特許第6051868号(P6051868)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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  • 特許6051868-積層シートおよびその製造方法 図000008
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6051868
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】積層シートおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/32 20060101AFI20161219BHJP
   B32B 27/36 20060101ALI20161219BHJP
   B29C 47/02 20060101ALI20161219BHJP
   B29C 55/02 20060101ALI20161219BHJP
   H01L 31/042 20140101ALI20161219BHJP
   B29K 23/00 20060101ALN20161219BHJP
   B29K 67/00 20060101ALN20161219BHJP
   B29L 7/00 20060101ALN20161219BHJP
   B29L 9/00 20060101ALN20161219BHJP
【FI】
   B32B27/32 Z
   B32B27/36
   B29C47/02
   B29C55/02
   H01L31/04 500
   B29K23:00
   B29K67:00
   B29L7:00
   B29L9:00
【請求項の数】14
【全頁数】37
(21)【出願番号】特願2012-539894(P2012-539894)
(86)(22)【出願日】2012年7月31日
(86)【国際出願番号】JP2012069440
(87)【国際公開番号】WO2013021860
(87)【国際公開日】20130214
【審査請求日】2015年6月16日
(31)【優先権主張番号】特願2011-175662(P2011-175662)
(32)【優先日】2011年8月11日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】島津 綾子
(72)【発明者】
【氏名】塩見 篤史
(72)【発明者】
【氏名】青山 滋
(72)【発明者】
【氏名】高橋 弘造
【審査官】 相田 元
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−286920(JP,A)
【文献】 特開2007−204671(JP,A)
【文献】 特開2003−243679(JP,A)
【文献】 特開2010−005802(JP,A)
【文献】 特開2004−200322(JP,A)
【文献】 特開2011−140530(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/030745(WO,A1)
【文献】 特開2008−030792(JP,A)
【文献】 特開2005−280111(JP,A)
【文献】 特開2004−275046(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
H01L 31/04−31/078
H01L 51/42−51/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステル系樹脂を主たる構成成分とする層(P1層)、変性ポリオレフィン樹脂を含有する接着性樹脂層(P2層)、および、ポリオレフィン系樹脂を主たる構成成分とする層(P3層)を有する積層シートであって、該積層シートの総厚みが30μm以上500μm以下、P2層の厚みが0.1μm以上3μm以下、P1層の厚みをP1、P3層の厚みをP3としてその比P1/P3が0.2以上5以下を満たすことを特徴とする積層シートを用いた太陽電池バックシート
【請求項2】
前記P2層がポリウレタン系樹脂を含有し、前記P2層の変性ポリオレフィン樹脂の含有量W2aとポリウレタン系樹脂の含有量W2bの比W2a/W2bが0.1以上9以下である請求項1に記載の積層シートを用いた太陽電池バックシート
【請求項3】
前記P3層の厚みが75μm以上である請求項1、2のいずれかに記載の積層シートを用いた太陽電池バックシート
【請求項4】
前記P3層が積層構造を有する請求項1〜3のいずれかに記載の積層シートを用いた太陽電池バックシート
【請求項5】
前記P3層がポリオレフィン系エラストマーを5質量%以上50質量%以下含有する請求項1〜4のいずれかに記載の積層シートを用いた太陽電池バックシート
【請求項6】
前記P3層が変性ポリオレフィン樹脂を含有する請求項1〜5のいずれかに記載の積層シートを用いた太陽電池バックシート
【請求項7】
前記P1層が酸化チタン粒子を1質量%以上30質量%以下含有する、および/または、前記P3層が酸化チタン粒子を0.5質量%以上20質量%以下含有する請求項1〜6のいずれかに記載の積層シートを用いた太陽電池バックシート
【請求項8】
前記P1層のポリエステル系樹脂がポリエチレンテレフタレートであり、該P1層の固有粘度IVが0.65以上0.80以下、かつCOOH末端基量が25eq./t以下である請求項1〜7のいずれかに記載の積層シートを用いた太陽電池バックシート
【請求項9】
ポリエステル系樹脂を主たる構成成分とする層(P1層)、接着性樹脂層(P2層)、および、ポリオレフィン系樹脂を主たる構成成分とする層(P3層)を有する積層シートであって、該積層シートの総厚みが30μm以上500μm以下、P2層の厚みが0.1μm以上3μm以下、P1層の厚みをP1、P3層の厚みをP3としてその比P1/P3が0.2以上5以下を満たし、尚且つ、前記P1層が酸化チタン粒子を1質量%以上30質量%以下含有する、および/または、前記P3層が酸化チタン粒子を0.5質量%以上20質量%以下含有する積層シートを用いた太陽電池バックシート
【請求項10】
ポリエステル系樹脂を主たる構成成分とする層(P1層)、接着性樹脂層(P2層)、および、ポリオレフィン系樹脂を主たる構成成分とする層(P3層)を有する積層シートであって、該積層シートの総厚みが30μm以上500μm以下、P2層の厚みが0.1μm以上3μm以下、P1層の厚みをP1、P3層の厚みをP3としてその比P1/P3が0.2以上5以下を満たし、尚且つ、前記P1層のポリエステル系樹脂がポリエチレンテレフタレートであり、該P1層の固有粘度IVが0.65以上0.80以下、かつCOOH末端基量が25eq./t以下である積層シートを用いた太陽電池バックシート
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の太陽電池バックシートを用いた太陽電池。
【請求項12】
ポリエステル系樹脂を主たる構成成分とする層(P1層)、変性ポリオレフィン樹脂を含有する接着性樹脂層(P2層)、および、ポリオレフィン系樹脂を主たる構成成分とし、ポリオレフィン系エラストマーを5質量%以上50質量%以下含有する層(P3層)を有する積層シートであって、該積層シートの総厚みが30μm以上500μm以下、P2層の厚みが0.1μm以上3μm以下、P1層の厚みをP1、P3層の厚みをP3としてその比P1/P3が0.2以上5以下を満たすことを特徴とする積層シート。
【請求項13】
請求項12に記載の積層シートの製造方法であって、厚さ3μm以下のP2層を少なくともP1層の片側に有するシートに、P3層が溶融押出ラミネート法にて設けられる工程を有することを特徴とする積層シートの製造方法。
【請求項14】
P1層用樹脂組成物をシート状に成形した後、該シートに、または、該シートを一軸に延伸した後に、その少なくとも片側表面にP2層用樹脂組成物を含む塗剤を塗設し、少なくとも一軸に延伸する工程を含む請求項12に記載の積層シートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長期耐久性、カール性、層間密着性、部分放電電圧、加工適性が良好な積層シートに関する。特に、太陽電池用バックシートとして好適に使用できる積層シート、および該積層シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半永久的で無公害の次世代エネルギー源として太陽光発電が注目を浴びており、太陽電池は急速に普及しつつある。太陽電池は、発電素子をエチレン−ビニルアセテート共重合体(EVA)などの透明な封止剤により封止したものに、ガラスなどの透明基板と、バックシートと呼ばれる樹脂シートを貼り合わせて構成される。太陽光は透明基板4を通じて太陽電池内に導入される。太陽電池内に導入された太陽光は、発電素子にて、吸収され、吸収された光エネルギーは、電気エネルギーに変換される。変換された電気エネルギーは発電素子に接続したリード線にて取り出されて、各種電気機器に使用される。ここで、従来のバックシート1は安価で高性能である二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)に種々の素材をドライラミネートにて貼り合わせることによってバリア性や電気特性を付与する構成が検討されてきた。特にオレフィン系樹脂は、バリア性に加えて封止剤との密着性が良好であるためバックシートとして一般的に用いられる素材である。
【0003】
一方で、バックシートの生産性を高めるためにドライラミネートの工程を省き、溶融押出ラミネートでの検討が行われている。薄膜の二軸延伸PETの両表層にオレフィン系樹脂を積層した構成(特許文献1)や、オレフィン系樹脂の両表層にPETを積層した構成(特許文献2)の検討が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4217935号公報
【特許文献2】特開2009−267294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、薄膜のPETフィルムの両表層にオレフィン系樹脂を積層したシートでは、難燃性が低いという欠点を有しており、自己支持性が弱いために二次加工の際にたわみやすい課題もある。また、オレフィン系樹脂の両表層にPETフィルムを積層したシートでは封止剤との密着性が低く、長期耐久性も低いという欠点があった。
【0006】
これらの問題を解決するため、本発明者らは溶融押出ラミネートによってPETフィルムの片表層にオレフィン樹脂を積層するシートを開発したが、従来の溶融押出ラミネート方法ではPETフィルムとオレフィンの熱収縮特性や結晶性が異なるため、積層した時点で極端にカールしてしまい、取扱いが非常に困難で、二次加工性に劣るという問題があった。また、このような積層シートを太陽電池バックシートとして使用する場合、PET層には高耐久性のPETフィルムを選択して使用するが、一般的に高耐久性PETフィルムはフィルム中のCOOH末端基量が非常に少ないため、汎用的なPETフィルムに比べて、他素材との接着性が悪いという問題点があった。そこで、本発明では従来の課題を鑑みて、長期耐久性、カール性、層間密着性、耐電圧性、加工適性が良好な太陽電池用バックシートを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明は以下の構成をとる。すなわち、ポリエステル系樹脂を主たる構成成分とする層(P1層)、変性ポリオレフィン樹脂を含有する接着性樹脂層(P2層)、および、ポリオレフィン系樹脂を主たる構成成分とする層(P3層)を有する積層シートであって、該積層シートの総厚みが30μm以上500μm以下、P2層の厚みが0.1μm以上3μm以下、P1層の厚みをP1、P3層の厚みをP3としてその比P1/P3が0.2以上5以下を満たすことを特徴とする積層シートを用いた太陽電池バックシート
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、従来のポリエステル系樹脂とオレフィン系樹脂の積層シートに比べて、長期耐久性、カール性、層間密着性、部分放電電圧、加工適正が良好な積層シートを提供することができる。かかる積層シートは太陽電池用バックシートに好適に使用でき、さらに該バックシートを用いることによって高性能な太陽電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1]本発明の太陽電池バックシートを用いた太陽電池の構成の一例を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の太陽電池バックシートに用いられる積層シート(以後、本発明の積層シートと記す。)は、ポリエステル系樹脂を主たる構成成分とする層(P1層)、変性ポリオレフィン樹脂を含有する接着性樹脂層(P2層)、および、ポリオレフィン系樹脂を主たる構成成分とする層(P3層)を有する積層シートであって、該積層シートの総厚みが30μm以上500μm以下、P2層の厚みが0.1μm以上3μm以下、P1層の厚みをP1、P3層の厚みをP3としてその比P1/P3が0.2以上5以下を満たすことが好ましい。
【0011】
本発明の積層シートは総厚みが30μm以上500μm以下であることが好ましい。総厚みが30μm未満であると部分放電電圧が小さく、高電圧下で使用した際に絶縁破壊を起こすという問題がある。また、総厚みが500μmより厚いと加工適性が悪く、また太陽電池バックシートとして用いた場合に、太陽電池セルの全体厚みが厚くなり過ぎる問題がある。より好ましい下限は40μm以上、さらに好ましくは50μm以上である。より好ましい上限は450μm以下、さらに好ましくは400μm以下である。好ましい範囲は40μm以上450μm以下、さらに好ましくは50μm以上400μm以下である。
【0012】
本発明の積層シートはP1層の厚みをP1、P3層の厚みをP3としてその比P1/P3が0.2以上5以下である。厚み比P1/P3が0.2未満であると、積層シートを形成した時にカール性が低化する。厚み比P1/P3が5より大きいとオレフィン層の割合が小さくなりガスバリア性が低化する。より好ましい下限は0.5以上、さらに好ましくは0.7以上である。より好ましい上限は4以下、さらに好ましくは3以下である。好ましい範囲は0.5以上4以下、さらに好ましくは0.7以上3以下である。これを満たすことによって、特に、従来の溶融押出ラミネート方法では問題であったポリエステルフィルムとポリオレフィン樹脂との積層時におけるカールを抑制することができる。本発明におけるP1層とP3層の積層構成では、P3層が内側となるようにカールが発生するが、P1/P3の厚み比が上昇するとシートの剛性が上昇し、カールは小さくなる。
【0013】
本発明の積層シートにおけるP1層の厚みは15μm以上300μm以下であるのが好ましい。15μm未満であると総厚みや厚み比P1/P3を本願範囲内に制御すると、カールが大きくなったり、P3層厚みが薄くなるためガスバリア性が落ちたりという問題がある。300μmよりも厚いと積層シートの総厚みが厚くなり、加工適性が低化するという問題があり、総厚みを下げるためにはオレフィン層の厚みを薄くする必要があり、今度はガスバリア性の低化が問題となる。より好ましい下限は25μm以上であり、さらに好ましくは30μm以上である。より好ましい上限は250μm以下であり、さらに好ましくは200μm以下である。好ましい範囲は25μm以上250μm以下、さらに好ましくは30μm以上200μm以下である。
【0014】
本発明の積層シートにおけるP3層の厚みは、厚み比P1/P3が0.2以上5以下となる範囲であればよいが、好ましくは75μm以上400μm以下、さらに好ましくは100μm以上300μm以下である。P3層の厚みが75μm未満の場合、ガスバリア性が低くなることがある。また、400μmより大きいと、カールが大きくなって加工適性が低化することがある。
【0015】
本発明の積層シートにおけるP2層の厚みは0.1μm以上3μm以下である必要がある。0.1μm未満では積層シート形成後にP1層/P2層/P3層間の密着性が低化して、層間剥離を起こすことがある。また、3μmより厚いと接着力を発現させる(主剤及び硬化剤間の架橋反応を促進する)のに長時間必要となり、その結果として接着層の耐湿熱性が低くなることがある。より好ましい下限は0.15μm以上であり、さらに好ましくは0.2μm以上である。より好ましい上限は2μm以下であり、さらに好ましくは1μm以下である。好ましい範囲は0.15μm以上2μm以下であり、さらに好ましくは0.2μm以上1μm以下である。特に、P1層の製膜中にインラインコーティングにてP2層を設けることで、製造工程の簡略化、良好なフィルムの製膜性、ならびに厚みムラや塗布欠点が減少するので好ましい。
本発明におけるP1層は、ポリエステル系樹脂を主たる構成成分とする。P1層は、以下の説明で積層構造を有する場合があるが、その場合は、P1層としての積層構造全体として、ポリエステル系樹脂を主たる構成成分とするものとする。ここで、主たる構成成分とは、該P1層に対してポリエステル系樹脂が50質量%を超えて含有されていることをいう。P1層に用いられるポリエステル系樹脂は、具体的にはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2、6−ナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸などが挙げられる。また、本発明に用いられるポリエステル系樹脂は、1)ジカルボン酸成分もしくはそのエステル形成性誘導体(以下、「ジカルボン酸成分」と総称する)とジオール成分の重縮合、2)一分子内にカルボン酸もしくはカルボン酸誘導体部分と水酸基を有する化合物の重縮合、および1)2)の組み合わせにより得ることができる。また、ポリエステル系樹脂の重合は常法により行うことができる。
【0016】
1)において、ジカルボン酸成分としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸、エイコサンジオン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸等の脂肪族ジカルボン酸類、アダマンタンジカルボン酸、ノルボルネンジカルボン酸、イソソルビド、シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、フェニルエンダンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸、9,9’−ビス(4−カルボキシフェニル)フルオレン酸などの芳香族ジカルボン酸、もしくはそのエステル誘導体などが代表例としてあげられる。また、これらは単独で用いても、複数種類用いても構わない。また、P1層に用いられるポリエステル系樹脂は、ホモ樹脂でもよく、共重合体、2種以上が相溶したポリエステル系樹脂のブレンド体であっても良い。
【0017】
また、上述のジカルボン酸成分のカルボキシ末端に、l-ラクチド、d−ラクチド、ヒドロキシ安息香酸などのオキシ酸類およびその誘導体や該オキシ酸類が複数個連なったもの等を縮合させたジカルボキシ化合物も用いることができる。
【0018】
ジオール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオールなどの脂肪族ジオール類、シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、イソソルビドなどの脂環式ジオール類、ビスフェノールA、1,3−ベンゼンジメタノール,1,4−ベンセンジメタノール、9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンなどの芳香族ジオール類が代表例としてあげられる。また、これらは単独で用いても、必要に応じて、複数種類用いても構わない。また、上述のジオール成分のヒドロキシ末端にジオール類を縮合させて形成されるジヒドロキシ化合物も用いることができる。
【0019】
2)において、一分子内にカルボン酸もしくはカルボン酸誘導体骨格と水酸基を有する化合物の例としては、l-ラクチド、d−ラクチド、ヒドロキシ安息香酸などのオキシ酸、およびその誘導体、オキシ酸類のオリゴマー、ジカルボン酸の一方のカルボキシル基にオキシ酸が縮合したもの等があげられる。
【0020】
本発明の積層シートにおいて、P1層を構成するポリエステル樹脂の数平均分子量は18500〜40000が好ましいが、より好ましくは数平均分子量が19000〜35000、更に好ましくは20000〜33000である。P1層を構成するポリエステル樹脂の数平均分子量が18500に満たない場合、長期耐久性が落ちる可能性があるため好ましくない。また、40000を超えると、重合が困難であるか重合できたとしても押出機による樹脂の押出が困難となり、製膜が困難となる場合がある。また、本発明の積層シートにおいて、P1層は一軸、もしくは二軸に延伸されていることが好ましい。延伸することにより配向結晶化により長期耐久性を向上させることができる。
【0021】
また、示差走査熱量測定(DSC)により得られるP1層の微少吸熱ピーク温度TmetaP1がP1層の融点TmP1−90℃〜TmP1−40℃であることが好ましい。より好ましくは、TmetaP1がTmP1−80〜TmP1−50℃、更に好ましくはTmetaP1がTmP1−75〜TmP1−55℃である。TmetaP1がTmP1−90℃に満たないと、延伸時の残留応力の解消が不十分であり、その結果フィルムの熱収縮が大きくなって、太陽電池に組み込む際の貼り合わせ工程にて、貼り合わせが困難となり、貼り合わせができたとしても、太陽電池に組み込んで高温下で使用した際に太陽電池システムのそりが大きく発生することがある場合がある。また、TmetaP1がTmP1−40℃を超えると、配向結晶性が低下し、耐湿熱性に劣ることがある場合がある。本発明の積層シートにおいて、P1層のTmetaP1を上述の範囲とすることによって、収縮率の低減と耐湿熱性を両立できる。
【0022】
また、本発明の積層シートにおいて、P1層の融点TmP1は、220℃以上のものが耐熱性の上で好ましく、更に好ましくは240℃以上、更に好ましくは250℃である。またP1層の融点TmP1の上限は特に制限はないが300℃以下のものが生産性上の点で好ましい。
【0023】
本発明では、耐光性と光反射性の観点から、P1層に対して酸化チタン粒子を1質量%以上30質量%以下の範囲で含有することが好ましい。P1層が積層構造を有する場合は、P1層としての積層構造全体として、P1層に対して酸化チタン粒子を1質量%以上30質量%以下の範囲で含有することが好ましい。これによって酸化チタン粒子による耐紫外線性と光反射性を活かして、長期に亘ってシートの劣化による着色を低減するという効果を発揮することができる。1質量%未満では耐紫外線性が低化する場合がある。30質量%より多いと層間の密着性が低化する場合がある。より好ましい下限は2質量%以上であり、さらに好ましくは3質量%以上である。より好ましい上限は25質量%以下であり、さらに好ましくは20質量%以下である。さらには、高い光反射性と耐紫外線性という点で、ルチル型酸化チタンを用いるのがより好ましい。また、P1層を構成するポリエステル系樹脂に酸化チタン粒子を添加する方法は、予めポリエステル系樹脂と酸化チタン粒子をベント式二軸混練押出機やタンデム型押出機を用いて、溶融混練する方法が好ましい。ここで、酸化チタン粒子を含有させる際に熱履歴を受けると、少なからずポリエステル系樹脂が劣化する。そのため、P1層に含まれる酸化チタン粒子量よりも粒子添加量が多い高濃度マスターペレットを作製し、それをポリエステル系樹脂と混合して希釈し、所定のP1層の酸化チタン粒子含有率とするのが、耐湿熱性の観点から好ましい。
【0024】
本発明の積層シートにおけるP1層には、上記の酸化チタン粒子以外にも、必要に応じて本発明の効果が損なわれない範囲で、耐熱安定剤、耐酸化安定剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、有機系/無機系の易滑剤、有機系/無機系の微粒子、充填剤、核剤、染料、分散剤、カップリング剤等の添加剤や、気泡が配合されていてもよい。例えば、添加剤として紫外線吸収剤を選択した場合には、本発明の積層シートの耐紫外線性をより高めることが可能となる。また、帯電防止剤などを添加して耐電圧を向上させたり、有機系/無機系の微粒子や気泡を含有して反射性を発現させたり、着色したい色の材料を添加して意匠性を付与することもできる。また、屋外で使用される用途においては、紫外線吸収能を有する有機粒子、例えばカーボン、フラーレン、カーボンファイバー、カーボンナノチューブなどの炭素系材料等を用いて、長期に亘って色調変化を抑制するという本発明の効果を顕著に発揮しながら、意匠性も兼ね備えたシートとすることができる。
【0025】
本発明におけるP1層は、積層構造を有しても構わない。例えば、耐湿熱性に優れたP11層と、紫外線吸収剤や紫外線吸収能を持つ酸化チタン粒子を高濃度で含有する層P12層との積層構造なども、好ましい。このようなP1層とする場合には、本発明の積層シートの構成はP12層/P11層/P2層/P3層となることが、耐光性の観点から好ましい。この場合、P11層、P12層に用いる樹脂は、上記のP1層で例示したものを適宜好適に用いることができる。
【0026】
本発明において、P1層の片側表面(ただし、P2層と接する表面とは反対側の表面)に、例えばガスバリア性、耐紫外線性などの他の機能を持つ層を設けることができる。これらの層を設ける方法としては、P1層と積層する材料をそれぞれ別々に作製し、加熱されたロール群などにより熱圧着する方法(熱ラミネート法)、接着剤を介して貼り合わせる方法(接着法)、その他、積層する材料の形成用材料を溶媒に溶解させ、その溶液をあらかじめ作製していたP1層上に塗布する方法(コーティング法)、硬化性材料をP1層上に塗布した後に電磁波照射、加熱処理などで硬化させる方法、積層する材料をP1層上に蒸着/スパッタする方法、およびこれらを組み合わせた方法等を使用することができる。
【0027】
本発明におけるP1層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を主たる構成成分とする層であって、該P1層の固有粘度IVは0.65以上0.80以下、かつCOOH末端基量が25eq./t以下であることが好ましい。なお、COOH末端基量の下限値は1eq./tとする。ここで、主たる構成成分とは、該P1層に対してPET樹脂が50質量%を超えて含有されていることをいう。
【0028】
P1層を構成するPET層の固有粘度IVが0.65未満の場合、シートの耐湿熱性が低くなる場合がある。また、固有粘度IVが0.80より大きい場合、P1層を製造する際に樹脂の押出性が悪く、シート成型が困難となる場合がある。さらに、P1層の固有粘度IVが上記範囲を満たしていても、COOH末端基量が25eq./tより大きい場合、P2層との密着性は良くなるが、シートの耐湿熱性が低くなるので、好ましくない。よって、P1層を構成するPET層は、上記範囲を満たすことによって、成型性、長期耐久性に非常に優れた積層シートとすることが出来る。
【0029】
本発明におけるP3層は、ポリオレフィン系樹脂を主たる構成成分とする。ここで、主たる構成成分とは、該P3層に対してポリオレフィン系樹脂が50質量%を超えて含有されていることをいう。本発明におけるポリオレフィン系樹脂とは、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、ポリシクロオレフィン、ポリヘキセン、ポリオクテン、ポリデセン、ポリドデセン等が挙げられる。この中でも加工が容易で比較的安価であることなどからポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)であることが好ましい。また、ポリエチレンの中でも比較的低密度な低密度ポリエチレン(LDPE)や直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレンの中でもホモポリマーやランダムコポリマーなども好ましく用いることができる。これらポリオレフィン系樹脂は混合および他のオレフィン成分を共重合しても良く、例えばエチレン−プロピレンコポリマー(EPC)、エチレン−プロピレン−ブテンコポリマー(EPBC)とすると樹脂の結晶性を低下させることができる。また、混合されるものとしてポリオレフィン系エラストマーも挙げられ、ここでポリオレフィン系エラストマーはポリプロピレンにエチレン−プロピレンゴムを微分散させたもの、またはポリプロピレンに他のα−オレフィンを共重合させたものなどをいう。α−オレフィンとしては1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテンなどが挙げられる。これらポリオレフィン系エラストマーは、P3層に対して5質量%以上50質量%以下の割合で含むことが好ましい。ポリオレフィン系エラストマーを含むことによってP3層に柔軟性を持たせることができ、積層シートのカールが改善するため好ましい。好ましくは、10質量%以上30質量%以下である。また、封止剤と接着する側のP3層にポリオレフィン系エラストマーを含有すれば、封止剤との接着強度における耐湿熱性の観点から好ましい。
【0030】
本発明におけるP3層を形成するポリオレフィン系樹脂およびポリオレフィン系エラストマーは市販品でもよく、例えば、三菱化学(株)社製“サーモラン”、“ゼラス”、住友化学(株)社製“エクセレン”、“タフセレン”、“エスプレン”、“ノーブレン”、“スミカセンL”、クラレ製“ハイブラー”、“セプトン”、プライムポリマー社製“プライムポリプロ”、三井化学(株)社製“ノティオ”、ダウケミカル(株)社製“ENGAGE”などが好ましく挙げられる。また、本発明におけるP3層を構成するポリオレフィン系樹脂はプロピレン成分を70質量%以上含むことが、カールを小さくする観点から好ましい。特に、ポリオレフィン系エラストマーを含む場合は、プロピレン成分が70質量%以上となるように選択することが好ましい。より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。
【0031】
本発明では、耐光性と光反射性の観点から、P3層に対して酸化チタン粒子を0.5質量%以上20質量%以下の範囲で含有することが好ましい。P3層が積層構造を有する場合、P3層としての積層構造全体として、P3層に対して酸化チタン粒子を0.5質量%以上20質量%以下の範囲で含有することが好ましい。酸化チタン粒子による反射特性を活かして、太陽電池セルにて変換されなかった透過光を反射し、太陽電池の高効率化に効果を発揮することができる。0.5質量%未満では反射特性が低化する場合がある。20質量%より多いとEVA層との密着性が低化する場合がある。より好ましい下限は1質量%以上であり、さらに好ましくは2.5質量%以上である。より好ましい上限は15質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以下である。さらには、高い反射特性と耐紫外線性という点で、ルチル型酸化チタンを用いるのがより好ましい。また、P3層を構成するポリオレフィン系樹脂に酸化チタン粒子を添加する方法は、予めポリオレフィン系樹脂と酸化チタン粒子をベント式二軸混練押出機やタンデム型押出機を用いて、溶融混練する方法が好ましい。ここで、酸化チタン粒子を含有させる際に熱履歴を受けると、少なからずポリオレフィン系樹脂が劣化する。そのため、P3層に含まれる酸化チタン粒子量よりも粒子添加量が多い高濃度マスターペレットを作製し、それをポリオレフィン系樹脂と混合して希釈し、所定のP3層の酸化チタン粒子含有率とするのが、耐湿熱性の観点から好ましい。
【0032】
本発明におけるP3層は、接着性樹脂層(P2層)との接着力を上げるために、変性ポリオレフィン樹脂を含むことが好ましい。変性ポリオレフィン樹脂とは、不飽和カルボン酸またはその無水物で変性された酸変性ポリオレフィン、或いはシラン系カップリング剤で変性されたポリオレフィンを主成分(ここで、主成分とは該樹脂全体に対して50質量%以上含有することをいう)とする樹脂をいう。
【0033】
不飽和カルボン酸またはその無水物としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、或いはこれらの誘導体のモノエポキシ化合物と上記酸とのエステル化合物、分子内にこれらの酸と反応しうる基を有する重合体と酸との反応生成物などが挙げられる。また、これらの金属塩も使用することができる。これらの中でも、無水マレイン酸がより好ましく用いられる。シラン系カップリング剤としては、ビニルトリエトキシシラン、メタクロイルオキシトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリアセチルオキシシランなどを挙げることができる。また、これらの化合物は単独または複数で併用することができ、この中でも上記の化合物によりグラフト変性したものを好適に用いることができる。
【0034】
本発明におけるP3層の変性ポリオレフィン樹脂の含有率は、P3層に対して1質量%以上30質量%以下が好ましい。1質量%未満であると層間の密着性が低化する問題があり、30質量%より多いと長期耐久性が低化する場合がある。より好ましくは5質量%以上15質量%以下である。
【0035】
本発明におけるP3層は、積層構成を有することが好ましい。なかでもP3層が、P31層、P32層、さらに、P33層の構成を有することが好ましい。この場合、本発明の積層シートの構成は、P1層/P2層/P31層/P32層/P33層の順で積層されることが好ましいが、P1層/P2層/P31層/P32層/P31層やP1層/P2層/P31層/P32層でも良い。P31層はよりP2層との層間密着性が良い層、また、P32層はより耐湿熱性に優れた層の場合に、太陽電池バックシートとして用いた場合、長期耐久性に優れ、好適に利用することができる。
【0036】
P31層、P32層、P33層を構成するポリオレフィン系樹脂の選定方法は、特に限定されるものではないが、積層シートの長期耐久性の観点からP31層に用いるポリオレフィン系樹脂はP2層の変性ポリオレフィン樹脂と相溶性があってP2層との接着性が良いものが適宜選定され、好ましく用いられる。また、本発明の積層シートを太陽電池バックシートとして用いる場合、太陽電池セルの長期耐久性の観点からP32層およびP33層はガスバリア性に優れ、さらに封止材料との接着性が良いものが適宜選定され、好ましく用いられる。例えば、P2層の変性ポリオレフィン樹脂がポリプロピレン系樹脂からなる場合には、P31層を構成する樹脂はP2層の変性ポリプロピレン樹脂と相溶性があって、接着性がよいものを選べばよい。この場合、P31層、P32層、P33層に用いる樹脂は、上記のP3層で例示したものを適宜好適に用いることができる。
【0037】
また、P31層、P32層、P33層の積層比は、特に限定されるものではなく、各層が有する機能が十分に発現出来る厚み構成を取ればよい。
【0038】
本発明の積層シートは、P1層とP3層を接着させる接着性樹脂層P2層が必要である。積層させてシート状に加工する手法としては、特に限定されることはなく、公知の方法を用いることができるが、特に、本発明ではドライラミネート法や、溶融押出ラミネート法が好ましく用いられる。これらの手法で、P1層、P3層を貼り合わせる場合、P2層には、主剤としてポリエーテルポリウレンタン系樹脂、ポリエステルポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエポキシ系樹脂、アクリル系樹脂など、架橋剤としてポリイソシアネート系樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、オキサゾリン系樹脂などを用いることができる。これらの接着剤を用いてP2層を形成する場合には、単体で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、接着強度が長期間の屋外使用で劣化することに起因するデラミネーションなどを生じないこと、光線反射率の低下につながる黄変を生じないことが望ましい。また、本発明では、主剤としてポリエーテルウレタン系やポリエステルウレタン系などのポリウレタン系樹脂が、架橋剤としてエポキシ系樹脂が、層間密着性や耐湿熱試験後の層間密着性を向上させるため好ましく用いられる。ポリウレタン系樹脂とは、主鎖中にウレタン結合を含有する樹脂であり、例えばポリオール化合物とポリイソシアネート化合物との反応で得られ、水性媒体への分散性の点から陰イオン性基を有しているものが好ましい。ここで陰イオン性基とは、カルボキシル基、スルホン酸基、硫酸基、リン酸基等の水性媒体中で陰イオンとなる官能基のことをいう。ポリウレタン系樹脂を構成するポリオール成分としては、特に限定されず、水、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、メチル−1,5−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等の低分子量グリコール類、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の低分子量ポリオール類、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド単位を有するポリオール化合物、ポリエーテルジオール類、ポリエステルジオール類等の高分子量ジオール類、ビスフェノールAやビスフェノールF等のビスフェノール類、ダイマー酸のカルボキシル基を水酸基に転化したダイマージオール等が挙げられる。
一方、ポリイソシアネート成分としては、芳香族、脂肪族および脂環族の公知のジイソシアネート類の1種または2種以上の混合物を用いることができる。ジイソシアネート類の具体例としては、トリレンジジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジメリールジイソシアネート、リジンジイソシアネート、水添4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、水添トリレンジジイソシアネート、ダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート、およびこれらのアダクト体、ビウレット体、イソシアヌレート体等が挙げられる。また、ジイソシアネート類にはトリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート等の3官能以上のポリイソシアネート類を用いてもよい。
また、ポリウレタン系樹脂に陰イオン性基を導入するには、カルボキシル基、スルホン酸基、硫酸基、リン酸基等を有するポリオール成分を用いればよい。カルボキシル基を有するポリオール化合物としては、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシエチル)プロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシプロピル)プロピオン酸、ビス(ヒドロキシメチル)酢酸、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン酸、酒石酸、N,N−ジヒドロキシエチルグリシン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−カルボキシル−プロピオンアミド等が挙げられる。
鎖長延長剤を用いてポリウレタン系樹脂の分子量を適宜調整することもできる。鎖長延長剤としては、イソシアネート基と反応することができるアミノ基や水酸基等の活性水素を2個以上有する化合物が挙げられ、例えば、ジアミン化合物、ジヒドラジド化合物、グリコール類を用いることができる。
また、P2層には、P1層とP3層の接着力を上げるために、変性ポリオレフィン樹脂を含むことが好ましい。変性ポリオレフィン樹脂とは、不飽和カルボン酸またはその無水物で変性された酸変性ポリオレフィン、或いはシラン系カップリング剤で変性されたポリオレフィンを主成分(ここで、主成分とは該樹脂全体に対して50質量%以上含有することをいう)とする樹脂をいう。
【0039】
P2層の変性ポリオレフィン樹脂は、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン等のアルケン類や、ブタジエンやイソプレン等のジエン類等のポリオレフィン樹脂が変性されたものが挙げられる。なかでも、樹脂の製造のし易さ、水性化のし易さ、各種材料に対する接着性、ブロッキング性等の点から、P2層のポリオレフィン樹脂成分は、プロピレン成分またはブテン成分(1−ブテン、イソブテンなど)であることが好ましく、両者を併用することもできる。さらに、ポリオレフィン樹脂成分にエチレン成分を含有してもよい。エチレン成分を含有することで、樹脂の水性化や塗膜性能が向上する。
【0040】
上記のポリオレフィン樹脂成分において、各成分の共重合形態は限定されず、ランダム共重合、ブロック共重合等が挙げられるが、重合のし易さの点から、ランダム共重合されていることが好ましい。本発明の構成成分比率となるように2種以上のポリオレフィン樹脂を混合したものでもよい。
本発明におけるP2層の変性ポリオレフィン樹脂は、不飽和カルボン酸またはその無水物、或いはシラン系カップリング剤で変性されたポリオレフィンであり、例えば、不飽和カルボン酸またはその無水物としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、或いはこれらの誘導体のモノエポキシ化合物と上記酸とのエステル化合物、分子内にこれらの酸と反応しうる基を有する重合体と酸との反応生成物などが挙げられる。また、これらの金属塩も使用することができる。また、シラン系カップリング剤としては、ビニルトリエトキシシラン、メタクロイルオキシトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリアセチルオキシシシランなどを挙げることができる。これらの中でも、ポリオレフィン樹脂への導入のし易さの点から、無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸が好ましく、特に無水マレイン酸が好ましい。これらの不飽和カルボン酸または無水物は、ポリオレフィン樹脂中に共重合されていれば良く、その形態は限定されるものではなく、例えばランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合等が挙げられる。
また、不飽和カルボン酸をポリオレフィン樹脂へ導入する方法は、特に限定されないが、例えば、ラジカル発生剤の存在下で、ポリオレフィン樹脂と不飽和カルボン酸とをポリオレフィン樹脂の融点以上に加熱溶融して反応させる方法や、ポリオレフィン樹脂を有機溶剤に溶解させた後、ラジカル発生剤の存在下で加熱、撹拌して反応させる方法等により、ポリオレフィン樹脂に不飽和カルボン酸単位をグラフト共重合する方法が挙げられる。操作が簡便である点から前者の方法が好ましい。
【0041】
グラフト共重合に使用するラジカル発生剤としては、例えば、ジ−tert−ブチルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、tert−ブチルヒドロパーオキシド、tert−ブチルクミルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、ジラウリルパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、エチルエチルケトンパーオキシド、ジ−tert−ブチルジパーフタレート等の有機過酸化物類や、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾニトリル類が挙げられる。これらは、反応温度によって適宜選択して使用すればよい。
ポリウレタン系樹脂としては、主鎖中にウレタン結合を含有する樹脂であり、例えばポリオール化合物とポリイソシアネート化合物との反応で得られ、水性媒体への分散性の点から陰イオン性基を有しているものが好ましい。ここで陰イオン性基とは、カルボキシル基、スルホン酸基、硫酸基、リン酸基等の水性媒体中で陰イオンとなる官能基のことをいう。
【0042】
P2層における変性ポリオレフィン樹脂の含有量W2aと、ポリウレタン系樹脂の含有量W2bの比W2a/W2bは、0.1以上9以下であることが好ましい。変性ポリオレフィン樹脂はP3層との密着性を高め、ポリウレタン系樹脂はP1層との密着性を高めるため、W2a/W2bが0.1未満、または9より大きくなると、ポリエステル層P1層とオレフィン層P3層の層間密着性が弱くなる場合がある。これらは、変性ポリオレフィン樹脂の粒子を適宜混合しても良いし、予め混合された市販品を用いることも出来る。
【0043】
本発明におけるP2層を形成するための、例えば、コーティング液の溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メタノール、エタノールおよび水等を例示することができ、該コーティング液の性状としてはエマルジョン型および溶解型のいずれでも良い。近年では環境保護、省資源化、製造時における有機溶剤の排気問題などが重視され、水を溶剤の主体としたエマルジョン型コーティング液が好ましい形態である。水を溶媒としたコーティング液の場合、樹脂成分をエマルジョン化させる構成で用いられる溶剤や、分散助剤としての有機溶媒が含まれていても構わない。
また、変性ポリオレフィン樹脂やポリウレタン樹脂を水系エマルジョン化させる方法としては、特に制限されるものではなく、固/液撹拌装置や乳化機として広く当業者に知られている装置によって作製することができる。
【0044】
P2層をP1層上に形成する方法は、特に制限されるべきものではなく、公知のコーティング手法を用いることができる。コーティング手法としては、種々の方法を適用することができ、例えば、ロールコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、ダイコーティング法およびグラビアロールコーティング法等や、これらを組み合わせた方法を利用することができる。また、基材となるポリエステルフィルムの製膜中に、インラインにて公知のコーティング手法を用いて接着層を設ける方法も、製造工程の簡略化という点で好ましい方法である。
【0045】
また、コーティング後にP2層を硬化する場合、その硬化方法は、公知の方法をとりうる。例えば熱硬化、あるいは紫外線、電子線、放射線などの活性線を用いる方法、さらにはこれらの組み合わせによる方法などが適用できる。本発明においては、熱風オーブンによる熱硬化方法が好ましい。さらに熱風オーブンによる硬化では、材料予熱/恒率乾燥/残率乾燥と、段階的に乾燥温度を上昇させていく方法が、P2層に溶媒を残留させず、好ましい方法である。さらには、乾燥工程後に、任意の温度でエージング処理を行うことは、主剤及び硬化剤間の架橋反応を促進する点で好ましい。
【0046】
本発明におけるP2層は、P1層とP3層の接着性を向上させる目的で、積層構造を有してもよい。例えば、予めP1層の片側表面に設けたアンカーコート層(P21層とする)の上に、さらにP3層と馴染みがよい層(P22層とする)を設ける手法も、好ましく用いられる。その場合、積層シートの構成は、P1層/P21層/P22層/P3層の順で積層され、P2層の厚みは、P21層+P22層で表される。このとき、P21層は、P1層およびP22層を構成する樹脂と接着性が良く、また、P22層はP21層およびP3層を構成する樹脂と接着性が良く、P3層を構成する樹脂の軟化点以上で相溶性を生じるものであれば、特に限定されない。この場合、P21層、P22層に用いる樹脂は、上記のP2層で例示したものを適宜好適に用いることができる。
また、P22層をP21層の上に形成する方法は、特に制限されるべきものではなく、公知のコーティング手法を用いることができる。コーティング手法としては、種々の方法を適用することができ、例えば、ロールコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、ダイコーティング法およびグラビアロールコーティング法等や、これらを組み合わせた方法を利用することができる。
【0047】
本発明におけるP2層には、公知の熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、耐ブロッキング剤、染料、顔料、光増感剤、界面活性剤、紫外線吸収剤などの各種添加剤を、必要に応じて添加することができる。
本発明の積層シートは、耐紫外線性の観点からP1層を入射面としたときの色調変化Δbが10以下であることが好ましい。ここで色調変化Δbは、紫外線処理前の積層シートP1層を入射面として測定したb値をK0、紫外線処理後の積層シートP1層を入射面として測定したb値をKとして算出された値である。好ましくは6以下、さらに好ましくは3以下である。色調変化Δbを10以下とするためには、P1層に対して酸化チタン粒子を3質量%以上添加することが好ましい方法として挙げられ、酸化チタン粒子の添加量に応じて色調変化Δbを低下させることが可能である。
【0048】
本発明の積層シートは、ガスバリア性の観点から水蒸気透過率が0.0001g/m・day以上10g/m・day以下であることが好ましい。より好ましくは0.0001g/m・day以上5g/m・day以下であり、最も好ましくは0.0001g/m・day以上3g/m・day以下である。この範囲とすることでバックシートから封止材へのガスが透過することによる太陽電池内部の劣化を防ぐことができる。ここで水蒸気透過率はJIS−K7129B法(1992年)に従って測定した値である。本発明における水蒸気透過率は、P3層の厚みで調整可能であり、厚みが大きいほど水蒸気透過率は小さくなる。
【0049】
次に、本発明の積層シートの製造方法について例を挙げて説明する。これは一例であり、限定されるものではない。
【0050】
まず、P1層を構成する樹脂組成物の製造方法は、以下の方法で製造することができる。
【0051】
本発明におけるP1層の樹脂は、ジカルボン酸、もしくはそのエステル誘導体と、ジオールを周知の方法でエステル交換反応させることによって得ることができる。従来公知の反応触媒としてはアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、亜鉛化合物、鉛化合物、マンガン化合物、コバルト化合物、アルミニウム化合物、アンチモン化合物、チタン化合物、リン化合物などを挙げることが出来る。好ましくは、通常PETの製造方法が完結する以前の任意の段階に置いて、重合触媒としてアンチモン化合物またはゲルマニウム化合物、チタン化合物を添加することが好ましい。このような方法としては例えば、ゲルマニウム化合物を例に取ると、ゲルマニウム化合物粉体をそのまま添加することが好ましい。また、ポリエステル系樹脂の数平均分子量を18500〜40000にコントロールするためには、上記の方法で一端数平均分子量が18000程度の通常の分子量のポリエステル系樹脂を重合した後、190℃〜熱可塑性樹脂の融点未満の温度で、減圧または窒素ガスのような不活性気体の流通下で加熱する、いわゆる固相重合する方法が好ましい。該方法は熱可塑性樹脂の末端カルボキシル基量を増加させることなく数平均分子量を高めることができる点で好ましく行われる。
【0052】
次に、P1層の製造方法は、P1層が単膜構成の場合、P1層用樹脂組成物を押出機内で加熱溶融し、口金から冷却したキャストドラム上に押し出してシート状に加工する方法(溶融キャスト法)を使用することができる。その他の方法として、P1層用の樹脂を溶媒に溶解させ、その溶液を口金からキャストドラム、エンドレスベルト等の支持体上に押し出して膜状とし、次いでかかる膜層から溶媒を乾燥除去させてシート状に加工する方法(溶液キャスト法)等も使用することができる。
【0053】
また、P1層が積層構造の場合の製造方法は、積層する各層の材料が熱可塑性樹脂を主たる構成とする場合は、二つの異なる熱可塑性樹脂を二台の押出機に投入し、溶融して口金から冷却したキャストドラム上に共押出してシート状に加工する方法(共押出法)、単膜で作製したシートに被覆層樹脂を押出機に投入して溶融押出して口金から押出しながらラミネートする方法(溶融ラミネート法)を用いることができる。
【0054】
また、P1層および/またはP1層を含む積層体として一軸もしくは、二軸延伸されたフィルム基材を選択した場合、その製造方法として、まず、押出機(積層構造の場合は複数台の押出機)に樹脂組成物を投入し、溶融して口金から押出し(積層構造の場合は共押出)し、冷却した表面温度10〜60℃に冷却されたドラム上で静電気により密着冷却固化し、未延伸フィルムを作製する。
【0055】
この未延伸フィルムを70〜140℃の温度に加熱されたロール群に導き、長手方向(縦方向、すなわちフィルムの進行方向)に3〜4倍延伸し、20〜50℃の温度のロール群で冷却する。
【0056】
続いて、フィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、80〜150℃の温度に加熱された雰囲気中で、長手方向に直角な方向(幅方向)に3〜4倍に延伸する。
【0057】
延伸倍率は、長手方向と幅方向それぞれ3〜5倍とするが、その面積倍率(縦延伸倍率×横延伸倍率)は9〜15倍であることが好ましい。面積倍率が9倍未満であると、得られる2軸延伸積層フィルムの長期耐久性が不十分となり、逆に面積倍率が15倍を超えると延伸時に破れを生じ易くなる傾向がある。
【0058】
二軸延伸する方法としては、上述の様に長手方向と幅方向の延伸とを分離して行う逐次二軸延伸方法の他に、長手方向と幅方向の延伸を同時に行う同時二軸延伸方法のどちらであっても構わない。
【0059】
なお、P2層の成形をP1層の製造工程の中で設けるインラインコーティングにて行う場合には、逐次二軸延伸方法の場合には1軸延伸フィルムの後に、また、同時二軸延伸方法の場合には未延伸フィルムの後に、それぞれコーティング工程を設け、P2層の材料となる塗剤を塗布すればよい。この時、塗布液の支持体上への濡れ性向上、接着力向上の観点から、コーティング工程の直前に基材層P1層の表面へコロナ処理を行うことなども好ましく行われる。
【0060】
得られた二軸延伸フィルムの結晶配向を完了させて、平面性と寸法安定性を付与するために、引き続きテンター内にて好ましくは樹脂のTg以上融点未満の温度で1〜30秒間の熱処理を行ない、均一に徐冷後、室温まで冷却する。一般に熱処理温度が低いとフィルムの熱収縮が大きいため、高い熱寸法安定性を付与するためには熱処理温度は高い方が好ましい。しかしながら、熱処理温度を高くしすぎると配向結晶性が低下し、その結果形成されたフィルムが耐湿熱性に劣ることがある。そのため、本発明におけるP1層の熱処理温度はTmP1−90〜TmP1−40℃とすることが好ましい。より好ましくは、熱処理温度をTmP1−80〜TmP1−50℃、更に好ましくはTmP1−75〜TmP1−55℃とするのがよい。さらには、本発明におけるP1層は太陽電池のバックシートとして用いられるが、使用時には雰囲気温度が100℃程度まで上昇することがあるため、熱処理温度としては、160℃〜TmP1−40℃(ただし、TmP1−40℃>160℃)であるのが好ましい。より好ましくは170〜TmP1−50℃(ただし、TmP1−50℃>170℃)、更に好ましくは180〜TmP1−55℃(ただし、TmP1−55℃>180℃)である。また、上記熱処理工程中では、必要に応じて幅方向あるいは長手方向に3〜12%の弛緩処理を施してもよい。
【0061】
続いて必要に応じて、他素材との密着性をさらに高めるためにコロナ放電処理などを行い、巻き取ることにより、太陽電池バックシート用フィルムの基材層を形成することができる。
【0062】
次に、P2層をP1層上に形成する方法としては、前述したインラインコーティング以外にも複数台の押出機を用いて、P1層用の樹脂組成物とP2層用の樹脂組成物をそれぞれ別の押出機内で溶融して口金から冷却したキャストドラム上に共押出してシート状に加工する方法(共押出法)、単膜で作製した基材層P1層にP2層用樹脂組成物を押出機に投入して溶融押出して口金から押出しながらラミネートする方法(溶融ラミネート法)、P1層とP2層をそれぞれ別々に作製し、加熱されたロール群などにより熱圧着する方法(熱ラミネート法)、接着剤を介して貼り合わせる方法(接着法)、その他、P2層用樹脂組成物を溶媒に溶解または分散させ、その溶液をあらかじめ作製していた基材層P1層上に塗布する方法(コーティング法)、およびこれらを組み合わせた方法等が使用することができる。
【0063】
本発明では、P2層の形成が容易である共押出法、またはコーティング法がより好ましい手法である。共押出法によりP2層を基材層P1層上に形成する方法としては、複数台の押出機を用いて、P1層用樹脂組成物、P2層用樹脂組成物をそれぞれ別の押出機内で溶融して口金から共押出し、表面温度10〜60℃に冷却されたドラム上に静電気により密着冷却固化することで、P1層上にP2層を形成したシートを得ることができる。
【0064】
また、コーティング法によりP2層を基材層P1層上に形成する方法としては、前述の基材層P1層の製膜中に塗設するインラインコーティング法、製膜後の基材層P1層に塗設するオフラインコーティング法があげられ、どちらでも用いることが出来るが、より好ましくは基材層P1層の製膜と同時にできて効率的で、かつP2層とP1層との接着性が高いという理由からインラインコーティング法が好ましく用いられる。さらに、P1層とP3層の接着力向上の観点から、インラインコーティングによってP1層の表面に設けられたP21層の上に、オフラインコーティングによってP22層を設けることもできる。
【0065】
上記コーティング法により、P2層を基材層P1層上へ形成する方法としては、上述のP2層を構成する材料を溶媒に溶解/分散させた塗液を基材層P1層上に塗布、乾燥する手段が好ましく用いられる。この際、用いる溶媒は任意であるが、特にインラインコーティング法においては、安全性の点から水を用いることが好ましい。その場合、塗布性や、溶解性などの改良のため、水に溶解する有機溶剤を少量添加させても構わない。かかる有機溶剤の例として、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、n―ブチルアルコールなどの脂肪族または脂環族アルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールなどのジオール類、メチルセロソロブ、エチルセロソロブプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのジオール誘導体、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミルなどのエステル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、N−メチルピロリドンなどのアミド類など、および、これらの混合物を使用することができるが、これらに限定されない。
【0066】
なかでも、本発明の積層シートの製造方法において、P1層用樹脂組成物をシート状に成形した後、該シートに、または、該シートを一軸に延伸した後に、その少なくとも片側表面にP2層用樹脂組成物を含む塗剤を塗設し、少なくとも一軸に延伸する工程を含むことが好ましい。
【0067】
本発明の積層シートにおいてP1層、P2層、P3層を、この順に積層する方法としては、例えば、予め製膜されたP1層にP2層を設けておき、P3層用樹脂組成物を押出機に投入して、溶融押出したものをP2層と貼り合わせてシート状に加工する方法(溶融押出ラミネート法)、各フィルムをそれぞれ別々に作製し、加熱されたロール群などにより熱圧着する方法(熱ラミネート法)、接着剤を介して貼り合わせる方法(接着法)、その他、溶媒に溶解させたものを塗布・乾燥する方法(コーティング法)、およびこれらを組み合わせた方法等を使用することができる。これらのうち、製造工程が短く、かつ層間の接着性が良好であるという点で溶融押出ラミネート法が好ましい。なかでも、本発明の積層シートの製造方法において、厚さ3μm以下のP2層を少なくともP1層の片側に有するシートに、P3層が溶融押出ラミネート法にて設けられる工程を有することが好ましい。以下、溶融押出ラミネート法での製法を詳述する。
【0068】
本発明の積層シートを溶融押出ラミネート法で作製する場合、P3層用樹脂組成物を窒素気流下の押出機に供給し溶融する。次いで、P3層をダイから押出する。このとき、P3層が組成の異なるP31層,P32層,P33層の積層体である場合は、マルチマニホールドダイやフィードブロックやスタティックミキサー、ピノール等を用いて、P31層,P32層,P33層用樹脂組成物が積層されるように合流させてから、共押出するとよい。もし、P31層,P32層,P33層の溶融粘度差が大きい場合は、積層ムラ抑制の観点からマルチマニホールドを用いるのが好ましい。
【0069】
前記の方法によってダイから吐出したP3層を、キャスティングドラム等の冷却体上に押出したのち、予めセットしておいた基材P1層を、P2層を設けた側の面とP3層が接着するように巻きだして、ロール圧着することにより、本発明の積層シートを得ることができる。このとき、キャスティングドラム等の冷却体の温度は、10℃以上40℃以下とするのが、得られたシートのカール性の点から好ましい。
【0070】
前記の方法で得られた本発明の積層シートを本発明の効果が損なわれない範囲で、必要に応じて熱処理やエージングなどの加工処理を加えてもよい。なお、熱処理温度の上限としては、シートの平面性などから、P1層を構成する樹脂のガラス転移温度−10℃以下、より好ましくはガラス転移温度−20℃以下、更に好ましくはガラス転移温度−30℃以下である。また、熱処理時間は5秒以上48時間以下である。熱処理することで、本発明の積層シートの密着性を向上することができる。また、前記の方法で得られた本発明の積層シートの密着性を向上させるために、コロナ処理、プラズマ処理を実施してもよい。
【0071】
ここで、太陽電池は、本発明の積層シートをバックシートとして用いることを特徴とする。本発明の積層シートを用いることで、従来の太陽電池と比べて耐久性を高めたり、薄くすることが可能となる。その構成の例を図1に示す。電気を取り出すリード線(図1には示していない)を接続した発電素子をEVA樹脂などの透明な封止剤層2で封止したものに、ガラスなどの透明基板4と、本発明の積層シートを太陽電池用バックシート1として貼り合わせて構成されるが、これに限定されず、任意の構成に用いることができる。なお、図1では本発明の積層シート単体での例を示したが、その他必要とされる要求特性に応じて本発明の積層シートと他のフィルムとの複合シートを用いることも可能である。
【0072】
ここで、本発明の積層シートを用いた太陽電池において、上述の太陽電池用バックシート1は発電素子を封止した封止剤層2の背面に設置される。ここで、少なくとも封止剤層2と反対側(図1の6)に本発明の積層シートのP1層が位置するように配置されているのが好ましい。この構成とすることによって、地面からの照り返しの紫外線などに対する耐性を高めることが可能となり、高耐久の太陽電池としたり、厚さを薄くすることができる。また、本発明の積層シートが非対称の構成であって、もう一方の片側表面がP1層からなる場合においては、P3層は封止材層2側に位置するように配置されるのが、封止材との密着性をより高くすることができるという点で好ましい。
【0073】
発電素子3は、太陽光の光エネルギーを電気エネルギーに変換するものであり、結晶シリコン系、多結晶シリコン系、微結晶シリコン系、アモルファスシリコン系、銅インジウムセレナイド系、化合物半導体系、色素増感系など、目的に応じて任意の素子を、所望する電圧あるいは電流に応じて複数個を直列または並列に接続して使用することができる。透光性を有する透明基板4は太陽電池の最表層に位置するため、高透過率のほかに、高耐候性、高耐汚染性、高機械強度特性を有する透明材料が使用される。本発明の積層シートを用いた太陽電池において、透光性を有する透明基板4は上記特性と満たせばいずれの材質を用いることができ、その例としてはガラス、四フッ化エチレン−エチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニル樹脂(PVF)、ポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)、ポリ四フッ化エチレン樹脂(TFE)、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、ポリ三フッ化塩化エチレン樹脂(CTFE)、ポリフッ化ビニリデン樹脂などのフッ素系樹脂、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、およびこれらの混合物などが好ましく挙げられる。ガラスの場合、強化されているものを用いるのがより好ましい。また樹脂製の透光基材を用いる場合は、機械的強度の観点から、上記樹脂を一軸または二軸に延伸したものも好ましく用いられる。また、これら基材には発電素子の封止材料であるEVA樹脂などとの接着性を付与するために、表面に、コロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、易接着処理を施すことも好ましく行われる。
【0074】
発電素子を封止するための封止材料2は、発電素子の表面の凹凸を樹脂で被覆し固定し、外部環境から発電素子保護し、電気絶縁の目的の他、透光性を有する基材やバックシートと発電素子に接着するため、高透明性、高耐候性、高接着性、高耐熱性を有する材料が使用される。その例としては、エチレン−ビニルアセテート共重合体(EVA)、エチレン−メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)樹脂、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、アイオノマー樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、およびこれらの混合物などが好ましく用いられる。
【0075】
以上のように、本発明の積層シートに用いた太陽電池バックシートを太陽電池システムに組み込むことにより、従来の太陽電池と比べて、高耐久および/または薄型の太陽電池システムとすることが可能となる。本発明の積層シートを用いた太陽電池は、太陽光発電システム、小型電子部品の電源など、屋外用途、屋内用途に限定されず各種用途に好適に用いることができる。
〔特性の測定方法および評価方法〕
(1)積層シート総厚みと、P1層、P2層、P3層の厚み
ミクロトームを用いて、積層シートの表面に対して垂直方向に切削した小片を作成し、その断面を電界放射走査型電子顕微鏡”JSM−6700F”(日本電子(株)製)を用いて3000倍に拡大観察して撮影した。その断面写真より、積層シートの総厚みと、P1層、P2層、P3層それぞれの厚みを計測し、拡大倍率から逆算して厚みを求めた。なお、厚みは、互いに異なる測定視野から任意に選んだ計5箇所の断面写真を使用し、その平均値を用いた。
【0076】
(2)平面性(カール性)
厚み30μm以上の積層シートを100mm×幅100mmに切り出して、平面に無荷重の状態で横から見て凹となるように置き、シートの四隅浮き上がり高さを測長した。そのときの合計値をカール高さとして、次のように判定した。
カールの4隅高さ合計値が20mm未満の場合:S
カールの4隅高さ合計値が20mm以上50mm未満の場合:A
カールの4隅高さ合計値が50mm以上100mm未満の場合:B
カールの4隅高さ合計値が100mm以上の場合:C
S〜Bが良好であり、その中でもSが最も優れている。
【0077】
(3)酸化チタン粒子の含有率Wt1、Wt2
積層シートからP1層、P3層のそれぞれを削るか、または剥がしてP1層およびP3層を分離し、それらについて、以下の方法でP1層の無機粒子含有率Wt1、P3層の無機粒子含有率Wt2を求めた。
P1層について、削りだしたものの質量wt1(g)を測定した。次いで、オルトクロロフェノール中に溶解させ、遠心分離により不溶成分のうち、無機粒子を分取した。得られた無機粒子をオルトクロロフェノールにて洗浄、遠心分離した。なお、洗浄作業は、遠心分離後の洗浄液にアセトンを添加しても白濁しなくなるまで繰り返した。得られた無機粒子の質量wt1’(g)を求め、下記(3)式から無機粒子含有率Wt1を測定した。
P1層の無機粒子含有率(質量%)Wt1=(wt1’/wt1)×100・・・(3)
P3層においても溶解させる溶剤をオルト−ジクロロベンゼン(100℃)に変更してP1層の場合と同様の方法で、P3層の無機粒子含有率Wt2を求めた。
【0078】
(4)層間密着性
JIS K 6854−3(1994年版)に基づいて、積層シートの層間密着強度を測定した。ここで、層間とはP1層とP2層の間およびP2層とP3層の間など界面剥離できる層間をいう。積層シートを15mm×150mmに切り出した後、ポリエステル層とオレフィン層の層間密着強度を測定した。ポリエステル層とオレフィン層が剥離出来ない場合は、試験片の端を酢酸エチルに浸して25℃、60%RHの雰囲気下で24時間静置してから測定を行った。なお、剥離方法は90°剥離、測定数はn=3とし、シートの縦方向、横方向のそれぞれについて測定した後、その平均値を層間密着強度E0として、次の様に判定した。
剥離強度が15N/15mm以上の場合:S
剥離強度が10N/15mm以上15N/15mm未満の場合:A
剥離強度が5N/15mm以上10N/15mm未満の場合:B
剥離強度が5N/15mm未満の場合:C
S〜Bが良好であり、その中でもSが最も優れている。
【0079】
(5)耐湿熱試験後の層間密着性
積層シートを15mm×150mmに切り出した後、タバイエスペック(株)製プレッシャークッカーにて、温度120℃、相対湿度100%RHの条件下にて48時間処理を行った。その後、上記(4)項に従って、耐湿熱試験後の層間密着強度E1を測定した。また、上記(4)項で測定した層間密着強度E0と、耐湿熱試験後の層間密着強度E1を用いて、下記(4)式により強度保持率を算出した。
強度保持率(%)=E1/E0×100・・・(4)
得られた強度保持率について、以下のように判定した。
強度保持率が50%以上の場合:S
強度保持率が40%以上50%未満の場合:A
強度保持率が30%以上40%未満の場合:B
強度保持率が30%未満の場合:C
シート破壊により層間密着強度E1の測定が不可:D
S〜Bが良好であり、その中でもSが最も優れている。
【0080】
(6)水蒸気透過率
JIS K 7129のB法(1992年度版)に基づいて、温度40℃、湿度90%RHの条件で、水蒸気透過率を測定した。MOCON社製の水蒸気透過率測定装置PERMATRAN W−TWINを使用して測定した。また、2枚の試験片について各々測定を1回行い、2つの測定値の平均値を水蒸気透過率の値とした。
水蒸気透過率が3g/m・day未満の場合:S
水蒸気透過率が3g/m・day以上、5g/m・day未満の場合:A
水蒸気透過率が5g/m・day以上、10g/m・day以下の場合:B
水蒸気透過率が10g/m・dayを超える場合:C
S〜Bが良好であり、その中でもSが最も優れている。
【0081】
(7)封止材(EVA)との接着強度
JIS K 6854−2(1994年版)に基づいて、EVAシートとの接着力を測定した。積層シートのオレフィン層面にEVAシートを重ね、さらにその上に厚さ3mmの半強化ガラスを重ねて、市販のガラスラミネーターを用いて真空引き後に135℃加熱条件下、29.4N/cm荷重で15分プレス処理をして、疑似太陽電池モジュールサンプルを作製した。EVAシートは、サンビック(株)製の500μm厚シートを用いた。接着強度試験の試験片の幅は10mmとし、剥離方法は180°剥離、測定数はn=3として、3つの測定値の平均値を接着強度の値として、次の様に判定した。
接着強度が60N/10mm以上の場合:SS
接着強度が40N/10mm以上60N/10mm未満の場合:S
接着強度が30N/10mm以上40N/10mm未満の場合:A
接着強度が20N/10mm以上30N/10mm未満の場合:B
接着強度が20N/10mm未満の場合:C
SS〜Bが良好であり、その中でもSSが最も優れている。
(8)耐湿熱試験後の封止剤(EVA)との接着強度
積層シートのオレフィン層面にEVAシートを重ね、さらにその上に厚さ3mmの半強化ガラスを重ねて、市販のガラスラミネーターを用いて真空引き後に135℃加熱条件下、29.4N/cm荷重で15分プレス処理をして、疑似太陽電池モジュールサンプルを作製し、タバイエスペック(株)製プレッシャークッカーにて、温度120℃、相対湿度100%RHの条件下にて48時間処理を行った。その後、上記(7)項に従って、耐湿熱試験後のEVAシートとの接着力を測定し、次の様に判定した。
接着強度が60N/10mm以上の場合:SS
接着強度が40N/10mm以上60N/10mm未満の場合:S
接着強度が30N/10mm以上40N/10mm未満の場合:A
接着強度が20N/10mm以上30N/10mm未満の場合:B
接着強度が20N/10mm未満の場合:C
シート破壊により接着強度の測定不可:D
SS〜Bが良好であり、その中でもSSが最も優れている。
(9)耐紫外線性
紫外線処理前の積層シートP1層側から測定したb値をK0、紫外線処理後の積層シートP1層側から測定したb値をKとした時に、下記(5)式により求められる値をP1層側の色調変化Δbとして、この値より積層シートの耐紫外線性を評価した。
Δb=K−K0・・・(5)
紫外線処理は、スガ試験機(株)製キセノンウェザーメーターSC750にて、温度65℃、相対湿度50%RH、強度150W/m(光源:キセノンランプ、波長範囲:290〜400nm)の条件下でP1層側に1000時間照射した。また、b値の求め方は次の通りである。
分光式色差計SE−2000型(日本電色工業(株)製)を用い、JIS Z−8722(2000)に準じて反射モードにて、P1層のb値を測定した。サンプル数はn=5とし、試料測定径を30mmφとして、それぞれのb値を測定して、その平均値を算出した。得られたP1層側の色調変化Δbより積層シートの耐紫外線性について以下のように判定を行った。
色調変化Δbが3以下の場合:S
色調変化Δbが3より大きく6以下の場合:A
色調変化Δbが6より大きく10以下の場合:B
色調変化Δbが10より大きい場合:C
S〜Bが良好であり、その中でもSが最も優れている。
【0082】
(10)平均相対反射率
分光光度計U−3410(日立製作所(株)製)を用いて、400〜700nmの範囲の分光反射率を10nm間隔で測定し、その平均値を平均相対反射率とした。サンプル数はn=5とし、それぞれの平均相対反射率を測定して、その平均値を算出した。測定ユニットはφ60mmの積分球(型番130−0632)を使用し、10°傾斜スペーサーを取り付けた。また、標準白色板には酸化アルミニウム(型番210−0740)を使用した。なお、積層シートである場合には、積層シートのポリエステル系樹脂層側から測定する。
平均相対反射率が80%以上の場合:S
平均相対反射率が60%以上80%未満の場合:A
平均相対反射率が30%以上60%未満の場合:B
平均相対反射率が30%未満の場合:C
S〜Bが良好であり、その中でもSが最も優れている。
【0083】
(11)部分放電電圧
部分放電試験器KPD2050(菊水電子工業(株)製)を用いて、部分放電電圧を求めた。なお試験条件は下記のとおりとする。
・出力シートにおける出力電圧印加パターンは、1段階目が0Vから所定の試験電圧までの単純に電圧を上昇させるパターン、2段階目が所定の試験電圧を維持するパターン、3段階目が所定の試験電圧から0Vまでの単純に電圧を降下させるパターンの3段階からなるパターンのものを選択する。
・周波数は50Hzとする。試験電圧は1kVとする。
・1段階目の時間T1は10sec、2段階目の時間T2は2sec、3段階目の時間T3は10secとする。
・パルスカウントシートにおけるカウント方法は「+」(プラス)、検出レベルは50%とする。
・レンジシートにおける電荷量はレンジ1000pcとする。
・プロテクションシートでは、電圧のチェックボックスにチェックを入れた上で2kVを入力する。また、パルスカウントは100000とする。
・計測モードにおける開始電圧は1.0pc、消滅電圧は1.0pcとする。
なお、測定はフィルム面内において任意の10カ所で測定を実施し、その平均値を、部分放電電圧V0とした。また、測定試料は、23℃、65%Rhの室内で一晩放置したものを用いて測定を実施した。
部分放電電圧が950V以上の場合:S
部分放電電圧が700V以上950V未満の場合:A
部分放電電圧が300V以上700V未満の場合:B
部分放電電圧が300V未満の場合:C
S〜Bが良好であり、その中でもSが最も優れている。
【0084】
(12)数平均分子量
ゲル浸透クロマトグラフィーにより求められる値であって、PET−DMT(標準品)を用いて分子量校正曲線を作成し、その分子量校正曲線を基にして得られる値のことである。まず、カラムとしてShodex HFIP 80M (昭和電工(株)製)を2本、検出器としてR−401型示差屈折率器(WATERS社製)を搭載したゲル浸透クロマトグラフ GCP−244(WATERS社製)を使用し、PET−DMT(標準品)を用いて室温(23℃)でGPC測定を実施する。得られた溶出容積(V)及び分子量(M)を用いて下記式(6)の3次の近似式の係数(A)を計算して校正曲線を作図する。
Log(M)=A+AV+A+A+A ・・・(6)
次に、溶媒としてヘキサフルオロプロパノール(0.005N−トリフルオロ酢酸ソーダ)を用い、ポリエステルを0.06質量%となるように溶解させた溶液を作成し、その溶液を用いてGPC測定を行う。測定条件は、インジェクション量0.300ml、流速は0.5ml/minで実施した。
得られた溶出曲線分子量曲線と分子量校正曲線を重ね合わせ、各流出時間に対応する分子量を求め、下記式(7)により算出した値を、数平均分子量とする。
数平均分子量(Mn)=ΣNiMi/ΣNi ・・・(7)
(ここで、Niはモル分率、Miは分子量較正曲線を介して得られたGPC曲線の各溶出位置の分子量である。)なお、かかる測定に使用されるポリエステル層に、有機微粒子、無機微粒子、金属、金属塩、その他添加剤等で溶媒に不溶な成分を含んでいる場合には、フィルターによる濾過や、遠心分離などにより、不溶成分の除去を行った後に、溶液を再度調製して測定した値である。また、該ポリエステル層に可塑剤、界面活性剤、染料などの添加剤を含んでいる可能性がある場合は、不溶成分を除去した後に、最沈殿法、再結晶法、クロマトグラフィー法、抽出法等により、前記同様にかかる不溶添加剤を除去した後に、再度溶液を調製して測定した値である。また、ポリエステル層が積層構造の場合は、他の層を剥離したり、顕微鏡観察しながら該当フィルムを研磨したりしてポリエステル層のみとしたサンプルを用いて測定を実施した値である。
【0085】
(13)融解ピーク前の微少吸熱ピーク温度Tmeta、融点Tm
示差走査熱量測定(以下、DSC)により得られる、昇温過程(昇温速度:20℃/min)で求まる値であり、JIS K−7121(1999)に基づいた方法により、25℃から300℃まで20℃/分の昇温速度で昇温して得られた示差走査熱量測定チャートにおける結晶融解ピーク前の微少吸熱ピーク温度をTmeta、さらに300℃の状態で5分間保持し、次いで25℃以下となるよう急冷し、再度25℃から300℃まで20℃/分の昇温速度で昇温して得られた示差走査熱量測定チャートにおける結晶融解ピークにおけるピークトップの温度をTmとする。
【0086】
(14)加工適性
太陽電池モジュールの製造方法として、透明基材/第1の封止材/発電素子/第2の封止材/積層シートの順に重ね、真空ラミネート装置を用いて真空ラミネートすることにより太陽電池モジュールを製造する。ラミネート条件;150℃、真空状態時間5分、プレス時間10分で100個太陽電池モジュールを作製し、太陽電池モジュールの製造工程における加工適性を下記基準で評価した。
合格品の太陽電池モジュールが95個以上の場合:S
合格品の太陽電池モジュールが90〜94個の場合:A
合格品の太陽電池モジュールが80〜89個の場合:B
合格品の太陽電池モジュールが79個以下の場合:C
S〜Bが良好であり、その中でもSが最も優れている。
【0087】
(15)固有粘度IV
オルトクロロフェノール100mlに、P1層を溶解させ(溶液濃度C=1.2g/ml)、その溶液の25℃での粘度をオストワルド粘度計を用いて測定した。また、同様に溶媒の粘度を測定した。得られた溶液粘度、溶媒粘度を用いて、下記式(8)により、[η]を算出し、得られた値でもって固有粘度(IV)とした。
ηsp/C=[η]+K[η]・C ・・・(8)
(ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)―1、Kはハギンス定数(0.343とする)である。)。
(16)COOH末端基量
P1層のCOOH末端基量について、 Mauliceの方法によって測定した。(文献M.J. Maulice, F. Huizinga, Anal.Chim.Acta,22 363(1960))
【実施例】
【0088】
以下、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明は必ずしもこれらに限定され
るものではない。なお、以下実施例14は参考例とする。
【0089】
(ポリエステル系樹脂原料)
1.PET−A原料(実施例1〜7、10〜35、比較例1〜3、5〜10)
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸100mol%、ジオール成分としてエチレングリコール100mol%を用い、触媒として酢酸マグネシウム、三酸化アンチモン、亜リン酸を用いて重縮合反応を行った。次いで、得られたポリエチレンテレフタレートを160℃で6時間乾燥、結晶化させたのち、220℃、真空度0.3Torr、9時間の固相重合を行い、融点255℃、固有粘度0.80、COOH末端基量10eq./tのポリエチレンテレフタレート(PET−A)原料を得た。
【0090】
2.PET−B原料(実施例36)
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸100mol%、ジオール成分としてエチレングリコール100mol%を用い、触媒として酢酸マグネシウム、三酸化アンチモン、亜リン酸を用いて重縮合反応を行った。次いで、得られたポリエチレンテレフタレートを160℃で6時間乾燥、結晶化させ、融点255℃、固有粘度0.65、COOH末端基量25eq./tのポリエチレンテレフタレート(PET−B)原料を得た。
【0091】
3.PET−C原料(実施例37)
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸100mol%、ジオール成分としてエチレングリコール100mol%を用い、触媒として酢酸マグネシウム、三酸化アンチモン、亜リン酸を用いて重縮合反応を行った。次いで、得られたポリエチレンテレフタレートを160℃で6時間乾燥、結晶化させたのち、220℃、真空度0.3Torr、12時間の固相重合を行い、融点255℃、固有粘度1.18、COOH末端基量15eq./tのポリエチレンテレフタレート(PET−C)原料を得た。
【0092】
4.PEN原料(実施例8)
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル100質量部とエチレングリコール60質量部の混合物に、酢酸マンガン・4水和物塩0.03質量部を添加し、150℃の温度から240℃の温度に徐々に昇温しながらエステル交換反応を行った。途中、反応温度が170℃に達した時点で三酸化アンチモン0.024質量部を添加した。また、反応温度が220℃に達した時点で3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩0.042質量部(2mmol%に相当)を添加した。その後、引き続いてエステル交換反応を行い、トリメチルリン酸0.023質量部を添加した。次いで、反応生成物を重合装置に移し、290℃の温度まで昇温し、30Paの高減圧下にて重縮合反応を行い、重合装置の撹拌トルクが所定の値(重合装置の仕様によって具体的な値は異なるが、本重合装置にて固有粘度0.65のポリエチレン−2,6−ナフタレートが示す値を所定の値とした)を示した。次いで、得られたポリエチレンテレフタレートを160℃で6時間乾燥、結晶化させたのち、220℃、真空度0.3Torr、9時間の固相重合を行い、融点255℃、固有粘度0.70、COOH末端基量25eq./tのポリエチレンナフタレート(PEN)原料を得た。
【0093】
5.PBT原料(実施例9)
東レ社製トレコン1200Mを用いた。融点255℃、固有粘度1.23、COOH末端基量23eq./tであった。
【0094】
6.PETベース酸化チタンマスターA(実施例1〜7、実施例11〜35、比較例5〜10)
上記1.項によって得られたPET−A原料100質量部と、平均粒子径210nmのルチル型酸化チタン粒子100質量部を、ベントした290℃の押出機内で溶融混練し、酸化チタン原料(PETa−TiO)を作製した。
【0095】
7.PETベース酸化チタンマスターB(実施例36)
上記2.項によって得られたPET−B原料100質量部と、平均粒子径210nmのルチル型酸化チタン粒子100質量部を、ベントした290℃の押出機内で溶融混練し、酸化チタン原料(PETb−TiO)を作製した。
【0096】
8.PETベース酸化チタンマスターC(実施例37)
上記3.項によって得られたPET−C原料100質量部と、平均粒子径210nmのルチル型酸化チタン粒子100質量部を、ベントした290℃の押出機内で溶融混練し、酸化チタン原料(PETc−TiO)を作製した。
【0097】
9.PENベース酸化チタンマスター(実施例8)
上記4.項によって得られたPEN原料100質量部と、平均粒子径210nmのルチル型酸化チタン粒子100質量部を、ベントした300℃の押出機内で溶融混練し、酸化チタン原料(PEN−TiO)を作製した。
【0098】
10.PBTベース酸化チタンマスター(実施例9)
上記5.項によって得られたPBT原料100質量部と、平均粒子径210nmのルチル型酸化チタン粒子100質量部を、ベントした260℃の押出機内で溶融混練し、酸化チタン原料(PBT−TiO)を作製した。
【0099】
(接着層用塗剤の調製)
1.塗剤A(実施例1〜13、19〜37、比較例2、5〜10)
水を希釈溶剤として、固形分比で無水マレイン酸変性ポリプロピレン(無水マレイン酸変性PP)樹脂水分散体が50質量%、水性ポリウレタン系樹脂塗料が48質量%、エポキシ架橋剤が2質量%、フッ素系界面活性剤、互応化学社製、プラスコートRY−2が0.2質量%の割合となるように配合し、固形分15質量%のエマルジョン溶液を作製した。
2.塗剤B(実施例14)
水を希釈溶剤として、固形分比で水性ポリウレタン系樹脂塗料が96質量%、エポキシ架橋剤が4質量%、フッ素系界面活性剤、互応化学社製、プラスコートRY−2が0.2質量%の割合となるように、固形分15質量%のエマルジョン溶液を作製した。
3.塗剤C(実施例15)
水を希釈溶剤として、固形分比で無水マレイン酸変性ポリプロピレン(無水マレイン酸変性PP)樹脂水分散体が5質量%、水性ポリウレタン系樹脂塗料が93質量%、エポキシ架橋剤が2質量%、フッ素系界面活性剤、互応化学社製、プラスコートRY−2が0.2質量%の割合となるように配合し、固形分15質量%のエマルジョン溶液を作製した。
4.塗剤D(実施例16)
無水マレイン酸変性ポリプロピレン(無水マレイン酸変性PP)樹脂水分散体が50質量%、水性ポリウレタン系樹脂塗料が50質量%、フッ素系界面活性剤、互応化学社製、プラスコートRY−2が0.2質量%の割合となるように配合した事以外は塗剤Cと同様にして、固形分15質量%のエマルジョン溶液を作製した。
5.塗剤E(実施例17)
無水マレイン酸変性ポリプロピレン(無水マレイン酸変性PP)樹脂水分散体が88質量%、水性ポリウレタン系樹脂塗料が10質量%、エポキシ架橋剤が2質量%、フッ素系界面活性剤、互応化学社製、プラスコートRY−2が0.2質量%の割合となるように配合したこと以外は塗剤Cと同様にして、固形分15質量%のエマルジョン溶液を作製した。
6.塗剤F(実施例18)
無水マレイン酸変性ポリプロピレン(無水マレイン酸変性PP)樹脂水分散体が89質量%、水性ポリウレタン系樹脂塗料が9質量%、エポキシ架橋剤が2質量%、フッ素系界面活性剤、互応化学社製、プラスコートRY−2が0.2質量%の割合となるように配合したこと以外は塗剤Cと同様にして、固形分15質量%の溶液を作製した。
【0100】
(オレフィン原料)
1.EPBC(実施例1〜19、22〜37、比較例3〜10;P31層、実施例20〜21;P32層、実施例23、実施例35;P33層)
エチレンを3.5質量%、ブテンを4.0質量%の割合で共重合し、融点(以下、Tm)が160℃、230℃でのメルトフロートレート(以下、MFR)が6g/10minのEPBCを用いた。
【0101】
2.PP(実施例1〜19、実施例22〜24、実施例27〜37、比較例5〜10;P32層)
Tmが165℃、230℃でのMFRが7g/10minのホモPPを用いた。
【0102】
3.EPC(実施例1〜20、実施例22、実施例24〜34、実施例37、比較例5〜10;P33層、実施例19;P31層)
エチレンを4.2質量%の割合で共重合し、Tmが142℃、230℃でのMFRが6g/10minのEPCを用いた。
【0103】
4.LLDPE(実施例1〜20、実施例22、実施例24〜34、実施例37、比較例5〜10;P33層、実施例19;P31層)
Tmが115℃、190℃でのMFRが3g/10minのLLDPEを用いた。
【0104】
5.ポリオレフィン系エラストマーA(実施例24)
Tmが160℃、230℃でのMFRが6g/10min、密度が0.9kg/mの非架橋エラストマー樹脂を用いた。
6.ポリオレフィン系エラストマーB(実施例34〜35;P31層、実施例35;P33層)
Tmが59℃、190℃でのMFRが5.0dg/min、密度が0.87kg/mのオレフィン系エラストマー樹脂を用いた。
【0105】
7.酸変性オレフィン(実施例22)
Tmが120℃、190℃でのMFRが3.5g/10min、密度が0.9g/mの酸変性オレフィン樹脂を用いた。
【0106】
8.PPベース酸化チタンマスター(実施例1〜19、実施例22〜24、実施例27〜37、比較例5〜10)
PP樹脂100質量部と、平均粒子径210nmのルチル型酸化チタン粒子100質量部を、ベントした300℃の押出機内で溶融混練し、酸化チタン原料(PP−TiO)を作製した。
【0107】
9.EPBCベース酸化チタンマスター(実施例20、実施例21、実施例25)
EPBC樹脂100質量部と、平均粒子径210nmのルチル型酸化チタン粒子100質量部を、ベントした300℃の押出機内で溶融混練し、酸化チタン原料(EPBC−TiO)を作製した。
【0108】
(実施例1〜2、4〜7、10〜19、22〜25、27〜35、比較例5〜10)
180℃で2時間真空乾燥した『(ポリエステル系樹脂原料)』の項に記載の『PET原料A』と『PETベース酸化チタンマスターA』を表1の濃度となるように調合し290℃の押出機内で溶融混練し、Tダイ口金に導入した。次いで、Tダイ口金よりシート状に溶融押出して表面温度25℃に保たれたドラム上に静電印加法で密着冷却固化させて、未延伸単層フィルムを得た。続いて、該未延伸単層フィルムを80℃の温度に加熱したロール群で予熱した後、85℃の温度の加熱ロールを用いて長手方向(縦方向)に3.3倍に延伸し、25℃の温度のロール群で冷却して一軸延伸フィルムを得た。一軸延伸したフィルムにコロナ処理を施した後、『(接着層用塗剤の調製)』の項に記載の塗剤のうち実施例、比較例の番号に対応した塗剤を#8のメタリングバーにて塗布した。
【0109】
得られた一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内の90℃の温度の予熱ゾーンに導き、引き続き連続的に100℃に保たれた加熱ゾーンで長手方向に直角な方向(幅方向)に3.8倍に延伸した。さらに引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンで200℃で20秒間の熱処理を施し、さらに210℃で4%幅方向に弛緩処理を行った。次いで、均一に徐冷し、二軸延伸フィルムを得た。P1層のフィルム厚さ、固有粘度IV、COOH末端基量とP2層の接着層厚みは表1に示す通りであった。
【0110】
次に、押出機1、押出機2および押出機3を用い、『(オレフィン原料)』の項に記載の各オレフィン原料を用いて表1に示すP31層,P32層,P33層の組成となるようにそれぞれ300℃の押出機内で溶融混練し、P31層/P32層/P33層の順に積層されるようマルチマニホールドにて各層を合流させ、積層比が順に1/4/1となるように口金から吐出された樹脂を表面温度15℃に保たれたドラム上にキャストした直後に、上記で得られた二軸延伸PETフィルムの接着層面と圧着して押し出しラミネ−ト積層し、表1の構成の積層シートを作成した。
【0111】
得られた積層シートについて、特性評価を行った。その結果、表2に示す通り、平面性、層間密着性など各種特性に優れるシートであることがわかった。
【0112】
実施例2はP2層の厚みが薄く初期の層間密着性がやや劣る特性であった。
【0113】
実施例4は厚み比P1/P3が小さいため平面性がやや劣る特性であった。
【0114】
実施例5は厚み比P1/P3が大きいため水蒸気透過率がやや劣る特性であった。
【0115】
実施例6はトータルの厚みが薄く水蒸気透過率や部分放電電圧がやや劣る特性であった。
【0116】
実施例7はトータルの厚みが厚く加工適性がやや劣る特性であった。
【0117】
実施例10はP1層が酸化チタンを含まないため耐紫外線性が劣る特性であった。
【0118】
実施例11〜14はP1層の酸化チタン濃度を変更したため、耐紫外線性や初期の層間密着性がやや劣る特性であった。
【0119】
実施例15はP2層のW2a/W2bの比が小さいため、初期の層間密着性がA判定であった。
【0120】
実施例16はP2層に架橋剤エポキシが含まれないため、耐湿熱試験後の層間密着性がやや劣る特性であった。
【0121】
実施例17、18はP2層のW2a/W2bの比が大きいため、初期の層間密着性がAまたはB判定であった。
【0122】
実施例19はP3層のオレフィン種を変更したため、初期の層間密着性がA判定であった。
【0123】
実施例22〜25、実施例34〜35はP3層のオレフィン種を変更したため、特性が実施例1同等以上であった。
【0124】
実施例27〜29はP3層の酸化チタン濃度を変更したため、平均相対反射率またはEVAとの接着強度がやや劣る特性であった。
【0125】
実施例30〜33はP1層の厚みを変更したため、水蒸気透過率や加工適性でやや劣る特性となるものがあった。
【0126】
比較例5はP2層の厚みが薄く初期の層間密着性に劣る特性であった。
【0127】
比較例6はP2層の厚みが厚く初期の層間密着性に劣る特性であった。
【0128】
比較例7は厚み比P1/P3が小さいため平面性に劣る特性であった。
【0129】
比較例8は厚み比P1/P3が大きいため水蒸気透過率に劣る特性であった。
【0130】
比較例9はトータルの厚みが薄く水蒸気透過率や部分放電電圧に劣る特性であった。
【0131】
比較例10はトータルの厚みが厚く加工適性が劣る特性であった。
【0132】
(実施例3)
180℃で2時間真空乾燥した『(ポリエステル系樹脂原料)』の項に記載の『PET原料A』と『PETベース酸化チタンマスターA』を表1の濃度となるように調合し290℃の押出機内で溶融混練し、Tダイ口金に導入した。次いで、Tダイ口金よりシート状に溶融押出して表面温度25℃に保たれたドラム上に静電印加法で密着冷却固化させて、未延伸単層フィルムを得た。続いて、該未延伸単層フィルムを80℃の温度に加熱したロール群で予熱した後、85℃の温度の加熱ロールを用いて長手方向(縦方向)に3.3倍に延伸し、25℃の温度のロール群で冷却して一軸延伸フィルムを得た。得られた一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内の90℃の温度の予熱ゾーンに導き、引き続き連続的に100℃に保たれた加熱ゾーンで長手方向に直角な方向(幅方向)に3.8倍に延伸した。さらに引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンで200℃で20秒間の熱処理を施し、さらに210℃で4%幅方向に弛緩処理を行った。次いで、均一に徐冷し、フィルム厚さ150μmの二軸延伸フィルムを得た。P1層の固有粘度IV、COOH末端基量は表1に示す通りであった。
【0133】
上記で得られたフィルムの片面に、塗剤Aを下記塗工条件でグラビアコーターを用いて塗工し、接着層を設けた。
塗工条件:乾燥膜厚3.0μm、乾燥オーブン設定温度120℃
エージング:塗布、巻き取り後、40℃の室内下で2日間エージング
次に、押出機1、押出機2および押出機3を用い、『(オレフィン原料)』の項に記載の各オレフィン原料を用いて表1に示すP31層,P32層,P33層の組成となるようにそれぞれ300℃の押出機内で溶融混練し、P31層/P32層/P33層の順に積層されるようマルチマニホールドにて各層を合流させ、積層比が順に1/4/1となるように口金から吐出された樹脂を表面温度15℃に保たれたドラム上にキャストした直後に、上記で得られた二軸延伸PETフィルムの接着層面と圧着して押し出しラミネ−ト積層し、表1の構成の積層シートを作成した。
【0134】
得られた積層シートについて、特性評価を行った。その結果、表2に示す通り、P2層の厚みが厚く初期の層間密着性がやや劣る特性であった。
【0135】
(実施例8)
180℃で2時間真空乾燥した『(ポリエステル系樹脂原料)』の項に記載の『PEN原料』と『PENベース酸化チタンマスター』を表1の濃度となるように調合し300℃の押出機内で溶融混練し、Tダイ口金に導入した。次いで、Tダイ口金よりシート状に溶融押出して表面温度25℃に保たれたドラム上に静電印加法で密着冷却固化させて、未延伸単層フィルムを得た。続いて、該未延伸単層フィルムを130℃の温度に加熱したロール群で予熱した後、145℃の温度の加熱ロールを用いて長手方向(縦方向)に4.2倍に延伸し、25℃の温度のロール群で冷却して一軸延伸フィルムを得た。一軸延伸したフィルムにコロナ処理を施した後、塗剤Aを#8のメタリングバーにて塗布した。
【0136】
得られた一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内の135℃の温度の予熱ゾーンに導き、引き続き連続的に145℃に保たれた加熱ゾーンで長手方向に直角な方向(幅方向)に4.5倍に延伸した。さらに引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンで200℃で20秒間の熱処理を施し、さらに210℃で4%幅方向に弛緩処理を行った。次いで、均一に徐冷し、二軸延伸フィルムを得たこと以外は、実施例1と同様に積層シートを得た。得られた積層シートについて、特性評価を行った。その結果、表2に示す通り、平面性など各種特性に優れるシートであることがわかった。
【0137】
(実施例9)
180℃で2時間真空乾燥した『(ポリエステル系樹脂原料)』の項に記載の『PBT原料』と『PBTベース酸化チタンマスター』を表1の濃度となるように調合し260℃の押出機内で溶融混練し、Tダイ口金に導入した。次いで、Tダイ口金よりシート状に溶融押出して表面温度25℃に保たれたドラム上に静電印加法で密着冷却固化させて、150μmの未延伸単層フィルムを得た。上記で得られたフィルムの片面に、塗剤Aを下記塗工条件でグラビアコーターを用いて塗工し、接着層を設けたこと以外は、実施例1と同様に積層シートを得た。
塗工条件:乾燥膜厚0.4μm、乾燥オーブン設定温度120℃
エージング:塗布、巻き取り後、40℃の室内下で2日間エージング
得られた積層シートについて、特性評価を行った。その結果、表2に示す通り、平面性など各種特性に優れるシートであることがわかった。
(実施例20)
P3層の工程において、押出機1、2を用い、P32層となる『(オレフィン原料)』の項に記載の『EPBC』と『EPBCベース酸化チタンマスター』を表1に示すP32層の組成となるように押出機1へ、P33層となる『(オレフィン原料)』の項に記載の『EPC』と『LLDPE』を押出機2へ表1に示すP33層の組成となるように投入し、それぞれ300℃の押出機内で溶融混練し、積層比が順に4/1となるように口金から吐出したこと以外は、実施例1と同様にして表1の構成の積層シートを作成した。得られた積層シートについて特性評価を行ったところ、表2に示す通り、P3層のオレフィン種を変更したため、層間密着性や充填剤との接着強度がやや劣る特性であった。
(実施例21)
P3層の工程において、押出機1を用い、『(オレフィン原料)』の項に記載の『EPBC』と『EPBCベース酸化チタンマスター』を表1に示すP32層の組成となるように300℃の押出機内で溶融混練し、口金から吐出したこと以外は、実施例1と同様にして表1の構成の積層シートを作成した。得られた積層シートについて特性評価を行ったところ、表2に示す通り、P3層のオレフィン種を変更したため、初期の層間密着性やEVAとの接着強度がやや劣る特性であった。
【0138】
(実施例26)
P3層の工程において、押出機1、2を用い、P31層となる『(オレフィン原料)』の項に記載の『EPBC』を押出機1へ、P33層となる『(オレフィン原料)』の項に記載の『EPC』と『LLDPE』を表1に示すP33層の組成となるように押出機2へ投入し、それぞれ300℃の押出機内で溶融混練し、積層比が順に1/1となるように口金から吐出したこと以外は、実施例1と同様にして表1の構成の積層シートを作成した。得られた積層シートについて特性評価を行ったところ、表2に示す通り、P3層の酸化チタン濃度を変更したため、平均相対反射率がA判定であった。
(実施例36)
P1層の工程において、180℃で2時間真空乾燥した『(ポリエステル系樹脂原料)』の項に記載の『PET原料B』と『PETベース酸化チタンマスターB』を表1の濃度となるように調合したこと以外は、実施例1と同様にして表1の構成の積層シートを作成した。得られた積層シートについて特性評価を行ったところ、表2に示す通り、P1層の固有粘度IV、COOH末端基量が変化したため、耐湿熱試験後の層間密着試験時、ならびに耐湿熱試験後のEVA密着試験時にP1層が破壊し、密着強度の測定が不可能であったが、P1層が破壊されなければ密着強度は良好である。
(実施例37)
P1層の工程において、180℃で2時間真空乾燥した『(ポリエステル系樹脂原料)』の項に記載の『PET原料C』と『PETベース酸化チタンマスターC』を表1の濃度となるように調合したこと以外は、実施例1と同様にして表1の構成の積層シートを作成した。その結果、P1層を形成するPET原料の固有粘度IVが高いため、P1層の製膜工程において押出機の濾圧が上昇し、さらに延伸工程でのフィルム延伸性、平面性が悪くなった。得られた積層シートについて特性評価を行ったところ、P1層の平面性が悪くなったことにより、層間密着性がやや劣る結果であった。
(比較例1)
180℃で2時間真空乾燥した『(ポリエステル系樹脂原料)』の項に記載の『PET原料A』を290℃の押出機内で溶融混練し、Tダイ口金に導入した。次いで、Tダイ口金よりシート状に溶融押出して表面温度25℃に保たれたドラム上に静電印加法で密着冷却固化させて、未延伸単層フィルムを得た。続いて、該未延伸単層フィルムを80℃の温度に加熱したロール群で予熱した後、85℃の温度の加熱ロールを用いて長手方向(縦方向)に3.3倍に延伸し、25℃の温度のロール群で冷却して一軸延伸フィルムを得た。得られた一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内の90℃の温度の予熱ゾーンに導き、引き続き連続的に100℃に保たれた加熱ゾーンで長手方向に直角な方向(幅方向)に3.8倍に延伸した。さらに引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンで200℃で20秒間の熱処理を施し、さらに210℃で4%幅方向に弛緩処理を行った。次いで、均一に徐冷し、フィルム厚さ150μmの二軸延伸フィルムを得た。得られた積層シートについて、特性評価を行った。その結果、表2に示す通り、水蒸気透過率などが劣るシートであることがわかった。
【0139】
(比較例2)
180℃で2時間真空乾燥した『(ポリエステル系樹脂原料)』の項に記載の『PET原料A』を290℃の押出機内で溶融混練し、Tダイ口金に導入した。次いで、Tダイ口金よりシート状に溶融押出して表面温度25℃に保たれたドラム上に静電印加法で密着冷却固化させて、未延伸単層フィルムを得た。続いて、該未延伸単層フィルムを80℃の温度に加熱したロール群で予熱した後、85℃の温度の加熱ロールを用いて長手方向(縦方向)に3.3倍に延伸し、25℃の温度のロール群で冷却して一軸延伸フィルムを得た。一軸延伸したフィルムにコロナ処理を施した後、塗剤Aを#8のメタリングバーにて塗布した。
【0140】
得られた一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内の90℃の温度の予熱ゾーンに導き、引き続き連続的に100℃に保たれた加熱ゾーンで長手方向に直角な方向(幅方向)に3.8倍に延伸した。さらに引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンで200℃で20秒間の熱処理を施し、さらに210℃で4%幅方向に弛緩処理を行った。次いで、均一に徐冷し、P1層のフィルム厚さ150μm、P2層の接着層厚み0.4μmの二軸延伸フィルムを得た。得られた積層シートについて、特性評価を行った。その結果、表2に示す通り、水蒸気透過率などが劣るシートであることがわかった。
【0141】
(比較例3)
180℃で2時間真空乾燥した『(ポリエステル系樹脂原料)』の項に記載の『PET原料A』を290℃の押出機内で溶融混練し、Tダイ口金に導入した。次いで、Tダイ口金よりシート状に溶融押出して表面温度25℃に保たれたドラム上に静電印加法で密着冷却固化させて、未延伸単層フィルムを得た。続いて、該未延伸単層フィルムを80℃の温度に加熱したロール群で予熱した後、85℃の温度の加熱ロールを用いて長手方向(縦方向)に3.3倍に延伸し、25℃の温度のロール群で冷却して一軸延伸フィルムを得た。得られた一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内の90℃の温度の予熱ゾーンに導き、引き続き連続的に100℃に保たれた加熱ゾーンで長手方向に直角な方向(幅方向)に3.8倍に延伸した。さらに引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンで200℃で20秒間の熱処理を施し、さらに210℃で4%幅方向に弛緩処理を行った。次いで、均一に徐冷し、フィルム厚さ150μmの二軸延伸フィルムを得た。
【0142】
次に、押出機1を用い、表1に示すP31層の樹脂を300℃の押出機内で溶融し、口金から吐出された樹脂を表面温度15℃に保たれたドラム上にキャストした直後に、上記で得られた二軸延伸PETフィルムの接着層面と圧着して押し出しラミネ−ト積層し、表1の構成の積層シートを作成した。得られた積層シートについて、特性評価を行った。その結果、表2に示す通り、初期の層間密着性などが劣るシートであることがわかった。
【0143】
(比較例4)
P3層の工程において押出機1を用い、表1に示すP31層の樹脂を300℃の押出機内で溶融し、口金から吐出された樹脂を表面温度15℃に保たれたドラム上にキャストし、表1の構成のシートを作成した。得られたシートについて、特性評価を行った。その結果、表2に示す通り、耐紫外線性などが劣るシートであることがわかった。
【0144】
【表1-1-1】
【0145】
【表1-1-2】
【0146】
【表1-2-1】
【0147】
【表1-2-2】
【0148】
【表2-1】
【0149】
【表2-2】
【符号の説明】
【0150】
1:バックシート
2:封止材
3:発電素子
4:透明基板
5:太陽電池バックシートの封止材2側の面
6:太陽電池バックシートの封止材2と反対側の面
図1