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜一
(72)【発明者】
【氏名】上田 武史
(72)【発明者】
【氏名】村田 元気
【審査官】 須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】 特表2002−538892(JP,A)
【文献】 特開2011−222029(JP,A)
【文献】 特開2004−243491(JP,A)
【文献】 実開昭51−160343(JP,U)
【文献】 特開2007−230542(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0094944(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、
前記本体部の下部に配置され、前記本体部を支持軸回りに回転可能に支持する支持部と、
前記支持部において前記支持軸に平行な車軸回りに自転可能にそれぞれ支持され、前記本体部に対して前記支持部を回転させることで前記支持軸に対してそれぞれ異なる位置にて相対的に公転可能に配置された2軸以上の車輪と、
前記2軸以上の車輪と前記支持部とを各車軸回りに相対的に回転する第一の回転アクチュエータと、
前記支持部に対して前記本体部を前記支持軸回りに回転する第二の回転アクチュエータと、
前記第一および第二の回転アクチュエータを駆動し、前記2軸以上の車輪のうち少なくとも2軸の車輪を走行面に接地した状態から何れか1軸の車輪による起立状態に移行させると共に、前記起立状態から2軸車輪接地状態へ移行させることにより、前記本体部を走行面に対して進行させる制御装置と、
前記2軸車輪接地状態で走行しているときに前記車輪が階段の壁面に当接したことを検出するセンサと、
を備える移動車両であって、
前記制御装置は、
前記2軸車輪接地状態から前記起立状態へ移行する際に、
前記センサによって前記車輪が階段の壁面に当接したと検出された後に、前記2軸車輪接地状態を維持したまま前記支持部に対して前記本体部を前記支持軸回りに回転させ、
続いて前記2軸車輪接地状態を維持したまま前記支持部に対する前記本体部の回転速度を低下させることにより、前記支持軸回りの慣性力を発生させ、
続いて当該慣性力によって、前記走行面に接地している2軸の車輪のうち1軸の車輪の車軸回りに前記支持部を回転させることで当該1軸の車輪による起立状態に移行させる、移動車両。
【請求項2】
前記慣性力は、前記支持部に対する前記本体部の回転を停止させることにより発生させる、請求項1の移動車両。
【請求項3】
本体部と、
前記本体部の下部に配置され、前記本体部を支持軸回りに回転可能に支持する支持部と、
前記支持部において前記支持軸に平行な車軸回りに自転可能にそれぞれ支持され、前記本体部に対して前記支持部を回転させることで前記支持軸に対してそれぞれ異なる位置にて相対的に公転可能に配置された2軸以上の車輪と、
前記2軸以上の車輪と前記支持部とを各車軸回りに相対的に回転する第一の回転アクチュエータと、
前記支持部に対して前記本体部を前記支持軸回りに回転する第二の回転アクチュエータと、
前記第一および第二の回転アクチュエータを駆動し、前記2軸以上の車輪のうち少なくとも2軸の車輪を走行面に接地した状態から何れか1軸の車輪による起立状態に移行させると共に、前記起立状態から2軸車輪接地状態へ移行させることにより、前記本体部を走行面に対して進行させる制御装置と、
を備える移動車両であって、
前記制御装置は、
前記2軸車輪接地状態から前記起立状態へ移行する際に、
前記2軸車輪接地状態において前記支持部に対して前記本体部を前記支持軸回りに回転させ、
続いて前記支持部に対する前記本体部の回転速度を低下させ、さらに前記支持部に対する前記本体部の回転を停止させることにより、前記支持軸回りの慣性力を発生させ、
続いて当該慣性力によって、前記走行面に接地している2軸の車輪のうち1軸の車輪の車軸回りに前記支持部を回転させることで当該1軸の車輪による起立状態に移行させる、移動車両。
【請求項4】
前記慣性力を発生させるために前記支持部に対する前記本体部の回転を停止した瞬間において、
前記移動車両全体の合成重心が、前記走行面に接地している2軸の車輪のうち進行方向前方に位置する1軸の車輪の車軸を通る鉛直線上に位置する、または、当該鉛直線上より進行方向後方に位置する、請求項2又は3の移動車両。
【請求項5】
前記移動車両全体の前記合成重心は、搭載物を含む前記移動車両の合成重心である、請求項の移動車両。
【請求項6】
請求項1〜の何れか一項に記載の移動車両を適用し、前記2軸以上の車輪を階段のステップ面に順次接地させて階段を昇降する、階段昇降機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2軸以上の車輪を相対的に公転させながら進行する移動車両および階段昇降機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1,2には、4輪で走行可能な本体部と、人が搭乗可能な搭載部とを備えた階段昇降機が記載されている。前後の2輪の各車軸は、アームの両端に回転可能に支持され、アームの中央は、本体部の下部に回転可能に支持され、搭載部は、本体部の上部に回転可能に支持されている。このような構成において、階段昇降機が階段を昇るときは、本体部が階段側に回転して重心移動し、アームが階段側の例えば前輪(進行方向の前輪を意味する)の車軸を中心に回転し、後輪(進行方向の後輪を意味する)が階段の上段のステップ面に接地する直前に本体部が階段側とは逆側に回転して重心移動するという一連の動作を繰り返す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4574016号公報
【特許文献2】特許第4709390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の階段昇降機においては、階段を昇るときに、階段昇降機の重心の移動量が大きくなる。そのため、本体部の回転による階段のステップ面に対する傾斜角度が大きくなり、階段昇降の際に不安定となり易く、昇降速度に制約を生じ、さらに本体部等が階段と干渉するおそれがある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、2軸車輪接地状態から1軸車輪による起立状態へ移行し、続いて起立状態から2軸車輪接地状態へ移行することで、進行することができる移動車両において、2軸車輪接地状態から起立状態へ移行する際に走行面に対する本体部の傾斜角度を小さく抑えることができる移動車両および階段昇降機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(請求項1)本手段に係る移動車両は、本体部と、本体部の下部に配置され、本体部を支持軸回りに回転可能に支持する支持部と、支持部において支持軸に平行な車軸回りに自転可能にそれぞれ支持され、本体部に対して支持部を回転させることで支持軸に対してそれぞれ異なる位置にて相対的に公転可能に配置された2軸以上の車輪と、2軸以上の車輪と支持部とを各車軸回りに相対的に回転する第一の回転アクチュエータと、支持部に対して本体部を支持軸回りに回転する第二の回転アクチュエータと、第一および第二の回転アクチュエータを駆動し、2軸以上の車輪のうち少なくとも2軸の車輪を走行面に接地した状態から何れか1軸の車輪による起立状態に移行させると共に、起立状態から2軸車輪接地状態へ移行させることにより、本体部を走行面に対して進行させる制御装置と、2軸車輪接地状態で走行しているときに車輪が階段の壁面に当接したことを検出するセンサと、を備える。
制御装置は、2軸車輪接地状態から起立状態へ移行する際に、センサによって車輪が階段の壁面に当接したと検出された後に、2軸車輪接地状態を維持したまま支持部に対して本体部を支持軸回りに回転させ、続いて2軸車輪接地状態を維持したまま支持部に対する本体部の回転速度を低下させることにより、支持軸回りの慣性力を発生させ、続いて当該慣性力によって、走行面に接地している1軸の車輪の車軸回りに支持部を回転させることで当該1軸の車輪による起立状態に移行させる。
【0007】
(請求項2)また、慣性力は、支持部に対する本体部の回転を停止させることにより発生させるようにするとよい。
(請求項3)本手段に係る移動車両は、本体部と、本体部の下部に配置され、本体部を支持軸回りに回転可能に支持する支持部と、支持部において支持軸に平行な車軸回りに自転可能にそれぞれ支持され、本体部に対して支持部を回転させることで支持軸に対してそれぞれ異なる位置にて相対的に公転可能に配置された2軸以上の車輪と、2軸以上の車輪と支持部とを各車軸回りに相対的に回転する第一の回転アクチュエータと、支持部に対して本体部を支持軸回りに回転する第二の回転アクチュエータと、第一および第二の回転アクチュエータを駆動し、2軸以上の車輪のうち少なくとも2軸の車輪を走行面に接地した状態から何れか1軸の車輪による起立状態に移行させると共に、起立状態から2軸車輪接地状態へ移行させることにより、本体部を走行面に対して進行させる制御装置と、を備える。
制御装置は、2軸車輪接地状態から起立状態へ移行する際に、2軸車輪接地状態において支持部に対して本体部を支持軸回りに回転させ、続いて支持部に対する本体部の回転速度を低下させ、さらに支持部に対する本体部の回転を停止させることにより、支持軸回りの慣性力を発生させ、続いて当該慣性力によって、走行面に接地している1軸の車輪の車軸回りに支持部を回転させることで当該1軸の車輪による起立状態に移行させる。
(請求項)また、慣性力を発生させるために支持部に対する本体部の回転を停止した瞬間において、移動車両全体の合成重心が、走行面に接地している2軸の車輪のうち進行方向前方に位置する1軸の車輪の車軸を通る鉛直線上に位置する、または、当該鉛直線上より進行方向後方に位置するようにするとよい。
(請求項)また、移動車両全体の前記合成重心は、搭載物を含む移動車両の合成重心としてもよい。
【0008】
(請求項)本手段に係る階段昇降機は、上述した移動車両を適用し、2軸以上の車輪を階段のステップ面に順次接地させて階段を昇降する。
当該階段昇降機は、以下のように表すことができる。すなわち、本手段に係る階段昇降機は、本体部と、本体部の下部に配置され、本体部を支持軸回りに回転可能に支持する支持部と、支持部において支持軸に平行な車軸回りに自転可能にそれぞれ支持され、本体部に対して支持部を回転させることで支持軸に対してそれぞれ異なる位置にて相対的に公転可能に配置された2軸以上の車輪と、2軸以上の車輪と支持部とを各車軸回りに相対的に回転する第一の回転アクチュエータと、支持部に対して本体部を支持軸回りに回転する第二の回転アクチュエータと、第一および第二の回転アクチュエータを駆動し、2軸以上の車輪のうち少なくとも2軸の車輪を走行面に接地した状態から何れか1軸の車輪による起立状態に移行させると共に、前記起立状態から2軸車輪接地状態へ移行させることにより、2軸以上の車輪を階段のステップ面に順次接地させて階段を昇降させる制御装置とを備える。そして、制御装置は、上述した移動車両における制御装置を適用する。
【発明の効果】
【0009】
(請求項1)本手段によれば、2軸車輪接地状態から起立状態へ移行する際に、支持部に対する本体部の回転速度を低下することにより発生する支持軸回りの慣性力を利用している。この慣性力によって、接地している2軸の車輪のうち1軸の車輪を持ち上げている。そして、慣性力を用いることで、移動車両全体の重心の移動量を少なくしたとしても、1軸の車輪を持ち上げる力を十分に発揮できる。その結果、2軸車輪接地状態から起立状態へ移行する際に、走行面に対する本体部の傾斜角度を小さく抑えることができる。
【0010】
(請求項2)支持部に対する本体部の回転を停止させることにより発生する慣性力を利用することで、大きな慣性力を得ることができる。従って、移動車両全体の重心の移動量をより少なくできる。
(請求項3)本手段によれば、2軸車輪接地状態から起立状態へ移行する際に、支持部に対する本体部の回転速度を低下し、さらに支持部に対する本体部の回転を停止することにより発生する支持軸回りの大きな慣性力を利用している。この慣性力によって、接地している2軸の車輪のうち1軸の車輪を持ち上げている。そして、慣性力を用いることで、移動車両全体の重心の移動量を少なくしたとしても、1軸の車輪を持ち上げる力を十分に発揮できる。その結果、2軸車輪接地状態から起立状態へ移行する際に、走行面に対する本体部の傾斜角度を小さく抑えることができる。
【0011】
(請求項)慣性力を発生させる際に、移動車両全体の合成重心が、進行方向前方に位置する1軸の車輪の車軸を通る鉛直線上、または、鉛直線上より進行方向後方に位置することで、起立状態を安定した状態とすることができる。
(請求項)上述した合成重心として、搭載物を含む合成重心とすることで、起立状態をより安定した状態とすることができる。
【0012】
(請求項)階段昇降機に適用することで、階段昇降する際に、階段のステップ面に対する本体部の傾斜角度を小さく抑えることができる。つまり、安定して階段を昇降することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態:階段昇降機を後方から見た図である。
図2】階段昇降機を右方から見た図である。
図3】階段昇降機を上方から見た図である。
図4】階段昇降機の第一、第二の回転アクチュエータを示す模式図である。
図5】階段昇降機の第三の回転アクチュエータを示す模式図である。
図6図1の階段昇降機を構成する制御装置の機能ブロック図である。
図7図6の切替部による切替処理を示すフローチャートである。
図8A】階段昇降機による走行している状態であって、走行制御部による制御中の状態を示す図である。
図8B】階段昇降機の前輪が階段の壁面に当接した状態を示す図であって、起立制御部による制御に切り替えるときの状態を示す図である。
図8C図8Bの状態から合成重心を前方に移動させている状態である。
図8D図8Cの次の状態であって、支持部に対する本体部の回転を停止させて慣性力を発生させる状態を示す図である。
図8E図8Dの次の状態であって、後輪が走行面から持ち上がって公転し始めた状態を示す図である。
図8F図8Eの次の状態であって、公転輪が上死点に達した状態を示す図である。
図8G図8Fの次の状態であって、公転輪が上段のステップ面に接地した状態であって、ステップ面制御部による制御に切り替えるときの状態を示す図である。
図8H図8Gの状態から合成重心を前方に移動させている状態である。
図8I図8Hの次の状態であって、支持部に対する本体部の回転を停止させて慣性力を発生させる状態を示す図である。
図8J図8Iの次の状態であって、上段のステップ面の車輪が前進している状態を示す図である。
図8K図8Jの次の状態であって、上段のステップ面の車輪が階段の壁面に当接した状態を示す図であって、起立制御部による制御に切り替えるときの状態を示す図である。
図8L図8Kの次の状態であって、公転輪が次の上段のステップ面に接地した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の移動車両は、階段昇降機に適用することは上述したとおりであるが、その他に、単なる平地を走行する車両にも適用できる。つまり、本発明の移動車両は、平地、階段、悪路など種々の走行面において、2軸以上の車輪を相対的に公転させながら走行する。以下においては、移動車両として、階段昇降機を例にあげて説明する。
【0015】
(1.階段昇降機の構成)
本発明の実施形態に係る階段昇降機について、図1図5を参照して説明する。本実施形態の階段昇降機1は、物(本発明の「物体」に相当する)を搭載して運搬する装置に適用する場合を説明するが、人(本発明の「物体」に相当する)が搭乗可能な車椅子に適用することも可能である。なお、以下の説明において、「前方向」および「後方向」とは、階段昇降機1の走行方向を指し、「左方向」および「右方向」は、階段昇降機1を後方から見たときの走行方向に対し水平面上で直角な方向を指す。
【0016】
図1図3に示すように、階段昇降機1は、本体部10と、走行部20と、搭載部30等とを備えて構成される。本体部10は、フレーム部材等により直方体状に形成され、本体部10の下部には走行部20が配置され、上部には搭載部30が配置されている。走行部20は、本体部10の左右両側のそれぞれに、一対の支持部21と、一対の第一車輪22および一対の第二車輪23とを備えている。ここで、第一車輪22と第二車輪23は、進行方向前方に対して、前後逆転する場合がある。従って、以下において、前輪と称する場合は、進行方向前方に位置する車輪を意味し、後輪と称する場合には、進行方向後方に位置する車輪を意味する。
【0017】
一対の支持部21は、本体部10の左右両側に配置され、図1図3に記載の前後方向に延びるような中空略直方体状に形成される。一対の支持部21は、図2の紙面左右方向中央に位置する支持軸C21図2に示す)の回りに、本体部10を相対的に回転可能に支持する。
【0018】
第一車輪22および第二車輪23は、支持部21の両端(図2の紙面左右方向両端)に、車軸22a,23a(図2に示す)の回りに自転可能にそれぞれ支持されている。第一車輪22および第二車輪23の支持部21に対する回転方向は、支持部21に対する本体部10の回転方向と同一方向である。すなわち、第一車輪22の車軸22aおよび第二車輪23の車軸23aは、支持軸C21に平行であることを意味する。つまり、第一車輪22および第二車輪23は、本体部10に対して支持部21を支持軸C21回りに回転する場合には、支持軸C21に対して相対的に公転することになる。
【0019】
図1図3に示すように、搭載部30は、フレーム部材等によりバスケット形状に形成され、本体部10に対して搭載部軸C30図2に示す)の回りに回転可能に支持されるブラケット31と、ブラケット31の周囲を覆うように形成され、ブラケット31に固定された略球状のカバー32と、物体を搭載可能なようにカバー32の上部に固定された矩形状のトレイ33等とを備えている。
【0020】
本体部10内の左右両側には、走行部20の第一車輪22および第二車輪23と支持部21とを各車軸22a,23a回りに相対的に回転する一対の第一の回転アクチュエータ40が配置されている。第一の回転アクチュエータ40は、第一のモータ41と、第一の減速機42と、ギヤトレイン43(図4参照)等とを備えている。
【0021】
ギヤトレイン43は、図4に示すように、横並びに噛み合わされた5つのスパーギヤ43aを備え、支持部21内に回転可能に支持されている。本体部10に配置された第一のモータ41のモータ軸41aは、本体部10に配置された第一の減速機42に連結されている。第一の減速機42の出力軸42aは、支持部21の中央部分に一体的に突設された中空軸21a内に貫装されている。ギヤトレイン43の中央に配置されているスパーギヤ43aは、第一の減速機42の出力軸42aに嵌合されている。
【0022】
ギヤトレイン43の両端に配置されているスパーギヤ43aは、第一車輪22の車軸22aおよび第二車輪23の車軸23aにそれぞれ嵌合されている。支持部21の中空軸21aは、本体部10と支持部21とが相対回転可能なように、図略の軸受を介して本体部10の下部に貫装されている。
【0023】
図1図2および図4に示すように、本体部10内の左右両側には、支持部21に対して本体部10を支持軸C21回りに回転させる一対の第二の回転アクチュエータ50が配置されている。第二の回転アクチュエータ50は、第二のモータ51と、第二の減速機52と、ベルト機構53等とを備えている。ベルト機構53は、ベルト53aと、2つのプーリ53b,53cとを備えている。
【0024】
本体部10に配置された第二のモータ51のモータ軸51aは、本体部10に配置された第二の減速機52に連結されている。第二の減速機52の出力軸52aには、プーリ53bが嵌合されている。また、支持部21の中空軸21aには、プーリ53cが嵌合されている。そして、プーリ53bとプーリ53cとの間には、ベルト53aが架け渡されている。
【0025】
また、図1図3図5に示すように、本体部10内には、本体部10に対して搭載部30を搭載部軸C30回りに回転させる回転させる第三の回転アクチュエータ60が配置されている。第三の回転アクチュエータ60は、第三のモータ61と、第三の減速機62と、ブレーキ63等とを備える。第三のモータ61および第三の減速機62は、本体部10内の左右の一方側に配置され、ブレーキ63は、本体部10内の左右の他方側に配置されている。
【0026】
図1および図5に示すように、本体部10に配置された第三のモータ61のモータ軸61aは、本体部10に配置された第三の減速機62に連結され、第三の減速機62の出力軸62aは、ブラケット31の左右の一方側に装着された軸受64aに嵌合されている。ブレーキ63のブレーキ軸63aは、ブラケット31の左右の他方側に装着された軸受64bに嵌合されている。ブレーキ63は、第三のモータ61がオフになった後でもトレイ33の水平状態を維持するために設けられている。
【0027】
さらに、図1図3に示すように、本体部10内には、第一、第二、第三の回転アクチュエータ40,50,60等の作動を制御する制御装置70および第一、第二、第三の回転アクチュエータ40,50,60等に電力を供給する駆動用バッテリ80、さらに図略のサーボアンプ、リレイ等の電装品が配置固定されている。なお、階段昇降機1には、搭載部30の姿勢を直接検知することができるセンサが搭載されていない。例えば、搭載部30の絶対傾斜角度、本体部10の絶対傾斜角度、支持部21の絶対傾斜角度などを検知するセンサはない。
【0028】
また、搭載部30のカバー32とトレイ33の間には、トレイ33上に載置される物体の重量を検知する4つの重量検知センサ92が矩形状のトレイ33の四隅に配置されている。カバー32とブラケット31の間には、トレイ33の振動を抑制して物体の落下を防止するためにクッション材等でなる図略のダンパが配置されている。
【0029】
(2.制御装置の構成)
次に、制御装置70の構成について、図6を参照して説明する。図6に示すように、切替部71と、走行制御部72と、起立制御部73と、ステップ面制御部74とを備える。切替部71は、階段昇降機1の状態に応じて、走行制御部72による制御、起立制御部73による制御、および、ステップ面制御部74による制御を切り替える。切替部71の処理の詳細は、後述する。
【0030】
走行制御部72、起立制御部73およびステップ面制御部74については、ここでは簡単に説明するが、後に階段昇降機1の動作説明に合わせて詳細に説明する。
【0031】
走行制御部72は、第一車輪22および第二車輪23を走行面に接地した状態において階段昇降機1の走行を制御すると共に、支持部21が走行面に対して回転しないとして搭載部30の姿勢を制御する。起立制御部73は、前輪による起立状態において、階段昇降制御を行うと共に、前輪が位置決めされているとして搭載部30の姿勢を制御する。つまり、起立制御部73は、第一車輪22および第二車輪23の一方が、他方の車軸に対して公転輪となる状態を制御する。
【0032】
ステップ面制御部74は、第一車輪22および第二車輪23が異なるステップ面に接地している状態において上段の車輪22,23が階段の壁面まで距離を隔てている場合に、階段昇降機1を制御する。ステップ面制御部74は、上段の車輪22,23をステップ面に対して回転させつつ支持部21をステップ面に対して回転させることにより上段の車輪22,23を階段の壁面に当てるまで移動させる。さらに、ステップ面制御部74は、上段の車輪22,23から階段の壁面までの距離および第一,第二の回転アクチュエータ40,50の回転角度に基づいて搭載部30の姿勢を制御する。
【0033】
(3.切替部による処理と階段昇降機の動作)
次に、制御装置70の切替部71による処理と階段昇降機1による階段の昇降動作について、図7および図8A図8Lを参照して説明する。ここでは、階段の水平な走行ステップ面Sd(「走行面」に相当)上に位置する階段昇降機1が、制御装置70の制御により上段のステップ面Su1,Su2に昇る動作について説明する。なお、図8A図8Lでは、階段昇降機1の本体部10、走行部20および搭載部30を簡略化したスケルトンにて示している。
【0034】
まず、図8Aに示すように、階段昇降機1は、走行部20の支持部21が水平状態にあり、階段昇降機1と搭載物の合成重心Gが支持軸C21の鉛直線上に位置する走行姿勢で、図中の左側から右側に走行している。この状態では、切替部71は、制御装置70の走行制御部72による制御を選択している。
【0035】
詳細には、走行制御部72は、階段昇降機1を走行させるために、支持部21が走行面Sdに対して回転しないものとして、第一のモータ41を制御することで、第一車輪22および第二車輪23を前進方向(図8Aの時計回り)に回転させる。そうすると、第一車輪22および第二車輪23は、走行面Sdに対して前進方向に回転することになり、階段昇降機1が前進する。
【0036】
さらに、走行制御部72は、本体部10および搭載部30の姿勢を制御する。ここで、合成重心Gは、予め把握している階段昇降機1自体の重心と、搭載物の重心とを合成したものである。搭載物の重心は、重量検知センサ92の検出値から算出することができる。つまり、走行制御部72は、重量検知センサ92の検出値に基づいて合成重心Gを算出する。さらに、走行制御部72は、合成重心Gを支持軸C21の鉛直線上に位置させるように、かつ、搭載部30を水平とするように、第二,第三のモータ51,61を制御する。なお、図8Aにおいては、本体部10および搭載部30が鉛直状態となるときに、合成重心Gが支持軸C21の鉛直線上に位置するとしている。
【0037】
ここで、図7を参照して、切替部71の処理の一部について説明する。切替処理は、走行制御部72により制御中であるか否かを判定する(S1)。走行制御部72により制御中である場合には(S1:Y)、続いて、前輪が階段の壁面Sw1に当接したか否かを判定する(S2)。そして、壁面Sw1に当接していなければ(S2:N)、走行制御部による制御を継続する(S3)。つまり、図8Aの状態を継続する。一方、壁面Sw1に当接した場合には(S2:Y)、起立制御部73による制御に切り替える(S4)。
【0038】
つまり、図8Aに示す走行状態から階段昇降機1を前進させると、図8Bに示すように、第一車輪22が階段の壁面Sw1に当接する。そうすると、図7のS2,S4に示すように、切替部71は、起立制御部73に切り替える。
【0039】
ここで、第一車輪22が階段の壁面Sw1に当接したことは、例えば、第一車輪22の車軸22aに備えられている圧力センサや本体部10に備えられた赤外線等による段差検出センサ等によって検知できる。その他には、車速センサによって検知することもでき、第一のモータ41への指令値と第一のモータ41の回転角度との違いから検知することもできる。
【0040】
起立制御部73による制御について、図8C図8Gを参照して説明する。起立制御部73は、前輪である第一車輪22による起立状態において階段昇降制御を行うと共に、第一車輪22が走行面Sdと壁面Sw1とによって位置決めされて回転しないものとして、本体部10および搭載部30の姿勢を制御する。
【0041】
まずは、起立制御部73は、図8Cに示すように、第二のモータ51を制御して本体部10を前方へ傾斜させつつ、第三のモータ61を制御して搭載部30が水平を維持するようにする。つまり、第二のモータ51は、支持部21に対して本体部10を時計回りへ回転させ、第三のモータ61は、本体部10に対して搭載部30を反時計回りへ回転させる。このとき、起立制御部73は、第二,第三のモータ51,61の回転角度に基づいて、第二,第三のモータ51,61を制御する。
【0042】
続いて、図8Dに示すように、本体部10が所定の傾斜角度に達したときに、支持部21に対する本体部10の回転を停止する。ここで、図8Dでは、回転停止の瞬間において、搭載物を含む階段昇降機1全体の合成重心Gが、第一車輪22の車軸22aを通る鉛直線上に位置する。または、合成重心Gが、当該鉛直線上より進行方向後方に位置するようにしてもよい。
【0043】
このように、支持部21に対する本体部10の回転を停止することで、支持軸C21回りの慣性力F(図8Dに示す)が発生する。この慣性力Fは、支持部21に対する本体部10の回転速度を低下することによっても発生するが、停止することによって最大の慣性力となる。
【0044】
そうすると、図8Eに示すように、当該慣性力Fによって、前方に位置する第一車輪22の車軸22a回りに、支持部21を回転させる状態になる。つまり、後方に位置する第二車輪23が走行面Sdから持ち上がる状態(起立状態)に移行する。そして、第二車輪23が、第一車輪22の車軸22aを中心に公転する。
【0045】
このとき、起立制御部73は、前輪(図8Eにおいて第一車輪22)が位置決めされているとして、第一,第二,第三のモータ41,51,61を制御する。具体的には、第一のモータ41を第一車輪22に対して支持部21を時計回りに回転させる。第一のモータ41の回転角度に応じて、合成重心Gが第一車輪22の車軸22aの鉛直線上に位置するように、かつ、搭載部30を水平に維持するように、第二,第三のモータ51,61を制御する。つまり、第二のモータ51を反時計回りに回転させ、第三のモータ61を時計回りに回転させる。
【0046】
続いて、起立制御部73による制御を継続すると、図8Fに示すように、公転輪である第二車輪23が上死点に位置する状態となる。さらに続けて制御すると、図8Gに示すように、公転輪である第二車輪23が上段のステップ面Su1に接地する。ここで、公転輪である第二車輪23が上段のステップ面Su1に接地したことは、上述したように、前輪の第一車輪22が階段の壁面Sw1に当接したことを検知したときと同様の方法により検知することができる。
【0047】
ここで、図7を参照して再び、切替部71の処理の一部について説明する。切替部71は、起立制御部73による制御中には、以下のように処理する。図7に示すように、走行制御部により制御中でない場合(S1:N)およびS3,S4の処理の後には、起立制御部73により制御中であるか否かを判定する(S11)。起立制御部73により制御中である場合には(S11:Y)、図8C図8Gに示すように、公転輪が次のステップ面Su1に接地したか否かを判定する(S12)。
【0048】
公転輪が次のステップ面Su1にまだ接地していない場合には(S12:N)、起立制御部73による制御を継続する(S13)。一方、公転輪が次のステップ面Su1に接地した場合には(S12:Y)、階段を昇降途中であるか否かを判定する(S14)。昇降途中の場合には(S14:Y)、上段のステップ面Su1に接地した前輪から階段の壁面Sw2までに距離を有するか否かを判定する(S15)。距離を有しない場合(S15)、すなわち前輪が壁面Sw2に当接している場合には、起立制御部73による制御を継続する。
【0049】
前輪から壁面Sw2まで距離を有している場合には(S15:Y)、ステップ面制御部74による制御に切り替える(S16)。また、S14において階段の昇降を終了しているのであれば(S14:N)、走行制御部72による制御に切り替える(S17)。
【0050】
つまり、図8Gに示すように、第一車輪22および第二車輪23が異なるステップ面Sd,Su1に接地している状態において、上段の車輪である第二車輪23が次の階段の壁面Sw2まで距離を隔てている場合に、切替部71は、起立制御部73による制御からステップ面制御部74による制御に切り替える。
【0051】
ステップ面制御部74による制御について、図8H図8Kを参照して説明する。ステップ面制御部74は、上段の第二車輪23をステップ面Su1に対して回転させつつ支持部21をステップ面Su1に対して回転させることにより、上段の第二車輪23を階段の壁面Sw2に当てるまで移動させる。同時に、ステップ面制御部74は、上段の第二車輪23から階段の壁面Sw2までの距離、および、第一,第二,第三のモータ41,51,61の回転角度に基づいて、本体部10および搭載部30の姿勢を制御する。
【0052】
まずは、ステップ面制御部74は、図8Hに示すように、第二のモータ51を制御して本体部10を前方へ傾斜させつつ、第三のモータ61を制御して搭載部30が水平を維持するようにする。つまり、第二のモータ51は、支持部21に対して本体部10を時計回りへ回転させ、第三のモータ61は、本体部10に対して搭載部30を反時計回りへ回転させる。このとき、ステップ面制御部74は、第二,第三のモータ51,61の回転角度に基づいて、第二,第三のモータ51,61を制御する。
【0053】
続いて、図8Iに示すように、本体部10が所定の傾斜角度に達したときに、支持部21に対する本体部10の回転を停止する。ここで、図8Iでは、回転停止の瞬間において、搭載物を含む階段昇降機1全体の合成重心Gが、上段の第二車輪23の車軸23aを通る鉛直線上に位置する。または、合成重心Gが、当該鉛直線上より進行方向後方に位置するようにしてもよい。
【0054】
このように、支持部21に対する本体部10の回転を停止することで、支持軸C21回りの慣性力F(図8Iに示す)が発生する。この慣性力Fは、支持部21に対する本体部10の回転速度を低下することによっても発生するが、停止することによって最大の慣性力となる。
【0055】
ここで、上段の第二車輪23は位置決めされていない。そのため、当該慣性力Fによって、上段の第二車輪23は回転して前進しようとする。ただし、下段の第一車輪22は壁面Sw1に当接しているため前進できない。しかし、慣性力Fは、上段に位置する第二車輪23の車軸23a回りに、支持部21を回転させる力としても作用する。つまり、下段に位置する第一車輪22が走行面Sdから持ち上がる状態に移行する。そうすると、図8Jに示すように、上段の第二車輪23は回転しながら前進すると共に、下段の第一車輪22は壁面Sw1に沿って上昇する。
【0056】
さらに続けると、図8Kに示すように、前輪である第二車輪23が階段の壁面Sw2に当接する。ここで、図8Hに示す状態から図8Kに示す状態までの間、上段に位置する第二車輪23が前進し、かつ、支持部21はステップ面Su1に対して回転している。そのため、上段に位置する第二車輪23と支持部21とが、ステップ面Su1に対してどのような状態であるかを把握することは容易ではない。
【0057】
そこで、図8Hに示す状態において、階段昇降機1は、上段の第二車輪23から壁面Sw2までの距離を把握することとする。例えば、距離センサを用いて、当該距離を計測してもよいし、予め階段の奥行き寸法を記憶しておくことにより当該距離を算出してもよい。階段昇降機1を規定の階段の昇降のみに用いる場合には、後者のようにすることが可能である。
【0058】
そして、当該距離に加えて、第一,第二、第三のモータ41,51,61の回転角度を把握することで、本体部10および搭載部30がどのような姿勢であるかを予測することができる。そこで、ステップ面制御部74は、当該距離と、各モータ41,51,61の回転角度に基づいて、本体部10および搭載部30の姿勢を制御する。
【0059】
そして、図8Kの状態の後には、起立制御部73による制御によって、図8Lに示す状態となる。つまり、第一車輪22が上段のステップ面Su2に接地する。さらに続けて、階段の上昇動作を終了する。
【0060】
ここで、図7を参照して再び、切替部71の処理の一部について説明する。切替部71は、ステップ面制御部74による制御中には、以下のように処理する。図7に示すように、S11において、起立制御部73による制御中でない場合(S11:N)およびS13,S16,S17の処理の後には、ステップ面制御部74による制御中であるか否かを判定する(S21)。ステップ面制御部74による制御中である場合には(S21:Y)、図8Kに示すように、前輪である上段の第二車輪23が壁面Sw2に当接したか否かを判定する(S22)。
【0061】
前輪である上段の第二車輪23が壁面Sw2にまだ当接していない場合には(S22:N)、ステップ面制御部74による制御を継続する(S23)。一方、前輪である上段の第二車輪23が壁面Sw2にまだ当接した場合には(S22:Y)、ステップ面制御部74による制御から起立制御部73による制御に切り替える(S24)。
【0062】
以上より、ジャイロセンサなどを用いて本体部10および搭載部30の絶対傾斜角度を検知しないとしても、起立制御部73による制御およびステップ面制御部74による制御において、本体部10および搭載部30の姿勢を制御できる。従って、センサ数を少なくすることができるため、低コスト化を図ることができる。
【0063】
さらに、図8Bに示す両車輪接地状態から起立状態へ移行する際に、支持部21に対する本体部10の回転を停止(回転速度の低下を含む)により発生する支持軸C21回りの慣性力Fを利用している。この慣性力Fによって、進行方向後方の第二車輪23を持ち上げている。そして、慣性力Fを用いることで、階段昇降機1全体の合成重心Gの移動量を少なくしたとしても、進行方向後方の第二車輪23を持ち上げる力を十分に発揮できる。その結果、階段昇降の際に本体部10の回転による階段のステップ面Sd,Su1に対する傾斜角度を小さく抑えることができる。
【0064】
特に、支持部21に対する本体部10の回転を停止させることにより発生する慣性力Fを利用することで、大きな慣性力を得ることができる。従って、階段昇降機1全体の合成重心Gの移動量をより少なくできる。
さらに、慣性力Fを発生させる際に、搭載物を含む階段昇降機1全体の合成重心Gが、進行方向前方の第一車輪22の車軸22aを通る鉛直線上、または、鉛直線上より進行方向後方に位置することで、起立状態を安定した状態とすることができる。
【0065】
上記実施形態においては、ジャイロセンサなどの傾斜角度センサを用いないで姿勢制御を行った。ただし、傾斜角度センサを用いる階段昇降機においても、両輪接地状態から起立状態に移行する際に、慣性力Fを用いて後輪をステップ面から持ち上げることを適用できる。
【0066】
上記実施形態において、階段昇降機1は、第一車輪22および第二車輪23である2軸の車輪を備える。この他に、階段昇降機1は、相対的に公転可能な3軸以上の車輪を備える構成とすることもできる。この場合、上述した両車輪接地状態とは、3軸以上の車輪のうち2軸の車輪が走行面に接地している状態を意味し、起立状態とは、3軸以上の車輪のうち1軸の車輪による起立状態を意味する。
【0067】
3軸以上の車輪を備える階段昇降機においても、上記と実質的に同様に、2軸車輪接地状態から起立状態へ移行し、続いて起立状態から2軸車輪接地状態へ移行することにより、3軸以上の車輪が階段のステップ面に順次接地することで、階段を昇降する。なお、3軸以上の車輪を有する構成について、階段昇降機以外の移動車両に適用できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0068】
1:階段昇降機(移動車両)、 10:本体部、 21:支持部、 22:第一車輪、 23:第二車輪、 22a,23a:車軸、 30:搭載部、 40,50,60:回転アクチュエータ、 70:制御装置、 71:切替部、 72:走行制御部、 73:起立制御部、 74:ステップ面制御部、 C21:支持軸、 C30:搭載部軸、 F:慣性力、 G:合成重心

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図8G
図8H
図8I
図8J
図8K
図8L