(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の工程では、前記第1の領域における前記溶媒の揮発速度が、前記第2の領域における前記溶媒の揮発速度よりも高くなるように、前記第2の領域に気体を吹き付け、
前記第2の工程では、前記第2の領域における前記溶媒の揮発速度が、前記第1の領域における前記溶媒の揮発速度よりも高くなるように、前記第1の領域に気体を吹き付けている請求項1に記載の乾燥方法。
前記第1の工程では、前記第1の領域における前記溶媒の揮発速度が、前記第2の領域における前記溶媒の揮発速度よりも高くなるように、前記第2の領域に気体を吹き付け、
前記第2の工程では、前記第2の領域における前記溶媒の揮発速度が、前記第1の領域における前記溶媒の揮発速度よりも高くなるように、前記第1の領域に気体を吹き付けている請求項10に記載の乾燥装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような乾燥装置では、生産性の観点から、高速に乾燥して、溶媒を揮発することが好ましい。しかしながら、溶媒を高速に揮発させてしまうと、バインダ濃度が不均一になってしまう。表面にバインダが偏析してしまう。例えば、溶媒の揮発速度がバインダの拡散速度よりも速い場合、表面のバインダ濃度が高くなってしまう。よって、特許文献1の乾燥装置では、高速に乾燥させることが困難になってしまうという問題点がある。
【0005】
本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、高速に乾燥することができる乾燥装置、乾燥方法、及び電池の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に上記の乾燥方法係る乾燥方法は、バインダと溶媒とを含む電極層を乾燥させる乾燥方法であって、基材上に塗着された前記電極層の第1の領域に気体を吹き出して、前記溶媒を揮発させる第1の工程と、前記電極層の前記第1の領域の周囲の第2の領域に気体を吹き出して、前記溶媒を揮発させる第2の工程と、を備えるものである。これにより、高速に乾燥することができる。
【0007】
上記の乾燥方法において、前記第1の工程では、前記電極層の表面において、前記第1の領域の前記バインダの濃度が、前記第2の領域の前記バインダの濃度よりも高くなるように、前記溶媒を揮発させ、前記第2の工程では、前記電極層の表面において、前記第1の領域の前記バインダの濃度が、前記第2の領域の前記バインダの濃度よりも低くなるように、前記溶媒を揮発させていてもよい。これにより、バインダの拡散方向を増やすことでき、かつ濃度勾配を大きくすることができるため、高速に乾燥することができる。
【0008】
上記の製造方法において、前記第1の領域と前記第2の領域とが千鳥配置になっていてもよい。これにより、バインダの拡散方向を増やすことでき、高速に乾燥することができる。
【0009】
上記の乾燥方法において、前記第1の工程と、前記第2の工程を交互に繰り返し行うようにしてもよい。これにより、バインダの拡散方向を増やすことでき、高速に乾燥することができる。
【0010】
上記の乾燥方法において、前記第1の工程では、前記第2の領域に気体が当たらないように、前記第1の領域に気体を吹き出して、前記溶媒を揮発させ、前記第2の工程では、前記第1の領域に気体が当たらないように、前記第2の領域に気体を吹き出して、前記溶媒を揮発させてもよい。これにより、バインダの濃度勾配を高くすることができるため、高速に乾燥することができる。
【0011】
上記の乾燥方法において、前記第1の工程では、前記第1の領域における前記溶媒の揮発速度が、前記第2の領域における前記溶媒の揮発速度よりも高くなるように、前記第2の領域に気体を吹き付け、前記第2の工程では、前記第2の領域における前記溶媒の揮発速度が、前記第1の領域における前記溶媒の揮発速度よりも高くなるように、前記第1の領域に気体を吹き付けていてもよい。これにより、バインダの拡散方向を増やすことでき、高速に乾燥することができる。
【0012】
上記の乾燥方法において、前記第1の工程では、前記第1の領域に吹き出される気体よりも低温の気体が前記第2の領域に吹き出され、前記第2の工程では、前記第2の領域に吹き出される気体よりも低温の気体が前記第1の領域に吹き出されていてもよい。これにより、高速の乾燥を簡便に行うことができる。
【0013】
上記の乾燥方法において、前記第1の工程では、前記第1の領域に吹き出される気体の風量よりも小さい風量の気体が前記第2の領域に吹き出され、前記第2の工程では、前記第2の領域に吹き出される気体の風量よりも小さい風量の気体が前記第1の領域に吹き出されていてもよい。これにより、高速の乾燥を簡便に行うことができる。
【0014】
上記の乾燥方法において、前記第1の工程では、前記第1の領域から第2の領域に向かって、気体が吹き付けられ、前記第2の工程では、前記第2の領域から第1の領域に向かって、気体が吹き付けられていてもよい。これにより、高速の乾燥を簡便に行うことができる。
【0015】
上記の乾燥方法において、前記第1及び第2の工程のそれぞれでは、気体の吹出口に対する電極層の相対位置を移動させずに、気体を吹き出していてもよい。これにより、高速の乾燥を簡便に行うことができる。
【0016】
上記の乾燥方法において、前記第1及び第2の工程のそれぞれでは、気体の吹出口に対する電極層の相対位置を移動させながら、気体を吹き出していてもよい。これにより、高速の乾燥を簡便に行うことができる。
【0017】
本実施形態にかかる電池の製造方法は、基材上に、バインダと溶媒とを含む電極層を塗着する工程と、上記の乾燥方法によって、前記電極層を乾燥させる工程と、を備えるものである。これにより、生産性を向上することができる。
【0018】
本実施形態にかかる乾燥装置は、バインダと溶媒とを含む電極層を乾燥させる乾燥装置であって、前記電極層を乾燥させるための気体を発生させる発生手段を備え、基材上に塗着された前記電極層の第1の領域に気体を吹き出して、前記溶媒を揮発させる第1の工程と、第1の工程で溶媒を揮発させた後、前記電極層の前記第1の領域の周囲の第2の領域に気体を吹き出して、前記溶媒を揮発させる第2の工程と、を行うものである。これにより、高速に乾燥することができる。
【0019】
上記の乾燥装置において、前記第1の工程では、前記電極層の表面において、前記第1の領域の前記バインダの濃度が、前記第2の領域の前記バインダの濃度よりも高くなるように、前記溶媒を揮発させ、前記第2の工程では、前記電極層の表面において、前記第1の領域の前記バインダの濃度が、前記第2の領域の前記バインダの濃度よりも低くなるように、前記溶媒を揮発させていてもよい。これにより、バインダの拡散方向を増やすことでき、かつ濃度勾配を大きくすることができるため、高速に乾燥することができる。
【0020】
上記の乾燥装置において、前記第1の領域と前記第2の領域とが千鳥配置になっていてもよい。これにより、バインダの拡散方向を増やすことでき、高速に乾燥することができる。
【0021】
上記の乾燥装置において、前記第1の工程と、前記第2の工程を交互に繰り返し行うようにしてもよい。これにより、バインダの拡散方向を増やすことでき、高速に乾燥することができる。
【0022】
上記の乾燥装置において、前記第1の工程では、前記第2の領域に気体が当たらないように、前記第1の領域に気体を吹き出して、前記溶媒を部分的に揮発させ、前記第2の工程では、前記第1の領域に気体が当たらないように、前記第2の領域に気体を吹き出して、前記溶媒を部分的に揮発させていてもよい。これにより、バインダの濃度勾配を高くすることができるため、高速に乾燥することができる。
【0023】
上記の乾燥装置において、前記発生手段から前記気体が供給され、前記電極層に対して気体を吹き出すダクトと、前記ダクトに設けられ、前記ダクトの吹出口から前記気体が吹き出されるのを部分的に遮る遮風体を備えていてもよい。これにより、簡便な構成で高速に乾燥することができる。
【0024】
上記の乾燥装置において、前記第1の工程と前記第2の工程では、前記ダクトでの前記遮風体の位置を変えてもよい。これにより、簡便な構成で高速に乾燥することができる。
【0025】
上記の乾燥装置において、前記第1の工程では、前記第1の領域における前記溶媒の揮発速度が、前記第2の領域における前記溶媒の揮発速度よりも高くなるように、前記第2の領域に気体を吹き付け、前記第2の工程では、前記第2の領域における前記溶媒の揮発速度が、前記第1の領域における前記溶媒の揮発速度よりも高くなるように、前記第1の領域に気体を吹き付けていてもよい。これにより、バインダの拡散方向を増やすことでき、高速に乾燥することができる。
【0026】
上記の乾燥装置において、前記気体が供給されるダクトと、前記ダクトの吹出口から吹き出される気体の風量分布を不均一にするために前記ダクト内に設けられ、前記ダクト内を流れる気体の向きを変える仕切り板を備えていてもよい。これにより、簡便な構成で高速に乾燥することができる。
【0027】
上記の乾燥装置において、前記第1の工程と前記第2の工程とでは、前記ダクト内での前記仕切り板の向きを変えてもよい。これにより、簡便な構成で高速に乾燥することができる。
【0028】
上記の乾燥装置において、前記気体が供給されるダクトと、前記ダクトの吹出口から吹き出される気体の温度分布を不均一にするために、前記ダクト内に部分的に設けられたヒータと、を備えていてもよい。これにより、簡便な構成で高速に乾燥することができる。
【0029】
上記の乾燥装置において、前記第1の工程と前記第2の工程とでは、前記ダクト内での前記ヒータの位置を変えてもよい。これにより、簡便な構成で高速に乾燥することができる。
【0030】
上記の乾燥装置において、前記第1の領域に対して気体を吹き出す第1のダクトと、
前記第1のダクトから吹き出される気体の温度及び風量の少なくとも一方が異なる気体を前記第2の領域に吹き出す第2のダクトと、を備えていてもよい。これにより、簡便な構成で高速に乾燥することができる。
【0031】
上記の乾燥装置において、前記第1の工程と前記第2の工程とで、前記吹出口に対する前記電極層の相対位置を変えてもよい。これにより、簡便な構成で高速に乾燥することができる。
【0032】
上記の乾燥装置において、前記第1の工程では、前記第1の領域から第2の領域に向かって、気体が吹き付けられ、前記第2の工程では、前記第2の領域から第1の領域に向かって、気体が吹き付けられていてもよい。これにより、簡便な構成で高速に乾燥することができる。
【0033】
上記の乾燥装置において、前記第1及び第2の工程のそれぞれでは、気体の吹出口に対する電極層の相対位置を移動させずに、気体を吹き出していてもよい。これにより、簡便な構成で高速に乾燥することができる。
【0034】
上記の乾燥装置において、前記第1及び第2の工程のそれぞれでは、気体の吹出口に対する電極層の相対位置を移動させながら、気体を吹き出していてもよい。これにより、簡便な構成で高速に乾燥することができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、高速に乾燥することができる乾燥方法、乾燥装置、及び電池の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明に係る移動体の実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。但し、本発明が以下の実施形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。各実施の形態やその変形例において重複する内容については、適宜説明を省略する。
【0038】
実施の形態1.
(乾燥方法の原理)
本実施の形態にかかる乾燥方法とその原理について、説明する。本実施の形態にかかる乾燥方法は、例えば、リチウムイオン電池などの二次電池の製造工程で用いられるものである。具体的には、乾燥装置が、基材の上に塗着された電極層に温風を吹き付ける。すなわち、電極層に含まれる溶媒を揮発させるために、電極層が塗着された面に乾燥気体を吹き付けている。電極層の表面から溶媒を不均一に揮発させている。電極層の表面から溶媒を不均一に揮発させて、バインダの偏析を抑制している。そのため、本実施の形態では、電極層に対して部分的に温風を吹き付けている。
【0039】
まず、
図1を用いて、本実施の形態にかかる乾燥方法の原理について、説明する。
図1は、乾燥対象となる電極10の構成を模式的に示す工程断面図である。まず、
図1のAに示すように、集電箔11の上に、電極層12を塗着する。すなわち、正極又は負極となる電極10は、集電箔11と電極層12とを備えている。基材となる集電箔11の上には、電極層12が塗膜されている。
【0040】
電極層12は、活物質とバインダと溶媒等を含んでいる。集電箔11は、集電体であり、電極10の基材となる。集電箔11は、導電性のシート材料であり、例えば、正極の場合、Al箔、負極の場合、Cu箔が用いられる。活物質は、酸化/還元反応を行う物質であり、粒子状となっている。例えば、正極の場合、活物質として、マンガン酸リチウム、又はコバルト酸リチウム等、負極の場合、炭素材料などが用いられる。集電箔11、及び活物質は、上記の材料に限定されるものではなく、正極、又は負極に応じて、適切な材料が選択される。
【0041】
バインダは、活物質などを集電箔11に接着するために設けられている。さらに、電極層12は、導電助剤などの他の物質を含んでいてもよい。そして、電極層12は、適切な粘度となるように溶媒を含んでいる。すなわち、均一に塗布されるような粘度となるように、電極層12は所定の割合で溶媒を含んでいる。そして、バインダ及び溶媒等を含んだ状態の電極層12が、集電箔11上に塗布される。そして、電極層12に温風を吹き付けて、溶媒を揮発することで、電極10が完成する。溶媒の揮発中において、電極層12に含まれるバインダが拡散する。
【0042】
図1のAに示すように、乾燥工程において、電極層12に対して部分的に温風30を吹き付けている。そして、
図1のBに示すように、溶媒を不均一に揮発させている。例えば、電極層12の一部分である第1の領域21に対して、温風30を吹き付けている。そして、電極層12の残りの部分である第2の領域22に対しては、温風30を吹き付けないようにしている。すなわち、第1の領域21の周囲の第2の領域22は、温風30が吹き付けられないようにしている。ここでは、第1の領域21が電極層12の面内の中央部分となり、第2の領域22が第1の領域21の周辺部分となっているが、第1の領域21と第2の領域22の配置は特に限定されるものではない。
【0043】
こうすることで、電極層12に含まれる溶媒が不均一に揮発していく。すなわち、第1の領域21から溶媒が徐々に揮発していき、
図1のBに示すようになる。
図1のBでは、溶媒が揮発した分、電極層12の厚さが、
図1のAでの厚さよりも薄くなっている。
【0044】
電極層12の表面近傍において、第1の領域21に対応する部分は、バインダ濃度が高い高濃度領域23となる。すなわち、第2の領域22では揮発が進まずに、第1の領域21から溶媒が揮発していく。このように、部分的に溶媒を揮発させることで、電極層12の表面近傍では、バインダの濃度分布が不均一になる。すなわち、溶媒の揮発が進んだ第1の領域21では、バインダ濃度が高くなる。よって、第1の領域21におけるバインダ濃度が、第2の領域22におけるバインダ濃度よりも高くなる。第1の領域21におけるバインダ濃度が、周辺よりも上昇すると、バインダが厚さ方向だけでなく、横方向(厚さ方向に垂直な方向)にも拡散する。これにより、拡散方向が増えるとともに、濃度勾配が大きくなるため、拡散速度が揮発速度よりも高くなり、高速乾燥が可能になる。よって、
図1のCに示すように、高速乾燥した場合でも、バインダ濃度が均一となる。
【0045】
ここで、溶媒を不均一に揮発させた場合と均一に揮発させた場合の拡散速度の違いについて、
図2を用いて説明する。
図2は、バインダ濃度の分布を簡略化して示す図である。ここでは、説明の明確化のため、横方向と縦方向(厚さ方向)をそれぞれ3つのマス目に分けて、説明する。
図2では、9つのマス目内に示されている数値をバインダ濃度として、説明する。以下の説明において、最も上の1列を1列目として、最も下の1列を3列目とし、その間の1列を2列目とする。なお、
図2では、上側が電極層12の表面側となり、下側が集電箔11側となっている。
【0046】
まず、比較例である均一乾燥について説明する。乾燥工程前は、バインダ濃度が均一であるため、それぞれのマス目のバインダ濃度が3となっている(
図2のA)。電極層12全体に温風を吹き付けて、均一に乾燥する。すると、溶媒が揮発して、電極層12の厚さが薄くなる(
図2のB)。1列目の溶媒が揮発して、上から2列目が電極層12の表面となる。表面全体を均一に乾燥すると、横方向にはバインダ濃度差がないため、バインダが下方向(厚さ方向)に拡散していく。すなわち、溶媒の揮発とともに、1列目にあったバインダが2列目に拡散する。よって、一列目が揮発した段階では、電極層12の表面、すなわち、2列目のバインダ濃度がそれぞれ6で均一になっている。また、3列目のバインダ濃度は3となっている。よって、厚さ方向の濃度差は3となっている。バインダは、下方向に濃度差3で濃度拡散していく。
【0047】
これに対して、本実施形態では、電極層12に対して部分的に温風を吹き付けて、不均一に乾燥している。すると、温風を吹き付けた部分から溶媒が揮発していく。ここでは、横方向における中央のマス目に温風を吹き付け、左右のマス目には温風を吹き付けていないとする。不均一に溶媒を揮発させていくと、横方向にバインダ濃度差が生じる。電極10の表面、すなわち、上から2列目において、温風を吹き付けた領域のみ、バインダ濃度が高くなり、その周辺のバインダ濃度との間に濃度差が生じる(
図2のC)。ここでは、温風を吹き付けたマスのバインダ濃度が12となり、それ以外が3となる。1列目のにあったバインダが、2列目の中央のマス目に向かって移動する。よって、2列目の中央のマス目では、バインダ濃度が高くなる。2列目には、横方向にバインダ濃度差が生じる。
【0048】
この状態では、2列目中央のマス目とその下のマス目のバインダ濃度差が9となる。さらに、2列目中央のマス目とその左右のマス目のバインダ濃度差も9となる。したがって、バインダは、濃度差9で、下方向、左方向、及び右方向の3方向に濃度拡散していく。加えて、左右方向に拡散したバインダは、更に下方向に拡散する。このように、電極層12を不均一に乾燥した場合、濃度差が高いため、拡散速度が速くなる。加えて、横方向にも拡散するため、拡散方向が多くなる。よって、より高速に拡散することができる。
【0049】
このように、温風を電極層12の一部分にのみ吹き付けて、溶媒を揮発させた場合、バインダが横方向に拡散する。ここで、温風を一部分にのみ吹き付けた場合における、バインダ濃度の測定結果を
図3に示す。
図3は、厚さ方向におけるバインダ濃度分布を示すグラフである。横軸が厚さ方向における位置、縦軸がバインダ濃度を示している。なお、
図3の横軸において、左側が電極表面であり、右側が集電箔11側となっている。なお、バインダ濃度の測定は、V.G.Scientific社製VG−9000を用いて、グロー放電質量分析(GD−MS)により行っている。また、
図3は、温風を吹き付けた部分における、バインダ濃度を示している。
【0050】
図3は、高温の温風を用いた高速乾燥と、低温の温風を用いた低速乾燥を行ったときの測定結果を示している。電極層12の一部分にのみ温風を当てて乾燥させた場合、高速乾燥時のバインダ濃度が、低速乾燥時のバインダ濃度よりも低下している。したがって、乾燥速度が速いと、バインダを横方向の押しのけながら、乾燥が進行しているため、全体のバインダ濃度が低下していると推定される。すなわち、バインダが横方向に拡散していることが分かり、本知見からバインダの偏析を抑制したまま、高速乾燥ができると推察される。
【0051】
このように、バインダの横方向への拡散を用いた乾燥方法について、
図4を用いて説明する。
図4は、乾燥工程における電極10の構成を模式的に示す工程断面図である。まず、
図4のAに示すように、集電箔11上に形成された電極層12に対して、部分的に温風30を吹き付ける。すなわち、
図1のAと同様に、第2の領域22には温風30を吹き付けずに、第1の領域21にのみ温風30を吹き付ける。すなわち、第1の領域21が乾燥部位となり、第2の領域22が非乾燥部位となる。第1の領域21から溶媒が揮発して、
図4のBに示すように、電極層12が薄くなる。このとき、第1の領域21は、バインダ濃度が高い高濃度領域23となっている。したがって、
図2で説明した乾燥工程と同様に、バインダが横方向、及び下方向に拡散していく。
【0052】
引き続き、第2の領域22に温風を吹き付けない状態で、第1の領域21に温風を吹き付けていく。溶媒の揮発速度がバインダの拡散速度よりも高い場合、拡散が追い付かずに、
図4のCに示すように濃度分布ができる。すなわち、バインダが濃度拡散して、高濃度領域23が横方向、及び下方向に広がる。
【0053】
次に、
図4のDに示すように、第1の領域21への温風30の吹き付けを停止するとともに、第2の領域22に対して温風31を吹き付ける。すなわち、第2の領域22が乾燥部位となり、第1の領域21が非乾燥部位となる。すると、
図4のEに示すように、第2の領域22から溶媒が揮発していき、電極層12が薄くなる。
【0054】
第2の領域22では、溶媒の揮発により、厚さ方向におけるバインダの濃度勾配が大きくなる。そして、第2の領域22では、高い濃度勾配によって、バインダが下方向に拡散する。すなわち、バインダの拡散は、濃度勾配の高い下方向に進む。また、第1の領域21では、揮発が進んでいないため、濃度勾配が、第2の領域22よりも小さくなる。よって、第1の領域21では、第2の領域よりも遅い拡散速度で、バインダが下方向に拡散する。電極層12の表面近傍において、横方向の濃度勾配が小さい間、少量のバインダしか横方向に移動しない。すなわち、厚さ方向の濃度勾配が、横方向の濃度勾配よりも大きいため、下方向への拡散が大きくなる。
【0055】
第1の領域21の温風30の吹き付けの後、第2の領域22に対する温風31の吹き付けを行うことによって、高速乾燥が可能になる。すなわち、揮発速度が、拡散速度よりも速い場合であっても、互い違いに乾燥することで、バインダの偏析を防ぐことができる。よって、均一な高速乾燥が可能となる。
【0056】
(乾燥工程)
以下、本実施の形態のかかる乾燥方法について、
図5を用いて説明する。
図5は、本実施の形態にかかる乾燥方法における電極10の構成を示す工程断面図である。まず、乾燥装置で使用する温風の温度や風量を決定する。そして、電極10のサイズに合わせて、分割する領域を決定する。電極層12を部分乾燥させるための第1の領域21と第2の領域22とを決定する。このように、平面視において、電極層12を2つの領域に分割する。
【0057】
そして、
図5のAに示すように、第2の領域22に温風30を吹き付けずに、第1の領域21に温風30を吹き付ける。第1の領域21が乾燥部位となり、第2の領域22が非乾燥部位となる。これにより、第1の領域21から溶媒が揮発する。電極層12の表面近傍において、第1の領域21は、バインダ濃度の高い高濃度領域となる。したがって、下方向、及び横方向にバインダの拡散が進む。
【0058】
次に、
図5のBに示すように、第1の領域21に温風31を吹き付けずに、第2の領域22に温風31を吹き付ける。第1の領域21が非乾燥部位となり、第2の領域22が乾燥部位となる。すなわち、温風の吹き付け位置を変えることで、乾燥部位を変えて、別の部位を乾燥させる。これにより、第2の領域22から溶媒が揮発する。第2の領域22のバインダ濃度が高くなる。高い濃度勾配によって、バインダが下方向に高速に拡散する。また、面内に濃度勾配が生じると、バインダが横方向に拡散する。
【0059】
さらに、
図5のCに示すように、第2の領域22に温風30を吹き付けずに、第1の領域21に温風30を吹き付ける。すなわち、
図5のAの工程で、温風30が吹き付けられていた部位に温風30を吹き付ける。これにより、第1の領域21において、溶媒が揮発する。よって、第1の領域21は、バインダ濃度の高い高濃度領域となる。高い濃度勾配によって、バインダが下方向に高速に拡散する。また、面内に濃度勾配が生じると、バインダが横方向に拡散する。
【0060】
その後、
図5のDに示すように、第1の領域21に温風31を吹き付けずに、第2の領域22に温風31を吹き付ける。すなわち、温風の吹き付け位置を変えることで、乾燥部位を変えて、別の部位を乾燥させる。これにより、第2の領域22から溶媒が揮発する。これにより、第2の領域22のバインダ濃度が高くなる。よって、高い濃度勾配によって、バインダが下方向に高速に拡散する。また、面内に濃度勾配が生じると、バインダが横方向に拡散する。
【0061】
このように、第1の領域21に温風を吹き付ける第1の工程を行った後、第1の領域21以外の第2の領域22に温風を吹き付ける第2の工程を行う。そして、第1の工程と、第2の工程とを交互に繰り返し行う。すなわち、第1の工程と第2の工程とをそれぞれ複数回行う。このようにすることで、バインダの拡散方向を増やすことでき、高速に乾燥することができる。
【0062】
例えば、第1の工程と第2の工程のそれぞれでは、バインダが左右方向に拡散するように、部分的に電極層12を乾燥している。したがって、見かけ上の拡散速度を高くすることができ、高速乾燥が可能となる。高温や強風の温風を用いた場合であっても、高い濃度勾配で、下方向に拡散する。実質的にバインダを厚さ方向に、高速に拡散することができる。よって、バインダの偏析を抑制することができ、高速乾燥が可能になる。
【0063】
このように、乾燥工程の途中において、面内のバインダ濃度分布が不均一になるよう溶媒を部分的に揮発させている。第1の工程では、電極層12の表面において、第1の領域21のバインダ濃度が、第2の領域22のバインダ濃度よりも高くなるように、溶媒を揮発させている。すなわち、第1の工程が終わった時点では、第1の領域21が第2の領域22よりもバインダ濃度が高濃度となるように、溶媒を不均一に揮発させる。第2の工程では、電極層12の表面において、第1の領域21のバインダ濃度が、第2の領域22のバインダ濃度よりも低くなるように、溶媒を揮発させている。すなわち、第2の工程が終わった時点では、第2の領域22のバインダ濃度が第1の領域21よりも高くなるように、溶媒を不均一に揮発させる。こうすることで、乾燥工程の途中において、面内におけるバインダ濃度分布を不均一にすることができ、乾燥速度を高くすることができる。
【0064】
また、第2の工程では、第1の工程で温風が吹き付けられなかった箇所の全てに、温風を吹き付けるようにすることが好ましい。また、第1の工程と第2の工程を交互に繰り返し行う場合、1回目の第1の工程と2回目の第1の工程とで、全く同じ領域に温風を吹き付けなくてもよい。すなわち、1回目の第1の工程で温風を吹き付けなかった領域に、2回目の第1の工程で温風を吹き付けるようにしてもよい。同様に、1回目の第2の工程で温風を吹き付けなかった領域に、2回目の第2の工程で温風を吹き付けるようにしてもよい。なお、第1の工程と第2の工程とで、温風を吹き付ける時間を略同じ時間とするようにしてもよい。
【0065】
(乾燥装置)
以下、本実施の形態にかかる乾燥装置の構成例ついて、説明する。
図6は、上記した乾燥方法を実行するための乾燥装置40の構成例を模式的に示す図である。乾燥装置40は、温風発生器41と、遮風体42と、ダクト43とを備えている。
【0066】
温風発生器41は、ヒータやファンやガスボンベなどを有しており、乾燥空気や乾燥窒素などの高温の気体を発生させる発生手段である。温風発生器41には、ダクト43が取り付けられている。温風発生器41は、ダクト43に加熱した気体を供給する。温風発生器41で発生した気体は、ダクト43内を通って、電極層12を乾燥させる温風となる。ダクト43の吹出口44は、電極層12の真上に配置されている。すなわち、吹出口44は、電極10の表面に対向するように、配置されている。よって、ダクト43の吹出口44から吹き出された温風30が、電極層12に当たる。温風30は、電極10の表面と垂直な方向に吹き出されて、電極層12を乾燥する。
【0067】
吹出口44は、電極10に応じた大きさを有している。例えば、吹出口44は、電極10と同程度か、それ以上の大きさを有している。吹出口44には、遮風体42が取り付けられている。遮風体42は、吹出口44の一部に配置されている。遮風体42は、ダクト43内を流れる温風を遮風する。遮風体42は、ダクト43内に設けられ、ダクト43の吹出口44から気体が吹き出されるのを部分的に遮る。遮風体42が設けられていない箇所は、温風30が通過する開口部47となる。そして、開口部47と遮風体42が交互に配置されている。開口部47と遮風体42の大きさはほぼ同じになっている。
【0068】
遮風体42の直下の位置では、電極層12に温風30が当たらない。開口部47の直下の位置のみ、電極層12に温風30が当たる。遮風体42の直下が、第2の領域22となり、開口部47の直下が、第1の領域21となる。このように、電極層12の一部に温風30が当たるのを防ぐための遮風体42を、乾燥装置40に設けている。遮風体42を第1の領域21に対応する位置に配置し、開口部47を第2の領域22に対応する位置に配置する。遮風体42と開口部47とを同じ大きさで交互に配置する。
【0069】
第1の工程では、
図6の示す構成とする。そして、第2の工程では、
図7に示すように、遮風体42の位置を変える。すなわち、
図6において開口部47であった位置に遮風体42を移動する。電極層12における乾燥部位と非乾燥部位の位置が入れ替わる。こうすることで、第1の領域21に温風31が当たらない状態で、第2の領域22に温風31を当てることができる。よって、第1の領域21の乾燥と第2の領域22の乾燥を交互に行うことができる。
【0070】
第1の工程では、
図6に示す状態として、乾燥装置40が一定時間電極層12に温風30を吹き付ける。これにより、第1の工程が終了する。そして、第1の工程が終了後、遮風体42の位置を移動して、
図7の示す位置で遮風体42を固定する。第2の工程では、
図7に示す状態で、乾燥装置40が一定時間、電極層12に温風31を吹き付ける。
図7の状態で、電極層12に一定時間温風31を吹き付けたら、
図6の状態に戻す。これを複数回繰り返すことで、溶媒を揮発させて、電極層12を所望の厚さにする。
【0071】
こうすることで、高速に乾燥した場合でも、バインダの偏析を防ぐことができる。さらに、遮風体42の位置を変える機構のみを乾燥装置40に設ければよいため、装置の大型化及び複雑化を防ぐことができる。よって、簡便な構成で高速に乾燥することができる。なお、本実施の形態にかかる乾燥装置40では、吹出口44に対して電極10を移動せずに、乾燥を行っている。すなわち、電極10を停止した状態で、電極10を乾燥することができる。
【0072】
遮風体42を移動する代わりに、遮風体42の位置が異なる乾燥装置40を複数台用意してもよい。すなわち、第1の領域21に温風30を吹き付ける第1の乾燥装置と、第2の領域22に温風を吹き付ける第2の乾燥装置とを用意する。そして、一方の乾燥装置での乾燥を一定時間行った後、他方の乾燥装置に電極10を移動するようにしてもよい。そして、第1の乾燥装置と第2の乾燥装置が電極10を交互に乾燥するようにすればよい。
【0073】
電極10と遮風体42の位置関係について、
図8を用いて説明する。
図8では、電極10における第1の領域21及び第2の領域22を示す平面図と、吹出口44における遮風体42の配置を模式的に示す平面図が示されている。
図8のAには、電極10における第1の領域21、第2の領域22の位置が示されている。さらに、
図8のB1は、第1の工程での遮風体42の配置を示し、
図8のB2は、第2の工程での遮風体42の配置を示している。
図8のB1,B2では、電極10の位置を点線矩形枠で模式的に示している。すなわち、
図8のAに示す配置の電極10の真上に、
図8のB1,B2に示す配置で遮風体42が設けられた吹出口44が配置される。また、
図8では説明の明確化のため、XY直交座標系を示している。
【0074】
図8のB1、B2に示すように、吹出口44において、遮風体42が千鳥配置になっている。すなわち、X方向、及びY方向において、遮風体42が所定のピッチで配置されている。そして、X方向、及びY方向において、隣接する遮風体42の間には、開口部47が配置されている。換言すると、X方向、及びY方向において、隣接する開口部47の間には、遮風体42が配置されている。温風は、遮風体42で遮られ、開口部47を通過する。
図8では、吹出口44が(4×4)個の領域に分割されて、そのうちの8個に遮風体42が配置され、残りの8個が開口部47となっている。XY平面において、それぞれの遮風体42は矩形状になっている。したがって、XY平面において、開口部47も矩形状になっている。遮風体42と開口部47は、ほぼ同じ大きさの矩形となっている。
【0075】
第1の工程では、遮風体42が
図8のB1に示す位置に配置されている。
図8のAを参照すると、開口部47の直下が第1の領域21となり、遮風体42の直下が第2の領域22となる。すなわち、X方向、及びY方向において、第1の領域21と第2の領域22が交互に配置される。第1の領域21は開口部47と同数設けられ、第2の領域22は遮風体42と同数設けられている。このように、第1の領域21と第2の領域22もそれぞれ千鳥配置となる。
【0076】
第2の工程では、遮風体42が移動して、
図8のB2に示す位置となる。すなわち、遮風体42が1つの遮風体42の1個分だけ、+X方向又は−X方向に移動している。第1の工程で開口部47であった位置に遮風体42が移動する。したがって、第2の工程では、開口部47の直下が第2の領域となり、遮風体42の直下が第1の領域となる。このように、第1の工程と第2の工程で遮風体42の位置を変えることで、上記した乾燥工程を実行することができる。こうすることで、簡便に第1の工程と第2の工程を実行することができ、高速に乾燥することができる。
【0077】
ここでは、吹出口44における遮風体42の合計面積と開口部47の合計面積がほぼ同じになっている。よって、電極10の全体の略半分が第1の領域21となり、残りの半分が第2の領域22となる。すなわち、電極10において、第1の領域21と第2の領域22が略同じ面積となる。そして、同じ大きさの遮風体42が千鳥配置になっている。こうすることで、容易に温風が吹き付けられる領域を第1の領域21から第2の領域22に切り替えることができる。さらに、面内の4方向にバインダが拡散するため、拡散方向を増やすことができる。よって、高速乾燥が可能になる。
【0078】
もちろん、遮風体42の配置は、
図8に示す構成に限られるものではない。例えば、第1の領域21と第2の領域22の面積や形状は異なっていてもよい。また、電極10を格子状に分割して、第1の領域21、及び第2の領域22を交互に配置したが、この構成以外の構成を用いてもよい。例えば、電極10をストライプ状に分割して、第1の領域21、及び第2の領域22を交互に配置してもよい。また、複数の遮風体42は一体的に形成することも可能である。例えば、複数の開口部47を有する遮風板を用いることで、複数の遮風体42を一体的に形成することができる。そして、遮風板をダクト43の吹出口44に設けることで、所望の領域に温風を吹き付けることができる。
【0079】
(乾燥装置の変形例1)
なお、上記の説明では、遮風体42を移動させることで、温風が吹き付けられる位置を変更したが、本実施形態は、これに限られるものではない。例えば、乾燥装置40に対する電極10の相対位置をずらすようにしてもよい。具体的には、
図6に示す状態から、電極10を横方向に移動させる。これにより、
図9に示すように、遮風体42の直下が第1の領域21となり、開口部47の直下が第2の領域となる。したがって、温風31が当たる箇所が、第2の領域22となり、温風31が当たらない箇所が第1の領域21となる。
【0080】
例えば、電極10を
図6に示す状態とする。
図6に示す状態で電極10の位置を停止して、一定時間第1の領域21に温風30を吹き付ける。これにより、第1の工程が完了する。その後、第2の工程に移行するため、電極10を移動して、
図8に示す状態とする。そして、
図8に示す状態で、電極10の位置を停止して、一定時間第2の領域22に温風31を吹き付ける。これにより、第2の工程が終了する。第2の工程が終了したら、電極10の位置を
図6に示す状態に戻す。そして、第1の工程と第2の工程を繰り返して、電極層12を所望の厚さとなるまで乾燥させる。
【0081】
このようにすることで、上記の効果を得ることができる。さらに、第1の工程と第2の工程との間で、電極10を移動するだけでよいため、遮風体42の移動機構が不要になる。よって、装置より簡略化することができる。もちろん、電極10の代わりに、乾燥装置40のダクト43などを移動させてもよい。すなわち、遮風体42に対する電極10の相対位置を変えるようにすればよい。
【0082】
電極10の位置を移動させる場合の、電極10と遮風体42の位置関係について、
図10を用いて説明する。
図10では、電極10における第1の領域21及び第2の領域22を示す平面図と、吹出口44における遮風体42の配置を模式的に示す図である。
図10のAには、電極10における第1の領域21、第2の領域22の位置が示されている。さらに、
図10のB1は、第1の工程での遮風体42と電極10との位置関係を示し、
図10のB2は、第2の工程での遮風体42と電極10との位置関係を示している。また、
図10では説明の明確化のため、XY直交座標系を示している。なお、
図8と共通する構成については、説明を省略する。
【0083】
吹出口44が(5×4)個の領域に分割されて、そのうちの10個に遮風体42が配置され、残りの10個が開口部47となっている。そして、遮風体42、及び開口部47がそれぞれ千鳥配置となっている。各遮風体42の形状は
図8と同様になっている。各開口部47の形状は
図8と同様になっている。
【0084】
図10のB1、B2において、電極10は点線矩形枠で模式的に示されている。電極10は、吹出口44よりも小さくなっている。すなわち、吹出口44は、第1及び第2の領域を交互に含む縦1列分、電極10よりも大きくなっている。そして、電極10は、吹出口43の一部と重複するように配置される。
【0085】
例えば、第1の工程では、
図10のB1の点線枠に示すように、電極10が、左端から4列目までの領域と重複している。第2の工程では、
図10のB2の点線枠に示すように、電極10が、右端から4列目までの領域と重複している。第1の工程では、
図10のB1に示す位置で、電極10を停止して、乾燥装置40が一定時間温風30を吹き付けている。第2の工程では、
図10のB2に示す位置で、乾燥装置40が一定時間温風31を吹き付けている。
【0086】
第1の工程から第2の工程に移行する際、電極10を+X方向に、遮風体42一個分だけ移動させる、こうすることで、
図10のB1から
図10のB2に示す構成となる。第1の工程と第2の工程とで、温風が吹き付けられる位置を変更することができる。第2の工程の後、第1の工程を行う場合、電極10を−X方向に遮風体42一個分だけ移動させる。このように、電極10と遮風体42の相対位置を変えることで、上記と同様の効果を得ることができる。
【0087】
本実施の形態、及びその変形例1にかかる乾燥装置40では、電極10に対して部分的に温風を吹き付けるために、遮風体42を設けている。そして、電極10に対する遮風体42の相対位置を変えることで、温風を吹き付ける位置を変えている。第1の工程と第2の工程とで、ダクト43内の遮風体42の位置、あるいは、吹出口44に対する電極10の位置を異なるものとしている。そして、第1の工程、及び第2の工程のそれぞれでは、吹出口44に対する電極10の相対位置を移動せずに、乾燥を行っている。こうすることで、簡便に第1の工程と第2の工程を実行することができ、高速に乾燥することができる。
【0088】
(乾燥装置の変形例2)
図6〜10では、吹出口44に対する電極10の相対位置を移動させずに、乾燥工程を行う乾燥装置を示したが、変形例2では、電極10を搬送しながら乾燥工程を行う乾燥装置40を用いている。
図11は、変形例2にかかる乾燥装置40の構成を模式的に示す斜視図である。
図11では、電極10をY方向に一定速度で移動させながら、乾燥装置40が電極10に温風を吹き付けている。すなわち、乾燥装置40が温風を吹き付けている領域を電極10が横切るように、電極10を搬送する。
【0089】
乾燥装置40は、複数の温風発生器41を有している。すなわち、複数の温風発生器41が電極10の上に配置されている。複数の温風発生器41は、ほぼ同じ温度の温風をほぼ同じ風量で吹き出している。そして、複数の温風発生器41は千鳥配置になっている。搬送方向(Y方向)において、温風発生器41が所定のピッチで配置される。さらに、搬送方向と直交する方向、すなわち、X方向においても、温風発生器41が所定のピッチで配置されている。そして、隣接する温風発生器41の間が空間48となっている。また、電極10上において、温風発生器41が設けられていない位置も空間48となる。温風発生器41の隣の空間48からは、温風が吹き出されない。したがって、温風発生器41の直下が乾燥部位となり、空間48の直下は非乾燥部位となる。
【0090】
温風発生器41と電極10との位置関係について、
図12を用いて説明する。
図12のAは、第1の領域21と第2の領域22の位置関係を模式的に示す平面図である。
図Aは、乾燥装置40の直下における第1の領域21と第2の領域22の配置を示す平面図である。
図12のBは、温風発生器41と空間48の配置を模式的に示す平面図である。また、
図12では、Y方向における電極10の長さが、乾燥装置40よりも長くなっている。よって、Y方向において、電極10が乾燥装置40よりもはみ出している。
図12のAにおいて、Y方向における乾燥装置40の位置を点線矩形枠で示している。なお、Y方向における電極10の長さは、乾燥装置40と等しくても短くてもよい。
【0091】
温風発生器41と空間48は、それぞれ千鳥配置になっている。そして、X方向、及びY方向において、隣接する温風発生器41の間には、空間48が配置される。同様に、X方向、及びY方向において、隣接する空間48の間には、温風発生器41が配置される。よって、温風発生器41から温風が吹き付けられる箇所と温風が吹き付けられない箇所とが交互に並んで配置されている。これにより、
図12のAに示すように、第1の領域21と第2の領域22が千鳥配置となる。なお、電極10の乾燥装置40の直下からはみ出し部分は、温風が吹き付けられない箇所、すなわち、非乾燥部位24となる。
【0092】
乾燥装置40の直下の部分では、温風が吹き付けられる箇所と、温風が吹き付けられていない箇所が交互に配置される。電極10が搬送されているため、電極10において温風が吹き付けられる箇所が搬送に応じて変化していく。例えば、Y方向に温風発生器41一個分だけ電極10が移動すると、電極10において、第1の領域21と第2の領域22が入れ替わる。電極10のある特定の箇所に着目すると、温風発生器41の直下を通過する時間だけ温風が吹き付けられた後、空間48の直下を通過する時間だけ温風が吹き付けられなくなる。したがって、Y方向に温風発生器41を2個以上配置すると、第1の工程と第2の工程を繰り返し行うことができる。さらに、X方向にも温風発生器41が2個以上配置され、隣接する温風発生器41の間に空間48が配置されている。Y方向だけでなく、X方向にも、バインダが拡散することができる。これにより、電極10を停止して乾燥した場合と同様の効果を得ることができる。
【0093】
面内において、電極層12の溶媒が不均一に揮発しているため、バインダ濃度分布が不均一になる。よって、バインダ濃度勾配が高くなり、拡散速度を実質的に高くすることができる。このように、電極10を搬送しながら、電極10の一部に温風を吹き付ける。溶媒を部分的に揮発させることができ、上記と同様の効果を得ることができる。簡便に第1の工程と第2の工程を実行することができ、高速に乾燥することができる。
【0094】
なお、
図11では、温風発生器41を千鳥配置したが、
図6〜
図10に示すように遮風体42を千鳥配置してもよい。すなわち、ダクト43の吹出口44に遮風体42を千鳥配置すればよい。例えば、スリット上の開口部47を複数設けるように、遮風体42を配置する。そして、吹出口44の直下を通過するように、電極10を搬送する。こうすることで、温風発生器41を1台にすることができる。
【0095】
また、変形例2では、温風発生器41が搬送方向を長手方向とする領域に温風を吹き付けることが好ましい。こうすることで、バインダの濃度分布が面内で不均一になるように乾燥することができる。例えば、温風発生器41に搬送方向を長手方向とするスリットを設ける。そして、複数のスリットを千鳥配置にする。スリットから温風を吹き付けることで、電極10上の特定の位置に温風が吹き付けられる時間が長くなる。すなわち、電極10上の特定の箇所が1つのスリットを通過する間、特定の箇所に温風が吹き続けられることになり、X方向において特定の箇所の両側では、温風が吹き付けられないことになる。温風が吹き付けられている箇所で、溶媒の揮発が進み、バインダ濃度分布が不均一となる。このように、電極10の表面において、温風の分布を不均一にすることによって、より高速に乾燥することができる。
【0096】
実施の形態2.
(乾燥方法)
本実施の形態にかかる乾燥方法について、
図13を用いて説明する。
図13は、電極10の構成を示す工程断面図である。なお、実施の形態1と同様の内容については、適宜説明を省略する。
【0097】
本実施の形態では、
図13に示すように、第1の領域21と第2の領域22とに同時に温風を吹き付けている。すなわち、電極10の全体に対して温風を吹き付けている。そして、第1の領域21と第2の領域22とで、温風の吹き付け条件を変えている。すなわち、電極10に対して均一に温風を吹き付けずに、温風の風量や温度を部分的に変更している。こうすることで、揮発速度の面内分布を不均一にすることができる。すなわち、電極10の面内において、乾燥速度分布を持たせるように、乾燥装置が温風を吹き付けている。
【0098】
例えば、第1の工程では、
図13のAに示すように、第1の領域21に吹き付ける温風30aの風量を第2の領域22に吹き付ける温風30bの風量よりも大きくしている。具体的には、第1の領域21の温風30aの風速を第2の領域22の温風30bの風速よりも大きくしている。これにより、第1の領域21を第2の領域22よりも高速に乾燥することができる。すなわち、第1の領域21からの溶媒の揮発速度が、第2の領域22からの溶媒の揮発速度よりも高くなる。よって、バインダが下方向に拡散するだけでなく、横方向にも拡散する。
【0099】
そして、第1の工程の後の第2の工程では、風量の面内分布を調整する。具体的には第1の領域21の温風31aと第2の領域22に対する温風31bの風速を変更する。なお、第2の工程に移行する時には、表面全体が高濃度領域23となっている。
図13のBに示すように、第2の領域22に吹き付ける温風31bの風量を第1の領域21に吹き付ける温風31aの風量よりも大きくしている。具体的には、第1の領域21の温風30aの風速を第2の領域22の温風30bの風速よりも小さくしている。
【0100】
このようにすることで、溶媒が不均一に揮発するため、厚さ方向におけるバインダ濃度勾配を高くすることができる。さらに、横方向にもバインダ濃度勾配を設けることができるため、拡散方向が多くなる。これにより、実質的にバインダの拡散速度を高くすることができる。よって、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0101】
なお、
図13では、揮発速度を不均一にするために、温風の風量を調整したが、これ以外の方法を用いることも可能である。例えば、温風の温度を調整するようにしてもよい。たとえば、高温の温風と、低温の温風を同時に電極10に吹き付けるようにしてもよい。あるいは、温風の方向を変えるようにしてもよい。例えば、横方向又は斜め方向から、温風を電極10に吹き付けるようにしてもよい。
【0102】
以下、条件出しを含めた乾燥工程について説明する。まず、使用する温風の温度、及び風量を決定する。次に、電極10のサイズ等に合わせて、分割する領域と乾燥速度分布を決定する。このようにして、乾燥装置の乾燥条件を設定する。
【0103】
次に、第1の工程では、
図13のAに示すように、第1の領域21の揮発速度が高くなるように、第1の領域21と第2の領域22に異なる風量の温風を吹き付ける。第1の工程では、第1の領域21の温風の風量が、第2の領域22の温風の風量よりも大きくなっている。乾燥装置は、不均一な面内分布の温風を電極10の全体に吹き付けている。これにより、乾燥速度分布を持たせた状態で、溶媒を揮発することができる。
【0104】
そして、第2の工程では、
図13のBに示すように乾燥速度分布を逆転して、第1の領域21と第2の領域22に異なる風量の温風を吹き付ける。第2の工程では、第1の領域21の温風の風量が、第2の領域22の温風の風量よりも小さくなっている。乾燥装置は、不均一な面内分布の温風を電極10の全体に吹き付けている。これにより、乾燥速度分布を持たせた状態で、溶媒を揮発することができる。すなわち、第1の領域21と第2の領域22とで、下方向の拡散速度が異なる。さらに、横方向にも拡散が進むため、拡散方向を増やすことができる。よって、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0105】
(乾燥装置)
次に、本実施の形態に係る乾燥方法を行うための乾燥装置について、
図14を用いて説明する。
図14は、乾燥装置40の構成を模式的に示す図である。なお、乾燥装置40についても、実施の形態1と同様の構成については説明を省略する。
【0106】
図14に示す乾燥装置40では、ダクト43内に仕切り板45を設けている。例えば、仕切り板45は屈曲した板であり、ダクト43内を流れる温風の向きを変化させる。仕切り板45は、ダクト43内を流れる温風の方向に対して斜めに配置されている。
図14では仕切り板が、右上から左下に向かって、斜めに配置されている。温風は、仕切り板45は沿って流れていく。仕切り板45の右側では、温風30aの風量が大きくなり、仕切り板45の左側では温風30bの風量が小さくなる。このように、仕切り板45は、ダクト43の吹出口44から吹き出される温風の風量分布を不均一にするために、ダクト43内に設けられている。仕切り板45によって、吹出口44における風速の面内分布が設けられる。
【0107】
仕切り板45の吹出口44側の端部は、第1の領域21と第2の領域22の境界に沿って配置されている。このようにすることで、第1の領域21に吹き付ける温風30aと、第2の領域22に吹き付ける温風30bの風量を異なるものとすることができる。
【0108】
さらに、第1の工程から第2の工程に移行する際、仕切り板45の角度を変えるようにしてもよい。すなわち、第2の領域22に吹き付ける温風の風量が大きくなるように、仕切り板45を回転させればよい。第2の工程から第1の工程に移行する際、反対方向に回転して、仕切り板45を元の角度に戻す。このようにすることで、容易に風量の調整を行うことができる。簡便に第1の工程と第2の工程を実行することができ、高速に乾燥することができる。
【0109】
こうすることで、高速に乾燥した場合でも、バインダの偏析を防ぐことができる。さらに、仕切り板45の方向を変える機構のみを乾燥装置40に設ければよいため、装置構成を簡素化することができる。よって、簡便な構成で高速に乾燥することができる。本実施の形態にかかる乾燥装置40では、吹出口44に対して電極10を移動せずに、乾燥を行っている。すなわち、電極10を停止した状態で、電極10を乾燥することができる。
【0110】
あるいは、乾燥装置40に対する電極10の位置を変えることで、第1の領域21と第2の領域22における風量を変更するようにしてもよい。すなわち、第1の工程と第2の工程では、吹出口44に対する電極層12の相対位置が異なるように、電極10の位置を移動する。このようにすることで、
図13に示した乾燥工程を実行することができる。より簡便な構成で第1の工程と第2の工程を実行することができ、高速に乾燥することができる。
【0111】
(乾燥装置の変形例1)
実施の形態2の変形例1にかかる乾燥装置40の構成について、
図15を用いて説明する。
図15は、実施形態2の変形例1にかかる乾燥装置40の構成を模式的に示す図である。なお、上記の説明と重複する構成については適宜説明を省略する。
【0112】
変形例1では、乾燥装置40が2つの温風発生器41a、41bを有している。温風発生器41a、41bは、それぞれ独立して温風を発生させることができる。温風発生器41aに取り付けられたダクト43aの吹出口44aは、第1の領域21の真上に配置されている。温風発生器41aは、ダクト43aを介して、第1の領域21に温風30aを吹き付ける。同様に、温風発生器41bに取り付けられたダクト43bの吹出口44bは、第2の領域22の真上に配置されている。温風発生器41bは、ダクト43bを介して、第2の領域22に温風30bを吹き付ける。
【0113】
第1の工程では、温風発生器41aが、強風を第1の領域21に吹き付け、温風発生器41bが弱風を第2の領域22に吹き付けている。すなわち、温風発生器41aで発生する温風30aの風量が、温風発生器41bで発生する温風30bの風量よりも大きくなっている。そして、第2の工程では、温風発生器41aが、弱風を第1の領域21に吹き付け、温風発生器41bが強風を第2の領域22に吹き付けている。すなわち、温風発生器41aで発生する温風30aの風量が、温風発生器41bで発生する温風30bの風量よりも小さくなっている。これにより、
図13に示した乾燥工程を実行することができる。
【0114】
なお、温風発生器41a、41bの風量を制御する代わりに、吹出口44に対する電極10の相対位置を変化させてもよい。すなわち、第1の工程と第2の工程では、吹出口44a、44bに対する電極層12の相対位置が異なるように、電極10の位置を移動する。第2の工程では、吹出口44bの直下に第1の領域21を配置し、吹出口44aの直下に第2の領域22を配置する。このようにすることで、
図13に示した乾燥工程を実行することができる。簡便に第1の工程と第2の工程を実行することができ、高速に乾燥することができる。
【0115】
(乾燥装置の変形例2)
実施の形態2の変形例2にかかる乾燥装置40の構成について、
図16を用いて説明する。
図16は、実施形態2の変形例2にかかる乾燥装置40の構成を模式的に示す図である。なお、上記の説明と重複する構成については適宜説明を省略する。
【0116】
変形例2では、変形例1と同様に、乾燥装置40が2つの温風発生器41a、41bを有している。温風発生器41a、41bは、それぞれ独立して温風を発生させることができる。なお、乾燥装置40の構成は変形例1と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0117】
第1の工程では、温風発生器41aが、高温の温風30aを第1の領域21に吹き付け、温風発生器41bが低温の温風30bを第2の領域22に吹き付けている。すなわち、温風発生器41aで発生する温風30aの温度が、温風発生器41bで発生する温風30bの温度よりも高くなっている。そして、第2の工程では、温風発生器41aが、低温の温風を第1の領域21に吹き付け、温風発生器41bが高温の温風を第2の領域22に吹き付けている。すなわち、温風発生器41aで発生する温風30aの温度が、温風発生器41bで発生する温風30bの温度よりも低くなっている。これにより、電極10の表面において、温風に不均一な温度分布を設けることができる。
図13に示した乾燥工程を実行することができる。簡便に第1の工程と第2の工程を実行することができ、高速に乾燥することができる。
【0118】
なお、温風発生器41a、41bの温度を制御する代わりに、吹出口44a、44bに対する電極10の相対位置を変化させてもよい。また、ダクト43a、43b内にそれぞれヒータを配置して、温風の温度を制御するようにしてもよい。
【0119】
(乾燥装置の変形例3)
本実施の形態の変形例3にかかる乾燥装置40の構成について、
図17を用いて説明する。
図17は、実施形態2の変形例3にかかる乾燥装置40の構成を模式的に示す図である。なお、上記の説明と重複する構成については適宜説明を省略する。
【0120】
図16では、乾燥装置40が1台の温風発生器41を有している。さらに、ダクト43の吹出口44の近傍には、ヒータ46が設けられている。ヒータ46は、ダクト43に対して部分的に設けられている。すなわち、吹出口44の一部にヒータ46が取り付けられている。ヒータ46は、ダクト43内を移動可能に設けられている。
【0121】
ヒータ46は、ダクト43内を流れる温風を加熱する。すなわち、ヒータ46を通過した温風はさらに加熱される。一方、ヒータ46を通過しない温風は、加熱されない、したがって、部分的に配置されたヒータ46によって、温風の温度に不均一な面内分布を設けることができる。ヒータ46の直下から吹き出される温風30aは、高温となっている。ヒータ46の外側を通過した温風30bは、低温となっている。すなわち、ヒータ46を通過した温風30aとヒータ46を通過していない温風30bとで、温度差が生じる。
【0122】
第1の工程では、第1の領域21の真上にヒータ46を配置する。これにより、乾燥装置40が、高温の温風30aを第1の領域21に吹き付け、低温の温風30bを第2の領域22に吹き付けている。すなわち、第1の領域21に吹き付けられる温風30aの温度が、第2の領域22に吹き付けられる温風30bの温度よりも高くなっている。第1の工程が終了後、ヒータ46を移動させる。
【0123】
第2の工程では、乾燥装置40が、低温の温風を第1の領域21に吹き付け、高温の温風を第2の領域22に吹き付けている。すなわち、第1の領域21に吹き付けられる温風の温度が、第2の領域22に吹き付けられる温風の温度よりも低くなっている。よって、
図13に示す乾燥工程を実行することができる。簡便に第1の工程と第2の工程を実行することができ、高速に乾燥することができる。
【0124】
こうすることで、高速に乾燥した場合でも、バインダの偏析を防ぐことができる。さらに、ヒータ46の位置を変える機構のみを乾燥装置40に設ければよいため、装置の大型化及び複雑化を防ぐことができる。よって、簡便な構成で高速に乾燥することができる。本実施の形態にかかる乾燥装置40では、吹出口44に対して電極10を移動せずに、乾燥を行っている。すなわち、電極10を停止したまま、温風を吹き付けている。なお、ヒータ46を移動する代わりに、吹出口44に対する電極10の相対位置を変化させてもよい。これにより、ヒータ46を移動する機構が不要になる。
【0125】
上記した実施の形態2とその変形例1〜3にかかる乾燥装置40において、第1の領域21と第2の領域22をそれぞれ千鳥配置としてもよい。さらに、第1の領域21の合計面積と第2の領域22の合計面積をほぼ同じとしてもよい。さらに、第1の工程と第2の工程とで、ほぼ同じ時間だけ、温風を吹き付けてもよい。
【0126】
(乾燥装置の変形例4)
本実施の形態の変形例4にかかる乾燥装置40の構成について、
図18を用いて説明する。
図18は、実施形態2の変形例4にかかる乾燥装置40の構成を模式的に示す図である。なお、上記の説明と重複する構成については適宜説明を省略する。
【0127】
変形例4では、ダクト43が横方向に沿って配置されている。すなわち、吹出口44が電極10の表面と垂直になっており、電極10の端部近傍に配置される。そして、吹出口44から吹き出された温風は、電極10の上を横方向に通過する。すなわち、電極層12の表面に、横方向から温風を吹きつける。ここでは、ダクト43の吹出口44の電極10の一端に配置されている。そして、電極10の表面に沿って、温風30が吹き付けられる。
図18では、左側から右側に温風30が流れていく。すなわち、第1の領域21から第2の領域22に向けて、温風30が吹き付けられる。
【0128】
したがって、吹出口44に近い第1の領域21では、温風30が高温、強風、低湿度となる。吹出口44から遠い第2の領域22では、温風30が低温、弱風、高湿度となる。よって、電極層12から溶媒が不均一に揮発していく。横方向にバインダ濃度勾配を設けることができる。すなわち、面内において、乾燥を不均一に行うことができる。
【0129】
そして、
図18に示す状態で、一定時間温風30を吹き付けたら、電極10を180度回転させる。あるいは、ダクト43の位置及び向きを変えて、電極10の他端側に配置する。これにより、第2の領域22が、吹出口44に近くなる。そして、第2の領域22から第1の領域21に向けて、一定時間温風を吹き付ける。
【0130】
こうすることで、溶媒を不均一に乾燥させることができる。厚さ方向におけるバインダの濃度勾配を高くするとともに、横方向に拡散させることができる。よって、上記と同様の効果を得ることができる。簡便に第1の工程と第2の工程を実行することができ、高速に乾燥することができる。なお、変形例4において、複数のダクト43を電極10の周囲に配置するようにしてもよい。すなわち、複数のダクト43の吹出口44を電極10の周りに配置する。そして、吹出口44からの温風の吹き付けを切り替えるようにしてもよい。
【0131】
なお、実施の形態2において、
図14〜
図18の構成を適宜組み合わせて用いてもよい。例えば、
図15に示す変形例2と
図16に示す変形例3を組み合わせてもよい。この場合、第1の工程では、温風発生器41aが高温の強風を発生させ、温風発生器41bが低温で弱風を発生させる。そして、第2の工程では、温風発生器41bが高温の強風を発生させ、温風発生器41aが低温で弱風を発生させる。このようにすることで、より高速に乾燥することができる。もちろん、その他の変形例を適宜組み合わせて用いることも可能である。例えば、ダクト43を複数用意して、
図18に示す温風発生器40と、
図14〜
図17のいずれに示す温風発生器を組み合わせることも可能である。また、実施の形態2において、電極10を搬送させながら、乾燥を行ってもよい。
【0132】
また、実施の形態1と実施の形態2を組み合わせることも可能である。例えば、実施の形態1、2において、第1の工程と第2の工程を繰り返している。複数回繰り返し行う第1の工程及び第2の工程の一部を実施の形態1で示すように行い、残りを実施の形態2で示すように行う。このようにしても同様の効果を得ることができる。例えば、
図15や
図16に示すように、複数の温風発生器41を用いることで、実施の形態1と実施の形態2とを組み合わせることができる。具体的には、実施の形態1に示す方法で乾燥する場合、一部の温風発生器41を停止させる。一方、実施の形態2に示す方法で乾燥する場合、全ての温風発生器41を異なる乾燥条件で動作させる。こうすることで、容易に実施の形態1と実施の形態2の乾燥方法を組み合わせることができる。
【0133】
また、上記の説明では、第1の工程と第2の工程との間において、電極10を移動させるものとして説明したが、電極10ではなくダクト43や温風発生器41を移動させるようにしてもよい。すなわち、吹出口44や温風発生器41に対する電極10の相対位置が変わればよい。さらに、複数の温風発生器41を用いて、適宜風量などを調整することも可能である。
【0134】
実施の形態1、2では、電極10を第1の領域と第2の領域の2つに分割して、それぞれの領域に対して、交互に温風を吹き付けている。すなわち、第1の工程と第2の工程とを1セットとして、1セット又は複数セットの工程を実行している。さらには、電極10を3つ以上の領域に分割して、3以上の領域に対して順番に温風を吹き付けるようにしてもよい。また、実施の形態1、2では、第1の領域と第2の領域とを同じ面積としたが、第1の領域の面積を第2の領域の面積よりも大きくしてもよく、小さくしてもよい。さらに、第1の工程と第2の工程とを同じ乾燥時間としたが、第1の工程の乾燥時間を第2の工程の乾燥時間よりも長くしてもよく、短くしてもよい。
【0135】
上記した乾燥方法は、電池の製造方法に好適である。集電箔11の上に、電極層12を形成する。その後、上記の乾燥方法を用いて、電極層12を乾燥させる。これにより、高速乾燥が可能になり、生産性を向上することができる。バインダ濃度分布が均一な電極層12を所望の厚さにすることができる。よって、特性の優れた電池を高い生産性で製造することができる。