特許第6052060号(P6052060)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6052060
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】副室式エンジンの異常検出装置
(51)【国際特許分類】
   F02D 45/00 20060101AFI20161219BHJP
   F02B 19/12 20060101ALI20161219BHJP
   F02D 19/02 20060101ALI20161219BHJP
   F02D 41/04 20060101ALI20161219BHJP
   F02D 41/22 20060101ALI20161219BHJP
   F02D 41/14 20060101ALI20161219BHJP
   F02B 43/00 20060101ALI20161219BHJP
   F02M 21/02 20060101ALI20161219BHJP
   F02M 61/16 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   F02D45/00 345K
   F02B19/12 E
   F02D19/02 D
   F02D19/02 F
   F02D41/04 330J
   F02D41/22 325M
   F02D41/14 310A
   F02D45/00 362J
   F02D45/00 330
   F02B43/00 A
   F02M21/02 L
   F02M21/02 V
   F02M21/02 S
   F02M61/16 W
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-110567(P2013-110567)
(22)【出願日】2013年5月27日
(65)【公開番号】特開2014-227975(P2014-227975A)
(43)【公開日】2014年12月8日
【審査請求日】2015年10月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】特許業務法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】森田 文哉
【審査官】 有賀 信
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−064101(JP,A)
【文献】 特開2003−120350(JP,A)
【文献】 特開2009−221935(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 43/00―45/00
F02D 41/00―41/40
F02B 1/00─23/10
F02B 43/00─45/10
F02M 21/00─21/12
F02M 39/00─71/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
副室式エンジンの異常検出装置であって、
前記副室式エンジンは、主室と、前記主室と噴孔により連通する副室とが形成されたエンジン本体と、
前記主室に燃料を噴射可能な主インジェクタと、
前記副室に前記燃料を噴射可能な副インジェクタと、
前記副室式エンジンの回転数の回転変動を検出する回転変動検出手段と、
前記主室内の空燃比が変化するように前記主インジェクタを制御する主インジェクタ制御手段と、
前記副室内の空燃比が変化するように前記副インジェクタを制御する副インジェクタ制御手段と、
前記回転変動検出手段、前記主インジェクタ制御手段及び前記副インジェクタ制御手段を制御し、異常信号を出力する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記回転変動が閾値内であるか否かを判断する第1処理と、
前記第1処理後、前記回転変動が閾値内になければ、異常判定移行を出力する第2処理と、
前記第2処理後、前記主室を前記空燃比が所定のリーン状態で運転するとともに、前記副室を前記空燃比がストイキメトリ状態で運転する第3処理と、
前記第3処理後、前記回転変動が前記閾値内になるように前記副インジェクタによる噴射量をフィードバックする第4処理と、
前記第4処理後、前記回転変動が閾値内になるか否かを判断する第5処理と、
前記第5処理後、前記回転変動が前記閾値内にならなければ、前記主室及び前記副室を前記空燃比がストイキメトリ状態で運転する第6処理と、
前記第6処理後、前記回転変動が閾値内であるか否かを判断する第7処理と、
前記第7処理後、前記回転変動が前記閾値内になれば、前記異常信号として副室異常信号を出力する第8処理とを実行することを特徴とする副室式エンジンの異常検出装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記第1処理後、前記回転変動が前記閾値内になれば、運転を継続する第9処理と、
前記第5処理後、前記回転変動が前記閾値内になれば、運転を継続する第10処理とを実行する請求項1記載の副室式エンジンの異常検出装置。
【請求項3】
前記副室式エンジンは、触媒用酸素検出手段を備え、
前記制御手段は、前記第7処理後、前記回転変動が前記閾値内にならなければ、前記触媒用酸素検出手段に基づいて前記主インジェクタによる噴射量をフィードバックさせる第11処理と、
前記第11処理後、前記触媒用酸素検出手段に基づく前記主インジェクタによる噴射量のフィードバックが可能か否かを判断する第12処理と、
前記第12処理後、前記触媒用酸素検出手段に基づく前記主インジェクタによる噴射量のフィードバックが可能でなければ、前記異常信号として主インジェクタ異常信号を出力する第13処理と、
前記第12処理後、前記触媒用酸素検出手段に基づく前記主インジェクタによる噴射量のフィードバックが可能であれば、前記回転変動が前記閾値内であるか否かを判断する第14処理と、
前記第14処理後、前記回転変動が前記閾値内にならなければ、前記異常信号として副インジェクタ異常信号を出力する第15処理とを実行する請求項1又は2記載の副室式エンジンの異常検出装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記第14処理後、前記回転変動が前記閾値内になれば、運転を継続する第16処理を実行する請求項3記載の副室式エンジンの異常検出装置。
【請求項5】
前記副室式エンジンは、前記副室への前記燃料の供給を許容し、かつ前記副室からの前記燃料の逆流を規制する逆止弁を備え、
前記制御手段は、前記第8処理後、前記副インジェクタによる噴射量を増加する第17処理と、
前記第17処理後、前記第7処理で判断した前記閾値に基づき、前記回転変動が悪化するか否かを判断する第18処理と、
前記第18処理後、前記第7処理で判断した前記閾値に基づき、前記回転変動が悪化すれば、前記異常信号として逆止弁開固着信号を出力する第19処理と、
前記第18処理後、前記第7処理で判断した前記閾値に基づき、前記回転変動の悪化がなければ、前記異常信号として副インジェクタ閉固着信号及び逆止弁閉固着信号を出力する第20処理とを実行する請求項1乃至4のいずれか1項記載の副室式エンジンの異常検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は副室式エンジンの異常検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジン本体と、主インジェクタと、副インジェクタとを備えた副室式エンジンが知られている(例えば、特許文献1)。エンジン本体は、シリンダブロック、シリンダヘッド等からなる。このエンジン本体には、主室と、主室と噴孔により連通する副室とが形成されている。主インジェクタは、主室に天然ガス等の燃料を噴射可能になっている。副インジェクタは、副室に燃料を噴射可能になっている。また、副室には、点火プラグが配置されている。
【0003】
この副室式エンジンでは、副室内で点火プラグによって燃料と空気との混合気に着火を行い、火炎を噴孔から主室に噴出し、主室内の混合気を燃焼させることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−229845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、副室式エンジンが主インジェクタ及び副インジェクタを備えている場合、主インジェクタ及び副インジェクタを含む燃料系部品に異常が生じれば、燃焼が不安定になったり、失火が発生したりする。
【0006】
従来、主インジェクタ及び副インジェクタを備えた副室式エンジンの異常検出装置において、主室の燃料系部品又は副室の燃料系部品のどこに異常があるかを個別に検出する異常検出装置は知られていない。このため、このような副室式エンジンでは、修理時、主室の燃料系部品又は副室の燃料系部品のいずれに異常が発生しているのかの調査を要し、結果として修理時間が長期化してしまう。
【0007】
また、主室の燃料系部品又は副室の燃料系部品の異常を個別に検出するため、主室の燃料系部品及び副室の燃料系部品のそれぞれにセンサを設置すると、異常検出装置の製造コストが高騰化してしまう。特に、主室及び副室が多気筒を構成している副室式エンジンでは、これらの傾向が顕著になる。
【0008】
なお、エンジン本体には主室及び副室が形成されているものの、主インジェクタを備えていない副室式エンジンでは、特開2009−191664号公報に異常検出装置が開示されている。しかし、この異常検出装置でも、主室や副室の部品の異常を個別に検出することができない。
【0009】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、副室式エンジンにおける主室の燃料系部品又は副室の燃料系部品の異常を早期かつ安価に検出可能な副室式エンジンの異常検出装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、副室式エンジンの異常検出装置であって、
前記副室式エンジンは、主室と、前記主室と噴孔により連通する副室とが形成されたエンジン本体と、
前記主室に燃料を噴射可能な主インジェクタと、
前記副室に前記燃料を噴射可能な副インジェクタと、
前記副室式エンジンの回転数の回転変動を検出する回転変動検出手段と、
前記主室内の空燃比が変化するように前記主インジェクタを制御する主インジェクタ制御手段と、
前記副室内の空燃比が変化するように前記副インジェクタを制御する副インジェクタ制御手段と、
前記回転変動検出手段、前記主インジェクタ制御手段及び前記副インジェクタ制御手段を制御し、異常信号を出力する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記回転変動が閾値内であるか否かを判断する第1処理と、
前記第1処理後、前記回転変動が閾値内になければ、異常判定移行を出力する第2処理と、
前記第2処理後、前記主室を前記空燃比が所定のリーン状態で運転するとともに、前記副室を前記空燃比がストイキメトリ状態で運転する第3処理と、
前記第3処理後、前記回転変動が前記閾値内になるように前記副インジェクタによる噴射量をフィードバックする第4処理と、
前記第4処理後、前記回転変動が閾値内になるか否かを判断する第5処理と、
前記第5処理後、前記回転変動が前記閾値内にならなければ、前記主室及び前記副室を前記空燃比がストイキメトリ状態で運転する第6処理と、
前記第6処理後、前記回転変動が閾値内であるか否かを判断する第7処理と、
前記第7処理後、前記回転変動が前記閾値内になれば、前記異常信号として副室異常信号を出力する第8処理とを実行することを特徴とする(請求項1)。
【0011】
発明者の試験結果によれば、本発明の主インジェクタ及び副インジェクタを備えた副室式エンジンの異常検出装置において、制御手段が第1処理から第8処理を実行すれば、副室の燃料系部品の異常を判定することが可能である。
【0012】
このため、この異常検出装置では、副室式エンジンの修理時、主室の燃料系部品又は副室の燃料系部品のいずれに異常が発生しているのかの調査が不要になり、結果として修理時間を短縮化できる。
【0013】
また、この異常検出装置では、主室の燃料系部品及び副室の燃料系部品のそれぞれにセンサを設置する必要がなく、製造コストの低廉化を実現できる。
【0014】
したがって、本発明の副室式エンジンの異常検出装置によれば、副室式エンジンにおける主室の燃料系部品又は副室の燃料系部品の異常を早期かつ安価に検出可能である。
【0015】
制御手段は、以下の第9処理及び第10処理を実行することが好ましい(請求項2)。第9処理は、第1処理後、回転変動が閾値内になれば、運転を継続する。第10処理は、第5処理後、回転変動が閾値内になれば、運転を継続する。この場合、継続して異常の検出を行うことができる。
【0016】
副室式エンジンは、触媒用酸素検出手段を備え得る。また、制御手段は、以下の第11処理から第15処理を実行することが好ましい(請求項3)。第11処理は、第7処理後、回転変動が閾値内にならなければ、触媒用酸素検出手段に基づいて主インジェクタによる噴射量をフィードバックさせる。第12処理は、第11処理後、触媒用酸素検出手段に基づいて主インジェクタによる噴射量のフィードバックが可能か否かを判断する。第13処理は、第12処理後、触媒用酸素検出手段に基づく主インジェクタによる噴射量のフィードバックが可能でなければ、異常信号として主インジェクタ異常信号を出力する。第14処理は、第12処理後、触媒用酸素検出手段に基づく主インジェクタによる噴射量のフィードバックが可能であれば、回転変動が閾値内であるか否かを判断する。第15処理は、第14処理後、回転変動が閾値内にならなければ、異常信号として副インジェクタ異常信号を出力する。
【0017】
この場合、発明者の試験結果によれば、主インジェクタの異常と副インジェクタの異常とを個別に検出することが可能である。
【0018】
制御手段は、第14処理後、回転変動が閾値内になれば、運転を継続する第16処理を実行することが好ましい(請求項4)。この場合も、継続して異常の検出を行うことができる。
【0019】
副室式エンジンは、副室への燃料の供給を許容し、かつ副室からの燃料の逆流を規制する逆止弁を備え得る。また、制御手段は、以下の第17処理から第20処理を実行することが好ましい(請求項5)。第17処理は、制御手段は、第8処理後、副インジェクタによる噴射量を増加する。第18処理は、第17処理後、第7処理で判断した閾値に基づき、回転変動が悪化するか否かを判断する。第19処理は、第18処理後、第7処理で判断した閾値に基づき、回転変動が悪化すれば、異常信号として逆止弁開固着信号を出力する。第20処理は、第18処理後、第7処理で判断した閾値に基づき、回転変動の悪化がなければ、異常信号として副インジェクタ閉固着信号及び逆止弁閉固着信号を出力する。
【0020】
この場合、発明者の試験結果によれば、逆止弁の異常を検出することが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の副室式エンジンの異常検出装置によれば、副室式エンジンにおける主室の燃料系部品又は副室の燃料系部品の異常を早期かつ安価に検出可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施例の副室式エンジンの異常検出装置の全体を示す模式構造図である。
図2】実施例の副室式エンジンの異常検出装置の一部を示す模式構造図である。
図3】実施例の異常検出装置の制御手段が実行するフローチャートである。
図4】実施例の異常検出装置の制御手段が実行するフローチャートである。
図5】実施例の異常検出装置の制御手段が実行するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を具体化した実施例を図面を参照しつつ説明する。
【0024】
実施例の異常検出装置は、図1に示す副室式ディーゼルエンジン10に用いられている。このエンジン10は、図2に示すように、4気筒のエンジン本体1を有している。エンジン本体1は、シリンダブロック、シリンダヘッド、4個のピストン2等からなる。このエンジン本体1には、4つの主室1aと、各主室1aと噴孔1bにより連通する副室1cとが形成されている。
【0025】
各主室1aの上端には主インジェクタ3が設けられている。各主インジェクタ3は、それぞれ燃料通路5によって燃料タンク7に接続されている。各燃料通路5には、主インジェクタ3が噴射する燃料量を制御可能な主燃料流量制御弁9が設けられている。各主燃料流量制御弁9はコントローラ11に接続されている。主燃料流量制御弁9が主インジェクタ制御手段に相当する。また、コントローラ11が制御手段に相当する。
【0026】
また、各副室1cの上端には燃料通路13が接続されている。各燃料通路13は1本の燃料通路15に合流している。各燃料通路13には逆止弁17がそれぞれ設けられている。燃料通路15には副インジェクタ19が設けられている。各逆止弁17は、各副室1cへの燃料の供給を許容し、かつ各副室1cからの燃料の逆流を規制するようになっている。副インジェクタ19は、燃料通路15によって燃料タンク7に接続されている。燃料通路15には、副インジェクタ19が噴射する燃料量を制御可能な副燃料流量制御弁21が設けられている。副燃料流量制御弁21もコントローラ11に接続されている。副燃料流量制御弁21が副インジェクタ制御手段に相当する。
【0027】
また、各主室1a及び各副室1cには、図示しない吸気通路及び吸気弁が設けられているとともに、図示しない排気通路及び排気弁が設けられている。また、各副室1cには、燃料と空気との混合気に着火を行う点火プラグ23が設けられている。これら吸気弁、排気弁及び点火プラグ23もコントローラ11によって制御されている。
【0028】
エンジン本体1は各ピストン2と連結されたクランク軸4を有している。クランク軸4には検出センサ25が設けられており、クランク軸4の回転変動が検出センサ25によって検出できるようになっている。この検出センサ25もコントローラ11に接続されている。この検出センサ25が回転変動検出手段に相当する。
【0029】
また、図1に示すように、エンジン10には吸気管6及び排気管8が接続されている。排気管8には触媒装置27が接続されている。触媒装置27内には、エンジン10の排気ガス中の酸素濃度を検出可能な酸素センサ29が設けられている。この酸素センサ29もコントローラ11に接続されている。この酸素センサ29が触媒用酸素検出手段に相当する。
【0030】
コントローラ11には、図3〜5に示すフローチャートを実行するためのプログラム等が格納されている。また、図2に示すように、コントローラ11には、警告情報を出力するモニタ31が接続されている。
【0031】
このエンジン10では、各副室1c内で点火プラグ23によって燃料と空気との混合気に着火を行い、火炎を各噴孔1bから主室1aに噴出し、各主室1a内の混合気を燃焼させることが可能である。
【0032】
通常運転中のエンジン10では、当初は、全ての気筒の主室1aがリーン状態、副室1cがストイキメトリ状態で運転を継続するように、コントローラ11が主燃料流量制御弁9及び副燃料流量制御弁21を制御している。このため、エンジン10に何らの異常もなければ、主インジェクタ3及び副インジェクタ19はそのように開度を維持しているはずである。この間、異常検出装置では、検出センサ25がクランク軸4の回転変動を常時監視し、以下のようにエンジン10の異常を検出する。
【0033】
図3に示すように、ステップS1では、クランク軸4の回転変動が予め定められた閾値内であるか否かの判断がなされる。ステップS1が第1処理に相当する。ここで、クランク軸4の回転変動が閾値内であれば(YES)、図4に示すようにリターンにジャンプをする。このため、モニタ31には異常の表示がなされない。このため、エンジン10の運転者は、主室1aの部品及び副室1cの部品に異常がない判断し、エンジン10に通常運転を継続させる。ステップS1後のリターンが第9処理に相当する。こうして、継続して異常の検出を行う。
【0034】
図3に示すように、ステップS1において、クランク軸4の回転変動が閾値内でなければ(NO)、エンジン10では、燃焼が不安定になったり、失火が発生したりしている。このため、プログラムは、ステップS2に進み、燃料系異常判定モードに移行(異常判定移行)する。このため、コントローラ11は、4気筒のうちの特定の気筒において、主インジェクタ3、副インジェクタ19及び逆止弁17のいずれかに異常が生じている可能性があると判断する。ステップS2が第2処理に相当する。
【0035】
ステップS2の後、ステップS3に進む。ステップS3では、異常のある気筒の主室1aについては空燃比が所定のリーン状態になるようにし、その気筒の副室1cについては空燃比がストイキメトリ状態になるようにする。つまり、コントローラ11は、その気筒の主インジェクタ3の開度が所定の状態になるように、主燃料流量制御弁9を制御する。また、コントローラ11は、副インジェクタ19が開度を維持するように、副燃料流量制御弁21を制御する。ステップS3が第3処理に相当する。
【0036】
続いて、ステップS4では、コントローラ11は、副燃料流量制御弁21を制御し、クランク軸4の回転変動が閾値内になるように副インジェクタ19による噴射量をフィードバックする。ステップS4が第4処理に相当する。
【0037】
その後のステップS5では、クランク軸4の回転変動が閾値内になるか否かを判断する。ステップS5が第5処理に相当する。ここで、クランク軸4の回転変動が閾値内になれば(YES)、図4に示すようにリターンにジャンプをする。この状態では、副インジェクタ19による噴射量のフィードバック補正を反映させて、エンジン10に通常運転を継続させる。ステップS5後のリターンが第10処理に相当する。こうして、継続して異常の検出を行う。
【0038】
図3に示すように、ステップS5において、クランク軸4の回転変動が閾値内にならなければ(NO)、ステップS6に進む。ステップS6では、その気筒の主室1a及び副室1cを空燃比がストイキメトリ状態にする。つまり、コントローラ11は、その気筒の主インジェクタ3の開度がやや大きくなるように、主燃料流量制御弁9を制御する。なお、コントローラ11は、副インジェクタ19が開度を維持するように、副燃料流量制御弁21を制御する。ステップS6が第6処理に相当する。
【0039】
ステップS6の後、ステップS7では、クランク軸4の回転変動が閾値内になるか否かを判断する。ステップS7が第7処理に相当する。ここで、クランク軸4の回転変動が閾値内になれば(YES)、図5に示すステップS8に進む。ステップS8では、モニタ31に副室異常信号を出力する。このため、エンジン10の運転者は、特定の気筒の副インジェクタ19又は逆止弁17のいずれかに異常が生じていることがわかる。ステップS8が第8処理に相当する。
【0040】
図3に示すステップS7において、クランク軸4の回転変動が閾値内にならなければ(NO)、図4に示すステップS9に進む。ステップS9では、酸素センサ29の出力に基づいて主インジェクタ3による噴射量を補正するように、主燃料流量制御弁9を制御する。ステップS9が第11処理に相当する。
【0041】
すなわち、ステップS9では、コントローラ11は、主燃料流量制御弁を制御し、酸素センサ29の出力に基づいて主インジェクタ3による噴射量をフィードバック補正し、主室1aの空燃比がストイキメトリ状態になるようにする。
【0042】
その後のステップS10では、フィードバック補正が可能であるか否かを判断する。ステップS10が第12処理に相当する。ここで、フィードバックが可能でなければ(NO)、ステップS11に進む。ステップS11では、モニタ31に主インジェクタ異常信号を出力する。このため、エンジン10の運転者は、特定の気筒の主インジェクタ3に異常が生じていることがわかる。ステップS11が第13処理に相当する。
【0043】
表1に示すように、主インジェクタ3の異常には、流量が目標値よりも増加する故障モード(1)と、流量が目標値よりも減少する故障モード(2)とがある。これらの故障モードが発生している場合、エンジン10は、故障モード(1)においては故障判定時に主室1a及び副室1cの空燃比がリッチ状態となり、故障モード(2)においては故障判定時に主室1aの空燃比がリーン状態であり、副室1cの空燃比がストイキメトリ状態となるときに発生し、主室1a及び副室1cの空燃比がリーン状態又はストイキメトリ状態の時に失火する。
【0044】
【表1】
【0045】
ステップS10において、フィードバックが可能であれば(YES)、ステップS12に進み、回転変動が閾値内であるか否かを判断する。ステップS12が第14処理に相当する。
【0046】
ステップS12において、クランク軸4の回転変動が閾値内にならなければ(NO)、ステップS13に進む。ステップS13では、モニタ31に副インジェクタ異常信号を出力する。このため、エンジン10の運転者は、特定の気筒の副インジェクタ19に異常が生じていることがわかる。ステップS13が第15処理に相当する。
【0047】
表1に示すように、副インジェクタ19の開固着の故障モード(3)では、故障判定時においてエンジン10は、主室1aの空燃比がストイキメトリ状態であり、副室1cの空燃比がリッチ状態の時に発生し、この故障モードが発生している時には、主室1a及び副室1cの空燃比がリーン状態又はストイキメトリ状態の時に失火する。
【0048】
ステップS12において、クランク軸4の回転変動が閾値内になれば(YES)、リターンする。この状態において、主インジェクタ3による噴射量のフィードバック補正を反映させて、エンジン10に通常運転を継続させる。ステップS12後のリターンが第16処理に相当する。こうして、継続して異常の検出を行う。
【0049】
図5に示すステップS8の後、ステップS14では、副インジェクタ19による噴射量を増加するように、副燃料流量制御弁21を制御する。ステップS14が第17処理に相当する。
【0050】
続くステップS15では、クランク軸4の回転変動が悪化するか否かを判断する。ステップS15が第18処理に相当する。
【0051】
テップS15において、クランク軸4の回転変動が悪化すれば(YES)、ステップS16に進む。ステップS16では、モニタ31に逆止弁開固着信号を出力する。このため、エンジン10の運転者は、逆止弁17に開固着が生じていることがわかる。ステップS16が第19処理に相当する。
【0052】
表1に示すように、逆止弁17の開固着の故障モード(5)では、故障判定時においてエンジン10は、主室1aの空燃比がストイキメトリ状態であり、副室1cの空燃比がリッチ状態の時に発生し、この故障モードが発生している時には主室1a及び副室1cの空燃比がリーン状態の時に失火する。
【0053】
スッテプS15において、クランク軸4の回転変動の悪化がなければ(NO)、ステップS17に進む。ステップS17では、モニタ31に副インジェクタ閉固着信号及び逆止弁閉固着信号を出力する。このため、エンジン10の運転者は、副インジェクタ19に閉固着が生じているか、逆止弁17に閉固着が生じていることがわかる。ステップS17が第20処理に相当する。
【0054】
表1に示すように、副インジェクタ19の閉固着の故障モード(4)では、故障判定時においてエンジン10は、主室1aの空燃比がストイキメトリ状態であり、副室1cの空燃比がオーバーリーン状態の時に発生し、この故障モードが発生している時には主室1a及び副室1cの空燃比がリーン状態の時に失火する。また、逆止弁17の閉固着の故障モード(6)では、故障判定時においてエンジン10は、主室1aの空燃比がストイキメトリ状態であり、副室1cの空燃比がオーバーリーン状態の時に発生し、この故障モードが発生している時には主室1a及び副室1cの空燃比がリーン状態の時に失火する。
【0055】
こうして、この異常検出装置では、エンジン10の修理時、主インジェクタ3、副インジェクタ19及び逆止弁17のいずれに異常が発生しているのかの調査が不要になり、結果として修理時間を短縮化できる。
【0056】
また、この異常検出装置では、主インジェクタ3、副インジェクタ19及び逆止弁17のそれぞれにセンサを設置する必要がなく、製造コストの低廉化を実現できる。
【0057】
したがって、この異常検出装置によれば、エンジン10における主インジェクタ3、副インジェクタ19及び逆止弁17の異常を早期かつ安価に検出可能である。
【0058】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、副室式ディーゼルエンジン、副室式ガスエンジン等に利用可能である。
【符号の説明】
【0060】
10…副室式エンジン
1a…主室
1b…噴孔
1c…副室
1…エンジン本体
3…主インジェクタ
19…副インジェクタ
25…検出センサ(回転変動検出手段)
9…主燃料流量制御弁(主インジェクタ制御手段)
19…副燃料流量制御弁(副インジェクタ制御手段)
11…コントローラ(制御手段)
29…酸素センサ(触媒用酸素検出手段)
17…逆止弁
図1
図2
図3
図4
図5