特許第6051837号(P6051837)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6051837
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】ディーゼルエンジンの排気後処理装置
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/20 20060101AFI20161219BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20161219BHJP
   F01N 3/28 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   F01N3/20 B
   F01N3/08 A
   F01N3/08 G
   F01N3/28 301E
【請求項の数】7
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2012-276023(P2012-276023)
(22)【出願日】2012年12月18日
(65)【公開番号】特開2014-118915(P2014-118915A)
(43)【公開日】2014年6月30日
【審査請求日】2015年10月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075513
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 政喜
(74)【代理人】
【識別番号】100120260
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120178
【弁理士】
【氏名又は名称】三田 康成
(74)【代理人】
【識別番号】100130638
【弁理士】
【氏名又は名称】野末 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】中野 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】西澤 透
(72)【発明者】
【氏名】石橋 康隆
【審査官】 石川 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−003882(JP,A)
【文献】 特開2004−324560(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/08−3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素雰囲気で排気中のNOxをトラップし、還元雰囲気ではトラップしていたNOxを脱離し、排気中のHCを還元剤として用いて還元・浄化するNOxトラップ触媒と、
前記NOxトラップ触媒上流の排気の空気過剰率である第1空気過剰率を検出する第1空気過剰率検出手段と、
前記NOxトラップ触媒下流の排気の空気過剰率である第2空気過剰率を検出する第2空気過剰率検出手段と、
前記NOxトラップ触媒の再生時期になったとき、初期処理中の排気の空気過剰率をリッチ側の第1基本空気過剰率にする初期処理手段と、
前記排気の空気過剰率を前記第1基本空気過剰率にした後に後期処理中の排気の空気過剰率を1.0近傍の第2基本空気過剰率にする後期処理手段と、
前記排気の空気過剰率を前記第1基本空気過剰率にしている間に前記第2空気過剰率検出手段により検出される第2空気過剰率がリーン側より1.0近傍を横切るときの第2空気過剰率の変化速度によって、前記NOxトラップ触媒の残存酸素量を予測する残存酸素量予測手段と、
前記残存酸素量予測手段により予測される残存酸素量に基づいて前記後期処理中の還元剤の供給量を制御する還元剤供給量制御手段と
を備えることを特徴とするディーゼルエンジンの排気後処理装置。
【請求項2】
前記還元剤供給量制御手段は、
前記残存酸素量予測手段により予測される残存酸素量に基づいて前記第1基本空気過剰率より前記第2基本空気過剰率への移行速度を制御する移行速度制御手段、
前記残存酸素量予測手段により予測される残存酸素量に基づいて前記後期処理中の排気の空気過剰率を制御する空気過剰率制御手
いずれか一つであることを特徴とする請求項1に記載のディーゼルエンジンの排気後処理装置。
【請求項3】
酸素雰囲気で排気中のNOxをトラップし、還元雰囲気ではトラップしていたNOxを脱離し、排気中のHCを還元剤として用いて還元・浄化するNOxトラップ触媒と、
前記NOxトラップ触媒上流の排気の空気過剰率である第1空気過剰率を検出する第1空気過剰率検出手段と、
前記NOxトラップ触媒下流の排気の空気過剰率である第2空気過剰率を検出する第2空気過剰率検出手段と、
前記NOxトラップ触媒の再生時期になったとき、初期処理中の排気の空気過剰率をリッチ側の第1基本空気過剰率にする初期処理手段と、
前記排気の空気過剰率を前記第1基本空気過剰率にした後に後期処理中の排気の空気過剰率を1.0近傍の第2基本空気過剰率にする後期処理手段と、
前記排気の空気過剰率を前記第1基本空気過剰率にしている間の前記第2空気過剰率検出手段により検出される第2空気過剰率の変化速度により、前記NOxトラップ触媒の残存酸素量を予測する第2の残存酸素量予測手段と、
前記第2の残存酸素量予測手段により予測される残存酸素量に基づいて前記後期処理中の還元剤の供給量を制御する還元剤供給量制御手段と
を備え、
前記還元剤供給量制御手段は、
前記第2空気過剰率検出手段により検出される第2空気過剰率がリーン側よりしきい値を横切ってリッチ側に反転したとき、排気の空気過剰率を前記第1基本空気過剰率より前記第2基本空気過剰率に切換える場合における前記しきい値を、前記第2の残存酸素量予測手段により予測される残存酸素量に基づいて制御するしきい値制御手段
であることを特徴とするディーゼルエンジンの排気後処理装置。
【請求項4】
前記残存酸素量予測手段は、前記リーン側より1.0近傍を横切るときの第2空気過剰率の変化速度が相対的に小さいときには前記リーン側より1.0近傍を横切るときの第2空過剰率の変化速度が相対的に大きいときより前記NOxトラップ触媒の残存酸素量が多いと予測することを特徴とする請求項1または2に記載のディーゼルエンジンの排気後処理装置。
【請求項5】
前記移行速度制御手段は、前記リーン側より1.0近傍を横切るときの第2空気過剰率の変化速度が相対的に小さいときには前記リーン側より1.0近傍を横切るときの第2空過剰率の変化速度が相対的に大きいときより前記移行速度を遅くすることを特徴とする請求項2に記載のディーゼルエンジンの排気後処理装置。
【請求項6】
前記空気過剰率制御手段は、前記リーン側より1.0近傍を横切るときの第2空気過剰率の変化速度が相対的に小さいときには前記リーン側より1.0近傍を横切るときの第2空過剰率の変化速度が相対的に大きいときより前記後期処理中の排気の空気過剰率を小さくなる側にすることを特徴とする請求項2に記載のディーゼルエンジンの排気後処理装置。
【請求項7】
前記しきい値制御手段は、前記排気の空気過剰率を前記第1基本空気過剰率にしている間の前記第2空気過剰率検出手段により検出される第2空気過剰率の変化速度が相対的に小さいときには前記排気の空気過剰率を前記第1基本空気過剰率にしている間の前記第2空気過剰率検出手段により検出される第2空気過剰率の変化速度が相対的に大きいときより前記しきい値を小さくなる側にすることを特徴とする請求項に記載のディーゼルエンジンの排気後処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はディーゼルエンジンの排気後処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
酸化触媒、NOxトラップ触媒を排気通路に備え、リッチスパイク処理を初期処理と後期処理に分割するものがある(特許文献1参照)。このものでは、初期処理でフロントラムダをリッチ側の第1基本空気過剰率にし、リアラムダがリッチに反転したときに酸化触媒及びNOxトラップ触媒にストレージされている酸素が全て無くなったと判定する。そして後期処理ではフロントラムダを1.0近傍の第2基本空気過剰率に制御している。ここで、フロントラムダは酸化触媒上流を流れる排気の空気過剰率、リアラムダはNOxトラップ触媒の下流を流れる排気の空気過剰率である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−197708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、リッチスパイク処理開始直後の負荷変動などによりフロントラムダが初期処理におけるリッチ側の第1基本空気過剰率まで到達できないことがある。このときには、酸化触媒及びNOxトラップ触媒にストレージされている酸素を初期処理の期間で全て消費することができず、排気の空気過剰率を1.0近傍の第2基本空気過剰率に制御する後期処理に移行しても、酸化触媒及びNOxトラップ触媒に酸素が残存する。このため、後期処理で供給する還元剤が酸化触媒及びNOxトラップ触媒に残存する酸素によって消費され、NOxトラップ触媒に堆積しているNOxの還元に用いられることがないので、NOx浄化率が悪化する。
【0005】
そこで本発明は、リッチスパイク処理開始直後に負荷変動などがあっても、NOx浄化率の悪化を抑制し得る装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のディーゼルエンジンの排気後処理装置は、酸素雰囲気で排気中のNOxをトラップし、還元雰囲気ではトラップしていたNOxを脱離し、排気中のHCを還元剤として用いて還元・浄化するNOxトラップ触媒と、前記NOxトラップ触媒上流の排気の空気過剰率である第1空気過剰率を検出する第1空気過剰率検出手段と、前記NOxトラップ触媒下流の排気の空気過剰率である第2空気過剰率を検出する第2空気過剰率検出手段と、前記NOxトラップ触媒の再生時期になったとき、初期処理中の排気の空気過剰率をリッチ側の第1基本空気過剰率にする初期処理手段と、前記排気の空気過剰率を前記第1基本空気過剰率にした後に後期処理中の排気の空気過剰率を1.0近傍の第2基本空気過剰率にする後期処理手段とを備えている。本発明のディーゼルエンジンの排気後処理装置は、さらに前記排気の空気過剰率を前記第1基本空気過剰率λ0にしている間に前記第2空気過剰率検出手段により検出される第2空気過剰率がリーン側より1.0近傍を横切るときの第2空気過剰率の変化速度によって、前記NOxトラップ触媒の残存酸素量を予測する残存酸素量予測手段と、前記残存酸素量予測手段により予測される残存酸素量に基づいて前記後期処理中の還元剤の供給量を制御する還元剤供給量制御手段とを備えるものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、負荷変動により第1空気過剰率が第1基本空気過剰率まで到達できないことからそのままではNOxトラップ触媒に酸素が残存することになってしまう場合であっても、後期処理中の還元剤の供給量の制御によってNOxトラップ触媒の残存酸素を消費することが可能となり、NOx浄化率の悪化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態のディーゼルエンジンの排気後処理装置の概略構成図である。
図2】負荷変動がないときの従来装置のリッチスパイク処理時のフロントラムダ、リアラムダの変化を示すタイミングチャートである。
図3】負荷変動があるときの従来装置のリッチスパイク処理時のフロントラムダ、リアラムダの変化を示すタイミングチャートである。
図4】第1実施形態のリッチスパイク処理時の排気の目標空過剰率及び排気の実空過剰率の変化を示すタイミングチャートである。
図5】リーン側より1.0を横切るときのリアラムダの傾きに対する酸化触媒及びNOxトラップ触媒の残存酸素量の特性図である。
図6】第1実施形態のリッチスパイク処理時の排気の目標空気過剰率の算出を説明するためフローチャートである。
図7】第1実施形態のリーン側より1.0を横切るときのリアラムダの傾きに対する目標空気過剰率の制御周期当たり増分の特性図である。
図8】第2実施形態のリッチスパイク処理時の目標空過剰率及び排気の実空過剰率の変化を示すタイミングチャートである。
図9】第2実施形態のリッチスパイク処理時の排気の目標空気過剰率の算出を説明するためフローチャートである。
図10】第2実施形態のリーン側より1.0を横切るときのリアラムダの傾きに対する空気過剰率補正量の特性図である。
図11】第3実施形態のリッチスパイク処理時の目標空過剰率及び排気の実空過剰率の変化を示すタイミングチャートである。
図12】第3実施形態のリッチスパイク処理時の排気の目標空気過剰率及び目標初期処理時間の算出を説明するためフローチャートである。
図13】第3実施形態の差分に対するしきい値の特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態のディーゼルエンジンの排気後処理装置を示す概略構成図である。図1において、ディーゼルエンジン1の吸気通路2には可変ノズル型のターボチャージャ3の吸気コンプレッサを備える。吸入空気は吸気コンプレッサによって過給され、インタークーラ4で冷却され、常開のスロットル弁5を通過した後、コレクタ6を経て、各気筒のシリンダ内へ流入する。燃料は、コモンレール式燃料噴射装置により、すなわち、高圧燃料ポンプ7により高圧化されてコモンレール8に送られ、各気筒の燃料噴射弁9からシリンダ内へ直接噴射される。シリンダ内に流入した空気と噴射された燃料はここで圧縮着火により燃焼し、排気は排気通路10へ流出する。
【0011】
排気通路10に流出した排気の一部は、EGRガスとして、EGR通路11によりEGR弁12を介して吸気側に還流される。排気の残りは、可変ノズル型のターボチャージャ3の排気タービンを通り、排気タービンを駆動する。
【0012】
EGR通路11にはEGRクーラ31を備える。EGRクーラ31はEGRガスを冷却水や冷却風を用いて冷却するものである。また、EGRクーラ31をバイパスするバイパス通路32と、このバイパス通路32の分岐部にあってEGRガスの流路を切換え得る流路切換弁33と備える。流路切換弁33は、例えば非通電時にバイパス通路32を遮断してEGRガスをEGRクーラ31に流し、通電時にはEGRクーラ31のある通路を遮断し、EGRガスをバイパス通路32に流すものである。これらバイパス通路32及び流路切換弁33を設けている理由は低温時のHC対策である。
【0013】
エンジンコントローラ21には、アクセルセンサ22からのアクセル開度(アクセルペダルの踏込量のこと)ACC、クランク角センサ23からのエンジン回転速度Neの各信号が入力されている。そしてエンジンコントローラ21では、エンジン負荷(アクセル開度など)及びエンジン回転速度Neに基づいて、メイン噴射の燃料噴射時期及び燃料噴射量を算出し、これらに対応する開弁指令信号を燃料噴射弁9に出力する。また、エンジンコントローラ21では、目標EGR率と目標吸入空気量とが得られるようにEGR制御と過給圧制御を協調して行う。なお、エンジンコントローラ21は中央演算装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び入出力インタフェース(I/Oインタフェース)を備えたマイクロコンピュータで構成されている。
【0014】
排気通路10の排気タービン下流には、排気中のパティキュレートを捕集するフィルタ(Diesel Particulate Filter)13を配置してある。フィルタ13のパティキュレート堆積量が所定値(閾値)に達すると、エンジンコントローラ21ではフィルタ13の再生処理を行う。例えばメイン噴射直後の膨張行程あるいは排気行程でポスト噴射を行うことにより排気をパティキュレートの燃焼する温度にまで上昇させてフィルタ13の再生処理を行い、フィルタ13に堆積しているパティキュレートを燃焼除去し、フィルタ13を再生する。目標となる再生温度が得られるようにエンジンの負荷及び回転速度(運転条件)に応じてポスト噴射量とポスト噴射時期とを予め定めておき、そのときのエンジンの負荷及び回転速度に応じたポスト噴射量とポスト噴射時期とが得られるようにポスト噴射を行う。
【0015】
フィルタ13に堆積しているパティキュレートの全てが燃焼除去される完全再生を行わせるには再生処理時にフィルタ13の許容温度を超えない範囲で少しでもパティキュレートの燃焼温度を高めてやることが必要となる。このため本実施形態ではフィルタ13の上流に酸化触媒(貴金属)14を配置してある。この酸化触媒14によりフィルタ13の再生処理のためのポスト噴射によって流入する排気成分(HC、CO)を燃焼させて排気の温度を高めフィルタ13内のパティキュレートの燃焼を促進させる。なお、フィルタ13を構成する担体に酸化触媒をコーティングしてもよい。このときには、パティキュレートが燃焼する際の酸化反応を促進してその分フィルタ13のベッド温度を実質的に上昇させ、フィルタ13内のパティキュレートの燃焼を促進させることができる。
【0016】
なお、触媒は酸化触媒14に限られない。酸化機能を備える触媒であれば、酸化触媒に代えることができる。図1は酸化触媒14として三元触媒(TWC)を採用する場合である。
【0017】
酸化触媒14とフィルタ13との間には、酸素雰囲気で排気中のNOx(窒素酸化物)をトラップ(例えば吸着)し、還元雰囲気ではトラップしていたNOxを脱離し、排気中のHCを還元剤として用いて還元・浄化するNOxトラップ触媒(LNT)15を備える。酸素雰囲気は排気の空気過剰率が1.0(理論空燃比相当の値)より大きいときに得られる。一方、還元雰囲気は排気の空気過剰率が1.0以下のときに得られる。
【0018】
このため、NOxトラップ触媒15のNOx堆積量が所定値(閾値)に到達したときにはNOxトラップ触媒15を流れる排気を酸素雰囲気から還元雰囲気へと切換えるためリッチスパイク処理を行う必要がある。ここでのリッチスパイク処理は、メイン噴射直後の膨張行程あるいは排気行程でポスト噴射を行って、排気通路10に排出される未燃のHC量を増やし、このHCを還元剤としてNOxトラップ触媒15に供給することである。
【0019】
ディーゼルエンジン1では、通常運転時に1.0(理論空燃比相当の値)よりも大きな値の空気過剰率(理論空燃比よりもリーン側の空燃比)で運転するので、ポスト噴射の追加だけでは排気の空気過剰率を1.0へと切換えることができない。このため、通常運転時に全開位置にあるスロットル弁5をリッチスパイク処理時に閉じてやることでシリンダに流入する吸入空気量(シリンダ吸入空気量)Qacを減らし、これによって、排気の空気過剰率を1.0以下へと切換える。つまり、メイン噴射量とポスト噴射量の合計の燃料噴射量Qfuelと、シリンダ吸入空気量Qacとで定まる空気過剰率が1.0以下となるように、ポスト噴射量とスロットル弁開度(吸入空気量)とを定めるのである。ここで、リッチスパイク処理時のスロットル弁開度を定めてやれば、ポスト噴射量が一義的に定まる。
【0020】
また、所定の時間毎(一定の周期)にNOxトラップ触媒15にトラップされる所定時間当たりのNOx量を算出し、この所定時間当たりのNOx量を加算(積算)してNOxトラップ触媒15に堆積するNOx堆積量を算出する。このNOx堆積量と、予め定めてある閾値とを比較し、NOx堆積量が閾値以上となったとき(NOxトラップ触媒15の再生時期となったとき)、ポスト噴射(リッチスパイク処理)を実行する。
【0021】
このようにして、通常運転時にNOx堆積量が閾値以上となったとき、スロットル弁開度を全開状態から所定のスロットル弁開度へと切換える(スロットル絞りを行う)と共に、ポスト噴射を開始する。そして、一定期間を経過したときポスト噴射を終了しスロットル弁5を全開位置へと戻す。
【0022】
ところで、酸素雰囲気から還元雰囲気へと切換えた直後には、酸化触媒14及びNOxトラップ触媒15に酸素雰囲気中にストレージされた酸素が残存する。このため、酸素雰囲気から還元雰囲気への切換直後には、NOx還元剤としてのHC、COを供給しても、NOxトラップ触媒15にストレージされている酸素が、NOxよりも先に脱離してきてこれらの還元剤を酸化(消費)する。同様に、NOxトラップ触媒15上流の酸化触媒にストレージされている酸素によっても、NOx還元剤としてのHC、COが酸化(消費)される。つまり、酸化触媒14及びNOxトラップ触媒15にストレージされている酸素を全て消費した後でないと、NOxトラップ触媒15に堆積しているNOxを還元することができないのである。
【0023】
このため、リッチスパイク処理を初期処理と後期処理の2段に分離する従来装置がある。これを図2を参照して説明すると、図2はリッチスパイク処理時にフロントラムダ(第1空気過剰率)、リアラムダ(第2空気過剰率)がどのように変化するのかを示している。ここで、フロントラムダとは酸化触媒14上流を流れる排気の空気過剰率のことである。リアラムダとはNOxトラップ触媒15の下流を流れる排気の空気過剰率のことである。
【0024】
図2に示したように、従来装置では、t1のタイミングからの初期処理でフロントラムダを1.0(理論空燃比)より小さいほぼ0.9(リッチ)の第1基本空気過剰率λ0とし、酸化触媒14及びNOxトラップ触媒15にストレージされている酸素を消費させる。この状態でリアラムダが1.0になるのを待ち、リアラムダが1.0になったt2のタイミングで酸化触媒14及びNOxトラップ触媒15にストレージされている酸素が全て無くなったと判定し、初期処理を終了する。
【0025】
そして、t2のタイミングからの後期処理ではフロントラムダを1.0近傍の第2基本空気過剰率λ1に制御することで還元剤をNOxトラップ触媒15に供給し、NOxトラップ触媒15に堆積しているNOxを還元浄化する。
【0026】
t1のタイミングから一定時間が経過するt3のタイミングでNOxトラップ触媒15に堆積しているNOxを全て還元浄化したと判断し、後期処理を、従ってリッチスパイク処理を終了する。
【0027】
しかしながら、従来装置には改善の余地があることが判明している。これについて図3を参照して説明すると、図3もリッチスパイク処理時にフロントラムダ、リアラムダがどのように変化するのかを示している。ただし、図2と相違して、負荷変動により初期処理でフロントラムダが0.9にまで到達しなかった場合である。このようにフロントラムダが第1基本空気過剰率λ0である0.9に到達できなかった原因はリッチスパイク処理開始直後の負荷変動である。例えば、アクセルペダルを踏み込んで車両を加速したとき、上記のようにNOx堆積量が閾値以上となっていれば、第1基本空気過剰率λ0を0.9とするリッチスパイク処理が開始される。この場合に、初期処理を開始した直後にアクセルペダルが戻されることがある。このときには、燃料噴射量(上記のポスト噴射量)がアクセルペダルが戻されない場合よりも減少し、初期処理中のフロントラムダを0.9にまで到達させることができずに終わる。リッチスパイク処理を開始した直後のエンジン負荷の急激な減少を「リッチスパイク処理開始直後の負荷変動」で定義すれば、当該負荷変動によって、図3に示したように初期処理中のフロントラムダを0.9へと到達させることができなくなるのである。リッチスパイク処理開始直後の負荷変動を、以下単に「負荷変動」という。
【0028】
初期処理中のフロントラムダが0.9まで至らないと、酸化触媒14及びNOxトラップ触媒15にストレージされている酸素を全て消費できず、酸化触媒14及びNOxトラップ触媒15に消費できなかった酸素が残存する。これによって、リアラムダが1.0を横切るのが図2の場合より遅れる。図3では、t11のタイミングでリアラムダが1.0になり、後期処理に移っているが、リアラムダはt11以降もリーン側に居続け、後期処理を終了するt13の手前のt12のタイミングで再び1.0を横切っている。これは、t11からt12までの期間でNOx浄化のために供給する還元剤が酸化触媒14及びNOxトラップ触媒15に残存する酸素の消費に使われることを意味する。残存酸素の消費に還元剤が使われるのであるから、触媒15に堆積しているNOxの全てを還元することができず、NOx浄化率が悪くなる。
【0029】
そこで本発明の第1実施形態では、リアラムダがリーン側より1.0を横切るときの傾き(変化速度)より酸化触媒14及びNOxトラップ触媒15の残存酸素量を予測する。そして、予測した残存酸素量に基づいて第1基本空気過剰率λ0より第2基本空気過剰率λ1への移行速度を制御する。
【0030】
具体的に図4を参照して説明すると、図4はリッチスパイク処理時に排気の目標空気過剰率、排気の実空気過剰率であるフロントラムダ及びリアラムダがどのように変化するのかを表したモデル図である。ここで、図4第1段目には負荷変動がないときの目標空気過剰率の変化を実線で、負荷変動があるときの目標空気過剰率の変化を破線で重ねて示している。図4第2段目には、負荷変動がないときのフロントラムダとリアラムダの変化を実線で、負荷変動があるときのリアラムダの変化を破線で重ねて示している。横軸のt1、t2、t3のタイミングは図3の場合に合わせている。
【0031】
図4において、初期処理を開始するt1のタイミングで第1基本空気過剰率λ0を0.9としたとき、負荷変動がなければ初期処理中のフロントラムダ(実際値)は、リーン側の値から0.9へと大きく低下し、やがて0.9へと落ち着く。
【0032】
第1基本空気過剰率λ0をリッチ側の0.9とすることによって、酸化触媒14及びNOxトラップ触媒15に残存する酸素が消費され、やがて全ての酸素が消費されたt2のタイミングでリアラムダがリーン側より1.0を横切る。リアラムダがリーン側より1.0を横切るt2のタイミングで初期処理を終了し、後期処理に移行する。
【0033】
ここで、本発明の第1実施形態は、リアラムダがリーン側より1.0を横切ってリッチ側に反転する場合に限定されるものでない。リアラムダと比較するための1.0はしきい値である。しきい値は1.0に限られるものでなく、1.05〜0.95の範囲で任意に取り得る。例えば、リアラムダがリーン側よりしきい値としての1.05を横切ったときにリッチ側に反転したと判定するものや、リアラムダがリーン側よりしきい値としての0.95を横切ったときにリッチ側に反転したと判定するものがある。これらの場合にも本発明の適用があるので、これらの場合をも含ませる場合には「リアラムダがリーン側より1.0近傍を横切る」という表現を用いる。なお、上記のようにしきい値を1.0よりリーン側の1.05や1.0よりリッチ側の0.95へとシフトさせる理由は排気対策である。以下、第1実施形態では、しきい値が1.0である場合で説明する。
【0034】
次に、第2基本空気過剰率λ1を1.0近傍に設定する。これによって、NOxトラップ触媒15に還元剤が供給されることになり、NOxトラップ触媒15に堆積しているNOxが還元浄化されてゆく。後期処理をどのくらいの期間、継続すればNOxトラップ触媒15に堆積しているNOxの全てを還元できるかは予め分かっている。従って、その期間が経過するt3のタイミング、つまりt1より所定時間Δt2が経過したt3のタイミングで後期処理を終了し、通常運転に戻る。
【0035】
なお、第2基本空気過剰率λ1を1.0よりも少しだけ小さい値(リッチ側の値)に設定している。これは、次の理由による。すなわち、ディーゼルエンジンでは、酸素の利用率が悪く、常に酸素を余らせた状態で燃焼が行われる。このため、第2基本空気過剰率λ1を1.0より少し小さい値としても、実質的には排気中に酸素が存在する。1.0近傍で発生するHC、COをこの排気中に存在する酸素で酸化させるため、第2基本空気過剰率λ1を1.0よりも少しだけ小さい値に設定しているのである。
【0036】
さて、初期処理の終期にリーン側より1.0を横切るときのリアラムダの傾きdλ/dt(第2空気過剰率の変化速度)は酸化触媒14及びNOxトラップ触媒15の残存酸素量を予測する値となる。例えば図2に示したように負荷変動がないときにはリーン側より1.0を横切るときのリアラムダの傾きdλ/dtは相対的に大きく、図3に示したように負荷変動があるときにはリーン側より1.0を横切るときのリアラムダの傾きdλ/dtは相対的に小さい。これをモデルで表したのが図4第2段目である。図4第2段目に実線で示す負荷変動がないときのリアラムダによれば、リーン側より1.0を横切るときのリアラムダの傾きdλ/dtが相対的に大きい。一方、図4第2段目に破線で示す負荷変動があるときのリアラムダによれば、リーン側より1.0を横切るときのリアラムダの傾きdλ/dtが相対的に小さくなっている。ここで、リーン側より1.0を横切るときのリアラムダの傾きdλ/dtはマイナスとなり扱いにくいので、絶対値で扱う。
【0037】
これら図2図3図4の特性からリーン側より1.0を横切るときのリアラムダの傾きdλ/dtと酸化触媒14及びNOxトラップ触媒15の残存酸素量との関係にまとめたのが図5である。すなわち、図5に示したようにリーン側より1.0を横切るときのリアラムダの傾きdλ/dtが相対的に大きいときには酸化触媒14及びNOxトラップ触媒15の残存酸素量が相対的に少ないと予測できる。また、リーン側より1.0を横切るときのリアラムダの傾きdλ/dtが相対的に小さいときには酸化触媒14及びNOxトラップ触媒15の残存酸素量は相対的に多いと予測できる。
【0038】
ここで、リーン側より1.0を横切るときのリアラムダの傾きdλ/dtはリアラムダのデータを所定周期でサンプリングし、そのサンプリング値より算出することができる。
【0039】
このように、dλ/dtによって酸化触媒14及びNOxトラップ触媒15の残存酸素量を予測する場合に、dλ/dtが相対的に小さいときに、dλ/dtが相対的に大きいときより酸化触媒14及びNOxトラップ触媒15の残存酸素量が多いことを表す。従って、負荷変動がある(dλ/dtが相対的に小さい)ときには、負荷変動がない(dλ/dtが相対的に大きい)ときより第1基本空気過剰率λ0より第2基本空気過剰率λ2への移行速度が遅くなるように制御してやればよい。
【0040】
例えば、図4第1段目に実線で示したように、負荷変動がない(dλ/dtが相対的に大きい)とき、第1基本空気過剰率λ0より第2基本空気過剰率λ1への移行速度を相対的に速く設定している。一方、図4第1段目に破線で重ねて示したように、負荷変動がある(dλ/dtが相対的に小さい)とき、第1基本空気過剰率λ0より第2基本空気過剰率λ1への移行速度を相対的に遅く設定している。これによって、負荷変動があるときの目標空気過剰率と負荷変動がないときの目標空気過剰率との間に、ハッチングで示した面積差が生じる(図4第1段目参照)。つまり、負荷変動があるときには、負荷変動がないときより当該面積差だけ多い分の還元剤の供給を後期処理中に行うことができる。後期処理中に還元剤の供給量が増えることによって、酸化触媒及びNOxトラップ触媒の残存酸素を消費することができるのである。
【0041】
なお、図4第3段目〜第6段目には、後述する図6のフローチャートで導入している初期処理フラグ、後期処理フラグの動きを示している。ここで、第3段目と第4段目は負荷変動がないときの初期処理フラグ、後期処理フラグの、第5段目と第6段目は負荷変動があるときの初期処理フラグ、後期処理フラグの各動きである。
【0042】
上記のフロントラムダは酸化触媒14の上流に設けたフロント広域空燃比センサ24(図1参照)により、上記のリアラムダはNOxトラップ触媒15の下流に設けたリア広域空燃比センサ25(図1参照)により検出する。広域空燃比センサは、排気の空燃比をリニアに検出するものである。
【0043】
なお、第1実施形態は酸化触媒14を備えるため、NOxトラップ触媒15に残存する酸素だけでなく、酸化触媒14に残存する酸素をも考慮する必要があるのであるが、酸化触媒14を備えない場合にも本発明の適用がある。この場合には、NOxトラップ触媒15に残存する酸素だけを考慮すればよい。
【0044】
エンジンコントローラ21で行われる本実施形態のリッチスパイク処理を図6のフローチャートを参照して詳述する。
【0045】
図6のフローはリッチスパイク処理時の排気の目標空気過剰率mλを算出するためのもので、一定時間毎(例えば10ms毎)に実行する。
【0046】
ステップ1では、NOxトラップ触媒15の再生時期になったか否かをみる。これは、例えばNOx堆積量が閾値以上となったとき、再生許可フラグをゼロから1に切換えるようにしておく。そして、この再生許可フラグをみて再生許可フラグ=0であればNOxトラップ触媒15の再生時期になっていないと、再生許可フラグ=1であればNOxトラップ触媒15の再生時期になったと判定させればよい。再生許可フラグ=0よりNOxトラップ触媒15の再生時期になっていないときにはそのまま今回の処理を終了する。
【0047】
ステップ1で再生許可フラグ=1よりNOxトラップ触媒15の再生時期になったときにはステップ2に進み、後期処理フ→ラグ(エンジンの始動時にゼロに初期設定)をみる。ここでは、後期処理フラグ=0であるとしてステップ3に進む。ステップ3では、初期処理フラグ(エンジンの始動時にゼロに初期設定)をみる。ここでは、初期処理フラグ=0であるとしてステップ4、5に進む。
【0048】
ステップ4では第1基本空気過剰率λ0を算出し、これをステップ5で排気の目標空気過剰率mλに入れる。第1基本空気過剰率λ0は、負荷変動がないとした場合に酸化触媒14及びNOxトラップ触媒15にストレージされている酸素を全て消費するための値である。第1基本空気過剰率λ0は、たとえば運転条件(エンジン負荷と回転速度)に応じたマップ値で与えておけばよい。酸化触媒及びNOxトラップ触媒の残存酸素を消費するため第1基本空気過剰率λ0は1.0より小さい値とする。簡単には一定値(例えば0.9)でかまわない。ステップ6では初期処理フラグ=1として今回の処理を終了する。
【0049】
ステップ6で初期処理フラグ=1としたことより、次回にはステップ2よりステップ7以降へと進む。ステップ7では、リアラムダとしきい値としての1.0を比較する。リアラムダが1.0より大きいときにはリアラムダがリーン側よりリッチ側に反転していないと判断してステップ8に進む。ステップ8では、前回の排気の目標空気過剰率である「mλ(前回)」の値をそのまま今回の排気の目標空気過剰率mλに移すことによって、ステップ4で算出された第1基本空気過剰率λ0を維持する。
【0050】
ステップ7でリアラムダが1.0以下になったときにはリアラムダがリーン側よりリッチ側に反転したと判断し、後期処理に進ませるためステップ9、10に進む。ステップ9、10では初期処理フラグ=0、後期処理フラグ=1とする。
【0051】
ステップ11では、ステップ8と同じに前回の排気の目標空気過剰率である「mλ(前回)」の値をそのまま今回の排気の目標空気過剰率mλに移すことによって、ステップ4で算出された第1基本空気過剰率λ0を維持する。
【0052】
ステップ12では、mλの前回値である「mλ(前回)」に第1基本空気過剰率λ0を入れる。
【0053】
ステップ9、10で初期処理フラグ=0、後期処理フラグ=1としたことより、次回にはステップ2よりステップ13以降へと進む。
【0054】
ステップ13ではリッチスパイク処理の開始から所定時間Δt2が経過したか否かをみる。リッチスパイク処理の開始から所定時間Δt2が経過していなければステップ14に進み、広域空燃比センサ25により検出されるリアラムダのデータに基づいて、リーン側より1.0を横切ったときのリアラムダの傾きdλ/dtを算出する。リーン側より1.0を横切ったときのリアラムダの傾きdλ/dtは負の値で算出されるので、絶対値を採ってプラスの値に変換する。プラスの値に変換したリアラムダの傾きdλ/dtは、この値が相対的に小さいときのほうが、この値が相対的に大きいときより酸化触媒14及びNOxトラップ触媒15の残存酸素量が多いことを表す。
【0055】
ステップ15では、このようにして算出したリーン側より1.0を横切ったときのリアラムダの傾きdλ/dt(絶対値)から図7を内容とするテーブルを検索することにより、目標空気過剰率の制御周期当たり増分Δλを算出する。図7に示したようにΔλはリーン側より1.0を横切ったときのリアラムダの傾きdλ/dt(絶対値)が相対的に小さいときのほうが、リーン側より1.0を横切ったときのリアラムダの傾きdλ/dt(絶対値)が相対的に大きいときより小さくなる値である。
【0056】
ステップ16では、この目標空気過剰率の制御周期当たり増分Δλを用いて次式により、後期処理中の目標空気過剰率mλを算出する。
【0057】
mλ=mλ(前回)+Δλ …(1)
ただし、mλ(前回):mλの前回値、
mλの前回値である「mλ(前回)」には初期値として第1基本空気過剰率λ0が入っている(ステップ12参照)。(1)式は、mλの前回値である「mλ(前回)」に制御周期当たり増分Δλを加算した値を今回のmλとするものである。つまり、(1)式の算出を一定周期で繰り返すことにより、後期処理中の目標空気過剰率mλは増分Δλずつ大きくなっていく。
【0058】
ここで、負荷変動がない(dλ/dtが相対的に大きい)ときには、負荷変動がある(dλ/dtが相対的に小さい)ときより上記の増分Δλが大きいことから、目標空気過剰率mλはλ0より素早くλ1へと近づいてゆく(図4第1段目の実線参照)。つまり、第1基本空気過剰率λ0より第2基本空気過剰率λ1への移行速度が相対的に速くなる。一方、負荷変動がある(dλ/dtが相対的に小さい)ときには、負荷変動がない(dλ/dtが相対的に大きい)ときより上記の増分Δλが小さいことから、目標空気過剰率mλはλ0よりゆっくりとλ1へと近づいてゆく(図4第1段目の破線参照)。つまり、第1基本空気過剰率λ0より第2基本空気過剰率λ1への移行速度は相対的に遅くなる。このように、負荷変動の有無(dλ/dt)によって第1基本空気過剰率λ0より第2基本空気過剰率λ1への移行速度を制御する。
【0059】
ステップ17では、このようにして算出される後期処理中の目標空気過剰率mλと第2基本空気過剰率λ1を比較する。第2基本空気過剰率λ1は、負荷変動がないとした場合にNOxトラップ触媒15に堆積しているNOxを全て還元浄化するための値である。第2基本空気過剰率λ1としては1.0近傍の値を設定している。実際には1.0でなく1.0より小さい値を設定する。これは、1.0近傍で発生するHC、COを排気中に存在する酸素で酸化させるためである。後期処理中の目標空気過剰率mλがλ1未満であるときには後期処理中の目標空気過剰率mλがまだ第2基本空気過剰率λ1に到達していないと判断し、そのまま今回の処理を終了する。
【0060】
やがてステップ17で後期処理中の目標空気過剰率mλが第2基本空気過剰率λ1に到達したときにはステップ18に進み、第2基本空気過剰率λ1を後期処理中の目標空気過剰率mλに入れる。このようにして、後期処理中の目標空気過剰率mλは第1基本空気過剰率λ0より制御周期当たり増分Δλずつ大きくなり、第2基本空気過剰率λ1に到達した後は第2基本空気過剰率λ1を維持する。
【0061】
後期処理中の目標空気過剰率mλが第2基本空気過剰率λ1を維持している状態で、やがてリッチスパイク処理の開始から所定時間Δt2が経過する。このときにはリッチスパイク処理を終了するためステップ13よりステップ19、20、21に進む。ステップ19では排気の目標空気過剰率に1.0より大きな値(リーン)を入れる。これはエンジンをリーン運転するときの目標空気過剰率である。
【0062】
ステップ20、21では後期処理フラグ=0、再生許可フラグ=0とする。ステップ21で再生許可フラグ=0としたことより、次回にはステップ1よりステップ2以降へと進むことができない。
【0063】
図示しないフローでは、図6のフローにより算出された目標空気過剰率mλが得られるようにスロットル弁開度とポスト噴射量とが制御される。
【0064】
ここで、本実施形態の作用効果を説明する。
【0065】
本実施形態では、NOxトラップ触媒15と、フロントラムダ(NOxトラップ触媒15上流の排気の空気過剰率である第1空気過剰率)を検出するフロント広域空燃比センサ24(第1空気過剰率検出手段)と、リアラムダ(NOxトラップ触媒15下流の排気の空気過剰率である第2空気過剰率)を検出するリア広域空燃比センサ25(第2空気過剰率検出手段)と、NOxトラップ触媒15の再生時期になったとき、初期処理中の排気の空気過剰率をリッチ側の第1基本空気過剰率λ0にする初期処理手段(図6のステップ1〜6、ステップ1〜3、7、8参照)と、排気の空気過剰率を第1基本空気過剰率λ0にした後に後期処理中の排気の空気過剰率を1.0近傍の第2基本空気過剰率λ1にする後期処理手段(図6のステップ2、3、7、9〜12、ステップ2、13、14〜18参照)と、排気の空気過剰率を第1基本空気過剰率λ0にしている間にリアラムダがリーン側より1.0を横切るときのリアラムダの傾き(第2空気過剰率の変化速度)によって、NOxトラップ触媒15の残存酸素量を予測する残存酸素量予測手段(図6のステップ2、13、14参照)と、残存酸素量予測手段により予測される残存酸素量に基づいて後期処理中の還元剤の供給量を制御する還元剤供給量制御手段(図6のステップ2、13、14、15〜18参照)とを備えている。本実施形態によれば、負荷変動によりフロントラムダが第1基本空気過剰率λ0まで到達できないことからそのままでは後期処理時にNOxトラップ触媒15に酸素が残存することになってしまう場合であっても、後期処理中の還元剤の供給量の制御によって後期処理中の還元剤の供給量を増やし、この増やした還元剤でNOxトラップ触媒15の残存酸素を消費することが可能となり、NOx浄化率の悪化を抑制することができる。
【0066】
本実施形態によれば、前記還元剤供給量制御手段は、リーン側より1.0を横切るときのリアラムダの傾きdλ/dt(残存酸素量予測手段により予測される残存酸素量)に基づいて第1基本空気過剰率λ0より第2基本空気過剰率λ1への移行速度を制御する移行速度制御手段(図6のステップ2、13、14、15〜18参照)であるので、第1基本空気過剰率λ0より第2基本空気過剰率λ1への移行速度の制御によって後期処理中の還元剤の供給量を増やして、NOxトラップ触媒15の残存酸素を消費することが可能となり、NOx浄化率の悪化を抑制することができる。
【0067】
本実施形態によれば、前記残存酸素量予測手段は、リーン側より1.0を横切るときのリアラムダ(第2空気過剰率)の傾きdλ/dt(第2空気過剰率の変化速度)が相対的に小さいときにはリーン側より1.0を横切るときのリアラムダの傾きdλ/dt(第2空気過剰率の変化速度)が相対的に大きいときよりNOxトラップ触媒15の残存酸素量が多いと予測するので(図7参照)、NOxトラップ触媒15の残存酸素量を簡易に予測できる。
【0068】
本実施形態によれば、前記移行速度制御手段は、リーン側より1.0近傍を横切るときのリアラムダ(第2空気過剰率)の傾きdλ/dtが相対的に小さいときにはリーン側より1.0近傍を横切るときのリアラムダの傾きdλ/dtが相対的に大きいときより移行速度を遅くするので(図6のステップ14、15、16、図7参照)、負荷変動があり、初期処理中にNOxトラップ触媒15に酸素が残存することになってしまう場合であっても、移行速度の遅延により後期処理中の還元剤の供給量が増量されることから、NOxトラップ触媒15の残存酸素を消費して、NOx浄化に必要な還元雰囲気にすることができる。
【0069】
(第2実施形態)
図8はリッチスパイク処理時に排気の目標空気過剰率、排気の実空気過剰率であるフロントラムダ及びリアラムダがどのように変化するのかを表した第2実施形態のモデル図で、第1実施形態の図4と置き換わるものである。第1実施形態の図4と同じ部分には同じに記載している。ここで、図8第1段目には負荷変動がないときの目標空気過剰率の変化を実線で、負荷変動があるときの目標空気過剰率の変化を一点鎖線で重ねて示している。図8第2段目には、負荷変動がないときのフロントラムダとリアラムダの変化を実線で、負荷変動があるときのリアラムダの変化を破線で重ねて示している。
【0070】
第1実施形態では、リアラムダがリーン側より1.0を横切るときのリアラムダの傾きdλ/dtに基づいて第1基本空気過剰率λ0より第2基本空気過剰率λ1への移行速度を制御した。一方、第2実施形態は、リアラムダがリーン側より1.0を横切るときのリアラムダの傾きdλ/dtに基づいて後期処理中の排気の目標空気過剰率を制御するものである。
【0071】
詳述すると、図8第1段目に実線で示したように、負荷変動がない(dλ/dtが相対的に大きい)とき、後期処理中の排気の目標空気過剰率mλとして第2基本空気過剰率λ1を設定する。一方、図8第1段目に一点鎖線で重ねて示したように、負荷変動がある(dλ/dtが相対的に小さい)とき、第2基本空気過剰率λ1を小さくなる側(リッチ側)に補正した値を後期処理中の排気の目標空気過剰率mλとする。これによって、負荷変動があるときの目標空気過剰率と負荷変動がないときの目標空気過剰率との間に、ハッチングで示した面積差が生じる(図8第1段目参照)。つまり、負荷変動があるときには、負荷変動がないときより当該面積差だけ多い分の還元剤の供給を行うことができる。還元剤の供給量が増えることによって、酸化触媒14及びNOxトラップ触媒15の残存酸素を消費することができるのである。
【0072】
図9のフローは第2実施形態のリッチスパイク処理時の排気の目標空気過剰率mλを算出するためのもので、一定時間毎(例えば10ms毎)に実行する。第1実施形態の図6と同一部分には同一のステップ番号を付している。
【0073】
第1実施形態の図6と相違する部分は、ステップ14の位置とステップ31〜33である。第1実施形態と相違する部分を主に説明すると、図9においてステップ7でリアラムダが1.0以下になったときにはリアラムダがリーン側より1.0を横切ってリッチ側に反転したと判断し、後期処理に進ませるためステップ14、31、32、9、10に進む。
【0074】
ステップ14では広域空燃比センサ25により検出されるリアラムダのデータに基づいて、リアラムダがリーン側より1.0を横切ったときのリアラムダの傾きdλ/dtを算出する。リーン側より1.0を横切ったときのリアラムダの傾きdλ/dtは負の値で算出されるので、絶対値を採ってプラスの値に変換する。プラスの値に変換した傾きdλ/dtは、この値が相対的に小さいときのほうが、この値が相対的に大きいときより酸化触媒14及びNOxトラップ触媒15の残存酸素量が多いことを表す。
【0075】
ステップ31では、このようにして算出したリーン側より1.0を横切ったときのリアラムダの傾きdλ/dt(絶対値)から図10を内容とするテーブルを検索することにより、空気過剰率補正量λHOSを算出する。図10に示したように空気過剰率補正量λHOSはdλ/dt(絶対値)が相対的に小さいときのほうが、dλ/dt(絶対値)が相対的に大きいときより大きくなる値である。
【0076】
ステップ32では、この空気過剰率補正量λHOSを用いて次式により、後期処理中の目標空気過剰率mλを算出する。
【0077】
mλ=λ1−λHOS …(2)
(2)式は、第2基本空気過剰率λ1から空気過剰率補正量λHOSだけ小さい値(リッチ側の値)を後期処理中の排気の目標空気過剰率mλとするものである。
【0078】
負荷変動がない(dλ/dtが相対的に大きい)ときには、負荷変動がある(dλ/dtが相対的に小さい)ときより上記の空気過剰率補正量λHOSが小さくてほぼゼロである。このとき、後期処理中の目標空気過剰率mλはλ1に近い値をとる(図8第1段目の実線参照)。一方、負荷変動がある(dλ/dtが相対的に小さい)ときには、負荷変動がない(dλ/dtが相対的に大きい)ときより上記の空気過剰率補正量λHOSが大きい。このとき、後期処理中の目標空気過剰率mλはλ1よりも小さな値をとる(図8第1段目の一点鎖線参照)。このように、負荷変動の有無(dλ/dt)によって後期処理中の目標空気過剰率を制御する。
【0079】
ステップ9、10では後期処理に進ませるため初期処理フラグ=0、後期処理フラグ=1とする。
【0080】
ステップ9、10で初期処理フラグ=0、後期処理フラグ=1としたことより、次回にはステップ2よりステップ13以降へと進む。ステップ13ではリッチスパイク処理の開始から所定時間Δt2が経過したか否かをみる。リッチスパイク処理の開始から所定時間Δt2が経過していなければステップ33に進む。ステップ33では、ステップ8と同じに前回の排気の目標空気過剰率である「mλ(前回)」の値をそのまま今回の排気の目標空気過剰率mλに移すことによって、ステップ32で算出された排気の目標空気過剰率mλを維持する。
【0081】
ステップ13でリッチスパイク処理の開始から所定時間Δt2が経過したときにはリッチスパイク処理を終了するためステップ19、20、21に進み、第1実施形態と同じにこれらの操作を実行する。
【0082】
このように、第2実施形態によっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。さらに、第2実施形態によれば、還元剤供給量制御手段は、リーン側より1.0を横切るときのリアラムダの傾きdλ/dt(残存酸素量予測手段により予測される残存酸素量)に基づいて後期処理中の排気の空気過剰率を制御する空気過剰率制御手段であるので(図9のステップ2、7、14、31、32参照)、後期処理中の排気の空気過剰率の制御によって後期処理中の還元剤の供給量を増やして、NOxトラップ触媒15の残存酸素を消費することが可能となり、NOx浄化率の悪化を抑制することができる。
【0083】
第2実施形態によれば、空気過剰率制御手段は、リーン側より1.0を横切るときのリアラムダ(第2空気過剰率)の傾きdλ/dt(第2空気過剰率の変化速度)が相対的に小さいときには、リーン側より1.0を横切るときのリアラムダの傾きdλ/dt(第2空気過剰率の変化速度)が相対的に大きいときより後期処理中の排気の空気過剰率mλを小さくなる側(リッチ側)にするので(図9のステップ14、31、32、図10参照)、負荷変動があり、初期処理中にNOxトラップ触媒15に酸素が残存することになってしまう場合であっても、後期処理中の空気過剰率のリッチ化により後期処理中の還元剤の供給量が増量されることから、NOxトラップ触媒15の残存酸素を消費して、NOx浄化に必要な還元雰囲気にすることができる。
【0084】
(第3実施形態)
図11はリッチスパイク処理時に排気の目標空気過剰率、排気の実空気過剰率であるフロントラムダ及びリアラムダがどのように変化するのかを表した第3実施形態のモデル図で、第1実施形態の図4と置き換わるものである。第1実施形態の図4と同じ部分には同じに記載している。ここで、図11第1段目には負荷変動がないときの目標空気過剰率の変化を実線で、負荷変動があるときの目標空気過剰率の変化を二点鎖線で重ねて示している。図11第2段目には、触媒新品時でかつ負荷変動がないときのフロントラムダとリアラムダの変化を実線で、触媒新品時でかつ負荷変動があるときのリアラムダの変化を破線で重ねて示している。
【0085】
第1実施形態では、リアラムダがリーン側より1.0を横切るときのリアラムダの傾きdλ/dtに基づいて酸化触媒14及びNOxトラップ触媒15の残存酸素量を予測した。一方、第3実施形態は、初期処理中にリアラムダの傾きdλ/dtを算出し、このリアラムダの傾きdλ/dtに基づいて酸化触媒14及びNOxトラップ触媒15の残存酸素量を予測する。そして、予測した残存酸素量に基づいてリアラムダと比較するためのしきい値を制御するものである。
【0086】
詳述すると、図11第2段目に一点鎖線で示したように、負荷変動がない(初期処理中のdλ/dtが相対的に大きい)とき、リアラムダと比較するためのしきい値を例えば1.05に設定する。このとき、リアラムダは1.05と比較されるため、リアラムダがリーン側より1.05を横切るt31のタイミングでリーン側よりリッチ側に反転したと判断される。そして、図11第1段目に実線で示したように、リアラムダがリーン側より1.05を横切るt31のタイミングで目標空気過剰率mλが第1基本空気過剰率λ0から第2基本空気過剰率λ1へと切換えられる。
【0087】
一方、図11第2段目に二点鎖線で重ねて示したように、負荷変動がある(初期処理中のdλ/dtが相対的に小さい)とき、リアラムダと比較するためのしきい値を負荷変動がないときより小さくなる側(リッチ側)に補正した例えば1.0とする。このとき、リアラムダは1.0と比較されるため、リアラムダがリーン側より1.0を横切るt32のタイミングでリーン側よりリッチ側に反転したと判断される。ここで、t32はt31のタイミングより遅れたタイミングとなる。そして、図11第1段目に二点鎖線で重ねて示したように、リアラムダがリーン側より1.0を横切るt32のタイミングで目標空気過剰率mλが第1基本空気過剰率λ0から第2基本空気過剰率λ1へと切換えられる。これによって、負荷変動があるときの目標空気過剰率と負荷変動がないときの目標空気過剰率との間に、ハッチングで示した面積差が生じる(図11第1段目参照)。つまり、負荷変動があるときには、負荷変動がないときより当該面積差だけ多い分の還元剤の供給を行うことができる。還元剤の供給量が増えることによって、酸化触媒14及びNOxトラップ触媒15の残存酸素を消費することができるのである。
【0088】
図11ではしきい値を1.05(リーン側の値)から1.0(理論空燃比)へと切換える場合で説明したが、この場合に限られるものでない。例えば、1.0から0.95(リッチ側の値)へとしきい値を切換える場合や1.05(リーン側の値)から0.95(リッチ側の値)へとしきい値を切換える場合であってもかまわない。要は、負荷変動があるときには負荷変動がないときよりしきい値を小さくなる側(リッチ側)に切換えればよい。
【0089】
なお、図11第3段目〜第8段目には、後述する図12のフローチャートで導入している初期処理フラグ、後期処理フラグの動きを示している。ここで、第3段目と第4段目と第5段目は負荷変動がないときの初期処理フラグ、後期処理フラグの、第6段目と第7段目と第8段目は負荷変動があるときの初期処理フラグ、後期処理フラグの各動きである。
【0090】
図12のフローは第3実施形態のリッチスパイク処理時の排気の目標空気過剰率mλを算出するためのもので、一定時間毎(例えば10ms毎)に実行する。第2実施形態の図9と同一部分には同一のステップ番号を付している。
【0091】
第2実施形態の図9と相違する部分は図12のステップ41〜44である。第2実施形態と相違する部分を主に説明すると、図12においてステップ3で初期フラグ=1であるときにはステップ41に進み、広域空燃比センサ25により検出されるリアラムダのデータに基づいて、リアラムダの傾きdλ/dtを算出する。リアラムダの傾きdλ/dtは負の値で算出されるので、絶対値を採ってプラスの値に変換する。プラスの値に変換した傾きdλ/dtは、この値が相対的に小さいときのほうが、この値が相対的に大きいときより酸化触媒14及びNOxトラップ触媒15の残存酸素量が多いことを表す。
【0092】
ステップ41では、リアラムダの傾きdλ/dtから図13を内容とするテーブルを検索することにより、リアラムダと比較するためのしきい値を算出する。図13に示したように、しきい値はリアラムダの傾きdλ/dtが相対的に小さいときのほうがリアラムダの傾きdλ/dtが相対的に大きいときより小さくなる側(リッチ側)に向かう特性である。
【0093】
負荷変動がない(dλ/dtが相対的に大きい)ときには、負荷変動がある(dλ/dtが相対的に小さい)ときより上記のしきい値が大きいため、リアラムダがリーン側よりしきい値を横切るタイミングが相対的に早くなる(図11第2段目の一点鎖線参照)。負荷変動がある(dλ/dtが相対的に小さい)ときには、負荷変動がない(dλ/dtが相対的に大きい)ときより上記のしきい値が小さいため、リアラムダがリーン側よりしきい値を横切るタイミングが相対的に遅くなる(図11第2段目の二点鎖線参照)。このように、負荷変動の有無(初期処理中のdλ/dt)によってしきい値を制御する。
【0094】
ステップ43ではリア広域空燃比センサ25により検出されるリアラムダと、しきい値を比較する。リアラムダがしきい値を超えているときにはステップ8に進み、前回の排気の目標空気過剰率である「mλ(前回)」の値をそのまま今回の排気の目標空気過剰率mλに移すことによって、第1基本空気過剰率λ0を維持する。
【0095】
やがて、ステップ43でリアラムダがしきい値以下となるとリアラムダがリーン側よりリッチ側に反転したと判断し、初期処理より後期処理に移行させるためステップ9、10、44に進み、初期フラグ=0、後期処理フラグ=1とする。
【0096】
ステップ44では、排気の目標空気過剰率mλに第2基本空気過剰率λ1を設定する。第2基本空気過剰率λ1は、酸化触媒14及びNOxトラップ触媒15が新品時でかつ負荷変動がないとした場合にNOxトラップ触媒15に堆積しているNOxを全て還元浄化するための値である。λ1としては1.0近傍の値である。詳しくは1.0でなく1.0より小さい値をλ1として設定する。これは、1.0近傍で発生するHC、COを排気中に存在する酸素で酸化させるためである。
【0097】
ステップ9、10で初期フラグ=0、後期処理フラグ=1としたことより、次回にはステップ2よりステップ13以降に進む。ステップ13ではリッチスパイク処理の開始から所定時間Δt2が経過したか否かをみる。リッチスパイク処理の開始から所定時間Δt2が経過していなければステップ33に進み、前回の排気の目標空気過剰率である「mλ(前回)」の値をそのまま今回の排気の目標空気過剰率mλに移すことによって、第2基本空気過剰率λ1を維持する。
【0098】
やがて、ステップ13でリッチスパイク処理の開始から所定時間Δt2が経過したときにはリッチスパイク処理を終了するためステップ19、20、21に進み、第2実施形態と同じにステップ19〜21の操作を実行する。
【0099】
このように、第3実施形態によっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。さらに、第3実施形態によれば、還元剤供給量制御手段は、初期処理中(排気の空気過剰率を第1基本空気過剰率にしている間)のリアラムダ(第2空気過剰率検出手段により検出される第2空気過剰率)の変化速度により、NOxトラップ触媒15の残存酸素量を予測する第2の残存酸素量予測手段(図12のステップ2、3、41参照)を備え、リアラムダ(第2空気過剰率検出手段により検出される第2空気過剰率)がリーン側よりしきい値を横切ってリッチ側に反転したとき排気の空気過剰率を第1基本空気過剰率λ0より第2基本空気過剰率λ1に切換える場合における前記しきい値を、リアラムダの変化速度dλ/dt(第2の残存酸素量予測手段により予測される残存酸素量)に基づいて制御するしきい値制御手段であるので(図12のステップ2、3、41、42、43参照)、しきい値の制御によって後期処理中の還元剤の供給量を増やして、NOxトラップ触媒15の残存酸素を消費することが可能となり、NOx浄化率の悪化を抑制することができる。
【0100】
第3実施形態によれば、しきい値制御手段は、初期処理中(排気の空気過剰率を第1基本空気過剰率にしている間)のリアラムダ(第2空気過剰率検出手段により検出される第2空気過剰率)の変化速度dλ/dtが相対的に小さいときには初期処理中のリアラムダの変化速度でdλ/dtが相対的に大きいときよりしきい値を小さくなる側に(リッチに)するので(図12のステップ41、42、図13参照)、負荷変動があり、初期処理中にNOxトラップ触媒15に酸素が残存することになってしまう場合であっても、しきい値の低下により後期処理中の還元剤の供給量が増量されることから、NOxトラップ触媒15の残存酸素を消費して、NOx浄化に必要な還元雰囲気にすることができる。
【0101】
実施形態では、酸化触媒とNOxトラップ触媒が別体である場合で説明したが、NOxトラップ触媒に酸化触媒を含ませたものであってもかまわない。
【0102】
実施形態では、コモンレール式燃料噴射装置のみを備える場合で説明したが、酸化触媒上流の排気通路に燃料を供給する燃料添加装置を備えるものにも適用がある。
【符号の説明】
【0103】
1 エンジン
5 スロットル弁
9 燃料噴射弁
15 NOxトラップ触媒
21 エンジンコントローラ
24 フロント広域空燃比センサ(第1空気過剰率検出手段)
25 リア広域空燃比センサ(第2空気過剰率検出手段)
図1
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図2
図3