【実施例1】
【0033】
以下、自動車(
図2参照)1の前後方向に対する相対的な位置が前方の部分を前側といい、自動車1の前後方向に対する相対的な位置が後方の部分を後側といい、自動車1の車幅方向に対する相対的な位置が車内寄りの部分を車内側といい、自動車1の車幅方向に対する相対的な位置が車外寄りの部分を車外側という。
【0034】
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる車両用ドアサッシュ構造の断面図である。
図1に示すように、本発明の第1の実施の形態にかかる車両用ドアサッシュ構造は、少なくとも、ドアアウターパネル33とドアインナーパネル35とが組み付けられたプレスドア(
図2参照)30のサッシュ部31に、ガラスラン1が設けられて構成されている。
【0035】
ドアアウターパネル33とドアインナーパネル35とは、ドアアウターパネル33の周縁部のヘミング加工により結合され、必要に応じてスポット溶接されて、プレスドア30を構成している。ドアアウターパネル33は、例えば、自動車用冷間圧延鋼板や自動車用高張力鋼板などの自動車用薄鋼板をプレス成形して、サッシュ部31を構成する窓用開口が形成されている。また、ドアアウターパネル33は、サッシュ部31の幅が、後述するガラスラン1の車外側側壁5の長さに対応した幅に設定されている。
【0036】
ドアインナーパネル35は、例えば、自動車用冷間圧延鋼板や自動車用高張力鋼板などの自動車用薄鋼板をプレス成形して、サッシュ部31を構成する窓用開口が形成されている。ドアインナーパネル35は、後述するドアウェザストリップ(
図3参照)45の取付部としてのクリップ孔35aと、後述するガラスラン1の弾接片21を支持する支持部36と、後述するオープニングウェザストリップ(
図3参照)49に接触する接触部37と、を備えている。
【0037】
クリップ孔35aは、窓ガラス(
図3参照)39の延長線上、すなわち窓ガラス39の作動ラインの延長線上よりも車内側、かつ、後述するガラスラン1の底壁3がドアインナーパネル35に突き合わされる箇所よりも車内側に、設けられている。クリップ孔35aは、例えば、円形状に開孔されており、クリップ(
図3参照)47を前記クリップ孔35aの周縁部に係合させることのできる孔径に設定されている。
【0038】
支持部36は、ガラスラン1の弾接片21の先端部に当接する平坦部36aと、前記弾接片21の先端部の車内側の側面に当接する壁部36bと、を備えており、段状に形成されている。このため、ガラスラン1の弾接片21の先端部を弾性変形させた状態で支持部36が支持することができるので、弾接片21の弾性応力を向上させることができる。なお、支持部36は、ガラスラン1の弾接片21が弾接するように支持すればよいので、前述の段状の他に、プレス成形が容易に行える形状であれば、適宜変更してもよい。
【0039】
接触部37は、緩やかに彎曲する断面U字形状に形成されている。このため、オープニングウェザストリップ(
図3参照)49との接触面積が増加するとともに、オープニングウェザストリップ49に作用する応力を分散することができるので、遮音性、密閉性、水密性などの性能を効果的に発揮することができる。
【0040】
ガラスラン1は、底壁3と、前記底壁3の車外側の端部から立設された車外側側壁5と、前記底壁3の車内側の端部から立設された車内側側壁7と、を備えており、断面コ字形状に形成されている。ガラスラン1は、公知の押出成形によって一体成形されており、例えば、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)やオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)など、耐候性や止水性などに優れた弾性材料や合成樹脂などから構成されている。
【0041】
また、ガラスラン1は、後述する車外側カバーリップ11と係合部9とが一対となってドアアウターパネル33の上端部の縁部34に係合するとともに、後述する弾接片21と車内側カバーリップ19とが一対となってドアインナーパネル35の支持部36に係合するので、ガラスラン1がサッシュ部31に確実かつ安定して取り付けることができる。このため、ガラスラン1を取り付けるためのチャンネル等の取付部材が不要になり、軽量化およびコストダウンを図ることができる。
【0042】
底壁3は、両端部がインナーパネル35に当接するとともに、中央部がインナーパネル35から離間する彎曲形状に形成されている。底壁3の内側には、該底壁3と窓ガラス39の端部とが当接する部分に、窓ガラス39の端部に弾接するシール部23と、車外側の端部から車外側側壁5に向かって突出した突片と、車内側の端部から車内側側壁7に向かって突出した突片と、が設けられている。このように、底壁3が彎曲形状に形成されているとともに、窓ガラス39の端部に弾接するシール部23が設けられているので、上昇された窓ガラス39が底壁3に突き当てられた際の衝突音を軽減することができる。
【0043】
シール部23は、底壁3の車内側の端部から車外側側壁5に向かって突出した片持ち状に形成されている。シール部23は、車内側の端部から車内側側壁7に向かって突出した突片に設けられている。また、シール部23の先端部は、窓ガラスがシール部23に突き当てられた際に、車外側の端部から車外側側壁5に向かって突出した突片に当接するように形成されている。このため、窓ガラス39の端部にシール部23を弾接できるようになり、窓ガラス39の端部を効果的にシールすることができる。
【0044】
車外側側壁5は、先端部から車外側に折り返され且つドアアウターパネル33の車外側の表面に当接する車外側カバーリップ11と、前記先端部から車内側側壁7側に延伸された車外側シールリップ13と、基端部から車外側に突出され且つドアアウターパネル33の車内側の表面に係合する係合部9と、を備えている。また、車外側側壁5は、標準的な長さ、例えば、10mm程度の長さに形成されている。
【0045】
このように、車外側側壁5が標準的な長さに形成されているので、ドアアウターパネル33の上端部を幅狭にすることができる。このため、プレスドアにおいて、従来は40mm程度は必要であり、30mm以下は不可能であったサッシュ部31の幅を、20mm程度にまで幅狭にすることができる。したがって、プレスドアの外観意匠が向上する。
【0046】
車外側カバーリップ11は、車外側側壁5の先端部から車外側に折り返されるとともに、ドアアウターパネル33の上端部の縁部34の車外側の表面に係合するように形成されている。車外側カバーリップ11は、ドアアウターパネル33の上端部の縁部34を覆うように形成されている。
【0047】
車外側シールリップ13は、車外側側壁5の先端部から車内側側壁7側に延伸されているとともに、先端部が底壁3側に向かう彎曲形状に形成されている。車外側シールリップ13は、該車外側シールリップ13と窓ガラス39との摺接部分に、接着材を介して植毛パイル層が設けられている。植毛パイル層は、例えば、ナイロン等のポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET樹脂)等のポリエステル樹脂、ポリオレフィン系樹脂などで構成されている。このため、ガラス窓39との摩擦抵抗が低下し、操作性および耐久性が向上する。
【0048】
係合部9は、車外側側壁5の中間部と基端部との間に設けられており、車外側側壁5から車外側カバーリップ11に向かって突設されている。係合部9は、ドアアウターパネル33の車内側の表面に当接し、かつ、このドアアウターパネル33の車内側の表面に係合するように構成されている。
【0049】
車内側側壁7は、該車内側側壁7の中間部から車外側側壁5側に延伸された車内側シールリップ15と、前記車内側側壁7の中間部から車内側に延伸された弾接片21と、前記車内側側壁7の先端部から車外側側壁5側に延伸された第2車内側シールリップ17と、前記車内側側壁7の先端部から車内側に折り返され且つドアインナーパネル35の支持部36の車内側の表面に当接する車内側カバーリップ19と、を備えている。また、車内側側壁7は、車外側側壁5の約2倍の長さに形成されている。
【0050】
このように、車内側側壁7が車外側側壁5の約2倍の長さに形成されているので、ドアインナーパネル35の接触部37を緩やかな彎曲形状にすることができ、オープニングウェザストリップ(
図3参照)49と接触部37との接触性が向上し、遮音性、水密性などの性能を効果的に発揮することができる。
【0051】
車内側シールリップ15は、車内側側壁7の中間部から車外側側壁5側に延伸されているとともに、先端部が底壁3側に向かう彎曲形状に形成されている。車内側シールリップ15は、該車内側シールリップ15と窓ガラス39との摺接部分に、接着材を介して植毛パイル層が設けられている。植毛パイル層は、例えば、ナイロン等のポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET樹脂)等のポリエステル樹脂、ポリオレフィン系樹脂などで構成されている。このため、ガラス窓39との摩擦抵抗が低下し、操作性および耐久性が向上する。
【0052】
弾接片21は、車内側側壁7の中間部の車内側に設けられており、前記中間部からドアインナーパネル35の支持部36側に延伸されて形成されている。弾接片21の基端部21aは、車内側シールリップ15の基端部15aを通る直線上に設けられている。また、弾接片21の先端部が支持部36の平坦部36aに当接されているとともに、弾接片21の車内側の側面が支持部36の壁部36bに当接されており、前記弾接片21が支持部36に弾接されている。
【0053】
なお、本発明でいう、弾接片21が支持部36に弾接されているとは、弾接片21が弾性変形した状態で支持部36に支持され、かつ、弾性片21がその弾性回復力によって前記支持部36を弾力的に押圧していることをいう。
【0054】
このように、弾接片21の基端部21aと車内側シールリップ15の基端部15aとが直線上に配されており、車内側シールリップ15が窓ガラス39に摺接して弾性変形した際に、車内側シールリップ15の弾性応力に対向する反力が弾接片21に生じるので、車内側側壁7の変形が抑制され、車内側シールリップ15のシール性能の低下を抑制できる。また、弾接片21が支持部36に弾性変形された状態で支持されるので、車内側シールリップ15の弾性変形により生じる弾性応力に対して、耐久性が向上する。
【0055】
第2車内側シールリップ17は、車内側側壁7の先端部から車外側側壁5側に延伸されているとともに、先端部が底壁3側に向かう彎曲形状に形成されている。このため、第2車内側シールリップ17は、車内側側壁7の先端部から車内側に延伸されて支持部36の車内側に当接した車内側カバーリップ19と、前記支持部36とに支持されるので、前記第2車内側シールリップ17が窓ガラス39に摺接した際の摺接圧力の低下が抑制される。
【0056】
また、第2車内側シールリップ17は、該第2車内側シールリップ17と窓ガラス39との摺接部分に、接着材を介して植毛パイル層が設けられている。植毛パイル層は、例えば、ナイロン等のポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET樹脂)等のポリエステル樹脂、ポリオレフィン系樹脂などで構成されている。このため、窓ガラス39との摩擦抵抗が低下し、操作性および耐久性が向上する。
【0057】
車内側カバーリップ19は、車内側側壁7の先端部から車内側に折り返されるとともに、ドアインナーパネル35の支持部36の車内側の表面に係合するように屈曲して形成されている。車内側カバーリップ19は、ドアインナーパネル35の支持部36を覆うように形成されている。
【0058】
次に、上述の如く構成された本発明の第1の実施の形態にかかる車両用ドアサッシュ構造を適用した自動車1について、
図2および
図3を参照して説明する。
図2は自動車1の側面図、
図3は車両用サッシュ構造を採用したサッシュ部31の上端部の断面図である。
【0059】
図2に示すように、自動車1の側部には、フロントサイドドア30とリヤサイドドアとがそれぞれ開閉自在に設けられ、自動車1の後部には、バックドアが開閉自在に設けられている。フロントドア30は、いわゆるプレスドアであって、
図3に示すように、ドアアウターパネル33とドアインナーパネル35とを備えている。
【0060】
サッシュ部31には、ガラスラン1が取り付けられ、窓ガラス39が昇降可能に設けられている。また、サッシュ部31を構成するドアインナーパネル35には、ドアウェザストリップ45がクリップ47によって固定され、自動車1のボディ43には、板金などのインサートパネルで補強されたオープニングウェザストリップ49が設けられている。
【0061】
このとき、クリップ45は、窓ガラス39の延長線上、すなわち窓ガラス39の作動ラインの延長線上から車内側に偏倚した位置で固定されているので、クリップ45とガラスラン1とが干渉することがない。また、窓ガラス39は、ドアインナーパネル35に突き合わされた底壁3に窓ガラス39の上端部が当接しているので、結果的に、ドアインナーパネル35が窓ガラス39の上端部を受け止め、上死点位置が決められている。
【0062】
また、車外側カバーリップ11と係合部9とが一対となってドアアウターパネル33の上端部の縁部34に係合され、弾接片21と車内側カバーリップ19とが一対となってドアインナーパネル35の支持部36に係合されているとともに、窓ガラス39の上端部が結果的にドアインナーパネル35に受け止められているので、ガラスラン1をサッシュ部31に取り付けるためのチャンネル等の取付部材が不要になり、かつ、窓ガラス39の上死点位置を決めるためのストッパー部材が不要になり、部品点数を削減してコストダウンが図られるとともに、軽量化が図られる。
【0063】
また、シール部23が窓ガラス39の上端部に弾接されているので、窓ガラス39の表裏のシール(車外側シールリップ13、車内側シールリップ15、および、第2車内側シールリップ17)に加え、窓ガラス39の端部にシールラインが形成される。
【0064】
また、弾接片21が、窓ガラス39に摺接して弾性変形された車内側シールリップ15の弾性応力に対して、この弾性応力に対向する反力を発生させ、車内側側壁7の変形を防止しているので、車内側シールリップ15のシール圧の低下を防いで高いシール性が発揮される。
【0065】
また、接触部37が、緩やかな彎曲形状に形成されているので、オープニングウェザストリップ49に対して局所的に接触圧が高くなったり、接触面積が減少したりすることがなく、オープニングウェザストリップ49との接触性が向上し、高い遮音性が発揮される。
【0066】
また、ドアインナーパネル35に底壁3を突き合わせているため、ドアアウターパネル33の上端部の幅が幅狭に形成され、その結果、サッシュ部が幅狭に形成されて、プレスドアとしてのフロントサイドドア30の外観意匠が高められる。
【0067】
また、ドアアウターパネル33の上端部の幅が幅狭にされているのに対して、ドアインナーパネル35の断面は小型化されていないので、サッシュ部31の剛性が確保される。
【0068】
このように、自動車1のフロントサイドドア30は、該フロントサイドドア30の強度が低下せず、かつ、ガラスラン1の遮音性、密閉性、止水性などが低下せず、ストッパー部材やチャンネル等の部材が削減された簡単な構造になり、コストダウンおよび軽量化が図られ、そして、外観意匠が高められている。
【0069】
以上に説明したように、本発明の第1の実施の形態にかかる車両用ドアサッシュ構造は、ドアアウターパネル33とドアインナーパネル35とが組み付けられたプレスドアとしてのフロントサイドドア30のサッシュ部31に設けられたガラスラン1を有し、前記ガラスラン1が少なくとも、底壁3と、前記底壁の両端部からそれぞれ立設された車外側側壁および車内側側壁と、前記車外側側壁の先端部から車外側に延伸され且つ前記サッシュ部31の前記ドアアウターパネル33の車外側の表面に当接する車外側カバーリップ11と、前記車外側側壁5の先端部から車内側に延伸された車外側シールリップ13と、前記車内側側壁7の中間部から車外側に延伸され且つ前記車外側シールリップ13と対向する車内側シールリップ15と、前記車内側側壁7の先端部から車外側に延伸され且つ前記サッシュ部31のドアインナーパネル35の車内側の表面に当接する車内側カバーリップ19と、を備えた車両用ドアサッシュ構造において、前記車内側側壁7が、前記車外側側壁5よりも長尺に形成され、前記車内側側壁7には、該車内側側壁7の中間部から車内側に延伸されて前記ドアインナーパネル35の車外側の表面に弾接する弾接片21が設けられ、前記ドアインナーパネル35には、前記サッシュ部31に昇降可能に支持される窓ガラス39の表面に対して略直交する方向に延在された平坦状部35cと、前記弾接片21を支持する支持部36と、が形成され、かつ、前記底壁3の外側が前記ドアインナーパネル35の前記平坦状部35cの車外側の表面に当接されていることを特徴とするものである。
【0070】
このように、底壁3の外側をドアインナーパネル35の平坦状部35cの車外側の表面に当接させているので、車外側カバーリップ11が当接するサッシュ部31のドアアウターパネル33を幅狭に形成することができる。したがって、サッシュ部31を幅狭に形成し、プレスドアとしてのフロントサイドドア30の外観意匠を向上させることができる。
【0071】
また、車内側側壁7が車外側側壁5と同じ長さであった場合には、ボディ43に設けられたオープニングウェザストリップ49に接触するドアインナーパネル35の接触部37を屈曲させるために、オープニングウェザストリップ49と接触部37との接触性が低下するが、本実施の形態では、車内側側壁7が車外側側壁5よりも長尺に形成されているので、オープニングウェザストリップ49に接触する接触部37を緩やかな彎曲形状に形成することができ、オープニングウェザストリップ49と接触部37との接触性が維持されることによって、遮音性、密閉性、水密性などの性能を効果的に発揮することができる。
【0072】
また、ボディ43に設けられたオープニングウェザストリップ49に接触するドアインナーパネル35の接触部37を緩やかな彎曲形状に形成することができるので、ドアインナーパネル35の断面の小型化を防止することができ、ドアインナーパネル35の断面の小型化に伴ってサッシュ部31の強度が低下してしまうことを抑制することができる。
【0073】
また、ボディ43に設けられたオープニングウェザストリップ49に接触するドアインナーパネル35の接触部37を緩やかな彎曲形状に形成することができるので、ドアインナーパネル35の加工が容易になる。
【0074】
また、窓ガラス39に車内側シールリップ15が摺接して弾性変形した際に、車内側側壁7には、車内側シールリップ15が車内側側壁7を車内側に押し込む応力が作用するとともに、弾接片21が車内側側壁7を車外側に押し返す応力(反力)が作用するので、長尺に形成された車内側側壁7の変形が抑制され、この車内側側壁7の変形が抑制されることによって、窓ガラス39に対する車内側シールリップ7の摺接圧力の低下が抑制される。したがって、車内側シールリップ7のシール性を維持することができる。
【0075】
また、長尺に形成された車内側側壁7の変形を抑制することができるので、インサートパネル等の補強部材を車内側側壁7に設ける必要がなくなる。このため、補強部材を車内側側壁7に設けた場合よりも、ガラスラン1の押出成形が容易になるとともに、ガラスラン1のコストダウンを図ることができる。
【0076】
また、長尺に形成された車内側側壁7の変形を抑制することができるので、車内側側壁7にドアインナーパネル35を沿わせて補強した場合よりも、ドアインナーパネル35の構造が簡単になり、ドアインナーパネル35のプレス成形を容易に行うことができる。
【0077】
また、底壁3の外側がドアインナーパネル35の平坦状部35cの車外側の表面に当接されているので、ガラスラン1を取り付けるためのチャンネル等の取付部材が不要になり、コストダウンを図ることができる。
【0078】
また、底壁3の外側がドアインナーパネル35の平坦状部35cの車外側の表面に当接されているので、窓ガラス39の上死点位置を決定するためのストッパー部材などが不要になり、コストダウンを図ることができるとともに、軽量化を図ることができる。また、チャンネル等の取付部材およびストッパー部材などが不要になるので、簡単な構造なる。
【0079】
また、底壁3の外側がドアインナーパネル35の平坦状部35cの車外側の表面に当接されているので、ドアインナーパネル35によって窓ガラス39の上死点位置を決定することができ、窓ガラス39の上死点位置の位置精度が高くなる。
【0080】
また、本発明の第1の実施の形態にかかる車両用ドアサッシュ構造は、車内側シールリップ15および弾接片21が、車内側側壁7における前記底壁3までの距離が略同じ位置からそれぞれ延伸されているので、車内側シールリップ15が窓ガラス39に当接して弾性変形した際に、車内側シールリップ15が車内側側壁7を車内側に押し込む応力と、弾接片21が車内側側壁7を車外側に押し返す反力とを略直線上に対向させることができる。これにより、前記応力を前記反力により打ち消して、長尺に形成された車内側側壁7の変形を効果的に抑制することができ、その結果、車内側シールリップ15のシール性を効果的に維持することができる。
【0081】
また、本発明の第1の実施の形態にかかる車両用ドアサッシュ構造は、ドアインナーパネル35に当接されている底壁3よりも車内側に偏った位置にドアウェザストリップ45の取付部としてのクリップ孔35aが設けられているので、ドアウェザストリップ45の固定用のクリップ孔35aに係合されるクリップ47がガラスラン1に干渉しない。
【0082】
また、ドアインナーパネル35に当接されている底壁3よりも車内側に偏った位置にドアウェザストリップ45のクリップ孔35aが設けられているので、ドアウェザストリップ45の取付箇所の空間に余裕ができ、ドアウェザストリップ45をドアインナーパネル35にクリップ47で取り付けるための取付作業の作業性が向上する。
【0083】
また、本発明の第1の実施の形態にかかる車両用ドアサッシュ構造は、車内側シールリップ15よりも車内側側壁7の先端部側から車外側に延伸された第2車内側シールリップ17が設けられているので、リップ枚数が増えることによって、遮音性が向上する。
【0084】
また、本発明の第1の実施の形態にかかる車両用ドアサッシュ構造は、窓ガラス39の端部に弾接するシール部23が底壁3の内側に設けられているので、雨水などの液体の浸入、外気の侵入、および、騒音の侵入を、より一層抑制することができる。