(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、図中同一又は相当する部分には同一符号を付す。
【0013】
図1に、本発明の実施形態に係る給紙装置1と画像形成装置2とを備えた印刷装置100の構成を示す。
【0014】
この印刷装置100は、カット状の記録媒体としてのカット紙4に印刷可能な画像形成装置2を、カット紙4よりも長尺のロール状の記録媒体としてのロール紙3を給紙する給紙装置1の上に重ねた構成である。画像形成装置2は、給紙装置1から給紙されたロール紙3にも印刷可能である。
【0015】
給紙装置1は、所定の巻き芯(紙管)の周りに用紙がロール状に巻き回されたロール紙3を連続的に巻き出して、画像形成装置2へと搬送する。具体的には、給紙装置1は、保持部(アンワインダ)11と搬送部10とを内部に備え、巻き取り部(リワインダ)18をその上に備える。
【0016】
保持部11は、画像形成装置2へ供給するべきロール紙3を保持するための部材である。保持部11は、ロール紙3の中心にある巻き芯を貫通してロール紙3を保持する回転可能な回転軸(シャフト)と、この回転軸を支持する支持台と、によって構成され、ロール紙3を回転可能に保持する。
【0017】
保持部11には、回転軸を回転させるための不図示のモータが搭載される。保持部11は、このモータの駆動により指示された単位時間当たりの回転数で回転軸を回転させて、保持しているロール紙3を巻き出して搬送部10に送り出すことができる。
【0018】
搬送部10は、保持部11から巻き出されたロール紙3を所定の搬送経路に沿って搬送し、画像形成装置2へと供給する。具体的には、搬送部10は、テンションローラ12、従動ローラ13、用紙セットユニット14、用紙搬送ローラ対15、ギロチンカッタ16、及び本体進入搬送ローラ対17を備える。
【0019】
テンションローラ12は、搬送部10における保持部11の直後に設置され、保持部11から送り出されたロール紙3がたるまないように制御する。テンションローラ12は、鉛直方向に移動可能に設置され、自重やバネなどの力により鉛直下向きに移動して搬送中のロール紙3にバックテンションを与える。このようなテンションローラ12の機能により、ロール紙3にかかるテンション(張力)が一定に保たれ、ロール紙3の搬送が安定する。
【0020】
従動ローラ13は、ロール紙3の搬送に従動して、位置が固定された所定の回転軸の周りを回転するローラである。従動ローラ13は、搬送経路におけるテンションローラ12の下流に配置され、ロール紙3の搬送方向を調整する役割を果たす。
【0021】
用紙セットユニット14は、オペレータが用紙をセットするために用意されたユニットである。具体的には、
図2に示すように給紙装置1内部は、図中矢印方向に引き出すことが可能であり、用紙セットユニット14は回動可能な一対の押さえ棒を備える。
オペレータは、
図2の状態で、保持部11から巻き出されたロール紙3を用紙搬送ローラ対15に挟み、その後用紙セットユニット14上に載置されたロール紙3を一対の押さえ棒で押さえる。
【0022】
用紙搬送ローラ対15は、用紙セットユニット14によりセットされたロール紙3を後続の搬送機構へと搬送するためのローラ対である。具体的には、用紙搬送ローラ対15は、不図示のモータとモータからの駆動力の伝達を制御するクラッチとにより駆動制御される。
【0023】
ギロチンカッタ16は、ロール紙3をカットするためのカッタである。ギロチンカッタ16は、例えば、画像形成装置2における画像形成に必要な長さのロール紙3を搬送し終えた適宜なタイミングで、ロール紙3の終端を垂直にカットする。
【0024】
本体進入搬送ローラ対17は、用紙搬送ローラ対15よりも下流に位置し画像形成装置2にロール紙3を送り込むローラ対である。具体的には、本体進入搬送ローラ対17は、用紙搬送ローラ対15で用いたモータと、このモータからの駆動力の伝達を制御するクラッチと、により駆動制御される。
【0025】
ここで、ロール紙3をセットする操作を具体的に説明すると、まず、オペレータは、
図2に示すように、給紙装置1内部を矢印方向に引き出す。そして、ロール紙3を保持部11にセットした後、ロール紙3を保持部11から引き出してテンションローラ12の下に通し、従動ローラ13の上を通す。そして、オペレータは、用紙セットユニット14までロール紙3を引き出して用紙搬送ローラ対15に挟み、一対の押さえ棒でロール紙3を押さえる。
【0026】
この状態で給紙装置1を閉じると、セットされたロール紙3が適宜のセンサにより検出されて、用紙搬送ローラ対15が回転駆動する。すると、ロール紙3は、ギロチンカッタ16を通って本体進入搬送ローラ対17まで送られて、画像形成装置2へ進入直前のホームポジションで待機する。
【0027】
一方で、給紙装置1上に設置された巻き取り部18は、画像形成装置2から排出されたロール紙3を巻き取って保持するための部材である。巻き取り部18は、保持部11と同様、ロール紙3の中心にある巻き芯(紙管)を貫通してロール紙3を保持する回転可能な巻き取り軸(シャフト)と、この巻き取り軸を支持する支持台と、によって構成され、ロール紙3を回転可能に保持する。
【0028】
巻き取り部18には、巻き取り軸を回転させるための不図示のモータが搭載される。このモータの駆動により、巻き取り部18は、指示された単位時間当たりの回転数で巻き取り軸を回転させて、画像形成装置2から従動ローラ19を経由して送り出されたロール紙3を巻き取る。
【0029】
次に、画像形成装置2は、給紙装置1の上に重ねて置かれ、給紙装置1から給紙されるロール紙3、又は自身の給紙トレイ5から給紙されるカット紙4に印刷するプリンタ本体である。画像形成装置2は、ロール紙3への印刷の場合、例えばラベルプリンタとして機能し、台紙となるロール紙3上に貼られた粘着紙であるラベルに、連続して印刷を行う。
【0030】
ここで、
図3を参照して、画像形成装置2の内部構成を説明する。以下では、画像形成装置2として、電子写真式で二次転写方式のタンデム型のカラープリンタを例にとって説明する。画像形成装置2は、給紙トレイ5、ピックアップローラ6、給紙ローラ対7、本体搬送ローラ対8、画像形成部20、中間転写ベルトユニット30、定着装置40、フラッパー50、排紙ローラ対60、スイッチバックローラ対70及び反転部80を備える。
【0031】
給紙トレイ5は、カット紙4を複数載置するためのトレイである。なお、カット紙は、所定サイズでカットされた用紙(例えば、A4、B4など)である。給紙トレイ5は、カット紙4のサイズに応じて複数段のトレイを設けてもよい。
【0032】
ピックアップローラ6は、複数載置されたカット紙4のうちの、最上位のカット紙4を一枚、給紙搬送路に向けて繰り出すためのローラである。
給紙ローラ対7は、ピックアップローラ6により繰り出されたカット紙4を下流の二次転写ローラ36へ搬送するためのローラ対である。
【0033】
本体搬送ローラ対8は、給紙装置1の本体進入搬送ローラ対17から送り込まれたロール紙3をニップ後、ロール紙3を二次転写ローラ36へと搬送する。
この二次転写ローラ36は、転写ベルト31を介して従動ローラ33に圧接するように配設されており、転写ベルト31のベルト面に転写されたトナー像をロール紙3又はカット紙4へ二次転写する二次転写部を形成する。
【0034】
画像形成部20は、4つの画像形成ユニット21(21k、21c、21m、21y)が直列して設置された構成を備える。この4つの画像形成ユニット21のうちの画像形成ユニット21c、21m、及び21yは、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のカラートナーによるカラー画像を形成する。一方、画像形成ユニット21kは、ブラック(K)トナーによるモノクロ画像を形成する。
【0035】
各画像形成ユニット21は、最下部に感光体ドラム22を備える。この感光体ドラム22は、その周面が例えば有機光導電性材料で構成される。感光体ドラム22の近傍には、周面を取り巻くように、クリーナ23、帯電ローラ24、光書込ヘッド25、及び現像器26の現像ローラ27が配置される。
【0036】
現像器26は、上部に設置されたトナー容器にブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のいずれかのトナーを収容し、中間部には下部へのトナー補給機構を備え、下部には現像ローラ27を備える。
なお、
図3ではブラック(K)用の画像形成ユニット21kの構成にのみ符号を付しているが、各画像形成ユニット21は、トナー容器に収納されたトナーの色を除いて同じ構成である。
【0037】
中間転写ベルトユニット30は、無端状の転写ベルト31、この転写ベルト31を反時計回りに移動させる駆動ローラ32、及び従動ローラ33を備える。転写ベルト31は、直接ベルト面に転写(一次転写)されたトナー像を、ロール紙3又はカット紙4に転写(二次転写)すべく転写位置まで搬送する。
【0038】
中間転写ベルトユニット30は、4個の画像形成ユニット21k、21c、21m、及び21yに対応する4個の一次転写ローラ34を備える。一次転写ローラ34は、それぞれ、指示された回転周期で回転し、転写ベルト31を感光体ドラム22に当接させたり感光体ドラム22から離接させたりする。
【0039】
定着装置40は、ヒータ41を内蔵した加熱ローラ42と、この加熱ローラ42に圧接する加圧ローラ43と、を備える。定着装置40は、二次転写後のロール紙3又はカット紙4上の未定着トナーを加熱加圧して定着させる。
【0040】
フラッパー50は、排紙ローラ対60のある通常排紙経路61又はスイッチバックローラ対70のあるスイッチバック経路71の何れかに搬送経路を切り替える。このフラッパー50は、回転軸に軸支され、図中矢印方向に揺動することで搬送経路を切り替える。このフラッパーを用いた具体的な切替制御については、後述する。
排紙ローラ対60は、カット紙4にこし付けをした後、機外に排紙するローラ対である。排紙ローラ対60は、カット紙4の排紙性能を向上するため、画像形成装置2の排出口からカット紙4を排出する際、カット紙4を排出方向に対し直交する方向(カット紙4の幅方向)に若干湾曲させてこしを付ける(剛性を与える)。カット紙4にこしを付ける方法として、排紙ローラ対60の一方の排紙ローラと同軸上に一方の排紙ローラとは別のこし付け部を設ける方法が挙げられる。このこし付け部は、一方の排紙ローラに対して外径を大きく設定することで、カット紙4の幅方向に、カット紙4の排出方向から見て波状の変形を与えて、カット紙4の排出方向に剛性を付与し、カット紙4の排出性能を向上している。
【0041】
スイッチバックローラ対70は、カット紙4の両面印刷時に、カット紙4を搬送して一部を機外に出した状態で、搬送方向と逆方向にスイッチバックするローラ対である。
すなわち、このスイッチバックローラ対70は、カット紙4を排紙方向に搬送するか又は排紙方向と逆方向にスイッチバック搬送するか切替可能である。このスイッチバックローラ対70は、カット紙4を方向転換するために用いられるので、スイッチバックローラ対70の一方のスイッチバックローラと同軸上に一方のスイッチバックローラとは別のこし付け部は設けられておらず、スタック性を向上させるためのこし付けは行わない。なお、このスイッチバックローラ対70は、切替手段として機能する。
【0042】
ここで、通常排紙経路61とはカット紙4がこし付けされて機外に排紙される搬送経路を、スイッチバック経路71とはスイッチバックローラ対70によりカット紙4が排紙方向又は排紙方向と逆方向に搬送される搬送経路を、それぞれいう。また、通常排紙経路61は第1の経路と、スイッチバック経路71は第2の経路ともいう。
【0043】
反転部80は、複数の搬送ローラ群を備え、スイッチバックローラ対70によりスイッチバックされたカット紙4を搬送しつつ、表裏を反転させて未印刷面を二次転写部に送り込む。なお、この反転部80による搬送経路を反転経路といい、第3の経路ともいう。
【0044】
続いて、
図4を参照して、画像形成装置2の制御に係る構成を説明する。
画像形成装置2は、PC9及び給紙装置1と、LAN(Local Area Network)等のネットワーク又はUSB(Universal Serial Bus)によって互いに接続されている。
【0045】
画像形成装置2は、制御部90を備える。この制御部90は、CPU91、LAN通信部92、USB通信部93、パネル制御部94、オペレーションパネル95、記憶装置96、ジョブ解析部97、経路選択部98及び搬送制御部99を備える。
【0046】
CPU91は、命令やデータを転送するための伝送経路であるシステムバスを介して画像形成装置2の各部と接続され、画像形成装置2の各部の動作を制御する。CPU91は、不図示のROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)をワークメモリとして用いながら、ROMや記憶装置96に記憶されているシステムソフトウェア等の各種プログラムを読み出し、適宜実行する。
【0047】
LAN通信部92及びUSB通信部93は、それぞれLAN及びUSBを介して外部の機器と通信を行う。例えばCPU91は、LAN通信部92又はUSB通信部93を介してPC9及び給紙装置1と通信を行い、PC9から送信された印刷ジョブを受信したり、給紙装置1にロール紙3の搬送要求を送信したりする。
【0048】
パネル制御部94は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)等の表示パネルと、各種の操作ボタンを含む入力装置と、を備えるオペレーションパネル95に接続される。パネル制御部94は、CPU91の制御のもと、種々の画像や文字、記号等をオペレーションパネル95に表示する。
また、パネル制御部94は、オペレーションパネル95に入力されたユーザからの各種操作を受け付け、受け付けた各種操作にそれぞれ対応する操作信号をCPU91に供給する。
【0049】
記憶装置96は、例えばEEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)やHDD(Hard Disk Drive)などの不揮発性メモリである。記憶装置96は、画像形成装置2の動作に必要となる各種プログラム(後述する、経路選択処理に係るプログラムなど)及び各種データを記憶する。記憶装置96は、例えば、ロール紙3を搬送する際の搬送速度のデータやカット紙4を搬送する際の搬送速度のデータなどを記憶する。
【0050】
ジョブ解析部97は、PC9から送信された印刷ジョブ及びオペレーションパネル95に入力されたユーザからの印刷指示に係る印刷ジョブを解析し、印刷対象がカット紙4か又はロール紙5かを特定する。
また、ジョブ解析部97は、印刷対象がカット紙4の場合、印刷ジョブに基づいて、片面印刷か又は両面印刷かを特定する。なお、このジョブ解析部97は、特定手段として機能する。
【0051】
経路選択部98は、フラッパー50を制御して、通常排紙経路61(第1の経路)又はスイッチバック経路71(第2の経路)の何れかの経路を選択する。具体的には、経路選択部98は、フラッパー50の回転軸を駆動させるための不図示のモータを制御することで、フラッパー50を揺動させて経路選択する。なお、この経路選択部98は、選択手段として機能する。
【0052】
搬送制御部99は、画像形成装置2内の各ローラ(給紙ローラ対7、本体搬送ローラ対8、二次転写ローラ36、排紙ローラ対60、スイッチバックローラ対70、反転部80内の搬送ローラ群など)を適宜制御して、ロール紙3又はカット紙4の搬送を制御する。具体的には、搬送制御部99は、各ローラを回転駆動させるための不図示のモータの回転数、正転や逆転などを適宜制御して、搬送する用紙の搬送速度や方向転換などを制御する。なお、搬送制御部99は、搬送制御手段として機能する。
【0053】
以上、
図1乃至
図4を参照しながら説明した印刷装置100において、例えば一つの特徴的な点は、通常排紙経路61又はスイッチバック経路71の選択を行う経路選択処理である。そこで、以下この点に関連する経路選択処理の流れを
図5のフローチャートを参照しながら説明する。
【0054】
ユーザがオペレーションパネル95又はPC9から印刷開始指示を行ったとする。
図5の経路選択処理は、画像形成装置2の制御部90が印刷開始指示に係る印刷ジョブを受け付けたことを契機として、開始する(ステップS11)。
【0055】
具体的には、ユーザがPC9から印刷開始指示を行った場合、制御部90は、PC9から送信された印刷データや印刷設定条件などを含む印刷ジョブを、LAN通信部92又はUSB通信部93を介して受信する。一方で、ユーザがオペレーションパネル95から印刷開始指示を行った場合、制御部90は、パネル制御部94を介して印刷データや印刷設定条件などを含む印刷ジョブを受信する。
【0056】
次に、ジョブ解析部97は、ロール紙3の印刷か否かを判定する(ステップS12)。具体的には、ジョブ解析部97は、印刷ジョブに含まれる印刷設定条件(例えば、ロール紙の印刷モードかカット紙の印刷モードかを示すモード情報などに)基づいて、ロール紙3の印刷か否かを判定する。
【0057】
ここで、ジョブ解析部97がロール紙3の印刷であると判定した場合(ステップS12;Yes)、制御部90は、ロール紙3の搬送要求を給紙装置1に送信する(ステップS13)。具体的には、制御部90は、印刷を実行するためにロール紙3を給紙する旨の要求を、LAN通信部92又はUSB通信部93を介して給紙装置1に送信する。この搬送要求に応じて、給紙装置1は、ホームポジションにあるロール紙3を画像形成装置2に向けて給紙し始める。
【0058】
次に、経路選択部98は、スイッチバック経路71を選択する(ステップS14)。具体的には、
図6に示すように、経路選択部98は、フラッパー50を制御してスイッチバック経路71を選択する。これにより、給紙装置1から給紙され画像形成された後のロール紙3の排紙経路としてスイッチバック経路71が選択される。ステップS14の処理の後、経路選択処理を終了する。なお、ステップS13及び14の処理は同時に行っても構わない。
【0059】
一方、ジョブ解析部97がロール紙3の印刷でないと判定した場合(ステップS12;No)、ジョブ解析部97は、カット紙4の印刷であると判定して、さらに、カット紙4の片面印刷か否かを判定する(ステップS15)。
【0060】
ここで、ジョブ解析部97がカット紙4の片面印刷であると判定した場合(ステップS15;Yes)、経路選択部98は、通常排紙経路61を選択する(ステップS16)。具体的には、経路選択部98は、
図7に示すように、フラッパー50を制御して通常排紙経路61を選択する。これにより、給紙トレイ5から給紙され画像形成された後のカット紙4の排紙経路として通常排紙経路61が選択される。ステップS16の処理の後、経路選択処理を終了する。
【0061】
一方、ジョブ解析部97がカット紙4の片面印刷でないと判定した場合(ステップS15;No)、カット紙4の両面印刷であると判定して、経路選択部98は、スイッチバック経路71を選択する(ステップS16)。具体的には、経路選択部98は、
図6に示すように、フラッパー50を制御してスイッチバック経路71を選択する。これにより、片面画像形成後のカット紙4のスイッチバック用の経路としてスイッチバック経路71が選択される。ステップS14の処理の後、経路選択処理を終了する。
【0062】
この経路選択処理の後、給紙装置1から給紙されたロール紙3又は給紙トレイ5から給紙されたカット紙4に画像形成がなされる。その後、搬送制御部99は、ロール紙3の印刷の場合、画像形成後のロール紙3をスイッチバック経路71から機外へ排紙するために、
図6中の矢印方向(排紙方向)に搬送する。具体的には、搬送制御部99は、スイッチバックローラ対70を正転させ続けて搬送方向に搬送するようにする。機外へ排紙されたロール紙3は、従動ローラ19を介して巻き取り部18で巻き取られる。
【0063】
一方、搬送制御部99は、片面画像形成後のカット紙4を両面印刷する場合、スイッチバックローラ対70を正転させて排紙方向に搬送する。そして、搬送制御部99は、カット紙4の一部が機外に出たところで一旦スイッチバックローラ対70を停止して、その後逆転させることにより排紙方向と逆方向にカット紙4をスイッチバック搬送するようにする。これにより、反転経路(第3の経路)にカット紙4を送り込み、反転部80の搬送ローラ群により表裏を反転させつつ搬送し、カット紙4の未印刷面を二次転写部に送り込むことができる。
【0064】
以上
図5の処理において、印刷装置100の画像形成装置2は、ロール紙3を印刷する場合、画像形成後のロール紙3の排紙経路として、スイッチバック経路71を選択するようにしている。このことにより、ロール紙3にこし付けをしないので、排紙時の負荷を軽減してロール紙を搬送することができる。
特に、ラベルなどの粘着紙が貼られたロール紙の場合、ラベル印刷時にラベルの接着部分やミシン目部分に負荷がかかることがない。従って、ラベルなどの粘着紙を剥がすことなくロール紙3を搬送して排紙することができる。また、ロール紙3にこし付けをしないので、こし付けによるロール紙3の変形やこし付けの跡などを防止することができる。
【0065】
(変形例)
以上で実施形態の説明を終了するが、上記実施形態は一例であり、印刷装置100、給紙装置1及び画像形成装置2の具体的な構成や処理の内容などが上記実施形態で説明したものに限られないことはもちろんである。
【0066】
例えば、上述した実施形態においては、フラッパー50を経路切替用に用いたが、これに限られない。通常排紙経路61又はスイッチバック経路71の何れかに切り替えることができれば、どのような部材を用いて経路切替を行ってもよい。
【0067】
また、上述した実施形態においては、
図5の経路選択処理において、ロール紙3の印刷であればスイッチバック経路71を選択するようにしたが、例外処理を設けてもよい。例えば、経路選択処理において一旦スイッチバック経路71を選択したものの、ロール紙3の搬送中に例えば制御部90が紙詰まりを検知したような場合、経路選択部98は、ロール紙3の排紙経路として通常排紙経路61を選択するとよい。なお、制御部90は、紙詰まり検知手段として機能する。
【0068】
このことにより、紙詰まり等でロール紙3を機外に排出しなければならない場合(すなわち、巻き取り部18で巻き取らずに排紙トレイにスタックさせるような場合)、通常排紙経路61内の排紙ローラ対60でこし付けして排紙することができる。なお、紙詰まりを起こしたロール紙3部分は通常、廃棄処分にするので、こし付けしても問題にならない。
【0069】
また、上述した実施形態においては、画像形成装置2を給紙装置1上に重ねた印刷装置100(すなわち、画像形成装置2と給紙装置1とが別体)であることを前提としたが、これに限られない。例えば、画像形成装置2と給紙装置1とが一体となって、印刷装置100を構成してもよい。
【0070】
この場合、印刷装置100が、
図4に示した制御部90の各部を備え、上述した
図5の経路選択処理を行う。この際、画像形成装置2と給紙装置1とが一体であるので、ステップS13の処理(ロール紙3の搬送要求を画像形成装置2から給紙装置1に送信する処理)を省くことができる。
【0071】
また、上述した実施形態においては、ロール紙4をフェイスダウン(印刷面が下)でスイッチバック経路71から排紙し、巻き取り部18で巻き取るようにしたがこれに限られない。例えば、フェイスアップ(印刷面を上)にしてスイッチバック経路71から排紙するようにしてもよい(
図8参照)。スイッチバック経路71は、通常排紙経路61よりも上部に位置していることから、通常排紙経路61よりも折り返しが容易である。これにより、ロール紙3の印刷状態(例えば、ラベルへの印字位置や剥がれなど)を巻き取り部18で巻き取るよりも早く確認することができる。
【0072】
また、上述した実施形態においては、画像形成装置2は、電子写真式で二次転写方式のタンデム型のカラープリンタであった。しかし、本発明に係る経路選択処理は、通常排紙経路61とスイッチバック経路71とを備える画像形成装置であってロール紙の印刷を行うものであれば、どのような画像形成装置であっても適用できる。例えば、一次転写方式のプリンタやインクジェットプリンタなど他の形式のプリンタに経路選択処理を適用しても構わない。
【0073】
また、この発明の画像形成装置2(画像形成装置2と給紙装置1とが一体となっている場合は印刷装置100)の各機能(例えば、ジョブ解析部97、経路選択部98、搬送制御部99などの各機能)は、通常のPC等のコンピュータによって実現してもよい。
【0074】
具体的には、上述した実施形態においては、画像形成装置2のプログラムが、記憶装置96に予め記憶されているものとして説明した。しかし、このプログラムをコンピュータにインストールして、上述の各機能を実行することができるコンピュータを構成してもよい。なお、プログラムは、記憶装置96に限らず、その他のコンピュータ読み取り可能な記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、CD−ROM、DVD(Digital Versatile Disc)及びMO(Magneto-Optical Disk)等)に格納してコンピュータに配布してもよいことはもちろんである。
【0075】
また、プログラムをインターネット等の通信ネットワーク上のサーバ装置が有するディスク装置等に格納しておき、例えば、コンピュータにダウンロード等するようにしてもよい。
【0076】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明には、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲が含まれる。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0077】
(付記1)
記録媒体がこし付けをされて機外に排出される第1の経路と、
前記記録媒体が前記こし付けをされずに前記機外に排出される第2の経路と、
画像形成後の前記記録媒体の排出経路として、前記第1の経路又は前記第2の経路を選択する選択手段と、
を備えた、
ことを特徴とする印刷装置。
【0078】
(付記2)
前記記録媒体として、カット状の記録媒体又は当該カット状の記録媒体よりも長尺のロール状の記録媒体を特定する特定手段をさらに備え、
前記特定手段が、前記記録媒体を前記ロール状の記録媒体であると特定した場合、
前記選択手段は、前記画像形成後の前記ロール状の記録媒体の前記排出経路として、前記第2の経路を選択する、
ことを特徴とする付記1に記載の印刷装置。
【0079】
(付記3)
前記記録媒体の搬送方向を切替可能な切替手段を前記第2の経路に備え、
前記切替手段は、前記記録媒体を排出方向又は当該排出方向と逆方向に搬送する、
ことを特徴とする付記1又は2に記載の印刷装置。
【0080】
(付記4)
前記切替手段を制御して、前記画像形成後の前記ロール状の記録媒体を前記排出方向に搬送する搬送制御手段をさらに備える、
ことを特徴とする付記3に記載の印刷装置。
【0081】
(付記5)
前記第2の経路は、前記第1の経路よりも上部に位置し、
前記搬送制御手段は、前記画像形成後の前記ロール状の記録媒体を前記排出方向に搬送して、フェイスアップで前記ロール状の記録媒体を排出する、
ことを特徴とする付記4に記載の印刷装置。
【0082】
(付記6)
前記記録媒体として、カット状の記録媒体又は当該カット状の記録媒体よりも長尺のロール状の記録媒体を特定する特定手段と、
記録媒体詰まりを検知する記録媒体詰まり検知手段と、
をさらに備え、
前記特定手段が、前記記録媒体を前記ロール状の記録媒体であると特定した場合、
前記選択手段は、前記記録媒体詰まり検知手段が搬送中の前記ロール状の記録媒体の前記記録媒体詰まりを検知したときに、前記ロール状の記録媒体の前記排出経路として、前記第1の経路を選択する、
ことを特徴とする付記1に記載の印刷装置。
【0083】
(付記7)
記録媒体がこし付けをされて機外に排出される第1の経路と、当該記録媒体が当該こし付けをされずに前記機外に排出される第2の経路と、を備えた印刷装置の経路選択方法であって、
画像形成後の前記記録媒体の排出経路として、前記第1の経路又は前記第2の経路を選択する選択ステップ、
を備えた、
ことを特徴とする経路選択方法。
【0084】
(付記8)
前記記録媒体として、カット状の記録媒体又は当該カット状の記録媒体よりも長尺のロール状の記録媒体を特定する特定ステップをさらに備え、
前記特定ステップにおいて、前記記録媒体を前記ロール状の記録媒体であると特定した場合、
前記選択ステップにおいて、前記画像形成後の前記ロール状の記録媒体の前記排出経路として、前記第2の経路を選択する、
ことを特徴とする付記7に記載の経路選択方法。
【0085】
(付記9)
コンピュータに、
記録媒体がこし付けをされて機外に排出される第1の経路と、当該記録媒体が当該こし付けをされずに前記機外に排出される第2の経路と、を備えた印刷装置の経路選択方法を実行させるためのプログラムであって、
画像形成後の前記記録媒体の排出経路として、前記第1の経路又は前記第2の経路を選択する選択ステップ、
を実行させる、
ことを特徴とするプログラム。
【0086】
(付記10)
前記記録媒体として、カット状の記録媒体又は当該カット状の記録媒体よりも長尺のロール状の記録媒体を特定する特定ステップをさらに実行させ、
前記特定ステップにおいて、前記記録媒体を前記ロール状の記録媒体であると特定した場合、
前記選択ステップにおいて、前記画像形成後の前記ロール状の記録媒体の前記排出経路として、前記第2の経路を選択する、
ことを特徴とする付記9に記載のプログラム。