特許第6052149号(P6052149)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ソニー株式会社の特許一覧
特許6052149受電装置、受電制御方法、非接触給電システム、および電子機器
<>
  • 特許6052149-受電装置、受電制御方法、非接触給電システム、および電子機器 図000003
  • 特許6052149-受電装置、受電制御方法、非接触給電システム、および電子機器 図000004
  • 特許6052149-受電装置、受電制御方法、非接触給電システム、および電子機器 図000005
  • 特許6052149-受電装置、受電制御方法、非接触給電システム、および電子機器 図000006
  • 特許6052149-受電装置、受電制御方法、非接触給電システム、および電子機器 図000007
  • 特許6052149-受電装置、受電制御方法、非接触給電システム、および電子機器 図000008
  • 特許6052149-受電装置、受電制御方法、非接触給電システム、および電子機器 図000009
  • 特許6052149-受電装置、受電制御方法、非接触給電システム、および電子機器 図000010
  • 特許6052149-受電装置、受電制御方法、非接触給電システム、および電子機器 図000011
  • 特許6052149-受電装置、受電制御方法、非接触給電システム、および電子機器 図000012
  • 特許6052149-受電装置、受電制御方法、非接触給電システム、および電子機器 図000013
  • 特許6052149-受電装置、受電制御方法、非接触給電システム、および電子機器 図000014
  • 特許6052149-受電装置、受電制御方法、非接触給電システム、および電子機器 図000015
  • 特許6052149-受電装置、受電制御方法、非接触給電システム、および電子機器 図000016
  • 特許6052149-受電装置、受電制御方法、非接触給電システム、および電子機器 図000017
  • 特許6052149-受電装置、受電制御方法、非接触給電システム、および電子機器 図000018
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6052149
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】受電装置、受電制御方法、非接触給電システム、および電子機器
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/10 20160101AFI20161219BHJP
   H02J 50/80 20160101ALI20161219BHJP
【FI】
   H02J50/10
   H02J50/80
【請求項の数】11
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2013-252798(P2013-252798)
(22)【出願日】2013年12月6日
(65)【公開番号】特開2015-111968(P2015-111968A)
(43)【公開日】2015年6月18日
【審査請求日】2016年1月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】特許業務法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中野 裕章
(72)【発明者】
【氏名】橋口 宜明
【審査官】 小池 堂夫
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/125864(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/105776(WO,A1)
【文献】 特開2013−078171(JP,A)
【文献】 特開2011−120443(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/035321(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/00−50/90
H02J 7/00−7/12
H02J 7/34−7/36
B60L 1/00−3/12
B60L 7/00−13/00
B60L 15/00−15/42
G06K 17/00−19/18
H01M 10/42−10/48
H04B 1/00
H04B 1/30
H04B 1/59
H04B 1/72
H04B 5/00−5/06
H04B 11/00−13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給電装置から非接触で給電された電力を受電する受電部と、
前記受電部によって受電された電力を整流する整流部と、
前記給電装置の給電方式を識別する方式判定部と、
前記整流部による整流後の電力の目標電圧を、前記方式判定部によって識別された給電方式に応じた値に設定する目標電圧設定部と
を備える受電装置。
【請求項2】
前記給電装置との間で通信を行う通信部と、
前記目標電圧に応じた電力で給電動作を行うよう指示する信号を前記通信部を介して前記給電装置に出力する制御部と
をさらに備えた請求項1に記載の受電装置。
【請求項3】
前記受電部によって受電された電力に基づいて給電周波数を検出する周波数検出部をさらに備え、
前記方式判定部は、前記周波数検出部によって検出された前記給電周波数に基づいて前記給電装置の給電方式を識別する
請求項1に記載の受電装置。
【請求項4】
給電方式を識別可能な情報を含む信号を前記給電装置から受信する通信部をさらに備え、
前記方式判定部は、前記通信部が受信した信号に基づいて前記給電装置の給電方式を識別する
請求項1に記載の受電装置。
【請求項5】
前記整流部によって整流された電力を所望の電圧の電力に変換すると共に、その変換動作に用いる方式を複数有するレギュレータと、
前記方式判定部によって識別された給電方式に応じて、前記レギュレータが行う変換動作の方式を切り替え制御する制御部と
をさらに備えた請求項1に記載の受電装置。
【請求項6】
保護設定電圧を超えないように前記受電部が受電した電力の電圧を低下させる保護回路と、
前記保護設定電圧を、前記方式判定部によって識別された給電方式に応じた値に設定する保護電圧設定部と
をさらに備えた請求項1に記載の受電装置。
【請求項7】
互いに回路定数の異なる複数の過電圧保護回路を有する保護回路部と、
前記方式判定部によって識別された給電方式に応じて、前記複数の過電圧保護回路のうちいずれか1つの過電圧保護回路を選択的に用いるよう前記保護回路部を制御する制御部と
をさらに備えた請求項1に記載の受電装置。
【請求項8】
互いに回路定数の異なる複数の通信回路を有する通信部と、
前記方式判定部によって識別された給電方式に応じて、前記複数の通信回路のうちいずれか1つの通信回路を選択的に用いるよう前記通信部を制御する制御部と
をさらに備えた請求項1に記載の受電装置。
【請求項9】
給電装置から非接触で給電された電力を受電し、
受電した電力を整流し、
前記給電装置の給電方式を方式判定部によって識別し、
目標電圧設定部が、整流後の電力の目標電圧を、前記方式判定部によって識別された給電方式に応じた値に設定する
受電制御方法。
【請求項10】
給電装置と、
受電装置とを含み、
前記受電装置は、
前記給電装置から非接触で給電された電力を受電する受電部と、
前記受電部によって受電された電力を整流する整流部と、
前記給電装置の給電方式を識別する方式判定部と、
前記整流部による整流後の電力の目標電圧を、前記方式判定部によって識別された給電方式に応じた値に設定する目標電圧設定部と
を備える非接触給電システム。
【請求項11】
受電装置と、
前記受電装置に接続された負荷とを含み、
前記受電装置は、
給電装置から非接触で給電された電力を受電する受電部と、
前記受電部によって受電された電力を整流する整流部と、
前記給電装置の給電方式を識別する方式判定部と、
前記整流部による整流後の電力の目標電圧を、前記方式判定部によって識別された給電方式に応じた値に設定する目標電圧設定部と
を備える電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ワイヤレス(非接触)で給電装置から電力を受電する受電装置、そのような受電装置において用いられる受電制御方法、およびそのような受電装置を用いた非接触給電システムならびに電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば携帯電話機や携帯音楽プレーヤ等のCE機器(Consumer Electronics Device:民生用電子機器)に対し、ワイヤレス給電(Wireless Power Transfer、Contact Free、非接触給電ともいう)を行う給電システムが注目を集めている。このような給電システムでは、例えば、給電トレー等の給電装置上に、受電装置を有する電子機器(携帯電話機等)を置くことにより、電子機器を充電することができる。すなわち、このような給電システムでは、給電装置と受電装置とをケーブルなどで互いに接続することなく給電することができるようになっている。
【0003】
このようなワイヤレス給電を行う方法としては、例えば、電磁誘導方式や、共鳴現象を利用した磁界共鳴方式(磁気共鳴方式ともいう)などがある。これらの方式では、給電装置の給電コイルと、受電装置の受電コイルとの磁気結合を利用して電力を伝送する。これらのうち、磁界共鳴方式は、電磁誘導方式に比べ、給電装置と受電装置とが離れていても電力を伝送することができ、また、給電装置と受電装置との位置合わせが不十分でも給電効率がさほど落ちないという利点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2010/035321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年では、上記したような給電システムの検討が盛んに行われており、商品化も急速に進んでいる。それに伴い標準化活動も活発になりWPC(Wireless Power Consortium),PMA(Power matters alliance),A4WP(Alliance for Wireless Power)などが規格策定の活動を盛んに行っている。このような標準化団体は給電周波数や制御方式が各々異なっており、基本的に互換性は取っていない。すなわち、複数の給電方式が存在する。ただし技術自体は非常に近いため、NFC(Near Field Communication)と同じように今後各々の標準化団体で互換性の検討が行われる可能性は十分に考えられる。
【0006】
複数の給電方式において互換性を取る上で大きな課題となるのは給電周波数の違いである。給電周波数が異なるということは受電側に必要な受電コイルのL値も異なるということになる。すなわち給電周波数が異なるワイヤレス給電の方式で互換性を取る場合、何らかの手法で給電方式を知り、その給電方式の制御に合わせてL値自体を切り替える必要がある。しかしながらワイヤレス給電においては大電流が流れるため、コイルが基板ではなく巻線で製造されていることが多く、中間タップ等でL値を切り替えるのはコスト面や安全性の観点より負担が大きいと思われる。そこで、受電コイルのL値の切り替え等を行うことなく、複数の給電方式に対応可能なシステムの開発が望まれる。
【0007】
特許文献1には、受電電力の大きさに基づいて受電側における目標電圧値を設定するようにした給電システムが開示されているが、特定の1つの給電方式にしか対応しておらず、例えば給電周波数が異なる複数の給電方式に対応したシステムとはなっていない。
【0008】
本開示の目的は、複数の給電方式による電力の供給を安全かつ効率的に行うことが可能となる受電装置、受電制御方法、非接触給電システム、および電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示による受電装置は、給電装置から非接触で給電された電力を受電する受電部と、受電部によって受電された電力を整流する整流部と、給電装置の給電方式を識別する方式判定部と、整流部による整流後の電力の目標電圧を、方式判定部によって識別された給電方式に応じた値に設定する目標電圧設定部とを備えたものである。
【0010】
本開示による受電制御方法は、給電装置から非接触で給電された電力を受電し、受電した電力を整流し、給電装置の給電方式を方式判定部によって識別し、目標電圧設定部が、整流後の電力の目標電圧を、方式判定部によって識別された給電方式に応じた値に設定するようにしたものである。
【0011】
本開示による非接触給電システムは、給電装置と、受電装置とを含み、受電装置を上記本開示による受電装置で構成したものである。
【0012】
本開示による電子機器は、受電装置と、受電装置に接続された負荷とを含み、受電装置を上記本開示による受電装置で構成したものである。
【0013】
本開示による受電装置、受電制御方法、非接触給電システム、または電子機器では、給電装置の給電方式を識別し、整流後の電力の目標電圧を、識別された給電方式に応じた値に設定する。
【発明の効果】
【0014】
本開示の受電装置、受電制御方法、非接触給電システム、または電子機器によれば、給電装置の給電方式を識別し、受電側の整流後の電力の目標電圧を、識別された給電方式に応じた値に設定するようにしたので、複数の給電方式による電力の供給を安全かつ効率的に行うことが可能となる。
なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本開示の第1の実施の形態に係る給電システムの一例を示す外観斜視図である。
図2図1に示した給電システムの回路構成の一例を表すブロック図である。
図3】一般的な非接触給電システムの給電伝送系の等価回路の一例を示す回路である。
図4図1に示した給電システムにおいて、給電方式に応じて受電装置側の目標電圧を制御する処理の一例を表す流れ図である。
図5図1に示した給電システムにおいて、給電方式が第1の方式(A方式)である場合の給電周波数と整流後電圧との関係の一例を示す特性図である。
図6】第1の給電方式における負荷抵抗による電圧変動を示す説明図である。
図7図1に示した給電システムにおいて、給電方式が第2の方式(B方式)である場合の給電周波数と整流後電圧との関係の一例を示す特性図である。
図8】第2の実施の形態に係る給電システムにおけるレギュレータの第1の構成例を示すブロック図である。
図9図8に示した第1の構成例に係るレギュレータの第1の動作状態を示すブロック図である。
図10図8に示した第1の構成例に係るレギュレータの第2の動作状態を示すブロック図である。
図11】レギュレータの第2の構成例を示すブロック図である。
図12】レギュレータの第3の構成例を示す回路図である。
図13】第3の実施の形態に係る給電システムの回路構成の一例を表すブロック図である。
図14図13に示した給電システムにおける過電圧保護回路の一構成例を表す回路図である。
図15】第4の実施の形態に係る給電システムにおける過電圧保護回路または通信部の第1の構成例を表す回路図である。
図16】第4の実施の形態に係る給電システムにおける過電圧保護回路または通信部の第2の構成例を表す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(給電方式に応じて目標電圧を制御する例)
1.1 構成
1.2 動作
1.3 効果
2.第2の実施の形態(給電方式に応じてレギュレータの変換動作の方式を切り替え制御する例)
2.1 レギュレータ210の第1の構成例
2.2 レギュレータ210の第2の構成例
2.3 レギュレータ210の第3の構成例
2.4 効果
3.第3の実施の形態(給電方式に応じて保護設定電圧を制御する例)
3.1 構成
3.2 効果
4.第4の実施の形態(給電方式に応じて回路構成(回路定数)を切り替え制御する例)
4.1 過電圧保護回路214を切り替え制御する構成例
4.2 通信部206を切り替え制御する構成例
4.3 効果
5.その他の実施の形態
【0017】
<1.第1の実施の形態>
[1.1 構成]
(給電システム4の全体構成)
図1は、本開示の第1の実施の形態に係る給電システム4の全体構成例を表すものである。図2は、この給電システム4の回路構成の一例を表すものである。なお、本実施の形態に係る受電装置、受電制御方法、および電子機器は、本実施の形態により具現化されるので、併せて説明する。
【0018】
給電システム4は、磁界を用いて(磁界共鳴や電磁誘導等を利用して;以下同様)、非接触に電力伝送(電力供給,給電,送電)を行うシステム(非接触型の給電システム)である。この給電システム4は、給電装置1(1次側機器)と、受電装置3(図2)を有する給電対象機器としての1または複数の電子機器(ここでは1つの電子機器2;2次側機器)とを備えている。
【0019】
この給電システム4では、例えば図1に示したように、給電装置1における給電面(送電面)S1上に電子機器2が置かれる(または近接する)ことにより、給電装置1から電子機器2に対して電力伝送が行われるようになっている。ここでは一例として、給電装置1は、給電面S1の面積が給電対象の電子機器2等よりも大きなマット形状(トレー状)となっている。
【0020】
この給電装置1の給電面S1(電子機器2が内蔵する受電装置3と接する側)には、後述する給電コイル106(図2)が配置されており、電子機器2の受電面(給電装置1と接する側)には、後述する受電コイル201(図2)が配置されている。給電装置1は、これらの給電コイル106および受電コイル201を介して、磁気結合により、電子機器2に対して電力を伝送する。その際、電子機器2の受電装置3は、給電装置1との間で、例えば負荷変調により通信を行い、給電装置1に対して給電電力の増大や低減などを指示するようになっている。これにより、ユーザは、電子機器2にAC(Alternating Current)アダプタ等を直接接続することなく、電子機器2の充電等することができ、ユーザの利便性を高めることができるようになっている。
【0021】
図1の例では、電子機器2はデジタルカメラであるが、これに限定されるものではない。例えば、ビデオカメラ、スマートフォン、モバイルバッテリ、パーソナルコンピュータ、タブレット、ファブレット、電子書籍リーダ、オーディオプレーヤ、オーディオレコーダ、スピーカ、ヘッドフォン、ヘッドマウントディスプレイ、アクセサリ、ゲーム機器、ウェアラブル機器、メガネ型機器、リスト装着型機器、医療用機器等の様々な携帯端末装置が利用可能である。給電装置1の給電面S1の面積は、電子機器2の受電面の面積よりも広いことが望ましい。なお、これに限定されるものではなく、例えば、給電面S1の面積は、電子機器2の受電面の面積と同程度であってもよいし、電子機器2の受電面の面積よりも狭くてもよい。
【0022】
また、給電装置1は、他の電子機器や電気器具に内蔵されるように構成してもよいし、壁や床などに埋め込まれるように構成してもよい。また、電子機器2は、受電装置3に加えさらに給電装置1と同様の機能を有し、他の受電装置に給電することができるように構成してもよい。
【0023】
(給電装置1の構成)
図2に示したように、給電装置1は、AC/DCコンバータ102と、送電ドライバ103と、制御部104と、コンデンサ105および給電コイル106を有する給電部10と、通信部107とを備えている。
【0024】
AC/DCコンバータ102は、AC100Vなどの交流電源101を直流低圧電源に変換し、送電ドライバ103に供給するものである。なお、交流電源101を使用するのは1つの例であり、例えば直流電源を入力電源として使用してもよい。送電ドライバ103には給電部10が接続してあり、送電ドライバ103から所定の給電周波数の給電電力が給電コイル106に供給される。
【0025】
給電コイル106とコンデンサ105とは、互いに電気的に直列接続されている。給電部10は、給電コイル106を利用して、給電面S1から電子機器2へ向けて磁界(磁束)を放射する機能を有している。給電部10内では、給電コイル106とコンデンサ105とを用いて、LC共振回路が構成されている。そして、この給電部10内に形成されるLC共振回路と、後述する受電部20内に形成されるLC共振回路とは、互いに磁気結合するようになっている(相互誘導)。
【0026】
通信部107は、受電装置3と双方向に通信を行うためのものである。この通信部107による通信は、例えば、送電ドライバ103から給電コイル106に供給される給電電力に、伝送信号を重畳して行う。具体的には、給電コイル106に供給される給電電力の周波数を搬送波として利用して、ASK(Amplitude Shift Keying)やFSK(Frequency Shift Keying)などで情報を変調して伝送する。受電装置3側から通信部107への情報の伝送についても、同様の方法で行われる。あるいは、受電装置3側から通信部107への情報の伝送については、給電電力の周波数とは別の副搬送波を利用した伝送でもよい。近接したコイル間で、非接触により電力と共に情報を双方向で伝送する方式については、既に非接触ICカードとリーダとの間での通信などで各種方式のものが実用化されており、本開示の例ではいずれの方式を適用してもよい。
【0027】
また、通信部107は、給電電力に伝送信号を重畳して通信を行う通信方式に限らず、電力を給電する系とは別の無線伝送路または有線伝送路を使用して、後述する受電装置3の通信部206と通信を行うようにしてもよい。
【0028】
通信部107は、給電装置1が電子機器2に対して給電を行っているときに、電子機器2の受電装置3がいわゆる負荷変調により送信した給電制御信号を復調する機能を有していてもよい。この給電制御信号は、受電装置3が、給電装置1に対して、給電電力の増大要求や低減要求など、給電動作に必要な情報を含むものであってもよい。
【0029】
制御部104は、送電ドライバ103から給電コイル106に供給される給電電力を制御するようになっている。制御部104は、給電制御信号に基づいて給電装置1の給電動作を制御してもよい。その際、制御部104は、送電ドライバ103を制御して給電周波数を変化させるようにしていもよい。
【0030】
(受電装置3を有する電子機器2の構成)
図2に示したように、電子機器2は、受電装置3と、受電装置3に接続された負荷204とを有している。受電装置3は、受電部20と、整流部203と、制御部205と、通信部206と、メモリ部207と、周波数検出部208と、方式判定部209と、レギュレータ210と、電圧測定部213とを備えている。受電部20は、受電コイル201と、コンデンサ202Aと、コンデンサ202Bとを有している。
【0031】
受電部20は、給電装置1から非接触で給電された電力を受電するものである。この受電部20において、受電コイル201とコンデンサ202Aは、LC共振回路を構成している。受電コイル201は、給電装置1の給電コイル106から電力を受電する。受電部20は、例えば、給電装置1の給電コイル106が生成した電磁界に基づいて、電磁誘導の法則に従って、その磁束の変化に応じた誘導電圧を発生させるようになっている。
【0032】
受電部20は整流部203に接続されている。整流部203は、受電コイル201が受電した所定周波数の電源を整流して直流電源を得る。整流部203で得られた直流電源は、レギュレータ210に供給される。
【0033】
レギュレータ210は、整流部203によって整流された電力を安定した所望の電圧の電力に変換する電圧変換器である。レギュレータ210で得られた所定電圧の直流電源が、負荷204に供給されるようになっている。なお、負荷204の代わりに2次電池を充電するようにしてもよい。
【0034】
通信部206は、給電装置1側の通信部107と双方向に通信を行うためのものである。この通信部206が通信を行うために、受電コイル201とコンデンサ202Aとの直列回路が、通信部206に接続してあり、給電装置1から供給される電力に重畳された信号を検出して、通信部107から伝送された信号の受信を行う。また、通信部206から送信する信号が、受電コイル201とコンデンサ202Aとの直列回路に供給される。
【0035】
通信部206は、給電装置1が電子機器2(受電装置3)に対して給電を行う際に、いわゆる負荷変調により、制御部205から供給された給電制御信号を給電装置1に対して送信する機能を有していてもよい。なお、上述したように、この給電制御信号は、給電装置1に対する給電電力の増大要求や低減要求など、給電動作に必要な情報を含むものであってもよい。また、通信部206による給電装置1との間の通信は負荷変調に限定されるものではなく、上記した給電装置1の通信部107と同様に、各種の通信方式を採用可能である。通信部206はまた、給電装置1から給電方式を識別可能な情報を含む信号を受信する機能を有していてもよい。
【0036】
周波数検出部208は、受電部20と整流部203との間の伝送路に接続され、受電部20によって受電された電力に基づいて給電周波数を検出するものである。方式判定部209は、給電装置1の給電方式を識別するものである。方式判定部209は、周波数検出部208によって検出された給電周波数に基づいて給電装置1の給電方式を識別することが可能となっている。方式判定部209はまた、通信部206が給電装置1から給電方式を識別可能な情報を含む信号を受信した場合には、通信部206が受信した信号に基づいて給電装置1の給電方式を識別することも可能となっている。
【0037】
電圧測定部213は、整流部203とレギュレータ210との間の伝送路に接続され、整流部203による整流後の電力の電圧を測定可能となっている。
【0038】
制御部205は、整流部203による整流後の電力の目標電圧を、方式判定部209によって識別された給電方式に応じた値に設定するようになっている。制御部205はまた、目標電圧に応じた電力で給電動作を行うよう指示する給電制御信号を通信部206を介して給電装置1に出力するようになっている。
このように、本実施の形態において、制御部205は、本開示における「目標電圧設定部」の一具体例に対応する。
【0039】
メモリ部207は、制御部205において用いられる各種の制御情報等を記憶しておくためのものである。
【0040】
[1.2 動作]
本実施の形態に係る給電システム4では、図2に示したように受電装置3が周波数検出部208と通信部206とを有し、受電した電力の給電周波数または通信部206の通信結果に基づいて方式判定部209で給電装置1の給電方式を識別する。制御部205は、整流部203による整流後の電力の目標電圧を、方式判定部209によって識別された給電方式に応じた値に設定するための制御を行う。
【0041】
ここで、目標電圧を制御する動作の具体例を説明するのに先だって、目標電圧を給電方式に応じて変化させることの理由を説明する。
【0042】
図3は、一般的な非接触給電システムの給電伝送系の等価回路例を示している。図3において、図2に示した回路と実質的に等価な構成部分には同一の符号を付している。図3より受電側の負荷204の両端の電圧VLは下記式(1)で示される。図3の給電系100において、Vinは交流電圧、Zinは入力インピーダンス、I1は電流値、C1は容量値、R1’は抵抗値、L1’は給電コイル106のL値とする。図3の受電系200において、負荷抵抗(負荷204)における電流値をI2、電圧値をVL、抵抗値をRLとする。また、図3の受電系200において、C2は容量値、R2’は抵抗値、L2’は受電コイル201のL値とする。kは給電コイル106と受電コイル201との結合係数とする。
【0043】
【数1】
【0044】
式(1)からわかるように、受電側の電圧VLは負荷抵抗値RLだけではなく、給電系100のL値L1’、受電系200のL値L2’、結合係数k、給電周波数fなど様々な要素に依存する。ワイヤレス給電の方式によってそれらのパラメータが大きく異なるため、受電側に発生する電圧も必然的に異なることがわかる。
【0045】
そこでL値自体を変化させるのではなく、目標電圧を変えることで同じL値で異なる方式を実現させる手段が考えられる。受電側の目標電圧については受電コイル201の形状や筐体に大きく依存するため、一般的にインプリマターであることが多い。目標電圧については一般的に負荷電流I2に応じて電圧を変化させる手法や、負荷接続前と負荷接続後とで設定電圧を変化させる手法などがある。また目標電圧値についてはいくつかの手法が先願で示されている。例えば特許文献1(国際公開第2010/035321号公報)では、受電電力の大きさに基づいて目標電圧値を設定している。受電電力によって目標電圧値を変化させることは発熱の観点より重要な手法ではある。しかしながら、特許文献1ではワイヤレス給電をある特定の1つの方式に限定したものであり、給電周波数が異なる別方式に対応したものではない。
【0046】
これに対して、本実施の形態は、複数の給電方式に対応できるように目標電圧を変化させるものである。次に、本実施の形態における目標電圧を制御する動作の具体例を説明する。
【0047】
(給電方式に応じて目標電圧を制御する動作例)
図4は、給電方式に応じて目標電圧を制御するための制御処理の一例を示している。図4に示したように、給電装置1からの給電が開始(ステップS11)されると、受電装置3のIC(受電部20以降の回路)が起動する(ステップS12)。一般的にこのときの給電電力は、ICが起動するだけの最低限の電力であることが多い。回路が起動すると、方式判定部209が給電装置1の給電方式を識別する(ステップS13)。給電方式の識別は、周波数検出部208による給電周波数の検出結果、または通信部206の通信結果に基づいて行うことができる。
【0048】
制御部205は、給電方式が特定されたら、その給電方式の仕様にあった適切な目標電圧を設定し、電圧の調整を行う(ステップS14A,S15A、またはステップS14B,S15B)。具体的には、制御部205は、目標電圧に応じた電力で給電動作を行うよう指示する給電制御信号を通信部206を介して給電装置1に出力する。なお、図4の例では、第1の給電方式(A方式)と第2の給電方式(B方式)とを識別し、目標電圧をVAまたはVBに設定する制御例を示しているが、3以上の給電方式を識別し、3以上の目標電圧のいずれかに設定するようにしてもよい。制御部205は、目標電圧範囲に達した場合(ステップS16A;Y、またはステップS16B;Y)には、目標電圧を制御する動作を終了する。
【0049】
目標電圧範囲に達しなかった場合(ステップS16A;N、またはステップS16B;N)には、適切な電圧で給電が行われていないため効率低下による発熱や干渉の悪影響が想定される。このため、制御部205は、一例として給電の強制終了処理を行う(ステップS17A、ステップS17B)。
【0050】
以上のような処理により、各々の給電方式による適切な目標電圧に調整することができ、同一の受電コイル201で複数の給電方式に対応することができる。
【0051】
(目標電圧の設定の具体例)
ワイヤレス給電における電力制御は、電力信号の周波数や電圧、デューティなどによる様々な制御が行われるが、ここでは一例として給電周波数によって電力を制御する例を説明する。
【0052】
図5は、給電方式が第1の方式(A方式)である場合の給電周波数と整流後電圧との関係の一例を示している。図5より、負荷抵抗1KΩや100Ωといった軽負荷(初期起動時)においてはかなり電圧制御の範囲が広いことがわかる。例えば負荷抵抗1KΩのとき、電圧の範囲としては7V〜16Vの範囲で好きな電圧を選ぶことが可能である。
【0053】
ただし、一般的に制御の観点で負荷が変動することによって電圧が大きく変動する部分で給電することは好ましくない。制御として軽負荷時(システム負荷のみ)に目標電圧に設定した後、電池など重い負荷に接続するのが一般的であるが、電圧の変動が大きいとシステムが止まってしまったり、大きな電力が引けないなどの問題が発生する可能性がある。
【0054】
一例として図6に、A方式における負荷抵抗による電圧変動を示す。例えば負荷(電池等)接続前の抵抗値が1KΩ、接続後の抵抗値を5Ω(例えば5V,1A)とする。図6より負荷抵抗の変化による電圧変動が大きな周波数と小さな周波数とがあるのがわかる。例えば負荷接続前(負荷抵抗値=1KΩ)のときの電圧を7Vに調整し、負荷を接続すれば電圧のドロップは1V程度で済む。それに対し負荷接続前の電圧を14Vに調整して負荷を接続すると電圧の変動は10V以上にもなる。これは給電側のインピーダンスが大きくなるのが大きな要因である。すなわちA方式の例では、制御の観点から軽負荷時の目標電圧を7V程度のするのが望ましいことがわかる。
【0055】
図7は、給電方式が第2の方式(B方式)である場合の給電周波数と整流後電圧との関係の一例を示している。受電コイル201はA方式と全く同じものを使用した。B方式で負荷抵抗1KΩのときの整流後電圧は11.5V〜15Vとなっており、A方式と比較して調整範囲が狭い。すなわち、目標電圧を、もしA方式で最適と思われる軽負荷時の7Vにした場合、A方式では目標電圧に調整が可能だが、B方式では目標電圧にならないことがわかる。これより最適な目標電圧は方式によって異なる可能性があることがわかる。
【0056】
[1.3 効果]
以上のように、本実施の形態によれば、受電側の整流後の電力の目標電圧を、識別された給電方式に応じた値に設定するようにしたので、複数のワイヤレス給電方式のそれぞれにおいて受電コイル201を切り変えることなく給電をすることが可能となる。またそれぞれの方式に合わせて適切な目標電圧を設定するようにしたので、複数のワイヤレス給電方式のそれぞれにおいて高効率かつ安全性の高い給電を各々の方式で実現可能となる。
【0057】
なお、本明細書に記載された効果はあくまでも例示であって限定されるものではなく、また他の効果があってもよい。以降の他の実施の形態および変形例についても同様である。
【0058】
<2.第2の実施の形態>(給電方式に応じてレギュレータの変換動作の方式を切り替え制御する例)
本実施の形態では、給電方式に応じてレギュレータ210の変換動作の方式を切り替え制御する。図8図12は、本実施の形態におけるレギュレータ210の構成例を示している。なお、本実施の形態において、レギュレータ210の構成およびその制御動作に関する部分以外の構成および動作は、上記第1の実施の形態(図1図2図4)と略同様であってもよい。
【0059】
ワイヤレス給電では電圧を一定化するためのレギュレータ210として一般的にLDO(Low drop out)とDC−DCコンバータとのいずれかが使用されることが多い。LDOは電圧差を損失させることで一定の電圧を発生させる。例えば5.2V入力で5.0V出力の場合、1A受電時には0.2Vの電位差と1Aの電流で0.2Wの損失が発生する。もし6.0V入力であると、1Vの電圧差と1Aで1Wの損失が発生する。つまり入力電圧の細かな調整が必要な代わりに、低い電圧で駆動でき電圧差が低いほど高効率、外付け部品が少なくてよいという特徴を持つ。一方、DC−DCコンバータはスイッチング動作によって電位差があってもある程度の効率で電圧を一定化できる代わりに、一定以上の電位差が必要で、最高効率がLDOと比較して劣るといった問題がある。
【0060】
そこで、本実施の形態では、給電方式に応じて、レギュレータ210の変換動作の方式を切り替え制御する。一例としては、例えば上述のA方式では軽負荷時の電圧が湧きづらいためLDOを用い、B方式では軽負荷時の電圧が高いためDC−DCコンバータを用いるというような手法が考えられる。
【0061】
本実施の形態では、レギュレータ210は、整流部203によって整流された電力を所望の電圧の電力に変換すると共に、その変換動作に用いる方式を複数有している。制御部205は、方式判定部209によって識別された給電方式に応じて、レギュレータ210が行う変換動作の方式を切り替え制御する。
【0062】
以下、図8図12に、構成例として、レギュレータ210が、DC−DCコンバータ211とLDO212との2つの方式の変換回路を備える場合を説明する。DC−DCコンバータ211は、スイッチングレギュレータと称され、入力電源をスイッチング素子で比較的高速にスイッチングし、そのスイッチングされた電源を整流および平滑化して、所望の電圧の直流電源とする回路である。DC−DCコンバータ211は、入力電圧の可変範囲が広い。
【0063】
LDO212は、トランジスタ素子での電圧降下量を制御して、所望の電圧の直流電源とするシリーズレギュレータである。LDO212は、入力電圧の可変範囲が狭く、出力電圧より若干高い程度の入力電圧であるとき、効率のよい電圧変換が行われる。
【0064】
レギュレータ210は、DC−DCコンバータ211とLDO212とのいずれか一方の回路を使用して電圧を、安定した一定電圧に変換する。このレギュレータ210が変換動作に使用する回路は、受電を制御する制御部205からの指示で決まる。
【0065】
[2.1 レギュレータ210の第1の構成例]
図8は、レギュレータ210の第1の構成例を示している。この第1の構成例では、DC−DCコンバータ211とLDO212とを直列に接続している。図8の例では、DC−DCコンバータ211の後段にLDO212を接続しているが、逆の接続順序でもよい。DC−DCコンバータ211とLDO212は、いずれか一方だけが作動するようにする。DC−DCコンバータ211およびLDO212のうち、停止した側は、入力信号をそのまま出力する。
【0066】
図9は、図8に示した第1の構成例に係るレギュレータ210の第1の動作状態を示している。図10は、図8に示した第1の構成例に係るレギュレータ210の第2の動作状態を示している。
【0067】
DC−DCコンバータ211を使用する際には、図9に示すように、制御部205は、DC−DCコンバータ211を作動させて、LDO212を通過させる。このようにすることで、DC−DCコンバータ211で変換された電圧が、レギュレータ210の出力部に得られる。
【0068】
また、LDO212を使用する際には、図10に示すように、制御部205は、LDO212を作動させて、DC−DCコンバータ211を通過させる。このようにすることで、LDO212で変換された電圧が、レギュレータ210の出力部に得られる。
【0069】
[2.2 レギュレータ210の第2の構成例]
図11は、レギュレータ210の第2の構成例を示している。この第2の構成例では、DC−DCコンバータ211とLDO212とを並列に接続している。DC−DCコンバータ211とLDO212とのいずれか一方だけが作動するように、制御部205が作動する側を制御する。
【0070】
[2.3 レギュレータ210の第3の構成例]
図12は、レギュレータ210の第3の構成例を示している。この第3の構成例では、DC−DCコンバータ211とLDO212とが、回路を共用化したものである。図12に示すように、レギュレータ210の入力端子210aと接地電位部との間には、2つのトランジスタQ1,Q2が接続されている。2つのトランジスタQ1,Q2は、制御部205によりオン・オフが制御される。両トランジスタQ1,Q2の接続点は、コイルL11を介してレギュレータ210の出力端子210bに接続されている。コイルL11と出力端子210bとの接続点には、平滑用のコンデンサC11の一端が接続されている。
【0071】
トランジスタQ1,Q2とコイルL11の接続点と、接地電位部との間には、電圧検出用の抵抗器R11,R12の直列回路が接続されている。また、コイルL11と出力端子210bとの接続点と、接地電位部との間には、電圧検出用の抵抗器R13,R14の直列回路が接続されている。制御部205は、抵抗器R11,R12の接続点の電圧と、抵抗器R13,R14の接続点の電圧を検出する。
【0072】
この図12に示す構成で、レギュレータ210をDC−DCコンバータ211として使用する場合、制御部205は、2つのトランジスタQ1,Q2を高速でオン・オフさせて、スイッチング動作を行う。このとき、制御部205は、抵抗器R13,R14の接続点の電圧から、平滑用のコンデンサC11に充電された電圧をモニタし、その検出される電圧が適正になるように、2つのトランジスタQ1,Q2のスイッチング状態を制御する。
【0073】
また、図12に示す構成で、レギュレータ210をLDO212として使用する場合、トランジスタQ1を電圧制御素子となるように制御する。トランジスタQ2は、制御部205がオープン状態に設定する。このとき、制御部205は、抵抗器R11,R12の接続点の電圧を検出して、その電圧が適正になるように、トランジスタQ1での電圧降下量を制御する。
【0074】
[2.4 効果]
以上のように、本実施の形態によれば、複数のワイヤレス給電方式のそれぞれの方式に応じてレギュレータ210の変換動作の方式を切り替え制御するようにしたので、複数のワイヤレス給電方式のそれぞれにおいて高効率かつ安全性の高い給電が実現可能となる。
【0075】
<3.第3の実施の形態>(給電方式に応じて保護設定電圧を制御する例)
[3.1 構成]
図13は、本実施の形態に係る給電システム4の回路構成の一例を表している。図14は、図13に示した給電システム4における過電圧保護回路214の一構成例を表している。本実施の形態では、図13に示したように受電装置3が過電圧保護回路214を備え、給電方式に応じて制御部205が過電圧保護回路214における過電圧保護設定電圧を制御する。なお、本実施の形態において、過電圧保護回路214の構成およびその制御動作に関する部分以外の構成および動作は、上記第1の実施の形態(図1図2図4)と略同様であってもよい。また、本実施の形態と上記第2の実施の形態(図8図12)とを組み合わせた構成も可能である。
【0076】
過電圧保護回路214は、過電圧保護設定電圧を超えないように受電部20が受電した電力の電圧を低下させるものである。制御部205は、保護設定電圧を、方式判定部209によって識別された給電方式に応じた値に設定するようになっている。
このように、本実施の形態において、制御部205は、本開示における「保護電圧設定部」の一具体例に対応する。
【0077】
ここで、過電圧保護設定電圧(OVP(over voltage protection)電圧)について説明する。過電圧保護設定電圧とはICの破壊を防ぐために設定される電圧で、この電圧を超えると過電圧保護回路214が作動する。過電圧保護回路214は一般的にクランプ回路と呼ばれる大きなコンデンサをショートさせる手法や、ツェナーダイオードなどがあげられる。
【0078】
図13に示したように、過電圧保護回路214は、受電部20と整流部203との間の伝送路に配置されている。図14に示したように、過電圧保護回路214は例えば、一端が受電装置3の高圧側の伝送路に接続されたコンデンサ301と、一端が受電装置3の低圧側の伝送路に接続されたコンデンサ302とを備えている。また、これらコンデンサ301の他端とコンデンサ302の他端との間に、MOSFET303,304を設けた構成となっている。MOSFET303,304のゲートは、制御部205に接続されている。図14の構成例では、測定された電圧が過電圧保護設定電圧を超えた場合に、MOSFET303,304をONさせ電圧を低下させる回路となっている。
【0079】
過電圧保護は、ICの耐圧だけではなく、効率を下げすぎない意味でも重要である。例えばレギュレータ210がLDOである場合、もし30Vも発生するような状況が発生してしまうと、5V出力にレギュレートした場合、25V×電流値の損失が発生する。電流値が仮に100mAだとしても2.5Wの損失が発生することとなる。すなわちLDOで基本的には定電圧で動作させる場合、ICの耐圧が十分あったとしても過電圧保護設定電圧を上げすぎるべきではない。しかしながら他の方式ではもう少し高い電圧でオペレートするかもしれないし、せざるを得ない可能性もある。例えば本実施の形態の例では上述のA方式では過電圧保護設定電圧を12V程度に設定するのが望ましいかもしれないが、そうするとB方式では動作しなくなってしまう可能性がある。よって過電圧保護設定電圧も方式に応じて適切に切り替える必要がある。
【0080】
[3.2 効果]
以上のように、本実施の形態によれば、複数のワイヤレス給電方式のそれぞれの方式に合わせて保護設定電圧を適切に設定するようにしたので、複数のワイヤレス給電方式のそれぞれにおいて高効率かつ安全性の高い給電が実現可能となる。
【0081】
<4.第4の実施の形態>(給電方式に応じて回路構成(回路定数)を切り替え制御する例)
【0082】
[4.1 過電圧保護回路214を切り替え制御する構成例]
本構成例において、過電圧保護回路214の構成およびその制御動作に関する部分以外の構成および動作は、上記第1の実施の形態(図1図2図4)と略同様であってもよい。また、本構成例において、過電圧保護回路214を含む給電システム4全体の基本構成は、図13と略同様であってもよい。また、本構成例と上記第2の実施の形態(図8図12)とを組み合わせた構成も可能である。
【0083】
上記第3の実施の形態(図14)では、過電圧保護回路214の回路構成(回路定数)自体は変えずに、保護設定電圧を給電方式に応じた値に設定するようにしたが、保護設定電圧だけでなく、給電方式によって最適な回路定数が異なる可能性がある。そこで、本構成例では、保護設定電圧だけでなく、給電方式に応じて過電圧保護回路214の回路構成(回路定数)を最適なものに切り替え制御する。
【0084】
図15は、本実施の形態における過電圧保護回路214の第1の構成例を示している。図15の第1の構成例では、過電圧保護回路214が、複数の過電圧保護回路214A,214Bを有している。過電圧保護回路214Aは、コンデンサ301A,302Aと、MOSFET303A,304Aとで構成されている。MOSFET303A,304Aのゲートは、制御部205に接続されている。過電圧保護回路214Bは、コンデンサ301B,302Bと、MOSFET303B,304Bとで構成されている。MOSFET303B,304Bのゲートは、制御部205に接続されている。過電圧保護回路214Aの回路構成(回路定数)は、給電方式が上述のA方式である場合に適した構成となっている。具体的には、コンデンサ301A,302Aの容量値がX[nF]となっている。また、過電圧保護回路214Bの回路構成(回路定数)は、給電方式が上述のB方式である場合に適した構成となっている。具体的には、コンデンサ301B,302Bの容量値が、コンデンサ301A,302Aの容量値とは異なるY[nF]となっている。
【0085】
図16は、本実施の形態における過電圧保護回路214の第2の構成例を示している。図16の第2の構成例では、図15の第1の構成例に対して、過電圧保護回路214Aにおいて、コンデンサ301A,302Aに代えて,抵抗器301Ar,302Arを用いている。また、過電圧保護回路214Bにおいて、コンデンサ301B,302Bに代えて,抵抗器301Br,302Brを用いている。過電圧保護回路214Aの回路構成(回路定数)は、給電方式が上述のA方式である場合に適した構成となっている。具体的には、抵抗器301Ar,302Arの抵抗値がX[Ω]となっている。また、過電圧保護回路214Bの回路構成(回路定数)は、給電方式が上述のB方式である場合に適した構成となっている。具体的には、抵抗器301Br,302Brの抵抗値が、抵抗器301Ar,302Arの抵抗値とは異なるY[Ω]となっている。
【0086】
図15または図16に示した構成例において、制御部205は、方式判定部209によって識別された給電方式に応じて、複数の過電圧保護回路214A,214Bのうちいずれか1つの過電圧保護回路を選択的に用いるよう過電圧保護回路214を制御する。制御部205は、給電方式が上述のA方式である場合において、測定された電圧がA方式における過電圧保護設定電圧を超えた場合に、過電圧保護回路214AのMOSFET303A,303AをONさせ電圧を低下させる。制御部205はまた、給電方式が上述のB方式である場合において、測定された電圧がB方式における過電圧保護設定電圧を超えた場合に、過電圧保護回路214BのMOSFET303B,303BをONさせ電圧を低下させる。
【0087】
[4.2 通信部206を切り替え制御する構成例]
以上の説明では、過電圧保護回路214の回路構成(回路定数)を切り替え制御する構成例を示したが、通信部206を図15および図16に示した過電圧保護回路214と同様の構成とし、給電方式に応じて通信部206の回路構成(回路定数)を最適なものに切り替え制御するようにしてもよい。
【0088】
例えば、通信部206が、図15または図16に示した構成例のように、複数の通信回路206A,206Bを有していてもよい。図15または図16に示した構成例において、制御部205は、方式判定部209によって識別された給電方式に応じて、複数の通信回路206A,206Bのうちいずれか1つの通信回路を選択的に用いるよう通信部206を制御する。制御部205は、給電方式に応じて、MOSFET303A,30AまたはMOSFET303B,30Bを選択的にONさせることによって、通信回路206A,206Bを切り替え制御する。
【0089】
なお、通信部206の構成およびその制御動作に関する部分以外の構成および動作は、上記第1の実施の形態(図1図2図4)と略同様であってもよい。また、本構成例と上記第2の実施の形態(図8図12)、または上記第3の実施の形態(図13図14)とを組み合わせた構成も可能である。また、過電圧保護回路214と通信部206との双方が、給電方式に応じた複数の回路構成(回路定数)を有し、給電方式に応じて双方の回路構成(回路定数)を最適なものに切り替え制御するようにしてもよい。
【0090】
[4.3 効果]
以上のように、本実施の形態によれば、複数のワイヤレス給電方式のそれぞれの方式に合わせて過電圧保護回路214および通信部206の回路構成の少なくとも一方を切り替え制御するようにしたので、複数のワイヤレス給電方式のそれぞれにおいて高効率かつ安全性の高い給電が実現可能となる。
【0091】
<5.その他の実施の形態>
本開示による技術は、上記実施の形態の説明に限定されず種々の変形実施が可能である。
【0092】
例えば、本技術は以下のような構成を取ることができる。
(1)
給電装置から非接触で給電された電力を受電する受電部と、
前記受電部によって受電された電力を整流する整流部と、
前記給電装置の給電方式を識別する方式判定部と、
前記整流部による整流後の電力の目標電圧を、前記方式判定部によって識別された給電方式に応じた値に設定する目標電圧設定部と
を備える受電装置。
(2)
前記給電装置との間で通信を行う通信部と、
前記目標電圧に応じた電力で給電動作を行うよう指示する信号を前記通信部を介して前記給電装置に出力する制御部と
をさらに備えた上記(1)に記載の受電装置。
(3)
前記受電部によって受電された電力に基づいて給電周波数を検出する周波数検出部をさらに備え、
前記方式判定部は、前記周波数検出部によって検出された前記給電周波数に基づいて前記給電装置の給電方式を識別する
上記(1)または(2)に記載の受電装置。
(4)
給電方式を識別可能な情報を含む信号を前記給電装置から受信する通信部をさらに備え、
前記方式判定部は、前記通信部が受信した信号に基づいて前記給電装置の給電方式を識別する
上記(1)または(2)に記載の受電装置。
(5)
前記整流部によって整流された電力を所望の電圧の電力に変換すると共に、その変換動作に用いる方式を複数有するレギュレータと、
前記方式判定部によって識別された給電方式に応じて、前記レギュレータが行う変換動作の方式を切り替え制御する制御部と
をさらに備えた上記(1)ないし(4)のいずれか1つに記載の受電装置。
(6)
保護設定電圧を超えないように前記受電部が受電した電力の電圧を低下させる保護回路と、
前記保護設定電圧を、前記方式判定部によって識別された給電方式に応じた値に設定する保護電圧設定部と
をさらに備えた上記(1)ないし(5)のいずれか1つに記載の受電装置。
(7)
互いに回路定数の異なる複数の過電圧保護回路を有する保護回路部と、
前記方式判定部によって識別された給電方式に応じて、前記複数の過電圧保護回路のうちいずれか1つの過電圧保護回路を選択的に用いるよう前記保護回路部を制御する制御部と
をさらに備えた上記(1)ないし(5)のいずれか1つに記載の受電装置。
(8)
互いに回路定数の異なる複数の通信回路を有する通信部と、
前記方式判定部によって識別された給電方式に応じて、前記複数の通信回路のうちいずれか1つの通信回路を選択的に用いるよう前記通信部を制御する制御部と
をさらに備えた上記(1)ないし(7)のいずれか1つに記載の受電装置。
(9)
給電装置から非接触で給電された電力を受電し、
受電した電力を整流し、
前記給電装置の給電方式を方式判定部によって識別し、
目標電圧設定部が、整流後の電力の目標電圧を、前記方式判定部によって識別された給電方式に応じた値に設定する
受電制御方法。
(10)
給電装置と、
受電装置とを含み、
前記受電装置は、
前記給電装置から非接触で給電された電力を受電する受電部と、
前記受電部によって受電された電力を整流する整流部と、
前記給電装置の給電方式を識別する方式判定部と、
前記整流部による整流後の電力の目標電圧を、前記方式判定部によって識別された給電方式に応じた値に設定する目標電圧設定部と
を備える非接触給電システム。
(11)
受電装置と、
前記受電装置に接続された負荷とを含み、
前記受電装置は、
給電装置から非接触で給電された電力を受電する受電部と、
前記受電部によって受電された電力を整流する整流部と、
前記給電装置の給電方式を識別する方式判定部と、
前記整流部による整流後の電力の目標電圧を、前記方式判定部によって識別された給電方式に応じた値に設定する目標電圧設定部と
を備える電子機器。
【符号の説明】
【0093】
1…給電装置、2…電子機器、3…受電装置、4…給電システム、10…給電部、20…受電部、100…給電系、101…交流電源、102…AC/DCコンバータ、103…送電ドライバ、104…制御部、105…コンデンサ、106…給電コイル、107…通信部、200…受電系、201…受電コイル、202A…コンデンサ、202B…コンデンサ、203…整流部、204…負荷、205…制御部、206…通信部、206A,206B…通信回路、207…メモリ部、208…周波数検出部、209…方式判定部、210…レギュレータ、210a…入力端子、211…DC−DCコンバータ、212…LDO、213…電圧測定部、214,214A,214B…過電圧保護回路、301,302…コンデンサ、301A,302A…コンデンサ、301B,302B…コンデンサ、301Ar,302Ar…抵抗器、301Br,302Br…抵抗器、303,304…MOSFET、303A,304A…MOSFET、303B,304B…MOSFET、C11…コンデンサ、L11…コイル、Q1,Q2…トランジスタ、R11,R12,R13,R14…抵抗器、S1…給電面。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16