特許第6052124号(P6052124)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6052124
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】アオリ調整装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/02 20060101AFI20161219BHJP
   F16C 11/04 20060101ALI20161219BHJP
   G02B 7/00 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   G02B7/02 C
   F16C11/04 V
   G02B7/00 B
【請求項の数】4
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-196659(P2013-196659)
(22)【出願日】2013年9月24日
(65)【公開番号】特開2015-64406(P2015-64406A)
(43)【公開日】2015年4月9日
【審査請求日】2015年10月29日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成23年度、独立行政法人情報通信研究機構「高度通信・放送研究開発委託研究/究極立体映像用超高密度・超多画素表示デバイスの研究開発」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(72)【発明者】
【氏名】相澤 忠
【審査官】 荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−337796(JP,A)
【文献】 特開2010−183097(JP,A)
【文献】 特開2000−206423(JP,A)
【文献】 特開平10−048495(JP,A)
【文献】 特開平01−112229(JP,A)
【文献】 特開平07−140508(JP,A)
【文献】 米国特許第04715694(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02
F16C 11/04
G02B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学面を有する光学部品と、
前記光学部品を位置決めして搭載する光学部品搭載部材と、
前記光学部品搭載部材を、第1回動軸を中心に回動自在に支持する第1ヒンジ部を有するヒンジ部材と、
前記ヒンジ部材を、前記第1回動軸とは異なる角度に設定した第2回動軸を中心に回動自在に支持する第2ヒンジ部を有して固定設置された基台と、
前記光学部品搭載部材と前記ヒンジ部材との間に掛止されて、前記光学部品搭載部材を前記ヒンジ部材側に付勢する第1付勢手段と、
前記ヒンジ部材と前記基台との間に掛止されて、前記ヒンジ部材を前記基台側に付勢する第2付勢手段と、
前記基台側から前記光学部品搭載部材に向かって進退し、一端部側を前記第1付勢手段の付勢力により前記光学部品搭載部材に当接させることで、前記光学部品搭載部材を介して前記光学部品の光学面を前記第1回動軸を中心に傾動調整する第1傾動調整部材と、
前記基台側から前記ヒンジ部材に向かって進退し、一端部側を前記第2付勢手段の付勢力により前記ヒンジ部材に当接させることで、前記ヒンジ部材及び前記光学部品搭載部材を介して前記光学部品の光学面を前記第2回動軸を中心に傾動調整する第2傾動調整部材と、
を備え
前記光学部品搭載部材は、前記第1傾動調整部材の前記一端部が当接する受け部を有し、
前記光学面を前記基台に対して平行に設定したときに、前記第1傾動調整部材の前記一端部が前記受け部に当接する当接点を、前記第2回動軸の軸線に略一致させている
とを特徴とするアオリ調整装置。
【請求項2】
前記受け部は、前記光学部品搭載部材から前記第1傾動調整部材の前記一端部に向かって突出するボス部であり、
前記ボス部が前記当接点を有す
とを特徴とする請求項1記載のアオリ調整装置。
【請求項3】
前記第1,第2傾動調整部材は、前記基台に支持されていることを特徴とする請求項1または2に記載のアオリ調整装置。
【請求項4】
前記第1,第2傾動調整部材は、前記第1,第2傾動調整部材それぞれの前記一端部とは反対側の他端部にフレキシブルシャフトをそれぞれ接続することで、前記フレキシブルシャフトを介して前記第1,第2傾動調整部材が進退自在に遠隔操作されることを特徴とする請求項3に記載のアオリ調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学部品の光学面を2軸方向に傾動調整できるアオリ調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、画像情報を表示する空間光変調素子や、画像を撮影する撮像素子などの光学部品は、この光学面から出力される画像情報をディスプレイなどに表示した状態でアオリ調整装置を用いて光学面を傾動調整することで、良好な画像を得ている。
【0003】
この種のアオリ調整装置を適用した一例として特許文献1に記載された空間光変調装置がある。
【0004】
特許文献1に記載された空間光変調装置では、複数の空間光変調素子が複数の外枠に収納され、複数の空間光変調素子が例えば3行×3列にマトリックス状に9個配置されている。
【0005】
そして、複数の空間光変調素子からの画像出力を電気的に合成することで、明るいホログラム再生画像が得られるように構成されている。
【0006】
同号公報中の図5及び図6には、従来のアオリ調整装置として、一つの空間光変調素子を収納した一つの外枠の4隅近傍にネジ及びバネをそれぞれ設け、各ネジと各バネとの釣り合いを調整して一つの空間光変調素子の光学面の傾きを調整している。そして、従来のアオリ調整装置では、合計で9個の空間光変調素子に対して調整光学系を用いて光学面の傾きをそれぞれ調整している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−129067号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1に記載の従来アオリ調整装置によれば、一つの空間光変調素子の光学面の傾きを例えば4個のネジ及び4個のバネを用いた簡単な構成により調整できる。しかしながら、各バネと各ネジの釣り合いを調整する際に光学面が光軸回りに回転してしまうために、光学面の傾動角度を精度よく調整しにくいという問題がある。
【0009】
そこで、光学部品の光学面を2軸方向に傾動させる際に、光学面の傾動角度を精度よく調整することができるアオリ調整装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、光学面を有する光学部品と、前記光学部品を位置決めして搭載する光学部品搭載部材と、前記光学部品搭載部材を、第1回動軸を中心に回動自在に支持する第1ヒンジ部を有するヒンジ部材と、前記ヒンジ部材を、前記第1回動軸とは異なる角度に設定した第2回動軸を中心に回動自在に支持する第2ヒンジ部を有して固定設置された基台と、前記光学部品搭載部材と前記ヒンジ部材との間に掛止されて、前記光学部品搭載部材を前記ヒンジ部材側に付勢する第1付勢手段と、前記ヒンジ部材と前記基台との間に掛止されて、前記ヒンジ部材を前記基台側に付勢する第2付勢手段と、前記基台側から前記光学部品搭載部材に向かって進退し、一端部側を前記第1付勢手段の付勢力により前記光学部品搭載部材に当接させることで、前記光学部品搭載部材を介して前記光学部品の光学面を前記第1回動軸を中心に傾動調整する第1傾動調整部材と、前記基台側から前記ヒンジ部材に向かって進退し、一端部側を前記第2付勢手段の付勢力により前記ヒンジ部材に当接させることで、前記ヒンジ部材及び前記光学部品搭載部材を介して前記光学部品の光学面を前記第2回動軸を中心に傾動調整する第2傾動調整部材とを備え前記光学部品搭載部材は、前記第1傾動調整部材の前記一端部が当接する受け部を有し、前記光学面を前記基台に対して平行に設定したときに、前記第1傾動調整部材の前記一端部が前記受け部に当接する当接点を、前記第2回動軸の軸線に略一致させていることを特徴とするアオリ調整装置を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るアオリ調整装置によれば、空間光変調素子の光学面の傾動角度を精度よく調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】(a),(b)は本発明の実施例に係るアオリ調整装置を前方側,後方側からそれぞれ見た斜視図である。
図2】本発明の実施例に係るアオリ調整装置を分解して示した分解斜視図である。
図3】(a),(b)は本発明の実施例に係るアオリ調整装置を示した上面図,右側面図である。
図4】(a)〜(c)は本発明の実施例に係るアオリ調整装置において、光学部品搭載部材のボス部に、第1傾動調整部材(第1ネジ)を当接させる際の第1〜第3態様を示した図である。
図5】本発明の実施例に係るアオリ調整装置を一部変形させた変形例のアオリ調整装置を後方側から見た斜視図である。
図6】本発明に係るアオリ調整装置を適用した空間光変調装置の全体構成を示した斜視図である。
図7図6に示した空間光変調装置内に設置した複数のアオリ調整装置を遠隔操作する遠隔操作部を示した斜視図である。
図8図6に示した空間光変調装置内に設置した複数のアオリ調整装置を遠隔操作する遠隔操作部を摸式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明に係るアオリ調整装置を実施する形態につき、図1図8を参照して詳細に説明する。
【0014】
実施の形態のアオリ調整装置は、画像情報を表示する空間光変調素子や、画像を撮影する撮像素子などの光学部品を用いて、この光学部品の光学面から出力される画像情報をディスプレイなどに表示した状態で光学面を2軸方向に精度よく傾動調整できるように構成されている。
【0015】
また、実施の形態のアオリ調整装置を例えば空間光変調装置などに適用して、アオリ調整装置内の光学部品(空間光変調素子)の光学面を2軸方向に傾動調整する際に、アオリ調整装置を遠隔操作できるように構成されている。
【実施例】
【0016】
図1(a),(b)は本発明の実施例に係るアオリ調整装置を前方側,後方側からそれぞれ見て斜視的に示している。また、図2は本発明の実施例に係るアオリ調整装置を分解して斜視的に示している。
【0017】
図1(a),(b)及び図2に示す如く、本発明の実施例に係るアオリ調整装置10は、長方形状又は正方形状の光学面11aを有する光学部品11と、この光学部品11を位置決めして載置する光学部品搭載部材14と、光学部品11を載置した光学部品搭載部材14を第1回動軸17を中心にして回動させる第1ヒンジ部16c,16dを有するヒンジ部材16と、このヒンジ部材16を第1回動軸17と直交する第2回動軸22を中心にして回動させる第2ヒンジ部21c,21dを有し且つ固定設置される基台21と、光学部品搭載部材14をヒンジ部材16側に付勢する第1付勢部材27と、ヒンジ部材16を基台21側に付勢する第2付勢部材28と、光学部品11の光学面11aを光学部品搭載部材14を介して第1回動軸17を中心にして傾動調整するために一端部側が光学部品搭載部材14に進退自在に当接し且つ他端部側が基台21に支持された第1傾動調整部材29と、光学部品11の光学面11aを光学部品搭載部材14及びヒンジ部材16を介して第2回動軸22を中心にして傾動調整するために一端部側がヒンジ部材16に進退自在に当接し且つ他端部側が基台21に支持された第2傾動調整部材30と、で概略構成されている。
【0018】
ここで、本発明の実施例に係るアオリ調整装置10の各構成部材について具体的に順を追って説明する。
【0019】
まず、上記した光学部品11は、この実施例において画像情報を表示する空間光変調素子を用いた場合について以下説明するが、これに限ることなく、画像を撮影する撮像素子などを用いてもよい。
【0020】
この光学部品(以下、空間光変調素子と記す)11は、LCOS(Liquid Crystal On Silicon)を用いて画像情報を表示するための光学面11aが長方形状に形成されている。
【0021】
尚、空間光変調素子の光学面11aは、図1(a)中で長方形状に図示しているが、正方形状であってもよい。
【0022】
空間光変調素子11の光学面11aは、左右に互いに間隔K1(図2のみ図示)を有して対向する第1,第2辺11a1,11a2と、これらの第1,第2辺11a1,11a2と直交して前後に互いに間隔K2(図2のみ図示)を有して対向する第3,第4辺11a3,11a4とに囲まれている。
【0023】
従って、空間光変調素子11の光学面11aの長手方向の左右端が第1,第2辺11a1,11a2と対応し、光学面11aの短手方向の前後端が第3,第4辺11a3,11a4と対応している。
【0024】
また、空間光変調素子11は、光学面11aの左方の第1辺11a1と対応する側面側にフレキシブル基板12が接続されている。
【0025】
また、空間光変調素子11の光学面11aの外側の周囲が遮光板13で覆われており、この遮光板13には光学面11aを臨む孔13a(図2のみ図示)が長方形状に貫通して形成されている。そして、遮光板13で光学面11aの画像表示領域外の反射による迷光を遮蔽している。
【0026】
空間光変調素子11を搭載する光学部品搭載部材14は、空間光変調素子11の光学面11aの右方の第2辺11a2と対応する側に凸状上面14aが長手方向に対して短く且つ上方に向かって凸状に形成されている。また、光学部品搭載部材14は、凸状上面14aから下方に向かって空間光変調素子11の厚み分だけ1段凹んで搭載面14bが空間光変調素子11の外形に合わせて平坦に形成されている。
【0027】
そして、空間光変調素子11の光学面11aの右方の第2辺11a2と対応する側面側を光学部品搭載部材14の凸状上面14aの内側に沿って位置決めして当接させて、光学部品搭載部材14の搭載面14b上に空間光変調素子11の下面11bを搭載して接着剤などを用いて固定している。
【0028】
また、光学部品搭載部材14の凸状上面14aから連接してアーム部14cが空間光変調素子11の光学面11aの右方の第2辺11a2から遠ざかる方向に向かって突出形成されている。
【0029】
光学部品搭載部材14のアーム部14cは、前後方向の外側間の外側間隔K3(図2のみ図示)が後述するヒンジ部材16に形成した前後一対の第1ヒンジ部16c,16dの内側間の内側間隔K4(図2のみ図示)よりも短く形成されている。アーム部14cには、後述する第1回動軸17が嵌合する軸孔14c1(図2のみ図示)が貫通して形成されている。
【0030】
また、光学部品搭載部材14の下面14dのうちで空間光変調素子11の光学面11aの後方の第4辺11a4の略中央部位にボス部14eが後述する第2回動軸22(22A,22B)の軸線と略一致する高さまで下方に向かって突出形成されている。ボス部14eには、後述する第1傾動調整部材(第1ネジ)29の一端部側が進退自在に当接している。
【0031】
なお、光学部品搭載部材14のボス部14eは、光学面11aの第4辺11a4の略中央部位になくとも、上方から見て後述する第2回動軸22(22A,22B)の軸線と略一致する面内位置にあればよい。
【0032】
また、光学部品搭載部材14の下面14dで空間光変調素子11の光学面11aの第1,第3辺11a1,11a3と対応する側に後述する第1付勢部材27を掛止するための第1バネ掛止用プレート15が取り付けられている。
【0033】
光学部品搭載部材14を第1回動軸17を中心にして傾動させるヒンジ部材16は、上面16a及び下面16bが共に平坦に形成されている。また、ヒンジ部材16には、上面16a上で空間光変調素子11の光学面11aの右方の第2辺11a2と対応する側に前後一対の第1ヒンジ部16c,16dが上方に向かって突出形成されている。
【0034】
ヒンジ部材16の第1ヒンジ部16c,16dは、空間光変調素子11の光学面11aの前後の第3,第4辺11a3,11a4と平行で、且つ、右方の第2辺11a2よりも外側の位置に内側間の内側間隔K4(図2のみ図示)を有して互いに対向している。
【0035】
また、ヒンジ部材16の第1ヒンジ部16c,16dには、第1回動軸17を嵌合させる軸孔16c1,16d1(図2のみ図示)がそれぞれ貫通して形成されている。
【0036】
第1回動軸17は、図3(a)に平面的に示したように、空間光変調素子11の光学面11aの左右の第1,第2辺11a1,11a2と平行で且つ第2辺11a2よりも外側に偏奇した位置に設けられている。
【0037】
この際、第1回動軸17は、空間光変調素子11の光学面11aの左右の第1,第2辺11a1,11a2と平行であればよい。第1回動軸17と後述する第1傾動調整部材(第1ネジ)29との間のスパンを長く設定できるように光学面11aの第2辺11a2よりも外側の右方に設置することが望ましい。これにより、上下方向に進退する第1傾動調整部材(第1ネジ)29の進退量に追従して光学面11aの傾動角度を第1回動軸回りに微小に変位させることができる。
【0038】
ヒンジ部材16の第1ヒンジ部16c,16d間には、光学部品搭載部材14のアーム部14cと、第1圧縮バネ18とが第1回動軸17を通して嵌め込まれている。第1回動軸17は、第1ヒンジ部16c,16dの軸孔16c1,16d1(図2のみ図示)に軸支されており、Eワッシャ19により第1回動軸17の抜け止めが図られている。
【0039】
この際、第1圧縮バネ18で光学部品搭載部材14のアーム部14cを前方の第1ヒンジ部16c側に押し付けることで、アーム部14cに対してスラストガタを防止している。
【0040】
これにより、空間光変調素子11を搭載した光学部品搭載部材14が、ヒンジ部材16の第1ヒンジ部16c,16dに軸支させた第1回動軸17を中心にして傾動できるようになっている。
【0041】
また、ヒンジ部材16の下面16b側で左右の端部側には、左右一対の支持片16e,16fが下方に向かってそれぞれ突出形成されている。
【0042】
ヒンジ部材16の支持片16e,16fは、空間光変調素子11の光学面11aの左右の第1,第2辺11a1,11a2と平行で、且つ、後方の第4辺11a4近傍の位置に内側間の内側間隔K5(図2のみ図示)を有して互いに対向している。
【0043】
この際、ヒンジ部材16の支持片16e,16f間の内側間隔K5は、後述する基台21上に形成した左右一対の第2ヒンジ部21c,21dの外側間の外側間隔K6(図2のみ図示)よりも長く形成されている。
【0044】
また、ヒンジ部材16の支持片16e,16fには、第2回動軸22(22A,22B)を嵌合させる軸孔16e1(図2のみ図示),16f1(図示せず)がそれぞれ貫通して形成されている。
【0045】
第2回動軸22は、図3(a)に平面的に示したように、空間光変調素子11の光学面11aの前後の第3,第4辺11a3,11a4と平行で且つ第4辺11a4近傍に設けられている。
【0046】
この際、第2回動軸22は、空間光変調素子11の光学面11aの前後の第3,第4辺11a3,11a4と平行であればよい。第2回動軸22と後述する第2傾動調整部材(第2ネジ)30との間のスパンを長く設定できるように光学面11aの第4辺11a4近傍に設置することが望ましい。これにより、上下方向に進退する第2傾動調整部材(第2ネジ)30の進退量に追従して光学面11aの傾動角度を第2回動軸回りに微小に変位させることができる。
【0047】
ヒンジ部材16の上面16a上で空間光変調素子11の光学面11aの前方の第3辺11a3と対応する前方側に後述する第1,第2付勢部材27,28を掛止するために第1,第2曲げ片20a,20bを曲げ形成したバネ掛止用ブラケット20が取り付けられている。
【0048】
ヒンジ部材16の上面16a上でバネ掛止用ブラケット20の図示左側に第1凹部16gが切り欠き形成されており、この第1凹部16g内にはバネ掛止用ブラケット20の第1曲げ片20aと後述する第1付勢部材27とが臨んでいる。
【0049】
ヒンジ部材16の上面16a上で空間光変調素子11の光学面11aの後方の第4辺11a4と対応する側に第2凹部16hが切り欠き形成されており、この第2凹部16h内には先に説明した光学部品搭載部材14の下面14dに突出形成したボス部14eが臨んでいる。
【0050】
ヒンジ部材16を第1回動軸17と直交する第2回動軸22を中心にして傾動させる基台21は、上面21a及び下面21bが共に平坦に形成されている。基台21の上面21aには、空間光変調素子11の光学面11aの左右の第1,第2辺11a1,11a2と対応する側に左右一対の第2ヒンジ部21c,21dが上方に向かって突出形成されている。
【0051】
基台21の第2ヒンジ部21c,21dは、空間光変調素子11の光学面11aの左右の第1,第2辺11a1,11a2と平行で、且つ、後方の第4辺11a4近傍の位置に外側間の外側間隔K6(図2のみ図示)を有して互いに対向している。
【0052】
基台21の第2ヒンジ部21c,21dには、空間光変調素子11の光学面11aの前後の第3,第4辺11a3,11a4と平行な第2回動軸22(22A,22B)を嵌合させる軸孔21c1,21d1(図2のみ図示)がそれぞれ貫通して形成されている。
【0053】
そして、基台21の第2ヒンジ部21c,21dの外側間上方からヒンジ部材16の支持片16e,16fを跨がせて、ヒンジ部材16の左方の支持片16eと基台21の左方の第2ヒンジ部21cとの間に第2圧縮バネ23を通して、短尺な第2回動軸22A(22)を軸支させて、Eワッシャ24により第2回動軸22Aの抜け止めが図られている。
【0054】
更に、ヒンジ部材16の右方の支持片16fと基台21の右方の第2ヒンジ部21dとに短尺な第2回動軸22B(22)を軸支させて、Eワッシャ25により第2回動軸22Bの抜け止めが図られている。
【0055】
この際、第2圧縮バネ23でヒンジ部材16の支持片16e側を左方に押すことで、ヒンジ部材16に対してスラストガタを防止している。
【0056】
尚、上記した第2回動軸22の軸線上では、アオリ調整装置10をコンパクト化するため、光学部品搭載部材14の下面14dに突出形成したボス部14eが交差する点を、基台21の第2ヒンジ部21c,21d間に設けたために第2回動軸22を長尺に形成できずに、第2回動軸22を短尺な第2回動軸22Aと短尺な第2回動軸22Bとに分離させている。
【0057】
また、基台21の上面21a上で空間光変調素子11の光学面11aの前方の第3辺11a3と対応する前方側に後述する第2付勢部材28を掛止するための第2バネ掛止用プレート26が取り付けられている。
【0058】
更に、基台21には、空間光変調素子11に接続したフレキシブル基板12を通す逃げ孔21eが貫通して形成されている。
【0059】
光学部品搭載部材14をヒンジ部材16側に付勢する第1付勢部材27は引張バネを用いている。この第1付勢部材(以下、第1引張バネと記す)27は、この一端部27aを光学部品搭載部材14の下面14dの前方に取り付けた第1バネ掛止用プレート15に掛止させている。また、第1引張バネ27は、他端部27bをヒンジ部材16の上面16a上の前方中央部位に取り付けたバネ掛止用ブラケット20の第1曲げ片20aに掛止させている。
【0060】
この第1引張バネ27により、空間光変調素子11を搭載した光学部品搭載部材14が第1回動軸17を中心にして下方のヒンジ部材16側に傾動するように付勢されることになる。
【0061】
ヒンジ部材16を基台21側に付勢する第2付勢部材28も引張バネを用いている。この第2付勢部材(以下、第2引張バネと記す)28は、この一端部28aをヒンジ部材16の上面16a上の前方中央部位に取り付けたバネ掛止用ブラケット20の第2曲げ片20bに掛止させている。また、第2引張バネ28は、他端部28bを基台21の上面21a上の前方に取り付けた第2バネ掛止用プレート26に掛止させている。
【0062】
この第2引張バネ28により、ヒンジ部材16が第2回動軸22(22A,22B)を中心にして下方の基台21側に傾動するように付勢されることになる。
【0063】
空間光変調素子11を搭載した光学部品搭載部材14の第1回動軸回りの傾動を調整する第1傾動調整部材29は、基台21に支持されて上下方向に進退する部材の一例としてネジを用いているが、これに限ることなく棒状の部材であってもよい。
【0064】
この第1傾動調整部材(以下、第1ネジと記す)29は、基台21上で空間光変調素子11の光学面11aの後方の第4辺11a4の略中央部位と対応する位置に設置されている。第1ネジ29は、基台21に圧入などにより固着させた雌ネジ部筒体29a内に雄ネジ部29bを螺合させて、この雄ネジ部29bの一端部(先端部)にスチールボール29cを搭載したものである。
【0065】
そして、第1ネジ29の雄ネジ部29bを基台21の下面21b側から正転又は逆転させると、第1ネジ29の雄ネジ部29bが上下方向に直線的に進退する。これによって、雄ネジ部29bの一端部に搭載したスチールボール29cを光学部品搭載部材14の下面14dに突出形成したボス部14eの下端部位に当接させている。
【0066】
この際、図4(a)〜(c)に示した如く、光学部品搭載部材14の下面14dに突出形成したボス部14eは、第1ネジ29の雄ネジ部29bの一端部に搭載したスチールボール29cが当接する受け部となっている。
【0067】
そして、光学部品搭載部材14の下面14dに突出形成したボス部14eに、第1ネジ29の雄ネジ部29bの一端部に搭載したスチールボール29cを当接させる際の態様は3通りある。
【0068】
即ち、図4(a)に示した第1態様では、光学部品搭載部材14のボス部14eの下端部位を平坦面14e1に形成している。また、図4(b)に示した第2態様では、ボス部14eの下端部位を円錐状に窪ませた円錐面14e2に形成している。更に、図4(c)に示した第3態様では、ボス部14eの下端部位を半球状に窪ませた半球面14e3に形成している。第1〜第3態様のいずれか一つを適用すればよい。但し、図4(c)に示した第3態様が望ましい。
【0069】
上記した第3態様では、第1ネジ29の雄ネジ部29bの一端部に搭載したスチールボール29cと、光学部品搭載部材14のボス部14eの下端部位を半球状に窪ませた半球面14e3とが合致して摺動するために、半球面14e3に対して雄ネジ部29bの回転の影響を受けずに済む。よって、光学面11a(図1)の第1回動軸回りの傾動に対して精度のよい調整が可能となる。
【0070】
第1〜第3態様のいずれか一つを採用した場合でも、アオリ調整装置10の設計時に空間光変調素子11の光学面11aを基台21に対して平行に設定したときに、図1(b)に示す如く、第1ネジ29の雄ネジ部29bの一端部側が光学部品搭載部材14に当接する設計上の当接点を、第2回動軸22の軸線と3次元的(縦方向×横方向×奥行き方向)に略一致させている。
【0071】
上記に伴って、光学部品搭載部材14から第1ネジ(第1傾動調整部材)29の一端部に向かって突出させたボス部(受け部)14eも、第1ネジ29の一端部が当接する当接点を有することになる。
【0072】
即ち、図4(a)〜(c)に示す如く、アオリ調整装置10の設計時に、光学部品搭載部材14のボス部14eの下端部位に第1ネジ29の雄ネジ部29bの一端部に搭載したスチールボール29cを当接させるときに、ボス部14eの下端部位への当接点となるスチールボール29cの中心点Oが、第2回動軸22の軸線と3次元的に略一致するように設定している。
【0073】
これに伴って、光学部品搭載部材14のボス部14eの下端部位の突出位置を、第1ネジ29の設計時の当接点に当接するように予め設定している。
【0074】
ヒンジ部材16の第2回動軸回りの傾動を調整する第2傾動調整部材30も、基台21に支持されて上下方向に進退する部材の一例としてネジを用いているが、これに限ることなく棒状の部材であってもよい。
【0075】
この第2傾動調整部材(以下、第2ネジと記す)30は、基台21上で第1回動軸17の軸線上で空間光変調素子11の光学面11aの第2,第3辺11a2,11a3の右斜め前方と対応する位置に設置されている。第2ネジ30は、第1ネジ29と同様に、基台21に圧入などにより固着させた雌ネジ部筒体30a内に雄ネジ部30bを螺合させて、この雄ネジ部30bの一端部にスチールボール30cを搭載したものである。
【0076】
そして、第2ネジ30の雄ネジ部30bを基台21の下面21b側から正転又は逆転させると、第2ネジ30の雄ネジ部30bが上下方向に直線的に進退し、この雄ネジ部30bの一端部に搭載したスチールボール30cをヒンジ部材16の下面16bに当接させている。
【0077】
この際、後述するように、第1,第2ネジ29,30の回転動作をフレキシブルシャフト63(図7図8)により遠隔操作するときに、このフレキシブルシャフト63の腰の強さに負けないように第1,第2ネジ29,30の取り付け強度を維持するために、第1,第2ネジ29,30の雌ネジ部筒体29a,30aを共に基台21上に強固に支持させているので、上下方向以外の不要な荷重を加えることなく第1,第2傾動調整部材を確実に上下方向に進退でき、空間光変調素子11の光学面11aに対して遠隔操作が可能となる。
【0078】
尚、第1,第2ネジ29,30に対して雌ネジ部を基台に直接形成する方法もある。しかし、本実施例では、ネジの螺合精度とピッチが調整機能に影響するため、特殊に形成した雌ネジ部筒体29a,30aと雄ネジ部29b,30bとをそれぞれ組にしている市販品を用いた方がよい。例えば雄ネジ部29b,30bの径が4mmであるときにネジピッチをJIS規格より狭く0.25mmに設定でき且つ螺合長さも長く取れるために、第1,第2ネジ29,30の回転動作を精度よく正確に行うことができる。
【0079】
上記のように構成した本発明の実施例に係るアオリ調整装置10内の空間光変調素子11の光学面11aの傾きを調整するときに、ユーザは光学面11aに表示された画像情報を不図示のディスプレイで見ながら、アオリ調整装置10内の基台21の下面21b側から第1,第2ネジ29,30を回転させる。
【0080】
ここで、アオリ調整装置10は、空間光変調素子11の光学面11aへの傾動調整機構部が第1回動軸回りの上層と、第2回動軸回りの下層とに分かれて2層構造に組立てられている。従って、空間光変調素子11の光学面11aへの傾動調整は下層と上層とを交互に繰り返して少しずつ調整して、最後に空間光変調素子11に近い上層の傾動調整機構部を調整することで光学面11aへの傾動調整が最良となる。
【0081】
まず、図3(a),(b)に示す如く、下層の傾動調整機構部を調整するときには、光学部品搭載部材14を支持したヒンジ部材16を、光学面11aの第4辺11a4近傍に設けた第2回動軸22を中心に回動させている。
【0082】
このとき、ヒンジ部材16の下面16bで第1回動軸17の軸線を通り光学面11aの第2,第3辺11a2,11a3よりも右斜め前方位置に第2ネジ30の雄ネジ部30bの一端部側を当接させて、この第2ネジ30を上下方向に直線的に進退させる。これによって、光学面11aの第3辺11a3の前方側に設置した第2引張バネ28の付勢力に追従して空間光変調素子11の光学面11aが第2ネジ30の進退量に応じて第2回動軸22を中心にして傾動する。
【0083】
一方、図3(a)に示す如く、上層の傾動調整機構部を調整するときには、空間光変調素子11を搭載した光学部品搭載部材14を、空間光変調素子11の光学面11aの第2辺11a2よりも外側に偏奇させた第1回動軸17を中心に回動させている。
【0084】
このとき、光学部品搭載部材14の下面14d側で光学面11aの第4辺11a4の略中間部位に突出させたボス部14eの下端部位に第1ネジ29の雄ネジ部29bの一端部側を当接させて、この第1ネジ29を上下方向に直線的に進退させる。これによって、光学面11aの第1,第3辺11a1,11a3の前方に設置した第1引張バネ27の付勢力に追従して空間光変調素子11の光学面11aが第1ネジ29の進退量に応じて第1回動軸17を中心にして傾動する。
【0085】
前述したように、空間光変調素子11の光学面11aを設計時に基台21に対して平行に設定したときに、第1ネジ29の雄ネジ部29bの一端部側が光学部品搭載部材14に当接する設計上の当接点を、第2回動軸22の軸線と3次元的に略一致させている。
【0086】
これにより、空間光変調素子11の光学面11aを下層のヒンジ部材16を介して第2回動軸22を中心にして傾動させても、上層の光学部品搭載部材14のボス部14eが第2回動軸22の軸線と略一致している。従って、空間光変調素子11を搭載した光学部品搭載部材14は動かないために、光学面11aは第1回動軸回りの傾動に対して傾動角度が変位しない。
【0087】
また、部品の製作精度、空間光変調素子11の取付け等、組立によるばらつきの影響を吸収するための調整、或いは最終的に光学系に合わせ込む調整によって、光学部品搭載部材14のボス部14eが第2回転軸22の軸線からはずれた位置に調整される場合であっても、後述するように空間光変調素子11の光学面11aに対してチルト調整を行うために、第2ネジ30の雄ネジ部30bの一端部に搭載したスチールボール30cでヒンジ部材16の下面16bを押し上げる動きにより、第2回動軸22を中心とした傾動による第1回動軸17の傾動を最小限に抑えることができる。
【0088】
一方、空間光変調素子11の光学面11aを上層の光学部品搭載部材14を介して第1回動軸17を中心にして傾動させても、光学面11aが第2回動軸回りの傾動に対して傾動角度が変位しない。
【0089】
従って、空間光変調素子11の光学面11aに対して第1,第2回動軸回りの各傾動角度を精度よく調整して、この状態を保持できる。
【0090】
更に、空間光変調素子11の光学面11aを互いに直交する第1,第2回動軸を中心にしてそれぞれ分離して傾動調整することができる。よって、空間光変調素子11の光学面11aを互いに直交する2軸方向に傾動させる際に、空間光変調素子11の光学面11aの傾動角度を精度よく調整することができる。また、従来例よりも光学面11aに対して傾動調整箇所を削減でき、光学面11aの光軸回りに関する回転ずれが生じないために、信頼性のよいアオリ調整装置10を提供できる。
【0091】
次に、本発明の実施例に係るアオリ調整装置10を一部変形させた変形例のアオリ調整装置について図5を用いて説明する。
【0092】
図5は実施例のアオリ調整装置を一部変形させた変形例のアオリ調整装置を後方側から見て斜視的に示している。
【0093】
図5に示した変形例のアオリ調整装置10Hでは、先に図1(a),(b)及び図2を用いて説明した実施例のアオリ調整装置10に対して基台21Hの構造のみが一部異なっているだけである。先に示した同一構成部材に対しては同一の符号を付して図示のみとし、実施例と異なる構成部材に新たな符号を付して異なる点について説明する。
【0094】
変形例のアオリ調整装置10Hにおける基台21Hは、平板21H1と、第2ヒンジ部21c,21dを有するヒンジ部材21H2とからなり、平板21H1の上面21aにヒンジ部材21H2が一体的に固着されている。
【0095】
従って、上記した基台21Hは、実施例1における基台21(図1)と同じ機能を備えることになるが、基台21Hを平板21H1とヒンジ部材21H2とに分離して加工し、加工後に平板21H1とヒンジ部材21H2とを合体させて基台21Hを製作した方が加工性が良好となる。
【0096】
上記からこの変形例のアオリ調整装置10Hの場合には、第1ヒンジ部16c,16dを有する第1ヒンジ部材16と、第2ヒンジ部21c,21dを有する第2ヒンジ部材21H2とが上下2層に積層される構造となる。
【0097】
後述するように、実施例のアオリ調整装置10又は変形例のアオリ調整装置10Hを適用して複数のアオリ調整装置10又は10Hをマトリックス状に配置して空間光変調装置50(図6)を構成した場合には、変形例のアオリ調整装置10Hの技術的思想を用いて一つの平板21H1上に複数のヒンジ部材21H2を一体的に固着させた方が基台21Hの加工性が良好となる。
【0098】
以上詳述した実施例のアオリ調整装置10又は変形例のアオリ調整装置10Hにおいて、光学部品として、空間光変調素子11や、撮像素子(図示せず)を用いた場合について説明したが、これ以外に、光学部品として、光ピックアップなどに用いられる発光素子や受光素子とか、各種のミラー,光学フィルタ,プリズムなどを採用してもよい。
【0099】
また、実施例のアオリ調整装置10又は変形例のアオリ調整装置10Hにおいて、空間光変調素子(光学部品)11の光学面11aを2軸方向に傾動させる際に、第1,第2回動軸17,22が互い直交している場合について説明したが、これに限ることなく、光学面11aを第1回動軸17と、第1回動軸17とは異なる角度に設定した第2回動軸22とにより2軸方向に傾動させてもよい。
【0100】
ここで、実施例のアオリ調整装置10又は変形例のアオリ調整装置10を適用した一例として空間光変調装置について、図6図8を用いて説明する。
【0101】
図6は本発明に係るアオリ調整装置を適用した空間光変調装置を斜視的に示している。また、図7図8は空間光変調装置内に設置した複数のアオリ調整装置を遠隔操作する遠隔操作部を示している。
【0102】
図6に示す如く、空間光変調装置50では、底板51上に設置した箱形状のブラケット52の前面52aに前面パネル53が略垂直に取り付けられている。
【0103】
また、上記した前面パネル53の前面53aには、空間光変調素子(光学部品)11を搭載した実施例のアオリ調整装置10又は変形例のアオリ調整装置10Hがマトリック状に複数配置されている。
【0104】
この際、実施例のアオリ調整装置10を適用した場合に、前面パネル53は実施例のアオリ調整装置10内の基台21(図1)と同様に複数の第2ヒンジ部(図示せず)を一体形成する構造、又は、前面パネル53上に実施例のアオリ調整装置10内の基台21を複数取り付ける構造となる。
【0105】
一方、変形例のアオリ調整装置10Hを適用した場合には、前面パネル53は変形例のアオリ調整装置10H内の基台21Hの一部を構成する平板21H(図5)と同様に、この前面パネル53に変形例のアオリ調整装置10H内の基台21Hの他部を構成するヒンジ部材21H2(図5)を複数取り付ける構造となる。
【0106】
空間光変調装置50では、情報を2次元的に表示するLCOSを用いて形成した反射型の空間光変調素子11が、例えば4行×4列(又は3行×3列)にマトリックス状に配置されている。
【0107】
そして、外部から画像情報に応じた光を各空間光変調素子11の光学面11aに照射して、この光学面11aで反射して出力された画像情報を不図示の投射レンズで投影することで、高精度な電子ホログラフィー像を3次元的に表示できるように構成されている。
【0108】
尚、複数の各空間光変調素子11の光学面11a(図1)に表示された各画像情報を合成するときに、光学面11aの外側を覆う遮光板13(図1)からの光情報と、隣り合う空間光変調素子11間の隙間の情報は光学的に除去して合成する。
【0109】
従って、空間光変調装置50では、各空間光変調素子11が各アオリ調整装置10又は10Hに搭載されているために、各空間光変調素子11の光学面11aを第1回動軸17を中心にしてパン方向(画像の水平方向)に傾動させることができる。また、空間光変調装置50では、光学面11aを第2回動軸22を中心にしてチルト方向(画像の垂直方向)に傾動させることができる。しかし、各空間光変調素子11の光学面11a側から傾動調整を行うことはできない。
【0110】
そこで、この空間光変調装置50では、ブラケット52の上面52b上にアオリ調整装置10又は10Hを遠隔操作するための遠隔操作部60の一部を構成する操作パネル61が取り付けられており、遠隔操作部60については後述する。
【0111】
また、底板51上でブラケット52の後方には、空間光変調素子11の配置列ごとにユニット化された制御ユニット70が複数設置されている。各制御ユニット70はフレーム71内に回路部品72を取り付けていると共に、このフレーム71の上方に取り付けた複数のファン73により各制御ユニット70を冷却している。
【0112】
次に、上記した遠隔操作部60は、図7及び図8に示す如く、実施例のアオリ調整装置10内の基台21又は変形例のアオリ調整装置10H内の平板21Hに相当する前面パネル53に支持した第1ネジ29又は第2ネジ30と、操作パネル61の上面61aに取り付けた操作ノブ62との間をフレキシブルシャフト63で連結している。
【0113】
この際、光学部品搭載部材14(図1)に当接する第1ネジ29及びヒンジ部材16(図1)に当接する第2ネジ30は、共に前面パネル53側に支持されているので、前述したようにフレキシブルシャフト63の腰の強さに耐えることができる。よって、空間光変調素子11の傾動調整を遠隔操作しても何等の支障も生じない。
【0114】
具体的には、前面パネル53の裏面53b側に突出した第1又は第2ネジ29又は30の雄ネジ部29b又は30bの他端部と、操作パネル61の裏面61b側に突出した操作ノブ62のシャフト部62aとをフレキシブルシャフト63の両端に取り付けたカップリング64,65で締結している。
【0115】
この際、同一軸上にない軸に回転を伝える機能を有するフレキシブルシャフト63を適用している。このフレキシブルシャフト63は、可撓性回転軸としての機能を持ち、直線でなく撓んだ状態で一端に与えた回転を他端に伝えることができる。また、フレキシブルシャフト63の内部は芯線の周りに鋼線を巻き付けた層が複数重なっており、重なりあった鋼線の巻き層が反対周りに巻くようにしてあり、左右両回転方向に対応できる。
【0116】
上記のように遠隔操作部60を構成したときに、ユーザは第1,第2ネジ29,30と対応する各操作ノブ62を正転又は逆転させて、各フレキシブルシャフト63を介して第1,第2ネジ29,30の雄ネジ部29b,30bを回転させると、雌ネジ部筒体29a,30aに螺合している雄ネジ部29b,30bがそれぞれ直線的に進退する。よって、空間光変調素子11の光学面11aの傾動調整を互いに直交する第1,第2回動軸回りに遠隔操作できる。
【0117】
この際、前面パネル53にアオリ調整装置10又は10Hを例えば4行×4列配置した場合に、第1,第2ネジ29,30がそれぞれ16本ずつ設けられているが、合計32本の第1,第2ネジ29,30の全てに対して遠隔操作する必要はない。例えば画像の中央部分を表示する4行×2列に対して遠隔操作すれば、合計16本のフレキシブルシャフト63を接続すればよいことになる。
【0118】
勿論、アオリ調整装置10又は10Hを単品で使用する場合にもフレキシブルシャフト63を第1,第2ネジ29,30に接続すればよい。
【符号の説明】
【0119】
10…アオリ調整装置
11…光学部品(空間光変調素子)
11a…光学面、11a1〜11a4…第1〜第4辺、14…光学部品搭載部材
16…ヒンジ部材、16c,16d…前後一対の第1ヒンジ部
17…第1回動軸、21…実施例の基台、21c,21d…左右一対の第2ヒンジ部
21H…変形例の基台、21H1…平板、21H2…ヒンジ部材
22(22A,22B)…第2回動軸
27…第1付勢部材(第1引張バネ)、28…第2付勢部材(第2引張バネ)
29…第1傾動調整部材(第1ネジ)、30…第2傾動調整部材(第2ネジ)
50…空間光変調装置、53…前面パネル、62…フレキシブルシャフト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8