特許第6051881号(P6051881)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6051881
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】内燃機関とEGRガス混合装置
(51)【国際特許分類】
   F02M 26/19 20160101AFI20161219BHJP
   F02M 26/06 20160101ALI20161219BHJP
   F02M 35/10 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   F02M26/19 331
   F02M26/06 311
   F02M26/06 321
   F02M35/10 311E
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-4657(P2013-4657)
(22)【出願日】2013年1月15日
(65)【公開番号】特開2014-136977(P2014-136977A)
(43)【公開日】2014年7月28日
【審査請求日】2015年12月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100066865
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 信一
(74)【代理人】
【識別番号】100066854
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 賢照
(74)【代理人】
【識別番号】100117938
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 謙二
(74)【代理人】
【識別番号】100138287
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 功
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(74)【代理人】
【識別番号】100068685
【弁理士】
【氏名又は名称】斎下 和彦
(72)【発明者】
【氏名】飯島 章
【審査官】 川口 真一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−220127(JP,A)
【文献】 特開2011−106291(JP,A)
【文献】 特開2013−002377(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/028802(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 26/19
F02M 26/06
F02M 35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
新気が流れる吸気通路の中途位置で、この吸気通路とEGRガスが流れるEGR通路との合流地点に配置されたEGRガス混合装置において、
入口から出口に向かって縮径し、その入口にEGRガスが混合される前の新気が流れる第一吸気通路が接続されているベンチェリ部と、このベンチェリ部の外周を環状に覆い、径方向外側に前記EGR通路が接続されている合流部とを備えていて、
前記ベンチェリ部の出口、前記合流部の出口、及びEGRガスが混合された後の新気が流れる第二吸気通路の入口が連通し、前記ベンチェリ部の出口が上面、前記合流部の出口が側面、及び前記第二吸気通路の入口が前記上面よりも面積の大きい下面の円錐台が形成されていて、
前記側面の面積が前記上面の面積よりも大きいことを特徴とするEGRガス混合装置。
【請求項2】
前記側面の面積と、前記上面の面積との比率(側面の面積/上面の面積)が、4.5以上、4.9以下に設定されていることを特徴とする請求項1に記載のEGRガス混合装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のEGRガス混合装置を備えたことを特徴とする内燃機関。
【請求項4】
前記EGR通路が、ターボチャージャのタービンの下流側の排気通路から分岐して、前記ターボチャージャのコンプレッサの上流側の前記吸気通路に合流する低圧EGR通路であることを特徴とする請求項3に記載の内燃機関。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターボチャージャのタービンを通過した後の低圧のEGRガスを、ターボチャージャのコンプレッサの上流側の吸気通路を流れる新気に混合する内燃機関と、EGRガスと新気とを混合するEGRガス混合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジン(内燃機関)には、エンジンから排出される排気ガスの一部を新気に混合させて、排気ガス中のNOx(窒素酸化物)を低減するEGR(排気ガス再循環)システムが搭載されている。
【0003】
このEGRシステムには、ターボチャージャのタービンの上流側の排気ガス通路から分岐した高圧EGR通路からインテークマニホールドに、比較的高温のEGRガスを還流するHP−EGR(高圧EGR)システムがある。
【0004】
このHP−EGRシステムを搭載したエンジンにおいて、コンプレッサにより圧力が高くなった新気にEGRガスを混合する装置がある(例えば、特許文献1、及び特許文献2参照)。
【0005】
特許文献1に記載の装置は、燃焼用空気供給部と、排気マニホルドと、前記燃焼用空気供給部に接続され且つ連絡された燃焼用空気吸気口、前記排気マニホルドに接続且つ連絡された排気ガス吸気口、排気口、ベンチュリ・スロートで終端し且つ前記燃焼用空気吸気口と連絡されたベンチュリ区間、前記ベンチュリ区間と前記排気口との間に位置され且つそれらと連絡された膨張部、及び、前記膨張部内で前記ベンチュリ・スロートに近接して終端する少なくとも1つの吸入ポートを含む吸入ベンチュリとを含む。この装置では、コンプレッサにより高圧化された新気とEGRガスとを混合する際に、適度な量のEGRガスを、ベンチュリ区間を通って流れる新気の流れの中に引き込み、また、EGRガスの新気への拡散を向上させる。加えて、膨張部内における圧力回復も向上させる。
【0006】
特許文献2に記載の装置は、吸気管の途中にベンチュリ部を形成して該ベンチュリ部の外周に環状チャンバを設けると共に、該環状チャンバに対し排気側から排気ガスの一部を抜き出して導くEGRパイプを接続し、前記ベンチュリ部に環状チャンバ内部と吸気管内部とを連通する環状スリットを形成して前記ベンチュリ部を上流側の縮径部と下流側の拡径部とに分割したEGRガス混合装置であって、ベンチュリ部の縮径部の終端に対し拡径部の始端を半径方向外側にずらして段差を形成している。この装置では、高い吸引作用を得ることができるので、大量の排気ガスを吸気に良好に混合し得る。
【0007】
しかし、特許文献1に記載の装置は、EGRガスの出口が斜めに開いているため新気の流れを阻害するという問題と、EGRガスの出口面積がベンチュリ絞り部面積に比して狭く、EGRガスと新気とが混合する際にEGRガスの流速が加速するので、新気の流れの阻害の程度がさらに大きくなるという問題がある。よって、特許文献1に記載の装置ではEGRガスの圧力損失が大きくなる。また、特許文献2に記載の装置も同様に、EGRガスの出口面積がベンチュリ絞り面積に比して狭く、EGRガスの流速が加速するので、EGRガスの圧力損失が大きくなり、燃費を悪化させる。
【0008】
特に、特許文献1及び特許文献2に記載の装置は、HP−EGRシステムで用いられ、排気圧より吸気圧が高い高負荷時ではある程度意味があるが、低負荷時では圧力損失が大きくなり、燃費が悪化する。
【0009】
一方、HP−EGRシステムに対して、ターボチャージャのタービンの下流側から分岐した低圧EGR通路から、ターボチャージャのコンプレッサの上流側の吸気通路に、低温且つ大量のEGRガスを還流するLP−EGR(低圧EGR)システムがある。
【0010】
このLP−EGRシステムとHP−EGRシステムとを併用することにより、エンジンの高負荷運転領域ではHP−EGRシステムを使用し、低負荷運転領域ではLP−EGRシステムを使用することで、NOxを大幅に低減している。
【0011】
しかし、エンジンにLP−EGRシステムを搭載するとよりNOxを低減することができる反面、排気ガスと新気が混合する際に圧力損失が大きくなり、エンジンそのもののポンプ損失が増加して、燃費が悪化するという問題がある。
【0012】
ここで、このLP−EGRシステムを搭載したエンジンについて、図5を参照しながら説明する。このエンジン(内燃機関)1Xは、エンジン本体2に新気を吸入する吸気通路3と、エンジン本体2から排気ガスを排出する排気通路4とを備える。
【0013】
また、このエンジン1Xはターボチャージャ5のタービン6の上流側の排気通路4から分岐したHP−EGR通路7からインテークマニホールド8にEGRガスを還流するHP−EGRシステム9と、タービン6の下流側の排気通路4から分岐したLP−EGR通路10から、ターボチャージャ5のコンプレッサ11の上流側の吸気通路3にEGRガスを還流するLP−EGRシステム12とを備える。
【0014】
エアクリーナー13から吸入された新気は、コンプレッサ11とインタークーラー14を経由して、スロットルバルブ15からインテークマニホールド8に送られる。
【0015】
一方、エンジン本体2から排出された排気ガスの一部は、HP−EGRシステム9のHP−EGRクーラー16を介してHP−EGRバルブ17からインテークマニホールド8に環流される、あるいはバイパス弁18によりHP−EGRクーラー16を介さずにバイパス通路19を通ってインテークマニホールド8に環流される。
【0016】
また、タービン6を通過した排気ガスは、排気ガス浄化装置(DPF;ディーゼルパティキュレートフィルタなど)20を経由して、LP−EGRシステム12のLP−EGRクーラー21を介してLP−EGRバルブ22から吸気通路3に環流される。このとき、LP−EGR通路10を通過したEGRガスは、ターボチャージャ5のコンプレッサ11の上流側で新気と混合されるが、排気シャッター25により排気通路4を閉鎖し、排圧を上げることにより、LP−EGR通路10の入口23と出口24との間に差圧を発生させている。これにより、LP−EGR通路10をEGRガスが環流する。
【0017】
しかし、排気シャッター25で排気通路4を閉鎖することによりEGRガスの排圧を高くしてEGRガスを環流することはできるが、その反面、排気シャッター25により圧力損失が増加し、エンジン1そのもののポンプ損失が増えて、燃費が悪化するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2001−165002号公報
【特許文献2】特開2007−092592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたものであり、その目的は、ターボチャージャのタービンを通過した後の低圧のEGRガスを、ターボチャージャのコンプレッサの上流側の吸気通路を流れる新気に混合する際に発生する圧力損失を低減する内燃機関とEGRガス混合装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記の目的を解決するための本発明のEGRガス混合装置は、新気が流れる吸気通路の中途位置で、この吸気通路とEGRガスが流れるEGR通路との合流地点に配置されたEGRガス混合装置において、入口から出口に向かって縮径し、その入口にEGRガスが混合される前の新気が流れる第一吸気通路が接続されているベンチェリ部と、このベンチェ
リ部の外周を周方向に覆い、径方向外側に前記EGR通路が接続されている環状チャンバで構成された合流部とを備えていて、前記ベンチェリ部の出口、前記合流部の出口、及びEGRガスが混合された後の新気が流れる第二吸気通路の入口が連通していて、前記ベンチェリ部の出口が上面、前記合流部の出口が側面、及び前記第二吸気通路の入口が前記上面よりも面積の大きい下面の円錐台が形成されていて、前記側面の面積が前記上面の面積よりも大きいことを特徴とするものである。
また、本発明の内燃機関は、上記のEGRガス混合装置を備えたことを特徴とするものである。
【0021】
この構成によれば、低圧EGRシステムを搭載した内燃機関のEGRガスと新気との合流地点にベンチュリ部を有するEGRガス混合装置を備え、ベンチュリ部を通過する新気の流速を加速して、圧力を低くし、その圧力が低くなった部分にEGRガスの出口を設けることで、排気シャッターなどを用いることなく、低圧EGR通路のEGRガスの入口と出口に差圧を発生させることができる。これにより、ターボチャージャのタービンを通過した後の低圧のEGRガスを環流することができる。
【0022】
また、このEGRガス混合装置ではベンチュリ部でEGRガスの圧力損失を回復することができ、且つ、出口を通過後のEGRガスの流速が加速しないため、新気の流れを阻害することを抑制することができるので、EGRガスと新気の両方の圧力損失を低減することができる。これにより、排気シャッターを用いる場合に対して内燃機関そのもののポンプ損失を低減し、燃費を向上することができる。
【0023】
なお、低圧EGR通路の出口はベンチュリ部の出口側、つまり拡径した部分に接続されると、EGRガスを新気と合流する際に、新気の流れに沿って合流させることができるので、より新気の流れを阻害することを抑制することができるので、好ましい。この場合には、例えば、合流部がベンチュリ部の外側に設けた環状チャンバで形成され、低圧EGR通路の出口がベンチュリ部の縮径した部分側に小さい方の面を配置する円錐台の側面で形成される。
【0024】
また、上記の内燃機関において、前記出口の総面積と前記ベンチュリ部の縮径した部分の断面積との比率(総面積/断面積)を、EGRガスと新気の両方の圧力損失を低減する圧力損失低減比率にすると、EGRガスと新気の圧力損失をより低減することができ、より燃費を向上することができる。
【0025】
なお、ここでいう出口の総面積とは、低圧EGR通路の噴き出し面積のことをいう。また、ベンチュリ部の縮径した部分の断面積とは、ベンチュリ部の最も縮径した部分の新気の流通面積のことをいう。そして、圧力損失低減比率は、EGRガスの圧力損失が3kPa以下になる値が好ましく、4.5以上、4.9以下の値に設定すると効果が高い。
【0026】
上記の目的を解決するための本発明のEGRガス混合装置は、吸気通路を流れる新気に、EGR通路を通過後のEGRガスを混合するEGRガス混合装置において、前記吸気通路に設けられて、新気の流速を加速するベンチュリ部と、該ベンチュリ部に前記EGR通路の出口を接続すると共に、前記出口を通過したEGRガスの流速の加速を抑制する合流部とを備えて構成される。
【0027】
また、上記のEGRガス混合装置において、前記出口の総面積と前記ベンチュリ部の縮径した部分の断面積との比率(総面積/断面積)を、EGRガスと新気の両方の圧力損失を低減する圧力損失低減比率にすることが好ましい。
【0028】
上記のEGRガス混合装置は、従来のEGRガス混合装置に比べて、EGR通路の出口が、ベンチュリ部の縮径した部分の断面積に比して、充分に広いため、新気の流れを阻害することが無く、且つEGRガスの圧力損失も回復することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、ターボチャージャのタービンを通過した後の低圧のEGRガスを、ターボチャージャのコンプレッサの上流側の吸気通路を流れる新気に混合する際に発生する圧力損失を低減することができる。これにより、内燃機関のポンプ損失を低減して、燃費を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明に係る実施の形態の内燃機関を示す構成図である。
図2図1に示すEGRガス混合装置の拡大断面図である。
図3】本発明に係る実施の形態の内燃機関の面積比率と圧力損失を示した表である。
図4図2に示すEGRガス混合装置内の流速を示す拡大断面図である。
図5】従来の内燃機関を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明に係る実施の形態の内燃機関とEGRガス混合装置について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形態のエンジン(内燃機関)はディーゼルエンジンを例に説明するが、本発明はディーゼルエンジンに限定されずに、ガソリンエンジンにも適用することができ、その気筒数や、気筒の配列も限定されない。
【0032】
また、以下の実施の形態のエンジンは、HP−EGRシステム(高圧EGRシステム)とLP−EGRシステム(低圧EGRシステム)の両方を搭載したものを例に説明するが、本発明はこの構成に限定されずに、LP−EGRシステムのみを搭載したエンジンにも適用することができる。
【0033】
本発明に係る実施の形態のエンジンについて、図1及び図2を参照しながら説明する。このエンジン1は、ターボチャージャ5のタービン6の下流側の排気通路4から分岐し、LP−EGRクーラー(低圧EGRクーラー)21とLP−EGRバルブ(低圧EGR弁)22とを設けたLP−EGR通路(低圧EGR通路)10から、タービン6を通過後の低圧のEGRガスを、ターボチャージャ5のコンプレッサ11の上流側の吸気通路3に導いて、吸気通路3を流れる新気に混合するLP−EGRシステム12を搭載したエンジン1であり、図5に示す従来のエンジン1Xの排気シャッター25を外し、図1に示すように、コンプレッサ11の上流側の吸気通路3に、EGRガス混合装置30を備えて構成される。
【0034】
また、このエンジン1は、EGRガス混合装置30に、図2に示すように、吸気通路3に設けられて、新気の流速を加速するベンチュリ部31と、ベンチュリ部31にLP−EGR通路(低圧EGR通路)10の出口32aを接続させると共に、出口32aを通過したEGRガスの流速の加速を抑制する合流部32と、を有するEGRガス混合装置30を備えて構成される。
【0035】
これにより、EGRガス混合装置30のベンチュリ部31により、吸気通路3を流通する新気の流れを絞り、新気の流速を加速させ、EGRガス混合装置30の合流部32で、その新気の流速が加速したことにより圧力が低くなった部分にLP−EGR通路10の出口32aを接続させるので、LP−EGR通路10の入口23と出口32aに差圧を発生させることができる。よって、LP−EGRシステム12を搭載したエンジン1は、排気シャッター25などを用いることなく、LP−EGR通路10のEGRガスの入口23と出口32aに差圧を発生させるので、ターボチャージャ5のタービン6を通過後の低圧のEGRガスを、コンプレッサ11を通過する前の低圧の新気に環流することができる。
【0036】
また、このエンジン1は、EGRガス混合装置30のベンチュリ部31を通過後にEGRガスの圧力損失を回復すると共に、出口32aを通過後のEGRガスの流速の加速を抑制する。これにより、EGRガスの圧力損失と新気の圧力損失の両方を低減する。よって、排気シャッター25を用いる場合に対してエンジン1そのもののポンプ損失を低減し、燃費を向上することができる。
【0037】
加えて、コンプレッサ11の上流側の吸気通路3にEGRガス混合装置30を備えると、コンプレッサ11を通過前の低圧の新気にタービン6を通過後の低圧のEGRガスを環流することができる。コンプレッサ11の下流側に配置すると、コンプレッサ11により新気の圧力が大きくなるため、低圧のEGRガスを環流できなくなってしまう。また、コンプレッサ11の上流側の吸気通路3に設けると、EGRガスと新気をコンプレッサ11内で充分に攪拌して均一にすることができる。これにより、HP−EGRシステム9で問題となるEGR率の気筒間差を無くすことができる。
【0038】
次に、上記のEGRガス混合装置30について、図2を参照しながら詳しく説明する。ここで、合流部32の出口32aの総面積をM、ベンチュリ部31の縮径部31aの断面積をSとする。総面積Mは、拡径部31bの点線で示した円錐台Lの側面積であり、EGRガスの噴き出し面積である。また、断面積Sは、縮径部31aの一点鎖線で示した管ΦDの断面積であり、新気の流通面積である。
【0039】
ベンチュリ部31は、図2に示すように、吸気通路3を流れる新気の流れを絞ることによって新気の流速を加速し、新気の圧力を小さくする縮径部31aと、縮径部31aを流れる新気の流れを広げることによって新気の流速を減速し、圧力を回復する拡径部31bとを備える。このベンチュリ部31により、縮径部31aで新気の流れを絞り流速を加速するので、圧力を低くすることができる。
【0040】
合流部32は、ベンチュリ部31の外周に設けられた環状チャンバであり、ベンチュリ部31の出口側である拡径部31bにLP−EGR通路10の出口32aを接続して、LP−EGR通路10の入口23と出口32aに差圧を発生し、タービン6を通過した低圧のEGRガスを吸気通路3に導いている。
【0041】
LP−EGR通路10の出口32aがベンチュリ部31の拡径部31bに接続されると、EGRガスを新気と合流する際に、EGRガスを新気の流れに沿って合流させることができるので、より新気の流れを阻害することを抑制することができる。
【0042】
また、この合流部32は、出口32aを通過したEGRガスの流速の加速を抑制するように構成されている。具体的には、出口32aを、拡径部31bの点線で示した円錐台Lの側面で形成する。この円錐台Lは、ベンチュリ部31の縮径部31a側に面積が小さい方の面を、拡径部31b側に面積が大きい方の面を配置する円錐台である。この構成により、出口32aのベンチュリ部31の拡径部31b側が、縮径部31a側よりも広く形成
されるので、出口32aを通過したEGRガスは、新気の流れに沿って吸気通路3に導入される。これにより、EGRガスが新気の流れを阻害することを抑制することができる。
【0043】
さらに、本発明では、EGRガス混合装置30の合流部32の出口32aの総面積Mとベンチュリ部31の縮径部31aの断面積Sとの面積比率(総面積M/断面積S)を、EGRガスと新気の両方の圧力損失を低減する圧力損失低減比率Rにして構成される。
【0044】
この圧力損失低減比率Rについて、図3に示す表を参照しながら説明する。この図3に示す表は、特許文献1(特開2001−165002号公報)の装置(以下、従来例1とする)、特許文献2(特開2007−092592号公報)の装置(以下、従来例2とする)、比較例1〜比較例3、及び本発明に係る実施の形態のEGRガス混合装置30(以下、実施例1とする)の面積比率におけるEGRガスの圧力損失を比較したものである。なお、従来例1については図面から、また従来例2については図面と段落〔0018〕に記載の数値から面積比率を求めた。
【0045】
この図3の表によれば、面積比率が4より小さい従来例1、従来例2、及び比較例1では、EGRガスの圧力損失が4kPaよりも大きく、燃費が悪化する。また、比較例2では、EGRガスの圧力損失が3.4kPaと低くなるが、燃費を向上する効果が低い。一方、面積比率が5を超える比較例3では、実施例1と比べるとEGRガスの圧力損失が大きくなる。そこで、この図3の表からEGRガスの圧力損失を充分に低減することができる圧力損失低減比率Rは、EGRガスの圧力損失が3kPa以下になる値が好ましく、特に、4.5以上、4.9以下の値に設定すると最も効果が高い。
【0046】
次に、このEGRガス混合装置30の動作について、図4を参照しながら説明する。エンジン1が始動して、エンジン本体2から排気ガスが排出されると、図4に示すように、LP−EGR通路10からEGRガスが、吸気通路3を流通する新気に混合される。
【0047】
新気は、ベンチュリ部31の縮径部31aで流れが絞られるため、流速が速くなる。これにより、新気の圧力は低くなる。この圧力が低くなった部分にEGRガスの出口32aが設けられているので、LP−EGR通路10の入口23と出口32aとの間に差圧を発生させることができ、タービン6を通過後の低圧のEGRガスを、排気シャッターなどを用いることなく吸気通路3に環流することができる。
【0048】
出口32aから排出されたEGRガスは、拡径部31bで圧力損失がある程度回復するので、ポンプ損失を低減することができる。また、出口32aの総面積Mが、縮径部31aの断面積Sに比して広いため、EGRガスの流速が合流部32で上がることがないため、新気の流れを阻害することがないので、圧力損失を低減することができる。
【0049】
このEGRガス混合装置30では、タービン6を通過後の低圧のEGRガスを新気に混合すると共に、EGRガスの圧力損失と、新気の圧力損失の両方を低減することができる。つまり、NOxを低減するためのLP−EGRシステム12をエンジン1に搭載しても、EGRガスを新気に混合する際に発生する圧力損失を低減することができる。これにより、エンジン1のポンプ損失を低減して、燃費を向上することができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の内燃機関は、ターボチャージャのタービンを通過した後の低圧のEGRガスを、ターボチャージャのコンプレッサの上流側の吸気通路を流れる新気に混合する際に発生する圧力損失を低減することができるので、特にディーゼルエンジンを搭載するトラックなどの車両に利用することができ、燃費を向上することができる。
【符号の説明】
【0051】
1、1X エンジン(内燃機関)
2 エンジン本体
3 吸気通路
4 排気通路
5 ターボチャージャ
6 タービン
7 HP−EGR通路(高圧EGR通路)
8 インテークマニホールド
9 HP−EGRシステム(高圧EGRシステム)
10 LP−EGR通路(低圧EGR通路)
11 タービン
12 LP−EGRシステム(低圧EGRシステム)
13 エアクリーナー
14 インタークーラー
15 スロットルバルブ
16 HP−EGRクーラー
17 HP−EGRバルブ
20 排気ガス浄化装置
21 LP−EGRクーラー(低圧EGRクーラー)
22 LP−EGRバルブ(低圧EGR弁)
23 入口
30 EGRガス混合装置
31 ベンチュリ部
31a 縮経部
31b 拡経部
32 合流部
32a 出口
図1
図2
図3
図4
図5