(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6052063
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】防水筐体
(51)【国際特許分類】
H02G 3/16 20060101AFI20161219BHJP
H05K 5/06 20060101ALI20161219BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
H02G3/16
H05K5/06 E
B60R16/02 610B
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-113187(P2013-113187)
(22)【出願日】2013年5月29日
(65)【公開番号】特開2014-233156(P2014-233156A)
(43)【公開日】2014年12月11日
【審査請求日】2015年8月18日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【弁理士】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】田嶋 久義
【審査官】
久保 正典
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−078506(JP,A)
【文献】
特開2007−141959(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/16
B60R 16/02
H05K 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品(100)を収容する内部空間が防水空間とされ、外部空間から内部空間に向け通気部材(200)が挿入され、係止される防水筐体であって、
前記通気部材が取り付けられる取付壁部(20)は、
前記通気部材が挿入され係止される開口部(14)を有する第1面部(21)と、
前記通気部材の挿入方向において前記第1面部よりも前記電子部品が配置される側に位置し、前記第1面部とオーバーラップしない第2面部(22)と、
前記第1面部と前記第2面部とを連結する第3面部(23)と、を備え、
前記第1面部は、前記挿入方向に垂直な平坦部(25)と、前記開口部を成す開口周縁部(24)と、を有し、
前記開口周縁部は、前記通気部材との対向面(24a)を有しつつ前記平坦部に対して前記内部空間側に曲がって形成され、前記通気部材との間にシールリング(250)が介在され、
前記第3面部が前記開口部周辺の一部のみに対して形成されることを特徴とする防水筐体。
【請求項2】
前記第1面部が溝部(40)を有し、該溝部の底部(41)が前記第2面部と接続されることを特徴とする請求項1に記載の防水筐体。
【請求項3】
電子部品(100)を収容する内部空間が防水空間とされ、外部空間から内部空間に向け通気部材(200)が挿入され、係止される防水筐体であって、
前記通気部材が取り付けられる取付壁部(20)は、
前記通気部材が挿入され係止される開口部(14)を有する第1面部(21)と、
前記通気部材の挿入方向において前記第1面部よりも前記電子部品が配置される側に位置し、前記第1面部とオーバーラップしない第2面部(22)と、
前記第1面部と前記第2面部とを連結する第3面部(23)と、を備え、
前記第1面部は、前記挿入方向に垂直な平坦部(25)と、前記開口部を成す開口周縁部(24)と、を有し、
前記開口周縁部は、前記通気部材との対向面(24a)を有しつつ前記平坦部に対して前記内部空間側に曲がって形成され、前記通気部材との間にシールリング(250)が介在され、
前記第3面部が前記開口部を取り囲むように形成され、
前記第1面部が溝部(40)を有し、該溝部の底部(41)が前記第2面部と接続されることを特徴とする防水筐体。
【請求項4】
前記第3面部が前記開口部と同心の円環状に形成されることを特徴とする請求項3に記載の防水筐体。
【請求項5】
前記第2面部は、前記筐体の前記取付壁部と連結された側面部(30)に接続されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の防水筐体。
【請求項6】
前記取付壁部は、前記第2面部を底壁とし前記第3面部を側壁とする凹部(50)を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の防水筐体。
【請求項7】
電子部品(100)を収容する内部空間が防水空間とされ、外部空間から内部空間に向け通気部材(200)が挿入され、係止される防水筐体であって、
前記通気部材が取り付けられる取付壁部(20)は、
前記通気部材が挿入され係止される開口部(14)を有する第1面部(21)と、
前記通気部材の挿入方向において前記第1面部よりも前記電子部品が配置される側に位置し、前記第1面部とオーバーラップしない第2面部(22)と、
前記第1面部と前記第2面部とを連結する第3面部(23)と、を備え、
前記第1面部は、前記挿入方向に垂直な平坦部(25)と、前記開口部を成す開口周縁部(24)と、を有し、
前記開口周縁部は、前記通気部材との対向面(24a)を有しつつ前記平坦部に対して前記内部空間側に曲がって形成され、前記通気部材との間にシールリング(250)が介在され、
前記取付壁部は、前記第2面部を底壁とし前記第3面部を側壁とする凹部(50)を有することを特徴とする防水筐体。
【請求項8】
前記第3面部が前記開口部を取り囲むように形成されることを特徴とする請求項7に記載の防水筐体。
【請求項9】
前記第3面部が前記開口部と同心の円環状に形成されることを特徴とする請求項8に記載の防水筐体。
【請求項10】
前記開口部は、前記第1面部の中心からずれた位置に形成されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の防水筐体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部の換気が可能な防水筐体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1のように、筐体内部の換気を目的として、筐体の平面部に設けられた開口部に差し込んで固定される通気部材が提案されている。この通気部材は、通気経路となる貫通孔と開口部に差し込む脚部とを有する支持体と、貫通孔の一方の開口を塞ぐ通気膜と、通気膜を保護するように支持体を覆うカバー部品と、を備える。カバー部品には通気経路となる通気孔が形成されている。この通気部材は、支持体と筐体の平面部との間にシールリングを介して、脚部を開口部に差し込む様態で係止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−87666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、筐体の小型化や他の部品との干渉を防ぐことを目的として、筐体の平面部からの通気部材の高さを低くする低背化が求められている。
【0005】
一方、低背化を行うと、雨滴や洗車用の水などの液体により、カバー部品の通気孔が閉塞されやすいという問題が生じる。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、通気部材の低背化と通気性を両立する防水筐体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ここに開示される発明は、上記目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。なお、特許請求の範囲及びこの項に記載した括弧内の符号は、ひとつの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、電子部品(100)を収容する内部空間が防水空間とされ、外部空間から内部空間に向け通気部材(200)が挿入され、係止される防水筐体であって、通気部材が取り付けられる取付壁部(20)は、通気部材が挿入され係止される開口部(14)を有する第1面部(21)と、通気部材の挿入方向において第1面部よりも電子部品が配置される側に位置し、第1面部とオーバーラップしない第2面部(22)と、第1面部と第2面部とを連結する第3面部(23)と、を備え、第1面部は、挿入方向に垂直な平坦部(25)と、開口部を成す開口周縁部(24)と、を有し、開口周縁部は、通気部材との対向面(24a)を有しつつ平坦部に対して内部空間側に曲がって形成され、通気部材との間にシールリング(250)が介在され
、第3面部が開口部周辺の一部のみに対して形成されることを特徴としている。
【0009】
これによれば、通気部材が取り付けられる第1面部と第2面部との間に段差が形成される。このため、第1面部に存在する液体が第2面部に移動しやすくなっている。よって、第1面部上の通気部材の取り付け位置近傍に液体が溜まりつつある際に、その液体を第1面部から第2面部に向かって排水することができる。したがって、液体によって通気部材の通気孔が閉塞されることを抑制することができ、通気部材の通気性を向上させることができる。
【0010】
加えて、第1面部の開口周縁部が筐体の内側に向かって曲げられて形成されている。開口周縁部が平坦部よりも筐体内部側に位置することにより、通気部材と筐体との間に介在させるシールリングが平坦部よりも筐体の内部空間側に埋め込まれる様態となる。したがって、開口部に曲げられた縁部の無い構成に較べて、通気部材を全体的に筐体の内部空間側に配置することができる。すなわち、筐体に対して通気部材の低背化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態に係る防水筐体の概略構成を示す図であり、
図2におけるI−I線に沿う断面図である。
【
図3】第1の変形例に係る防水筐体の概略構成を示す上面図である。
【
図4】第2の変形例に係る防水筐体の概略構成を示す上面図である。
【
図5】第2実施形態に係る防水筐体の概略構成を示す上面図である。
【
図6】防水筐体の概略構成を示す図であり、
図5におけるVI−VI線に沿う断面図である。
【
図7】第3の変形例に係る防水筐体の概略構成を示す上面図である。
【
図8】第4の変形例に係る防水筐体の概略構成を示す上面図である。
【
図9】第4の変形例に係る防水筐体の概略構成を示す上面図である。
【
図10】第3実施形態に係る防水筐体の概略構成を示す上面図である。
【
図11】その他の実施形態に係る防水筐体の概略構成を示す上面図である。
【
図12】その他の実施形態に係る防水筐体の概略構成を示す断面図である。
【
図13】その他の実施形態に係る防水筐体の概略構成を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の各図相互において、互いに同一もしくは均等である部分に、同一符号を付与する。
【0013】
(第1実施形態)
最初に、
図1および
図2を参照して、本実施形態に係る防水筐体の概略構成について説明する。なお、
図2は便宜上、通気部材を省略して図示されている。
【0014】
本実施形態における防水筐体10(以下、単に筐体10と示す)は、例えば鉄製であり、内部空間に電子部品100が収容されて、自動車のエンジン等の制御を行う電子制御装置(ECU)を構成する。この筐体10は、
図1に示すように、上カバー11および下カバー12を有する。そして、上カバー11と下カバー12とがシール材13を介して固定されることによって内部空間が防水空間とされる。また、上カバー11には、円形の開口部14が設けられ、その開口部14に通気部材200が挿入、係止される。この通気部材200によって、筐体10の内外において、気体のみが交換され、液体が筐体10の内部空間に侵入することを防止することができる。
【0015】
上カバー11は、
図1に示すように、通気部材200が取り付けられる面を構成する取付壁部20と、筐体10の側面を構成する側面部30とを有する。取付壁部20は、開口部14が形成される第1面部21と、第1面部21よりも筐体10の内部空間側に位置する第2面部22と、第1面部21と第2面部22とを繋ぐ第3面部23と、を有する。なお、第2面部22は、第1面部21とオーバーラップしないように形成されており、筐体10の側面部30に繋がっている。また、第3面部23は第1面部21から第2面部22に向かって傾斜している。このように、第1面部21と第2面部22が第3面部23を介して段差を形成している。換言すれば、取付壁部20は、第2面部22に対して第1面部21が筐体10の外部に向かって突き出した形状となっている。
【0016】
本実施形態における第1面部21は円形を成しており、その円の中心に円形の開口部14が形成される。第1面部21が円形であることにより、第3面部23も、開口部14の円の中心を中心とする円環状に形成される。
【0017】
さらに、第1面部21は、開口部14の輪郭を含む開口周縁部24と、開口周縁部24を除く残りの部分である平坦部25から成る。開口周縁部24が、
図2に示すように、円環状に形成されることによって開口部14が円形となっている。開口周縁部24は平坦部25と滑らかに繋がっており、開口部14の中心に向かうにつれて筐体10の内部空間側に落ち込んでいる。すなわち、開口周縁部24は通気部材200との対向面24aを有しつつ、平坦部25に対して内部空間側に曲がって形成されている。
【0018】
電子部品100は、上カバー11、下カバー12およびシール材13により形成される防水空間の内部に固定される。電子部品100は例えば、プリント基板に電子素子等が実装されてなる回路基板であって、回路基板にコネクタピンが電気的に接続される。そして、図示しないコネクタピンは、コネクタハウジング110に収容され、図示しない外部の電子機器と電気的に接続されて電気信号の授受を行う。
【0019】
なお、上カバー11および下カバー12は、加工方法を問わないが、例えばプレス加工により形成することができる。
【0020】
通気部材200は、
図1に示すように、脚部220を備えた支持体210と、支持体210に溶着された通気膜230と、通気膜230を覆うように支持体210に嵌合したカバー部品240と、を有する。脚部220は、スナップフィットにより支持体210を上カバー11に係止する効果を奏する。通気膜230は、気体の通過を許容し、液体の通過を阻止する膜であれば、構造や材料は限定されないが、本実施形態では、例えばフッ素樹脂多孔体を採用することができる。カバー部品240は通気膜230を保護する。なお、カバー部品240は、支持体210に嵌合した際に、支持体210とカバー部品240との間に図示しない隙間(通気孔)ができるように構成されている。この通気孔は通気膜230を通して筐体10の内部空間と繋がっている。なお、この通気部材200は、
図1に示すように、支持体210およびカバー部品240が円筒状を成し、その径は第1面部21の径よりも小さくされている。
【0021】
通気部材200は、シールリング250を介して筐体10の上カバー11に係止される。本実施形態におけるシールリング250は、上カバー11の開口周縁部24と通気部材200の支持体210の両方に接触して、より厳密に言えば開口周縁部24の一面(後述の対向面24a)と支持体210の2平面の3平面での圧縮により、脚部220と上カバー11の間の隙間をシールすることにより、通気膜230以外での通気を抑制している。
【0022】
次に、本実施形態に係る防水筐体の作用効果を説明する。
【0023】
本実施形態に係る防水筐体10は、開口周縁部24が通気部材200との対向面24aを有しつつ、平坦部25に対して内部空間側に曲がって形成されている。すなわち、開口周縁部24の通気部材200との対向面24aは、平坦部25よりも筐体10の内部空間側に位置する。そして、シールリング250は開口周縁部24と通気部材200の間に介在している。このため、シールリング250は、その少なくとも一部が平坦部25の外部空間側表面よりも筐体10の内部空間側に位置する。したがって、曲げられた開口周縁部24が形成されない構成に較べて、通気部材200の平坦部25からの高さを低くすることができる。すなわち、筐体10に対して通気部材200の低背化を実現することができる。
【0024】
上記したように、筐体10に対する通気部材200の低背化を行うと、通気部材200が配置された第1面部21に液体が溜まり、カバー部品240と支持体210との間の通気孔を閉塞してしまうことがある。これを解決するため、本実施形態における取付壁部20では、第1面部21と第2面部22が第3面部23を介して段差を形成している。これにより、第1面部21に溜まった液体を第2面部22に移動しやすくできる。よって、第1面部21上の液体により通気孔が閉塞される前に、第1面部21から第2面部22に向かって液体を排水することができる。したがって、液体によって通気部材200の通気孔が閉塞されることを抑制することができ、通気部材200の通気性を向上させることができる。
【0025】
(第1の変形例)
本変形例は、第1実施形態の変形例の一つである。本変形例では、
図3に示すように、第1実施形態の様態に対して、第1面部21に溝部40が形成されている。そして溝部40の底部41は第2面部22と同一面となるように接続されている。このような構成において、溝部40の側壁42は第3面部23に相当している。なお、本変形例でも、第2面部22が筐体10の側面部30にそのまま接続されている。
【0026】
本変形例の構成は、第1実施形態の構成に対して第1面部21の面積が小さくなっている。したがって、第1実施形態に較べて、第1面部21に溜まった液体を第2面部22に移動しやすくできる。したがって、液体によって通気部材200の通気孔が閉塞されることを抑制することができ、通気部材200の通気性を向上させることができる。
【0027】
(第2の変形例)
本変形例は、第1実施形態の変形例の一つである。本変形例は、第1実施形態の様態に対して、第1面部21の形状が異なる形態である。具体的には、第1実施形態の第1面部21が真円形であるのに対して、本変形例における第1面部21は、
図4に示すように、半径の異なる2つの半円が結合した形状となっている。なお、本変形例でも、第2面部22が筐体10の側面部30にそのまま接続されている。このような構成においても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0028】
(第2実施形態)
第1実施形態およびその変形例(第1および第2の変形例)では、第2面部22が筐体10の側面部30にそのまま接続される形成される例を示した。すなわち、第2面部22に対して第1面部21だけが突き出した様態を例に示した。これに対して、本実施形態に係る防水筐体10は、
図5および
図6に示すように、取付壁部20が、第2面部22を底壁とする凹部50を有する。この凹部50は、開口部14と同心の円環状に形成される。すなわち、第2面部22が円環状に形成され、それに伴って第3面部23も円環状に形成される。この第3面部23が凹部50における側壁となっている。なお、第1実施形態およびその変形例とは異なり、第2面部22は筐体10の側面部30と直接接続されない。
【0029】
これによれば、第1面部21と第2面部22が第3面部23を介して段差を形成している。これにより、第1面部21に溜まった液体を第2面部22に移動しやすくできる。よって、第1面部21上の液体を第1面部21から第2面部22に向かって排水することができる。したがって、液体によって通気部材200の通気孔が閉塞されることを抑制することができ、通気部材200の通気性を向上させることができる。
【0030】
(第3の変形例)
本変形例は、第2実施形態の変形例の一つである。本変形例では、
図7に示すように、第2実施形態に示した凹部50が、円環状ではなく、円弧状に形成されている。この例では、第1面部21が筐体10の側面部30に繋がった構成となっている。
【0031】
なお、上記した各実施形態および変形例では、第3面部23が開口部14を取り囲むようにされていた。これに対して、本変形例の第3面部23は、開口部14周辺の一部のみに対して形成されている。
【0032】
このような構成であっても、通気部材200近傍の第1面部21に溜まった液体が凹部50の底壁(第2面部21)に向かって移動しやすくなる。したがって、液体によって通気部材200の通気孔が閉塞されることを抑制することができ、通気部材200の通気性を向上させることができる。
【0033】
また、上記した各実施形態および変形例に較べて、第1面部21に対して筐体10の内部空間側に凹んだ部分の面積が小さいため、筐体内部の体積をより多く確保することができる。
【0034】
(第4の変形例)
本変形例は、第2実施形態の変形例の一つである。本変形例は、
図8に示すように、筐体10の取付壁部20が開口部14の周辺に複数の凹部50を有する構成である。この例でも、第1面部21が筐体10の側面部30に繋がった構成となっている。なお、凹部50の形状および数量は限定されない。例えば、
図9に示すように、矩形状の凹部50が1つだけ形成されて構成でもよい。
【0035】
このような構成でも、通気部材200近傍の第1面部21に溜まった液体が凹部50の底壁(第2面部21)に向かって移動しやすくなり、液体によって通気部材200の通気孔が閉塞されることを抑制することができる。
【0036】
(第3実施形態)
第2実施形態の変形例として、第3の変形例および第4の変形例は、第3面部23が開口部14を取り囲まず、且つ、第2面部22が筐体10の側面部30と直接繋がっていない例を示した。本実施形態では、第3面部23が開口部14を取り囲んではいないが、第2面部22が側面部30と接続された例を示す。
【0037】
本実施形態における筐体10は、
図10に示すように、取付壁部20に形成された凹部50の底壁(第2面部22)が筐体10の側面部30と接続されている。且つ、第3面部23が開口部14を取り囲む構成ではないため、第1面部21も筐体10の側面部30に接続されている。すなわち、
図10に示すように、上カバー11の取付壁部20が段々畑状の2段構造となっている。
【0038】
これによれば、通気部材200近傍に溜まった液体が第3面部23を経て第2面部22に流れ、そのまま筐体10の側面部30側に排水することができる。したがって、液体によって通気部材200の通気孔が閉塞されることを抑制することができ、通気部材200の通気性を向上させることができる。
【0039】
(その他の実施形態)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態になんら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
【0040】
例えば、
図1および
図2に示す第1実施形態のような様態に対して、防水筐体10(とくに上カバー11および下カバー12)をプレス加工ではなく、ダイカストや射出成形で製作してもよい。
【0041】
また、例えば、
図5および
図6に示す第2実施形態のような様態に対して、
図11に示すように、第1の変形例と同様、第1面部21に溝部40を有する構成とすることもできる。これによれば、第2実施形態のように第1面部21が円形である構成に較べて第1面部21の面積を小さくできる。したがって、より多くの液体を第1面部21から第2面部22に排水することができる。
【0042】
また、
図12に示すように、第2面部22を、開口部14から遠ざかるほど筐体10の内部空間側に向かうように傾斜させる構成とすると良い。第2面部22が筐体10の側面部30に直接繋がった構成である場合、第2面部22を傾斜させる構成とすることによって、第1面部21から第2面部22へ移動した液体を、より効率良く側面部30側に排出することができる。
【0043】
また、
図13に示すように、開口部14は必ずしも第1面部21の中心でなくてもよい。
図13に示す形態では、第1実施形態(
図2)より、局所的に通気部材200と第3面部23が近づくため、該当部で液体が流れやすくなる。
【0044】
また、上記した各実施形態では、通気部材200全体が第1面部21上にオーバーラップする例を示したが、通気部材200が第2面部22にオーバーラップするような構成であっても、通気部材200の通気孔が閉塞されにくくする効果を奏することができる。これは、第2面部22が、第1面部よりも電子部品100が配置される側に位置しており、通気部材200と取付壁部20間の距離を大きく保つことができるためである。
【符号の説明】
【0045】
10・・・防水筐体
11・・・上カバー,12・・・下カバー
14・・・開口部
20・・・取付壁部,21・・・第1面部,22・・・第2面部,23・・・第3面部
24・・・開口周縁部,25・・・平坦部
100・・・電子部品
200・・・通気部材