特許第6052051号(P6052051)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6052051
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】炭化珪素単結晶の製造装置
(51)【国際特許分類】
   C30B 29/36 20060101AFI20161219BHJP
   C30B 25/12 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   C30B29/36 A
   C30B25/12
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-104051(P2013-104051)
(22)【出願日】2013年5月16日
(65)【公開番号】特開2014-224014(P2014-224014A)
(43)【公開日】2014年12月4日
【審査請求日】2015年8月28日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、経済産業省「低炭素社会を実現する新材料パワー半導体プロジェクト」委託研究、および平成23年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「低炭素社会を実現する新材料パワー半導体プロジェクト」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】特許業務法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】徳田 雄一郎
【審査官】 今井 淳一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−126613(JP,A)
【文献】 特表2009−500287(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C30B 29/36
C30B 25/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
種結晶(5)から炭化珪素単結晶(20)を成長させる反応室を構成し、中心軸が天地方向に向けて配置された円筒形状の坩堝(8)と、
前記坩堝の中心軸に対して同軸で配置される円盤状部材で構成され、前記坩堝内において、上面(10a)を上方に向けると共に下面(10b)を下方に向けて配置された台座(10)と、
前記台座の外周を囲むことで前記炭化珪素単結晶の成長空間を構成し、かつ、前記台座の外周面から離間して配置されたガイド(12)と、
前記台座と前記ガイドとの間の隙間をパージガス導入通路(17)として、該パージガス導入通路を通じて不活性ガスと炭化珪素のエッチングガスの少なくとも一方を含むパージガスを供給し、前記台座の外周において上方から下方に向けて前記パージガスを流動させるパージガス供給源(13)と、を備え、
前記台座の下面の径は、前記種結晶の径よりも大きくされ、前記種結晶が配置される内周部(10c)と、前記種結晶よりも外側に位置する外縁部(10d)とを有した構成とされ
前記台座の下面における前記内周部と前記外縁部との境界位置には、前記下面から前記上面に向かう方向を深さ方向として前記内周部を囲む溝部(10e)が形成されていることを特徴とする炭化珪素単結晶製造装置。
【請求項2】
前記台座内には、前記溝部に繋がる内部空間(10f)が構成されていることを特徴とする請求項に記載の炭化珪素単結晶製造装置。
【請求項3】
前記台座は、前記上面から下方に向かう高さについて、前記内周部の方が前記外縁部のよりも高くされていることを特徴とする請求項1または2に記載の炭化珪素単結晶製造装置。
【請求項4】
前記台座は、前記下面に段差が設けられ、前記内周部と前記外縁部との間の高さが前記段差により異ならせてあることを特徴とする請求項に記載の炭化珪素単結晶製造装置。
【請求項5】
前記台座は、前記下面のうちの前記外縁部が下方から上方に向けて徐々に外径が大きくなるテーパ面とされることで、前記内周部と前記外縁部との間の高さが異ならせてあることを特徴とする請求項に記載の炭化珪素単結晶製造装置。
【請求項6】
前記ガイドは、内径が上方から下方にかけて徐々に拡大させられていることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1つに記載の炭化珪素単結晶製造装置。
【請求項7】
前記ガイドは、表面が高融点金属炭化物によってコーティングされており、該コーティングの厚みが0.1mm以下とされていることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1つに記載の炭化珪素単結晶製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化珪素(以下、SiCという)単結晶の製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1において、SiC単結晶にて構成される種結晶の表面にSiC単結晶を結晶成長させる際に、成長したSiC単結晶がその周囲に形成されるSiC多結晶に固着してしまうことを防止できるようにしたSiC単結晶の製造装置が提案されている。この製造装置では、種結晶の周囲に円筒形のガイドを設け、台座とガイドの隙間からArなどの不活性ガスを導入し、不活性ガスの流れによって成長したSiC単結晶とSiC多結晶とを分離させるようにしている。これにより、SiC単結晶とSiC多結晶との固着が防止され、口径を拡大させながらSiC単結晶を成長させることが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4238450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、種結晶の周囲において、不活性ガスを導入するための隙間を空けて種結晶とガイドとの間隔を設定しているが、種結晶からガイドまでの距離が短い。このため、不活性ガスの流量が多いと成長したSiC単結晶の口径が縮小してしまう一方、不活性ガスの流量が少ないと成長したSiC単結晶がガイドに固着してしまい、SiC単結晶の品質を劣化させてしまう。
【0005】
本発明は上記点に鑑みて、SiC単結晶とSiC多結晶との固着を防止しつつ、SiC単結晶がガイドに固着することも防止でき、さらに、成長するSiC単結晶の口径が縮小することも防止できるSiC単結晶の製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1ないし7に記載の発明では、坩堝(8)内において、上面(10a)を上方に向けると共に下面(10b)を下方に向けて配置される円盤状部材で構成された台座(10)と、台座の外周を囲むことでSiC単結晶(20)の成長空間を構成し、かつ、台座の外周面から離間して配置されたガイド(12)と、台座とガイドとの間の隙間をパージガス導入通路(17)として、該パージガス導入通路を通じて不活性ガスとSiCのエッチングガスの少なくとも一方を含むパージガスを供給し、台座の外周において上方から下方に向けてパージガスを流動させるパージガス供給源(13)と、を備え、台座の下面の径は、種結晶(5)の径よりも大きくされ、種結晶が配置される内周部(10c)と、種結晶よりも外側に位置する外縁部(10d)とを有した構成とされていることを特徴としている。
【0007】
このように、台座の径を種結晶の径よりも大きくしている。このため、種結晶からガイドまでの距離を確保することができ、パージガスの影響を抑制できて、台座の外縁部にSiC多結晶が付着することを抑制できる。したがって、SiC単結晶とSiC多結晶との固着を防止しつつ、SiC単結晶がガイドに固着することも防止でき、さらに、成長するSiC単結晶の口径が縮小することも防止できる。
【0008】
また、請求項に記載の発明では、台座の下面における内周部と外縁部との境界位置に、台座の下面から上面に向かう方向を深さ方向として内周部を囲む溝部(10e)を形成している。このようにすると、溝部によってSiC単結晶とSiC多結晶との間が確実に離間するようにできる。このため、さらに上記効果を得ることが可能となる。
【0009】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態にかかるSiC単結晶製造装置1の断面図である。
図2図1に示すSiC単結晶製造装置1に備えられた台座10の近傍の部分拡大断面図である。
図3】本発明の第2実施形態にかかるSiC単結晶製造装置1の断面図である。
図4】本発明の第3実施形態にかかるSiC単結晶製造装置1の断面図である。
図5】他の実施形態で説明するSiC単結晶製造装置1の断面図である。
図6】他の実施形態で説明するSiC単結晶製造装置1の断面図である。
図7】他の実施形態で説明するSiC単結晶製造装置1の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
【0012】
(第1実施形態)
図1および図2を参照して、本実施形態にかかるSiC単結晶製造装置1の構造について説明する。
【0013】
図1に示すように、SiC単結晶製造装置1は、底部に備えられた流入口2を通じて原料ガス3aを供給すると共に、上方に配置された流出口4を通じて原料ガス3aのうちの未反応ガスを排出する。そして、SiC単結晶製造装置1は、装置内に配置したSiC単結晶基板からなる種結晶5上にSiC単結晶20を成長させることにより、SiC単結晶20のインゴットを形成する。
【0014】
SiC単結晶製造装置1には、原料ガス供給源3、真空容器6、第1断熱材7、坩堝8、導入円筒9、台座10、回転引上機構11、ガイド12、パージガス供給源13、第2断熱材14および第1、第2加熱装置15、16が備えられている。
【0015】
原料ガス供給源3は、キャリアガスと共にSiおよびCを含有するSiCの原料ガス3aを流入口2より供給する。例えば、原料ガス3aとしては、シラン等のシラン系ガスとプロパン等の炭化水素系ガスの混合ガスを用いている。
【0016】
真空容器6は、石英ガラスなどで構成され、中空円筒状をなしており、キャリアガスや原料ガス3aの導入導出が行え、かつ、SiC単結晶製造装置1の各部を収容すると共に、その収容している内部空間の圧力を真空引きして減圧できる構造とされている。この真空容器6の底部にキャリアガスを含む原料ガス3aの流入口2が設けられ、真空容器6の上方位置に原料ガス3aうちの未反応ガスを排出する流出口4が設けられている。
【0017】
第1断熱材7は、円柱形状をなしており、真空容器6の内方において真空容器6に対して同軸的に配置されている。第1断熱材7には、中心軸に沿って流入口2に繋がる原料ガス導入管7aが形成されている。第1断熱材7は、例えば黒鉛や表面をTaC(炭化タンタル)やNbC(炭化ニオブ)などの高融点金属炭化物にてコーティングした黒鉛などで構成されることで、熱エッチングが抑制できるようにしてある。
【0018】
坩堝8は、種結晶5の表面にSiC単結晶20を成長させる反応室を構成しており、導入円筒9、台座10、ガイド12などが挿入され、中心軸が天地方向に向けられた状態で真空容器6に対して同軸的に立設されている。本実施形態の場合、坩堝8は、中空円筒部材を有した構成とされ、本実施形態の場合は底面を有した有底円筒状部材とされている。坩堝8には、底面における中央位置に原料ガス導入管7aに繋がる流入孔8aが形成されている。
【0019】
坩堝8は、例えば黒鉛や表面をTaCやNbCなどの高融点金属炭化物にてコーティングした黒鉛などで構成され、熱エッチングが抑制できるようにしてある。この坩堝8は、導入円筒9や台座10およびガイド12などの周囲を囲むように配置され、かつ、これらに対して同軸的に配置されている。
【0020】
導入円筒9は、坩堝8の中心軸と同軸的に配置され、坩堝8の底部における中央位置に配置されることで原料ガス導入管7aに繋げられている。これにより、導入円筒9を通じて、流入口2から供給される原料ガス3aを種結晶5の表面に導けるようになっている。本実施形態の場合、導入円筒9の先端がガイド12内まで挿入されており、より種結晶5の表面に近い位置まで原料ガス3aが導かれる構造とされている。
【0021】
台座10は、坩堝8の中心軸と同軸で配置された円盤状部材である。台座10は、例えば黒鉛や表面をTaCやNbCなどの高融点金属炭化物にてコーティングした黒鉛などで構成され、熱エッチングが抑制できるようにしてある。この台座10に、種結晶5が貼り付けられ、種結晶5の表面にSiC単結晶20を成長させる。
【0022】
台座10は、上面10aにおいて回転引上機構11のシャフト11aに連結されており、下面10bにおいて種結晶5が固定されている。台座10は、種結晶5の外周部がガイド12の内壁面から所定距離離間するように、種結晶5の径方向寸法よりも外径が大きくされている。これにより、図2に示すように、台座10の下面10bは、種結晶5が配置される内周部10cと、種結晶5よりも外側に位置する外縁部10dとに区画されている。また、台座10の下面10bには段差が設けられており、内周部10cが外縁部10dよりも下方側に突き出し、外縁部10dが凹まされることで上面10aから下方に向かう高さが異なった形状になっている。また、台座10のうちの内周部10cと外縁部10dとの境界位置には、下面10bから上面10aに向かう方向を深さ方向とする溝部10eが形成されている。この溝部10eは、内周部10cを囲むように1周形成されている。
【0023】
回転引上機構11は、シャフト11aの回転および引上げを行う。シャフト11aは、一端が台座10のうちの上面10aに接続されており、他端が回転引上機構11の本体に接続されている。このシャフト11aも、例えば黒鉛や表面をTaCなどの高融点金属炭化物にてコーティングした黒鉛などで構成されることで、熱エッチングが抑制できるようにしてある。このような構成により、シャフト11aと共に台座10、種結晶5およびSiC単結晶20の回転および引き上げが行えるようになっている。これにより、SiC単結晶20の成長面が所望の温度分布となるようにしつつ、SiC単結晶20の成長に伴って、その成長表面の温度が常に成長に適した温度に調整される。
【0024】
また、本実施形態の場合、シャフト11aはパイプ状部材によって構成されており、内部にパージガス供給源13から供給されるパージガスを流動させられる構造とされている。シャフト11aのうち台座側の先端位置には複数のガス導入口11bが形成されており、このガス導入口11bを通じてシャフト11aの外部にパージガスが導かれるようになっている。
【0025】
ガイド12は、台座10やシャフト11aの先端等を収容し、かつ、導入円筒9の先端部を囲むように配置されている。ガイド12のうち台座10よりも下方に位置する空間を成長空間としてSiC単結晶20が成長させられるようになっている。本実施形態では、中央部に固定孔12aが形成された底部12bを有する有底円筒状部材にてガイド12を構成している。そして、ガイド12は、底部12bと反対側となる開口部側を下方に向けつつ固定孔12a内にシャフト11aを挿通させた状態で、底部12bがガス導入口11bよりも上方に配置されるようにしてシャフト11aの外周面に接続されている。このガイド12も、例えば黒鉛や表面をTaCなどの高融点金属炭化物にてコーティングした黒鉛などで構成されることで、熱エッチングが抑制できるようにしてある。
【0026】
ガイド12の内径は、台座10やシャフト11aの外径よりも大きく設定されており、ガイド12の内周面と台座10の外周面との間や台座10およびシャフト11aの外周面との間に隙間が空けられるようにしてある。これらの隙間によって、図2に示したようにパージガス導入通路17が構成されており、台座10の外周からSiC単結晶20の成長空間内にパージガスが導入される構成とされている。
【0027】
なお、ガイド12をコーティングする高融点金属炭化物の厚みについては特に限定されないが、SiC単結晶20を成長させる際の温度状況やSiC単結晶20の成長の様子をX線透視観察にて観察することができるように、例えば0.1mm以下にすると好ましい。
【0028】
また、パージガス供給源13は、シャフト11a内およびパージガス導入通路17を通じて台座10の裏面側からSiC単結晶20の成長空間にパージガスを導入することで、台座10のうちの外縁部10dにSiC単結晶が生成することを抑制する。例えば、パージガスは、ArやHeなどの不活性ガスやH2やHClなどのエッチングガスの少なくとも一方を含むガスにて構成され、ガス流やエッチング作用によってSiC多結晶の付着を抑制する機能を果たす。
【0029】
第2断熱材14は、坩堝8の外周を囲むように配置された円筒形状部材であり、坩堝8と真空容器6の外部とを熱的に遮断する。第2断熱材14は、例えば黒鉛や表面をTaCやNbCなどの高融点金属炭化物にてコーティングした黒鉛などで構成されることで、熱エッチングが抑制できるようにしてある。
【0030】
第1、第2加熱装置15、16は、誘導加熱用コイルやヒータによって構成され、真空容器6の周囲を囲むように配置されている。これら第1、第2加熱装置15、16は、それぞれ独立して温度制御できるように構成されている。このため、より細やかな温度制御を行うことができる。第1加熱装置15は、坩堝8の下方と対応した位置に配置されている。第2加熱装置16は、台座10と対応した位置に配置されている。このような配置とされているため、第1、第2加熱装置15、16を制御することにより、SiC単結晶20の成長表面の温度分布をSiC単結晶20の成長に適した温度に調整できる。
【0031】
このような構造により、本実施形態にかかるSiC単結晶製造装置1が構成されている。続いて、本実施形態にかかるSiC単結晶製造装置1を用いたSiC単結晶20の製造方法について説明する。
【0032】
まず、台座10に種結晶5を取り付けたのち、第1、第2加熱装置15、16を制御し、所望の温度分布を付ける。すなわち、種結晶5の表面において原料ガス3aが再結晶化されることでSiC単結晶20が成長しつつ、坩堝8内において再結晶化レートよりも昇華レートの方が高くなる温度となるようにする。
【0033】
また、真空容器6を所望圧力にしつつ、必要に応じてArやHeなどの不活性ガスによるキャリアガスやH2やHClなどのエッチングガスを導入しながら原料ガス供給源3より流入口2を通じて原料ガス3aを導入する。これにより、図1および図2中の矢印Aで示したように、原料ガス3aが流動し、種結晶5に供給されてSiC単結晶20を成長させることができる。
【0034】
このとき、導入円筒9にてガイド12内におけるSiC単結晶20の成長空間まで原料ガス3aが導入されるため、より種結晶5の表面に原料ガス3aが供給されるようにできる。そして、成長空間まで導入された原料ガス3aは、その一部がSiC単結晶20の成長に用いられ、未反応ガスについてはガイド12と導入円筒9との間の隙間を通じて坩堝8の下方に導かれる。その後、再びガイド12と第2断熱材14との間において上方に導かれ、流出口4を通じて排出される。このようにして、SiC単結晶20が成長させられていく。
【0035】
またこのとき、図1および図2の矢印Bに示したように、パージガス導入通路17を通じてパージガス供給源13よりパージガスが供給され、台座10の外周において、上面10a側から下面10b側に向けてパージガスが流動させられる。したがって、パージガスの影響により、これらの間にSiC単結晶が付着することを抑制できる。
【0036】
そして、本実施形態では、台座10の径を種結晶5の径よりも大きくしていることから、種結晶5からガイド12までの距離を確保することができ、パージガスの影響を抑制できる。このため、パージガスの流量を多くしても、成長したSiC単結晶20の口径が縮小してしまわないようにできる。また、SiC単結晶20の口径縮小を考慮してパージガスの流量を少なくする必要がないため、ある程度の流量を確保することができる。したがって、ガイド12への多結晶付着を防止でき、更に図2に示すように外縁部10dにSiC多結晶21が付着したとしても、その付着量は少なくなり、SiC多結晶21がSiC単結晶に付着することを抑制することが可能となる。よって、SiC単結晶20とSiC多結晶21との固着を防止しつつ、SiC単結晶20がガイド12に固着することも防止でき、さらに、成長するSiC単結晶20の口径が縮小することも防止できる。
【0037】
特に、本実施形態の場合には、台座10の下面10bに段差を設け、内周部10cの方が外縁部10dよりも上面10aから下方に向かう高さが高くなるようにしている。このため、よりSiC単結晶20からSiC多結晶21を離すことが可能となり、より上記効果を得ることが可能となる。さらに、本実施形態では、内周部10cと外縁部10dとの間に溝部10eを形成していることから、溝部10eによってSiC単結晶20とSiC多結晶21との間が確実に離間するようにでき、尚更に上記効果を得ることが可能となる。
【0038】
以上説明したように、本実施形態では、台座10の径を種結晶5の径よりも大きくしている。このため、種結晶5からガイド12までの距離を確保することができ、パージガスの影響を抑制できて、外縁部10dにSiC多結晶21が付着することを抑制できる。したがって、SiC単結晶20とSiC多結晶21との固着を防止しつつ、SiC単結晶20がガイド12に固着することも防止でき、さらに、成長するSiC単結晶20の口径が縮小することも防止できる。
【0039】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対してSiC単結晶製造装置1の構成を一部変更したものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0040】
図3に示すように、本実施形態は、第1実施形態に対して、分離断熱材18を備えるようにし、流出口4を真空容器6の下方位置に配置している。また、流出口4に合わせて、第1断熱材7に対して原料ガス導入管7aの周囲に配置されるように流出口4に繋がるガス流出管7bを形成していると共に、坩堝8の底面における流入孔8aの周辺位置にガス流出管7bに繋がる排出孔8bを形成している。
【0041】
分離断熱材18は、SiC単結晶20の成長空間よりも下方と上方とを熱的に分離する役割を果たす。これにより、上下に配置された第1、第2加熱装置15、16による加熱量、例えばコイルパワーの独立性を向上させることが可能となる。なお、分離断熱材18をガイド12の外周に配置する場合には、原料ガス3aのうちの未反応ガスを真空容器6の上方から排出しようとすると、分離断熱材18が邪魔になるため、分離断熱材18にガス流動経路を設ける必要がある。しかしながら、本実施形態のように流出口4を真空容器6の下方に設けて、未反応ガスを下方に導く構造であれば、分離断熱材18を配置する構造であっても設計上有利である。
【0042】
このように、分離断熱材18を備えることによってSiC単結晶20の成長空間よりも下方と上方とを熱的に分離でき、SiC単結晶20の成長に適した温度分布により的確に制御することが可能となる。
【0043】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態は、第2実施形態に対してSiC単結晶製造装置1の構成を一部変更したものであり、その他については第2実施形態と同様であるため、第2実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0044】
図4に示すように、本実施形態は、第2実施形態と同様、第1実施形態に対して分離断熱材18を備えたり、流出口4を真空容器6の下方位置に配置したりしつつ、さらにガイド12の形状を円筒形状としている。また、ガイド12は、例えば坩堝8の上面に接続されており、坩堝8の上面から下方に向かって突き出した状態で配置されている。また、第1実施形態においてシャフト11aに備えてあったガス導入口11bを無くしている。
【0045】
このように、ガイド12を円筒形状としたり、坩堝8の上面に接続されるように配置することもできる。このような構成とする場合、パージガスがシャフト11aの内部ではなく、シャフト11aとガイド12との間の隙間を通じて流動させられるが、基本的には第1、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0046】
(他の実施形態)
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。
【0047】
例えば、上記各実施形態では、ガイド12を径が一定となる円筒形状としているが、これをSiC単結晶20の成長方向、つまり上方から下方に向けて徐々に内径が拡大する形状、例えば円錐台形状となるようにしても良い。
【0048】
また、上記各実施形態において、台座10の形状を変更することもできる。例えば、図5に示すように、台座10における外縁部10dをテーパ面とし、下方から上方に向けて徐々に台座10の外径が大きくなるような構造としても良い。このようにしても、内周部10cと外縁部10dとについて、上面10aから下方に向かう高さを変化させることができるため、SiC単結晶20とSiC多結晶21とを分離でき、上記各実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0049】
また、図6に示すように、台座10における外縁部10dをテーパ面としつつ、溝部10eを形成することもできる。これにより、溝部10eにてSiC単結晶20とSiC多結晶21との間が確実に離間するようにでき、更に上記各実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0050】
さらに、図7に示すように、台座10の内部に溝部10eと繋がる内部空間10fを構成しても良い。このような構成にすると、SiC単結晶が形成される際には、内部空間10fを構成する部分の内壁面、特に上面10aの裏側に位置する面に形成され易くなり、外縁部10dにはSiC多結晶21が形成され難くなる。したがって、尚更に上記各実施形態と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0051】
1 SiC単結晶製造装置
5 種結晶
8 坩堝
10 台座
10a 上面
10b 下面
10c 内周部
10d 外縁部
10e 溝部
10f 内部空間
12 ガイド
13 パージガス供給源
17 パージガス導入通路
20 SiC単結晶
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7