特許第6051814号(P6051814)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6051814
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】高周波装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20161219BHJP
   H01L 23/02 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   H01L23/12 301Z
   H01L23/02 H
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-258889(P2012-258889)
(22)【出願日】2012年11月27日
(65)【公開番号】特開2014-107398(P2014-107398A)
(43)【公開日】2014年6月9日
【審査請求日】2015年9月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148057
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 淑己
(72)【発明者】
【氏名】三輪 真一
(72)【発明者】
【氏名】今井 翔平
(72)【発明者】
【氏名】服部 公春
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 貴章
【審査官】 秋山 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−195049(JP,A)
【文献】 特開2012−038875(JP,A)
【文献】 実開昭59−003557(JP,U)
【文献】 特開2001−144510(JP,A)
【文献】 特開平03−080601(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/12
H01L 23/02
H01L 23/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主面を有するベース板と、
前記ベース板の一側面に沿うように、前記主面に形成された誘電体と、
前記誘電体の上に、前記一側面側から前記主面の中央部へ伸びるように形成された信号ラインと、
前記誘電体の上の前記信号ラインの隣に、前記一側面側から前記中央部へ伸び、かつ前記信号ラインに接しないように金属で形成された島パターンと、
前記主面と接する接触部と、前記信号ラインの一部及び前記島パターンの一部に形成された追加誘電体を介して前記信号ライン及び前記島パターンの上に形成された橋状部とを有し、前記接触部と前記橋状部が全体として前記中央部を囲む金属フレームと、
前記信号ラインのうち前記金属フレームの外側に位置する部分である外側信号ラインと接続されたリードフレームと、
前記中央部に固定された半導体チップと、
前記半導体チップと、前記信号ラインのうち前記金属フレームに囲まれた部分である内側信号ラインとを接続する第1ワイヤと、を備え
前記リードフレームは、前記外側信号ラインと、前記島パターンのうち前記金属フレームの外側に位置する部分である外側島パターンとに接続されたことを特徴とする高周波装置。
【請求項2】
前記島パターンは複数の島パターンを有し、
前記信号ラインと、少なくとも前記複数の島パターンのいずれか1つとを接続するワイヤを有することを特徴とする請求項1に記載の高周波装置。
【請求項3】
前記内側信号ラインと、前記島パターンのうち前記金属フレームに囲まれた部分である内側島パターンとを接続する第2ワイヤを備えたことを特徴とする請求項1に記載の高周波装置。
【請求項4】
主面を有するベース板と、
前記ベース板の一側面に沿うように前記主面に形成された第1誘電体と、前記第1誘電体の前記主面の中央部側に接し前記第1誘電体と異なる厚さの第2誘電体とを有する誘電体と、
前記第1誘電体と前記第2誘電体の上に一体的に形成された信号ラインと、
前記主面と接する接触部と、前記信号ラインの一部に形成された追加誘電体を介して前記信号ラインの上に形成された橋状部とを有し、前記接触部と前記橋状部が全体として前記中央部を囲む金属フレームと、
前記信号ラインのうち前記金属フレームの外側の部分と接続されたリードフレームと、
前記中央部に固定された半導体チップと、
前記半導体チップと、前記信号ラインのうち前記金属フレームに囲まれ前記第1誘電体上に形成された部分、又は前記信号ラインのうち前記第2誘電体上の部分とを接続するワイヤと、を備えたことを特徴とする高周波装置。
【請求項5】
主面を有するベース板と、
前記ベース板の一側面に沿うように前記主面に形成された下層誘電体と、
前記下層誘電体の上に形成された中間金属と、
前記中間金属の上に、前記中間金属の表面の一部を外部に露出させるように形成された、前記下層誘電体と異なる厚さの上層誘電体と、
前記上層誘電体の上に形成された信号ラインと、
前記主面と接する接触部と、前記信号ラインの一部に形成された追加誘電体を介して前記信号ラインの上に形成された橋状部とを有し、前記接触部と前記橋状部が全体として前記主面の中央部を囲む金属フレームと、
前記信号ラインのうち前記金属フレームの外側の部分と接続されたリードフレームと、
前記中央部に固定された半導体チップと、
前記半導体チップと、前記信号ラインのうち前記金属フレームに囲まれた部分とを接続する第1ワイヤと、
前記信号ラインと前記中間金属、又は前記中間金属と前記ベース板を接続する追加ワイヤと、を備えたことを特徴とする高周波装置。
【請求項6】
主面を有するベース板と、
前記ベース板の一側面に沿うように、前記主面に形成された誘電体と、
前記誘電体の上に、前記一側面側から前記主面の中央部へ伸びるように形成され、前記中央部側では櫛歯状に形成された櫛歯部を有する信号ラインと、
前記誘電体の上の、前記櫛歯部の櫛歯の間に、前記信号ラインと接せずかつ前記ベース板と電気的に接続された追加金属部と、
前記主面と接する接触部と、前記信号ラインのうち前記櫛歯部より前記一側面側の部分に形成された追加誘電体を介して前記信号ラインの上に形成された橋状部とを有し、前記接触部と前記橋状部が全体として前記中央部を囲む金属フレームと、
前記信号ラインのうち前記金属フレームの外側に位置する部分と接続されたリードフレームと、
前記ベース板に電気的に接続されたグランドパッドを有する、前記中央部に固定された半導体チップと、
前記半導体チップと前記櫛歯部を接続する第1ワイヤと、を備えたことを特徴とする高周波装置。
【請求項7】
前記追加金属部と前記グランドパッドを接続するグランドワイヤを備えたことを特徴とする請求項に記載の高周波装置。
【請求項8】
前記追加金属部には前記誘電体を貫通する第1貫通孔が形成され、前記第1貫通孔により露出した前記ベース板と前記追加金属部が電気的に接続され、
前記グランドパッドには前記半導体チップを貫通する第2貫通孔が形成され、前記第2貫通孔を介して前記ベース板と前記グランドパッドが電気的に接続されたことを特徴とする請求項6又は7に記載の高周波装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば衛星通信、地上マイクロ波通信、又は移動体通信等に用いられる高周波信号を制御する高周波装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、フィードスルー部を備えるマイクロ波集積回路装置が開示されている。このマイクロ波集積回路装置のフィードスルー部の特性インピーダンスは50Ωとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−288701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、基地局の送信部に用いる電力増幅器を有する高周波装置は、整合回路基板の数を削減するために電力増幅用のFETチップのみを実装したディスクリート構成、又はFETチップとプリマッチ基板のみを実装したパーシャルマッチ構成を採用することがある。この場合フィードスルー部のインピーダンスを所望値(例えば50Ω)とすることが望ましい。そこで、使用する半導体チップや整合回路に合わせて、インピーダンス整合できるように、高周波装置の外形、及びフィードスルー部を設計する。
【0005】
高周波装置の外形及びフィードスルー部を設計及び試作した後には、フィードスルー部のインピーダンスは容易に変更できない。そのため、半導体チップや整合回路の構成を変更した場合に最適な整合条件を実現することが困難になり、高周波装置の性能が低下する問題があった。
【0006】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、高周波装置のフィードスルー部にインピーダンスの調整機能を付加することで、容易にインピーダンス整合ができる高周波装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の発明に係る高周波装置は、主面を有するベース板と、該ベース板の一側面に沿うように、該主面に形成された誘電体と、該誘電体の上に、該一側面側から該主面の中央部へ伸びるように形成された信号ラインと、該誘電体の上の該信号ラインの隣に、該一側面側から該中央部へ伸び、かつ該信号ラインに接しないように金属で形成された島パターンと、該主面と接する接触部と、該信号ラインの一部及び該島パターンの一部に形成された追加誘電体を介して該信号ライン及び該島パターンの上に形成された橋状部とを有し、該接触部と該橋状部が全体として該中央部を囲む金属フレームと、該信号ラインのうち該金属フレームの外側に位置する部分である外側信号ラインと接続されたリードフレームと、該中央部に固定された半導体チップと、該半導体チップと、該信号ラインのうち該金属フレームに囲まれた部分である内側信号ラインとを接続する第1ワイヤと、を備え、該リードフレームは、該外側信号ラインと、該島パターンのうち該金属フレームの外側に位置する部分である外側島パターンとに接続されたことを特徴とする。
【0008】
本願の発明に係る他の高周波装置は、主面を有するベース板と、該ベース板の一側面に沿うように該主面に形成された第1誘電体と、該第1誘電体の該主面の中央部側に接し該第1誘電体と異なる厚さの第2誘電体とを有する誘電体と、該第1誘電体と該第2誘電体の上に一体的に形成された信号ラインと、該主面と接する接触部と、該信号ラインの一部に形成された追加誘電体を介して該信号ラインの上に形成された橋状部とを有し、該接触部と該橋状部が全体として該中央部を囲む金属フレームと、該信号ラインのうち該金属フレームの外側の部分と接続されたリードフレームと、該中央部に固定された半導体チップと、該半導体チップと、該信号ラインのうち該金属フレームに囲まれ該第1誘電体上に形成された部分、又は該信号ラインのうち該第2誘電体上の部分とを接続するワイヤと、を備えたことを特徴とする。
【0009】
本願の発明に係る他の高周波装置は、主面を有するベース板と、該ベース板の一側面に
沿うように該主面に形成された下層誘電体と、該下層誘電体の上に形成された中間金属と、該中間金属の上に、該中間金属の表面の一部を外部に露出させるように形成された、該下層誘電体と異なる厚さの上層誘電体と、該上層誘電体の上に形成された信号ラインと、該主面と接する接触部と、該信号ラインの一部に形成された追加誘電体を介して該信号ラインの上に形成された橋状部とを有し、該接触部と該橋状部が全体として該主面の中央部を囲む金属フレームと、該信号ラインのうち該金属フレームの外側の部分と接続されたリードフレームと、該中央部に固定された半導体チップと、該半導体チップと、該信号ラインのうち該金属フレームに囲まれた部分とを接続する第1ワイヤと、該信号ラインと該中間金属、又は該中間金属と該ベース板を接続する追加ワイヤと、を備えたことを特徴とする。
【0010】
本願の発明に係る他の高周波装置は、主面を有するベース板と、該ベース板の一側面に沿うように、該主面に形成された誘電体と、該誘電体の上に、該一側面側から該主面の中央部へ伸びるように形成され、該中央部側では櫛歯状に形成された櫛歯部を有する信号ラインと、該誘電体の上の、該櫛歯部の櫛歯の間に、該信号ラインと接せずかつ該ベース板と電気的に接続された追加金属部と、該主面と接する接触部と、該信号ラインのうち該櫛歯部より該一側面側の部分に形成された追加誘電体を介して該信号ラインの上に形成された橋状部とを有し、該接触部と該橋状部が全体として該中央部を囲む金属フレームと、該信号ラインのうち該金属フレームの外側に位置する部分と接続されたリードフレームと、該ベース板に電気的に接続されたグランドパッドを有する、該中央部に固定された半導体チップと、該半導体チップと該櫛歯部を接続する第1ワイヤと、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、高周波装置のフィードスルー部にインピーダンスの調整機能を付加することで、容易にインピーダンス整合ができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態1に係る高周波装置の平面図である。
図2図1の破線に沿った断面図である。
図3図1の一点鎖線に沿った断面図である。
図4図1の二点鎖線に沿った断面図である。
図5】信号ラインに隣接する島パターンにのみワイヤ接続を施した高周波装置を示す平面図である。
図6】信号ラインと島パターンとを接続しない高周波装置を示す平面図である。
図7】島パターンと信号ラインの接続有無によりフィードスルー部のインピーダンスがどのように変化するかを示すグラフである。
図8】本発明の実施の形態2に係る高周波装置の平面図である。
図9】本発明の実施の形態3に係る高周波装置の断面図である。
図10】半導体チップと、信号ラインのうち第2誘電体の上の部分とをワイヤ接続したことを示す断面図である。
図11】本発明の実施の形態4に係る高周波装置の断面図である。
図12】追加ワイヤで中間金属とベース板を接続したことを示す断面図である。
図13】本発明の実施の形態5に係る高周波装置の平面図である。
図14図13の破線部における断面図である。
図15】グランドワイヤの有無によりフィードスルー部のインピーダンスがどのように変化するかを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態に係る高周波装置について図面を参照して説明する。同じ又は対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。
【0014】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る高周波装置の平面図である。この高周波装置は主面10aを有するベース板10を備えている。ベース板10はグランド電位になっている。主面10aにはベース板10の一側面に沿うように誘電体12が形成されている。誘電体12の上には、高周波信号を伝送する信号ライン14が形成されている。信号ライン14は、ベース板10の一側面側から主面10aの中央部へ伸びるように形成されている。
【0015】
誘電体12の上の信号ライン14の隣に島パターン16が形成されている。島パターン16の隣に島パターン17が形成されている。島パターン17は島パターン16よりも信号ライン14から離れた場所に形成されている。島パターン16、17は、信号ライン14に接しないようにベース板10の一側面側から主面10aの中央部へ伸びる金属で形成されたパターンである。図1に示されるように、島パターン16、17は信号ライン14の下方に形成されている。信号ライン14の上方には島パターン18、19が形成されている。
【0016】
主面10aの中央部を囲むように金属フレーム30が形成されている。金属フレーム30は、主面10aと接する接触部30aと、信号ライン14及び島パターン16、17、18、19の上方に形成された橋状部30bとを有している。そして、接触部30aと橋状部30bが全体として主面10aの中央部を囲んでいる。主面10aの中央部には半導体チップ32が固定されている。半導体チップ32は、高周波信号を増幅するFETチップで形成されている。
【0017】
信号ライン14のうち金属フレーム30に囲まれた部分を内側信号ライン14aという。信号ライン14のうち金属フレーム30の外側に位置する部分を外側信号ライン14bという。島パターン16、17のうち金属フレーム30に囲まれた部分を内側島パターン16a、17aという。島パターン16、17のうち金属フレーム30の外側に位置する部分を外側島パターン16b、17bという。島パターン18、19についても、島パターン16、17と同様である。
【0018】
図2は、図1の破線に沿った断面図である。信号ライン14の一部には追加誘電体34が形成されている。橋状部30bは、追加誘電体34を介して信号ライン14の上に形成されている。図3は、図1の一点鎖線に沿った断面図である。島パターン16の一部には前述した追加誘電体34の一部が形成されている。橋状部30bは、追加誘電体34を介して島パターン16の上に形成されている。
【0019】
このように、橋状部30bは追加誘電体34の上に形成されている。そして、橋状部30bは、信号ライン14の一部及び島パターン16、17、18、19の一部に形成された追加誘電体34を介して信号ライン14及び島パターン16、17、18、19の上に形成されている。図4は、図1の二点鎖線に沿った断面図である。ベース板10の上に接触部30aが形成されている。
【0020】
図1の説明に戻る。半導体チップ32と内側信号ライン14aは第1ワイヤ40で接続されている。外側信号ライン14bにはリードフレーム42が接続されている。リードフレーム42は、外部コンポーネントと接続される部分である。
【0021】
内側信号ライン14aと内側島パターン16aは第2ワイヤ44aで接続されている。内側島パターン16aと内側島パターン17aは第2ワイヤ44bで接続されている。外側信号ライン14bと外側島パターン16bは第3ワイヤ46aで接続されている。外側島パターン16bと外側島パターン17bは第3ワイヤ46bで接続されている。図1から明らかなように、島パターン18、19についても、島パターン16、17と同様にワイヤ接続される。
【0022】
このように、ベース板10の左側にはフィードスルー部50が形成されている。フィードスルー部50と同様の構成を有するフィードスルー部52が、ベース板10の右側に形成されている。フィードスルー部52は、リードフレーム54と信号ライン56を有している。また、信号ライン56と半導体チップ32は第1ワイヤ58で接続されている。
【0023】
ここで、本発明の実施の形態1に係る高周波装置の動作について簡単に説明する。リードフレーム54から供給された高周波信号は信号ライン56及び第1ワイヤ58を経由して半導体チップ32へ供給される。半導体チップ32で増幅された高周波信号は第1ワイヤ40及び信号ライン14を経由してリードフレーム42に供給される。
【0024】
本発明の実施の形態1に係る高周波装置によれば実質的な信号ラインの幅を調整することで、フィードスルー部のインピーダンスを調整できる。実質的な信号ラインの幅は、第2ワイヤと第3ワイヤの有無により調整する。図1は全ての島パターン16、17、18、19にワイヤを接続して、信号ライン14、56の幅を実質的に最大にした高周波装置を示している。
【0025】
図5は、信号ライン14、56に隣接する島パターンにのみワイヤ接続を施した高周波装置を示す平面図である。この場合、フィードスルー部50の島パターン17、19、及びフィードスルー部52の対応部分は高周波信号の伝送に寄与しない。よって、図1の場合よりも実質的な信号ラインの幅を狭くできる。図6は、信号ライン14、56と島パターンとを接続しない高周波装置を示す平面図である。この場合、図1及び図5の場合よりも実質的な信号ラインの幅を狭くできる。
【0026】
図7は、島パターンと信号ラインの接続有無によりフィードスルー部のインピーダンスがどのように変化するかを示すグラフである。図7のデータは、図1、5、6に示す高周波装置のそれぞれについて、フィードスルー部の電磁界解析(シミュレーション)を行うことで得られたものである。図7における逆三角形のマーカは、高周波装置の動作周波数を2.6GHzとしたときのインピーダンスを示す。図7から分かるように、信号ラインと接続する島パターンの数を変えることで、フィードスルー部のインピーダンスを変化させることができる。
【0027】
このように、本発明の実施の形態1に係る高周波装置によれば、島パターンと信号ラインとの接続有無により、高周波装置のフィードスルー部のインピーダンスを調整できる。従って、例えば高周波装置の外形を決定した後に搭載する半導体チップを変更した場合に、当該外形を変えずに変更後の半導体チップに最適な整合条件を実現することができる。つまり、容易に半導体チップのインピーダンス整合ができる。
【0028】
容易にインピーダンス整合ができると、設計自由度を向上させることができる。また、フィードスルー部のインピーダンスを調整することで、様々なインピーダンスの半導体チップ及び外部コンポーネントに対応できるので、高周波装置の汎用性を高めることができる。
【0029】
本発明の実施の形態1では信号パターンの左右に2個ずつ島パターンを形成したが、島パターンの数は特に限定されない。例えば、最もシンプルな構成として、信号ラインに隣接する島パターンを1つだけ設けてもよい。しかし、フィードスルー部のインピーダンスの多段調整を可能とするために、複数の島パターンを有していることが望ましい。このように、島パターンの数は、市場の要求などにより適宜変更すればよい。
【0030】
信号ラインと島パターンのワイヤ接続、及び島パターン同士のワイヤ接続に用いるワイヤの本数は特に限定されない。また、ワイヤ接続は、例えばキャピラリを用いたワイヤボンディングによりなしえるが特にこれに限定されない。信号ラインと島パターンをワイヤ接続する場合は、信号ラインと少なくとも複数の島パターンのいずれか1つとを接続すれば足りる。従って、本発明は図1に示すワイヤの本数や接続方法に限定されない。
【0031】
半導体チップ32はFETチップに限定されず整合回路基板で形成しても良い。なお、これらの変形は、以後の実施の形態に係る高周波装置についても応用できる。
【0032】
実施の形態2.
本発明の実施の形態2に係る高周波装置は、実施の形態1との共通点が多いので実施の形態1との相違点を中心に説明する。図8は、本発明の実施の形態2に係る高周波装置の平面図である。
【0033】
リードフレーム200は、外側信号ライン14bと、島パターン16、18のうち金属フレーム30の外側の部分(外側島パターン)とに接続されている。フィードスルー部202と反対側のフィードスルー部206においても同様にリードフレーム204が形成されている。
【0034】
例えば図1に示す高周波装置の場合、金属フレーム30の外側のワイヤは外部に露出するので当該ワイヤが外れるおそれがある。しかしながら、金属フレーム30の外側でも実質的な信号ラインの幅を調整可能とすることが好ましい。そこで、本発明の実施の形態2に係る高周波装置では、リードフレーム200、206の幅を調整することで実質的な信号ライン14、56の幅を調整可能とした。従って、ワイヤを外部に露出させることなく、実質的な信号ラインの幅を調整できる。なお、信号ラインと島パターン16、17、18、19の外側島パターンとを接続するように、図8のリードフレームよりも幅の広いリードフレームを用いてもよい。
【0035】
実施の形態3.
本発明の実施の形態3に係る高周波装置は、実施の形態1との共通点が多いので実施の形態1との相違点を中心に説明する。本発明の実施の形態3に係る高周波装置は、島パターンを用いた実施の形態1の高周波装置とは異なる方法で、フィードスルー部のインピーダンスを調整可能とするものである。
【0036】
図9は、本発明の実施の形態3に係る高周波装置の断面図である。誘電体300は厚さの異なる第1誘電体300aと第2誘電体300bを有している。第1誘電体300aはベース板10の一側面に沿うように主面10aに形成されている。第2誘電体300bは、第1誘電体300aの主面10aの中央部側に接している。第2誘電体300bは第1誘電体300aより厚さが薄くなっている。なお、第1誘電体300aの厚さと第2誘電体300bの厚さは異なっていればこれに限定されない。
【0037】
信号ライン302は、第1誘電体300aと第2誘電体300bの上に一体的に形成されている。つまり、信号ライン302は、第1誘電体300aの上に形成された部分302aと、第2誘電体300bの上に形成された部分302bを有している。
【0038】
金属フレーム30の橋状部30bは、信号ライン302の一部(部分302a)に形成された追加誘電体34を介して信号ライン302の上に形成されている。リードフレーム42は、信号ライン302のうち金属フレーム30の外側の部分と接続されている。半導体チップ32と、信号ライン302のうち第1誘電体300a上に形成された部分302aとがワイヤ304により接続されている。なお、ベース板10の右側のフィードスルー部は、上述したベース板10の左側のフィードスルー部と同様の構成となっている。
【0039】
本発明の実施の形態3に係る高周波装置は、誘電体300を階段状に形成したことを特徴とする。図9に示すようにワイヤ304を第1誘電体300aの上の部分302aに固定すると、フィードスルー部のインピーダンスに寄与する誘電体の厚みはy1+y2となる。
【0040】
図10は、半導体チップ32と信号ライン302のうち第2誘電体300bの上の部分302bとをワイヤ接続したことを示す断面図である。半導体チップ32と部分302bはワイヤ306で接続されている。この場合、フィードスルー部のインピーダンスに寄与する誘電体の厚みはy1となる。
【0041】
本発明の実施の形態3に係る高周波装置によれば、図9のワイヤ304を用いるか図10のワイヤ306を用いるかを選択することで、フィードスルー部のインピーダンスに寄与する誘電体の厚みを調整できる。よって、ワイヤを打つ場所を変えるだけで容易にフィードスルー部のインピーダンスを調整できる。しかも、部分302aにワイヤ304を固定する場合と部分302bにワイヤ306を固定する場合とでは、ワイヤの長さが異なる。このワイヤの長さの違いは、フィードスルー部のインピーダンスの相違を生じさせる。
【0042】
実施の形態4.
本発明の実施の形態4に係る高周波装置は、実施の形態1との共通点が多いので実施の形態1との相違点を中心に説明する。図11は、本発明の実施の形態4に係る高周波装置の断面図である。本発明の実施の形態4に係る高周波装置は、実施の形態3とは異なる方法で誘電体の厚さを調整することでフィードスルー部のインピーダンスを調整可能とするものである。
【0043】
主面10aには下層誘電体400aが形成されている。下層誘電体400aは、ベース板10の一側面に沿うように形成されている。下層誘電体400aの上には中間金属402が形成されている。中間金属402の上には中間金属402の表面の一部を外部に露出させるように上層誘電体400bが形成されている。上層誘電体400bは下層誘電体400aよりも薄く形成されている。なお、上層誘電体400bは下層誘電体400aと異なる厚さであればこれに限定されない。
【0044】
上層誘電体400bの上には信号ライン14が形成されている。下層誘電体400aと上層誘電体400bにより誘電体400が形成されている。信号ライン14と中間金属402は追加ワイヤ410によって接続されている。追加ワイヤ410は、金属フレーム30の外側と内側の両方に形成されている。
【0045】
本発明の実施の形態4に係る高周波装置は、上層誘電体400bと下層誘電体400aの間に中間金属402を形成したことを特徴とする。図11に示すように追加ワイヤ410で信号ライン14と中間金属402を接続することにより、信号ライン14と中間金属402は等電位となる。従って、フィードスルー部のインピーダンスに寄与する誘電体の厚みは下層誘電体400aの厚みy3となる。
【0046】
他方、追加ワイヤで中間金属402とベース板10を接続すると、中間金属402はベース板のグランド電位となる。図12は、追加ワイヤ412で中間金属402とベース板10を接続したことを示す断面図である。このとき、フィードスルー部のインピーダンスに寄与する誘電体の厚みは上層誘電体400bの厚みy4となる。
【0047】
本発明の実施の形態4に係る高周波装置によれば、図11の追加ワイヤ410を用いるか図12の追加ワイヤ412を用いるかを選択することで、フィードスルー部のインピーダンスに寄与する誘電体の厚みを調整できる。つまり、追加ワイヤで信号ライン14と中間金属402又は中間金属402とベース板10を接続することでフィードスルー部のインピーダンスの調整が可能となる。
【0048】
実施の形態5.
本発明の実施の形態5に係る高周波装置は、実施の形態1との共通点が多いので実施の形態1との相違点を中心に説明する。図13は、本発明の実施の形態5に係る高周波装置の平面図である。
【0049】
誘電体12の上にはベース板10の一側面側から主面10aの中央部へ伸びるように信号ライン500が形成されている。信号ライン500は中央部側では櫛歯状に形成された櫛歯部500aを有している。櫛歯部500aの櫛歯の間には信号ライン500(櫛歯部500a)と接しないように追加金属部502が形成されている。追加金属部502には誘電体12を貫通する第1貫通孔502aが形成されている。第1貫通孔502aにより露出した誘電体12の側面はめっきで覆われている。このめっきを介して第1貫通孔502aより露出したベース板10と追加金属部502が電気的に接続されている。
【0050】
半導体チップ32には、ベース板10に接続されたグランドパッド32aが形成されている。グランドパッド32aには半導体チップ32を貫通する第2貫通孔32bが形成されている。第2貫通孔32bにより露出した半導体チップ32の側面はめっきで覆われている。このめっきを介してベース板10とグランドパッド32aが電気的に接続されている。
【0051】
半導体チップ32は、高周波信号を伝送する信号パッド32cを備えている。半導体チップ32の信号パッド32cと信号ライン500の櫛歯部500aは第1ワイヤ40によって接続されている。追加金属部502とグランドパッド32aはグランドワイヤ504によって接続されている。グランドワイヤ504の固定には例えばはんだを用いる。高周波装置の左側のフィードスルー部506と右側のフィードスルー部508は同じ構成を有している。
【0052】
図14は、図13の破線部における断面図である。橋状部30bは、信号ライン500のうち櫛歯部より基板の一側面側の部分に形成された追加誘電体34を介して信号ライン500の上に形成されている。追加金属部502とベース板10はめっき502bで接続されている。グランドパッド32aとベース板10はめっき32dで接続されている。
【0053】
本発明の実施の形態5に係る高周波装置は、グランドワイヤ504の有無によって、第1ワイヤ40及び信号ライン500のベース板10(グランド)に対する距離を調整することができる。つまり、グランドワイヤ504がある場合は第1ワイヤ40及び信号ライン500のベース板10(グランド)に対する距離が短くなり、グランドワイヤがない場合は第1ワイヤ40及び信号ライン500のベース板10(グランド)に対する距離が長くなる。
【0054】
従って、グランドワイヤの有無によりフィードスルー部506のインピーダンスを変化させることができる。本発明の実施の形態5に係る高周波装置では1つのフィードスルー部506に4つの追加金属部502を形成したので、グランドワイヤ504を0〜4本の範囲で変えることで、5通りのインピーダンスを実現できる。
【0055】
図15は、グランドワイヤの有無によりフィードスルー部のインピーダンスがどのように変化するかを示すグラフである。図15のデータは、図13の高周波装置と図13の高周波装置からグランドワイヤを除去した高周波装置のそれぞれについて、フィードスルー部の電磁界解析(シミュレーション)を行うことで得られたものである。
図15における逆三角形のマーカは、高周波装置の動作周波数を2.6GHzとしたときのインピーダンスを示す。図15から分かるように、グランドワイヤの有無によりフィードスルー部のインピーダンスを変化させることができる。なお、この実施の形態におけるフィードスルー部は第1ワイヤ40を含む。
【0056】
追加金属部502とグランドパッド32aをグランド電位にできる限り、第1貫通孔502a、第2貫通孔32bは必須ではない。例えば誘電体と半導体チップにベース板に至るビアを形成することで追加金属部とグランドパッドをグランド電位としてもよい。なお、ここまでに説明した各実施の形態に係る高周波装置の特徴は適宜に組み合わせて用いてもよい。
【符号の説明】
【0057】
10 ベース板、 10a 主面、 12 誘電体、 14,56 信号ライン、 14a 内側信号ライン、 14b 外側信号ライン、 16,17,18,19 島パターン、 16a,17a 内側島パターン、 16b,17b 外側島パターン、 30 金属フレーム、 30a 接触部、 30b 橋状部、 32 半導体チップ、 32a グランドパッド、 32b 第2貫通孔、 32c 信号パッド、 34 追加誘電体、 40,58 第1ワイヤ、 42,54 リードフレーム、 44a,44b 第2ワイヤ、 46a,46b 第3ワイヤ、 50,52,202,206,506,508 フィードスルー部、 200,204 リードフレーム、 300 誘電体、 300a 第1誘電体、 300b 第2誘電体、 302 信号ライン、 304,306 ワイヤ、 400 誘電体、 400a 下層誘電体、 400b 上層誘電体、 402 中間金属、 410,412 追加ワイヤ、 500 信号ライン、 500a 櫛歯部、 502 追加金属部、 502a 第1貫通孔、 504 グランドワイヤ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15