特許第6052080号(P6052080)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

<>
  • 6052080-レジスタ 図000002
  • 6052080-レジスタ 図000003
  • 6052080-レジスタ 図000004
  • 6052080-レジスタ 図000005
  • 6052080-レジスタ 図000006
  • 6052080-レジスタ 図000007
  • 6052080-レジスタ 図000008
  • 6052080-レジスタ 図000009
  • 6052080-レジスタ 図000010
  • 6052080-レジスタ 図000011
  • 6052080-レジスタ 図000012
  • 6052080-レジスタ 図000013
  • 6052080-レジスタ 図000014
  • 6052080-レジスタ 図000015
  • 6052080-レジスタ 図000016
  • 6052080-レジスタ 図000017
  • 6052080-レジスタ 図000018
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6052080
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】レジスタ
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/15 20060101AFI20161219BHJP
【FI】
   F24F13/15 B
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-139988(P2013-139988)
(22)【出願日】2013年7月3日
(65)【公開番号】特開2015-14385(P2015-14385A)
(43)【公開日】2015年1月22日
【審査請求日】2015年10月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】特許業務法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】大澤 一将
(72)【発明者】
【氏名】東山 拓実
【審査官】 横溝 顕範
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭63−057457(JP,U)
【文献】 特開2009−115434(JP,A)
【文献】 特開2011−148455(JP,A)
【文献】 実開平02−028037(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0014485(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リテーナ内で一方向に回動可能に支持されるとともにリンク部材を介して一体に回動される複数の第1フィンと、
前記第1フィンの前側で、前記一方向と直交する方向に回動可能にリテーナ内で支持されるとともに前端縁の全体に渡って加飾部が形成された第2フィンと、
前記第2フィンに取り付けられ、
第2フィンの長さ方向にスライド可能にされるとともにスライドに対応して前記各第1フィンを一体に回動させる操作ノブとを備えたレジスタにおいて、
前記第2フィンの長さ方向に沿って形成され、第2フィンを貫通する長孔と、
前記第2フィンの両側に配置されて前記操作ノブを構成する一対の第1ノブ部材及び第2ノブ部材と、
前記第1ノブ部材及び第2ノブ部材の一方に形成された第1係止孔と、
前記第1ノブ部材及び第2ノブ部材の他方に形成され、前記第1係止孔に弾性係止される第1係止爪とを備え、
前記第1係止爪は前記長孔の内部で前記第1係止孔に弾性係止されるとともに、前記第1ノブ部材及び第2ノブ部材は前記第2フィンの前端縁に形成された加飾部全体を露出させた状態で第2フィンの両側に配置されることを特徴とするレジスタ。
【請求項2】
前記第1ノブ部材及び第2ノブ部材の一方に形成された第2係止孔と、
前記第1ノブ部材及び第2ノブ部材の他方に形成され、前記第2係止孔に弾性係止される第2係止爪とを備え、
前記2係止爪は、前記第2フィンの後端部の外側で前記第2係止孔に弾性係止されていることを特徴とする請求項1に記載のレジスタ。
【請求項3】
前記第2フィンの後端縁における2箇所に形成された所定長さの摺動溝と、
前記第1ノブ部材又は第2ノブ部材における2箇所に形成され、前記摺動溝に対して摺動可能に配置される摺動突起部とを備え、
前記長孔の長さは、前記操作ノブのスライド操作に対応して前記各摺動突起が前記各摺動溝の長さの範囲内で摺動された際に、操作ノブの両端部から露出しないように設定されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のレジスタ。
【請求項4】
前記長孔の両端部は、半楕円形状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のレジスタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の第1フィン及び第1フィンの前側で第1フィンと直交する方向に配置される第2フィンをリテーナの内部に収納し、第2フィンに取り付けられた操作ノブを介して各第1フィンの回動を行って温度調節された空気を車室内へ吹き出す吹出口を構成するレジスタに関し、特に、第2フィンにおける前端縁の全体に渡って形成された加飾部が操作ノブにより遮蔽されることなく常に外部から視認可能となるレジスタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のレジスタは、自動車等の前部に配置されるインスツルメントパネルに配置され、温度調節された空気をその吹出方向を自在に調節しながら乗員に対して吹き出すものであるが、近年、レジスタの前側に配置されるフィンの前端縁に加飾を施すことにより、レジスタの意匠性を向上させることが行われる傾向がある。
【0003】
例えば、特開2010−202108号公報には、レジスタフィンをフィン主体部とフィン主体部の端面を車室側に露出させた状態でフィン主体部の両面側から挟み込むように組み付けた一対の板状のフィンカバーとから構成したレジスタが記載されている。
【0004】
かかるレジスタでは、例えば、フィン主体部の全体にシルバー色の塗装を行うとともに、フィン主体部の車室側に面する先端面を露出させた状態でフィン主体部の両側にフィンカバーを組み付け、車室側に面する部分のみをシルバー色に塗装することにより、最も意匠性が重要となる車室側に面する部分のみがシルバー色に加飾された意匠性の高いレジスタフィンを実現するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−202108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記レジスタによれば、最も意匠性が重要となる車室側に面する部分のみがシルバー色に加飾された意匠性の高いレジスタフィンを実現することが可能ではあるが、レジスタフィンには、これを上下方向に操作するための操作ノブを取り付ける必要があり、操作ノブは、特許文献1の図2に示されているように、レジスタフィンの前端縁を覆うように取り付けられている。
【0007】
このように、操作ノブがレジスタフィンの前端縁を覆うように取り付けられる場合、レジスタフィンにおける前端縁の全体に形成された加飾部の連続性は、操作ノブにより遮断されてしまい、この結果、レジスタフィンの意匠性が損なわれるという問題がある。
【0008】
本発明は前記従来の問題点を解消するためになされたものであり、レジスタの前側に配置されるフィンにおける前端縁の全体に渡って形成された加飾部が操作ノブにより遮蔽されることなく常に外部から視認可能となり、もって意匠性の極めて高い2フィンを備えたレジスタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため請求項1に係るレジスタは、リテーナ内で一方向に回動可能に支持されるとともにリンク部材を介して一体に回動される複数の第1フィンと、前記第1フィンの前側で、前記一方向と直交する方向に回動可能にリテーナ内で支持されるとともに前端縁の全体に渡って加飾部が形成された第2フィンと、前記第2フィンに取り付けられ、第2フィンの長さ方向にスライド可能にされるとともにスライドに対応して前記各第1フィンを一体に回動させる操作ノブとを備えたレジスタにおいて、前記第2フィンの長さ方向に沿って形成され、第2フィンを貫通する長孔と、前記第2フィンの両側に配置されて前記操作ノブを構成する一対の第1ノブ部材及び第2ノブ部材と、前記第1ノブ部材及び第2ノブ部材の一方に形成された第1係止孔と、前記第1ノブ部材及び第2ノブ部材の他方に形成され、前記第1係止孔に弾性係止される第1係止爪とを備え、前記第1係止爪は、前記長孔の内部で前記第1係止孔に弾性係止されるとともに、前記第1ノブ部材及び第2ノブ部材は前記第2フィンの前端縁に形成された加飾部全体を露出させた状態で第2フィンの両側に配置されることを特徴とする。
【0010】
請求項2に係るレジスタは、請求項1のレジスタにおいて、前記第1ノブ部材及び第2ノブ部材の一方に形成された第2係止孔と、前記第1ノブ部材及び第2ノブ部材の他方に形成され、前記第2係止孔に弾性係止される第2係止爪とを備え、前記2係止爪は、前記第2フィンの後端部の外側で前記第2係止孔に弾性係止されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に係るレジスタは、請求項1又は請求項2のレジスタにおいて、前記第2フィンの後端縁における2箇所に形成された所定長さの摺動溝と、前記第1ノブ部材又は第2ノブ部材における2箇所に形成され、前記摺動溝に対して摺動可能に配置される摺動突起部とを備え、前記長孔の長さは、前記操作ノブのスライド操作に対応して前記各摺動突起が前記各摺動溝の長さの範囲内で摺動された際に、操作ノブの両端部から露出しないように設定されていることを特徴とする。
【0012】
請求項4に係る例時他は、請求項1乃至請求項3のいずれかのレジスタにおいて、前記長孔の両端部は、半楕円形状に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1のレジスタでは、第2フィンの長さ方向に沿って第2フィンを貫通する長孔を形成するとともに、第2フィンの両側に配置される操作ノブの第1ノブ部材及び第2ノブ部材の一方に第1係止孔及び他方に第1係止孔に弾性係止される第1係止爪を形成し、第1係止爪と第1係止孔とを長孔の内部で弾性係止し、且つ、第2フィンの前端縁に形成された加飾部全体を露出させた状態で第1ノブ部材及び第2ノブ部材を第2フィンの両側に配置したので、加飾部は、第1ノブ部材と第2ノブ部材とから構成される操作ノブにより遮断されることなく、常時外部から視認可能となる。これにより、レジスタにおける第2フィンの意匠性を格段に高く保持することができる。
【0014】
請求項2のレジスタでは、操作ノブを構成する第1ノブ部材及び第2ノブ部材の一方に形成された第2係止孔と他方に形成された第2係止爪とを第2フィンの後端部の外側で弾性係止しているので、第2フィンの前端縁を除く後部側において、第1ノブ部材と第2ノブ部材とにより第2フィンを両側から狭持した状態で操作ノブを第2フィンに対してスライド可能に取り付けることができる。
【0015】
請求項3のレジスタでは、第2フィンの後端縁における2箇所に形成された所定長さの摺動溝、及び、第1ノブ部材又は第2ノブ部材における2箇所に形成され、摺動溝に対して摺動可能に配置される摺動突起部を設け、長孔の長さは、操作ノブのスライド操作に対応して各摺動突起が前記各摺動溝の長さの範囲内で摺動された際に、操作ノブの両端部から露出しないように設定されているので、操作ノブのスライド操作時に第2フィンの長さ方向に沿って形成された長孔が、操作ノブの両端部から外部に露出することはなく、レジスタ全体の見栄えが損なわれることを防止することができる。
【0016】
請求項4のレジスタでは、長孔の両端部は半楕円形状に形成されているので、長孔の両端部において操作ノブを構成する第1ノブ部材や第2ノブ部材との間で引っ掛かりが発生することを防止して操作ノブの滑らかなスライド操作が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態に係るレジスタの斜視図である。
図2】レジスタの分解斜視図である。
図3】レジスタのリテーナの内部に配設される各構成部品を示す説明図である。
図4】第1ノブ部材及び第2ノブ部材を取り付けた前フィン(第2フィン)の側面図である。
図5】第1ノブ部材及び第2ノブ部材を取り付けた前フィンの正面図である。
図6】第1ノブ部材及び第2ノブ部材を取外して示す前フィンの側面図である。
図7】前フィンの分解斜視図である。
図8】第2ノブ部材を取外して示す前フィンの斜視図である。
図9】第1ノブ部材の裏面側を示す斜視図である。
図10】第2ノブ材の裏面側を示す斜視図である。
図11図5におけるA−A線断面図である。
図12】第1ノブ部材及び第2ノブ部材を取り付けた前フィン(第2フィン)を模式的に示す説明図である。
図13図12におけるB−B線断面図である。
図14図12におけるC−C線断面図である。
図15】後フィンを最大限上方に回動させた状態を模式的に示す説明図である。
図16】後フィンを中間位置に保持した状態を模式的に示す説明図である。
図17】後フィンを最大限下方に回動させた状態を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係るレジスタについて、本発明を具体化した実施形態に基づき図面を参照しつつ説明する。先ず、本実施形態に係るレジスタの概略構成について図1乃至図3に基づき説明する。
【0019】
本実施形態に係るレジスタ1は、車両の前面に取り付けられるインスツルメントパネルにおいて、中央に配置されるナビゲーションディスプレイの両側に配設される縦型レジスタであり、基本的に、ベゼル開口2が形成されたベゼル3、複数の後フィン4及び1つの前フィン5を回動可能に収納するリテーナ6、リテーナ6を車両のダクトに取り付ける取付部材7とから構成されている。
【0020】
ベゼル3はレジスタ1の車両の室内側に露出配置されるものであり、中央に長方形状のベゼル開口2が形成されている。ベゼル開口2はレジスタ1の空気吹出口となる。ベゼル3の裏面側には、4つの係止爪(図示せず)が設けられており、各係止爪は、リテーナ6の前側フランジ部8に形成された4つの係止孔9に弾性的に係止されてリテーナ6に対して取り付けられる。
【0021】
リテーナ6の筒状部10における内部にて、右壁11には右側支持部材12が取り付けられるとともに、左壁13には左側支持部材14が取り付けられる。右側支持部材12には、複数個(図3では6個)の支持孔15が形成されている。左側支持部材14においても支持孔15と同数の支持孔16が形成されている。
【0022】
右側支持部材12と左側支持部材14との間には、複数個(図1図3では6個)の後フィン4が上下方向に回動可能に支持される。各後フィン4は、板状に形成されており、右側端部には支持軸18が突出形成されるとともに、左側端部には支持軸18と同軸上に支持軸19が突出形成されている。支持軸18は右側支持部材12の支持孔15に回動可能に支持され、支持軸19は左側支持部材14の支持孔16に回動可能に支持される。また、各後フィン4の右側端部にて、支持軸18に隣接してリンク軸20が突出形成されている。かかるリンク軸20は、リンク部材21に形成された支持孔22に回動可能に支持される。これにより、各後フィン4は、リンク部材21の作用に基づき、同期して回動可能となる。
【0023】
ここに、前記複数個の後フィン4の内、上から3番目の後フィン4は、一対の板部材23間を棒状部材24で連結した構造を有している。棒状部材24には、後述する操作ノブ36を構成する第1ノブ部材34の後方に形成された二股状の係止部39が係止される。これにより、後述するように、各後フィン4は、操作ノブ36のスライド操作に基づき、リンク部材21のリンク作用とも相まって同期して回動されるものである。
【0024】
フランジ8の内上壁25には、上側支持部材26が取り付けられ、フランジ8の内下壁27には下側支持部材28が取り付けられる。下側支持部材28には支持孔29と円弧状長孔30が形成されており、支持孔29には前フィン5の下端部に突出形成された回動軸31が回動可能に支持され、また、円弧状長孔30には前フィン5の下端部にて回動軸31に隣接して突出形成された摺動軸32が円弧状長孔30内を摺動可能に支持される。
尚、図示しないが上側支持部材26においても、下側支持部材28と同様、前フィン5の上端部にて突出形成された回動軸31を回動可能に軸支する支持孔及び回動軸31に隣接して突出形成された摺動軸32を摺動可能に支持する円弧状長孔が形成されている。
【0025】
前フィン5は、上側回動軸31が上側支持部材26の支持孔に支持されるとともに下側回動軸31が下側支持部材28の支持孔29に支持されることにより、リテーナ6の前側に位置するフランジ8にて、各後フィン4の前側で図1図2中左右方向に回動可能に支持される。このように前フィン5が左右方向に回動される際、前フィン5の上側摺動軸は上側支持部材26の円弧状長孔内を摺動され、また、前フィン5の下側摺動軸32は下側支持部材の円弧状長孔30内を摺動される。
【0026】
前フィン5には、その厚さ方向に貫通するように長孔33が形成されており、また、長孔33の両側で、第1ノブ部材34と第2ノブ部材35とから構成される操作ノブ36(図4等参照)が長孔33を挟みこむように設けられている。第1ノブ部材34と第2ノブ部材35との間には操作ノブ36のスライドをスムーズにするシム37が配置されている。
【0027】
続いて、前フィン5並びに操作ノブ36を構成する第1ノブ部材34及び第2ノブ部材35の詳細な構成について、図4乃至14に基づき説明する。
前フィン5は略長方形状に形成され、その前端縁の全体に渡って加飾部38が形成されている。加飾部38は、2色成形、メッキ等の各種の方法により形成され得る。加飾部38としては、例えば、シルバー色で形成される。
【0028】
前フィン5には、その長さ方向(図4中上下方向)に沿ってスライド可能に操作ノブ36が取り付けられている。操作ノブ36を構成する第1ノブ部材34には、二股状の係止部39が一体に形成されており、かかる係止部39は、前記した上から3番目の後フィン4に形成された棒状部材24に係止される。これにより、操作ノブ36を上下方向にスライドすることに基づき、棒状部材24も上下動されて後フィン4が支持軸18の回りに回動されることとなり、各後フィン4はリンク部材21のリンク作用により、同期して回動される。
【0029】
図6において、前フィン5を貫通するように形成された長孔33は、前フィン5の中央位置から若干上側にずれた位置に形成されている。これは、前記したように、操作ノブ36の第1ノブ部材34の係止部39が、6個存在する後フィン4の内上から3番目の後フィン4の棒状部材24に係止されることを勘案したものである。長孔33の両端部33Aは、それぞれ半楕円形状に形成されている。
【0030】
長孔33と平行に、長尺状の突状部40が突出形成されており、また、前フィン5の反対側面においても、同様の突状部41が突出形成されている。突状部40は、後述するように、操作ノブ36のスライド時に第2ノブ部材35との間で摩擦抵抗を低減して操作ノブ36のスムーズなスライド操作を可能にする。また、突状部41は、操作ノブ36のスライド時に第1ノブ部材34との間で摩擦抵抗を低減して操作ノブ36のスムーズなスライド操作を可能とする(図13図14参照)。
【0031】
また、前フィン5の後端縁(図6中右端縁)の2箇所42、42には、所定長さ(操作ノブ36のスライド長さに対応)の摺動溝43、43(図13図14参照)が形成されている。各摺動溝43には、第1ノブ部材34の2箇所に形成された摺動突起部44、44(後述する)が摺動可能に配置される。
【0032】
第1ノブ部材34は、図7乃至図9に示すような形状に形成されており、その裏面側において、前フィン5の長孔33に対応する前部(図7図9において左部)には、壁部45が突出形成されている。壁部45の両端部には、一対の係止孔46が形成されている。また、壁部45において、各係止孔46の内側には、壁部45と直角方向に一対の壁部48が連設されている。更に、各壁部48の間に、先端にストッパ49を有する一対の位置決め部50、50が壁部45と直角方向に形成されている。
【0033】
壁部45と一対の壁部48、48とにより区画される領域には、前記したシム37が配置される。即ち、シム37は軟質樹脂材料から形成されており、図7に示すように、直方体状の基部37A及び一対の突部37Bを有する作用部37Cからなる。そして、基部37Aは、図8図11図14に示すように、一対の壁部48、48間で位置決め部50、50に位置決めされ、また、作用部37Cは位置決め部50、50の内側に配置される。この状態で、各突部37B、37Bの先端は、長孔33の内側面に当接している。このように、シム37の作用部37Cにおける一対の突部37B、37Bは、2点で長孔33の内側面に当接しているだけであるので、操作ノブ36のスライド操作時に、第1ノブ部材34と前フィン5との間における摺動抵抗を極力低減することか可能であり、この結果、操作ノブ36は前フィン5上でスムーズにスライドすることが可能となる。
また、第1ノブ部材34における後部壁51の両側には、一対の係止孔52、52が形成されている。
【0034】
第2ノブ部材35は、図7図8図10に示すように、第1ノブ部材34と同一形状に形成されており、その裏面側において、前フィン5の長孔33に対応する前部(図7図10において左部)には、一対の壁部53、53が突出形成されている。各壁部53、53の外側には、一対の係止爪54、54が突出形成されている。各係止爪54、54は、前記した第1ノブ部材34の壁部45の両端部に形成された一対の係止孔46、46に弾性係止される(図13参照)。更に、各壁部53の間、先端にストッパ55を有する一対の位置決め部56、56が壁部53と平行方向に形成されている。
【0035】
一対の壁部53、53との間の領域には、前記したシム37が配置され、シム37の基部37Aは一対の壁部53、53間で位置決め部56、56に位置決めされ、また、作用部37Cは位置決め部56、56の内側に配置される。
【0036】
また、第2ノブ部材35における後部の両側には、一対の係止爪57、57が形成されている。各係止爪57は、前記した第1ノブ部材34の後部壁51に形成された一対の係止孔52、52に弾性係止される(図13参照)。
【0037】
前記のように構成された前フィン5において、第2ノブ部材35の係止爪54は、図13に示すように、前フィン5の長孔33の内部で第1ノブ部材34の係止孔46に弾性係止されており、また、第1ノブ部材34及び第2ノブ部材35は、図1図13図14に示すように、前フィン5の前端縁に形成された加飾部38の全体を外部に露出させた状態で前フィン5の両側に配置されている。
また、第1ノブ部材34に形成された係止爪57は、前フィン5の後端部の外側で、第1ノブ部材の係止孔52に弾性係止されている。
【0038】
続いて、前記のように構成されたレジスタ1における操作ノブ36をスライド操作した際に、操作ノブ36と長孔33との位置関係について図15乃至図17に基づき説明する。
先ず、操作ノブ36を最大限上方に向かって前フィン5上をスライドさせた場合、図15に示すように、各後フィン4は上方に向かって傾斜される。この状態で、操作ノブ36は、長孔33の下部を覆っており、従って、長孔33は、操作ノブ36を最大限上方向にスライドさせた場合においても、操作ノブ36の下端部から外部に露出することはない。
【0039】
また、操作ノブ36を略ニュートラル位置に保持した場合には、図16に示すように、各後フィン4は若干下方に向かって傾斜された状態にあり、この状態では、操作ノブ36は長孔33の略中央位置に停止している。従って、長孔33は、当然に操作ノブ36により完全に覆われていてる。
【0040】
更に、操作ノブ36を最大限下方に向かって前フィン5上をスライドさせた場合、図17に示すように、各後フィン4は下方に向かって傾斜される。この状態で、操作ノブ36は、長孔33の上部を覆っており、従って、長孔33は、操作ノブ36を最大限下方向にスライドさせた場合においても、操作ノブ36の下端部から外部に露出することはない。
【0041】
前記にて説明した通り本実施形態に係るレジスタ1では、前フィン5の長さ方向に沿って前フィン5を貫通する長孔33を形成するとともに、前フィン5の両側に配置される操作ノブ36の第1ノブ部材34に係止孔46を形成するとともに、第2ノブ部材35に係止孔46に弾性係止される係止爪54を形成し、係止爪54と係止孔46とを長孔33の内部で弾性係止し、且つ、前フィン5の前端縁に形成された加飾部38全体を露出させた状態で第1ノブ部材34及び第2ノブ部材35を前フィン5の両側に配置したので、加飾部38は、第1ノブ部材34と第2ノブ部材35とから構成される操作ノブ36により遮断されることなく、常時外部から視認可能となる。これにより、レジスタ1における前フィン5の意匠性を格段に高く保持することができる。
【0042】
また、操作ノブ36を構成する第1ノブ部材34に形成された係止孔52と第2ノブ部材35に形成された係止爪57とを前フィン5の後端部の外側で弾性係止しているので、前フィン5の前端縁を除く後部側において、第1ノブ部材34と第2ノブ部材35とにより前フィン5を両側から狭持した状態で操作ノブ36を前フィン5に対してスライド可能に取り付けることができる。
【0043】
更に、前フィン5の後端縁における2箇所に形成された所定長さの摺動溝43、及び、第1ノブ部材34における2箇所に形成され、摺動溝43に対して摺動可能に配置される摺動突起部44を設け、長孔33の長さは、操作ノブ36のスライド操作に対応して各摺動突起部44が各摺動溝43の長さの範囲内で摺動された際に、操作ノブ36の両端部から露出しないように設定されているので、操作ノブ36のスライド操作時に前フィン5の長さ方向に沿って形成された長孔33が、操作ノブ36の両端部から外部に露出することはなく、レジスタ1全体の見栄えが損なわれることを防止することができる。
【0044】
また、長孔33の両端部33Aは半楕円形状に形成されているので、長孔33の両端部33Aにおいて操作ノブ36を構成する第1ノブ部材34や第2ノブ部材35との間で引っ掛かりが発生することを防止して操作ノブ36の滑らかなスライド操作が可能となる。
【0045】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0046】
1 レジスタ
4 後フィン
5 前フィン
6 リテーナ
21 リンク部材
33 長孔
33A 両端部
34 第1ノブ部材
35 第2ノブ部材
36 操作ノブ
43 摺動溝
44 摺動突起部
46 係止孔
52 係止孔
54 係止爪
57 係止爪
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17