特許第6052064号(P6052064)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6052064スライドシート用のワイヤハーネス配索構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6052064
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】スライドシート用のワイヤハーネス配索構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20161219BHJP
   H02G 11/00 20060101ALI20161219BHJP
   B60N 2/12 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   B60R16/02 620A
   H02G11/00 060
   B60N2/12
【請求項の数】1
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-114717(P2013-114717)
(22)【出願日】2013年5月30日
(65)【公開番号】特開2014-233994(P2014-233994A)
(43)【公開日】2014年12月15日
【審査請求日】2015年6月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100072660
【弁理士】
【氏名又は名称】大和田 和美
(72)【発明者】
【氏名】岡野 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】加藤 真治
(72)【発明者】
【氏名】大谷 努
(72)【発明者】
【氏名】榊原 敬和
(72)【発明者】
【氏名】宇治田 智
(72)【発明者】
【氏名】坂田 勉
【審査官】 佐々木 智洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−236242(JP,A)
【文献】 特開2007−116779(JP,A)
【文献】 特開2009−056946(JP,A)
【文献】 特開2010−193599(JP,A)
【文献】 特開2013−049402(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
B60N 2/12
H02G 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライドシート用のシートレールの側面に沿って配置する前後直線状に延在するハーネスレールと、
スライドシートに連結して前記ハーネスレール内に移動自在に嵌合するスライダと、
前記スライダを通してスライドシートへ配線するワイヤハーネスを、前記ハーネスレールの前端から連続して前進させると共に前端で屈曲させて後進させ、後側で屈曲して再前進させて挿通する電線余長収容ケースを備え、
前記電線余長収容ケースの底壁を囲む外周壁は、前記ハーネスレールの前端に連続して前方に直線状に延在するシートレール側直線辺と、該シートレール側直線辺の前端から湾曲する前端円弧辺と、該前端円弧辺の他端より前記ハーネスレールの前端位置を越えて後方へ延在する外側直線辺と、該外側直線辺の後端から前記ハーネスレールの外側辺に向けて湾曲する後端円弧辺を備え、前記前端円弧辺の幅より後端円弧辺の幅を小さくし、かつ、 前記電線余長収容ケースに設けるワイヤハーネスの引出口は、前後方向の中間位置で且つ前記ハーネスレールの前端の電線挿入口の側方に隣接した位置にあり、後側で湾曲して再前進するワイヤハーネスを前記引出口から外方へ引き出し、該再前進ワイヤハーネスと前記ハーネスレール側から前進するワイヤハーネスとを並んで挿通させない構成としているスライドシート用のワイヤハーネス配索装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスライドシート用のワイヤハーネス配索構造に関し、特に、400mm以上のロングスライド用に好適に用いられるものである。
【背景技術】
【0002】
自動車のシートには電動リクライニング装置やシートヒータなど種々の電装品が装備されており、これらの電装品に給電するために、車体フロアからシートに給電用のワイヤハーネスが配索されている。スライドシートではワイヤハーネスをシートのスライド動作に追従させる必要があり、そのためワイヤハーネスに余長部を持たせて配索している。自動車のスライドシートのスライド寸法は通常最大240mm〜300mm程度であるが、助手席や後部座席等でスライド寸法を400mm〜1200mm程度のロングスライドシートとし、座席前方または座席後方に大きな空間をあけることが出来るようにした自動車が近時提供されている。このようなロングスライドシートでは、ワイヤハーネスの余長部の長さが大となるため、余長収容部からワイヤハーネスをスムーズに出し入れするためのワイヤハーネス用のレールが必要となる。
【0003】
この種の車体フロアとロングスライドシートとの間に配索するハーネス配索装置として、特開2010−193599号公報で図8(A)(B)および図9(A)(B)に示す装置が提案されている。該装置では、スライドシート100用のシートレール101の側方に隣接して平行にハーネスレール102が設置されると共に、該ハーネスレール102の側方に隣接して平行に電線余長収容ケース110が設置されている。即ち、スライドシート100の移動領域であるシートレール101の側方に別体のハーネスレール102と電線余長収容ケース110とを前端を一致させて電線余長収容ケース110の全長をハーネスレール102の側方に平行配置ている。ハーネスレール102にはスライドシート100と連結したスライダ103が摺動自在に嵌合されている。スライドシート100に配線されるワイヤハーネスW/Hは、フロアハーネスから分岐され、コルゲートチューブで外装された状態で電線余長収容ケース110内に挿通され、該電線余長収容ケース110からハーネスレール102内をスライドシート100と連動して移動するスライダ103内を通してスライドシート100に配線されている。
【0004】
前記構成のハーネスレール102の前端と電線余長収容ケース110の前端に位置する電線の挿入口および電線の引出口は同一線上に並列に配置されていると共に、これら前端同士は半円状のガイド部材で連続されている。該装置では、ワイヤハーネスW/Hはハーネスレール102から前記ガイド部材を湾曲して電線余長収容ケース110の前端から挿入し、後方でUターンして前端の引出口から引き出される。電線余長収容ケース110の前端側で1回目の屈曲X1を経て電線余長収容ケース110へ挿入され、該電線余長収容ケース110内でU形状に迂回して電線余長収容ケース110内の後端部で2回目の屈曲X2がなされ、2回の屈曲X1とX2が必要となっている。さらに、図9(A)(B)に示すように、後端部での2回目の屈曲X2の後に前方へ挿通され、電線余長収容ケース110の前端側でL形状に屈曲させると共に下方に傾斜させて、前端屈曲部X1と上下に位相させて外方へ引き出されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−193599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記のように、ハーネスレール102内でワイヤハーネスW/Hが前後方向に1回挿通され、電線余長収容ケース110内でワイヤハーネスW/Hが前後方向に往復して2回挿通され、図9で矢印Yで示すハーネスレール102の前端から引き出されて電線余長収容ケース110の前端に挿入する箇所では幅方向にワイヤハーネスW/Hが3回挿通されることになり、幅方向に大きなスペースが必要となる。かつ、この幅方向のスペースはハーネスレール102と電線余長収容ケース110の前端位置を一致させて電線余長収容ケース110の全長をハーネスレール102の側方に隣接配置しているため、電線余長収容ケース110の全長領域で必要となり、シートレールの側方で前後方向の広い領域で幅方向に大きなスペースが必要となる。よって、シートレール101の側方で必要となるハーネスレール102と電線余長収容ケース110の設置スペースが増大し、シートレールの側方に配管されているエアダクト等の既存材と干渉する問題がある。
また、ハーネスレール102から電線余長収容ケース110へ引き込む時にワイヤハーネスは一度目の屈曲をし、電線余長収容ケース110内で二度目の屈曲をし、スライドシートの前進あるいは後退の一方向への移動でワイヤハーネスが2回屈曲され、1往復では4回屈曲される。さらに、前端の引き出し側でもL字状に屈曲され、ワイヤハーネスに加わる曲げ疲労が大きくなっている。
【0007】
前記特許文献1に開示された電線余長収容ケース110の形状を図10(A)に模式的に示す。この形状に対して、図10(B)で示す形状の電線余長吸収ケース200とすると、電線余長吸収ケース200内でワイヤハーネスの屈曲を1回として曲げ疲労を低減できる。即ち、図10(B)に示す電線余長吸収ケース200では、ワイヤハーネスW/Hを前端側だけで1回屈曲(X1)させ、後端側の開口201から外部に引き出す構成とし、後端側での曲げを無くしている。
しかしながら、前記構成とすると、ワイヤハーネスの余長を吸収するために前後直線部分の長さ寸法L1を大とする必要がある。よって、特許文献1のように、後端側でも屈曲させて前方へ引き出す場合と比較して、電線余長吸収ケース200の長さを延ばして、シートレールから前方へ突出させて配置する必要がある。
このようにシートレールの前端から電線余長収容ケースを前方へ大きく突出させると、スライドシートの前方のフロア下に配置されている既存材と干渉する恐れがある。
【0008】
本発明は前記問題に鑑みてなされたもので、電線余長収容ケースの前後方向の長さを前記図10(B)に示す形状より短くして前方への突出寸法を減少し、かつ、ハーネスレールから幅方向に突出する電線余長収容ケースの長さ方向寸法は特許文献1の図10(A)に示す形状より短くしてシートレール側方の設置スペースを減少することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明は、
スライドシート用のシートレールの側面に沿って配置する前後直線状に延在するハーネスレールと、
スライドシートに連結して前記ハーネスレール内に移動自在に嵌合するスライダと、
前記スライダを通してスライドシートへ配線するワイヤハーネスを、前記ハーネスレールの前端から連続して前進させると共に前端で屈曲させて後進させ、後側で屈曲して再前進させて挿通する電線余長収容ケースを備え、
前記電線余長収容ケースの底壁を囲む外周壁は、前記ハーネスレールの前端に連続して前方に直線状に延在するシートレール側直線辺と、該シートレール側直線辺の前端から湾曲する前端円弧辺と、該前端円弧辺の他端より前記ハーネスレールの前端位置を越えて後方へ延在する外側直線辺と、該外側直線辺の後端から前記ハーネスレールの外側辺に向けて湾曲する後端円弧辺を備え、前記前端円弧辺の幅より後端円弧辺の幅を小さくし、かつ、 前記電線余長収容ケースに設けるワイヤハーネスの引出口は、前後方向の中間位置で且つ前記ハーネスレールの前端の電線挿入口の側方に隣接した位置にあり、後側で湾曲して再前進するワイヤハーネスを前記引出口から外方へ引き出し、該再前進ワイヤハーネスと前記ハーネスレール側から前進するワイヤハーネスとを並んで挿通させない構成としているスライドシート用のワイヤハーネス配索装置を提供している。
【0011】
前記のように、本発明の装置では、電線余長収容ケースの前後方向の中間位置に設けるワイヤハーネスの引出口をハーネスレールと電線余長収容ケースの境界位置に隣接した位置に設けている。
前記特許文献1の電線余長収容ケースは、前端で電線挿入口と電線引出口を並設させ、後側で湾曲後に再度前進させるワイヤハーネスを、前端の引出口から引き出しているため、ハーネスレールの側方に隣接する電線余長収容ケースの前後長さが大となり、幅方向に大きなスペースをとっている。
これに対して、本発明では、電線余長収容ケース内で後端曲げ部から再前進させるワイヤハーネスを、該電線余長収容ケースの前後方向の中間位置で且つハーネスレールの前端位置の側方で終端させて前記引出口から引き出し、電線余長収容ケース内でハーネスレール側から前進してくるワイヤハーネスと平行に隣接して挿通させない設定としている。このように、ハーネスレールの側方に隣接する部分の電線余長収容ケース内ではワイヤハーネスの前進を2回とせずに1回とし、前後進を含めてワイヤハーネスを3列で並列させずに2列としているため、電線余長収容ケース幅を減少できる。かつ、電線余長収容ケースをハーネスレールの前端より前方および後方に延在させてワイヤハーネスの余長吸収を前後で行っているため、余長吸収長さを短くすることなく、ハーネスレールと並列する線余長収容ケースの後部の長さを低減でき、約半分にできる。このように、ハーネスレールの側方に配置する電線余長収容ケースの後部の設置スペースを長さ方向および幅方向で減少できる。
【0012】
かつ、前記図10(B)に示すような後端からワイヤハーネスを引き出す構成と比較して、後端円弧部で屈曲させてハーネスレールの前端位置に達するまで再前進させて電線挿通長さを大とするため、電線余長収容ケースの長さを短くすることができる。具体的には、図10(B)に示す所謂J字形状の場合より、100mm程度短くできる。
このように、本発明の電線余長収容ケースは、図10(A)に示す所謂U字パターンの電線余長収容ケースより幅方向で突出する部分の長さを減少でき、図10(B)に示す所謂J字パターンの電線余長収容ケースより前後長さを短くできる
【0013】
前記ハーネスレールの外側辺の前端P1と前記後端円弧辺の一端P2までの寸法(A)、該後端円弧辺の一端P2から他端P3までの寸法(B)、前記引出口の周長を(C)とすると、A+B≦Cが成立する設定としている。
【0014】
前記A+B≦Cの設定とし、点P2とP3の間の寸法B、即ち、後端円弧辺の半周長さを前記Bとすると、該後端円弧辺の曲率を大きくでき、ワイヤハーネスに負荷される曲げ疲労を低減できる。このように寸法Bを大きくすると、寸法Aは小さくなり、電線余長収容ケースの長さを短くすることができる。
【0015】
前記ワイヤハーネスの引出口の周縁から周壁を突設し、該周壁と前記シートレール側壁との間の前進挿通路および前記周壁と前記外側壁との間の後進挿通路の幅は、前記ワイヤハーネスに外装する外装材が摺動自在に挿通する寸法に設定している。
【0016】
前記のように、引出口の周壁とシートレール側辺の間でハーネスレールからのワイヤハーネスの前進挿通路を規定する共に、引出口の周壁と外側辺の間でワイヤハーネスの後進挿通路を規定すると、電線余長収容ケース内でワイヤハーネスを蛇行させることなく前進および後進させることができる。
【0017】
前記ハーネスレールと前記電線余長収容ケースは別体または一体として、ハーネスレールの前端のハーネス挿通口と電線余長収容ケースのハーネス前進挿通用の後端開口とを連続させている。
【0018】
前記ハーネスレールと前記電線余長収容ケースとを樹脂で一体成形すると、部品点数の削減によりコスト低下が図れると共に車両への取付作業手数も低減できる。
一方、ハーネスレールと前記電線余長収容ケースとを別体すると、ハーネスレールの成形樹脂を電線余長収容ケースの成形樹脂よりも剛性を高めることができ、用途に応じた樹脂材を用いて形成することができる。
【0019】
前記ハーネスレールは、前記シートレールの側壁外面に沿って延在させる断面ボックス状のハーネス挿通部と、該ハーネス挿通部の上面の一側に連通させて突設するスライダ摺動部とを備えた形状としている。スライダ摺動部の上面開口を車室床材となるカーペット材の端縁に被せて配置する両側モールの間に開口している。該開口からスライダ摺動部に嵌合するスライダの上方突出部を突出させ、該スライダを前記スライドシートのシート脚部に連結し、前記ハーネスレールおよび前記電線余長収容ケースは前記カーペット材の下方に設置している。
【0020】
前記電線余長収容ケースは、前記のように、前後両端に円弧辺を有する比較的浅底の本体と、該本体にワイヤハーネスを収容した後に被せる蓋とからなる。
前記ハーネスレールの前端から挿通してくるワイヤハーネスを前記電線余長収容ケース内で前進→前側円弧辺に沿って屈曲→後進→後側で屈曲→最前進→前記引出口から外方へ引き出しフロアハーネスとコネクタ接続している。前記引出口の近傍で電線余長収容ケースの壁に前記ワイヤハーネスをクランプで取り付けている。
【0021】
前記ハーネスレールのワイヤハーネス挿通部および前記電線余長収容ケース内に挿通するワイヤハーネスにはキャタピラ型のプロテクタを外装している。該プロテクタは、帯状の平板に長さ方向に延在すると共に幅方向に間隔をあけて設けた複数本の折曲ラインを折り曲げて筒状にし、長さ方向に間隔をあけて幅方向に切り込みを入れて一辺を連続させると共に他辺を分離し、一方側には屈曲するが他方側には屈曲しない状態で連結している。
【0022】
前記電線余長収容ケースの高さは前記プロテクタの高さに相当させ、かつ、前記ハーネスレールのハーネス挿通部の断面四角形の挿通空間は前記プロテクタの断面四角形の外面と摺接する大きさに設定している。これにより、プロテクタで外装したワイヤハーネスがガタつきなくハーネスレールのハーネス挿通部および余長吸収ケース内を摺動できるようにしている。
【発明の効果】
【0023】
前記のように、本発明のスライドシート用のワイヤハーネス配索構造は、ハーネスレールの前端に連続して電線余長収容ケースを配置し、該電線余長収容ケースは前後両端でワイヤハーネスを曲げて挿通して迂回させているが、ワイヤハーネスの引出口の位置を該電線余長収容ケースの前後方向の中間位置で且つ前記ハーネスレールの前端に当たる位置に設けて、後端で曲げた後に再前進するワイヤハーネスをハーネスレールから前進してくるワイヤハーネスと並行させないことで、ハーネスレールの側方に隣接する電線余長収容ケースの後部の幅を広げないと共に長さを従来と比べて半減できる。かつ、前記J字パターンと比較して前後寸法を短くでき、既存設置材との干渉を防止できる。
【0024】
また、ハーネスレールはシートレールの側面に沿って前端より後方へ延在させて設置し、該ハーネスレールの前端に前記電線余長収容ケースの前進挿通部分を連続して配置しているため、ハーネスレールから電線余長収容ケース内にワイヤハーネスを直線状に保持したまま引き込むことができる。よって、特許文献1のようにハーネスレールの前端から屈曲して電線余長収容ケースに引き込む場合と比較して、ワイヤハーネスの曲げ疲労を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施形態におけるスライドシートを示す概略斜視図である。
図2】前記実施形態のII−II線断面図ある。
図3】シートレールとハーネスレールと電線余長収容ケースとの位置関係およびワイヤハーネスの移動を示し、(A)はスライドシートの前方位置での状態を示す概略説明図、(B)はスライドシートの後方位置での状態を示す概略説明図、(C)は図10(B)と本発明との比較説明図である。
図4】ハーネスシートと電線余長収容ケースとの斜視図である。
図5】電線余長収容ケースのワイヤハーネスの引出口と後端円弧辺の寸法関係の説明図である。
図6】スライダを示し、(A)はスライダの斜視図、(B)はハーネスレールに嵌合した状態を示す断面図である。
図7】ワイヤハーネスに外装するプロテクタを示し、(A)は斜視図、(B)は拡大展開図である。
図8】従来例を示し、(A)は斜視図、(B)は要部断面図である。
図9】(A)(B)は前記従来例のハーネスレールと電線余長収容ケース内におけるワイヤハーネスの作動を示す図面である。
図10】(A)は前記従来例の模式図、(B)は他の電線余長収容ケースとした場合の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図7に本発明の実施形態を示す。
図1に示すように、自動車に搭載する助手席側のスライドシート1を400mm〜1200mm程度スライドできるロングスライドシートとしている。該スライドシート1に装着した電装品(図示せず)に給電するために、フロアパネル2に沿って配索するフロアハーネスとコネクタ接続するワイヤハーネス5をスライドシート1へ配線している。
【0027】
スライドシート1の下面に図2に示すように、シート脚部3を左右一対設け、各シート脚部3をフロアパネル2上に支持台50を介して搭載した左右一対のシートレール6にスライド自在に取り付けている。各シートレール6は図2に示す構造で、スライドシート1の座面下方に突出したシート脚部3の軸部3aをシートレール6内に挿入し、軸部3aから腕部3bを左右に延在させ、腕部3bの外面に軸支した車輪3cをシートレール6内の側部空間6aに回動自在に嵌合させている。シートレール6の中央の上面開口6cを挟む左右の側部空間6aの上壁6fには、その上面に車室床材となるモール10を敷設している。
【0028】
一方のシートレール6の側面には、前後直線状に延在するハーネスレール7を設置すると共に、該ハーネスレール7の前端に連続させて電線余長収容ケース8を設置している。前記フロアパネル2に配索するフロアハーネスと接続したワイヤハーネス5を電線余長収容ケース8およびハーネスレール7に連続して挿通し、ハーネスレール7に摺動自在に嵌合するスライダ9に通してスライドシート1内に配線している。前記スライダ9をスライドシート1の脚部3に連結し、スライドシート1の前後移動にスライダ9を連動させている。スライドシート1の後進時に電線余長収容ケース8に収容しているワイヤハーネス5の余長部を引き出し、スライドシート1の前進時に引き出した電線余長部を電線余長収容ケース8内でワイヤハーネスを迂回させて収容している。
【0029】
前記ハーネスレール7は図3に示すようにシートレール6の側面に沿って配置している。該ハーネスレール7は断面ボックス状のハーネス挿通部7aを囲むシートレール側辺7bと対向する外側辺7cを前後方向に直線状に延在させている。図4に示すように、ハーネス挿通部7aの上面の一側開口に連通させてスライダ摺動部7dを突設し、該スライダ摺動部7dの上面開口を前記モール10の間の開口に露出させている。前記ハーネス挿通部7aの前端7apを前記電線余長収容ケース8の前進挿通路8p1の後端開口8peに連続させている。
【0030】
電線余長収容ケース8は浅底の本体8aと、該本体8aの上面開口に被せて閉鎖する蓋8bとからなる。本体8aの底壁8uの外周縁から突設する外周壁は、前記ハーネスレール7のシートレール側辺7bの前端と連続して前方に直線状に延在するシートレール側直線辺8cと、シートレール側直線辺8cの前端から湾曲する前端円弧辺8dと、前端円弧辺8dの他端から後方へ延在する外側直線辺8eと、外側直線辺8eの後端からハーネスレール7の外側辺7cと接する位置まで湾曲する後端円弧辺8fから構成している。このように、電線余長収容ケース8内のワイヤハーネスの前進路挿通路8p1をハーネスレール7と連続して形成し、前後曲げ部を介してワイヤハーネスの後進挿通路8p2をハーネスレール7の外面辺7cから幅方向外方へ寸法(S2)だけ突出した形状として、ハーネスレールの外側辺から幅方向への突出寸法を前記特許文献1より縮小している。
【0031】
電線余長収容ケース8は浅底の本体8aの底壁8uには、ハーネスレールの外側辺7cの前端7cpの外面に接した位置にワイヤハーネス5の引出口8hを設けている。このように、ワイヤハーネス5の引出口8hをハーネスレール7のハーネス挿通部7aの前端の側面に隣接する位置に設け、電線余長収容ケース8内の後側で屈曲した後に再前進するワイヤハーネス5を引出口8hで外方へ引き出している。これにより、電線余長収容ケース8内で、ハーネスレール7から前方してくるワイヤハーネス5と後端曲げ部をへて再前進するワイヤハーネス5とが並んで挿通しないようにしている。
また、電線余長収容ケース8内において、後側屈曲部分と再前進部分で電線の余長寸法を前記図10(B)に示す電線余長収容ケースより長くしている。よって、電線余長寸法を同一とすると、電線余長収容ケースの前後長さを図3(B)に示すように、前記図10(B)より寸法L2だけ短くできる。
【0032】
電線余長収容ケース8において、図5に示すように、ハーネスレール7の外側辺7cの前端7cpの点P1と後端円弧辺8fのハーネスレール側の一端P2までの寸法(A)、後端円弧辺8fの一端P2から他端P3までの寸法(B)、引出口8hの周長を(C)とすると、A+B≦Cが成立する設定としている。
前記寸法設定とすると、後端円弧辺8fのアールを比較的大きくでき、電線余長収容ケース8内でワイヤハーネス5の後端側曲げのアールを大きくでき、曲げ疲労を低減でき、かつ、寸法(A)を小さくして、電線余長収容ケース8の前後長さを短くできる。
【0033】
また、電線余長収容ケース8では、前記ワイヤハーネスの引出口8hの周縁から周壁8iを立設している。なお、該周壁8iはC字状として後端側は立設せず、後方から再前進してくるワイヤハーネス5を引出口8hにスムーズに挿通できるようにしている。
前記ハーネスレールの外側辺7cの前端7cpに連続して周壁8iを位置させ、周壁8iとシートレール側直線辺8cとの間でワイヤハーネスの前進挿通路8p1の幅Dを規定している。また、周壁8iと外側直線辺壁8eとの間のワイヤハーネスの後進挿通路8p2の幅Dを規定している。この前進挿通路8p1と後進挿通路8p2の幅Dは後述するワイヤハーネス5に外装する外装材(プロテクタ30)の幅に対応させている。
【0034】
前記ハーネスレール7のスライダ摺動部7dに摺動自在に嵌合するスライダ9は図6(A)(B)に示す形状としている。スライダ9は樹脂成形品からなり、ハーネスレール7のスライダ摺動部7dにスライド自在に嵌合する矩形枠状のワイヤハーネス挿入部9aと、該ワイヤハーネス挿入部9aから連続させて突出するシート連結部9bを設けている。シート連結部9bは上向きに突出した後にスライドシート側の横向きに屈曲させ、さらに、シート脚部3にボルトBで固定するため後向きに屈折させ、ワイヤハーネス引出用の開口9cを設けている。該シート連結部9bの中空にワイヤハーネス挿入部9aから引き出すワイヤハーネス5を挿通し、前記開口9cを通して引き出したワイヤハーネス5をスライドシート1内のワイヤハーネスとコネクタ接続している。
【0035】
前記電線余長収容ケース8およびハーネスレール7のハーネス挿通部7aに摺動自在に挿通するワイヤハーネス5を図7(A)に示す四角筒状のキャタピラ型のプロテクタ30で外装している。該プロテクタ30は図7(B)で示すように、帯状の連続した長尺材からなる平板40を折り曲げて組み立てている。平板40には、長さ方向Xに延在する4本の折曲ライン41、42、43、44を幅方向Yの中間部に間隔をあけて設け、平板40を幅方向に5個の辺S1〜S5に区画し、折曲ライン41〜44を直角に折り曲げ、幅方向の両側辺S1とS5を重ねることで図7(A)に示すように、四角筒状に組み立てられるようにしている。
また、平板40の幅方向の両側の一方側の辺S1の側縁に係止突片45を長さ方向Xに間隔をあけて突設している。平板40の他方側の辺S5に係止突片45を挿入係止する細長い係止穴46を設けている。平板40を折曲ライン41〜44に沿って折り曲げ、辺S1とS5を重ねた状態で係止突片45を係止穴46に挿入係止することで、四角筒形状を保持できるようにしている。平板40に設ける折曲ライン41〜44は、板厚の1/3程度として形成している。
平板40には前記4本の折曲ライン41〜44を結ぶ幅方向Yの切込ライン48を長さ方向Xに間隔をあけて設け、辺S2、S3、S4を分離している。さらに、切込ライン48の中央部で辺S3の中央位置に直線を湾曲させた円弧状の切込49を設け、長さ方向に隣接する一方側を円弧状に突出させ、他方を円弧状に窪ませ、凹凸嵌合部を設けている。
【0036】
前記プロテクタ30は予め折曲ライン41〜44を折り曲げる一方、係止突片45は係止穴46に挿入せず、開いた状態でワイヤハーネス5の電線群を折り曲げたプロテクタ30の両側辺S1とS5の間の開口から挿入する。この電線群の挿入後に辺S1とS5を重ね、係止突片45を係止穴46に挿入係止し、電線群を四角筒の中に挿入した状態で外装する。プロテクタ30は四角筒の3辺S2、S3、S4が切込ライン48で長さ方向で分離され、重ねて係止した辺S1とS5が長さ方向で屈曲自在に連結された構成となり、かつ、分離された辺S3は、隣接する辺S3同士が円弧状切込で凹凸嵌合する状態となる。即ち、短尺な四角筒が屈曲自在に長さ方向に順次連結し、かつ、隣接する四角筒同士を凹凸嵌合させているため幅方向にずれない、キャタピラ状のプロテクタ30となる。
【0037】
前記構成としたワイヤハーネス配索装置では、スライドシート1の前後方向のスライドに連動して、ハーネスレール7のスライダ挿通部7dに嵌合したスライダ9が、シートレール6に沿って前後移動する。該スライダ9に通したワイヤハーネス5に外装しているプロテクタ30がハーネスレール7のハーネス挿通部7a内を前後移動し、該前後移動に応じて電線余長収容ケース8内にワイヤハーネス5が出入する。これにより、スライドシート1のスライド動作にワイヤハーネス5を滑らかに追従させることができる。
【0038】
図3(A)はスライドシート1が前方位置にある状態を示す。スライドシート1を前方から後方へとスライドさせていくと、電線余長収容ケース8内に収容されていたワイヤハーネス5がハーネスレール7へと引き出され、電線余長収容ケース8内のワイヤハーネス5の前端屈曲部および後端屈曲部が引出口8hを挟むように移動し、電線余長収容ケース8内に収容するワイヤハーネスの長さが短くなり、図3(B)に示す状態となる。
【0039】
ーネスレールの側方に全長が隣接する電線余長収容ケース内を挿通するワイヤハーネスが3カ所で並列した状態になると、ハーネスレールと電線余長収容ケースを合計した幅が広くなり、設置スペースが幅方向および長さ方向で増大する。これに対して、本発明ではハーネスレール7のハーネス挿通路7aの前端に電線余長収容ケース8内の前進経路部8p1を直線状に連続しているため、ハーネスレール7の側方に隣接する電線余長収容ケース8の長さを減少できると共に、ハーネスレール7と電線余長収容ケースを組み合わせた部分の幅を減少できる。よって、シートレール6の側方での設置スペースを減少できるため、シートレール6の側方にダクト等の既存設置物があっても干渉しない。
【0040】
また、後端で屈曲して再前進させるため、前記図10(B)に示すJ字形状の電線余長収容ケースより、本発明の電線余長収容ケース8内でのワイヤハーネスの収容長さを増大でき、電線余長収容ケース8の前後長さを短くして、前方に既存設置物との干渉を防止できる。
【0041】
さらに、電線余長収容ケース8内において、ワイヤハーネスを前後両側で屈曲させるが、後端円弧辺の曲げアール大きく保持でき、ワイヤハーネスの後端側の曲げによる疲労を低減できる。
【0042】
本発明のスライドシート用のワイヤハーネス配索装置は前記実施形態に限定されず、本発明の要旨を越えない範囲で種々に変更することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 スライドシート
2 フロアパネル
3 シート脚部
5 ワイヤハーネス
6 シートレール
7 ハーネスレール
7a ハーネス挿通部
7d スライダ摺動部
8 余長収容ケース
8h 引出口
9 スライダ
30 キャタピラ型のプロテクタ
図1
図2
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図10