【実施例】
【0020】
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、実施例に示す材料、使用量、割合、操作等は、本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す 具体例に制限されるものではない。
【0021】
(実施例1:混合物A1A2;混合比(A1:A2)=2:1)
n−ブチルコハク酸無水物10gを乾燥メタノール50mlに溶解し、11時間加熱還流した。反応終了後、メタノールを減圧留去、減圧蒸留し、無色オイルとして、3−(n−ブチル)コハク酸1−メチルエステル及び2−(n−ブチル)コハク酸1−メチルエステルの混合物A1A2(混合比(A1:A2)=2:1)9gを得た。
また、得られた化合物の分析データは、以下のとおりである。さらに、耐電圧と各電解液の室温及び−25℃での溶解性についての測定結果を表1に示す。
【0022】
【化3】
【0023】
(分析データ:混合物A1A2)
1H NMR(CDCl3, δppm) : 0.88-0.91(m, 3H), 1.29-1.35(m, 4H), 1.50-1.70(m, 2H), 2.44-2.51(m, 1H), 2.68-2.88(m, 2H), 3.69(s, 2H) , 3.70(s, 1H), 10.00-12.00(brs, 1H)
13C NMR(CDCl3, δppm) : 13.83, 13.85, 22.24, 22.28, 28.98, 29.05, 31.40, 31.60, 35.44, 35.75, 40.88, 41.06, 51.85, 51.90, 172.44, 175.43, 178.22, 181.19
【0024】
(実施例2:混合物B1B2の合成;混合比(B1:B2)=5:3)
n−オクチルコハク酸無水物5.3gを乾燥メタノール100mlに溶解し、6時間加熱還流した。反応終了後、メタノールを減圧留去し、無色オイルとして、3−(n−オクチル)コハク酸1−メチルエステル及び2−(n−オクチル)コハク酸1−メチルエステルの混合物(混合物B1B2(混合比5:3))5.9gを得た。
【0025】
【化4】
【0026】
(分析データ:混合物B1B2)
1H NMR(CDCl3, δppm) : 0.88(t, 3H), 1.20-1.40(m, 12H), 1.45-1.75(m, 2H), 2.40-2.52(m, 1H), 2.68-2.90(m, 2H), 3.69(s, 1.9H) , 3.70(s, 1.1H)、7.0-9.7(brs, 1H)
13C NMR(CDCl3, δppm) : 14.10, 22.67, 26.88, 26.91, 29.21, 29.23, 29.36, 29.38, 29.40, 31.72, 31.85, 31.92, 35.49, 35.76, 40.96, 41.11, 51.85, 51.89, 172.48, 175.48, 177.88, 180.86
【0027】
(実施例3〜5)
実施例1及び実施例2で得られたコハク酸部分エステルを用いて、それぞれ、下記表1に記載の各成分を所定割合で混合し、アンモニアでpH6に調整して電解コンデンサ電解液を得た。
得られた電解コンデンサ電解液は、アルミニウム箔を用いて10mA/cm
2の電流密度の定電流で化成した際の耐電圧を測定した。さらに、各電解液の室温及び−25℃での溶解性を目視で評価した。これらの結果を、表1に併せて示す。
【0028】
(比較例1〜6)
下記表1に記載のカルボン酸又はカルボン酸エステルを電解質化合物として使用し、各成分を所定割合で混合し、アンモニアでpH6に調整して電解コンデンサ電解液を得た。
得られた電解コンデンサ電解液は、アルミニウム箔を用いて10mA/cm
2の電流密度の定電流で化成した際の耐電圧を測定した。さらに、各電解液の室温及び−25℃での溶解性を目視で評価した。これらの結果を、表1に併せて示す。
【0029】
【表1】
*1:混合物A1A2(実施例1参照)、混合物B1B2(実施例2参照)
*2:溶解性の評価; ○:溶解した ×:結晶が析出した −:未検討
【0030】
上記の表1から明らかなように、本発明のコハク酸部分エステルを含有する電解液は、比較例の電解液と比較して、耐電圧や溶解性に優れていることが分かった。