特許第6051959号(P6051959)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6051959
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】通信方法および通信装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/16 20060101AFI20161219BHJP
   H04W 56/00 20090101ALI20161219BHJP
   H04B 17/336 20150101ALI20161219BHJP
   H04L 12/28 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   H04B1/16 Z
   H04W56/00 150
   H04B17/336
   H04L12/28 200M
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-44449(P2013-44449)
(22)【出願日】2013年3月6日
(65)【公開番号】特開2014-175719(P2014-175719A)
(43)【公開日】2014年9月22日
【審査請求日】2015年4月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112210
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108431
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 加奈子
(74)【代理人】
【識別番号】100153176
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 重明
(74)【代理人】
【識別番号】100109612
【弁理士】
【氏名又は名称】倉谷 泰孝
(72)【発明者】
【氏名】青木 一平
(72)【発明者】
【氏名】掛樋 勇次
【審査官】 佐藤 敬介
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/049547(WO,A1)
【文献】 特開平09−233517(JP,A)
【文献】 米国特許第05937356(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0135972(US,A1)
【文献】 特開2000−078215(JP,A)
【文献】 特開2009−111741(JP,A)
【文献】 特開平10−232276(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/16
H04B 17/336
H04L 12/28
H04W 56/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定配列パターンのビット列を含み同期のために用いられる同期データ部および固定配列パターンのビット列を含み物理レイヤで取り扱うデータを有する物理データ部によって構成されたパケットを、送信局と受信局との間で送受信する通信方法であって、
前記受信局において受信されたパケットのうち、前記同期データ部に含まれる固定配列パターンのビット列が規定通りの配列パターンであるか否かを検出する同期配列パターン検出工程と、
前記受信局において受信されたパケットのうち、前記物理データ部に含まれる固定配列パターンのビット列が規定通りの配列パターンであるか否かを検出する物理配列パターン検出工程と、
前記受信局が正規のパケットを受信したか否かを判定する正規受信判定工程と、
前記パケットのうち前記物理データ部を復調する復調工程とを含み、
前記同期配列パターン検出工程において、前記同期データ部に含まれる固定配列パターンのビット列が規定通りの配列パターンであることを検出し、かつ前記物理配列パターン検出工程において、前記物理データ部に含まれる固定配列パターンのビット列が規定通りの配列パターンであることを検出した場合に、前記正規受信判定工程において、前記受信局が正規のパケットを受信したものと判定し、
前記同期配列パターン検出工程において、前記同期データ部に含まれる固定配列パターンのビット列が規定通りの配列パターンであることを検出した場合に、前記復調工程において、前記物理データ部の復調を開始し、
前記正規受信判定工程において、前記受信局が正規のパケットを受信したものと判定しなかった場合に、前記復調工程における復調を終了することを特徴とする通信方法。
【請求項2】
前記物理データ部は、複数の固定配列パターンのビット列を含み、
前記物理配列パターン検出工程において、前記物理データ部に含まれる複数の固定配列パターンのビット列がともに規定通りの配列パターンであることを検出した場合に、前記正規受信判定工程において、前記受信局が正規のパケットを受信したものと判定することを特徴とする請求項1記載の通信方法。
【請求項3】
前記物理データ部は、ペイロードデータから成るペイロード部、およびペイロード部のデータ長を示す情報から成るデータ長部を含み、
前記通信方法は、前記ペイロード部のデータ長を所定の閾値と比較して、前記データ長が前記閾値を超えたか否かを判定するデータ長比較工程を更に含み、
前記データ長比較工程において、前記ペイロード部のデータ長が前記閾値を超えないと判定された場合に、前記正規受信判定工程において、前記受信局が正規のパケットを受信したものと判定することを特徴とする請求項1記載の通信方法。
【請求項4】
前記同期配列パターン検出工程と前記物理配列パターン検出工程とを同時に実行することを特徴とする請求項1記載の通信方法。
【請求項5】
前記パケットのうち前記同期データ部を受信したときの通信品質を検出する品質検出工程と、
前記品質検出工程において検出された前記通信品質を所定の閾値と比較して、前記通信品質が前記閾値を超えたか否かを判定する品質比較工程とを更に含み、
前記品質比較工程において前記通信品質が前記閾値を超えたと判定された場合に、前記正規受信判定工程において、前記受信局が正規のパケットを受信したものと判定することを特徴とする請求項1記載の通信方法。
【請求項6】
固定配列パターンのビット列を含み同期のために用いられる同期データ部および固定配列パターンのビット列を含み物理レイヤで取り扱うデータを有する物理データ部によって構成されたパケットを、受信する通信装置であって、
前記受信局において受信されたパケットのうち、前記同期データ部に含まれる固定配列パターンのビット列が規定通りの配列パターンであるか否かを検出する同期配列パターン検出手段と、
前記受信局において受信されたパケットのうち、前記物理データ部に含まれる固定配列パターンのビット列が規定通りの配列パターンであるか否かを検出する物理配列パターン検出手段と、
前記受信局が正規のパケットを受信したか否かを判定する正規受信判定手段と、
前記パケットのうち前記物理データ部を復調する復調手段とを含み、
前記同期配列パターン検出手段において、前記同期データ部に含まれる固定配列パターンのビット列が規定通りの配列パターンであることを検出し、かつ前記物理配列パターン検出手段において、前記物理データ部に含まれる固定配列パターンのビット列が規定通りの配列パターンであることを検出した場合に、前記正規受信判定手段において、前記受信局が正規のパケットを受信したものと判定し、
前記同期配列パターン検出手段において、前記同期データ部に含まれる固定配列パターンのビット列が規定通りの配列パターンであることを検出した場合に、前記復調手段において、前記物理データ部の復調を開始し、
前記正規受信判定手段において、前記受信局が正規のパケットを受信したものと判定しなかった場合に、前記復調手段における復調を終了することを特徴とする通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定配列パターンのビット列を含み同期のために用いられる同期データ部および固定配列パターンのビット列を含み物理レイヤで取り扱うデータを有する物理データ部によって構成されたパケットを、送信局と受信局との間で送受信する通信方法および通信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、無線通信を行う送信局と受信局との間の距離は様々であり、一定ではない。そのため、受信局のアンテナに入力される電力は様々な値を取る。その一方で、無線通信において使用される一つのAD(analog - digital)コンバータが単独で広範囲の信号電力を精度良く処理することは困難であり、それを可能とするADコンバータは少ない。そのため、入力信号に対して、ADコンバータが適切に動作できるようにゲインを調整する必要がある。このような技術は、AGC(Automatic Gain Control;自動利得制御)と呼ばれる。
【0003】
また、無線通信を行う送信局の発振周波数と受信局の発振周波数とが僅かに異なって動作している状態において、その両者はパケットを受信する度に高精度に一致させる必要がある。このような技術は、周波数同期と呼ばれる。
【0004】
さらに、無線通信を行う送信局から受信局に有意なデータの開始や終了などのタイミングを通知して、受信局において有意なデータを抽出できるようにする必要がある。このような技術は、タイミング同期あるいはフレーム同期などと呼ばれる。
【0005】
以上のように、一般的な無線通信において、受信動作を行う際には、ゲイン調整・周波数同期・タイミング同期が必要である。これらの動作を実行するためには、送信局から受信局に冗長な信号を送る必要がある。通信方式の標準化規格により、それぞれいくつかの方式が規定されている。
【0006】
近年、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access/ Collision Avoidance)を用いた、送信タイミングを各端末で決定する自律分散型のシステムが広く利用されている。CSMA/CAを利用したシステムとして、無線LAN(Local Area Network)や、Bluetooth(登録商標)などがよく知られている。また、PAN(Personal Area Network)を対象としてIEEE(The Institute of Electrical and Electronic Engineers)で標準化された規格としてIEEE 802.15.4があり、この規格でもCSMA/CAが既定されている。
【0007】
IEEE802.15.4、IEEE802.15.4g、IEEE802.15.4dでは、パケットは図2に示すように構成される。パケットは、SHR101(synchronization header)、PHR102(PHY header)およびPHY payload103から構成される。さらに、SHR101は、プリアンブル1011およびSFD1012(start of frame delimiter)から構成される。
【0008】
プリアンブル1011は、既知の固定配列パターンのビット列を含む。SFD1012は、プリアンブル1011の終わりを示すとともに、SFD1012の次に受信する信号がPHR102であることを示す信号である。
【0009】
PHR102は、Mode switch1021、Reserved bit1022、FCS type1023、data whitening1024およびFrame length1025により構成される。Mode switch1021は、データの伝送レート・変調方法に変更があるかどうかを示す値である。Reserved bit1022は、特に使用されない信号である。FCS(Frame Check Sequence) type1023は、CRC(Cyclic Redundancy Check;巡回冗長検査)で使用するバイト数を示す信号である。Data whitening1024は、データホワイトニングの使用の有無を示す信号である。Frame length1025は、PHY payload103の長さを示す。
【0010】
PHY payload103は、MHR(MAC header)1031、MAC payload1032およびMFR(MAC Footer)1033から構成される。MHR1031は、宛先局のMAC(Media Access Control)アドレスと発呼局のMACアドレスとを含んでいる。MAC payload1032は、送付するペイロードデータを含んでいる。MFR1033は、FCSを含んでいる。
【0011】
図9は、従来技術に係る処理フローを示すフローチャートである。まず、工程201においてプリアンブル探索を行う。プリアンブル1011を受信したとき、受信局は受信信号から送信局の発振周波数を検出し、検出された送信局の周波数に自身(受信局)の発振周波数を合わせる。同時に、後続の信号を受信する上で最適なゲインを設定する。続いて、工程202においてプリアンブルが検出されると、次の工程203に進む。続いて、工程203においてSFDが検出されると、検出されたSFDを利用してタイミング同期が実行され、次の工程204に進む。続いて、工程204においてPHR復調が行われ、工程205においてPHYペイロード復調が行われ、工程206においてFCSの結果を確認する。
【0012】
IEEE802.11においても、同様に、パケット中のPLCP(Physical Layer Convergence Protocol) preambleと呼ばれる箇所において、ゲイン調整・周波数同期・タイミング同期が実行される。
【0013】
IEEE802.15.4、IEEE802.15.4g、IEEE802.15.4d、IEEE802.11のように、プリアンブル1011とSFD1012を利用してパケットを検出する手法を用いる場合、雑音のみの無信号入力状態において復調した信号が、規定されているプリアンブル1011およびSFD1012の固定配列パターンのビット列と偶発的に等しくなってしまうことがあり得る。その結果、単なる雑音を、到来したパケットであると判定してしまい、復調処理を行なってしまう。このパケット誤検出の発生頻度は、SHR101のビット長が短くなるほど高くなる。
【0014】
このようなパケット誤検出を回避する手法として、受信局が保有するプリアンブルパターンのビット列(レプリカ)と到来した受信信号との相互相関を算出した上で、RSSI(Received Signal Strength Indication)に基づいて設定した閾値と相互相関とを比較する手法が公開されている(特許文献1参照)。
【0015】
しかしながら、この文献で公開されている手法では相互相関を算出する必要があり、これによって演算部へ負担をかけてしまう。
【0016】
この他、パケット誤検出防止のための既存技術として次の4つの技術が既に知られている。
(1)受信信号を復調したり、送信信号を変調したりするRF処理部から出力されるRSSI信号のレベルから、信号強度(電力)に変換し、その信号強度がある閾値よりも大きいか否かにより受信パケットの到来を判断するもの。
(2)RF処理部から出力される復調信号(I信号、Q信号)レベルから、電力値を計算し、その電力値とある閾値との比較によって、受信パケットの到来を判断するもの。
(3)プリアンブル(レプリカ)と受信信号との相互相関を算出し、その相関値とある閾値とを比較することによって、受信パケットを検出するもの。
(4)受信信号のプリアンブル部の自己相関値を算出し、その相関値とある閾値とを比較することによって、受信パケットを検出するもの。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2009-278409号(請求項1、図3
【特許文献2】特開2011-146974号(請求項10、図3
【特許文献3】特開2003-244118号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
図10は、従来技術の課題を説明するためのタイミングチャートである。受信局の受信信号は、雑音5011、所望パケット5012、雑音5013がこの順に続くものとする。受信局の動作は、プリアンブル探索5021、フレーム復調処理(パケット誤検出)5022、プリアンブル探索5023がこの順に続くものとする。
【0019】
プリアンブル探索5021において、雑音5011の一部をプリアンブルおよびSHRであると誤検出すると、後続のPHR・PHYペイロードから成るフレームの復調処理が開始される。フレーム復調処理5022の間に所望パケット5012が到来しても、既に開始されているフレーム復調処理が継続される。所望パケット5012が通過した後に、フレーム復調が完了する。復調完了後、雑音5013に対してプリアンブル探索5023が実行される。このように、従来技術では、所望パケット5012が適切に検出されないことが発生し得ることとなる。
【0020】
本発明の目的は、正規のパケットを受信したものと適切かつ簡易に判定できる通信方法および通信装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、固定配列パターンのビット列を含み同期のために用いられる同期データ部および固定配列パターンのビット列を含み物理レイヤで取り扱うデータを有する物理データ部によって構成されたパケットを、送信局と受信局との間で送受信する通信方法であって、
前記受信局において受信されたパケットのうち、前記同期データ部に含まれる固定配列パターンのビット列が規定通りの配列パターンであるか否かを検出する同期配列パターン検出工程と、
前記受信局において受信されたパケットのうち、前記物理データ部に含まれる固定配列パターンのビット列が規定通りの配列パターンであるか否かを検出する物理配列パターン検出工程と、
前記受信局が正規のパケットを受信したか否かを判定する正規受信判定工程とを含み、
前記同期配列パターン検出工程において、前記同期データ部に含まれる固定配列パターンのビット列が規定通りの配列パターンであることを検出し、かつ前記物理配列パターン検出工程において、前記物理データ部に含まれる固定配列パターンのビット列が規定通りの配列パターンであることを検出した場合に、前記正規受信判定工程において、前記受信局が正規のパケットを受信したものと判定することを特徴とする通信方法である。
【0022】
また本発明は、固定配列パターンのビット列を含み同期のために用いられる同期データ部および固定配列パターンのビット列を含み物理レイヤで取り扱うデータを有する物理データ部によって構成されたパケットを、受信する通信装置であって、
前記受信局において受信されたパケットのうち、前記同期データ部に含まれる固定配列パターンのビット列が規定通りの配列パターンであるか否かを検出する同期配列パターン検出手段と、
前記受信局において受信されたパケットのうち、前記物理データ部に含まれる固定配列パターンのビット列が規定通りの配列パターンであるか否かを検出する物理配列パターン検出手段と、
前記受信局が正規のパケットを受信したか否かを判定する正規受信判定手段とを含み、
前記同期配列パターン検出手段において、前記同期データ部に含まれる固定配列パターンのビット列が規定通りの配列パターンであることを検出し、かつ前記物理配列パターン検出手段において、前記物理データ部に含まれる固定配列パターンのビット列が規定通りの配列パターンであることを検出した場合に、前記正規受信判定手段において、前記受信局が正規のパケットを受信したものと判定することを特徴とする通信装置である。
【発明の効果】
【0023】
以上のように本発明によれば、同期配列パターン検出工程において、同期データ部に含まれる固定配列パターンのビット列が規定通りの配列パターンであることを検出し、かつ物理配列パターン検出工程において、物理データ部に含まれる固定配列パターンのビット列が規定通りの配列パターンであることを検出した場合に、正規受信判定工程において、受信局が正規のパケットを受信したものと判定するので、正規のパケットを受信したものと適切かつ簡易に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施の形態1に係る通信システムの構成を示すブロック図である。
図2】実施の形態1の通信システムで使用するパケットの構成を示す構成図である。
図3】実施の形態1に係る処理フローを示すフローチャートである。
図4】実施の形態1の動作を説明するタイミングチャートである。
図5】本発明の実施の形態2に係る処理フローを示すフローチャートである。
図6】本発明の実施の形態3に係る処理フローを示すフローチャートである。
図7】本発明の実施の形態4に係る処理フローを示すフローチャートである。
図8】本発明の実施の形態5に係る処理フローを示すフローチャートである。
図9】従来技術に係る処理フローを示すフローチャートである。
図10】従来技術の課題を説明するためのタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る通信システムの構成を示すブロック図である。通信システムは、送信局10および受信局20によって構成される。送信局10は、無線通信でパケットを送信し、この送信されたパケットを受信局20が受信する。送信局10は、演算部11、RF(Radio Frequency)処理部12およびアンテナ13を備えている。受信局20は、演算部21、RF処理部22およびアンテナ23を備えている。ここで説明した送信局10および受信局20(特に、受信局20)は、本発明の通信装置に相当する。
【0026】
ここでは例としてIEEE802.15.4gに基づくシステムを仮定するが、IEEE802.15.4、IEEE802.11などのパケット中で固定となる値が存在するパケットフォーマットを使用するシステムに対しても適用可能である。このことから、無線LANやbluetooth(登録商標)などにも適用できる。また、このシステムは1対1の無線通信に限らず1対Nなどのネットワークで使用されても良い。
【0027】
図2は、実施の形態1の通信システムで使用するパケットの構成を示す構成図である。パケットは、SHR101(synchronization header)、PHR102(PHY header)およびPHYペイロード(PHY payload)103から構成される。SHR101は、同期のために用いられる同期データ部に相当し、プリアンブル1011およびSFD1012(start of frame delimiter)から構成される。PHR102およびPHYペイロード103は、物理データ部100を構成する。物理データ部100は、パケットの中で物理レイヤで取り扱うデータを有する部分を構成する。
【0028】
プリアンブル1011は、既知の固定配列パターンのビット列を含む。SFD1012は、プリアンブル1011の終わりを示すとともに、SFD1012の次に受信する信号がPHR102であることを示す信号である。
【0029】
PHR102は、Mode switch1021、Reserved bit1022、FCS type1023、data whitening1024およびFrame length1025により構成される。Mode switch1021は、データの伝送レート・変調方法に変更があるかどうかを示す値であり、システムによっては単一の値を使用する場合もある。Reserved bit1022は、特に使用されない信号である。FCS(Frame Check Sequence) type1023は、CRC(Cyclic Redundancy Check;巡回冗長検査)で使用するバイト数を示す信号である。Data whitening1024は、データを乱処理(スクランブル)するデータホワイトニングの使用の有無を示す信号である。PHY payload103にのみデータホワイトニングが実行される。このデータホワイトニングの値もシステムによって終始単一の値を使用する場合がある。Frame length1025は、PHY payload103の長さを示す。ここではMode switch1021、reserved bit1022、FCS type1023、data whitening1024が固定値であるシステムを考える。固定値も、固定配列パターンのビット列を含む。
【0030】
PHY payload103は、MHR(MAC header)1031、MAC payload1032およびMFR(MAC Footer)1033から構成される。MHR1031は、宛先局のMAC(Media Access Control)アドレスと発呼局のMACアドレスとを含んでいる。MAC payload1032は、送付するペイロードデータを含んでいる。MFR1033は、FCSを含んでいる。
【0031】
図3は、実施の形態1に係る処理フローを示すフローチャートである。工程301においてプリアンブルを探索し、工程302において、受信して復調した信号のビット列が規定されたプリアンブルの配列パターン(レプリカ)に一致するか否かを判定する。規定されたプリアンブルのビット列(レプリカ)は、パケットフォーマットとして規定されたプリアンブルのビット列よりも短くても良い。このとき、受信して復調された信号のビット列の一部がプリアンブルのビット列(レプリカ)と一致していれば工程303に進み、一致していなければ工程301に戻る。
【0032】
次に工程303において、プリアンブルに続く信号がSFDの配列パターンのビット列(レプリカ)と一致しているか否かを判定する。もしも、プリアンブルに続く信号がSFDと一致しなければ工程301に戻り、一致すれば工程304に進む。工程304では、SFDに続く信号を復調してPHRとして処理する。
【0033】
次に工程305において、PHRとして復調したビット列で、Mode switch、reserved bit、FCS type、data whiteningが記載された箇所が、システム内で固定の値かどうかを判定する。固定値も固定配列パターンのビット列を成すので、プリアンブルやSFDと同様に、固定配列パターンのビット列であるか否かを判定することができる。それらの値が固定値でない場合、工程301に戻り、固定値である場合は工程306に進む。工程306では、PHRに記載されているFrame length分だけ後続の信号に対して復調を行ない、工程307に進む。工程307では、復調された信号に基づいてCRCを実行し、復調した信号に誤りが無いかどうか(すなわちFCSの結果)を確認する。その後、工程301に戻り、工程301〜307の処理を繰り返し実行する。
【0034】
ここで説明した、工程302または工程303は本発明の同期配列パターン検出工程(手段)に、工程304は本発明の復調工程に、工程305は本発明の物理配列パターン検出工程(手段)および正規受信判定工程(手段)に、それぞれ相当する。
【0035】
このように、工程302および工程303において、パケットのうち同期データ部に含まれる固定配列パターンのビット列が規定通りの配列パターンであることを検出すると共に、工程305において、パケットのうち物理データ部に含まれる固定配列パターンのビット列が規定通りの配列パターンであることを検出した場合に、受信局が正規のパケットを受信したものと判定し、次の工程306に進む。従って、正規のパケットを受信したものと適切かつ簡易に判定することができる。
【0036】
また、PHRの復調(工程304)およびPHYペイロードの復調(工程306)から成る物理データ部の復調工程においては、同期データ部が規定通りの配列パターンであることを検出した場合に、物理データ部の復調を一旦開始する、すなわちPHRの復調を行う(工程304)。しかしながら、正規のパケットを受信したものと判定しなかった場合は、物理データ部の復調を終了する、すなわちPHYペイロードの復調は行わず、プリアンブル探索(工程301)を再開する。従って、同期データ部が規定通りの配列パターンであることを検出した場合に、物理データ部の復調を一旦開始したとしても、物理データ部が規定通りの配列パターンであることを検出しない場合に、物理データ部の復調を終了することで、迅速に復調工程を終了させてプリアンブル探索を再開することができる。
【0037】
なお、工程305においては、Mode switch、reserved bit、FCS type、data whiteningのうちのいずれかが規定通りの固定値(固定配列パターン)になっていることを検出するだけで復調工程を開始すれば充分である。なぜならば、同期データ部(プリアンブルおよびSFD)が規定通りであることを検出できたことに加えて、物理データ部の一つでも規定通りの固定値であることを検出できれば、パケット全体に渡って特筆するような信号劣化は見られないと判断できるためである。
【0038】
また、同工程305においては、Mode switch、reserved bit、FCS type、data whiteningのうちのいずれかが規定通りの固定値(固定配列パターン)になっていないことを検出するだけで、パケット誤検出であると判定し、復調工程を終了してプリアンブル探索301を再開すれば充分である。なぜならば、Mode switch、reserved bit、FCS type、data whiteningのうちのいずれかに誤りがある場合、この誤りの主な発生原因は他の送信局からの干渉や、受信している信号レベルが低いということが挙げられるが、このような場合、後続のパケットに対しても誤りが発生している可能性が高く、正規のパケットと扱わずに例えば廃棄してしまったとしても、受信局の性能自体に大きな影響を及ぼすものではないからである。
【0039】
図4は、実施の形態1の動作を説明するタイミングチャートである。受信局の受信信号は、雑音7011、所望パケット7012、雑音7013がこの順に続くものとする。受信局の動作は、プリアンブル探索7021、フレーム復調処理(パケット誤検出)7022、プリアンブル探索7023、フレーム復調処理(パケット正規検出)7024およびプリアンブル探索7025がこの順に続くものとする。
【0040】
プリアンブル探索7021において、雑音7011の一部をプリアンブルおよびSHRであると誤検出すると、後続のPHR・PHYペイロードから成るフレームの復調処理が開始される。ここで、PHRに含まれる固定値が検出された場合、パケット誤検出と判定してプリアンブル探索7023が再開される。この後、所望パケット7012が到来したら、プリアンブルおよびSHRが適切に検出され、正規のパケットを受信したと判定され、適切に所望パケット7012の受信・復調が実行される。ここで、再びプリアンブル探索7025が再開される。
【0041】
図10と対比すると、図10では所望パケット5012が復調できないことにより、送信局がパケットを再送することを要するのに対し、図4では所望パケット7012に対して適切なタイミングでフレーム復調7024を実行することができ、パケットを再送する必要がなくなるので、送信局を省電力化することができる。
【0042】
以上説明したように実施の形態1では、パケットのうち同期データ部に含まれる固定配列パターンのビット列が規定通りの配列パターンであることを検出すると共に、パケットのうち物理データ部に含まれる固定配列パターンのビット列が規定通りの配列パターンであることを検出した場合に、受信局が正規のパケットを受信したものと判定するので、正規のパケットを受信したものと適切かつ簡易に判定することができる。
【0043】
また、同期データ部が規定通りの配列パターンであることを検出した場合に、物理データ部の復調を一旦開始したとしても、物理データ部が規定通りの配列パターンであることを検出しない場合に、物理データ部の復調を終了することで、迅速に復調工程を終了させることができる。
【0044】
実施の形態2.
図5は、本発明の実施の形態2に係る処理フローを示すフローチャートである。実施の形態1ではPHRに含まれる固定値を用いてパケット誤検出を判定したが、実施の形態2では、PHRとPHY payload中のMHRの両方の固定値を用いて誤検出を判定する。
【0045】
工程1201〜工程1205は、図3の工程301〜工程305と同一の処理を示すため、説明を省略する。工程1205において、PHRに含まれる信号が規定の固定値(固定配列パターン)であると判定した場合、工程1206に進み、MHRを復調する。MHRを復調した後、工程1207において、PHRに含まれる信号が規定の固定値(固定配列パターン)であるか否かを判定する。規定の固定値でない(パケット誤検出の)場合は、工程1201に戻ってプリアンブル探索を再開する。規定の固定値である(正規のパケット検出の)場合は、工程1208に進む。工程1208では、MACペイロードおよびFCS、すなわちパケットの残余部分の復調処理を実行する。続いて、工程1209においてFCSの結果を確認し、先頭のプリアンブル探索(工程1201)に戻って、工程1201〜工程1209の処理を繰り返す。
【0046】
ここで説明した、工程1202または工程1203は本発明の同期配列パターン検出工程(手段)に、工程1206は本発明の復調工程(手段)に、工程1205および工程1207は本発明の物理配列パターン検出工程(手段)に、工程1207は正規受信判定工程(手段)に、それぞれ相当する。
【0047】
以上のように実施の形態2では、パケットのうち物理データ部は複数の固定値(固定配列パターン)を含む、特に、PHRに1以上の固定値を含み、MHRにも1以上の固定値を含む。これら複数の固定値のいずれもが規定通りの配列パターンに一致した場合に、受信したパケットを正規のパケットとして判定する。このため、正規のパケットを受信したものであることをより適切に判定することができる。
【0048】
実施の形態3.
図6は、本発明の実施の形態3に係る処理フローを示すフローチャートである。実施の形態3は、実施の形態1にPHYペイロードのデータ長が規定通りか否かを判定する工程を追加したものである。
【0049】
工程1001〜工程1005は、図3の工程301〜工程305と同一の処理を示すため、説明を省略する。工程1005において、PHRに含まれる信号が規定の固定値(固定配列パターン)であると判定した場合、工程1006に進み、PHYペイロードのデータ長を規定の閾値と比較することによって当該データ長が規定通りか否かを判定する。すなわち、PHYペイロードのデータ長が規定の閾値(最大値)以下となっているか否かを判定する。規定のデータ長でない場合は、工程1001に戻ってプリアンブル探索を再開する。規定のデータ長である場合は、工程1007に進む。工程1007〜工程1008は、図3の工程306〜工程307と同一の処理を示すため、説明を省略する。
【0050】
ここで説明した、工程1002または工程1003は本発明の同期配列パターン検出工程(手段)に、工程1004は本発明の復調工程(手段)に、工程1005は本発明の物理配列パターン検出工程(手段)および正規受信判定工程(手段)に、工程1006は本発明のデータ長比較工程(手段)に、それぞれ相当する。
【0051】
以上のように実施の形態3では、パケットのうち物理データ部がペイロードデータから成るペイロード部(PHY payload)およびペイロード部のデータ長を示す情報から成るデータ長部(Frame length)を含む。また、ペイロード部のデータ長を所定の閾値と比較してデータ長が閾値を超えたか否かを判定するデータ長比較工程において、ペイロード部のデータ長が閾値を超えないと判定された場合に、正規のパケットを受信したものと判定する。データ長が閾値を超えたと判定された場合に、パケット誤検出と判定する。従って、正規のパケットを受信したものであることをより適切に判定することができる。
【0052】
実施の形態4.
図7は、本発明の実施の形態4に係る処理フローを示すフローチャートである。実施の形態3では、プリアンブルとSFDによってパケットを検出し、PHRの固定値を利用して、復調している信号が所望のパケットであることを判定したが、実施の形態4では、SFD検出とPHRの固定値によるパケット誤検出判定を同時に実行する。
【0053】
工程1103において、SFDとPHRに該当する信号を復調した後、工程1104において、それらの信号がSFDとPHRに含まれる固定値が規定通りの固定値(固定配列パターン)と等しければ工程1105に進み、そうでなければ工程1101へ戻る。それ以外の工程1101,1102,1105〜1107は、図6の工程1001,1002,1006〜1008と同一の処理を示すので、説明は省略する。
【0054】
ここで説明した、工程1104は本発明の同期配列パターン検出工程(手段)、物理配列パターン検出工程(手段)および正規受信判定工程(手段)に、工程1103は本発明の復調工程(手段)に、工程1105は本発明のデータ長比較工程(手段)に、それぞれ相当する。
【0055】
以上のように実施の形態4では、パケットのうち同期データ部に含まれる固定値が規定通りの固定値(固定配列パターン)であることを検出する工程と、物理データ部に含まれる固定値が規定通りの固定値(固定配列パターン)であることを検出する工程とを同時に実行する。これにより、正規のパケットを受信したものであることをより適切に判定することができると共に、処理フローを簡略化して処理時間を短縮することができる。
【0056】
実施の形態5.
図8は、本発明の実施の形態5に係る処理フローを示すフローチャートである。実施の形態5は、実施の形態1に通信品質が規定通りか否かを判定する工程を追加したものである。
【0057】
工程401〜工程405は、図3の工程301〜工程305と同一の処理を示すため、説明を省略する。工程405において、PHRに含まれる信号が規定の固定値(固定配列パターン)であると判定した場合、工程406に進み、通信品質を規定の閾値と比較することによって通信品質が規定通りか否かを判定する。すなわち、例えばSFDを受信したときにそのSNR(Signal to Noise Ratio)を検出しておき、当該SNR検出値が規定の閾値(最大値)以上となっているか否かを判定する。規定の通信品質でない場合は、工程401に戻ってプリアンブル探索を再開する。規定の通信品質である場合は、工程407に進む。工程407〜工程408は、図3の工程306〜工程307と同一の処理を示すため、説明を省略する。
【0058】
ここで説明した、工程402または工程403は本発明の同期配列パターン検出工程(手段)に、工程404は本発明の復調工程に、工程405は本発明の物理配列パターン検出工程(手段)および正規受信判定工程(手段)に、工程406は本発明の品質検出工程(手段)および品質比較工程(手段)に、それぞれ相当する。
【0059】
以上のように実施の形態5では、パケットのうち同期データ部、特にSFDを受信したときの通信品質を検出する品質検出工程(手段)と、検出された通信品質を所定の閾値と比較してその閾値を超えたか否かを判定する品質比較工程(手段)とを含む。品質比較工程において通信品質が閾値を超えたと判定された場合に、受信局が正規のパケットを受信したものと判定する。これによって、正規のパケットを受信したものであることをより適切に判定することができる。
【0060】
なお、通信品質(SNR)の検出は、SFDに相当する信号を受信した際、その受信信号を利用してSNRを算出することによって実行される。具体的には、受信信号をIQ平面状に配置し、ある信号点に対応する受信信号の平均の信号点を所望信号点とし、所望信号の分散を算出する。また、その所望信号点と受信信号の差分を基に雑音の分散を算出する。所望信号の分散を雑音の分散で割った値をSNRとする。
【0061】
また、図8では工程406を工程405の直後に配置しているが、SFDを基にSNRを算出する場合は、工程406を工程403の直後に配置することも可能である。
【0062】
さらに、ゲイン調整と周波数同期とが完了した後に受信したプリアンブル・SFD・PHRを用いてSNRを算出し、工程406において、算出したSNRが閾値を超えているかどうかを判定し、超えていれば工程407に進み、そうでなければ工程401に戻るようにしても良い。これにより、より適切なSNRを算出することができるので、正規のパケットを受信したものであることを更に適切に判定することができる。
【符号の説明】
【0063】
10 送信局
11,21 演算部
12,22 RF処理部
13,23 アンテナ
20 受信局
100 物理データ部
101 SHR(同期データ部)
1011 プリアンブル
1012 SFD
102 PHR
1021 Mode switch
1022 Reserved bit
1023 FCS type
1024 Data whitening
1025 Frame length
103 PHY payload
1031 MHR
1032 MAC payload
1033 MFR
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10