特許第6052056号(P6052056)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6052056
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/36 20060101AFI20161219BHJP
   H01M 2/04 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   H01M2/36 101D
   H01M2/04 A
   H01M2/04 C
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-107285(P2013-107285)
(22)【出願日】2013年5月21日
(65)【公開番号】特開2014-229444(P2014-229444A)
(43)【公開日】2014年12月8日
【審査請求日】2015年8月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】松戸 覚央
(72)【発明者】
【氏名】奥田 元章
(72)【発明者】
【氏名】冨岡 雅巳
【審査官】 立木 林
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−022095(JP,A)
【文献】 特開2007−103286(JP,A)
【文献】 特開2010−153379(JP,A)
【文献】 特開2007−323860(JP,A)
【文献】 特開2001−313022(JP,A)
【文献】 特開2013−140682(JP,A)
【文献】 特開2000−268811(JP,A)
【文献】 特開2003−197179(JP,A)
【文献】 特開2004−296195(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/36
H01M 2/02− 2/08
H01G11/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース内に電極組立体及び電解液が収容され、
前記ケースの壁部の厚み内に前記電解液の注液孔を有し、前記注液孔が封止部材によって封止されるとともに、前記封止部材と前記壁部が溶接された蓄電装置であって、
前記注液孔は、前記壁部の外面寄りに位置するとともに前記封止部材が嵌合し、かつ一定の直径を有する嵌合孔と、
前記嵌合孔より前記壁部の内面寄りで前記嵌合孔に連続し、かつ前記嵌合孔より縮径された連通孔と、
前記連通孔より前記壁部の内面寄りで前記連通孔に連続する貫通孔と、を備え、
前記封止部材と前記嵌合孔の合わせ面が溶接されて溶接部が形成されており、
前記壁部は、前記嵌合孔における前記壁部の内面寄りの周縁と、前記貫通孔における前記壁部の外面寄りの周縁とを繋ぐ傾斜面を備えるとともに、前記連通孔は前記傾斜面に囲まれており、
前記傾斜面は、前記溶接部から前記貫通孔に向かうほど前記封止部材の内面から離れるように傾斜しており、
前記封止部材の内面と前記傾斜面とは、それらによって挟まれる隙間を構成していて、前記溶接部は、前記隙間及び前記貫通孔を介して前記ケース内の空間に連通していることを特徴とする蓄電装置。
【請求項2】
前記注液孔の軸方向に沿った断面視では、前記傾斜面は前記貫通孔に向けて直線状に傾斜している請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記蓄電装置は二次電池である請求項1又は請求項2に記載の蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケースの壁部の厚み内に電解液の注液孔を有し、注液孔が封止部材によって封止されるとともに、封止部材と壁部が溶接された蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池やキャパシタのような蓄電装置は再充電が可能であり、繰り返し使用することができるため電源として広く利用されている。一般に、容量の大きな二次電池(蓄電装置)は金属製のケースを備え、そのケース内に電極組立体及び電解液が収容されている。二次電池の組立は、ケースのケース本体内に電極組立体を収容した後、ケースの蓋体をケース本体に溶接し、ケース本体の開口部を閉塞する。その後、蓋体の注液孔から電解液をケース内に注入した後、注液孔を塞ぐ封止部材を蓋体に溶接し、封止部材によって注液孔を封止する。
【0003】
ところで、封止部材と蓋体の溶接時には、封止部材及び蓋体が高温に曝される。このため、溶融金属の一部が気化し、発生した気体が溶接位置に取り込まれ、溶接部にブローホールが形成されてしまう虞がある。そこで、溶接位置に発生する気体を逃がすことが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
図6に示すように、特許文献1の密閉型電池において、ケース80には注液口80aが設けられるとともに、この注液口80aは蓋部材90によって封止されている。また、ケース80の外面には、注液口80aの周囲の全周に亘って延びるとともに蓋部材90の裏面と対向する円溝81が設けられている。また、ケース80の外面には、蓋部材90の周縁部90aと、円溝81との間に隙間82を形成する凸部83が、円溝81の周方向へ間隔を空けて設けられている。蓋部材90の周縁部90aと、ケース80との溶接箇所85より内側の空間は、凸部83によって形成された隙間82を介して注液口80aに繋がっている。このため、溶接時に発生する気体は、注液口80aから密閉型電池内へ逃げることができ、溶接箇所85にブローホールが形成されることが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開WO2010/067450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1では、気体を逃がす隙間82を作るために、ケース80に凸部83を間隔を空けて形成しており、ケース80における注液口80a付近の形状が複雑になり、生産性が悪い。また、蓋部材90とケース80との溶接は、蓋部材90を複数の凸部83に支持させて行われており、蓋部材90の支持が不安定であり、溶接時に蓋部材90が動いたりして蓋部材90を所定位置に溶接しにくい。
【0007】
本発明は、簡単に製造できる注液孔を用いて溶接部にブローホールが形成されることを防止できるとともに、封止部材を決められた位置に精度良く溶接することができる蓄電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の蓄電装置は、ケース内に電極組立体及び電解液が収容され、前記ケースの壁部の厚み内に前記電解液の注液孔を有し、前記注液孔が封止部材によって封止されるとともに、前記封止部材と前記壁部が溶接された蓄電装置であって、前記注液孔は、前記壁部の外面寄りに位置するとともに前記封止部材が嵌合し、かつ一定の直径を有する嵌合孔と、前記嵌合孔より前記壁部の内面寄りで前記嵌合孔に連続し、かつ前記嵌合孔より縮径された連通孔と、前記連通孔より前記壁部の内面寄りで前記連通孔に連続する貫通孔と、を備え、前記封止部材と前記嵌合孔の合わせ面が溶接されて溶接部が形成されており、前記壁部は、前記嵌合孔における前記壁部の内面寄りの周縁と、前記貫通孔における前記壁部の外面寄りの周縁とを繋ぐ傾斜面を備えるとともに、前記連通孔は前記傾斜面に囲まれており、前記傾斜面は、前記溶接部から前記貫通孔に向かうほど前記封止部材の内面から離れるように傾斜しており、前記封止部材の内面と前記傾斜面とは、それらによって挟まれる隙間を構成していて、前記溶接部は、前記隙間及び前記貫通孔を介して前記ケース内の空間に連通していることを要旨とする。
【0009】
これによれば、封止部材と壁部を溶接する際、封止部材を嵌合孔に嵌合するとともに傾斜面に支持させる。このとき、封止部材は、全周に亘って傾斜面に支持され、安定した状態で支持される。このため、溶接時に、封止部材をケース内に押す力等が加わっても封止部材は動いたりせず、封止部材を注液孔の決められた位置に精度良く溶接することができる。
【0010】
そして、封止部材と嵌合孔の合わせ面を溶接して溶接部を形成する。この際、その溶接位置に気体が取り込まれても、その気体を、傾斜面と封止部材の内面とで挟まれた隙間を通して貫通孔からケース内の空間に逃がすことができる。よって、溶接位置に気体が取り込まれたまま溶融金属が凝固することが防止され、溶接部にブローホールが形成されることを防止できる。
【0011】
また、溶接時に発生した気体を逃がすための傾斜面には凸部等が形成されていない。このため、溶接時の気体を逃がし可能な注液孔であっても、簡単に製造することができる。
また、蓄電装置について、前記注液孔の軸方向に沿った断面視では、前記傾斜面は前記貫通孔に向けて直線状に傾斜していてもよい。
【0012】
これによれば、傾斜面が直線状に傾斜しているため、壁部をプレス打ち抜きして注液孔を形成しても、傾斜面をより一層簡単に形成することができる。また、注液孔から電解液をケース内に注入したとき、傾斜面によって、電解液を貫通孔に向けて速やか、かつ確実に流すことができる。このため、嵌合孔付近に電解液の液貯まりが形成されることがなく、溶接位置に電解液が残ることを原因とした溶接不良を防止することができる。
【0013】
また、蓄電装置について、前記蓄電装置は二次電池である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、簡単に製造できる注液孔を用いて溶接部にブローホールが形成されることを防止できるとともに、封止部材を決められた位置に精度良く溶接することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】(a)は二次電池の外観を示す斜視図、(b)は注液孔周縁を示す拡大図。
図2】注液孔及び封止部材を示す部分断面図。
図3】注液孔、封止部材、溶接部を示す部分断面図。
図4】注液孔における傾斜面の別例を示す部分断面図。
図5】注液孔における傾斜面の別例を示す部分断面図。
図6】背景技術を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、蓄電装置を二次電池に具体化した一実施形態を図1図3にしたがって説明する。
図1(a)に示すように、蓄電装置としての二次電池10は、ケース11に電極組立体12が収容されている。また、ケース11には、電極組立体12とともに非水系の電解液も収容されている。ケース11は、有底箱状のケース本体13と、当該ケース本体13に電極組立体12を挿入する開口部を閉塞する平板状の蓋体14とからなる。ケース本体13と蓋体14は、何れも金属製(例えば、ステンレスやアルミニウム)である。また、この実施形態の二次電池10は、ケース本体13が有底四角箱状であり、蓋体14が矩形平板状であることから、その外観が角型をなす角型電池である。また、この実施形態の二次電池10は、リチウムイオン電池である。
【0017】
電極組立体12は、正極電極、負極電極、及び正極電極と負極電極を絶縁するセパレータを有する。正極電極は、正極金属箔(アルミニウム箔)の両面に正極活物質を塗布して構成される。負極電極は、負極金属箔(銅箔)の両面に負極活物質を塗布して構成される。そして、電極組立体12は、複数の正極電極と複数の負極電極を交互に積層するとともに、両電極の間にセパレータを介在した積層構造とされている。また、電極組立体12には、正極端子15と負極端子16が電気的に接続されている。これらの正極端子15と負極端子16の各一部分は、蓋体14からケース11外に露出している。また、正極端子15及び負極端子16には、ケース11から絶縁するためのリング状の絶縁リング17aがそれぞれ取り付けられている。
【0018】
図1(b)及び図3に示すように、ケース11の蓋体14は、ケース11内に電解液を注入するための注液孔18を蓋体14の厚み内に備えるとともに、注液孔18は封止部材30によって封止されている。封止部材30は、蓋体14と同種の金属製であり、円板状である。また、封止部材30において、ケース11の内側に臨む面を内面30aとし、この内面30aと反対側の面でケース11の外側に臨む面を外面30bとする。封止部材30において、内面30aと外面30bに直交する方向に沿った長さを封止部材30の厚みとすると、封止部材30の厚みは、蓋体14の厚みよりも薄い。
【0019】
図2に示すように、蓋体14において、ケース11の内側に臨む面を内面14aとし、この内面14aと反対側の面でケース11の外側に臨む面を外面14bとする。そして、蓋体14において、注液孔18の中心軸Lの延びる方向(以下、軸方向とする)に沿った長さであり、内面14aと外面14bに直交する方向に沿った長さを蓋体14の厚みとすると、注液孔18は、蓋体14を厚み方向に貫通して形成されるとともに、厚み方向へのプレス加工により形成されている。
【0020】
注液孔18は、蓋体14の外面14b寄りに円孔状の嵌合孔19を備える。嵌合孔19の直径は、封止部材30の直径と同じ又は僅かに短い。また、嵌合孔19は、注液孔18の軸方向に厚みを有しており、嵌合孔19の直径は軸方向に一定である。
【0021】
蓋体14は、嵌合孔19の内周面に連続する傾斜面20を備え、傾斜面20は、嵌合孔19における蓋体14の内面14a寄りの周縁19aから中心軸Lに向けて延びている。また、傾斜面20は、嵌合孔19の周縁19aから蓋体14の内面14aに向かって下り傾斜している。傾斜面20は、注液孔18の軸方向(中心軸Lの延びる方向)に沿った断面視が、直線状である。
【0022】
傾斜面20に沿って延びる直線を傾斜線Gとすると、この傾斜線Gの中心軸Lに対する傾斜角度θは所定の角度範囲に収まるように設定されている。これは、蓋体14と封止部材30を溶接する際、傾斜角度θが大きすぎると、溶接位置から気体が逃げにくくなり、傾斜角度θが小さすぎると、溶接時の溶融金属が傾斜面20で受け止め難くなるからである。
【0023】
注液孔18は、嵌合孔19よりも蓋体14の内面14a寄りに位置する連通孔21を備え、この連通孔21は傾斜面20によって囲まれている。連通孔21は、注液孔18の軸方向に沿って蓋体14の外面14bから内面14aに向かうに従い徐々に縮径している。
【0024】
注液孔18は、連通孔21よりも蓋体14の内面14a寄りに位置する貫通孔22を備える。よって、傾斜面20は、嵌合孔19における蓋体14の内面14a寄りの周縁19aと、貫通孔22における蓋体14の外面14b寄りの周縁22aとを繋いでいる。貫通孔22の内周面は、傾斜面20に連続するとともに、注液孔18の軸方向に厚みを有している。貫通孔22の直径は、嵌合孔19及び連通孔21よりも小さく、かつ注液孔18の軸方向に一定である。
【0025】
そして、注液孔18は、軸方向に沿って蓋体14の外面14bから内面14aに向けて嵌合孔19、連通孔21、及び貫通孔22が連続した一つの孔であり、連通孔21は嵌合孔19と貫通孔22を連通させている。また、注液孔18において、嵌合孔19と、連通孔21と、貫通孔22は、中心軸Lを中心として同心円状に配置されている。
【0026】
図3に示すように、封止部材30が嵌合孔19に嵌合され、かつ傾斜面20に支持された状態で、嵌合孔19の内周面と、この内周面に対向した封止部材30の周面の合わせ面がレーザ溶接されている。そして、封止部材30と蓋体14が接合されるとともに、注液孔18が封止部材30によって封止されている。溶接部31は、封止部材30の全周に亘って形成されるとともに、溶接部31は、蓋体14の厚み全体のうち外面14b寄りの一部に形成されている。また、封止部材30は蓋体14の厚み内に収められるとともに、その外面30bが蓋体14の外面14bと面一となる状態に接合されている。すなわち、封止部材30は、蓋体14の外面14bから突出したり、傾いたりせずに決められた位置に接合されている。
【0027】
蓋体14の厚み内において、溶接部31よりも蓋体14の内面14a寄りには隙間Sが形成されている。この隙間Sは、封止部材30の内面30aと、注液孔18の傾斜面20とで挟まれる空間に形成されている。傾斜面20は、溶接部31から注液孔18の中心軸L(貫通孔22)に向かうほど封止部材30の内面30aから離れており、隙間Sにおいて、注液孔18の軸方向に沿った開口幅は、溶接部31から注液孔18の中心軸L(貫通孔22)に向かうほど広くなっている。そして、溶接部31は、隙間S及び貫通孔22を介してケース11内の空間に連通している。
【0028】
次に、二次電池10の製造方法を、封止部材30による注液孔18の封止方法とともに説明する。
まず、ケース本体13内に電極組立体12を収容し、蓋体14をケース本体13の開口端に支持させるとともに、ケース本体13の開口部を蓋体14で閉塞する。そして、ケース本体13の側方からケース本体13と蓋体14の当接面にレーザビームを照射してケース本体13と蓋体14をレーザ溶接し、ケース本体13と蓋体14を接合してケース11を形成する。
【0029】
次に、注液孔18からケース11内に電解液を注入する。
次に、注液孔18の嵌合孔19に封止部材30を嵌合し、封止部材30の内面30a側の周縁を全周に亘って傾斜面20に支持させる。そして、蓋体14の外面14b側から、嵌合孔19の内周面と封止部材30の周面の合わせ面に対し、レーザビームを照射して封止部材30と蓋体14をレーザ溶接する。このとき、嵌合孔19の内周面と封止部材30が高温に曝される。このため、周面同士が溶融金属となり、溶融金属の一部が気化し、気体が発生する。
【0030】
しかし、図3に示すように、蓋体14には、溶接位置よりも貫通孔22及びケース11内に向けて広がる隙間Sが形成されているため、溶接位置に発生した気体は、隙間Sを通って貫通孔22からケース11内の空間に逃げていく。そして、隙間Sは、貫通孔22に向かうほど広くなっているため、気体がスムーズに逃げていく。
【0031】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)注液孔18を、嵌合孔19と連通孔21と貫通孔22で形成した。連通孔21を囲む傾斜面20は、溶接部31から貫通孔22に向かうほど封止部材30の内面30aから離れるように傾斜し、封止部材30の内面30aと傾斜面20との間に隙間Sが形成されている。このため、封止部材30と蓋体14を溶接して溶接部31を形成する際、その溶接位置に気体が発生しても、その気体を隙間Sを通して貫通孔22からケース11内の空間に逃がすことができる。よって、溶接位置に気体が取り込まれたまま溶融金属が凝固することが防止され、溶接部31にブローホールが形成されることを防止できる。その結果、封止部材30によって注液孔18を確実にシールすることができるとともに、溶接強度を確保することができる。
【0032】
(2)隙間Sは、溶接部31から貫通孔22に向かう程広がっている。このため、溶接位置で発生した気体を滞りなく貫通孔22からケース11内の空間に逃がすことができる。
【0033】
(3)封止部材30を嵌合孔19に嵌合したとき、封止部材30を全周に亘って傾斜面20で支持することができ、封止部材30を安定した状態に支持することができる。したがって、溶接時に、封止部材30を蓋体14の内面14aに向けて押す力等が加わっても封止部材30は動いたりしない。よって、封止部材30を、その外面30bが蓋体14の外面14bと面一となるように、決められた位置に精度良く溶接することができる。
【0034】
(4)また、注液孔18において、嵌合孔19及び貫通孔22は、注液孔18の軸方向に直径が一定であり、傾斜面20も軸方向に沿った断面視が直線状である。そして、注液孔18は、蓋体14をプレス加工して製造されており、簡単に製造することができる。したがって、簡単に製造できる傾斜面20を利用して、溶接位置から気体を逃がすことができる。
【0035】
(5)傾斜面20は断面視で直線状に形成されている。このため、注液孔18に電解液を注入したとき、傾斜面20によって、電解液をスムーズに貫通孔22に流下させることができ、嵌合孔19付近に電解液の液貯まりが形成されることがない。したがって、溶接位置に電解液が残ることを原因とした溶接不良を防止することができる。
【0036】
(6)傾斜面20は、溶接部31よりも蓋体14の内面14a寄りに位置している。このため、溶接位置から溶融金属がケース11内に落下しても、その溶融金属を傾斜面20で受け止めることができる。よって、溶融金属がケース11内の電解液や電極組立体12に影響を及ぼすことを無くすことができる。
【0037】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
図4に示すように、傾斜面20は、嵌合孔19から貫通孔22に向かうに従い、封止部材30の内面30aから離れるように緩やかに凹みながら傾斜していてもよい。
【0038】
このように構成した場合、封止部材30と蓋体14を溶接する際、溶接位置で発生した溶融金属がケース11内に向けて落下しても、傾斜面20で受け止めることができ、しかも、貫通孔22からケース11内に流下しにくくなる。その結果、高温の溶融金属が電解液や電極組立体12に接触して影響を及ぼすことを防止することができる。
【0039】
図5に示すように、傾斜面20は、嵌合孔19から貫通孔22に向かうに従い、封止部材30の内面30aに近付くように緩やかに膨みながら傾斜していてもよい。この傾斜面20は、蓋体14をプレス加工する際に、剪断面に形成されるダレによって形成される。
【0040】
○ 実施形態では、貫通孔22は、注液孔18の軸方向に沿って一定の直径としたが、貫通孔22の直径は、注液孔18の軸方向に沿って縮径したり拡径したりしていてもよい。
【0041】
○ 注液孔18において、嵌合孔19と、連通孔21と、貫通孔22は、中心軸Lを中心とした同心円状に配置されていなくもよく、嵌合孔19と、連通孔21と、貫通孔22の少なくとも1つの中心が、中心軸Lからずれていてもよい。
【0042】
○ 傾斜面20は、嵌合孔19から蓋体14の内面14aに至るまで延びていてもよく、この場合、貫通孔22は、注液孔18の軸方向に厚みを持たず、傾斜面20の先端縁に囲まれている。
【0043】
○ 注液孔18の嵌合孔19は、多角孔状であってもよく、嵌合孔19に合わせて封止部材30の多角板状であってもよい。
○ 実施形態では、ケース11の壁部を蓋体14に具体化したが、ケース本体13の側壁又は底壁をケース11の壁部とし、それら側壁や底壁に注液孔18を設けて、封止部材30で封止してもよい。
【0044】
○ ケース11の形状は、円柱状や、楕円柱状に形成してもよい。
○ 二次電池10は、リチウムイオン二次電池に限らず、ニッケル水素二次電池やニッケルカドミウム二次電池等の他の二次電池であってもよい。
【0045】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)前記傾斜面は、蓋体のプレス加工の際のダレによって形成される蓄電装置。
(ロ)前記傾斜面は、前記嵌合孔から前記貫通孔に向かうに従い、前記封止部材の内面から離れるように凹みながら傾斜している蓄電装置。
【符号の説明】
【0046】
10…蓄電装置としての二次電池、11…ケース、12…電極組立体、14…壁部としての蓋体、14a…内面、14b…外面、18…注液孔、19…嵌合孔、19a…周縁、20…傾斜面、21…連通孔、22…貫通孔、22a…周縁、30…封止部材、30a…内面、31…溶接部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6