(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
運転席と助手席との間にコンソールボックスを配置させた車両に搭載されて、走行時の左右方向の一方側からの側面衝突時に、前記運転席若しくは前記助手席において衝突側から遠い離隔側座席に着座した離隔側乗員を保護可能に構成されるエアバッグ装置であって、
内部に膨張用ガスを流入させて、前記離隔側乗員と前記コンソールボックスとの間の隙間を埋めるように膨張するエアバッグを、備える構成とされ、
前記エアバッグが、
膨張完了時の前端を前記離隔側座席における座部の前端と略一致させ、膨張完了時の後端を前記コンソールボックスの後端と略一致させるように配置されて、前記離隔側乗員の腰部を支持する支持膨張部を、備える構成とされるとともに、
前記コンソールボックスにおける前記離隔側座席側の側面に、カバーパネルに覆われるようにして収納され、展開膨張時に、該カバーパネルを外すようにして、前記コンソールボックスの側面から突出する構成とされていることを特徴とするエアバッグ装置。
運転席と助手席との間にコンソールボックスを配置させた車両に搭載されて、走行時の左右方向の一方側からの側面衝突時に、前記運転席若しくは前記助手席において衝突側から遠い離隔側座席に着座した離隔側乗員を保護可能に構成されるエアバッグ装置であって、
内部に膨張用ガスを流入させて、前記離隔側乗員と前記コンソールボックスとの間の隙間を埋めるように膨張するエアバッグを、備える構成とされ、
前記エアバッグが、
膨張完了時の前端を前記離隔側座席における座部の前端と略一致させ、膨張完了時の後端を前記コンソールボックスの後端と略一致させるように配置されて、前記離隔側乗員の腰部を支持する支持膨張部と、
膨張完了時に、前記コンソールボックスの上面と略一致した位置に配置されて弁機構を備えてなる隔壁部により、前記支持膨張部と区画されて、前記コンソールボックスより上方に延びるように形成されるとともに、膨張した前記支持膨張部の前記コンソールボックス側への押圧作用時に、前記弁機構の開弁により、前記支持膨張部と連通される上側膨張部と、
を有することを特徴とするエアバッグ装置。
前記エアバッグが、前記コンソールボックスにおける前記離隔側座席側の側面に、カバーパネルに覆われるようにして収納され、展開膨張時に、該カバーパネルを外すようにして、前記コンソールボックスの側面から突出する構成とされていることを特徴とする請求項3に記載のエアバッグ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1に記載の乗員保護装置では、側面衝突時に、コンソールボックスの上方に膨張させた第1のエアバッグを用いて、衝突側に移動する離隔側乗員を、近接側座席の前方に膨張する第2のエアバッグにより受け止めて保護する構成であることから、離隔側乗員の移動量が大きく、移動量を抑制して離隔側乗員を保護する点に、改善の余地があった。また、上記特許文献2に記載のエアバッグ装置では、膨張したエアバッグはコンソールボックスの側方のみを覆うように配置される構成であることから、側面衝突時に、離隔側乗員が衝突側に向かうように斜め前方に向かって移動する場合、離隔側乗員をエアバッグにより的確に保護し難かった。
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、側面衝突時に、斜め前方に向かって移動する離隔側乗員を、移動量を抑制して、的確に保護可能なエアバッグ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るエアバッグ装置は、運転席と助手席との間にコンソールボックスを配置させた車両に搭載されて、走行時の左右方向の一方側からの側面衝突時に、運転席若しくは助手席において衝突側から遠い離隔側座席に着座した離隔側乗員を保護可能に構成されるエアバッグ装置であって、
内部に膨張用ガスを流入させて、離隔側乗員とコンソールボックスとの間の隙間を埋めるように膨張するエアバッグを、備える構成とされ、
エアバッグが、
膨張完了時の前端を離隔側座席における座部の前端と略一致させ、膨張完了時の後端をコンソールボックスの後端と略一致させるように配置されて、離隔側乗員の腰部を支持する支持膨張部を、備える構成とされる
とともに、
コンソールボックスにおける離隔側座席側の側面に、カバーパネルに覆われるようにして収納され、展開膨張時に、カバーパネルを外すようにして、コンソールボックスの側面から突出する構成とされていることを特徴とする。
【0008】
本発明のエアバッグ装置では、側面衝突時に、離隔側座席に着座している離隔側乗員とコンソールボックスとの間の隙間を埋めるようにエアバッグが膨張する構成であり、このエアバッグは、前端を座部の前端と略一致させ、後端をコンソールボックスの後端と略一致させるように、離隔側乗員の衝突側を前後で広く覆い、かつ、離隔側乗員の腰部を支持する支持膨張部を備える構成であることから、側面衝突時に、離隔側乗員が、衝突側となる斜め前方に向かって移動する場合にも、斜め前方に移動する離隔側乗員の腰部を、支持膨張部においてコンソールボックスより前方に突出している部位により、支持させることができる。このとき、本発明のエアバッグ装置では、支持膨張部においてコンソールボックスの側方に配置される部位が、コンソールボックスと座部との間に入り込むように強固に保持された状態で膨張することから、斜め前方に移動する離隔側乗員の腰部を、支持膨張部によって安定して的確に拘束することができる。そのため、離隔側乗員が衝突側に向かって大きく移動することを、抑制できる。
【0009】
したがって、本発明のエアバッグ装置では、側面衝突時に、斜め前方に向かって移動する離隔側乗員を、移動量を抑制して、的確に保護することができる。
さらに、本発明のエアバッグ装置では、エアバッグを、コンソールボックスにおける離隔側座席側の側面に、カバーパネルに覆われるようにして収納させ、展開膨張時に、カバーパネルを外すようにして、コンソールボックスの側面から突出させる構成としており、カバーパネルを介在させる構成であるものの、エアバッグをコンパクトに収納させることができ、かつ、コンソールボックスと離隔側座席の座部との間で、エアバッグを、迅速かつ円滑に展開膨張させることができる。
【0010】
また、本発明のエアバッグ装置において、エアバッグを、膨張完了時に、コンソールボックスより上方に延びるように形成される上側膨張部を、備える構成とし、
上側膨張部を、膨張した支持膨張部のコンソールボックス側への押圧作用時に開弁される弁機構を介して、支持膨張部と連通させる構成とすることが、好ましい。
【0011】
エアバッグ装置を上記構成とすれば、側面衝突時において、離隔側乗員が斜め前方ではなく衝突側(コンソールボックス側)に向かって移動した際に、支持膨張部と当接して、支持膨張部を強く押圧すれば、弁機構が開弁されて、上側膨張部内に膨張用ガスが流入し、コンソールボックスから上方に突出するようにして、上側膨張部が膨張することとなる。側面衝突時に、離隔側乗員がコンソールボックス側へ移動すると、まず、支持膨張部によって腰部が受け止められることとなるが、このとき、コンソールボックスより上方に位置している離隔側乗員の上半身、特に、肋骨部が、コンソールボックスの上縁の角部に干渉しようと、腰部とともに、コンソールボックス側に強く押し付けられることとなる。しかしながら、上記構成のエアバッグ装置では、支持膨張部の上方に、コンソールボックスから上方に突出するように、上側膨張部が膨張していることから、コンソールボックスの上縁の角部が、離隔側乗員の肋骨部と干渉することを、的確に防止することができ、コンソールボックスに向かって移動する離隔側乗員も、的確に保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態であるエアバッグ装置が搭載される車両を上方から見た概略部分拡大平面図である。
【
図2】実施形態のエアバッグ装置を衝突側から見た状態の側面図である。
【
図3】実施形態のエアバッグ装置の縦断面図であり、
図2のIII−III部位に対応する。
【
図4】実施形態のエアバッグ装置に使用するエアバッグの側面図である。
【
図5】
図4のエアバッグを単体で膨張させた状態の断面図であり、
図4のV−V部位に対応する。
【
図6】
図4のエアバッグを単体で膨張させた状態の断面図であり、
図4のVI−VI部位に対応する。
【
図7】実施形態のエアバッグ装置において、エアバッグ内に配置される弁機構の作動状態を説明する概略図である。
【
図8】実施形態のエアバッグ装置において、エアバッグにおける支持膨張部のみが膨張を完了させた状態を示す衝突側から見た状態の側面図である。
【
図9】実施形態のエアバッグ装置において、エアバッグ全体が膨張を完了させた状態を示す衝突側から見た状態の側面図である。
【
図10】実施形態のエアバッグ装置において、エアバッグの膨張完了状態を示す縦断面図である。
【
図11】実施形態のエアバッグ装置において、エアバッグの膨張完了状態を示す概略部分拡大平面図である。
【
図12】実施形態のエアバッグ装置において、膨張完了させたエアバッグが離隔側乗員を支持して移動を抑制している状態を説明する概略部分拡大平面図である。
【
図13】実施形態のエアバッグ装置において、エアバッグの膨張完了状態を示す車両前方側から見た概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、実施形態において、前後・上下・左右の方向は、特に断らない限り、車両の前後,上下,左右の方向と一致するものである。
【0015】
実施形態では、車両Vが、走行時に、右方(運転席DS側)から側面衝突された場合(衝撃力を受けた場合)を例に採り説明する。すなわち、実施形態では、
図1に示すように、右側RWに位置する運転席DSが衝突側(衝撃力作用側)に近い近接側座席とされ、左側LWに位置する助手席PSが衝突側(衝撃力作用側)から遠い離隔側座席とされて、助手席PSに着座した助手席搭載者MPを、離隔側乗員として、保護するエアバッグ装置Mを、例に採り説明する。なお、実施形態では、右側RW(側方)のみから衝撃力を受ける単なる側面衝突のみならず、右斜め前方から衝撃力を受ける斜突も、側面衝突に含めるものとする。
【0016】
実施形態のエアバッグ装置Mは、
図2,3に示すように、運転席DSと助手席PSとの間に配置されるコンソールボックス7の左側面7b側(助手席PS側の面)に配置されるもので、折り畳まれて収納されるエアバッグ15と、エアバッグ15に膨張用ガスを供給するインフレーター10と、を備え、左側面側を、カバーパネル8により覆われている。カバーパネル8は、コンソールボックス7の左側面7b側を全面にわたって覆うように構成されるもので、合成樹脂製として、図示しない係止爪等を利用してコンソールボックス7に取り付けられ、エアバッグ15の展開膨張時にコンソールボックス7から外れて、エアバッグ15を突出させる構成とされている。
【0017】
インフレーター10は、
図2,3に示すように、外形形状を略円柱状としたシリンダタイプとして構成されるもので、コンソールボックス7の左側面7b側において、底部近傍となる位置に配置されて、車両のボディ1側から延びるブラケット2に取り付けられている。インフレーター10は、実施形態の場合、
図2,3に示すように、略円柱状の本体11と、本体11の外周側を覆うように配置される取付ブラケット12と、を備えている。本体11は、軸方向を前後方向に略沿わせるように配置されるもので、実施形態の場合、前端側に配置される小径の部位に、ガス吐出口11aを配置させ、後端側に、図示しないエアバッグ作動回路と電気的に接続されるリード線11bを結線させて構成されている。取付ブラケット12は、本体11を保持可能な略円筒状の保持部12aと、保持部12aから右側に突出する取付ボルト12bと、を備えている。取付ボルト12bは、保持部12aの軸方向(前後方向)に沿って、2箇所に形成されている。
【0018】
そして、実施形態の場合、インフレーター10は、エアバッグ15に形成される後述する取付孔19から取付ボルト12bを突出させ、リード線11bを外部に突出させるようにして、エアバッグ15の後述する支持膨張部16内に収納された状態で、エアバッグ15から突出している取付ボルト12bを、ボディ1側のブラケット2にナット13止めすることにより、エアバッグ15とともにブラケット2に取り付けられる構成である。
【0019】
エアバッグ15は、インフレーター10から吐出される膨張用ガスを内部に流入させて、実施形態の場合、
図9〜11に示すように、コンソールボックス7と、離隔側乗員としての助手席PSに着座した助手席搭載者MPと、の間の隙間を埋めるように、略板状に膨張する構成とされている。具体的には、エアバッグ15は、
図4〜6に示すように、膨張完了時に助手席搭載者MPの腰部MWを支持する支持膨張部16と、膨張完了時に支持膨張部16の上側に配置される上側膨張部21と、を備えている。実施形態の場合、エアバッグ15は、
図4〜6に示すように、外形形状を略同一とされて、膨張完了時に助手席搭載者MP側となる内側(左側)に配置される内側壁部15aと、コンソールボックス7側となる外側(右側)に配置される外側壁部15bと、を有し、この内側壁部15aと外側壁部15bとの周縁相互を結合(縫着)させて、袋状とされている。実施形態の場合、エアバッグ15は、ポリアミド糸やポリエステル糸等からなる可撓性を有した織布の表面にシリコン等のコーティング剤を塗布したコート布から、形成されている。また、実施形態では、エアバッグ15は、内側壁部15aと外側壁部15bとを重ねるように平らに展開した状態から、前後左右の幅寸法を縮められて、コンソールボックス7の左側面7bを略全面にわたって覆うように折り畳まれた状態で(
図2参照)、左側面側をカバーパネル8に覆われて車両Vに搭載されている。
【0020】
支持膨張部16は、膨張完了時に、前端16aを、助手席PSにおける座部4の前端4aと略一致させ、後端16bを、コンソールボックス7の後端7cと略一致させるように(
図8,9参照)、前後方向に沿った長尺状とされている。また、実施形態の場合、支持膨張部16は、膨張完了時の上端16cを、コンソールボックス7の上面7aと略一致させるように、構成されている(
図9参照)。詳細には、支持膨張部16は、
図4,6に示すように、コンソールボックス7と助手席搭載者MPとの間に介在される後側部位17と、後側部位17から前方に延びて(コンソールボックス7より前方に突出して)膨張完了時に助手席搭載者MPの大腿部MTの右側RWを覆うように配置される前側部位18(
図8,9差参照)と、を備える構成である。そして、この支持膨張部16は、後側部位17の下端側部位17aを、コンソールボックス7の側方においてコンソールボックス7と座部4との間に入り込ませるように膨張して(
図10参照)、膨張完了時に、後側部位17の下端側部位17aを、コンソールボックス7と座部4とに強固に保持されることとなる。支持膨張部16の下端側において外側壁部15bの部位には、インフレーター10の取付ボルト12bを挿通させるための取付孔19が、前後2箇所に、形成されている(
図4参照)。
【0021】
上側膨張部21は、エアバッグ15の膨張完了時に、コンソールボックス7より上方に延びるように配置されるもので、実施形態の場合、支持膨張部16において、後側部位17の上方となる位置のみ(コンソールボックス7の上側の領域のみ)に、形成されている(
図4,9参照)。この上側膨張部21は、側面衝突時に、コンソールボックス7側へ移動する助手席搭載者MPと、コンソールボックス7と、の干渉を抑制するために配置されるもので、膨張完了時の高さ寸法を、コンソールボックス7の左上角7dの助手席搭載者MPの肋骨部との干渉を抑制可能な寸法に、設定されている。また、上側膨張部21は、膨張完了時の上端21aを、車両VのベルトラインBLより下方に位置させるように、構成されている(
図13参照)。この上側膨張部21は、膨張した支持膨張部16のコンソールボックス7側への押圧作用時に開弁される弁機構24を介して、支持膨張部16と連通されている。具体的には、上側膨張部21と支持膨張部16における後側部位17とは、
図4〜6に示すように、弁機構24を備えた隔壁部23により相互に区画されている。
【0022】
隔壁部23は、エアバッグ15と同様に、ポリアミド糸やポリエステル糸からなる可撓性を有した織布の表面にシリコン等のコーティング剤を塗布したコート布から構成されるもので、実施形態の場合、外周縁23aを全周にわたってエアバッグ15を構成する内側壁部15a及び外側壁部15bに結合(縫着)されて、上側膨張部21と後側部位17とを区画するように構成され、弁機構24と、弁機構24の開弁時に開口される連通部25と、を備えている。この隔壁部23は、膨張完了時のエアバッグ15の内側壁部15aと外側壁部15bとの離隔距離も規制することとなり、左右方向の幅寸法W1を、前後方向の長さ寸法L1より小さくした略帯状とされている(
図6参照)。また、実施形態の場合、隔壁部23は、エアバッグ15の膨張完了時に、コンソールボックス7の上面7aと略一致した位置に、配置されることとなる(
図10参照)。
【0023】
具体的には、隔壁部23は、
図6に示すように、隔壁部23を前後で2つに分割するように構成される2枚の隔壁用基材28F,28Rから、構成されている。詳細に説明すれば、隔壁部23は、2つの隔壁用基材28F,28Rを前後で並設させるようにして構成されるもので、前側の隔壁用基材28Fの後縁28aと、後側の隔壁用基材28Rの前縁28bと、を、相互に一致させた状態で、後縁28a,前縁28bを上側に向けつつ、後縁28a,前縁28b近傍となる部位を、左右の中央付近となる一部を除いて、縫合糸を用いて左右方向に沿って連続的に縫着(結合)させることにより、構成されている。そして、隔壁用基材28F,28Rの左右の中央付近の非縫合の部位(縫合部位30L,30R間の隙間H)が、連通部25を構成し、前側の隔壁用基材28Fの後縁28aと、後側の隔壁用基材28Rの前縁28bと、において、連通部25(隙間H)の周縁となる周縁部位29F,29Rが、弁機構24を、構成することとなる。すなわち、実施形態では、隔壁部23は、長手方向に沿って並設させた2枚の隔壁用基材28F,28Rを、隣り合う縁部(後縁28a,前縁28b)相互を左右の中央付近を除いて縫着させ、これらの後縁28a,前縁28b相互を縫着させている2つの縫合部位30L,30Rを、左右方向に沿って配置させるようにして、長尺状に構成されている。
【0024】
実施形態のエアバッグ15では、インフレーター10から膨張用ガスGが吐出されると、まず、エアバッグ15における支持膨張部16が内部に膨張用ガスGを流入させて膨張することとなるが、支持膨張部16と上側膨張部21とを区画している隔壁部23は、前後に長い略帯状とされていることから、支持膨張部16の膨張時には、短手方向(左右方向)に沿って大きな張力Tを作用させることとなる(
図7のA参照)。すなわち、支持膨張部16の膨張時に、隔壁部23には、隔壁用基材28F,28Rの後縁28a,前縁28b相互を縫着させて連通部25の左右両側に配置される縫合部位30L,30Rに沿って、張力Tが作用することとなり、この張力Tによって、連通部25の周縁部位29F,29Rの張った状態が維持され、弁機構24の閉塞状態が維持されることとなる。
【0025】
そして、実施形態のエアバッグ15では、隔壁部23に形成される弁機構24は、助手席搭載者MPを衝突側(衝撃力作用側)となる右側RWに向かって移動させるような側面衝突時において、開弁されることとなる。具体的には、右側RWのみから衝撃力を受ける側面衝突時に、右側RWに向かって移動する助手席搭載者MPが、コンソールボックス7により右側面側を支持された状態の支持膨張部16の後側部位17を、右側RW(コンソールボックス7側)に向かって強く押圧して、この後側部位17を左右両側から圧縮させるような力Fが作用して、隔壁部23に作用して弁機構24を閉塞させていた張力Tがなくなり、
図7のBに示すように、隔壁部23が、左右両側から圧縮されると(内側壁部15aとそ外側壁部15bとが接近すると)、隔壁用基材28F,28Rにおける連通部25の周縁部位29F,29Rが口開きするように開いて、弁機構24が開弁され、連通部25が開口されて、開口した連通部25を経て上側膨張部21内に膨張用ガスGが流入することとなる。
【0026】
また、実施形態のエアバッグ装置Mを搭載させた車両Vにおいて、助手席PSの前方となるインストルメントパネル(以下「インパネ」と省略する)3の下方の領域には、車両Vの前方側からの衝撃力作用時に作動する助手席用のエアバッグ装置33が、配置されている(
図1参照)。このエアバッグ装置33は、インパネ3の下面側に折り畳まれて収納されるエアバッグ34と、エアバッグ34に膨張用ガスを供給する図示しないインフレーターと、を備え、エアバッグ34は、斜突時も含めて前方からの衝撃力の作用時に、内部に膨張用ガスを流入させて、助手席PSの前方を広く覆うように膨張することとなる(
図8,11の二点鎖線参照)。
【0027】
実施形態のエアバッグ装置Mでは、車両Vの右側RWや右斜め前方から図示しない衝突物が衝突した側面衝突時に、エアバッグ作動回路から作動信号を受けて、インフレーター10が作動されることとなり、エアバッグ15が、内部に膨張用ガスを流入させて膨張して、カバーパネル8を外しつつ、コンソールボックス7の左側面7bから突出し、
図9〜13に示すように、助手席搭載者MPの腰部MWの右側RW(衝撃力作用側)を覆うように膨張を完了させることとなる。また、車両Vの右斜め前方から図示しない衝突物が衝突した際には、助手席PSの前方に配置されるエアバッグ装置33もエアバッグ34を膨張させるように作動されることとなる。
【0028】
そして、実施形態のエアバッグ装置Mでは、側面衝突時に、離隔側座席である助手席PSに着座している離隔側乗員としての助手席搭載者MPとコンソールボックス7との間の隙間を埋めるようにエアバッグ15が膨張する構成であり、このエアバッグ15は、
図8,11に示すように、前端16aを座部4の前端4aと略一致させ、後端16bをコンソールボックス7の後端7cと略一致させるように、助手席搭載者MPの衝突側(右側RW)を前後で広く覆い、かつ、助手席搭載者MPの腰部MWを支持する支持膨張部16を備える構成であることから、側面衝突時、詳細には、右斜め前方からの斜突時に、助手席搭載者MPが、衝突側となる斜め前方に向かって移動する場合にも、右斜め前方に向かって移動する助手席搭載者MPの腰部MWを、支持膨張部16においてコンソールボックス7より前方に突出している前側部位18により、支持させることができる。このとき、実施形態のエアバッグ装置Mでは、支持膨張部16においてコンソールボックス7の側方に配置される後側部位17の下端側部位17aが、コンソールボックス7と座部4との間に入り込むように強固に保持された状態で膨張することから(
図10参照)、右斜め前方に移動する助手席搭載者MPの腰部MWを、支持膨張部16(腰部受止部ともいえる)によって安定して的確に拘束することができる。そのため、助手席搭載者MPが衝突側に向かって大きく移動することを、抑制できる。
【0029】
したがって、実施形態のエアバッグ装置Mでは、側面衝突時に、斜め前方に向かって移動する助手席搭載者MPを、移動量を抑制して、的確に保護することができる。
【0030】
そして、右斜め前方からの斜突時には、
図10の二点鎖線に示すように、助手席PSの前方に搭載されるエアバッグ装置33も作動されてエアバッグ34が膨張していることから、実施形態のエアバッグ装置Mを搭載した車両Vでは、支持膨張部16によって右方への移動量を抑制されるようにして右斜め前方に向かって移動する助手席搭載者MPを、助手席PSの前方で膨張しているエアバッグ34によって、的確に受け止めることができる(
図12参照)。
【0031】
また、実施形態のエアバッグ装置では、エアバッグ15が、膨張完了時に、コンソールボックス7より上方に延びるように形成される上側膨張部21を、備える構成とされ、この上側膨張部21は、膨張した支持膨張部16のコンソールボックス7側への押圧作用時に開弁される弁機構24を介して、支持膨張部16と連通される構成である。そのため、右側RW(側方)のみから衝撃力を受ける単なる側面衝突時において、助手席搭載者MPが斜め前方ではなく衝突側(コンソールボックス7側)となる右側RWに向かって移動した際に、支持膨張部16と当接して、支持膨張部16における後側部位17を強く押圧し、後側部位17が、コンソールボックス7と助手席搭載者MPの腰部MWとによって圧縮されるように強く挟まれれば、弁機構24が開弁されて、上側膨張部21内に膨張用ガスが流入し、
図9,13に示すように、上側膨張部21が膨張することとなる。側面衝突時に、助手席搭載者MPがコンソールボックス7側へ移動すると、まず、支持膨張部16によって腰部MWが受け止められることとなるが、このとき、コンソールボックス7より上方に位置している助手席搭載者MPの上半身、特に、肋骨部が、コンソールボックス7の上縁の角部(左上角7d)に干渉しようと、腰部MWとともに、コンソールボックス7側に強く押し付けられることとなる。しかしながら、実施形態のエアバッグ装置Mでは、支持膨張部16の上方に、コンソールボックス7から上方に突出するように、上側膨張部21が膨張していることから、
図13に示すように、コンソールボックス7の左上角7dが、助手席搭載者MPの肋骨部と干渉することを、的確に防止することができ、コンソールボックス7に向かって移動する助手席搭載者MPも、的確に保護することができる。勿論、このような点を考慮しなければ、エアバッグとして、上側膨張部を備えない構成のものを使用してもよい。また、右斜め前方からの斜突時には、右斜め前方に移動する助手席搭載者MPの腰部MWは、支持膨張部16の後側部位17ではなく前側部位18と当接することから、弁機構24が迅速に開弁されず、上側膨張部21は迅速に膨張しないものの、支持膨張部16の内圧が高まれば弁機構24が開弁されることから、上側膨張部21は、支持膨張部16の膨張完了後に、内部に膨張用ガスを流入させて膨張することとなる。
【0032】
さらに、実施形態のエアバッグ装置Mでは、エアバッグ15を、コンソールボックス7における助手席PS側となる左側面7bに、カバーパネル8に覆われるようにして収納させ、展開膨張時に、カバーパネル8を外すようにして、コンソールボックス7の左側面7bから突出させる構成であることから、カバーパネル8を介在させる構成であるものの、エアバッグ15をコンパクトに収納させることができ、かつ、コンソールボックス7と助手席PSの座部4との間の隙間が狭くとも、この隙間で、エアバッグ15を、迅速かつ円滑に展開膨張させることができる。勿論、このような点を考慮しなければ、エアバッグを、コンソールボックスの底面側に折り畳んで収納させる構成としてもよい。また、エアバッグは、助手席(離隔側座席)の座部とコンソールボックスとの間で保持されるように膨張できる構成であれば、コンソールボックスに限らず、助手席の座部に収納させる構成としてもよい。
【0033】
なお、実施形態では、運転席の側方(右側)からの側面衝突時に、離隔側座席としての助手席に着座した助手席搭載者を、離隔側乗員として保護するエアバッグ装置を例に採り説明したが、勿論、助手席の側方(左側)からの側面衝突時に、離隔側座席としての運転席に着座した運転者を、離隔側乗員として保護する装置に、本発明を適用してもよい。