(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
地図要素のデータを更新する前のバージョンの地図データと地図要素のデータを更新した後のバージョンの地図データとの地図要素のデータの差分である地図差分データを格納している地図差分データ格納部(12)と、
前記地図差分データを配信する配信部(137)とを備え、
前記地図差分データ格納部は、前記地図要素のデータを更新する場合に予め更新しておかないとその地図要素が他の地図要素と不整合となってしまう依存関係にある前記地図要素のデータについても、前記地図差分データとして格納している地図差分データ配信装置(1)であって、
配信対象とする地図差分データの組み合わせである配信パターンについて、予め複数種類のパターンを格納しているパターン格納部(13)と、
前記パターン格納部に格納している複数種類の配信パターンをもとにして、前記地図差分データ格納部に格納している前記地図差分データのうちから、配信先に応じた、配信対象とする前記地図差分データを抽出する配信対象抽出部(141)とを備え、
前記配信部は、前記配信対象抽出部で抽出した前記地図差分データだけでなく、当該地図差分データと前記依存関係にある前記地図差分データも配信することを特徴とする地図差分データ配信装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態1について図面を用いて説明する。
【0015】
<1.地図差分データ配信システム100>
図1は、本発明が適用された地図差分データ配信システム100の概略的な構成の一例を示す図である。
図1に示す地図差分データ配信システム100は、地図差分抽出サーバ1、更新管理サーバ2、及びナビゲーション装置3を含んでいる。地図差分抽出サーバ1が請求項の地図差分データ配信装置に相当する。
【0016】
<2.地図差分抽出サーバ1>
図1に示すように、地図差分抽出サーバ1は、抽出サーバ側通信部11、地図差分データベース(DB)12、テーブル格納部13、及び抽出サーバ側制御部14を備える。抽出サーバ側通信部11は、通信網を介して、更新管理サーバ2やナビゲーション装置3との間で通信を行う。
【0017】
地図差分DB12は、地図差分データを格納するものである。よって、地図差分DB12が請求項の地図差分データ格納部に相当する。地図差分データとは、地図データ(ベース地図)対して更新する必要が生じた部分のデータであり、地図データは地図要素の配置態様を示している。よって、地図差分データは、配置態様がベース地図から変更が生じた部分の地図要素のデータである。
【0018】
地図要素は、地図データを構成する種々の要素であり、例えば道路形状、POI(Points Of Interest)、背景、名称を示す音声やテキスト、イメージ(2D画像や3D画像やポリゴン画像)などのデータである。地図差分DB12は、図示しない外部サーバから提供された地図差分データを格納している構成とすればよい。地図差分データについては後にさらに詳述する。
【0019】
テーブル格納部13は、地図差分データの配信先を複数の区分に分類した配信先分類ごとの管理テーブルを格納している。管理テーブルについては後に詳述する。また、テーブル格納部13は、モデルテーブルを格納している。モデルテーブルについては後に詳述する。
【0020】
抽出サーバ側制御部14は、CPU、ROM、RAM、バックアップRAM、I/O等(いずれも図示せず)よりなるマイクロコンピュータを主体として構成され。そして、抽出サーバ側制御部14は、抽出サーバ側通信部11から入力された各種情報に基づき、ROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することで各種の処理を実行する。
【0021】
また、抽出サーバ側制御部14は、
図2に示すように機能ブロックとして、差分データ抽出部141、依存差分グループ抽出部142、差分グループID送信部143、グループ化部144、配信データ作成部145、データURL送信部146、及び配信部147を備えている。抽出サーバ側制御部14での処理の詳細については後述する。
<2−1.地図差分データ>
ここで、地図差分DB12に格納される地図差分データについて説明を行う。地図差分データは、地図要素のデータを更新する前のバージョンの地図データと地図要素のデータを更新した後のバージョンの地図データとの差分である。この差分は、言い換えると、各バージョンで更新された地図要素のデータである。例えば地図要素の更新は、道路の開通や閉鎖、施設の追加や削除や変更、交差点や方面や道路等の名称の追加や削除や変更などによって生じる。また、地図差分データは、地図データを複数に分割した例えば矩形の区画単位で管理されるものとする。各区画には、区画IDが与えられている。
【0022】
地図差分データでは、一例として、更新されたバージョンごとに、更新された地図要素のデータのグループ(差分グループ)に対して、その差分グループを特定するID(以下、差分グループID)が順番に付与されている。差分グループは、例えば更新された地図要素が交差点を挟んだ道路区間だった場合、道路区間を表すリンクデータ及びノードデータといった道路形状データ、及びこの道路区間の属性データの集合になる。また、更新された地図要素が交差点だった場合、交差点を表すノードデータ及び交差点に接続されるリンクデータといった道路形状データ、及びこの道路区間の属性データの集合になる。
【0023】
属性データは、道路区間や交差点に付随するデータであって、案内時の誘導に関するデータ(以下、誘導データ)や交通情報の配信に関するデータがある。誘導データの一例としては、ある交差点を通過する際の案内時の誘導データだった場合、その交差点の名称を示す音声データやテキストデータの索引となるデータ等がある。
【0024】
また、地図差分データには、地図要素同士の依存関係のデータも含んでいる。なお、依存関係のデータが、地図差分DB12とは別のメモリに格納されている構成としてもよい。地図差分データの生成については、公知の方法と同様にして作成する構成とすればよい。例えば、特許文献1に開示されているのと同様の方法によって作成する構成とすればよい。以下では、依存関係についての説明を行う。
【0025】
<2−2.依存関係>
依存関係とは、ある地図要素(以下、第1地図要素)のデータを更新する場合に予め他の地図要素(以下、第2地図要素)のデータを更新しておかないと、第1地図要素が他の地図要素と不整合となってしまう関係にあることを言う。ここで、
図3を用いて依存関係についての説明を行う。
図3では、初版地図データから、第2版地図データ、第3版地図データの順に地図データの更新が行われた場合の地図差分データにおける依存関係について説明を行う。
【0026】
初版地図データが作成される当初から道路区間「a」〜「d」が敷設されている場合には、
図3に示すように、道路区間「a」〜「d」が含まれる初版地図データが作成される。この状態から道路区間「e」〜「h」が開通した場合に、道路区間「e」〜「h」の追加を初版地図データに反映した第2版地図データが作成される。以降では、更新された地図要素である道路区間「e」を示すデータ及びその属性データのグループを差分グループA1、道路区間「f」を示すデータ及びその属性データのグループを差分グループA2、道路区間「g」を示すデータ及びその属性データのグループを差分グループA3、道路区間「h」を示すデータ及びその属性データのグループを差分グループA4とする。
【0027】
図3に示すように、道路区間「e」は道路区間「c」から分岐するように開通し、道路区間「f」は道路区間「e」から伸長するように開通し、道路区間「g」は道路区間「b」に交差するように開通し、道路区間「h」は道路区間「g」から伸長するように開通するものとする。
【0028】
さらに、この状態から道路区間「i」〜「l」が開通した場合に、道路区間「i」〜「l」の追加を第2版地図データに反映した第3版地図データが作成される。以降では、更新された地図要素である道路区間「i」を示すデータ及びその属性データのグループを差分グループB1、道路区間「j」を示すデータ及びその属性データのグループを差分グループB2、道路区間「k」を示すデータ及びその属性データのグループを差分グループB3、道路区間「l」を示すデータ及びその属性データのグループを差分グループB4とする。
【0029】
図3に示すように、道路区間「i」は道路区間「f」から伸長するように開通し、道路区間「j」は道路区間「i」から伸長するように開通し、道路区間「k」、「l」のそれぞれは道路区間「g」から伸長するように開通するものとする。
【0030】
第2版地図データで更新された地図要素のうち、道路区間「f」は、道路区間「e」の追加がなければ他の道路区間から孤立した状態となってしまうので、道路区間「f」と道路区間「e」との間には、道路区間「f」が道路区間「e」を依存先とする依存関係がある。よって、差分グループA1と差分グループA2とは依存関係にある。以降では、依存先を「親」と呼び、依存する側を「子」と呼ぶ。差分グループA1と差分グループA2との依存関係を親子で表すと、差分グループA1が「親」、差分グループA2が「子」となる。
【0031】
第2版地図データで更新された地図要素のうち、道路区間「h」は、道路区間「g」の追加がなければ他の道路区間から孤立した状態となってしまうので、道路区間「h」と道路区間「g」との間にも、道路区間「h」が道路区間「g」を依存先とする依存関係がある。よって、差分グループA3が「親」、差分グループA4が「子」となる依存関係がある。
【0032】
第3版地図データで更新された地図要素のうち、道路区間「i」は、第2版地図データで更新された地図要素である道路区間「f」の追加がなければ他の道路区間から孤立した状態となってしまうので、道路区間「f」と道路区間「i」との間にも、道路区間「i」が道路区間「f」を依存先とする、バージョンを跨いだ依存関係がある。よって、差分グループA2が「親」、差分グループB1が「子」となる依存関係がある。
【0033】
第3版地図データで更新された地図要素のうち、道路区間「j」は、道路区間「i」の追加がなければ他の道路区間から孤立した状態となってしまうので、道路区間「i」と道路区間「j」との間にも、道路区間「j」が道路区間「i」を依存先とする依存関係がある。よって、差分グループB1が「親」、差分グループB2が「子」となる依存関係がある。
【0034】
また、第3版地図データで更新された地図要素のうち、道路区間「k」、「l」は、第2版地図データで更新された地図要素である道路区間「h」の追加がなければ他の道路区間から孤立した状態となってしまうので、道路区間「k」、「l」と道路区間「i」との間にも、道路区間「k」、「l」が道路区間「h」を依存先とする、バージョンを跨いだ依存関係がある。よって、差分グループA4が「親」、差分グループB3、B4が「子」となる依存関係がある。なお、差分グループB3と差分グループB4との間には依存関係はない。
【0035】
差分グループA1〜A4、B1〜B4の依存関係は、
図4に示すように、異なるバージョンについての差分グループにまで遡ることになる。具体的には、「親」から順にA1−A2−B1−B2、A3−A4−B3・B4という依存関係になる。地図差分DB12に格納される地図差分データには、このような依存関係の設定の情報も含まれる。
【0036】
同一のバージョンにおける差分グループの集合の単位をリリースと呼ぶ。リリースは、バージョンの古いものから1回、2回と数えられる。第2版地図データで更新された地図要素を示す差分グループの集合は、リリース回数が1回のリリース1、第3版地図データで更新された地図要素を示す差分グループの集合は、リリース回数が2回のリリース2となる。リリース1は、差分グループA1〜A4からなり、リリース2は差分グループB1〜B4からなる。
【0037】
なお、
図3では、地図要素として道路区間が更新された場合の依存関係について説明を行ったが、道路区間以外の地図要素についても同様であるものとする。例えば、地図要素として施設が更新される場合にも、その施設が面する道路区間が先に更新されていないとその施設が他の地図要素と不整合となる場合には、その施設とその道路区間との間に依存関係があることになる。また、地図要素として、ある場所である画像データを表示するという案内データが更新される場合にも、その案内データが用いる画像データが先に更新されていないとその案内データが不整合なものとなってしまう場合には、その案内データとその画像データとの間に依存関係があることになる。
【0038】
<2−3.管理テーブル>
続いて、テーブル格納部13に格納される管理テーブルについて説明を行う。管理テーブルは、地図差分データの配信先を複数の区分に分類した配信先分類ごとに設けられる。管理テーブルが請求項の配信パターン及び用途別配信タイミングに相当し、テーブル格納部13が請求項のパターン格納部に相当する。配信先分類は、一例としては、ナビゲーション装置3が用いられる車両のメーカーや自動車ディーラーごとの分類とする。
【0039】
例えば管理テーブルには、配信を行う差分グループ(つまり、地図差分データ)について、その差分グループの更新内容、その差分グループの配信タイミング、その差分グループの依存先が対応付けられるものとする。差分グループの配信タイミングが請求項の用途別配信タイミングに相当する。配信先分類ごとに、配信を行う差分グループが異なる場合には、各配信先分類の管理テーブルは、異なる差分グループについての管理テーブルとなる。
【0040】
差分グループの更新内容には、「ネットワーク(以下、NW)変更」、「ノード属性変更」、「リンク属性変更」、「形状変更」、「誘導データ変更」等がある。「NW変更」は、リンクの追加・削除とこれに関わるノードや規制の変更である。「ノード属性変更」は、ノードの属性の変更である。「リンク属性変更」は道路種別等のNWに関連しないリンクの属性の変更である。「形状変更」はリンクの形状やノードの位置の変更である。「誘導データ変更」は、道路名称変更等の誘導データの変更である。なお、差分グループの更新内容は、上述したものに限らず、背景やPOIやイメージや音声等に関するものもあるが、便宜上、ここでは省略する。
【0041】
差分グループの配信タイミングには、「指定なし(通常時)」、「時間条件付き」、「エリア条件付き」、「配信済み条件付き」、「被依存時(依存参照時)」、「経路探索時(目的地設定時)」、「誘導時」等がある。
【0042】
「通常時」は、ナビゲーション装置3における後述のACC電源オン時や目的地設定時といった配信タイミングである。「時間条件付き」は、ナビゲーション装置3において、指定の時間以降や指定の期間といった時間的な条件を満たした場合に配信を行う配信タイミングである。配信タイミング「時間条件付き」は、予め判っている期間に変更される差分グループが設定の対象になる。「エリア条件付き」は、ナビゲーション装置3において、指定のエリアといった空間的な条件を満たした場合に配信を行う配信タイミングである。「配信済み条件付き」は、依存先の差分グループがナビゲーション装置3に配信済の場合に配信を行う配信タイミングである。配信タイミング「時間条件付き」及び「エリア条件付き」については、条件を満たした状態でACC電源オン時となった場合に配信を行う構成とすればよい。
【0043】
「依存参照時」は、依存関係で自らが「親」となっている「子」の差分グループの配信タイミングで配信を行う配信タイミングである。「目的地設定時」は、ナビゲーション装置3において経路探索を行う場合(つまり、目的地設定時)に配信を行う配信タイミングである。「誘導時」は、ナビゲーション装置3において誘導データを用いた誘導が必要となる場合に配信を行う配信タイミングである。配信タイミング「誘導時」は、誘導データを含む差分グループが設定の対象になる。
【0044】
配信タイミングは、同一の差分グループについても、配信先分類ごとに設定される構成とすればよい。なお、配信先分類ごとに同じ差分グループに対して同じ配信タイミングが設定される構成としてもよいし、別の配信タイミングが設定される構成としてもよい。また、配信タイミングは、上述したものに限らず、現在地移動時や即時やPCダウンロード時等もあるが、便宜上、ここでは省略する。
【0045】
差分グループの依存先には、その差分グループの依存先の差分グループが存在する場合に、依存先の差分グループの差分グループIDが設定される。依存先が存在することは、前述の依存関係から特定すればよい。
【0046】
ここで、
図5(a)〜
図6(b)を用いて、管理テーブルの一例についての説明を行う。
なお、本実施形態では、配信先分類がX社の車両のユーザとY社の車両のユーザとである場合を例に挙げて以降の説明を行う。
【0047】
図5(a)〜
図5(d)は、地図データが遷移する態様の一例を示す図である。仮に、
図5(a)は2010年春の地図データ、
図5(b)は2010年秋の地図データ、
図5(c)は2011年春の地図データを示すものとする。また、
図5中の白丸が位置修正なしのノード、黒丸が位置修正ありのノード、線分がリンクを示している。
【0048】
図5(b)のID11〜ID14は、2010年春の地図データに対する2010年秋の地図データの差分グループである。ID11は、更新内容がリンク属性変更であって、リンク3本からなる。ID12は、更新内容が形状変更であって、リンク4本とノード1個からなる。ID13は、更新内容が形状変更であって、リンク1本からなる。ID12及びID13の形状変更とは、
図5(a)で波線だった道路が直線に変更されたことを示す。ID14は、更新内容が道路開通によるNW変更であって、リンク4本とノード4個とからなる。
【0049】
図5(b)のID21〜ID22は、2010年秋の地図データに対する2011年春の地図データの差分グループである。ID21は、更新内容が道路開通によるNW変更であって、リンク11本とノード9個とからなる。ID22は、更新内容が歩道開通によるNW変更であって、リンク5本とノード6個とからなる。
【0050】
図5(a)〜
図5(c)に示す地図データの遷移に対して、
図6(a)に示すX社の車両のユーザ向け管理テーブル(以下、X社管理テーブル)と、
図6(b)に示すY社の車両のユーザ向け管理テーブル(以下、Y社管理テーブル)とで、配信対象とする地図差分グループの組み合わせを異ならせている。なお、管理テーブルのうちの配信結果については、配信先であるナビゲーション装置3ごとに異なる情報であるので、実際は地図差分抽出サーバ1でなく、更新管理サーバ2に格納される。しかしながら、ここでは説明の便宜上、地図差分抽出サーバ1に格納される管理テーブルを説明するための図に加えている。
【0051】
具体的には、ID11〜ID14、ID21〜ID22の差分グループのうち、X社管理テーブルでは、ID11〜ID14、ID21を配信対象としているのに対し、Y社管理テーブルでは、ID11〜ID14、ID21〜ID22を配信対象としている。管理テーブルには、新たなバージョンの地図データについての差分グループが得られるごとに、そのうちの配信対象とする差分グループについての設定が追加される。
図6の例では、ID11〜ID14の差分グループは2010年秋に追加された差分グループであり、ID21〜ID22の差分グループは2011年春に追加された差分グループである。
【0052】
また、管理テーブルでは、配信対象としている差分グループについて、差分グループごとに配信タイミングを設定している。
図6の例では、ID11、ID14、ID21、ID22の差分グループには、配信タイミング「通常時」が対応付けられており、ID12、ID13の差分グループには、配信タイミング「依存参照時」が対応付けられている。
【0053】
配信タイミング「通常時」は、前述したようにACC電源オン時等に配信される配信タイミングである。よって、ID11、ID14の差分グループは、この差分グループの設定が管理テーブルに追加された2010年秋の、対象となる車両のACC電源オン時等に配信される。また、ID21、ID22の差分グループは、この差分グループの設定が管理テーブルに追加された2011年春の、対象となる車両のACC電源オン時等に配信される。
【0054】
また、配信タイミング「依存参照時」は、前述したように、依存関係で自らが「親」となっている「子」の差分グループの配信タイミングで配信を行う配信タイミングである。よって、ID13の差分グループは、依存関係で自らの「子」にあたるID21の差分グループの配信タイミングで配信される。ID21の差分グループは、前述したように2011年春に配信されるので、ID13も2011年春に配信される。
図6の管理テーブルの「2010秋」、「2011春」の項目が配信結果にあたる。なお、配信結果を管理テーブルに含まない構成としてもよい。
【0055】
また、
図6に示す例では、異なる配信先分類の管理テーブル間で同じ差分グループに対し、同じ配信タイミングを設定する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、同じ差分グループに対し、異なる配信先分類の管理テーブル間で異なる配信タイミングを設定してもよい。これによれば、単一の地図差分DB12を用いながら、異なる配信先に、同一の差分グループを異なる配信タイミングで配信するサービスが可能となる。
【0056】
<2−4.モデルテーブル>
続いて、テーブル格納部13に格納されるモデルテーブルについて説明を行う。モデルテーブルは、地図差分データの各カテゴリのサブカテゴリと、配信先が地図差分データを要求している状況(以下、要求状況)ごとの、そのサブカテゴリの地図差分データを配信するエリア(以下、配信エリア)との対応関係を示すテーブルである。モデルテーブルは、管理テーブルにおける配信タイミング「通常時」の場合の、差分グループの配信について定義したものである。よって、モデルテーブルも請求項の配信パターンに相当する。モデルテーブルは、例えば前述の配信先分類ごとに設けられている。
【0057】
地図差分データのサブカテゴリとは、地図差分データのカテゴリをさらに細分化したものである。例えば、地図差分データのカテゴリには、道路形状、背景、POI、イメージ、音声等がある。前述した更新内容の「NW変更」、「ノード属性変更」、「リンク属性変更」、「形状変更」、「誘導データ変更」は全てカテゴリ「道路形状」についてのものである。
【0058】
また、サブカテゴリには、道路形状を例に挙げると、高速道路の本線についての「広域NW1」、高速道路のインターチェンジ(IC)やジャンクション(JCT)やサービスエリア(SA)についての「広域NW2」、国道や県道についての「詳細NW」、狭あいな道路についての「細街路」等がある。なお、高速道路は、快速公路や高速公路に置き換えてもよい。また、「詳細NW」は、国道や県道や郷道についての道路形状としてもよい。
【0059】
要求状況には、後述のACC電源オン時、目的地設定時等がある。また、配信エリアには、全国、基点となる位置周辺20kmの範囲、基点となる位置周辺10kmの範囲等がある。基点となる位置は、ACC電源オン時についてはユーザ位置となり、目的地設定時にはユーザ位置及び目的地となる。目的地設定時に経由地も設定されていた場合には、経由地も基点となる位置に該当する。なお、ここで示したカテゴリ、サブカテゴリ、要求状況、及び配信エリアの分け方は、あくまで一例であって、他の態様であってもよいことは言うまでもない。
【0060】
以下に、
図7を用いてモデルテーブルの一例についての説明を行う。なお、
図7の例では、便宜上、カテゴリ「道路形状」のサブカテゴリ「広域NW1」、「広域NW2」、「詳細NW」、「細街路」に絞って説明を行う。また、
図7では、要求状況がACC電源オン時と目的地設定時との2種類の場合を例に挙げて説明を行う。
【0061】
要求状況がACC電源オン時の場合も目的地設定時の場合も、配信エリア「全国」については、カテゴリ「道路形状」の差分グループのうち、サブカテゴリ「広域NW1」、「広域NW2」の差分グループを配信対象と定義している。また、配信エリア「ユーザ位置周辺20km」については、カテゴリ「道路形状」の差分グループのうち、サブカテゴリ「詳細NW」を配信対象と定義している。さらに、配信エリア「ユーザ位置周辺10km」については、カテゴリ「道路形状」の差分グループのうち、サブカテゴリ「細街路」を配信対象と定義している。
【0062】
これによれば、サブカテゴリ「広域NW1」、「広域NW2」の差分グループについては、全国の差分グループが配信される一方、サブカテゴリ「詳細NW」の差分グループについては、配信エリア「ユーザ位置周辺20km」に該当するものしか配信されない。さらに、サブカテゴリ「細街路」の差分グループについては、配信エリア「ユーザ位置周辺10km」に該当するものしか配信されない。
【0063】
このように、モデルテーブルを用いることで、複数段階に分けた区域別に、配信先の状況に応じた差分グループを配信可能としている。
【0064】
なお、
図7では、ACC電源オン時と目的地設定時とで、配信対象とするサブカテゴリと配信エリアとの対応関係が同じ場合の例を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、要求状況ごとに、配信対象とするサブカテゴリと配信エリアとの対応関係を異ならせる構成としてもよい。また、異なる配信先分類についてのモデルテーブルごとに、要求状況と配信対象とするサブカテゴリと配信エリアとの対応関係を異ならせる構成としてもよい。
【0065】
これによれば、単一の地図差分DB12を用いながら、異なる配信先に、同一の差分グループを異なる配信タイミングで配信するサービスを可能とするとともに、要求状況や配信エリアに応じた差分グループを配信することが可能になる。
【0066】
<3.更新管理サーバ2>
図1に戻って、更新管理サーバ2は、管理サーバ側通信部21、更新管理DB22、及び管理サーバ側制御部23を備える。管理サーバ側通信部21は、通信網を介して、地図差分抽出サーバ1やナビゲーション装置3との間で通信を行う。
【0067】
更新管理DB22は、地図差分抽出サーバ1からナビゲーション装置3に配信済みの地図差分データを判別するための判別用情報を格納している。判別用情報としては、例えばナビゲーション装置3に配信済みのバージョン情報を格納する構成とする。これは、配信済みのバージョン情報が判れば、配信済みの差分グループも判別できるためである。また、配信済みの差分グループIDも格納する。
【0068】
バージョン情報としては、例えばリリース回数を用いることができる。以下では、バージョン情報としてリリース回数を用いる場合を例に挙げて説明を行う。配信済みのリリース回数は、全ての地図要素の配信が完了しているリリース回数とすればよい。更新管理DB22は、複数のナビゲーション装置3が存在する場合に、各ナビゲーション装置3のユーザごとに判別用情報を格納する。
【0069】
なお、配信済みの地図差分データを判別するための判別用情報としては、配信済みの差分グループ(つまり、地図差分データ)に対してフラグを立てるようにして、そのフラグにより差分グループが配信済みであるか否かを判別できるようにしてもよい。
【0070】
管理サーバ側制御部23は、CPU、ROM、RAM、バックアップRAM、I/O等(いずれも図示せず)よりなるマイクロコンピュータを主体として構成される。そして、管理サーバ側制御部23は、管理サーバ側通信部21、更新管理DB22から入力された各種情報に基づき、ROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することで各種の処理を実行する。管理サーバ側制御部23での処理の詳細については後述する。
【0071】
<4.ナビゲーション装置3>
ナビゲーション装置3は、車載のナビゲーション装置であってもよいし、車両に持ち込み可能な携帯型のナビゲーション装置であってもよい。また、ナビゲーション装置3が携帯型である場合には、ナビゲーション装置3は自動車や自動二輪車や自転車等の車両での移動時に用いる構成としてもよいし、ナビゲーション装置3を携帯したユーザの徒歩移動時等に用いる構成としてもよい。以降では、ナビゲーション装置3として車載のナビゲーション装置を用いた場合を例に挙げて説明を行う。ナビゲーション装置3が請求項の地図データ保有装置に相当する。
【0072】
ナビゲーション装置3として携帯端末を用い、車両の車載LAN等のシステムから情報を取得する構成とする場合には、ナビゲーション装置3は、車両の車載LAN等のシステムとBluetooth(登録商標)等の公知の無線通信やUSB接続等での有線通信といった通信を行うことによって情報を取得する構成とすればよい。
【0073】
ここで、ナビゲーション装置3の概略的な構成について説明を行う。
図1に示すようにナビゲーション装置3は、通信装置31、位置検出器32、外部入力インターフェース(I/F)部33、地
図DB34、表示装置36、音声出力装置37、操作スイッチ群38、リモートコントロール端末(以下リモコン)39、リモコンセンサ40、及び制御装置41を備えている。
【0074】
通信装置31は、通信網を介して、地図差分抽出サーバ1や更新管理サーバ2との間で通信を行う。通信装置31としては、例えばテレマティクス通信に用いられるDCM(data communication module)といった車載通信モジュールなどの様々なものを採用することができる。
【0075】
位置検出器32は、いずれも周知の加速度センサ、ジャイロスコープ、及び衛星からの電波に基づいて自装置の位置を検出するGPS(Global Positioning System)等の衛星測位システムのための受信機を有しており、自装置のユーザの現在位置(以下、ユーザ位置)を逐次検出する。例えば、ユーザ位置は、緯度・経度で表される座標であるものとする。なお、位置検出器32を上述したセンサのうちの一部で構成してもよいし、他のセンサを用いる構成としてもよい。
【0076】
外部入力I/F部33は、車両に搭載されたECUやセンサから、車両状態の情報を制御装置41が取得するためのインターフェースである。例えば、外部入力I/F部33には、車載LAN等を介して車両に搭載されたECUやセンサから車両状態の情報が入力されてくるものとする。車両状態の情報の一例としては、アクセサリ(ACC)電源のオンオフの信号等がある。
【0077】
地
図DB34は、例えばSDカード等のメモリカードに記憶されている。地
図DB34は、例えば前述した初版地図データといった地図データを格納している。地
図DB34に格納する地図データは、後述の通信装置31を通じて図示しないセンタから制御装置41がダウンロードするなどして取得する構成としてもよいし、予め格納している構成としてもよい。
【0078】
表示装置36は、例えばフルカラー表示が可能なものであり、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等を用いて構成することができる。また、音声出力装置37は、スピーカ等から構成され、制御装置41の指示に基づいて案内音声等を出力する。
【0079】
操作スイッチ群38は、例えば表示装置36と一体になったタッチスイッチ若しくはメカニカルなスイッチ等が用いられ、スイッチ操作により制御装置41へ各種機能の操作指示を行う。リモコン39には複数の操作スイッチ(図示せず)が設けられ、スイッチ操作によりリモコンセンサ40を介して各種指令信号を制御装置41に入力することにより、操作スイッチ群38と同じ機能を制御装置41に対して実行させることが可能である。
【0080】
制御装置41は、CPU、ROM、RAM、バックアップRAM等よりなるマイクロコンピュータを主体として構成される。そして、制御装置41は、通信装置31、位置検出器32、外部入力I/F部33、地
図DB34、操作スイッチ群38、リモコンセンサ40から入力された各種情報に基づき、各種処理を実行する。制御装置41での処理の詳細については後述する。
【0081】
<5.地図差分データ配信システム100における地図差分データの配信>
次に、
図8のシーケンス図を用いて、地図差分データ配信システム100での処理の流れについての説明を行う。
【0082】
<t1.抽出用情報送信処理(ナビゲーション装置3)>
まず、ナビゲーション装置3の制御装置41が、抽出用情報送信処理を行う(t1)。抽出用情報送信処理は、所定のトリガを検出した場合に行う。所定のトリガは、例えば自車両のACC電源オンやナビゲーション装置3での目的地設定である。自車両のACC電源オンは、外部入力I/F部33を介して取得したACC電源のオンオフの信号をもとに検出すればよい。
【0083】
なお、所定のトリガは、交差点等の所定地点への接近等であってもよい。また、抽出用情報送信処理は、所定のトリガを検出した場合に行う構成に限らず、定期的に行う構成やユーザ位置を新たに検出するごとに行う構成等としてもよい。
【0084】
抽出用情報送信処理では、ナビゲーション装置3の地
図DB34の地図データを更新するために必要な地図差分データを地図差分抽出サーバ1及び更新管理サーバ2で抽出するための情報(以下、抽出用情報)を、通信装置31を介して更新管理サーバ2に送信する。
【0085】
一例として、自車両のACC電源オンを検出した場合には、位置検出器32で検出したユーザ位置、地
図DB34の地図データのバージョン、及び送信元を特定するための識別情報を含む抽出用情報を送信する。送信元を特定するための識別情報は、車両IDであってもよいし、ナビゲーション装置3や通信装置31の機器IDであってもよいが、以降は通信装置31の機器IDである場合を例に挙げて説明を行う。
【0086】
また、目的地設定を検出した場合には、位置検出器32で検出したユーザ位置、目的地の座標(緯度・経度)、地
図DB34の地図データのバージョン、及び機器IDを含む抽出用情報を送信する。経由地の設定も行われていた場合には、経由地の座標(緯度・経度)も含む抽出用情報を送信する。以降では、自車両のACC電源オンを検出した場合の処理をACCオン時、目的地設定を検出した場合の処理を目的地設定時と区別する。
【0087】
<t2.指定情報決定処理(更新管理サーバ2)>
更新管理サーバ2の管理サーバ側制御部23は、抽出用情報を受信すると、指定情報決定処理を行う(t2)。指定情報決定処理では、受信した抽出用情報をもとに、地図差分抽出サーバ1に送信する指定情報を決定する。例えば指定情報は、基点となる緯度経度やリリース回数や抽出用情報に含まれていた機器IDである。指定情報決定処理では、抽出用情報に含まれる地図データのバージョンが、更新管理DB22に格納している配信済みのリリース回数に対応するバージョンと同じかを判断する。そして、同じかより古い場合には、このリリース回数を指定情報のリリース回数として用いる。なお、管理サーバ側制御部23は、地図データのバージョンとリリース回数との対応関係についての情報を予め有している構成とする。
【0088】
一方、抽出用情報に含まれる地図データのバージョンが、更新管理DB22に格納している配信済みのリリース回数に対応するバージョンよりも新しい場合には、地図データのバージョンに対応するリリース回数を指定情報のリリース回数として用いる。抽出用情報に含まれる地図データのバージョンが、配信済みのリリース回数に対応するバージョンよりも新しくなる状況は、地
図DB34に格納する地図データとしてユーザが新しいバージョンの地図データを購入した場合などがある。
【0089】
ACCオン時の指定情報決定処理では、ユーザ位置の緯度・経度とリリース回数と機器IDを含む指定情報を決定する。目的地設定時の指定情報決定処理では、ユーザ位置の緯度・経度と目的地の緯度・経度とリリース回数と機器IDとを含む指定情報を決定する。経由地の設定も行われていた場合には、経由地の緯度・経度も含む指定情報を決定する。
【0090】
<t3.指定情報送信処理(更新管理サーバ2)>
管理サーバ側制御部23は、前述の指定情報決定処理で決定した指定情報を、管理サーバ側通信部21を介して地図差分抽出サーバ1へ送信する指定情報送信処理を行う(t3)。
【0091】
<t4.差分データ抽出処理(地図差分抽出サーバ1)>
地図差分抽出サーバ1の抽出サーバ側制御部14の差分データ抽出部141は、指定情報を受信すると、差分データ抽出処理を行う(t4)。差分データ抽出部141が請求項の配信対象抽出部に相当する。
【0092】
差分データ抽出処理では、受信した指定情報、前述の管理テーブル、及び前述のモデルテーブルをもとに、地図差分DB12に格納されている地図差分データのうちから、更新管理サーバ2に差分グループIDを送信する差分グループを抽出する。一例として、差分グループの抽出は以下のようにして行う。
【0093】
差分データ抽出処理では、指定情報に含まれる機器IDから、配信先分類を特定する。配信先分類の特定は、以下のようにして行う構成とすればよい。例えば、地図差分抽出サーバ1のメモリには、機器IDと配信先分類とを対応付けたテーブル(配信先分類テーブル)を予め格納しておく。差分データ抽出部141は、指定情報に含まれる機器IDをもとに、配信先分類テーブルを参照することで、機器IDに応じた配信先分類を特定する。
【0094】
また、差分データ抽出処理では、特定した配信先分類に応じた管理テーブルやモデルテーブルをもとに、配信対象とする差分グループを抽出する。具体的には、特定した配信先分類に応じた管理テーブルに配信対象として含まれている差分グループであって、当該管理テーブルにおいて対応付けられている配信タイミングに実際のタイミングが該当している差分グループを抽出する。さらに、配信タイミング「通常」の差分グループの場合には、特定した配信先分類に応じたモデルテーブルにおいて定義されている要求状況及び配信エリアの条件に合致するものを抽出する。
【0095】
ここで、特定した配信先分類に応じた管理テーブルが
図6(a)の管理テーブルであり、特定した配信先分類に応じたモデルテーブルが
図7のモデルテーブルであった場合を例に挙げて、配信対象とする差分グループの抽出の一例を示す。
【0096】
配信対象とする差分グループの候補は、管理テーブルに含まれるID11〜ID14、ID21の差分グループとなる。配信タイミング「依存参照時」のID12、ID13の差分グループについては、依存関係で自らの「子」にあたる差分グループが配信タイミングとなっていないと抽出の対象とはならない。ID12の差分グループについては、管理テーブルに「子」にあたる差分グループが含まれていないので、抽出の対象とはならない。ID13のグループについては、管理テーブルに「子」にあたるID21の差分グループが含まれるので、ID21が配信タイミングとなっている場合には、抽出の対象となる。
【0097】
配信タイミング「通常時」のID11、ID14、ID21の差分グループについては、モデルテーブルにおいて定義されている要求状況及び配信エリアの条件に合致する場合には抽出の対象となり、当該条件に合致しない場合には抽出の対象とならない。
【0098】
ACCオン時の差分データ抽出処理では、指定情報に含まれるユーザ位置の緯度・経度を、起点となる位置として配信エリアを特定する。配信エリアは、起点となる位置を中心とした所定の矩形範囲(以下、要求矩形範囲)に少なくとも区画の一部が含まれる前述の区画IDで表す構成とすればよい。所定の矩形範囲は、配信エリア「全国」の場合には地図の全範囲とすればよい。また、配信エリア「基点となる位置周辺20km」、「基点となる位置周辺10km」の場合には、例えば東西方向、南北方向に20km、10kmの範囲とすればよい。そして、配信エリアとして特定した区画IDが示す区画内に含まれ、且つ、指定情報に含まれるリリース回数より回数の多いリリースに含まれる差分グループを抽出する。
【0099】
図7のモデルテーブルの例では、サブカテゴリ「広域NW1」、「広域NW2」に該当する差分グループの場合には、配信エリア「全国」に位置するものが抽出の対象となるので、差分グループがどこに位置するかに関わらず抽出の対象となる。また、サブカテゴリ「詳細NW」に該当する差分グループの場合には、配信エリア「ユーザ位置周辺20km」の区画に差分グループが位置する場合に限り抽出の対象となる。さらに、サブカテゴリ「細街路」に該当する差分グループの場合には、配信エリア「ユーザ位置周辺10km」の区画に差分グループが位置する場合に限り抽出の対象となる。
【0100】
目的地設定時の差分データ抽出処理では、指定情報に含まれるユーザ位置の緯度・経度及び目的地の緯度・経度を、起点となる位置として配信エリアを特定する。なお、指定情報に経由地の緯度・経度も含まれる場合には、経由地の緯度・経度も起点となる位置として配信エリアを特定する。また、目的地設定時の差分データ抽出処理では、ユーザ位置から目的地までの経路探索を実施し、探索した経路がのった区画も配信エリアとして特定する構成としてもよい。経路探索については、公知の経路探索方法に従って行う構成とすればよい。
【0101】
<t5.依存差分グループ抽出処理(地図差分抽出サーバ1)>
抽出サーバ側制御部14の依存差分グループ抽出部142が、差分データ抽出処理で抽出した差分グループと依存関係にある差分グループを抽出する依存差分グループ抽出処理を行う(t5)。依存差分グループ抽出処理では、前述の指定情報に含まれるリリース回数より回数の多いリリースに含まれる差分グループから、差分データ抽出処理で抽出した差分グループと依存関係にある差分グループ(以下、依存差分グループ)を抽出する。
【0102】
なお、差分データ抽出処理で抽出した差分グループの依存差分グループとして同じ差分グループが重複して抽出される場合には、重複したものを対象外とする。
【0103】
差分データ抽出処理で差分グループが抽出されなかった場合には、差分グループなしとして結果を更新管理サーバ2に返す構成とすればよい。差分グループなしの場合には、t5以降の処理は行わない。
【0104】
<t6.差分グループID送信処理(地図差分抽出サーバ1)>
抽出サーバ側制御部14の差分グループID送信部143が、差分グループID送信処理を行う(t6)。差分グループID送信処理では、差分データ抽出処理で抽出した差分グループ及び依存差分グループ抽出処理で抽出した依存差分グループの差分グループIDを、抽出サーバ側通信部11を介して更新管理サーバ2へ送信する。
【0105】
<t7.未更新差分グループ抽出処理(更新管理サーバ2)>
更新管理サーバ2の管理サーバ側制御部23は、差分グループIDを受信すると、未更新差分グループ抽出処理を行う(t7)。未更新差分グループ抽出処理では、受信した差分グループIDが示す差分グループのうちの、ナビゲーション装置3に未配信の差分グループ(以下、未更新差分グループ)を抽出する。一例としては、受信した差分グループIDから、更新管理DB22に格納している配信済みの差分グループIDを除いた差分グループIDを抽出することで、未更新差分グループを抽出する。
【0106】
未更新差分グループ抽出処理で未更新差分グループが抽出されなかった場合には、未更新差分グループなしとして、結果を地図差分抽出サーバ1に返す構成とすればよい。未更新差分グループなしの場合には、t7以降の処理は行わない。
【0107】
<t8.未更新差分グループ送信処理(更新管理サーバ2)>
管理サーバ側制御部23が、未更新差分グループ送信処理を行う(t8)。未更新差分グループ送信処理では、未更新差分グループ抽出処理で抽出した未更新差分グループの差分グループIDを、管理サーバ側通信部21を介して地図差分抽出サーバ1へ送信する。未更新差分グループの差分グループIDを、以降では未更新グループIDと呼ぶ。未更新差分グループが、請求項の未更新データに相当する。
【0108】
<t9.レコード処理(地図差分抽出サーバ1)>
地図差分抽出サーバ1の抽出サーバ側制御部14が未更新グループIDを受信すると、抽出サーバ側制御部14のグループ化部144が、レコード処理を行う(t9)。レコード処理では、前述の依存関係の設定の情報をもとに、未更新差分グループ抽出処理で抽出した未更新差分グループのうち、同一リリース回数で依存関係にある未更新差分グループ同士をグループ化する。グループ化された未更新差分グループ同士のまとまりをレコードと呼ぶ。
【0109】
<t10.配信データ作成処理(地図差分抽出サーバ1)>
抽出サーバ側制御部14の配信データ作成部145が、配信データ作成処理を行う(t10)。配信データ作成処理では、レコード処理でグループ化したレコードを、規定の通信サイズに収まるように、より古いバージョンについてのレコードから順番に並べて配信データを作成する。より古いバージョンについてのレコードとは、リリース回数のより若いレコードと言い換えることができる。
【0110】
規定の通信サイズは任意に規定されるものであって、例えば3MB等である。また、配信データは、圧縮後の通信サイズが規定の通信サイズに収まるように作成すればよい。規定の通信サイズに収まらなかった分のレコードについては、残ったレコードのうち、より古いバージョンについてのレコードから順番に並べて次の配信データを作成する。
【0111】
<t11.データURL送信処理(地図差分抽出サーバ1)>
抽出サーバ側制御部14のデータURL送信部146がデータURL送信処理を行う(t11)。データURL送信処理では、前述の配信データ作成処理で作成してメモリに格納した配信データのアドレスを示すデータURL及び配信データに含む未更新グループの差分グループIDを、抽出サーバ側通信部11を介して更新管理サーバ2へ送信する。
<t12.データURL中継処理(更新管理サーバ2)>
地図差分抽出サーバ1から送信されたデータURLを更新管理サーバ2の管理サーバ側制御部23が受信すると、管理サーバ側制御部23がデータURL中継処理を行う(t12)。データURL中継処理では、受信したデータURLを、管理サーバ側通信部21を介してナビゲーション装置3へ送信する。
【0112】
また、管理サーバ側制御部23は、地図差分抽出サーバ1から送信された差分グループIDを、配信済みの差分グループIDとして更新管理DB22に格納する構成とすればよい。なお、管理サーバ側制御部23は、配信が完了したリリース回数の差分グループIDについては、更新管理DB22から消去する。
【0113】
<t13.差分データ取得処理(ナビゲーション装置3)>
更新管理サーバ2から送信されたデータURLをナビゲーション装置3の制御装置41が受信すると、制御装置41が差分データ取得処理を行う(t13)。差分データ取得処理では、受信したデータURLが示すアドレスにアクセスを行い、そのアドレスに格納されている配信データの送信を要求する。
【0114】
<t14.配信処理(地図差分抽出サーバ1)>
地図差分抽出サーバ1の抽出サーバ側制御部14の配信部147が配信処理を行う(t14)。配信処理では、前述の差分データ取得処理で要求された配信データを、抽出サーバ側通信部11を介してナビゲーション装置3へ配信する。配信処理では、配信データ作成処理で作成した配信データが複数存在した場合には、より古いバージョンについてのレコードを含む配信データから順番に配信する。
【0115】
<t15.更新処理(ナビゲーション装置3)>
地図差分抽出サーバ1から配信された配信データをナビゲーション装置3の制御装置41が受信した後に、制御装置41が更新処理を行う(t15)。更新処理では、ナビゲーション装置3において、地図データをもとにして案内を行うアプリケーションプログラムで必要な地図データを地
図DB34から読み出す都度、地
図DB34の地図データと、それまでに受信してきた配信データ(つまり、地図差分データ)とを合成する。受信した配信データをもとに、地
図DB34の地図データの更新を行う。具体的には、配信データに含まれる地図差分グループの変更に従った変更を地
図DB34の地図データに反映させることで地図データの更新を行う。
【0116】
なお、配信データ作成処理で作成した配信データは、地図差分抽出サーバ1以外のサーバに格納する構成としてもよい。この場合には、差分データ取得処理において、配信データが格納されたサーバにナビゲーション装置3が配信データの送信を要求し、配信データが格納されたサーバが配信データを配信する構成とすればよい。
【0117】
図8のシーケンス図では、ナビゲーション装置3が地図差分抽出サーバ1から地図差分データの配信を受ける場合を例に挙げて説明を行ったが、必ずしもこれに限らない。例えば、地
図DB34が記憶されたメモリカードをPCに接続し、このPCによって地図差分抽出サーバ1から地図差分データの配信を受け、地図差分データをメモリカードに格納する構成としてもよい。この場合、地
図DB34が記憶されたメモリカードを接続したPCが請求項の地図データ保有装置に相当する。
【0118】
この構成とする場合、抽出用情報送信処理は、PCの操作入力部で地図差分データのダウンロードを要求する旨のユーザ操作を受け付けた場合に、PCから抽出用情報を更新管理サーバ2に送信する処理とすればよい。抽出用情報としては、メモリカードからPCが読み出した地
図DB34の地図データのバージョン及びユーザを特定する識別情報(以下、ユーザID)を用いればよい。
【0119】
また、ナビゲーション装置3の代わりにPCで地図差分データの配信を受ける構成とする場合、モデルテーブルで定義される配信エリアの区域は、「全国」と「地方」などとすればよい。配信エリア「地方」は、ユーザの居住先の地方である。なお、配信エリア「地方」の代わりに、ユーザの居住先の省である配信エリア「省」を用いる構成としてもよい。ユーザの居住先の地方や省は、ユーザIDに紐付けて地図差分抽出サーバ1のメモリに予め記憶されている構成とすればよい。
【0120】
ナビゲーション装置3の代わりにPCで地図差分データの配信を受ける構成とする場合には、モデルテーブルには要求状況として、
図9に示すように、PCで地図差分データの配信を受ける「PC−DL」の項目を追加する構成とすればよい。
【0121】
<8.実施形態1のまとめ>
実施形態1の構成によれば、配信先分類ごとに異なる管理テーブルやモデルテーブルが設けられているので、配信先に応じた、配信対象とする差分グループ(つまり、地図差分データ)を抽出することができる。よって、単一の地図差分DB12を用いながら、異なる配信先に、異なる差分グループを配信したり、同一の差分グループを異なる配信タイミングで配信したり、要求状況や配信エリアに応じた差分グループを配信したりすることができる。
【0122】
また、差分データ抽出部141で抽出した地図差分データと依存関係にある地図差分データも配信するので、地図要素のデータの更新において更新後の地図要素間の関係に不整合を生じさせないようにすることが可能になる。その結果、更新後の地図要素間の関係に不整合を生じさせないようにしつつ、コストを抑えながらも、配信対象とする地図差分データの組み合わせが異なる複数パターンの配信が可能になる。
【0123】
<9.変形例1>
実施形態1では、配信先分類ごとに異なる管理テーブルやモデルテーブルが設けられている構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、配信先分類に関わらず単一の管理テーブルやモデルテーブルが設けられている構成としてもよい。ただし、この場合には、モデルテーブルにおいて、要求状況ごとに、配信エリア別の配信対象とする差分グループ(つまり、地図差分データ)の組み合わせが異なっているものとする。
【0124】
これによれば、単一の地図差分DB12を用いながら、配信先の要求状況に応じて、異なる差分グループを配信することができる。よって、コストを抑えながらも、配信対象とする地図差分データの組み合わせが異なる複数パターンの配信が可能になる。
【0125】
<10.変形例2>
実施形態1では、管理テーブルにおいて配信タイミングが設定されている構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、管理テーブルにおいて配信タイミングが設定されていない構成としてもよい。この場合には、配信対象とする差分グループの配信タイミングを、例えば一律に前述の配信タイミング「通常」とする構成とすればよい。
【0126】
<11.変形例3>
実施形態1では、モデルテーブルが設けられている構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、モデルテーブルが設けられていない構成としてもよい。つまり、要求状況や配信エリアが異なっても、配信対象とする差分グループ(つまり、地図差分データ)の組み合わせに違いを設けない構成としてもよい。この場合には、配信先分類ごとに異なる管理テーブルを必ず設ける構成とすればよい。
【0127】
<12.変形例4>
実施形態1では、地図差分データ配信システム100に、それぞれ別体となった地図差分抽出サーバ1及び更新管理サーバ2を含む構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、地図差分データ配信システム100に、地図差分抽出サーバ1と更新管理サーバ2との機能を有するサーバを含む構成としてもよい。つまり、地図差分抽出サーバ1と更新管理サーバ2とが一体化したサーバを含む構成としてもよい。
【0128】
<13.変形例5>
実施形態1では、地図差分データ配信システム100に、地図データが更新されるごとに更新前後の地図データから地図差分データを生成するサーバ(以下、地図差分データ生成サーバ)を含まない構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、地図差分データ配信システム100に、地図差分データ生成サーバを含む構成としてもよい。また、地図差分データ生成サーバが、地図差分抽出サーバ1や更新管理サーバ2と一体化した構成としてもよい。
【0129】
<14.最後に>
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。