(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御手段(60C)は、前記負荷に過大な電流が印加されているとみなした場合に、前記スイッチング素子をオフ作動させることを特徴とする請求項5に記載の電力供給装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明にかかる電力供給装置の各実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の各実施形態相互において、図中の同一符号を付した部分の構成は、互いに同一もしくは均等であり、その説明を援用する。
【0015】
(第1実施形態)
図1に示すLEDユニット10は、複数の発光ダイオード(LED11)を有して構成されており、例えば車両に搭載された前照灯として適用される。これらのLED11(負荷)へ直流の電力を供給するLEDドライバ20が、本実施形態にかかる電力供給装置に相当する。LEDドライバ20は、車両に搭載されているバッテリ12の電圧を昇圧または降圧して、LED11へ電力供給する。具体的には、約12Vのバッテリ電圧を10V〜30V程度にまで昇圧または降圧してLED11に印加する。
【0016】
LEDドライバ20の負荷側端子21、22は、LED11のアノード側端子およびカソード側端子にそれぞれ接続されている。LEDドライバ20のバッテリ側端子23、24は、バッテリ12のプラス端子およびマイナス端子にそれぞれ接続されており、マイナス端子側のバッテリ側端子24は、接地されて0Vになっている。
【0017】
LEDドライバ20は、バッテリ電圧を昇圧または降圧する昇降圧回路を有したDCDCコンバータ40と、LEDユニット10の低電位側に直列接続されたシャント抵抗Rsと、を備える。LEDユニット10を流れる駆動電流が大きいほど、シャント抵抗Rsで生じる電圧降下量は大きくなる。つまり、電圧降下量は駆動電流に応じた値であり、以下、この電圧降下量、またはその降下量を駆動電流に換算した値を「シャント抵抗検出値」と呼ぶ。
【0018】
DCDCコンバータ40は、シャント抵抗検出値に基づきLEDユニット10への電力供給量を制御する。詳細には、DCDCコンバータ40は、シャント抵抗検出値が目標値となるように出力電圧を制御する制御回路を有しており、「電力供給制御手段」として機能する。これにより、環境温度変化によりLED11の抵抗値が変動したり、バッテリ電圧が変動したりしても、駆動電流が一定の目標値となるようにフィードバック制御される。
【0019】
例えば、DCDCコンバータ40が、出力電流のオン/オフを所定周期で切り替えてオン時間またはオフ時間のデューティを制御することで、出力電流の大きさを制御するにあたり、DCDCコンバータ40は、シャント抵抗検出値に基づき、前記デューティをフィードバック制御する。
【0020】
さらにLEDドライバ20は、以下に説明する地絡検知用のダイオードD(地絡検知素子)、地絡検出回路30および検知電流出力回路31を備える。ダイオードDは、LEDユニット10の低電位側に直列接続されている。詳細には、シャント抵抗RsとLEDユニット10の間にダイオードDは直列接続されており、ダイオードDのカソード端子がシャント抵抗Rs側に接続され、ダイオードDのアノード端子がLEDユニット10のカソード側に接続されている。
【0021】
検知電流出力回路31は、ダイオードDへ検知電圧を印加して検知電流を流す回路であり、例えば、定電圧源から抵抗R1を介して検知電流としてダイオードDへ流す。前記定電圧の値は、バッテリ電圧よりも低い値に設定されており、例えばマイクロコンピュータの駆動電圧(5V)を検知電圧として用いる。
【0022】
地絡検出回路30は、ダイオードDおよびシャント抵抗Rsで生じた電圧降下量を検出し、その検出値に基づき、LEDユニット10のカソード側での地絡有無を判定することで、地絡を検出する。詳細には、検出した電圧降下量が、予め設定した閾値未満であれば、地絡が生じていると判定する。そして、地絡を検出した場合には、DCDCコンバータ40の作動を停止させるよう、DCDCコンバータ40へ停止指令信号を出力し、地絡が検出されない場合には、駆動電流の出力を許可する許可信号をDCDCコンバータ40へ出力する。
【0023】
この地絡判定は、LEDユニット10へ電力供給するに先立ち実施する。そして、地絡検出回路30により検出された電圧降下量が第1閾値以上である場合に前記許可信号を出力し、DCDCコンバータ40から駆動電流を出力してLEDユニット10を点灯させることを許可する。一方、第1閾値未満であれば前記停止指令信号を出力し、LEDユニット10が点灯しないように作動を制限する。
【0024】
さらに、LEDユニット10へ電力供給して正常に作動させている最中に地絡が生じた場合を想定し、LEDユニット10の作動中にも地絡判定を実施する。すなわち、地絡検出回路30により検出された電圧降下量が第2閾値未満となった場合も、前記停止指令信号を出力し、駆動電流を停止または減少させてLEDユニット10への電流印加を停止または制限する。
【0025】
なお、
図11に例示されるように、第2閾値TH2は第1閾値TH1よりも高い値に設定されている。また、検知電流出力回路31は検知電流を常時出力していてもよいし、LEDユニット10へ電力供給中には出力停止してもよいし、LEDユニット10への電力供給要求がなく地絡判定の必要がない時には出力停止してもよい。
【0026】
さて、DCDCコンバータ40から出力された電流は、LEDユニット10、ダイオードDおよびシャント抵抗Rsを順に流れてバッテリ側端子24を通じてバッテリ12へ流れる(矢印Y1参照)。但し、LEDユニット10のカソード側で地絡が生じていると、LEDユニット10を流れる駆動電流の殆どは地絡側へ流れ込む(矢印Y2参照)。その結果、シャント抵抗検出値は、駆動電流に見合った値よりも低くなる。なお、地絡抵抗Raが大きいほど、シャント抵抗検出値は、地絡が生じていない場合の正常値に近くなる。
【0027】
また、検知電流出力回路31から出力された検知電流は、ダイオードDおよびシャント抵抗Rsを順に流れて、バッテリ側端子24を通じてバッテリ12へ流れる(矢印Y3参照)。但し、前記地絡が生じていると、検知電流は地絡側へ流れ込む(矢印Y4参照)。
【0028】
図2に示すように、ダイオードDの電流−電圧特性は非線形である。つまり、ダイオードDを流れる電流が大きいと、ダイオードDの電気抵抗は小さくなる。したがって、LEDユニット10に電力供給してダイオードDに大電流(約1A)が流れている状況下では、低発熱および低損失で駆動電流を流すことができる。
【0029】
一方、ダイオードDを流れる電流が小さいとほど、ダイオードDの電気抵抗は指数関数的に大きくなる。したがって、LEDユニット10への電力供給を停止してダイオードDに微小な検知電流(約10mA)を流しても、大きな電圧降下が生じるため、地絡の検出が可能となる。そのため、地絡抵抗Raが大きい場合であっても、電圧降下量は十分に大きく変化する。よって、地絡検出回路30での地絡検出精度を向上できる。
【0030】
ここで、厳密に言えば、ダイオードDを廃止した場合であっても、地絡が生じれば、検知電流とシャント抵抗Rsによる電圧降下量は低下するので、その低下を検知すれば地絡を検出できる。しかし、シャント抵抗Rsは、LEDユニット10点灯時に低発熱および低損失で駆動電流を流すことが要求されるので、抵抗値を十分に大きくすることはできない。また、検知電流も同様の理由で大きくすることができない。したがって、検知電流とシャントRsによる電圧降下量は、極めて小さいオーダーになるので、シャント抵抗Rsのみで地絡を検出することは実現困難である。
【0031】
これに対し、本実施形態では、地絡検知素子は、カソード側が低電位側に接続されたダイオード(D)であることを特徴とする。すなわち、シャント抵抗Rsとは別に、一定の電圧降下が発生するダイオードDを、LEDユニット10の低電位側に直列接続している。そして、ダイオードDは一般的に
図2に示す非線形の特性である。そのため、LEDユニット10の停止時において、微小な検知電流を印加しただけでも大きな電圧降下が発生するので、地絡検知精度を向上できる。また、LEDユニット10の点灯時において、検知電流に比べて大電流である駆動電流がダイオードDに流れても、前記特性が線形の地絡検知素子を採用した場合に比べて、ダイオードDで生じる電圧降下を小さくできる。よって、LEDユニット10の点灯時にダイオードDで生じる電力損失量を低減できる。
【0032】
さらに本実施形態では、ダイオードD(地絡検知素子)へ検知電流を出力する検知電流出力回路31を備えることを特徴とする。これによれば、電力を出力する手段として、DCDCコンバータ40とは別に検知電流用の出力回路31を備えるので、LEDユニット10へ駆動電流を流すことなくダイオードDへ検知電流を流すようにできる。よって、地絡した状態でLEDユニット10へ駆動電流を流してしまうことを確実に回避できる。
【0033】
さらに本実施形態では、ダイオードD(地絡検知素子)は、シャント抵抗Rsの高電位側に直列接続されていることを特徴とする。
【0034】
ここで、本実施形態に反してダイオードDをシャント抵抗Rsの低電位側に直列接続した場合には、DCDCコンバータ40がシャント抵抗検出値を用いてフィードバック制御するにあたり、駆動電流を目標値にする制御する精度が以下の理由により悪くなる。すなわち、シャント抵抗Rsの低電位側にダイオードDが接続されていると、シャント抵抗Rsの低電位側の電位がLEDドライバ20のGND電位にならず、ダイオードDで生じる電圧降下分だけオフセットして高くなる。そのため、そのオフセット分を加味して駆動電流を算出することを要するため、その算出精度が悪くなる。または、検出回路が複雑化する。
【0035】
これに対し本実施形態にかかる上記特徴によれば、シャント抵抗Rsの低電位側の電位がLEDドライバ20のGND電位と同一になるため、単純な回路で駆動電流の算出精度を向上でき、ひいてはフィードバック制御の精度を向上できる。
【0036】
さらに本実施形態では、地絡検出回路30(制限手段)は、LEDユニット10(負荷)を作動させる要求が生じた場合に、DCDCコンバータ40(電力供給
制御手段)からLEDユニット10への電力供給に先立ち電圧降下量を検出し、その検出した電圧降下量が閾値以上である場合に、DCDCコンバータ40による電力供給を許可することを特徴とする。
【0037】
これによれば、地絡が生じていないことを確認した上でLEDユニット10への電力供給を許可するので、地絡に起因して過剰な駆動電流を短時間であってもLEDユニット10へ流すことを確実に回避できる。
【0038】
(第2実施形態)
上記第1実施形態のLEDドライバ20は、ダイオードDへ検知電流を出力する検知電流出力回路31を備えている。これに対し、
図3に示す本実施形態のLEDドライバ20Aは、DCDCコンバータ40がダイオードDへ検知電流を出力するように構成されており、検知電流出力回路31を廃止している。つまり、DCDCコンバータ40(電力供給
制御手段)は、LEDユニット10(負荷)への電力供給に先立ち、ダイオードD(地絡検知素子)へ検知電流を出力することを特徴とする。この場合の検知電流は、DCDCコンバータ40のシャント抵抗検出値に基づくフィードバック制御による駆動電流ではなく、予め設定しておいた固定デューティでの動作による微小な駆動電流である。
【0039】
図4は、本実施形態にかかるLEDドライバ20Aの制御手順を示すフローチャートである。この制御は、車両のイグニッションスイッチがオン操作された時、またはLEDユニット10の点灯スイッチがオン操作された時に、DCDCコンバータ40が有する制御手段により実施される。
【0040】
先ず、
図4のステップS10にてLEDドライバ20Aへ電源投入する。続くステップS11では、先述した微小量の駆動電流を出力するよう、デューティ比を固定して出力する固定DUTYモードに設定する。このモードでは、シャント抵抗検出値に基づくフィードバック制御が禁止される。
【0041】
続くステップS12では、LED11のカソード電圧(つまりLEDユニット10の低電圧側の電圧)が、所定電圧Vth以上であるか否かを判定する。このLEDカソード電圧は、ダイオードDおよびシャント抵抗Rsで生じた電圧降下量に相当する。
【0042】
LEDカソード電圧≧Vthと判定されれば(S12:YES)、地絡は生じていないとみなし、続くステップS13において、シャント抵抗検出値に基づくフィードバック制御を実施するフィードバック制御モードに切換える。一方、LEDカソード電圧<Vthと判定されれば(S12:NO)地絡が生じているとみなし、LEDカソード電圧<Vthとの状態が所定時間Tth継続したことを条件(S14:YES)として、DCDCコンバータ40の作動を停止させる(S15)。
【0043】
ところで、本実施形態では、地絡が生じているか否かの判定が為されていない状態でLEDユニット10に検知電流を流すことになるため、地絡が生じた状態でLEDユニット10に電流が流れる場合がある。しかしながら、フィードバック制御を禁止した状態で検知電流を流しており、かつ、その検知電流は微小量に設定されているため、地絡状態でLEDユニット10に検知電流が流れたとしても、その検知電流によりLEDユニット10が損傷することはない。
【0044】
また、ダイオードDが無い状態で同様の制御を行うことも考えられるが、シャント抵抗Rsの電圧降下量だけで地絡を検知する必要があるため、DCDCコンバータ40の固定デューティを相応に大きな検知電流を流せる値にする必要がある。しかしながら、そのような固定デューティによる動作では、バッテリ12や負荷の条件が変わった際にLED11に過剰な電流を印加し、損傷させる可能性を排除できない。
【0045】
以上により、本実施形態によれば、過大駆動電流がLEDユニット10に流れることを回避しつつ地絡検知を可能にすることを、
図1に示す検知電流出力回路31を廃止してLEDドライバ20Aの構成を簡素にしながら実現できる。
【0046】
(第3実施形態)
図5に示すように、本実施形態のLEDドライバ20Bは、ダイオードDと並列接続されたスイッチング素子50を備え、LEDユニット10への電力供給時にはスイッチング素子50をオン作動させ、LEDユニット10への電力供給停止時にはスイッチング素子50をオフ作動させる制御手段60を備えることを特徴とする。
【0047】
前記スイッチング素子として、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)やバイポーラトランジスタ、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等が挙げられる。
図5の例では、nチャネル型のMOSFET50をスイッチング素子として用いており、また、マイクロコンピュータ(マイコン60)を前記制御手段として用いている。マイコン60は、MOSFET50のゲート端子電圧を制御することで、MOSFET50のオンオフ作動を制御する。
【0048】
LEDユニット10への電力供給停止時にはMOSFET50をオフ作動させるので、図中の一点鎖線Y3に示すように検知電流はダイオードDを流れる。これにより、
図1に示す第1実施形態と同様の効果が発揮される。すなわち、微小の検知電流に対して大きな電圧降下がダイオードDで生じることとなるので、点線Y4に示す如く地絡が生じた場合の電圧降下量低下を検知できるようになり、地絡検知精度を向上できる。
【0049】
一方、LEDユニット10への電力供給時にはMOSFET50をオン作動させるので、LEDユニット10からの大電流(駆動電流)が実線Y1に示す如くMOSFET50を流れ、ダイオードDを流れなくなる。そして、MOSFET50における電力損失はダイオードDに比べて非常に小さいため、LEDユニット10の駆動時の電力損失を低減することができる。
【0050】
(第4実施形態)
図6に示すように、本実施形態のLEDドライバ20Cは、
図5のLEDドライバ20Bの変形例であり、LEDドライバ20BのMOSFET50のドレイン−ゲート間、およびゲート−ソース間に分割抵抗R2、R3を設けることで、ダイオードDの削除を実現させている。
【0051】
すなわち、本実施形態のLEDドライバ20Cでは、地絡検知素子がMOSFET50Cとなっている。そして、LEDユニット10への電力供給時にはMOSFET50Cをオン作動させ、LEDユニット10への電力供給停止時にはMOSFET50CのゲートをHiインピーダンス状態となるように作動させる制御手段60Cを備えることを特徴とする。
【0052】
なお、
図6の例ではMOSFET50Cをスイッチング素子として採用しているが、バイポーラトランジスタやIGBTを採用してもよい。
【0053】
また、マイクロコンピュータ(マイコン60)を前記制御手段60Cとして用いている。マイコン60は、MOSFET50Cのゲート電圧を制御することで、MOSFET50Cの作動を制御する。具体的には、以下に説明するHiインピーダンスオン状態、通常オン状態およびオフ状態のいずれかにMOSFET50Cの作動が切り替わるように制御する。
【0054】
ゲート−ソース間の電圧を0Vに制御してドレイン−ソース間の電流を遮断した状態が「オフ状態」である。ゲート−ソース間の電圧をゲート閾値電圧以上の電圧(例えば5V)に制御してドレイン−ソース間を低抵抗で通電させる状態が「通常オン状態」である。ゲートをHiインピーダンス状態となるように制御して、ドレイン−ソース間にゲート閾値電圧相当の電圧降下を発生させながら通電させる状態が「Hiインピーダンスオン状態」である。
【0055】
図7は、本実施形態にかかるLEDドライバ20Cの制御手順を示すフローチャートである。先ず、
図7のステップS20にてLEDドライバ20Cへ電源投入する。続くステップS21では、MOSFET50CのゲートがHiインピーダンスとなるように制御する。つまり、MOSFET50CをHiインピーダンスオン状態で作動させる。続くステップS22では、検知電流出力回路31から検知電流を出力する。なお、この検知電流は、LEDユニット10の作動中も常時出力させてもよいし、作動中には出力停止させてもよい。
【0056】
続くステップS23では、LED11のカソード電圧(つまりLEDユニット10の低電圧側の電圧)が、所定電圧Vth以上であるか否かを判定する。このLEDカソード電圧は、MOSFET50Cおよびシャント抵抗Rsで生じた電圧降下量に相当する。
【0057】
LEDカソード電圧≧Vthと判定されれば(S23:YES)、地絡は生じていないとみなし、続くステップS24において、DCDCコンバータ40の作動を開始して、シャント抵抗検出値に基づくフィードバック制御を実施する。一方、LEDカソード電圧<Vthと判定されれば(S23:NO)地絡が生じているとみなし、DCDCコンバータ40の作動を禁止する(S25)。
【0058】
ステップS24によりDCDCコンバータ40が作動を開始すると、続くステップS26において、シャント抵抗検出値に基づき、LED11の出力電流が正常範囲内であるか否かを判定する。正常範囲内と判定されれば(S26:YES)、続くステップS27にてマイコン60Cから出力される制御信号をゲート閾値以上の電圧(5V)に上昇させる。つまり、MOSFET50Cを通常オン状態で作動させる。一方、正常範囲外と判定されれば(S26:NO)、続くステップS28にてHiインピーダンスオン状態を継続させる。
【0059】
ステップS27による通常オン状態では、ステップS29により、シャント抵抗検出値に基づき、LED11の出力電流が過大になっていないかを判定する。過大と判定されれば(S29:YES)、マイコン60Cから出力される制御信号をLo(0V)とし、MOSFET50Cをオフ状態にする。一方、過大と判定されなければ(S29:NO)、続くステップS28にて通常オン状態を継続させる。
【0060】
本実施形態によれば、LEDユニット10への電力供給停止時にはMOSFET50CをHiインピーダンスオン状態にするので、図中の一点鎖線Y3に示すように検知電流はMOSFET50Cのドレイン−ソース間を流れる。これにより、
図1に示す第1実施形態と同様の効果が発揮される。すなわち、微小の検知電流に対して大きな電圧降下がMOSFET50Cで生じることとなるので、点線Y4に示す如く地絡が生じた場合の電圧降下量低下を検知できるようになり、地絡検知精度を向上できる。つまり、過大駆動電流がLEDユニット10に流れることを回避しつつ地絡検知を可能にすることを、
図5に示すダイオードDを廃止してLEDドライバ20Cの構成を簡素にしながら実現できる。
【0061】
一方、LEDユニット10への電力供給時にはMOSFET50Cを通常オン作動させるので、LEDユニット10からの大電流(駆動電流)が実線Y1に示す如くMOSFET50Cを流れる際に、MOSFET50Cで生じる電力損失を低減できる。
【0062】
さらに本実施形態では、マイコン60C(制御手段)は、過大な駆動電流が出力されているとみなした場合に、MOSFET50C(電界効果トランジスタ)をオフ作動させることを特徴とする。
【0063】
ここで、本実施形態においても第1〜第3実施形態と同様にして、LEDユニット10の作動時に地絡が検出されると、DCDCコンバータ40を停止させて、LEDユニット10に過大駆動電流が流れることの回避を図っている。このようなフェールセーフ制御に加え、本実施形態ではさらに、過大駆動電流を検知した場合(S29:YES)にはMOSFET50Cをオフ作動させる(S30)ので、フェールセーフを二重にできる。よって、DCDCコンバータ40が故障した場合であっても、MOSFET50Cのオフ作動により、LEDユニット10に過大な駆動電流が流れることを回避できる。
【0064】
(第5実施形態)
図8に示すように、本実施形態のLEDドライバ20Dは、
図1のLEDドライバ20の変形例であり、LEDドライバ20のダイオードD(地絡検知素子)をNチャネル型のMOSFET50Dに置き換えている。
【0065】
すなわち、本実施形態のLEDドライバ20Dでは、地絡検知素子は、MOSFET50Dであり、該MOSFET50Dのソース側がLEDユニット10(負荷)の側に位置するよう、MODFET50Dは接続されている。つまり、
図5および
図6のMOSFET50、50Cとは逆向きに接続されており、LEDユニット10への電力供給時にはMODFET50Dをオン作動させ、LEDユニット10への電力供給停止時には電界効果トランジスタ50Dをオフ作動させるマイコン60D(制御手段)を備えることを特徴とする。
【0066】
マイコン60Dは、MOSFET50Dのゲート端子電圧を制御することで、MOSFET50Dの作動を制御する。具体的には、先述した通常オン状態およびオフ状態のいずれかにMOSFET50の作動が切り替わるように制御する。
【0067】
図9は、本実施形態にかかるLEDドライバ20Dの制御手順を示すフローチャートである。先ず、
図9のステップS40にてLEDドライバ20Dへ電源投入する。続くステップS41ではMOSFET50Dをオフ状態にする。このオフ状態では、MOSFET50Dの寄生ダイオードが
図1のダイオードDと同様に機能することとなる。
【0068】
続くステップS42では、検知電流出力回路31から検知電流を出力する。なお、この検知電流は、LEDユニット10の作動中も常時出力させてもよいし、作動中には出力停止させてもよい。
【0069】
続くステップS43では、LED11のカソード電圧(つまりLEDユニット10の低電圧側の電圧)が、所定電圧Vth以上であるか否かを判定する。このLEDカソード電圧は、MOSFET50Dおよびシャント抵抗Rsで生じた電圧降下量に相当する。
【0070】
LEDカソード電圧≧Vthと判定されれば(S43:YES)、地絡は生じていないとみなし、続くステップS44において、DCDCコンバータ40の作動を開始して、シャント抵抗検出値に基づくフィードバック制御を実施する。一方、LEDカソード電圧<Vthと判定されれば(S43:NO)地絡が生じているとみなし、DCDCコンバータ40の作動を禁止する(S45)。
【0071】
ステップS44によりDCDCコンバータ40が作動を開始すると、続くステップS46において、シャント抵抗検出値に基づき、LED11の出力電流が所定値Ith以上であるか否かを判定する。所定値以上と判定されれば(S46:YES)、正常に駆動電流が出力されているとみなし、続くステップS47にてMOSFET50Dを通常オン状態で作動させる。一方、所定値未満と判定されれば(S46:NO)、続くステップS48にてMOSFET50Dのオフ状態を継続させる。
【0072】
さて、MOSFET50Dの寄生ダイオードについても、
図1のダイオードDと同様にして、検知電流と電圧降下量との特性が非線形である。そして、LEDユニット10への電力供給停止時には、MOSFET50Dをオフ作動させるので、微小の検知電流に対して大きな電圧降下が寄生ダイオードにより生じることとなる。よって、地絡検知精度を向上できる。一方、LEDユニット10への電力供給時には、MOSFET50Dをオン作動させるので、LEDユニット10からの大電流(駆動電流)がMOSFET50Dを流れる際の電気抵抗を非常に小さくできる。よって、LEDユニット10の駆動時に寄生ダイオードで大きな電力損失が生じることを回避できる。
【0073】
(第6実施形態)
図10に示すように、本実施形態のLEDドライバ20Eは、
図1のLEDドライバ20の変形例であり、地絡検出回路30Eによる地絡判定に用いる閾値を、LEDユニット10の作動状態に応じて変更している。
【0074】
すなわち、本実施形態のLEDドライバ20Eでは、前記閾値を、LEDユニット10(負荷)への電力供給時には停止時に比べて大きい値に変更する地絡検出回路30E(変更手段)を備えることを特徴とする。
【0075】
地絡検出回路30Eは、LED11のカソード電圧(つまりLEDユニット10の低電圧側の電圧)が、閾値TH1、TH2以上であるか否かを判定する。このLEDカソード電圧は、ダイオードDおよびシャント抵抗Rsで生じた電圧降下量に相当する。
【0076】
図11(a)は、DCDCコンバータ40の作動をオフさせてLEDユニット10への電力供給を停止させている時の第1閾値TH1を示す。この第1閾値TH1は、地絡が発生していない正常時にダイオードDで生じる電圧降下量の理論値(例えば0.7V)よりも低い値に設定されている。地絡が生じれば、前記電圧降下量は閾値TH1よりも低くなり、地絡状態と判定される。
【0077】
図11(b)は、DCDCコンバータ40の作動をオンさせてLEDユニット10へ電力供給している時の第2閾値TH2を示す。この第2閾値TH2は、地絡が発生していない正常時にダイオードDおよびシャント抵抗Rsで生じる電圧降下量の理論値(例えば0.9V)よりも低く、供給停止時の第1閾値よりも高い値に設定されている。
【0078】
地絡検出回路30Eが有する比較器32は、LED11のカソード電圧(電圧降下量)と閾値TH1、TH2とを大小比較し、電圧降下量<TH1、TH2であれば地絡が生じているとみなし、DCDCコンバータ40へ作動停止の指令信号を出力する。一方、電圧降下量≧TH1、TH2であれば地絡が生じていないとみなし、DCDCコンバータ40へ作動許可の信号を出力する。
【0079】
地絡検出回路30Eは、シャント抵抗検出値を取得し、取得した値に応じて、比較器32で用いる閾値TH1、TH2を切り替える。すなわち、シャント抵抗電圧値が0Vであれば、LEDユニット10への電力供給が停止されているので、この場合には第1閾値TH1を用いるように切り替える。一方、シャント抵抗電圧値が、LEDユニット10へ電力供給している電圧(0.2V程度)であれば、第2閾値TH2を用いるように切り替える。
【0080】
ここで、LEDユニット10への電力供給時において、地絡抵抗Raが大きい状態(リーク状態)で地絡が生じた場合には、電圧降下量は第1閾値TH1よりも高くなる場合がある。よって、電力供給時においても第1閾値TH1を用いて地絡判定を実施すると、上記リーク状態を検知できなくなることが懸念される。
【0081】
この懸念に対し、本実施形態では、電圧降下量の正常値は、電力供給時には停止時よりも大きいことに着目し、供給時には停止時に比べて閾値を大きくするように変更する。そのため、上述したリーク状態での地絡が生じた場合であっても、その地絡を精度良く検知できるようになる。
【0082】
(他の実施形態)
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、以下のように変更して実施してもよい。また、各実施形態の特徴的構成をそれぞれ任意に組み合わせるようにしてもよい。
【0083】
・上記第1実施形態では、地絡検出回路30は、シャント抵抗RsおよびダイオードDでの電圧降下量に基づき地絡有無を検知しているが、ダイオードDのみによる電圧降下量に基づき地絡有無を検知するように構成してもよい。
【0084】
・地絡の発生が検知された場合にDCDCコンバータ40による電力供給を制限するにあたり、上記各実施形態では、DCDCコンバータ40の作動を停止して制限している。これに対し、シャント抵抗検出値に基づくフィードバック制御を禁止しつつ、所定量の駆動電流出力は許可して、LEDユニット10を正常時よりも低輝度で点灯させるようにしても良い。
【0085】
・上記各実施形態では、LEDドライバ(電力供給装置)による電力供給対象(負荷)が、LED11を備えるLEDユニット10である場合を例に説明しているが、LEDユニット10以外の負荷であってもよい。また、該負荷は車両に搭載されたものに限定されない。
【0086】
・上記第1実施形態では、ダイオードD(地絡検知素子)は、シャント抵抗Rsの高電位側に直列接続されているが、ダイオードDをシャント抵抗Rsの低電位側に直列接続しても良い。