特許第6052042号(P6052042)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6052042シラン架橋性難燃性組成物、絶縁電線及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6052042
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】シラン架橋性難燃性組成物、絶縁電線及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 51/06 20060101AFI20161219BHJP
   C08L 23/04 20060101ALI20161219BHJP
   C08L 23/26 20060101ALI20161219BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20161219BHJP
   C08K 5/3447 20060101ALI20161219BHJP
   C08J 3/22 20060101ALI20161219BHJP
   H01B 3/44 20060101ALI20161219BHJP
   H01B 7/295 20060101ALI20161219BHJP
   H01B 13/14 20060101ALI20161219BHJP
   H01B 7/02 20060101ALI20161219BHJP
   H01B 3/00 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   C08L51/06
   C08L23/04
   C08L23/26
   C08K3/22
   C08K5/3447
   C08J3/22
   H01B3/44 F
   H01B3/44 L
   H01B3/44 P
   H01B7/34 B
   H01B13/14 A
   H01B7/02 F
   H01B3/00 A
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-93268(P2013-93268)
(22)【出願日】2013年4月26日
(65)【公開番号】特開2014-214238(P2014-214238A)
(43)【公開日】2014年11月17日
【審査請求日】2015年5月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】特許業務法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白木 高輔
(72)【発明者】
【氏名】中野 正剛
(72)【発明者】
【氏名】村尾 諭
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 小次郎
【審査官】 藤井 勲
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−295621(JP,A)
【文献】 特開昭64−001747(JP,A)
【文献】 特開平07−138419(JP,A)
【文献】 特開2000−129049(JP,A)
【文献】 特開2001−247730(JP,A)
【文献】 特表2002−508023(JP,A)
【文献】 特開2006−335811(JP,A)
【文献】 特開2010−174157(JP,A)
【文献】 特開2010−198898(JP,A)
【文献】 特開2011−119083(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/118608(WO,A1)
【文献】 特開2012−158629(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 51/00 − 51/10
C08L 23/00 − 23/36
H01B 3/16 − 3/56
H01B 7/00 − 7/02
H01B 7/30 − 7/36
H01B 13/02 − 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シラン変性ポリエチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂及び変性ポリオレフィン系樹脂からなる樹脂成分と、
水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムからなる群より選ばれる1種類以上の金属水酸化物と、
ベンズイミダゾール系化合物と、
酸化亜鉛と、
シラン架橋触媒と、
エポキシ基を含有しているスチレン・アクリル共重合体からなる鎖延長剤とを混合してなることを特徴とするシラン架橋性難燃性組成物。
【請求項2】
請求項1に記載のシラン架橋性難燃性組成物において、上記シラン変性ポリエチレン系樹脂40〜80質量%と、上記ポリエチレン系樹脂10〜59質量%とを含有し、残部が上記変性ポリオレフィン系樹脂からなる上記樹脂成分の100質量部に対し、
上記金属水酸化物30〜200質量部と、
上記ベンズイミダゾール系化合物1〜10質量部と、
上記酸化亜鉛1〜10質量部と、
上記シラン架橋触媒0.005〜0.3質量部と、
上記鎖延長剤0.5〜10質量部とを混合してなることを特徴とするシラン架橋性難燃性組成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載のシラン架橋性難燃性組成物を水架橋してなる被覆材が導体の周囲に被覆されていることを特徴とする絶縁電線。
【請求項4】
請求項3に記載の絶縁電線の製造方法であって、
上記シラン変性ポリエチレン系樹脂を含有するバッチ(A)と、
上記鎖延長剤、上記ポリエチレン系樹脂、上記変性ポリオレフィン系樹脂、上記金属水酸化物、上記ベンズイミダゾール系化合物及び上記酸化亜鉛を含有するバッチ(B)と、
上記シラン架橋触媒を含有するバッチ(C)とを準備した後、
上記バッチ(A)、上記バッチ(B)及び上記バッチ(C)を混練して上記シラン架橋性難燃性組成物を作製し、
該シラン架橋性難燃性組成物を導体の周囲に被覆した後、水架橋させることを特徴とする絶縁電線の製造方法。
【請求項5】
請求項3に記載の絶縁電線の製造方法であって、上記シラン変性ポリエチレン系樹脂を含有するバッチ(A)と、
上記鎖延長剤を含有するバッチ(B)と、
上記シラン架橋触媒を含有するバッチ(C)と、
上記ポリエチレン系樹脂、上記変性ポリオレフィン系樹脂、上記金属水酸化物、上記ベンズイミダゾール系化合物及び上記酸化亜鉛を含有するバッチ(D)とを準備した後、
上記バッチ(A)、上記バッチ(B)、上記バッチ(C)及び上記バッチ(D)を混練して上記シラン架橋性難燃性組成物を作製し、
該シラン架橋性難燃性組成物を導体の周囲に被覆した後、水架橋させることを特徴とする絶縁電線の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シラン架橋性難燃性組成物及びこれを用いた絶縁電線に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のエンジンルーム等の高温環境において使用される絶縁電線には、高い耐熱性が要求されている。そのため、従来、架橋ポリ塩化ビニルや架橋ポリエチレン等を被覆材とする耐熱電線が用いられてきた。
【0003】
例えば特許文献1には、シラン架橋ポリオレフィン、ポリオレフィン、金属水和物、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、金属酸化物及び銅害防止剤を含有してなる難燃性組成物の例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−174157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、大電流が流れる部位において使用可能な絶縁電線が望まれており、これまでよりも更に高い耐熱性が要求されている。しかしながら、従来の絶縁電線では、導体を被覆する難燃性組成物の耐熱性が十分ではなく、このような高い耐熱性の要求を満たすことが困難である。
【0006】
一方、高い耐熱性を有する絶縁電線を実現するために、導体の被覆材にエンジニアリングプラスチック等を用いることも考えられる。しかしながら、この場合には、材料コストが汎用樹脂に比べて高くなってしまうため、コスト上の問題により製品に適用することが困難である。
【0007】
以上のように、絶縁電線に用いる難燃性組成物には未だ改善の余地があり、コスト増大を抑制しつつ従来よりも更に高い耐熱性を示す難燃性組成物が強く望まれている。
【0008】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、低コストかつ耐熱性に優れた難燃性組成物及びこれを用いた絶縁電線を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、シラン変性ポリエチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂及び変性ポリオレフィン系樹脂からなる樹脂成分と、
水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムからなる群より選ばれる1種類以上の金属水酸化物と、
ベンズイミダゾール系化合物と、
酸化亜鉛と、
シラン架橋触媒と、
エポキシ基を含有しているスチレン・アクリル共重合体からなる鎖延長剤とを混合してなることを特徴とするシラン架橋性難燃性組成物にある(請求項1)。
【発明の効果】
【0010】
上記シラン架橋性難燃性組成物は、樹脂成分として、ポリエチレン系樹脂等の比較的安価な樹脂を含有している。そのため、エンジニアリングプラスチック等を用いる場合に比べてコストの増大を抑制しやすい。
【0011】
また、上記特定の組成を有することにより、従来よりも更に高い耐熱性及び難燃性を備えたものとなりやすい。すなわち、上記シラン架橋性難燃性組成物は、難燃剤としての機能を有する上記金属水酸化物と、耐熱性を向上させる作用を有する上記ベンズイミダゾール系化合物及び上記酸化亜鉛とをともに含有させることにより、これらの機能を発揮させて優れた難燃性及び耐熱性を得ることができる。さらに、上記シラン架橋性難燃性組成物は、上記シラン変性ポリエチレン系樹脂と上記シラン架橋触媒とを共存させることにより、上記シラン変性ポリエチレン系樹脂同士を架橋させ、より耐熱性を向上させることができる。
【0012】
そして、これらの作用効果を得た上で、上記鎖延長剤を添加することにより、耐熱性を格段に向上させることができる。鎖延長剤を添加することにより耐熱性が向上するメカニズムは、現時点では完全に解明されていないが、鎖延長剤中の反応性の高い官能基が、例えばシラン変性ポリエチレン系樹脂や変性ポリオレフィン系樹脂等の他の成分の官能基と反応することが考えられ、この反応が耐熱性向上に影響しているものと推測される。また、鎖延長剤の添加により耐熱性が向上することは、後述する実施例に示されている。
【0013】
以上のように、上記シラン架橋性難燃性組成物は、低コストかつ耐熱性に優れたものとなる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
上記シラン架橋性難燃性組成物に用いられる各々の成分について、以下に説明する。
【0015】
<樹脂成分>
上記シラン架橋性難燃性組成物は、シラン変性ポリエチレン系樹脂と、ポリエチレン系樹脂と、変性ポリオレフィン系樹脂とからなる樹脂成分を有している。シラン架橋性難燃性組成物は、樹脂成分がこれら3種の樹脂を含有することにより、耐熱性、柔軟性、耐ガソリン性等の種々の特性に優れたものとなる。また、金属水酸化物やベンズイミダゾール系化合物等の樹脂成分以外の成分(以下、樹脂成分以外に含有する成分を「添加剤成分」ということがある。)が樹脂成分に対して分散あるいは相溶しやすくなるため、添加剤成分に由来する機能を十分に発揮し得るものとなる。
【0016】
<シラン変性ポリエチレン系樹脂>
シラン変性ポリエチレン系樹脂は、ポリエチレン系樹脂に対してシラン基をグラフトさせることにより得られる。シラン変性ポリエチレン系樹脂は、密度が0.880〜0.910g/cmであることが好ましい。密度が上記特定の範囲内となる場合には、得られるシラン架橋難燃性組成物の柔軟性と、耐ガソリン性との双方の特性をより向上させることができる。その結果、シラン架橋性難燃性組成物は、自動車用の絶縁電線用としてより好適なものとなる。密度が0.880g/cm未満の場合には、樹脂の結晶化度が低くなるため、シラン変性ポリエチレン系樹脂がガソリンに対して膨潤しやすくなるおそれがある。一方、密度が0.910g/cmを超える場合には、得られるシラン架橋性難燃性組成物の柔軟性が低下するおそれがある。
【0017】
シラン変性ポリエチレン系樹脂に用いられるポリエチレン系樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン等のエチレンの重合体や、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体などのエチレン系共重合体を用いることができる。ポリエチレン系樹脂としては、柔軟性の観点から超低密度ポリエチレンを用いることが好ましい。ポリエチレン系樹脂は、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0018】
ポリエチレン系樹脂へのシラン基のグラフトは、例えば、シランカップリング剤を用いることによりなされる。シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン等のビニルアルコキシシラン類や、ノルマルヘキシルトリメトキシシラン、ビニルアセトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等を用いることができる。これらのシランカップリング剤は、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。シランカップリング剤は、反応させるポリエチレン系樹脂100質量部に対して、0.5〜5質量部を添加することが好ましい。
【0019】
シランカップリング剤の添加量が0.5質量部未満の場合には、シラン基のグラフトが不十分となるおそれがある。そのため、得られるシラン架橋性難燃性組成物においてシラン変性ポリエチレン系樹脂同士の架橋が不十分となるおそれがあり、耐熱性が低下するおそれがある。一方、シランカップリング剤の添加量が5質量部を超える場合には、シラン基のグラフトが過度になされるおそれがある。そのため、得られるシラン架橋性難燃性組成物においてシラン変性ポリエチレン系樹脂同士の架橋が過多となるおそれがあり、製品の外観が悪化する等の問題を招来するおそれがある。
【0020】
また、シランカップリング剤を用いてポリエチレン系樹脂にシラン基をグラフトさせるために、ラジカル発生剤を使用してもよい。ラジカル発生剤としては、例えば、ジクミルパーオキサイド(DCP)、ベンゾイルパーオキサイド、ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ブチルパーアセテート、tert−ブチルパーベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサンなどの有機過酸化物を用いることができるが、これ以外の従来公知のラジカル発生剤を用いることも可能である。これらのうち、ジクミルパーオキサイド(DCP)を用いることが好ましい。
【0021】
<ポリエチレン系樹脂>
ポリエチレン系樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン等のエチレンの重合体や、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体などのエチレン系共重合体を用いることができるが、これらに限定されるものではない。ポリエチレン系樹脂としては、シラン変性ポリエチレン系樹脂に用いた樹脂と相溶しやすいものを用いることが好ましく、シラン変性ポリエチレン系樹脂に用いた樹脂と同一の樹脂を用いることがより好ましい。また、これらの樹脂は、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0022】
<変性ポリオレフィン系樹脂>
変性ポリオレフィン系樹脂としては、官能基により変性されたポリオレフィン系樹脂を用いることができる。変性ポリオレフィン系樹脂は、例えば、カルボン酸基、酸無水物基、エポキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基、シラン基などの官能基により変性されたものを採用することができる。これらのうち、マレイン酸基、エポキシ基、アミノ基により変性されたものを用いることが好ましい。変性ポリオレフィン系樹脂は、これらの官能基を有することにより、金属水酸化物や酸化亜鉛等の無機フィラーと樹脂成分とをより強く接着させることができる。その結果、得られるシラン架橋性難燃性組成物の強度をより向上させることができる。
【0023】
官能基により変性されるポリオレフィン系樹脂としては、従来公知のポリオレフィン系樹脂を用いることができる。ポリオレフィン系樹脂としては、シラン変性ポリエチレン系樹脂やポリエチレン系樹脂と相溶しやすいものを用いることが好ましく、これらに用いた樹脂と同一の樹脂がより好ましい。
【0024】
<金属水酸化物>
金属水酸化物は、難燃剤としての作用を有する。また、金属水酸化物は、フィラーとしても機能し、シラン架橋性難燃性組成物の機械特性を向上させる作用を有する。金属水酸化物としては、水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムのうちいずれか一方を用いてもよく、双方を併用してもよい。
【0025】
<ベンズイミダゾール系化合物>
ベンズイミダゾール系化合物は、シラン架橋性難燃性組成物の耐熱性を向上させる作用を有する。ベンズイミダゾール系化合物としては、例えば、2−メルカプトベンズイミダゾール等のメルカプト基を有するベンズイミダゾール化合物や、2−メルカプトメチルベンズイミダゾール等のアルキル置換されたベンズイミダゾール化合物、あるいはこれらの亜鉛塩を使用することができる。これらのうち、2−メルカプトベンズイミダゾール及びその亜鉛塩を用いることが好ましい。
【0026】
<酸化亜鉛>
酸化亜鉛は、シラン架橋性難燃性組成物の耐熱性を向上させる作用を有する。また、酸化亜鉛は、フィラーとしても機能し、シラン架橋性難燃性組成物の機械特性を向上させる作用を有する。
【0027】
<シラン架橋触媒>
シラン架橋触媒は、シラン変性ポリエチレン系樹脂のシラン基同士を架橋させる触媒として機能する。シラン架橋触媒としては、例えば、錫、亜鉛、鉄、鉛、コバルト、バリウム、カルシウム等のカルボン酸塩や、チタン酸エステル、有機塩基、無機酸、有機酸等を用いることができる。より具体的には、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジマレート、ジブチル錫メルカプチド(ジブチル錫ビスオクチルチオグリコールエステル塩、ジブチル錫β−メルカプトプロピオン酸塩ポリマーなど)、ジブチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジラウレート、酢酸第一錫、カプリル酸第一錫、ナフテン酸鉛、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、チタン酸テトラブチルエステル、チタン酸テトラノニルエステル、ジブチルアミン、ヘキシルアミン、ピリジン、硫酸、塩酸、トルエンスルホン酸、酢酸、ステアリン酸、マレイン酸などを用いることができ、ジブチル錫ラウレート、ジブチル錫ジマレート、ジブチル錫メルカプチドを用いることが好ましい。
【0028】
<鎖延長剤>
鎖延長剤としては、例えば、エポキシ基等の反応性の高い官能基を有するスチレン・アクリル共重合体を用いることができる。鎖延長剤は、上記シラン架橋性難燃性組成物に配合することにより、耐熱性を向上させる作用を有する。
【0029】
<その他の成分>
上記シラン架橋性難燃性組成物は、上述した成分に加えて、必要に応じて以下の成分を含有していてもよい。
【0030】
・フェノール系酸化防止剤
フェノール系酸化防止剤は、シラン架橋性難燃性組成物の耐熱性をさらに向上させる作用を有する。フェノール系酸化防止剤としては、例えば、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド]等を用いることができる。
【0031】
・銅害防止剤
銅害防止剤は、シラン架橋性難燃性組成物の耐熱性をさらに向上させる作用を有する。銅害防止剤としては、例えば、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール、デカメチレンジカルボン酸ジサリチロイルヒドラジド、2,3−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]プロピオノヒドラジドなどを用いることができる。
【0032】
さらに、シラン架橋性難燃性組成物の特性を阻害しない範囲で、紫外線吸収剤、加工助剤(ワックス、滑剤等)、難燃助剤、顔料等の他の添加剤を使用することができる。
【0033】
上記シラン架橋性難燃性組成物は、更に性能を向上させる観点から、上記シラン変性ポリエチレン系樹脂40〜80質量%と、上記ポリエチレン系樹脂10〜59質量%とを含有し、残部が上記変性ポリオレフィン系樹脂からなる樹脂成分の100質量部に対し、
上記金属水酸化物30〜200質量部と、
上記ベンズイミダゾール系化合物1〜10質量部と、
上記酸化亜鉛1〜10質量部と、
上記シラン架橋触媒0.005〜0.3質量部と、
上記鎖延長剤0.5〜10質量部とを混合してなるものであることが好ましい(請求項2)。
【0034】
シラン架橋性難燃性組成物は、上記特定の組成を有することにより、耐熱性、難燃性、柔軟性、耐ガソリン性、機械特性等の種々の特性のバランスが取れたものとなりやすく、例えば自動車等に要求される過酷な環境下においても優れた性能を発揮し得るものとなりやすい。
【0035】
シラン変性ポリエチレン系樹脂の樹脂成分内の含有比率が40質量%未満の場合には、グラフトされたシラン基同士の架橋が十分に形成されないおそれがあり、耐熱性が低下するおそれがある。一方、シラン変性ポリエチレン系樹脂の含有比率が80質量%を超える場合には、シラン基同士の架橋が過度に形成されるおそれがあり、シラン架橋性難燃性組成物を製造しにくくなるおそれがある。
【0036】
金属水酸化物の含有量は、他の成分の含有量にも影響されるが、上記特定の範囲内に設定することにより、難燃性及び機械特性の双方のバランスが取れたシラン架橋性難燃性組成物を得やすくなる。金属水酸化物の含有量が30質量部未満の場合には、難燃性が不十分となるおそれがある。一方、金属水酸化物の含有量が200質量部を超える場合には、フィラーが過多となりやすく、シラン架橋性難燃性組成物の機械特性が不十分となるおそれがある。
【0037】
ベンズイミダゾール系化合物の含有量を上記特定の範囲とすることにより、シラン架橋性難燃性組成物は耐熱性を向上させることができる。ベンズイミダゾール系化合物の含有量が1質量部未満の場合には、耐熱性が不十分となるおそれがある。一方、ベンズイミダゾール系化合物の含有量が10質量部を超える場合には、高温高湿雰囲気などの雰囲気下においてブルームしやすくなるおそれがある。
【0038】
酸化亜鉛の含有量を上記特定の範囲とすることにより、シラン架橋性難燃性組成物は耐熱性及び機械特性の双方のバランスが取れたものとなりやすくなる。酸化亜鉛の含有量が1質量部未満の場合には、耐熱性が不十分となるおそれがある。一方、酸化亜鉛の含有量が10質量部を超える場合には、フィラーが過多となりやすく、シラン架橋性難燃性組成物の機械特性が不十分となるおそれがある。
【0039】
シラン架橋触媒の含有量を上記特定の範囲とすることにより、シラン変性ポリエチレン系樹脂のシラン基同士の架橋を十分に形成させることができ、耐熱性を向上させやすくなるとともに、架橋反応の制御を容易に行うことができる。シラン架橋触媒の含有量が0.005質量部未満の場合には、シラン基同士の架橋が不十分となるおそれがあり、シラン架橋性難燃性組成物の耐熱性が不十分となるおそれがある。一方、シラン架橋触媒の含有量が0.3質量部を超える場合には、シラン基同士の架橋反応の制御が困難となるおそれがある。そのため、例えば架橋反応が過度に進行し、成型品が外観異常となるなどの問題が生じるおそれがある。
【0040】
また、鎖延長剤の含有量を上記特定の範囲とすることにより、シラン架橋性難燃性組成物の耐熱性を向上させることができる。鎖延長剤の含有量が0.5質量部未満の場合には、耐熱性が不十分となるおそれがある。鎖延長剤は、含有量が多いほど耐熱性を向上させる効果が大きくなるが、10質量部を超える場合には、コストが高くなる一方で、それに見合った効果を得にくくなる。
【0041】
上記シラン架橋性難燃性組成物は、通常、上述した各成分を、2軸押出機等を用いて加熱しつつ混練することにより作製される。この時、シラン変性ポリエチレン系樹脂におけるシラン基のグラフトは、混練の前に予め行っていてもよく、混練と同時にグラフトさせてもよい。シラン架橋性難燃性組成物の混練と同時にシラン基をポリエチレン系樹脂にグラフトさせる場合には、例えば、ポリエチレン系樹脂、シランカップリング剤及びラジカル発生剤をその他の成分と一緒に配合し、同時に混練を行う方法を用いることができる。シラン基のグラフトをより確実に行う観点からは、予め作製したシラン変性ポリエチレン系樹脂を用いることが好ましい。
【0042】
また、上記シラン架橋性難燃性組成物を用いた絶縁電線は、上記シラン架橋性難燃性組成物を水架橋してなる被覆材が導体の周囲に被覆されていることが好ましい(請求項)。シラン架橋性難燃性組成物は、混練の後、高温高湿環境におくことにより、シラン基同士の架橋(水架橋)が促進され、耐熱性がより向上する。そのため、水架橋されたシラン架橋性難燃性組成物を被覆材として有する上記絶縁電線は、耐熱性及び難燃性に優れたものとなり、大電流や高温等の過酷な環境が想定される自動車等の用途においても、優れた性能を発揮し得るものとなる。
【0043】
上記絶縁電線を製造する方法の一態様としては、上記シラン変性ポリエチレン系樹脂を含有するバッチ(A)と、
上記鎖延長剤、上記ポリエチレン系樹脂、上記変性ポリオレフィン系樹脂、上記金属水酸化物、上記ベンズイミダゾール系化合物及び上記酸化亜鉛を含有するバッチ(B)と、
上記シラン架橋触媒を含有するバッチ(C)とを準備した後、
上記バッチ(A)、上記バッチ(B)及び上記バッチ(C)を混練して上記シラン架橋性難燃性組成物を作製し、
該シラン架橋性難燃性組成物を導体の周囲に被覆した後、水架橋させる態様を採用することができる(請求項)。
【0044】
このように、シラン変性ポリエチレン系樹脂を含有するバッチ(A)と、少なくとも鎖延長剤を含有するバッチ(B)と、少なくともシラン架橋触媒を含有するバッチ(C)とを別々に準備し、これらのバッチを混練することにより、得られる絶縁電線の品質をより安定化させやすくなる。
【0045】
すなわち、鎖延長剤は反応性が高いため、シラン変性ポリエチレン系樹脂等と混合した後に時間を置くと、鎖延長剤とシラン変性ポリエチレン系樹脂等とが意図しない化学反応を起こすおそれがある。この場合には、得られるシラン架橋性難燃性組成物において、シラン基同士の水架橋が不十分となるおそれがあり、場合によっては耐熱性が不十分となることも考えられる。
【0046】
また、シラン架橋触媒は、シラン変性ポリエチレン系樹脂と混合した後に時間を置くと、シラン基同士の架橋反応を意図せず進行させるおそれがある。この場合には、得られるシラン架橋性難燃性組成物において、架橋反応が過度に進行した部分が形成されるおそれがあり、場合によっては導体の周囲に被覆する際の外観不良の原因となることも考えられる。
【0047】
このように、意図しない化学反応は、得られるシラン架橋性難燃性組成物の品質を低下させるおそれがあるため、好ましくない。このような意図しない化学反応は、上述したように準備したバッチ(A)、(B)及び(C)を混練することにより抑制しやすくなる。その結果、シラン架橋性難燃性組成物を十分に架橋させ、得られる絶縁電線の品質を安定化させるとともに、優れた性能を発揮させることができる。
【0048】
また、バッチ(A)において、ポリエチレン系樹脂とシランカップリング剤とを別々に配合する場合、すなわちバッチ(A)〜(C)の混合と同時にシラン基をグラフトさせる場合には、以下の作用効果を奏することができる。すなわち、反応性の高いシランカップリング剤が、金属水酸化物と意図しない反応を起こすことを抑制しやすくなり、この反応に由来するゲル状物質が生成されることを抑制しやすくなる。そのため、ポリエチレン系樹脂へのシラン基のグラフトを十分に行いやすくなり、耐熱性を向上させやすくなるとともに、絶縁電線の外観不良を抑制しやすくなる。
【0049】
また、絶縁電線の製造方法の他の態様としては、上記シラン変性ポリエチレン系樹脂を含有するバッチ(A)と、
上記鎖延長剤を含有するバッチ(B)と、
上記シラン架橋触媒を含有するバッチ(C)と、
上記ポリエチレン系樹脂、上記変性ポリオレフィン系樹脂、上記金属水酸化物、上記ベンズイミダゾール系化合物及び上記酸化亜鉛を含有するバッチ(D)とを準備した後、
上記バッチ(A)、上記バッチ(B)、上記バッチ(C)及び上記バッチ(D)を混練して上記シラン架橋性難燃性組成物を作製し、
該シラン架橋性難燃性組成物を導体の周囲に被覆した後、水架橋させる態様を採用することができる(請求項)。
【0050】
この場合には、シラン変性ポリエチレン系樹脂と、金属水酸化物とを互いに別のバッチに含有させることにより、金属水酸化物とシラン変性ポリエチレン系樹脂とが意図しない反応をすることを抑制しやすくなる。さらに、上述したような、シラン変性ポリエチレン系樹脂と鎖延長剤との反応や、シラン変性ポリエチレン系樹脂同士の意図しない反応を抑制しやすくなる。その結果、シラン架橋性難燃性組成物を十分に架橋させ、得られる絶縁電線の品質を安定化させるとともに、優れた性能を発揮させることができる。
【実施例】
【0051】
(実施例1)
上記シラン架橋性難燃性組成物及びこれを用いた絶縁電線の実施例を以下に説明する。なお、本例において用いた各成分の製品名、製造元等は、以下の通りである。
【0052】
・ポリエチレン系樹脂(1) デュポン ダウ エラストマー ジャパン(株)製、商品名「エンゲージ 7256」、密度0.885g/cm
・ポリエチレン系樹脂(2) 三井・デュポンポリケミカル(株)製、商品名「エルバロイ 2116」、密度0.93g/cm
・変性ポリオレフィン系樹脂(変性ポリエチレン系樹脂) 三菱化学(株)製、商品名「モディックM512」
・水酸化マグネシウム 協和化学(株)製、商品名「キスマ5」
・シランカップリング剤 東レダウコーニング(株)製、商品名「SZ6300」
・ラジカル発生剤(ジクミルパーオキサイド) 日本油脂(株)製、商品名「パークミルD」
・フェノール系酸化防止剤 BASF社製、商品名「イルガノックス1010」
・ベンズイミダゾール系化合物 大内新興化学工業(株)製、商品名「ノクラックMB」
・酸化亜鉛 ハクスイテック(株)製、商品名「酸化亜鉛1種」
・銅害防止剤 (株)アデカ製、商品名「CDA−1」
・鎖延長剤(1) BASF社製、商品名「ジョンクリルADR−4300」
・鎖延長剤(2) BASF社製、商品名「ジョンクリルADR−4370」
・シラン架橋触媒 和光純薬工業(株)製 試薬「ジブチル錫ジラウレート」
【0053】
シラン架橋性難燃性組成物は、シラン変性ポリエチレン系樹脂を含有するバッチ(A)と、ポリエチレン系樹脂、変性ポリオレフィン系樹脂、金属水酸化物、ベンズイミダゾール系化合物、酸化亜鉛及び鎖延長剤を含有するバッチ(B)と、シラン架橋触媒を含有するバッチ(C)とを別々に準備した後、バッチ(A)〜(C)を混練することにより作製した。
【0054】
<バッチ(A)の準備>
65質量部のポリエチレン系樹脂(1)に対して、0.33質量部のシランカップリング剤と0.07質量部のラジカル発生剤とを配合した後、2軸押出混練機に投入して200℃で0.1〜2分間加熱しつつ混練した。その後、混合物をペレット化し、表1に示すシラン変性ポリエチレン系樹脂(1)を得た。なお、得られたシラン変性ポリエチレン系樹脂(1)の密度は0.885g/cmであった。
【0055】
同様に、65質量部のポリエチレン系樹脂(2)に対して、0.33質量部のシランカップリング剤と0.07質量部のラジカル発生剤とを配合した後、2軸押出混練機に投入して200℃で0.1〜2分間加熱しつつ混練した。その後、混合物をペレット化し、表1に示すシラン変性ポリエチレン系樹脂(2)を得た。なお、得られたシラン変性ポリエチレン系樹脂(2)の密度は0.885g/cmであった。
【0056】
<バッチ(B)の準備>
表1に示す配合比に従い、ポリエチレン系樹脂、変性ポリエチレン系樹脂、水酸化マグネシウム、フェノール系酸化防止剤、ベンズイミダゾール系化合物、酸化亜鉛、鎖延長剤及び銅害防止剤を配合した後、2軸押出混練機に投入して200℃で0.1〜2分間加熱しつつ混練した。その後、混合物をペレット化し、バッチ(B)を得た。なお、表1に示す配合比の単位は全て質量部である。
【0057】
<バッチ(C)の準備>
表1に示す配合比に従い、ポリエチレン系樹脂(1)とシラン架橋触媒とを配合した後、2軸押出混練機に投入して200℃で0.1〜2分間加熱しつつ混練した。その後、混合物をペレット化し、バッチ(C)を得た。なお、表1に示す配合比の単位は全て質量部である。
【0058】
<絶縁電線の作製>
上述のようにそれぞれ準備したバッチ(A)、バッチ(B)及びバッチ(C)を、各成分が表1に示す配合比となるように配合した。なお、表1に示す配合比の単位は全て質量部である。
【0059】
次いで、温度を180〜200℃に設定した押出機のホッパーにバッチ(A)〜(C)を投入し、これらを混合しながら導体表面を被覆するように押出成形を行い、シラン架橋性難燃性組成物に表面を被覆された被覆線を得た。その後、得られた被覆線を60℃90%RHの高温高湿槽に投入し、槽内に24時間おいてシラン架橋性難燃性組成物を水架橋させ、絶縁電線(試験体No.1〜No.15)を得た。なお、使用した導体の外径は2.4mmであり、被覆材の厚さは0.7mmとした。被覆電線全体の外径は3.8mmであった。
【0060】
得られた試験体について、以下の方法により難燃性、耐熱性及び機械特性の評価を行った。
【0061】
<難燃性>
JASO D618に従い、試験体から長さ300mmの絶縁電線を採取して試料として準備し、水平燃焼試験を実施した。口径10mmのブンゼンバーナーを用い、試料中央部の下側に還元炎の先端を被覆材が燃焼するまで当てた後、炎を静かに取り去った。この時の残炎時間を測定し、その結果を表1に示した。なお、表1に示す記号は、炎がすぐに消えたものを「A」、残炎時間が30秒以下のものを「B」、残炎時間が30秒を超えるものを「C」とし、B以上を合格と判断した。
【0062】
<耐熱性>
試験体から長さ150mmの絶縁電線を採取して試料として準備し、試料を180℃の炉に投入し、炉内に648時間おいた。その後、試料を取り出して室温に戻した後、電線径の1.5倍の直径を有するマンドレルに試料を巻きつけた。この状態における被覆材のひび割れの有無を目視観察し、その結果を表1に示した。なお、表1に示す記号は、変色が少なくひび割れがないものを「A」、変色したがひび割れはなかったものを「B」、ひび割れが生じたものを「C」とし、B以上を合格と判断した。
【0063】
<機械特性>
JIS C 3005に準拠して以下の手順により引張試験を行い、引張強さ及び伸びの測定を行った。試験体を150mmの長さに切り出し、導体を取り除いて被覆材のみの管状試験片を作製した。その後、管状試験片の両端を引張試験機のチャックに取り付け、引張速度200mm/分で引張試験を行った。その結果、得られた試験片が破断した際の荷重(最大引張荷重)及び伸びを表1に示した。なお、引張試験は23℃±5℃の環境下において実施した。また、表1に示す記号は、引張強さ11MPa以上かつ伸び200%以上のものを「A」、引張強さ10MPa以上かつ伸び150%以上のものを「B」、引張強さ10MPa未満または伸び150%未満のものを「C」とし、B以上を合格と判断した。
【0064】
【表1】
【0065】
表1より知られるように、上記特定の組成を有する試験体No.1〜No.10は、難燃性、耐熱性及び機械特性に優れるものとなった。
【0066】
一方、試験体No.11及びNo.15は、鎖延長剤を含有していないため、耐熱性に劣るものとなった。
試験体No.12及びNo.13は、酸化亜鉛及びベンズイミダゾール系化合物の双方を含有していないため、耐熱性に劣るものとなった。
【0067】
試験体No.14は、水酸化マグネシウムを含有していないため、難燃性に劣るものとなった。
【0068】
(実施例2)
本例は、バッチ(A)〜(D)の4種のバッチを混練してシラン架橋性難燃性組成物及び絶縁電線を作製した例である。なお、バッチ(A)及びバッチ(C)については、実施例1と同様に作製した。
【0069】
<バッチ(B)の準備>
表2に示す配合比に従い、ポリエチレン系樹脂及び鎖延長剤を配合した後、2軸押出混練機に投入して200℃で0.1〜2分間加熱しつつ混練した。その後、混合物をペレット化し、試験体No.21に用いるバッチ(B)を得た。なお、試験体No.22は、鎖延長剤をポリエチレン系樹脂と混練して希釈することなく、バッチ(A)、(C)及び(D)の混練の際に直接ホッパーに投入した例である。また、表2に示す配合比の単位は全て質量部である。
【0070】
<バッチ(D)の準備>
表2に示す配合比に従い、ポリエチレン系樹脂、変性ポリエチレン系樹脂、水酸化マグネシウム、フェノール系酸化防止剤、ベンズイミダゾール系化合物、酸化亜鉛及び銅害防止剤を配合した後、2軸押出混練機に投入して200℃で0.1〜2分間加熱しつつ混練した。その後、混合物をペレット化し、バッチ(D)を得た。
【0071】
<絶縁電線の作製>
バッチ(A)、バッチ(B)及びバッチ(C)に加えてバッチ(D)をホッパーに投入した以外は、実施例1と同様の手順により絶縁電線(試験体No.21〜No.22)を作製した。
【0072】
得られた試験体の難燃性、耐熱性及び機械特性を、実施例1と同様の方法により評価した。その結果を表2に示す。
【0073】
【表2】
【0074】
表2より知られるように、バッチ(A)〜バッチ(D)の4種のバッチを用いる場合にも難燃性、耐熱性及び機械特性に優れたシラン架橋性難燃性組成物及び絶縁電線を得ることができる。