特許第6052067号(P6052067)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友電装株式会社の特許一覧

特許6052067スライドシート用のワイヤハーネス配索装置
<>
  • 特許6052067-スライドシート用のワイヤハーネス配索装置 図000002
  • 特許6052067-スライドシート用のワイヤハーネス配索装置 図000003
  • 特許6052067-スライドシート用のワイヤハーネス配索装置 図000004
  • 特許6052067-スライドシート用のワイヤハーネス配索装置 図000005
  • 特許6052067-スライドシート用のワイヤハーネス配索装置 図000006
  • 特許6052067-スライドシート用のワイヤハーネス配索装置 図000007
  • 特許6052067-スライドシート用のワイヤハーネス配索装置 図000008
  • 特許6052067-スライドシート用のワイヤハーネス配索装置 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6052067
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】スライドシート用のワイヤハーネス配索装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20161219BHJP
   H02G 11/00 20060101ALI20161219BHJP
   B60N 2/12 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   B60R16/02 620A
   H02G11/00 060
   B60N2/12
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-120267(P2013-120267)
(22)【出願日】2013年6月6日
(65)【公開番号】特開2014-237356(P2014-237356A)
(43)【公開日】2014年12月18日
【審査請求日】2015年6月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100072660
【弁理士】
【氏名又は名称】大和田 和美
(72)【発明者】
【氏名】加藤 真治
(72)【発明者】
【氏名】榊原 敬和
(72)【発明者】
【氏名】大谷 努
【審査官】 佐々木 智洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−236242(JP,A)
【文献】 特開2006−074980(JP,A)
【文献】 特開2007−116779(JP,A)
【文献】 特開2009−056946(JP,A)
【文献】 特開2012−144196(JP,A)
【文献】 特開2013−049402(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
B60N 2/12
H02G 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライドシートのフレームの下面または側面に固定されるワイヤハーネスの収容ケースを備え、該収容ケースは余長部を有する前記ワイヤハーネスの電線群を1つのループを描いてJ字状に挿通する形状とし、前後直線方向に延在する横長なスライダ嵌合部と、該スライダ嵌合部の円弧側端に連続する円弧部を通して前記スライダ嵌合部と対向する他側の前後直線部へワイヤハーネスを摺動自在に挿通するワイヤハーネス挿通部を備え、
前記ワイヤハーネス挿通部の先端にスライドシート側へのワイヤハーネス引出口を設け、かつ、前記スライダ嵌合部に前記ワイヤハーネスを挿通固定するスライダを相対移動自在に嵌合させると共に、該スライダ嵌合部に前記スライダの外部突出部を突出させるスライダ用溝を全長に渡って設け、前記スライダの外部突出部からフロア側に引き出す前記ワイヤハーネスに待ち受けコネクタを接続すると共に、該待ち受けコネクタを前記スライダの外部突出部に固定して定位置に保持し、
自動車のフロアパネルに沿って配索するフロアハーネスから分岐した枝線を車室床材に穿設した引出穴から上方に引き出し、該枝線端末に接続したコネクタを前記ワイヤハーネス端末の前記待ち受けコネクタと接続しているスライドシート用のワイヤハーネス配索装置。
【請求項2】
前記収容ケースのワイヤハーネス引出口からスライドシートへ引き出すワイヤハーネスにシート係止用のクランプを固定すると共に、該ワイヤハーネスの先端にコネクタを接続し、該コネクタで前記スライドシート内に配索するシートハーネスと接続するものとし 前記収容ケースは浅底の本体と、該本体内にワイヤハーネスを挿通後に被せる蓋とからなり、
前記収容ケースを水平姿勢でスライドシートのシートフレームの下面に取り付け、又は、前記収容ケースを垂直姿勢でスライドシートのシートフレームの側面に取り付けている請求項1に記載のスライドシート用のワイヤハーネス配索装置。
【請求項3】
前記収容ケースに挿通するワイヤハーネスはキャタピラ型のプロテクタで外装し、該プロテクタは、帯状の平板に長さ方向に延在すると共に幅方向に間隔をあけて設けた複数本の折曲ラインを折り曲げて筒状とすると共に、長さ方向に間隔をあけて幅方向に切り込みを入れて一方側を分離すると共に他方側を連続させ、前記一方側には屈曲するが他方側には屈曲しない状態で連結している請求項1または請求項2に記載のスライドシート用のワイヤハーネス配索装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスライドシート用のワイヤハーネス配索装置に関し、詳しくは、自動車に搭載され、スライド量が200〜300mm程度のスライドシート用として好適に用いられるものである。
【背景技術】
【0002】
自動車のシートには電動リクライニング装置やシートヒータなど種々の電装品が装備されており、これらの電装品に給電するために、車体フロア側からシートに給電用のワイヤハーネスが配索されている。スライドシートの場合には、ワイヤハーネスをシートのスライド動作に追従させる必要があり、そのためワイヤハーネスに余長部を持たせて配索している。自動車のスライドシートのスライド寸法は通常最大200〜300mm程度である。
なお、近時、スライド量を400〜1200mmと長くしたスライドシートもあり、該スライドシートをロングスライドシートと称され、スライド量が前記200〜300mmの場合はショートスライドシートと称されている。
【0003】
ショートスライドシート用のハーネス配索装置では、ワイヤハーネスの電線余長量が200〜300mmでさほど長くないため、電線を迂回させて挿通する余長収容ケースを設けずに、スライドシートの下面とカーペット材等からなる車室床材上の間の空間に、ワイヤハーネスの余長部を弛ませている場合が多い。具体的には、フロアパネルに沿って配索されるフロアハーネスから分岐した電線を車室床材に設けた開口から引き出し、スライドシートのスライド量に相当する余長部を持たせて配線し、スライドシートの内部に配線するシートハーネスと接続している。前記ワイヤハーネスの弛ませている余長部を、スライドシートの前後移動に応じて前方または後方へと引っ張って追従させている。
【0004】
前記のように、スライドシートの下面と車室床材の上面との間の空間にワイヤハーネスの余長部を弛ませて配置し、スライドシートの前後移動に追従して余長部を前後に引っ張るだけの構成とすると、前後移動時にワイヤハーネスの経路規制がなされていないため、ワイヤハーネスが周辺機器に干渉する恐れがある。かつ、スライドシートと車室床材の間の空間を物入れ等に利用できず、かつ、該空間に乗員が荷物等を押し込むとワイヤハーネスと干渉し、ワイヤハーネスの移動が阻害され、損傷発生の要因になる。
【0005】
また、スライドシート用のワイヤハーネス配索装置として、特開2010−193599号公報(特許文献1)に図7(A)(B)および図8(A)(B)に示す装置が提供されている。該装置では、スライドシート100のシートレール101の側方に隣接して平行にワイヤハーネス用レール102がフロアに敷設されると共に、該ワイヤハーネス用レール102の側方に隣接して平行に電線余長収容ケース110が設置されている。即ち、スライドシート100のシートレール101の側方に別体のワイヤハーネス用レール102と電線余長収容ケース110とが平行配置されている。スライドシート100に配線されるワイヤハーネW/Hは電線余長収容ケース110内に挿通され、該電線余長収容ケース110からワイヤハーネス用レール102へ挿通され、該ワイヤハーネス用レール102内でスライドシート100と連動するスライダ105内を通されてスライドシート100に配線されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−193599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の装置は、スライドシートのスライド量が400〜1200mm程度の比較的長いロングスライドシートに適したものであり、ワイヤハーネスW/Hの余長部を電線余長収容ケース110内に挿通して迂回させているため、ワイヤハーネスの経路規制ができると共に、ワイヤハーネスが直接に周辺機器と接触する問題がない。しかしながら、ワイヤハーネス用レール102および電線余長収容ケース110をシートレール101に沿って車室床材の下部に敷設する必要がある。これらの専用部品は大型であるため、部品コストがかかると共に設置作業コスト等が増加する問題がある。かつ、車室下部に既に設置しているエアダクト等の既存物とワイヤハーネス用レール102および電線余長収容ケース110が干渉する問題もある。さらに、電線余長収容ケース110は浅底の樹脂ケースからなるため、フロア置き荷物や足踏みによる負荷で破損が生じる恐れがある。
【0008】
本発明は前記問題に鑑みてなされたもので、スライドシートのスライド量が200〜300mm程度の一般的なスライドシートのワイヤハーネス配索装置において、フロア側に専用部品の設置を無くして既存の周辺部品と干渉させず、かつ、設置作業を容易とすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明は、スライドシートのフレームの下面または側面に固定されるワイヤハーネスの収容ケースを備え、該収容ケースは余長部を有する前記ワイヤハーネスの電線群を1つのループを描いてJ字状に挿通する形状とし、前後直線方向に延在する横長なスライダ嵌合部と、該スライダ嵌合部の円弧側端に連続する円弧部を通して前記スライダ嵌合部と対向する他側の前後直線部へワイヤハーネスを摺動自在に挿通するワイヤハーネス挿通部を備え、
前記ワイヤハーネス挿通部の先端にスライドシート側へのワイヤハーネス引出口を設け、かつ、前記スライダ嵌合部に前記ワイヤハーネスを挿通固定するスライダを相対移動自在に嵌合させると共に、該スライダ嵌合部に前記スライダの外部突出部を突出させるスライダ用溝を全長に渡って設け、前記スライダの外部突出部からフロア側に引き出す前記ワイヤハーネスに待ち受けコネクタを接続すると共に、該待ち受けコネクタを前記スライダの外部突出部に固定して定位置に保持し、
自動車のフロアパネルに沿って配索するフロアハーネスから分岐した枝線を車室床材に穿設した引出穴から上方に引き出し、該枝線端末に接続したコネクタを前記ワイヤハーネス端末の前記待ち受けコネクタと接続しているスライドシート用のワイヤハーネス配索装置を提供している。
【0010】
前記のように、本発明ではスライドシートに収容ケースを固定し、フロア側のワイヤハーネスと接続して定位置に保持されるスライダに対して、スライドシートと連動する収容ケースを移動させ、該収容ケース内にJ字状に迂回して収容しているワイヤハーネスの余長部をスライドシートの移動に応じて追従させている。
【0011】
このように、スライドシートに固定した収容ケース内に収容するワイヤハーネスの余長部は、スライドシートの移動に応じて収容ケース内を移動するだけで、スライドシートと連動して移動する収容ケースに相対移動自在に嵌合したスライダは移動せず、定位置からフロア側にワイヤハーネスを引き出している。即ち、スライドシートとフロア側車室床材との間にワイヤハーネスの余長部を配置しないため、該ワイヤハーネスの余長部がスライドシートと連動して移動することは無く、周辺機器とワイヤハーネスが干渉するのを防止できる。かつ、スライドシートの下部スペースを有効利用できる。また、特許文献1のように、フロア側に大型のワイヤハーネス用レールや電線余長収容ケースを設置する必要がないため、設置作業を不要にでき、かつ、既存の設置物と干渉することもない。
【0012】
前記収容ケースのワイヤハーネス引出口からスライドシートへ引き出すワイヤハーネスにシート係止用のクランプを固定すると共に、該ワイヤハーネスの先端にコネクタを接続し、該コネクタで前記スライドシート内に配索するシートハーネスと接続するものとし、前記収容ケースは浅底の本体と、該本体内にワイヤハーネスを挿通後に被せる蓋とからなり、
前記収容ケースを水平姿勢でスライドシートのシートフレームの下面に取り付け、又は、前記収容ケースを垂直姿勢でスライドシートのシートフレームの側面に取り付けていることが好ましい。
【0013】
前記収容ケース内にワイヤハーネスを通した状態で、自動車に搭載したスライドシートのシートフレームの下面または側面に前記収容ケースを取り付け、かつ、該収容ケースのワイヤハーネス引出口から引き出したワイヤハーネス端末のコネクタをスライドシート内に配線しているシートハーネスのコネクタと接続して組みつけている。このワイヤハーネスのコネクタ接続が容易にできるように、収容ケース内に収容しているワイヤハーネスの余長部を前記ワイヤハーネス引出口から引き出し、コネクタ接続後に前記シート係止用のクランプをシートに係止して、該収容ケースのワイヤハーネス引出口の近傍でワイヤハーネスを固定している。
このように、ワイヤハーネスをシート係止用のクランプでシートに係止する前に、収容ケース内に挿通したワイヤハーネスの余長部をシート側に引き出せるようにしておくと、収容ケースに挿通したワイヤハーネスとシートハーネスとのコネクタ接続作業が容易に行える。
【0014】
ワイヤハーネスを挿通する前記収容ケースは前記のように浅底の本体と、該本体内にワイヤハーネスを挿通後に被せる蓋とからなる。
ワイヤハーネスを挿通する前記収容ケースを、スライドシートのシートフレームの下面に固定する場合は水平姿勢で取り付け、シートフレームの側板に固定する場合は垂直姿勢で取り付けている。垂直姿勢とする場合、該収容ケースの前記スライダ嵌合部を下方に配置し、円弧状としたワイヤハーネス挿通部を上方に配置している。
【0015】
前記スライダは、前記収容ケースのスライダ嵌合部に相対移動自在に嵌合する上部筒部と、前記スライダ用溝から突出する外部突出部とを連続して設け、該外部突出部を上部筒部と連通する筒部とし、該上部筒部に挿入するワイヤハーネス端末に接続したコネクタを外部突出部内に固定して、前記のように、待ち受けコネクタとしている。
【0016】
前記収容ケースに挿通するワイヤハーネスはキャタピラ型のプロテクタで外装し、
前記プロテクタは、帯状の平板に長さ方向に延在すると共に幅方向に間隔をあけて設けた複数本の折曲ラインを折り曲げて筒型とすると共に、長さ方向に間隔をあけて幅方向に切り込みを入れて筒型の一方側を分離させると共に他方側を連続させ、前記一方側は屈曲するが他方側は屈曲しない状態で連結している。
【0017】
前記キャタピラ型のプロテクタは、四角筒状の本体に長さ方向に間隔をあけて切り込みをいれて、前記のように、一方側には屈曲するが他方側には屈曲しないキャタピラ型としていることが好ましい。
前記四角筒状のキャタピラ型のプロテクタは、帯状の平板に長さ方向に延在する4本の折曲ラインを幅方向の中間部に間隔をあけて設け、かつ、該幅方向の両側縁の一方側に係止突片を突設すると共に他方側に前記係止突片を挿入係止する係止穴を設け、前記折曲ラインに沿って折り曲げて四角筒形状とすると共に係止突片を係止穴に挿入係止して四角筒状を保持し、さらに、前記幅方向の切込ラインを長さ方向に間隔をあけて設けて四角筒の3辺を分離して折り曲げ自在に連結された形状としていることが好ましい。
【0018】
前記収容ケースおよびスライダに貫通するワイヤハーネスに前記四角筒状のキャタピラ型のプロテクタを外装した場合、収容ケースの高さは前記プロテクタの高さに相当させ、かつ、前記スライダは断面四角形状の角筒とすると、プロテクタをガタツキなく通すことができる。
【発明の効果】
【0019】
前記のように、本発明のスライドシート用のワイヤハーネス配索装置は、ワイヤハーネスの余長部をJ字状に挿通する収容ケースをスライドシートに固定し、スライドシートの移動に収容ケースを連動させる一方、該収容ケースに相対移動可に組みつけたスライダは移動させず、該スライダを通してワイヤハーネスをフロア側に引き出している。
このように、ワイヤハーネスの余長部をスライドシートに固定した収容ケース内に通し、該収容ケースからワイヤハーネスの余長部を外部に引き出さず、定位置からワイヤハーネスを引き出している。よって、スライドシートの移動に連動してシート下部でワイヤハーネスの余長部が追従移動することはなく、周辺機器にワイヤハーネスが干渉することはない。かつ、スライドシートの下部空間を有効利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明のワイヤハーネス配索装置の実施形態のスライドシートを示す概略全体斜視図である。
図2図1の要部断面図である。
図3】前記装置に用いる収容ケースを示し、(A)は概略側面図、(B)はスライド時のワイヤハーネスの動きを示す図面である。
図4】スライダとワイヤハーネスの連結状態を示す断面図である。
図5】収容ケースからスライドシートへ引き出すワイヤハーネスを示し、(A)はスライドシートに収容ケースを固定する時の側面図、(B)は収容ケースを挿通するワイヤハーネスをスライドシートのシートハーネスと接続する時の側面図、(C)は参考図である。
図6】ワイヤハーネスに外装するプロテクタを示し、(A)は斜視図、(B)は拡大展開図である。
図7】従来例を示し、(A)は全体斜視図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
図8】(A)(B)は前記従来例の作動説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図6に本発明の実施形態を示す。
図1に示すように、自動車に搭載するスライドシート1を200〜300mm程度スライドできるスライドシートとしている。該スライドシート1に左右一対で設けるシート脚部3に取り付けた車輪3cを車室床材に敷設する左右一対のシートレール6にスライド自在に取り付けている。
【0022】
前記スライドシート1のシートフレームの側板40の外面に、余長部を設けたワイヤハーネス5を挿通する収容ケース10を垂直姿勢に固定し、サイドカバー8で覆っている。前記スライドシート1に装着した電装品(図示せず)に給電するために、フロア側からスライドシート1へワイヤハーネスを配線し、スライドシート1内に配索しているシートハーネスに接続している。詳細には、図2に示すように、フロアパネル2に沿って配索しているフロアハーネス50の幹線50aから分岐した枝線50bをカーペット材等からなる車室床材4に設けたワイヤハーネス用穴4hから引き出し、前記収容ケース10内に挿通するワイヤハーネス5とコネクタ接続している。該ワイヤハーネス5を収容ケース10に設けたワイヤハーネス引出口10eから引き出して前記シートハーネス60(図5に示す)とコネクタ接続している。
【0023】
前記収容ケース10は図3に示すように、ワイヤハーネス5を1つのループを描いて倒J字状に挿通する形状とており、比較的浅底の本体にワイヤハーネス5を収容した後に被せる蓋とからなる。詳細には、収容ケース10は前後方向に直線状に延在する横長のスライダ嵌合部10aを下部に備え、その上部にワイヤハーネス挿通部10bを設けている。該ワイヤハーネス挿通部10bはスライダ嵌合部10aの円弧側端に連続する後端側円弧部10cと、前記スライダ嵌合部10aの長さ方向の中間部に連続する前側円弧部10hと、前記後端側円弧部10cと前側円弧部10hの間で前記スライダ嵌合部10aと対向する上辺に沿った前後直線部10dを備え、前側円弧部10hと前後直線部10dの前端との接合位置に前記ワイヤハーネス引出口10eを設けている。
【0024】
前記ワイヤハーネス挿通部10bでは、スライダ嵌合部10aに連続する円弧部10cの内周に沿ってワイヤハーネス5を1回ループさせた後、前後直線部10dを経て前端のワイヤハーネス引出口10eよりスライドシート1内へワイヤハーネス5を引き出している。該収容ケース10のワイヤハーネス引出口10eよりスライドシート1へ引き出すワイヤハーネス5には図5に示すようにシート係止用のクランプ14を予め取り付けており、該クランプ14をワイヤハーネス引出口10eの近傍でスライドシート1のシートフレームに挿入係止している。即ち、ワイヤハーネス5は収容ケース10のワイヤハーネス引出口10eを出た位置でスライドシート1に固定している。
【0025】
前記スライダ嵌合部10a内に、ワイヤハーネス5を挿通固定するスライダ9の上部筒部9aを相対移動自在に嵌合している。該スライダ嵌合部10aの底面にスライダ用溝10mを全長に渡って設け、スライダ9の下部に設けた外部突出部9bをスライダ用溝10mから車室床材側へ突出している。
【0026】
図4に示すように、スライダ9の上部筒部9aを通したワイヤハーネス5の端末にコネクタ25を接続し、該コネクタ25を下部突出部9bに内嵌固定し、該下部突出部9bの下端開口に面して配置して、コネクタ25を待ち受けコネクタとしている。該待ち受けコネクタとなるコネクタ25に対して、前記のように、車室床材4に設けたワイヤハーネス用穴4hから引き出したフロアハーネス50の枝線50bの端末に接続したコネクタ26を嵌合してコネクタ接続するものとしている。
【0027】
収容ケース10のスライダ嵌合部10aに嵌合するスライダ9は、スライドシート1が前後移動する際、収容ケース10がスライドシート1と連動してスライダ9に沿って移動し、スライダ9は移動しない。即ち、収容ケース10とスライダ9とは、収容ケース10が移動してスライダ9は移動しない関係で相対移動することになる。その結果、スライダ9に固定したコネクタ25も移動せず定位置にあり、該コネクタ25とコネクタ26を介して接続フロアハーネス50の枝線50bも移動せず、定位置に保持される。
【0028】
前記収容ケース10内に摺動自在に収容するワイヤハーネス5に、図6(A)に示す四角筒状のキャタピラ型のプロテクタ30を外装している。該プロテクタ30は図6(B)に示す帯状の連続した長尺材からなる平板40を折り曲げて組み立てている。平板40には、長さ方向Xに延在する4本の折曲ライン41、42、43、44を幅方向Yの中間部に間隔をあけて設け、平板40を幅方向に5個の辺S1〜S5に区画し、折曲ライン41〜44を直角に折り曲げ、幅方向の両側辺S1とS5を重ねることで図6(A)に示すように、四角筒状に組み立てている。
【0029】
また、平板40の幅方向の両側の一方側の辺S1の側縁に係止突片45を長さ方向Xに間隔をあけて突設している。平板40の他方側の辺S5に係止突片45を挿入係止する細長い係止穴46を設けている。平板40を折曲ライン41〜44に沿って折り曲げ、辺S1とS5を重ねた状態で係止突片45を係止穴46に挿入係止することで、四角筒形状を保持できるようにしている。
平板40には前記4本の折曲ライン41〜44を結ぶ幅方向Yの切込ライン48を長さ方向Xに間隔をあけて設け、辺S2、S3、S4を分離している。さらに、切込ライン48の中央部で辺S3の中央位置に直線を湾曲させた円弧状の切込49を設け、長さ方向に隣接する一方側を円弧状に突出させ、他方を円弧状に窪ませ、凹凸嵌合部を設けている。平板40に設ける折曲ライン41〜44は、断面円弧状に窪ませたラインとしている。
【0030】
前記プロテクタ30は予め折曲ライン41〜44を折り曲げる一方、係止突片45は係止穴46に挿入せず、開いた状態でワイヤハーネス5の電線群を折り曲げたプロテクタ30の両側辺S1とS5の間の開口から挿入する。この電線群の挿入後に辺S1とS5を重ね、係止突片45を係止穴46に挿入係止し、電線群を四角筒の中に挿入した状態で外装する。
前記プロテクタ30は四角筒の3辺S2、S3、S4が切込ライン48で長さ方向で分離され、重ねて係止した辺S1とS5が長さ方向で屈曲自在に連結された構成となり、かつ、分離された辺S3は、隣接する辺S3同士が円弧状切込で凹凸嵌合する状態となる。即ち、短尺な四角筒が屈曲自在に長さ方向に順次連結し、かつ、隣接する四角筒同士を凹凸嵌合させているため幅方向にずれない、キャタピラ状のプロテクタとなる。
前記キャタピラ型のプロテクタ30を用いると、収容ケース10内でガタつき無く内嵌できると共に、安定した姿勢で移動させることができる。
【0031】
次に、スライドシート1の前後移動に追従するワイヤハーネス5の動きについて、図3(B)を参照して説明する。
図3(B)の上段の図はスライドシート1が後退した状態を示し、収容ケース10も連動して後退するがスライダ9は定位置にあるため、スライダ嵌合部10a内の前端側に位置し、ワイヤハーネス挿通部10b内でワイヤハーネス5のループは前部側の円弧部10hに沿う状態となる。
図3(B)の下段の図はスライドシート1が前進した状態を示し、収容ケース10も連動して前進するが、スライダ9は定位置であるため、スライダ嵌合部10a内の後端側に位置し、ワイヤハーネス挿通部10b内でワイヤハーネス5のループは後端側の円弧部10cに沿う。
【0032】
前記のように、スライドシート1のスライドに応じて、ワイヤハーネス5の余長吸収をスライドシート1に固定した収容ケース10内で行っている。スライドシート1と共に移動する収容ケース10に対して、ワイヤハーネスに固定したスライダ9は定位置に保持されるため、接続するフロアハーネスの枝線50bと定位置で連結できる。このように、ワイヤハーネスの余長部は収容ケース10から床へ出ないため、周辺機器と干渉するのを防止でき、かつ、スライドシートの下部空間を有効利用できる。
【0033】
前記ワイヤハーネス5を挿通した収容ケース10を、自動車に搭載したスライドシート1に組みつけて、シートハーネス50と接続する手順について説明する。
【0034】
図5(A)は、収容ケース10をスライドシート1のシートフレーム40の側面に固定した組付状態を示す。この状態で、収容ケース10のワイヤハーネス引出口10eから引き出すワイヤハーネス5はシート係止用のクランプ14でワイヤハーネス引出口10eの近傍のシートフレーム40に固定され、該クランプ14の取付位置と近接したワイヤハーネス端末にコネクタ35が取り付けられている。該コネクタ35はスライドシート1内に配線しているシートハーネス60のコネクタ61と嵌合される。
図5(C)の参考図に示すように、スライドシート1への固定前からワイヤハーネス5を収容ケース10のワイヤハーネス引出口10eにテープTで巻き付け固定しておくと、ワイヤハーネス引出口10eから引き出されるワイヤハーネス5の長さ(S)が短くなる。よって、スライドシート1のシートハーネス60のコネクタ61と、ワイヤハーネス5のコネクタ35の接続作業が難しい。
【0035】
よって、本発明では、収容ケース10をスライドシート1のシートフレーム40と固定する前は、収容ケース10のワイヤハーネス引出口10eでワイヤハーネス5をテープ巻き固定せずにフリーとし、図5(B)に示すように、ワイヤハーネス引出口10eよりワイヤハーネス5を最大長さで引き出している。其の際、収容ケース10内を通るワイヤハーネス5は他端のスライダ9との固定側はスライダ嵌合部10aに沿って前後方向に移動自在であるため、ワイヤハーネス引出口10eと最も近接した長さ方向の中間位置に移動し、前側円弧部10hに沿うだけでワイヤハーネス引出口10eからワイヤハーネス5を引き出している。これにより、ワイヤハーネス引出口10eから引き出されるワイヤハーネス5の長さ(S)を図5(C)のテープ巻き固定した場合より非常に長くしている。
【0036】
前記のように収容ケース10のワイヤハーネス引出口10eより引き出すワイヤハーネス5の長さを大きくした状態で、スライドシート1内のシートハーネス60のコネクタ61と接続し、かつ、該収容ケース10をスライドシート1のシートフレーム40にボルト固定する。
その後、図5(A)に示すように、ワイヤハーネス引出口10eより引き出したワイヤハーネス5を収容ケース10内に戻すと共に、クランプ14をシートフレーム40に設けた係止穴に挿入係止する。
【0037】
前記手順でワイヤハーネス5をシートハーネス60と接続し、収容ケース10をスライドシート1に固定すると、ワイヤハーネス5の余長部が短くとも、シートハーネス60と容易にコネクタ接続作業を行うことができる。
【0038】
本発明のスライドシート用のワイヤハーネス配索装置は前記実施形態に限定されず、本発明の要旨を越えない範囲で種々に変更することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 スライドシート
2 フロアパネル
3 シート脚部
4 車室床材
5 ワイヤハーネス
9 スライダ
10 収容ケース
10a スライダ嵌合部
10b ワイヤハーネス挿通部
30 キャタピラ型のプロテクタ
40 シートフレーム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8