技術分野
動力分配式の電気式差動部を備えるハイブリッド車両の制御装置に係り、特に、歯打ち音を低減する技術に関するものである。
発明が解決しようとする課題[発明の詳細な説明]から抜粋
ところで、上述したようなハイブリッド車両では、例えば電気式差動部を構成する歯車機構においてバックラッシ(例えばギヤ歯等の相互に噛み合う歯車間の噛み合わせ部分に設けた隙間)のガタ打ち音(歯打ち音)が発生することがある。例えば、噛み合わせ部分において各歯車同士の押し付け合う力が比較的弱い状態のときに、エンジンの回転変動による振動がその噛み合わせ部分に伝達されることにより、その噛み合わせ部分では噛合歯の歯面同士が相互に衝突と離間を繰り返して互いに打ち合い、所謂ガラ音と称される歯打ち音が発生することがある。より具体的には、第2電動機の出力トルクが小さいと(例えば第2電動機の出力トルクが値零[Nm]を含む略零付近となって第2電動機がフローティング状態となると)、第2電動機の出力トルクが作用するある噛み合わせ部分において各歯車同士の押し付け合う力が比較的弱い状態となり、上述したような歯打ち音が発生し易い。一方で、エンジンの停止過程で、上述したように第1電動機によりエンジンに負トルクを作用させると、出力回転部材には直達トルク分が付与される為、そのときの駆動要求量に合うように第2電動機の出力トルクを変更する必要がある。その為、エンジンの停止過程で、第2電動機がフローティング状態となる場合がある。このような場合、各歯車同士が相互に押し付け合うように第2電動機の出力トルクを発生させることで歯打ち音の発生を抑制乃至回避することが考えられるが、そうすると、今度は、駆動要求量を実現できなくなる可能性がある。尚、上述したような課題は未公知であり、エンジンの停止過程において第1電動機によってエンジン回転速度を強制的に引き下げる制御を実行する際に、駆動要求量を実現することと、歯打ち音の発生を抑制乃至回避することとを両立させることについて未だ提案されていない。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、エンジンを回転停止するに際して第1電動機によりエンジン回転速度を引き下げる為のエンジン引き下げトルクを付与する場合に、駆動要求量を実現しつつ歯打ち音の発生を抑制乃至回避することができるハイブリッド車両の制御装置を提供することにある。
課題を解決するための手段[発明の詳細な説明]から抜粋
前記目的を達成する為の第1の発明の要旨とするところは、(a) エンジンからの動力を第1電動機及び出力回転部材へ分配する差動機構と前記出力回転部材に動力伝達可能に連結された第2電動機とを有し、前記第1電動機の運転状態が制御されることにより前記差動機構の差動状態が制御される電気式差動部を備えるハイブリッド車両において、前記エンジンを回転停止する際は前記第1電動機により前記エンジンの回転速度を引き・・・ 続きを
知財ポータルサイト IP Force にログインして見る
【発明の効果】
このようにすれば、第1電動機によりエンジンの回転速度を引き下げるときに、駆動要求量を実現する為に第2電動機の出力トルクが歯打ち音が発生し易いような所定トルク範囲に入る場合には、第1電動機が発生するエンジン引き下げトルク自体が変更される。これに伴って、駆動要求量を実現する為の第2電動機の出力トルクは、エンジン引き下げトルクが所定エンジン引き下げトルクとされる場合のトルク値から変更されるので、第2電動機の出力トルクを所定トルク範囲から遠ざけることができる。つまり、第1電動機によるエンジン引き下げトルク自体を変更することで、駆動要求量を守った上で、第2電動機の出力トルクを所定トルク範囲外とすることができる。よって、エンジンを回転停止するに際して第1電動機によりエンジン引き下げトルクを付与する場合に、駆動要求量を実現しつつ歯打ち音の発生を抑制乃至回避することができる。
また 、前記第1の発明に
よれば 、エンジン引き下げトルクを所定エンジン引き下げトルクから変更する場合に、その変更幅を小さくできる。これにより、本発明を車両に適用するにあたって、エンジン引き下げトルクを所定エンジン引き下げトルクから変更したことに伴う背反事項(例えばエンジン回転速度の引き下げ勾配の変更などに伴うエンジン停止ショックや違和感の変化)に対応する為の適合工数や評価工数を削減することができる。
ここで 、第
2 の発明は、前記第1の発
明に 記載のハイブリッド車両の制御装置において、前記エンジンを回転停止する過渡中は、前記過渡中でないときと比べて、アクセル操作に対する駆動要求量の変動を緩やかにすることにある。このようにすれば、エンジンを回転停止する過渡中にアクセル操作が為されたことによる駆動要求量の変動に伴って第2電動機の出力トルクが所定トルク範囲に入ってしまう可能性があることに対して、アクセル操作に対する駆動要求量の変動を緩やかにすることで、第2電動機の出力トルクが所定トルク範囲から外れた状態をできるだけ長く維持して、エンジンを回転停止する過渡中に為されたアクセル操作に伴う歯打ち音の発生頻度を少なくすることができる。
また、第
3 の発明は、前記第1の発明
又は第2の発明 に記載のハイブリッド車両の制御装置において、前記エンジンを回転停止する過渡中に前記第2電動機の出力トルクが前記所定トルク範囲に入る方向へ変化するように駆動要求量が変化した場合には、前記第2電動機の出力トルクが前記所定トルク範囲から離れる方向へ変化するように、前記第1電動機により付与中の前記エンジン引き下げトルクを変更することにある。このようにすれば、エンジンを回転停止する過渡中に為されたアクセル操作に伴う歯打ち音の発生頻度を少なくすることができる。
また、第
4 の発明は、前記第1の発明乃至第
3 の発明の何れか1つに記載のハイブリッド車両の制御装置において、前記エンジン引き下げトルクを前記所定エンジン引き下げトルクから変更する場合には、前記第2電動機の出力トルクを前記所定トルク範囲に滞留させてしまう前記所定エンジン引き下げトルクの一定値に対して、複数種類の変更値を持つように変更することにある。このようにすれば、エンジン引き下げトルクが所定エンジン引き下げトルクに対して複数の変更値に変更されるので、エンジンを回転停止する過渡中にアクセル操作が為されたことによる駆動要求量の変動に伴って第2電動機の出力トルクが所定トルク範囲に入ってしまう可能性が少なくされる。これにより、エンジンを回転停止する過渡中に為されたアクセル操作に伴う歯打ち音の発生頻度を少なくすることができる。
また、第
5 の発明は、前記第1の発明乃至第
4 の発明の何れか1つに記載のハイブリッド車両の制御装置において、前記所定エンジン引き下げトルクは、前記第1電動機により前記エンジンの回転速度を引き下げるときの変化勾配が最適な変化勾配となるように予め定められた適合値である。このようにすれば、第1電動機によりエンジンの回転速度を強制的に引き下げたことによるエンジン停止ショックや違和感等が運転者に生じさせ難くされる。
また、第
6 の発明は、前記第1の発明乃至第
5 の発明の何れか1つに記載のハイブリッド車両の制御装置において、前記所定トルク範囲は、前記電気式差動部にて歯打ち音が発生し易い前記第2電動機の出力トルクの範囲として予め定められた歯打ち音発生領域である。このようにすれば、エンジンを回転停止するに際して第1電動機によりエンジン引き下げトルクを付与する場合に、駆動要求量を実現しつつ歯打ち音の発生を抑制乃至回避することができる。
この発明についての権利主張の範囲[特許請求の範囲]
知財ポータルサイト IP Force にログインして確認する (無料)
この特許公報に記載されている図面[図面の簡単な説明]から抜粋
【図1】 本発明が適用されるハイブリッド車両の概略構成を説明する図であると共に、車両に設けられた制御系統の要部を説明するブロック線図である。
【図2】 電子制御装置の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。
【図3】 所定エンジン引き下げトルクにてエンジン回転速度を引き下げる通常制御にてエンジン停止制御を実行したときの一例を示すタイムチャートである。
【図4】 エンジン停止制御においてエンジン引き下げトルクを所定エンジン引き下げトルクから変更したときの一例を示すタイムチャートであって、減少するように変更したときの一例である。
【図5】 エンジン停止制御においてエンジン引き下げトルクを所定エンジン引き下げトルクから変更したときの一例を示すタイムチャートであって、増加するように変更したときの一例である。
【図6】 所定エンジン引き下げトルクに対して複数種類の変更値を持つようにエンジン引き下げトルクを変更したときの一例を示すタイムチャートである。
【図7】 電子制御装置の制御作動の要部すなわちエンジンを回転停止するに際して第1電動機によりエンジン引き下げトルクを付与する場合に、駆動要求量を実現しつつ歯打ち音の発生を抑制乃至回避する為の制御作動を説明するフローチャートである。
【図8】 本発明が適用されるハイブリッド車両の概略構成を説明する図であって、図1の車両とは別の実施例である。
10:ハイブリッド車両
12:エンジン
22:変速部(電気式差動部)
30:出力歯車(出力回転部材)
32:動力分配機構(差動機構)
80:電子制御装置(制御装置)
100:ハイブリッド車両
102:出力軸(出力回転部材)
104:動力分配機構(差動機構)
106:変速部(電気式差動部)
MG1:第1電動機
MG2:第2電動機
全ての図面はログインすると無料で閲覧できます。ログイン・ユーザー登録