特許第6052117号(P6052117)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6052117
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】充電器、充電方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20161219BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20161219BHJP
   H02J 7/04 20060101ALI20161219BHJP
   B60L 11/18 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   H02J7/00 V
   H02J7/00 P
   H02J7/02 W
   H02J7/04 C
   B60L11/18 C
【請求項の数】12
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-190322(P2013-190322)
(22)【出願日】2013年9月13日
(62)【分割の表示】特願2013-526663(P2013-526663)の分割
【原出願日】2013年3月6日
(65)【公開番号】特開2014-14268(P2014-14268A)
(43)【公開日】2014年1月23日
【審査請求日】2016年2月5日
(31)【優先権主張番号】特願2012-102926(P2012-102926)
(32)【優先日】2012年4月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】近藤 靖彰
(72)【発明者】
【氏名】重松 大介
【審査官】 永井 啓司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−014014(JP,A)
【文献】 特開2010−110044(JP,A)
【文献】 特開2012−147633(JP,A)
【文献】 特開2010−28913(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L1/00−3/12
7/00−13/00
15/00−15/42
G06F19/00
G06Q10/00−40/08
50/00−50/20
50/26−99/00
H02J7/00−7/12
7/34−7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気自動車に搭載された二次電池に充電を行う充電器であって、
前記二次電池に電力を供給する電力供給部と、
前記充電器の利用料を、電子マネーにより決済する決済部と、
表示部と、
前記電力供給部に対し、前記二次電池への電力供給の開始を指示すると共に、前記決済部に対し、前記電子マネーによる決済の実施を指示し、その後、前記決済部にて前記電子マネーによる決済が実施されるまでの間は、前記表示部に対し、充電が開始されていることを隠蔽するための所定の画面の表示を指示する制御部と、を有する充電器。
【請求項2】
前記制御部は、
前記電気自動車から充電開始の指示を受けると、前記電力供給部に対し、前記二次電池への電力供給の開始を指示すると共に、前記決済部に対し、前記電子マネーによる決済の実施を指示する、請求項1に記載の充電器。
【請求項3】
前記制御部は、
前記決済部にて前記電子マネーによる決済が実施された場合、前記表示部に対し、その時点で充電が開始されたことを示す画面の表示を指示する、請求項2に記載の充電器。
【請求項4】
前記制御部は、
前記電気自動車から充電開始の指示を受けてから一定時間が経過しても、前記決済部にて前記電子マネーによる決済が実施されなかった場合、前記電力供給部に対し、前記二次電池への電力供給の停止を指示する、請求項2または3に記載の充電器。
【請求項5】
前記制御部は、
前記電気自動車から充電開始の指示を受けてから前記決済部にて前記電子マネーによる決済が実施されるまでの間は、前記電力供給部に対し、前記二次電池への電力供給速度として第1の速度を指示し、
前記決済部にて前記電子マネーによる決済が実施されると、前記電力供給部に対し、前記二次電池への電力供給速度として、前記第1の速度よりも速い第2の速度を指示する、請求項4に記載の充電器。
【請求項6】
前記所定の画面は、前記電子マネーの機能を搭載したICカードのタッチを促す画面である、請求項1から5のいずれか1項に記載の充電器。
【請求項7】
電気自動車に搭載された二次電池に充電を行う充電器による充電方法であって、
前記二次電池への電力供給を開始すると共に、前記充電器の利用料の電子マネーによる決済を実施する第1ステップと、
その後、前記電子マネーによる決済が実施されるまでの間は、充電が開始されていることを隠蔽するための所定の画面を表示する第2ステップと、を有する、充電方法。
【請求項8】
前記第1ステップでは、前記電気自動車から充電開始の指示を受けると、前記二次電池への電力供給を開始すると共に、前記電子マネーによる決済を実施する、請求項7に記載の充電方法。
【請求項9】
前記電子マネーによる決済が実施された場合、その時点で充電が開始されたことを示す画面を表示するステップをさらに有する、請求項8に記載の充電方法。
【請求項10】
前記電気自動車から充電開始の指示を受けてから一定時間が経過しても、前記電子マネーによる決済が実施されなかった場合、前記二次電池への電力供給を停止するステップをさらに有する、請求項8または9に記載の充電方法。
【請求項11】
前記電気自動車から充電開始の指示を受けてから前記電子マネーによる決済が実施されるまでの間は、前記二次電池への電力供給速度を第1の速度にするステップと、
前記電子マネーによる決済が実施されると、前記二次電池への電力供給速度を、前記第1の速度よりも速い第2の速度にするステップと、をさらに有する請求項10に記載の充電方法。
【請求項12】
前記所定の画面は、前記電子マネーの機能を搭載したICカードのタッチを促す画面である、請求項7から11のいずれか1項に記載の充電方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、EV(Electric Vehicle:電気自動車)に搭載された二次電池に充電を行う充電器の利用料を、電子マネーにより決済する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、EVに搭載された二次電池に充電を行うEV充電器の利用料を、電子マネーにより決済する技術が幾つか提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、EV充電器の利用料を徴収した後に、EVへの充電を可能とする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−028913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、最近、EVの充電方式として、CHAdeMO(CHArge de MOve)規格の標準化が検討されている。
【0006】
CHAdeMO規格は、EV側から充電の開始・終了を制御する仕様になっている。言い換えれば、CHAdeMO規格では、EV充電器側からは、充電の開始・終了を制御することができない。
【0007】
従って、CHAdeMO規格のEV充電器においては、充電開始前後に電子マネーによる決済のための静止ポイントを設けることができないため、特許文献1のように、充電開始前に静止ポイントを設けて利用料を決済することはできない。
【0008】
また、CHAdeMO規格は、充電が正常に終了すると、EV充電器の充電コネクタのEVへの抜差が可能となる仕様になっている。
【0009】
従って、CHAdeMO規格のEV充電器においては、充電終了後に充電コネクタがEVから取り外される可能性があるため、充電終了後に静止ポイントを設けたとしても、利用料を決済することができない可能性がある。
【0010】
そのため、CHAdeMO規格のEV充電器においては、利用料の未払いが発生する可能性があるという問題がある。
【0011】
そこで、本発明の目的は、上述した課題を解決し、充電器の利用料の未払いを防ぐことができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の充電器は、
電気自動車に搭載された二次電池に充電を行う充電器であって、
前記二次電池に電力を供給する電力供給部と、
前記充電器の利用料を、電子マネーにより決済する決済部と、
前記電気自動車から充電開始の指示を受けると、前記電力供給部に対し、前記二次電池への電力供給の開始を指示すると共に、前記決済部に対し、前記電子マネーによる決済の実施を指示する制御部と、を有する。
【0013】
本発明の充電方法は、
電気自動車に搭載された二次電池に充電を行う充電器による充電方法であって、
前記電気自動車から充電開始の指示を受けると、前記二次電池への電力供給を開始すると共に、前記充電器の利用料の電子マネーによる決済を実施するステップを有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、充電器は、電子マネーにより利用料を決済するタイミングを、電気自動車から充電開始の指示を受けた直後のタイミングにしているため、充電器の利用料の未払いを防ぐことができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態のEV充電器を含む充電システムの構成を示すブロック図である。
図2図1に示した充電システムにおける充電時の動作を説明するフロー図である。
図3図1に示したEV充電器における充電時の動作を説明するシーケンス図である。
図4図1に示したEV充電器における充電時の画面遷移を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、本実施形態のEV充電器を含む充電システムの構成を示すブロック図である。
【0018】
図1に示す充電システムは、EV10と、EV充電器20と、を有している。
【0019】
EV10は、二次電池11と、制御部12と、を有している。
【0020】
二次電池11は、EV充電器20から供給される電力で充電される。なお、EV10は、二次電池11に充電された電力により駆動されるが、駆動系統の構成自体は本発明の本質的な部分ではなく、公知の構成を利用できるため、説明を省略する。
【0021】
制御部12は、EV10内の構成要素を制御して各種の処理を行う。
【0022】
EV充電器20は、表示部21と、電力供給部22と、決済部23と、制御部24と、を有している。
【0023】
表示部21は、充電時に各種の画面を表示する。
【0024】
電力供給部22は、EV10の二次電池11に電力を供給する。
【0025】
決済部23は、EV10によるEV充電器20の利用料を、電子マネーにより決済する。EV充電器20の利用料は、電力供給量にかかわらず一定料金とする(定額制)。
【0026】
制御部24は、EV充電器20内の構成要素を制御して各種の処理を行う。
【0027】
以下、図1に示した充電システムの動作について説明する。
【0028】
まず、図1に示した充電システムにおける充電時の動作について、図2を参照して説明する。
【0029】
図2に示すように、EV充電器20の利用者は、まず、EV充電器20の充電コネクタをEV10に接続する(ステップA1)。
【0030】
次に、EV充電器20の制御部24は、EV充電器20の本体部分と充電コネクタとの間の充電ケーブルの絶縁試験を開始する(ステップA2)。なお、絶縁試験の方法自体は本発明の本質的な部分ではなく、公知の方法を利用できるため、説明を省略する。絶縁試験を開始すると、以降、充電コネクタの抜差が不可能な状態になる。
【0031】
絶縁試験が終了すると(ステップA3)、EV10の制御部12は、EV充電器20に対し、充電の開始を指示する(ステップA4)。この指示を受けると、EV充電器20の制御部24は、電力供給部22に対し、EV10への電力供給の開始を指示する。
【0032】
また、EV充電器20の制御部24は、EV10から充電開始の指示を受けると、決済部23に対し、EV充電器20の利用料の電子マネーによる決済の実施を指示し(ステップA5)、以降、一定時間内に決済が実施されたか否かを監視する(ステップA6)。
【0033】
一定時間内に決済が実施されなかった場合(ステップA6のNo)、EV充電器20の制御部24は、電力供給部22に対し、EV10への電力供給の強制的な停止を指示する(ステップA7)。
【0034】
一方、一定時間内に決済が実施された場合(ステップA6のYes)、EV10の制御部12は、二次電池11の充電量が所定量に達した時点で(急速充電器の場合は、例えば、二次電池11の充電率が80%に達した時点)、EV充電器20に対し、充電の終了を指示する(ステップA8)。この指示を受けると、EV充電器20の制御部24は、電力供給部22に対し、EV10への電力供給の停止を指示する。
【0035】
なお、ステップA7,A8で充電を終了すると、以降、充電コネクタの抜差が可能な状態になる。
【0036】
続いて、図1に示したEV充電器20における充電時の動作を、その時の画面の状態と共に、図3および図4を参照して説明する。
【0037】
図3に示すように、まず、制御部24は、表示部21に対し、スタート画面の表示を指示する(ステップB1)。この指示を受けると、表示部21は、例えば、図4のスタート画面S1を表示する。
【0038】
EV充電器20の利用者は、充電を行う場合、まず、スタート画面S1にタッチする。以降、EV充電器20の充電コネクタのEV10への接続、絶縁試験が行われるが、これらの動作やその時の画面の説明は省略する。なお、上述したように、絶縁試験が開始されると、以降、充電コネクタの抜差が不可能な状態になる。
【0039】
絶縁試験が終了し、EV10から充電開始の指示を受けると(ステップB2のYes)、制御部24は、電力供給部22に対し、EV10への電力供給の開始を指示する。このとき、制御部24は、電力供給部22に対し、EV10への単位時間あたりの電力供給量を示す電力供給速度として、低速の第1の速度(例えば、最低速度)を指示する(ステップB3)。この指示を受けると、電力供給部22は、電力供給速度を第1の速度に低速化した上でEV10への電力供給を開始する。
【0040】
また、制御部24は、表示部21に対し、電子マネー機能を搭載したIC(Integrated Circuit)カードのタッチを促す決済画面の表示を指示する(ステップB4)。この指示を受けると、表示部21は、例えば、図4の決済画面S2を表示する。
【0041】
ここで、ステップB4の時点では、EV10への充電は既に開始されているものの、決済画面S2の画面上では、充電が進んでいるようには見えない。そのため、このような決済画面S2を表示することで、充電を開始したい利用者が率先してICカードのタッチを行うことになると考えられる。
【0042】
また、制御部24は、決済部23に対し、EV充電器20の利用料の電子マネー決済の実施を指示する(ステップB5)。この指示を受けると、決済部23は、電子マネー決済を実施する。具体的には、決済部23は、決済画面S2にICカードがタッチされると、そのICカードから決済に必要な情報(電子マネー、利用者情報等)を読み取り、読み取った情報を基に決済を実施する。
【0043】
以降、制御部24は、EV10から充電開始の指示を受けてから一定時間内に、決済部23にて電子マネー決済が実施されたか否かを監視する(ステップB6,B7)。
【0044】
ここで、電子マネー決済が実施されない場合とは、決済画面S2にICカードがタッチされない場合や、決済画面S2にICカードがタッチされても、そのICカードからの読み取り異常が発生した場合が該当する。また、電子マネー決済が実施された場合とは、決済画面S2にICカードがタッチされ、そのICカードからの読み取りが正常に行われ、決済を実施した場合が該当する。
【0045】
制御部24は、一定時間内に決済が実施されなかった場合(ステップB7のYes)、電力供給部22に対し、EV10への電力供給の強制的な停止を指示する(ステップB8)。この指示を受けると、電力供給部22は、EV10への電力供給を停止する。
【0046】
また、制御部24は、表示部21に対し、電子マネー決済が正常に実施されなかった旨のエラー画面の表示を指示する(ステップB9)。この指示を受けると、表示部21は、例えば、図4のエラー画面S3を表示する。エラー画面S3の表示以降、充電コネクタの抜差が可能な状態になり、再度、ステップB1に戻り、スタート画面S1の表示が行われる。
【0047】
一方、制御部24は、一定時間内に決済が実施された場合(ステップB6のYes)、表示部21に対し、電子マネー決済が正常に実施された旨の決済終了画面の表示を指示する(ステップB10)。この指示を受けると、表示部21は、例えば、図4の決済終了画面S4を表示する。
【0048】
また、制御部24は、電力供給部22に対し、電力供給速度として、第1の速度よりも速い高速の第2の速度を指示する(ステップB11)。この指示を受けると、電力供給部22は、EV10への電力供給速度を第2の速度に高速化する。
【0049】
また、制御部24は、表示部21に対し、充電が開始した旨の充電開始画面の表示を指示する(ステップB12)。この指示を受けると、表示部21は、例えば、図4の充電開始画面S5を表示する。
【0050】
ここで、ステップB12の時点では、EV10への充電は既に開始されていたが、利用者は、充電開始画面S5の表示により、この時点から充電が開始されたと判断する。
【0051】
以降に、EV10から充電終了の指示を受けると(ステップB13のYes)、制御部24は、電力供給部22に対し、EV10への電力供給の停止を指示する(ステップB14)。この指示を受けると、電力供給部22は、EV10への電力供給を停止する。
【0052】
また、制御部24は、表示部21に対し、充電が終了した旨の充電終了画面の表示を指示する(ステップB15)。この指示を受けると、表示部21は、例えば、図4の充電終了画面S6を表示する。充電終了画面S6の表示以降、充電コネクタの抜差が可能な状態になり、再度、ステップB1に戻り、スタート画面S1の表示が行われる。
【0053】
上述したように本実施形態においては、EV充電器20は、電子マネーにより利用料を決済するタイミングを、EV10から充電開始の指示を受けた直後(静止ポイントはとらない)のタイミングにしている。そのため、EV充電器20の利用料の未払いを防ぐことができるという効果が得られる。
【0054】
また、EV充電器20は、一定時間が経過しても、電子マネー決済が実施されなかった場合は、充電を強制的に終了する。そのため、利用料未払いのEV10への電力供給量を抑えることができるという効果が得られる。
【0055】
また、EV充電器20は、電子マネー決済が実施されるまでの間は、低速(第1の速度)で充電を行い、電子マネー決済が実施された後は、高速(第2の速度)で充電を行う。そのため、利用料未払いのEV10への電力供給量をさらに抑えることができるという効果が得られる。
【0056】
また、EV充電器20は、電子マネー決済が実施されるまでの間は、電子マネー機能を搭載したICカードのタッチを促す画面を表示する。このように、実際には充電が進んでいるにも拘らず、こうした画面を表示することで、充電を開始したい利用者が率先してICカードをタッチすることを促すことができるという効果が得られる。
【0057】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明の範囲内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0058】
本出願は、2012年4月27日に出願された日本出願特願2012−102926を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
図1
図2
図3
図4