【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記のように、ハーネスレール102内でワイヤハーネスW/Hが前後方向に1回挿通され、電線余長収容ケース110内でワイヤハーネスW/Hが前後方向に往復して2回挿通され、
図9で矢印Yで示す
ハーネスレール102の前端から引き出されて電線余長収容ケース110の前端に挿入する箇所では幅方向にワイヤハーネスW/Hが3回挿通されることになり、幅方向に大きなスペースが必要となる。
かつ、この幅方向のスペースはハーネスレール102と電線余長収容ケース110の前端位置を一致させて電線余長収容ケース110の全長をハーネスレール102の側方に隣接配置しているため、電線余長収容ケース110の全長領域で必要となり、シートレールの側方で前後方向の広い領域で幅方向に大きなスペースが必要となる。よって、シートレール101の側方で必要となるハーネスレール102と電線余長
収容ケース110の設置スペースが増大し、シートレールの側方に配管されているエアダクト等の既存材と干渉する問題があ
る。
また、ハーネスレール102から電線余長収容ケース110へ引き込む時にワイヤハーネスは一度目の屈曲をし、電線余長収容ケース110内で二度目の屈曲をし、スライドシートの前進あるいは後退の一方向への移動でワイヤハーネスが2回屈曲され、1往復では4回屈曲される。さらに、前端の引き出し側でもL字状に屈曲され、ワイヤハーネスに加わる曲げ疲労が大きくなっている。
【0007】
前記特許文献1に開示された電線余長収容ケース110の形状を
図10(A)に模式的に示す。この形状に対して、
図10(B)で示す形状の電線余長吸収ケース200とすると、電線余長吸収ケース200内でワイヤハーネスの屈曲を1回として曲げ疲労を低減できる。即ち、
図10(B)に示す電線余長吸収ケース200では、ワイヤハーネスW/Hを前端側だけで1回屈曲(X1)させ、後端側の開口201から外部に引き出す構成とし、後端側での曲げを無くしている。
しかしながら、前記構成とすると、ワイヤハーネスの余長を吸収するために前後直線部分の長さ寸法L1を大とする必要がある。よって、特許文献1のように、後端側でも屈曲させて前方へ引き出す場合と比較して、電線余長吸収ケース200の長さを延ばして、シートレールから前方へ突出させて配置する必要がある。
このようにシートレールの前端から電線余長収容ケースを前方へ大きく突出させると、スライドシートの前方のフロア下に配置されている既存材と干渉する恐れがある。
【0008】
本発明は前記問題に鑑みてなされたもので、電線余長
収容ケースの前後方向の長さを前記
図10(B)に示す形状より短くして前方への突出寸法を減少し、かつ、ハーネスレールから幅方向に突出する電線余長
収容ケースの
長さ方向寸法は特許文献1の
図10(A)に示す形状より短くしてシートレール側方の設置スペースを減
少することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明は、
スライドシート用のシートレールの側面に沿って配置する前後直線状に延在するハーネスレールと、
スライドシートに連結して前記ハーネスレール内に移動自在に嵌合するスライダと、
前記スライダを通してスライドシートへ配線するワイヤハーネスを、前記ハーネスレールの前端から連続して前進させると共に前端で屈曲させて後進させ、後側で屈曲して再前進させて挿通する電線余長収容ケースを備え、
前記電線余長収容ケースの底壁を囲む外周壁は、前記ハーネスレールの前端に連続して前方に直線状に延在するシートレール側直線辺と、該シートレール側直線辺の前端から湾曲する前端円弧辺と、該前端円弧辺の他端より前記ハーネスレールの前端位置を越えて後方へ延在する外側直線辺と、該外側直線辺の後端から前記ハーネスレールの外側辺に向けて湾曲する後端円弧辺を備え、前記前端円弧辺の幅より後端円弧辺の幅を小さくし、かつ、 前記電線余長収容ケースに設けるワイヤハーネスの引出口は、前後方向の中間位置で且つ前記ハーネスレールの前端
の電線挿入口の側方に隣接し
た位置にあり、後側で湾曲して再前進するワイヤハーネスを前記引出口から外方へ引き出し、該再前進ワイヤハーネスと前記ハーネスレール側から前進するワイヤハーネスとを並んで挿通させない構成としているスライドシート用のワイヤハーネス配索装置を提供している。
【0011】
前記のように、本発明の装置では、電線余長収容ケース
の前後方向の中間位置に設けるワイヤハーネスの引出口をハーネスレール
と電線余長収容ケースの境界位置に隣接した位置に設けている。
前記特許文献1の電線余長収容ケー
スは、前端で電線挿入口と電線引出口を並設させ、後側で湾曲後に再度前進させるワイヤハーネスを、
前端の引出口から引き出しているため、ハーネスレールの側方に隣接する電線余長収容ケースの前後長さが大となり、幅方向に大きなスペースをとっている。
これに対して、本発明では、電線余長収容ケース内で後端曲げ部から再前進させるワイヤハーネスを
、該電線余長収容ケースの前後方向の中間位置で且つハーネスレールの前端位置
の側方で終端させて前記引出口から引き出し、
電線余長収容ケース内でハーネスレール側から前進してくるワイヤハーネスと平行に隣接して挿通させない設定としている。このように、
ハーネスレールの側方に隣接する部分の電線余長収容ケース内ではワイヤハーネスの前進を2回とせずに1回とし
、前後進を含めてワイヤハーネスを3列で並列させずに2列としているため、電線余長収容ケース
の幅を減少できる。かつ、
電線余長収容ケースをハーネスレールの前端より前方および後方に延在させてワイヤハーネスの余長吸収を前後で行っているため、余長吸収長さを短くすることなく、ハーネスレールと並列する
電線余長収容ケースの後部の
長さを低減でき、約半分にできる。このように、ハーネスレールの側方に配置する電線余長収容ケースの後部の設置スペースを長さ方向および幅方向で減少できる。
【0012】
かつ、前記
図10(B)に示すような後端からワイヤハーネスを引き出す構成と比較して、後端円弧部で屈曲させてハーネスレールの前端位置に達するまで再前進させて電線挿通長さを大とするため、電線余長収容ケースの長さを短くすることができる。具体的には、
図10(B)に示す所謂J字形状の場合より、100mm程度短くできる。
このように、本発明の電線余長収容ケースは、
図10(A)に示す所謂U字パターンの電線余長収容ケースより幅方向
で突出する部分の長さを減少でき、
図10(B)に示す所謂J字パターンの電線余長収容ケースより前後長さを短くできる
。
【0013】
前記ハーネスレールの外側辺の前端P1と前記後端円弧辺の一端P2までの寸法(A)、該後端円弧辺の一端P2から他端P3までの寸法(B)、前記引出口の周長を(C)とすると、A+B≦Cが成立する設定としている。
【0014】
前記A+B≦Cの設定とし、点P2とP3の間の寸法B、即ち、後端円弧辺の半周長さを前記Bとすると、該後端円弧辺の曲率を大きくでき、ワイヤハーネスに負荷される曲げ疲労を低減できる。このように寸法Bを大きくすると、寸法Aは小さくなり、電線余長収容ケースの長さを短くすることができる。
【0015】
前記ワイヤハーネスの引出口の周縁から周壁を突設し、該周壁と前記シートレール側壁との間の前進挿通路および前記周壁と前記外側壁との間の後進挿通路の幅は、前記ワイヤハーネスに外装する外装材が摺動自在に挿通する寸法に設定している。
【0016】
前記のように、引出口の周壁とシートレール側辺の間でハーネスレールからのワイヤハーネスの前進挿通路を規定する共に、引出口の周壁と外側辺の間でワイヤハーネスの後進挿通路を規定すると、電線余長収容ケース内でワイヤハーネスを蛇行させることなく前進および後進させることができる。
【0017】
前記ハーネスレールと前記電線余長収容ケースは別体または一体として、ハーネスレールの前端のハーネス挿通口と電線余長収容ケースのハーネス前進挿通用の後端開口とを連続させている。
【0018】
前記ハーネスレールと前記電線余長収容ケースとを樹脂で一体成形すると、部品点数の削減によりコスト低下が図れると共に車両への取付作業手数も低減できる。
一方、ハーネスレールと前記電線余長収容ケースとを別体すると、ハーネスレールの成形樹脂を電線余長収容ケースの成形樹脂よりも剛性を高めることができ、用途に応じた樹脂材を用いて形成することができる。
【0019】
前記ハーネスレールは、前記シートレールの側壁外面に沿って延在させる断面ボックス状のハーネス挿通部と、該ハーネス挿通部の上面の一側に連通させて突設するスライダ摺動部とを備えた形状としている。スライダ摺動部の上面開口を車室床材となるカーペット材の端縁に被せて配置する両側モールの間に開口している。該開口からスライダ摺動部に嵌合するスライダの上方突出部を突出させ、該スライダを前記スライドシートのシート脚部に連結し、前記ハーネスレールおよび前記電線余長収容ケースは前記カーペット材の下方に設置している。
【0020】
前記電線余長収容ケースは、前記のように、前後両端に円弧辺を有する比較的浅底の本体と、該本体にワイヤハーネスを収容した後に被せる蓋とからなる。
前記ハーネスレールの前端から挿通してくるワイヤハーネスを前記電線余長収容ケース内で前進→前側円弧辺に沿って屈曲→後進→後側で屈曲→最前進→前記引出口から外方へ引き出しフロアハーネスとコネクタ接続している。前記引出口の近傍で電線余長収容ケースの壁に前記ワイヤハーネスをクランプで取り付けている。
【0021】
前記ハーネスレールのワイヤハーネス挿通部および前記電線余長収容ケース内に挿通するワイヤハーネスにはキャタピラ型のプロテクタを外装している。該プロテクタは、帯状の平板に長さ方向に延在すると共に幅方向に間隔をあけて設けた複数本の折曲ラインを折り曲げて筒状にし、長さ方向に間隔をあけて幅方向に切り込みを入れて一辺を連続させると共に他辺を分離し、一方側には屈曲するが他方側には屈曲しない状態で連結している。
【0022】
前記電線余長収容ケースの高さは前記プロテクタの高さに相当させ、かつ、前記ハーネスレールのハーネス挿通部の断面四角形の挿通空間は前記プロテクタの断面四角形の外面と摺接する大きさに設定している。これにより、プロテクタで外装したワイヤハーネスがガタつきなくハーネスレールのハーネス挿通部および余長吸収ケース内を摺動できるようにしている。
【発明の効果】
【0023】
前記のように、本発明のスライドシート用のワイヤハーネス配索構造は、
ハーネスレールの前端に連続して電線余長収容ケースを配置し、該電線余長収容ケースは前後両端でワイヤハーネスを曲げて挿通して迂回させているが、ワイヤハーネスの引出口の位置を
該電線余長収容ケースの前後方向の中間位置で且つ前記ハーネスレールの前端に当たる位置に設けて、後端で曲げた後に再前進するワイヤハーネスをハーネスレールから前進してくるワイヤハーネスと並行させないことで、
ハーネスレールの側方に隣接する電線余長収容ケース
の後部の幅を広げ
ないと共に長さを従来と比べて半減できる。かつ、前記J字パターンと比較して前後寸法を短くでき、既存設置材との干渉を防止できる。
【0024】
また、ハーネスレールはシートレールの側面に沿って前端より後方へ延在させて設置し、該ハーネスレールの前端に前記電線余長収容ケースの前進挿通部分を連続して配置しているため、ハーネスレールから電線余長収容ケース内にワイヤハーネスを直線状に保持したまま引き込むことができる。よって、特許文献1のようにハーネスレールの前端から屈曲して電線余長収容ケースに引き込む場合と比較して、ワイヤハーネスの曲げ疲労を低減できる。