(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
E84通信シーケンスにおける載置ポートと天井走行台車との通信は、8bit(片方向8bit、双方向で16bit)のパラレルインタフェースが使用されている。天井走行車の走行経路には、光通信装置が配置され、この光通信装置と天井走行車は光で信号をやり取りする。また、光通信機器と載置ポートとの間は、パラレルインターフェースケーブルで接続される。このようなパラレルインタフェースと光通信機器を用いる場合には、載置ポート単位で通信機器を配置する必要があるためコストが上昇する問題がある。
【0005】
そこで、パラレルインタフェースに変えて、LAN(Local Area Network)などのネットワーク通信によって、入出力ポート(以下IOポートという)の情報を伝達する構成が考えられる。本構成においては、IOポートの情報であるパラレル信号がパケットに変換され、ネットワークを経由して伝達される。
【0006】
パラレルインタフェースによって情報を伝達する場合は、パラレルインタフェースのIOポートの情報が常時接続先に伝達される。一方、ネットワーク通信を用いる構成においては、所定のタイミングでパケットが送信される。ネットワーク通信を用いる構成において、パラレルインタフェースの入出力ポートの情報を、ネットワーク通信によって送信先に伝達する一つのタイミングとして、IOポートの情報が変化したタイミングを採用することが考えられる(例えば、特許文献2参照)。この場合には、情報が変化するまで情報が送信されないので、実際に情報が変化していないのか、それとも、故障などにより情報を送信できない状態になっているのか、を判別できない問題がある。
【0007】
また、IOポートの情報を送信先の相手に伝達する他のタイミングとして、予め定められた一定時間間隔のタイミングを採用することが考えられる(例えば、特許文献3参照)。この場合には、一定時間間隔で通信を続けるため、相手の状態を定期的に確認できるものの、遅滞なくエラーを検知するためには、時間間隔を短くしなければならず、通信データ量が増加するという問題がある。
【0008】
本発明は、上記問題を解決するためのものであり、被搬送物を載置する載置ポートと、被搬送物の搬送及び移載を行う搬送台車との間の通信を行う通信デバイスにおいて、通信データ量の増加を抑制しつつ、遅滞なくエラー情報を伝達することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る通信デバイスは、被搬送物が載置される載置ポートとの間で通信するパラレルインタフェースと、前記載置ポートとの間で前記被搬送物を移載する搬送台車とネットワークを介して通信するネットワーク通信部と、前記パラレルインタフェース及び前記ネットワーク通信部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記載置ポートと前記搬送台車との間で前記被搬送物を移載するためのインターロックシーケンスにおいて、前記載置ポート及び前記搬送台車との通信処理を、繰り返し、前記通信処理は、前記ネットワーク通信部で受信された第1のパケットを第1のパラレル信号に変換する処理と、前記第1のパラレル信号を前記パラレルインタフェースから出力する処理と、前記パラレルインタフェースから入力された第2のパラレル信号を第2のパケットに変換する処理と、所定の待機期間をおいて、前記第2のパケットを前記ネットワーク通信部から前記搬送台車に送信する処理と、前記第1のパケット又は前記第2のパラレル信号に基づき、前記インターロックシーケンスにおけるエラーが生じているかを判定する処理と、前記インターロックシーケンスにおけるエラーが生じていない場合には、前記所定の待機期間を第1の時間間隔に設定し、前記インターロックシーケンスにおけるエラーが生じている場合には、前記所定の待機期間を前記第1の時間間隔より短い第2の時間間隔に設定する処理と、を含む。
【0010】
これによれば、インターロックシーケンスにおいて、エラーが発生している場合には、搬送台車と載置ポートとの間の通信の周期を短くできるため、エラー情報を遅滞なく伝達することができる。また、エラーが発生していない場合には、エラーが発生している場合より、搬送台車と載置ポートとの間の通信の周期を長くできるため、通信データ量を抑制することができる。
【0011】
また、本発明の一態様に係る通信デバイスとして、前記パラレルインタフェースは、SEMI E84規格に基づく構成を有する構成としてもよい。
【0012】
これによれば、SEMI E84規格のインターロックシーケンスを採用することができる。
【0013】
また、本発明の一態様に係る通信デバイスとして、前記第1の時間間隔及び第2の時間間隔の少なくとも一方を、外部から変更するためのインタフェースをさらに備える構成としてもよい。
【0014】
これによれば、第1の時間間隔及び第2の時間間隔を、外部から、随時適切な値に調整することができる。
【0015】
また、本発明の一態様に係る通信デバイスとして、前記制御部は、前記インターロックシーケンスにおけるエラーの種類に応じて、前記第2の時間間隔を変更する構成としてもよい。
【0016】
これによれば、エラーの危険性、緊急性などに応じて、第2の時間間隔を必要十分な値に設定することができるため、通信データ量をより抑制することができる。
【0017】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る通信デバイスの制御方法は、被搬送物が載置される載置ポートとの間で通信するパラレルインタフェースと、前記載置ポートとの間で前記被搬送物を移載する搬送台車とネットワークを介して通信するネットワーク通信部と、前記パラレルインタフェース及び前記ネットワーク通信部を制御する制御部と、を備える通信デバイスの制御方法であって、前記載置ポートと前記搬送台車との間で前記被搬送物を移載するためのインターロックシーケンスにおいて繰り返される、前記載置ポート及び前記搬送台車との通信処理を含み、前記通信処理は、前記ネットワーク通信部で受信された第1のパケットを第1のパラレル信号に変換する処理と、前記第1のパラレル信号を前記パラレルインタフェースから出力する処理と、前記パラレルインタフェースから入力された第2のパラレル信号を第2のパケットに変換する処理と、所定の待機期間をおいて、前記第2のパケットを前記ネットワーク通信部から前記搬送台車に送信する処理と、前記第1のパケット又は前記第2のパラレル信号に基づき、前記インターロックシーケンスにおけるエラーが生じているかを判定する処理と、前記インターロックシーケンスにおけるエラーが生じていない場合においては、前記所定の待機期間を第1の時間間隔に設定し、前記インターロックシーケンスにおけるエラーが生じている場合においては、前記所定の待機期間を前記第1の時間間隔より短い第2の時間間隔に設定する処理と、を含む。
【0018】
これによれば、インターロックシーケンスにおいて、エラーが発生している場合には、搬送台車と載置ポートとの間の通信の間隔を短くできるため、エラー情報を遅滞なく伝達することができる。また、エラーが発生していない場合には、エラーが発生している場合より、搬送台車と載置ポートとの間の通信の間隔を長くできるため、通信データ量を抑制することができる。
【0019】
なお、本発明は、装置及び制御方法として実現できるだけでなく、制御方法におけるステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現することもできる。また、そのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体として実現すること、及び、そのプログラムを示す情報、データ又は信号として実現することもできる。そして、それらプログラム、情報、データ及び信号は、インターネット等の通信ネットワークを介して配信してもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明により、被搬送物を載置する載置ポートと、被搬送物の搬送及び受け渡しを行う搬送台車との間の通信を行う通信デバイスにおいて、通信データ量の増加を抑制しつつ、遅滞なくエラー情報を伝達することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、より好ましい形態を構成する任意の構成要素として説明される。
【0023】
なお、同一の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0024】
まず、本発明に係る通信デバイスを含む半導体製造システムの実施の形態の概要を説明する。
図1は、半導体製造システムの概要を示す外観図である。
図1に示されるように、半導体製造システム1は、主に、通信デバイス10、半導体製造装置50、載置ポート20、走行ルート2、搬送台車30及びアクセスポイント40から構成される。
【0025】
図1に示される半導体製造装置50は、ウェハを加工する装置であり、ウェハが格納されたFOUP(Front Opening Unified Pod)100を搬入及び搬出するためのFOUP搬入搬出口51を備える。
【0026】
載置ポート20は、被搬送物であるFOUP100が載置されるポートであり、半導体製造装置50のFOUP搬入搬出口51付近に配置されて、半導体製造装置50とFOUP100を受け渡しする。また、載置ポート20は、搬送台車30との間で、FOUP100を移載する。また、載置ポート20は、パラレルインタフェース21を有し、パラレルケーブル60を介して、通信デバイス10との間で信号を送受信する。
【0027】
搬送台車30は、載置ポート20との間でFOUP100を移載し、走行ルート2に沿って搬送する台車であり、内部にFOUP100を把持する把持部31を備える。把持部31は、昇降可能に設けられており、FOUP100を載置ポート20との間で移載する際には、載置ポート20付近まで降下される。
【0028】
通信デバイス10は、載置ポート20と搬送台車30との間の信号の送受信を仲介するデバイスである。通信デバイス10は、パラレルインタフェース11を備え、パラレルケーブル60を介して、載置ポート20のパラレルインタフェース21との間でパラレル信号を送受信する。また、通信デバイス10は、さらに、LANポート12を備え、LANケーブル70及びアクセスポイント40を介して、搬送台車30との間でパケットを送受信する。
【0029】
アクセスポイント40は、搬送台車30と通信デバイス10との間のパケットの送受信を仲介するデバイスである。アクセスポイント40は、通信デバイス10からLANケーブル70を介して受信したパケットを、無線通信(例えばIEEE 802.11)によって搬送台車30に送信し、搬送台車30から無線通信によって受信したパケットを、LANケーブル70を介して通信デバイス10に送信する。
【0030】
次に、本実施の形態の半導体製造装置の機能構成を説明する。
図2は、通信デバイスを含む半導体製造装置の特徴的な機能構成を示すブロック図である。
【0031】
まず、
図2に示される搬送台車30の機能構成について説明する。
図2に示されるように、搬送台車30は、機能的には、台車制御部32及び台車通信部33を含む。台車制御部32は、台車通信部33から載置ポート20の情報を示す信号を受信して、搬送台車30の動作を制御する。また、台車制御部32は、搬送台車30の状態を示すパケットを台車通信部33に送信する。台車通信部33は、台車制御部32から送信された搬送台車30の状態を示すパケットを、無線通信によって、アクセスポイント40に送信する。また、台車通信部33は、アクセスポイント40から送信されたパケットを受信して、台車制御部32に送信する。
【0032】
次に、
図2に示される載置ポート20の機能構成について説明する。
図2に示されるように、載置ポート20は、機能的には、LP制御部22とパラレルインタフェース21とを含む。LP制御部22は、パラレルインタフェース21から搬送台車30の状態を示すパラレル信号を受信して、載置ポート20を制御する。また、LP制御部22は、載置ポート20の状態を示すパラレル信号をパラレルインタフェース21に送信する。パラレルインタフェース21は、パラレル信号を入出力する入出力部であって、パラレルケーブル60が備えるコネクタ(Dsub−25pin)を接続するためのレセプタクルを含む。
【0033】
次に、
図2に示される通信デバイス10の機能構成について説明する。
図2に示されるように、通信デバイス10は、機能的には、パラレルインタフェース11、LANポート12、制御部13及びネットワーク通信部14を含む。パラレルインタフェース11は、載置ポート20との間で通信するインタフェースであって、片方8bit、双方向で16bitのIOポートを含み、パラレルケーブル60が接続される。制御部13は、載置ポート20と搬送台車30との間でFOUP100を移載するためのインターロックシーケンスにおいて、載置ポート20及び搬送台車30との通信処理を、所定の通信周期で繰り返し行う処理部である。制御部13は通信処理において少なくとも以下の六つの処理を行う。
【0034】
(1)ネットワーク通信部14から送信されたパケットをパラレル信号に変換する処理。
(2)パケットから変換されたパラレル信号を各IOポートに書き込み(WRITE)、パラレルインタフェース11から出力する処理。
(3)パラレルインタフェース11から入力されたパラレル信号を各IOポートから読み出し(READ)、パケットに変換する処理。
(4)パラレル信号から変換されたパケットをネットワーク通信部14に送信する処理。
(5)受信したパケット及びパラレル信号に基づき、載置ポート20と搬送台車30との間のFOUP100移載のインターロックシーケンスにおけるエラーが生じているかを判定する処理。
(6)エラーが生じていない場合においては、待機期間を第1の時間間隔に設定し、インターロックシーケンスにおけるエラーが生じている場合においては、待機期間を第1の時間間隔より短い第2の時間間隔に設定する処理。
【0035】
制御部13は、上記通信処理を行うためのCPUや記憶部等を内部に備える。
【0036】
ネットワーク通信部14は、搬送台車30とネットワークを介して通信する通信部である。LANポート12は、パケットを入出力する入出力部であって、LANケーブル70が接続される。
【0037】
次に、本実施の形態の半導体製造システム1の通信処理の動作について説明する。
図3は、載置ポート20と搬送台車30との間でFOUP100の移載を行う際に、E84インターロックシーケンスに基づいて通信デバイスが通信処理を行う場合の処理手順の一例を示す図である。本通信処理において、E84インターロックシーケンスにおけるPassive側が載置ポート20であり、Active側が搬送台車30である。E84インターロックシーケンスは、複数の工程からなり、Active側及びPassive側の各工程がエラーなく完了する毎に、Active側8bit又はPassive側8bitのパラレル信号の各bitの値が更新される。そして、前の工程でエラーが発生しなかったことをパラレル信号によって判定された場合には次の工程が実行され、エラーが発生したと判定された場合にはインターロックシーケンスが中断される。なお、本実施の形態においては、Active側の搬送台車30と通信デバイス10との間で、Active側8bit、Passive側8bitのパラレル信号に対応するパケットが送受信される。
【0038】
本実施の形態において、Active側及びPassive側にE84インターロックシーケンス上のエラーが発生していない場合には、通信デバイス10は、
図3の処理工程S1〜S6の通信処理を繰り返す。また、例えば、Passive側にエラーが発生している場合には、
図3の処理工程S6〜S11の通信処理を実行する。以下、各処理工程について説明する。
【0039】
まず、
図3において処理工程S1〜S6で示されるE84インターロックシーケンス上のエラーが発生しない場合の処理工程について説明する。Passive信号送信工程(S1)においては、通信デバイス10が、Passive側である載置ポート20の状態を示すパケットを、Active側である搬送台車30に無線通信により送信する。続くActive側インターロック実行工程(S2)において、Active側である搬送台車30が、通信デバイス10からのパケットを受信して、Passive側の状態を検知する。そして、搬送台車30は、E84インターロックシーケンス上のエラーが発生していないことを確認すると、E84インターロックシーケンスの次の工程を実行し、実行後の搬送台車30の状態を示すパケットを通信デバイス10に無線通信により送信する。次のActive信号転送工程(S3)において、搬送台車30から送信されたパケットを通信デバイス10が受信して、パラレル信号に変換し、パラレルインタフェース11を介して、Passive側の載置ポート20に送信する。続くPassive側インターロック実行工程(S4)において、載置ポート20は、通信デバイス10からActive側の状態を示すパラレル信号を受信して、Active側の状態を検知する。そして、E84インターロックシーケンス上のエラーが発生していないことを確認すると、載置ポート20は、E84インターロックシーケンスの次の工程を実行し、実行後の載置ポート20の状態を示すパラレル信号をパラレルインタフェース21から送信する。次に、Passive信号受信工程(S5)において、通信デバイス10は載置ポート20からのパラレル信号を受信し、パケットに変換する。さらに、載置ポート20から受信したパラレル信号に基づいて載置ポート20の状態を判定する。ここで、通信デバイス10は、載置ポート20において、E84インターロックシーケンス上のエラーが発生していないと判定すると待機状態となる。そして、パラレル信号受信から第1の時間間隔が経過した後、通信デバイス10は、Passive側信号送信工程(S6)を実行する。Passive側信号送信工程において、通信デバイス10は、搬送台車30に、載置ポート20の状態を示すパケットを搬送台車30に無線通信により送信する。上述のとおり、エラーが発生しない場合、通信デバイス10、載置ポート20及び搬送台車30は、S1からS6までの処理工程を
図3に示されるように、インターロックシーケンスの全工程が終了するまで繰り返し実行する。なお、第1の時間間隔としては、通信データ量が抑制され、かつ、インターロックシーケンスの実行に時間がかかり過ぎないような値に設定されることが好ましい。
【0040】
次に、
図3において処理工程S6〜S12で示されるE84インターロックシーケンス上のエラーが発生する場合の処理工程について説明する。まず、処理工程S6〜S8においては上述した処理工程S1〜S3と同様に処理が行われる。次に、Passive側インターロック実行工程(S9)において、載置ポート20は、通信デバイス10からActive側の状態を示すパラレル信号を受信して、Active側の状態を検知する。そして、E84インターロックシーケンス上のエラーが発生していないことを確認すると、載置ポート20は、E84インターロックシーケンスの次の工程を実行する。ここで、本インターロックシーケンスの工程においてエラーが発生すると仮定すると、載置ポート20は、エラーが発生している状態を示すパラレル信号をパラレルインタフェース21から送信する。次に、Passive信号受信工程(S10)において、通信デバイス10は載置ポート20からのパラレル信号を受信し、載置ポート20の状態を検知する。ここで、通信デバイス10は、載置ポート20において、E84インターロックシーケンス上のエラーが発生していることを確認すると、載置ポート20から受信したパラレル信号をパケットに変換して待機する。そして、パラレル信号受信から、第1の時間間隔より短い第2の時間間隔が経過した後、通信デバイス10は、Passive側信号送信工程(S11)を実行する。Passive側信号送信工程において、上述した処理工程S6と同様に、通信デバイス10は、搬送台車30に、載置ポート20の状態を示すパケットを搬送台車30に無線通信により送信する。上述のとおり、通信デバイス10、載置ポート20及び搬送台車30は、E84インターロックシーケンス上のエラーが発生する場合、S6からS11までの処理工程を、第1の周期より短い第2の周期で実行する。そして、Active側インターロック実行工程(S12)において、搬送台車30が、通信デバイス10からのパケットを受信して、Passive側の状態を検知する。そして、Passive側でE84インターロックシーケンス上のエラーが発生していることを確認すると、搬送台車30は、E84インターロックシーケンスを中断する。なお、本実施の形態における、第2の時間間隔は、Passive側の信号の受信を確実に行いつつ(IOポートの信号を読み取る際のチャタリング処理のための時間を確保しつつ)、インターロックシーケンスの安全を確保するような値に設定される。
【0041】
また、本実施の形態においては、待機期間をPassive信号受信工程に設けたが、Active側インターロック実行工程又はPassive側インターロック実行工程など他の工程に設けてもよいし、複数の工程に設けてもよい。
【0042】
なお、上述の時間間隔は、固定されていなくてもよい。例えば、通信デバイス10に入力用のインタフェースを設けて、このインタフェースを介して外部の入力装置から、制御部13内の記憶部に格納されている各時間間隔及び周期を変更できる構成としてもよい。本構成によれば、各時間間隔及び周期を、随時適切な値に調整することができる。
【0043】
また、上述の第1の時間間隔を、各インターロックシーケンスの処理工程に応じて変更する構成としてもよい。本構成によれば、インターロックシーケンスの各処理工程に要する時間などに応じて適切な時間間隔及び周期を採用することができるため、必要以上に短い周期で通信を行うことを回避でき、通信データ量を抑制することができる。例えば、インターロックシーケンスの中で、エラーが発生しにくく、かつ、第1の時間間隔より十分長い時間を要する処理がある場合には、当該処理に要する時間に応じて、第1の時間間隔を長くしてもよい。
【0044】
また、上述の第2の時間間隔を、エラーの種類に応じて変更する構成としてもよい。例えば、載置ポート20付近に作業員が接近したことを検知した場合などの危険なエラーの場合には、第2の時間間隔を極力短くし、通信エラーなどの軽微なエラーの場合には、第2の時間間隔を長くする構成としてもよい。本構成によれば、エラーの危険性、緊急性などに応じて適切な第2の時間間隔を採用することができるので、必要以上に短い間隔で通信を行うことを回避でき、通信データ量を抑制することができる。
【0045】
次に、
図3に示されるActive側インターロック実行工程内の詳細な処理工程について
図4を用いて説明する。
図4は、Active側インターロック実行工程の詳細な処理工程を示すフローチャートである。
【0046】
まず、Active側インターロック実行工程が開始されると、Active側である搬送台車30は、Passive側である載置ポート20の状態を示すパケットを受信する(S21)。次に、搬送台車30は、内部に記憶されている載置ポートの状態を示す信号を更新する(S22)。続いて、更新された載置ポート20の状態を示す信号に基づいて、載置ポート20においてエラーが発生したか否かを判定する(S23)。処理工程S23でエラーが発生したと判定された場合には、搬送台車30は、インターロックシーケンスを中断する(S26)。また、処理工程S23でエラーが発生しなかったと判定された場合には、Active側のインターロックシーケンスを続行する(S24)。そして、インターロックシーケンスにおいて、Active側である搬送台車30でエラーが発生したか否かを判定する(S25)。処理工程S25でエラーが発生したと判定された場合には、インターロックシーケンスを中断する(S26)。処理工程S25でエラーが発生しなかったと判定された場合、及び、処理工程S26においてインターロックシーケンスが中断された場合には、Active側である搬送台車30に記憶されている搬送台車30の状態を示す信号が更新される(S27)。そして、更新された搬送台車30の状態を示すパケットが、搬送台車30から、通信デバイス10に送信され(S28)、Active側インターロック実行工程が終了する。
【0047】
次に、
図3に示されるPassive側インターロック実行工程内の詳細な処理工程について
図5を用いて説明する。
図5は、Passive側インターロック実行工程の詳細な処理工程を示すフローチャートである。
【0048】
まず、Passive側インターロック実行工程が開始されると、Passive側である載置ポート20は、パラレルインタフェース21を介してActive側である搬送台車30の状態を示すパラレル信号を受信する(S31)。次に、受信された搬送台車30の状態を示すパラレル信号に基づいて、搬送台車30においてエラーが発生したか否かを判定する(S32)。処理工程S32でエラーが発生したと判定された場合には、載置ポート20は、インターロックシーケンスを中断する(S35)。また、処理工程S32でエラーが発生しなかったと判定された場合には、Passive側のインターロックシーケンスを続行する(S33)。そして、インターロックシーケンスにおいて、Passive側である載置ポート20でエラーが発生したか否かを判定する(S34)。処理工程S34でエラーが発生したと判定された場合には、インターロックシーケンスを中断する(S35)。処理工程S34でエラーが発生しなかったと判定された場合、及び、処理工程S35においてインターロックシーケンスが中断された場合には、載置ポート20状態を示すパラレル信号が更新されて、パラレルインタフェース21から通信デバイス10に送信される(S36)。以上で、Passive側インターロック実行工程が終了する。
【0049】
次に、
図3に示されるPassive信号受信工程の詳細な処理工程について
図6を用いて説明する。
図6は、Passive信号受信工程の詳細な処理工程を示すフローチャートである。
【0050】
まず、Passive信号受信工程が開始されると、通信デバイス10において、Passive側である載置ポート20の状態を示すパラレル信号を受信する(S41)。次に、受信したパラレル信号をパケットに変換する(S42)。そして、受信したパラレル信号に基づいて、載置ポート20においてエラーが発生したが否かを判定する(S43)。処理工程S43で、エラーが発生しなかったと判定された場合には、通信デバイス10は、載置ポート20からパラレル信号を受信した時点から第1の時間間隔が経過するまで待機する(S44)。また、処理工程S43で、エラーが発生したと判定された場合には、通信デバイス10は、載置ポート20からパラレル信号を受信した時点から第1の時間間隔より短い第2の時間間隔が経過するまで待機し(S45)、Passive信号受信工程が終了する。
【0051】
以上のように、本実施の形態に係る通信デバイスによれば、E84インターロックシーケンスを実行する際、エラーが発生している場合には、搬送台車と載置ポートとの間の通信の間隔を短くできるため、エラー情報を遅滞なく伝達することができる。また、エラーが発生していない場合には、エラーが発生している場合より、搬送台車と載置ポートとの間の通信の周期を長くできるため、通信データ量を抑制することができる。
【0052】
以上、本発明の通信デバイスについて、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【0053】
例えば、
図3〜5に示される処理例においては、エラーが発生している場合にインターロックシーケンスが中断されるが、エラーの種類によっては、再度インターロックシーケンスを試行する場合もあり得る。例えば、通信上のエラーだけが発生した場合には、インターロックシーケンスを中断せず、通信の再試行を行う場合もあり得る。
【0054】
また、本実施の形態においては、SEMI E84規格に基づくインターロックシーケンスを実行する例を示したが、本発明は、SEMI E84規格以外のインターロックシーケンスにおいても採用することができる。