特許第6052181号(P6052181)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6052181
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/81 20060101AFI20161219BHJP
   A61K 8/97 20060101ALI20161219BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20161219BHJP
   A61Q 7/00 20060101ALI20161219BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20161219BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   A61K8/81
   A61K8/97
   A61Q19/00
   A61Q7/00
   A61Q5/02
   A61Q19/10
【請求項の数】8
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-538529(P2013-538529)
(86)(22)【出願日】2012年10月5日
(86)【国際出願番号】JP2012075966
(87)【国際公開番号】WO2013054760
(87)【国際公開日】20130418
【審査請求日】2015年6月5日
(31)【優先権主張番号】特願2011-224125(P2011-224125)
(32)【優先日】2011年10月11日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079304
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100114513
【弁理士】
【氏名又は名称】重松 沙織
(74)【代理人】
【識別番号】100120721
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 克成
(74)【代理人】
【識別番号】100124590
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 武史
(74)【代理人】
【識別番号】100157831
【弁理士】
【氏名又は名称】正木 克彦
(72)【発明者】
【氏名】海上 瑠奈
【審査官】 松本 直子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−163418(JP,A)
【文献】 特開2006−176447(JP,A)
【文献】 特開平09−002935(JP,A)
【文献】 特開2000−169359(JP,A)
【文献】 特開2006−111560(JP,A)
【文献】 特開2001−233725(JP,A)
【文献】 Ales Groupe, USA,Sculpting Gel,Mintel GNPD,2003年 3月,ID:10131260,URL,http://www.gnpd.com/sinatra/gnpd/frontpage/
【文献】 Haba Laboratories, Japan,Lash Care Essence,Mintel GNPD,2010年 9月,ID:1404997,URL,http://www.gnpd.com/sinatra/gnpd/frontpage/
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00− 90/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ビニルピロリドンを構成単位として含む共重合体からなる両親媒性高分子化合物と、(B)ビワ葉エキスをエキス純分(B’)として0.001〜0.02質量%と、(C)ダイズエキスとを含有してなり、(C)ダイズエキスのエキス純分(C’)としたとき、(A)/[(B’)+(C’)]で表される、前記(A)、(B’)及び(C’)の含有質量比が1〜1000である化粧料。
【請求項2】
(A)成分が、ビニルピロリドンと酢酸ビニルとの共重合体(ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体)、ビニルピロリドンとメタクリル酸ジメチルアミノエチルとの共重合体(ビニルピロリドン/メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体)及びビニルピロリドンとアクリル酸アミノプロピルメタクリルアミドとの共重合体(ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド共重合体)から選ばれる両親媒性高分子化合物である請求項1記載の化粧料。
【請求項3】
共重合体のモノマーのモル比が1/99〜99/1である請求項2記載の化粧料。
【請求項4】
(A)成分の含有量が、化粧料全量に対して0.001〜5質量%である請求項1〜3のいずれか1項記載の化粧料。
【請求項5】
(C)成分のエキス純分(C’)としての含有量が、化粧料全量に対して0.00002〜0.02質量%である請求項1〜4のいずれか1項記載の化粧料。
【請求項6】
さらに、(D)メントールを含有する請求項1〜のいずれか1項記載の化粧料。
【請求項7】
頭皮化粧料である請求項1〜のいずれか1項記載の化粧料。
【請求項8】
育毛剤、養毛剤及びスカルプエッセンスから選ばれるものである請求項7記載の化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚の保湿効果及びその持続性を有する化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
皮膚表皮における角質層は、皮膚の保湿能や生体の物理的保護を始めとする一連の生理的役割を演じており、生命活動において重要な役割を担っている。しかしながら、加齢、温度、湿度、紫外線、化粧品、疾病、ストレス、食習慣等により微妙な影響を受け、そのため、肌のバリア機能の低下、肌の老化等、種々のトラブルが発生する。さらに、皮膚トラブルは、前記したように外環境の変化(季節変化、紫外線等)や、加齢や疾患に伴う生理機能の変動といった生体に作用する体内外の因子による皮膚組織の機能異常に加え、これらにより誘起される不全角化等により発生する。
【0003】
このような皮膚トラブルを予防・改善する主たる試みとしては、合成又は天然の保湿成分の塗布により、皮膚の乾燥を防ぎ皮膚の保湿能を高める方法、血行促進剤の塗布により血行の促進を改善する方法等がなされてきた。皮膚の乾燥を防ぎ皮膚の保湿能を高める方法としては、特に遊離アミノ酸、有機酸、尿素、無機イオン、ヒアルロン酸等の多糖類等の保湿剤や、動植物抽出液、ビタミン類及びその誘導体、ペプチド、蛋白質等を配合した薬用皮膚外用剤や化粧料を用いる試みがなされてきた。
【0004】
ダイズエキスやビワ葉エキスを用いた方法(特許文献1:国際公開第2004/016236号,特許文献2:特開2006−045181号公報参照)は提案されているが、このような成分を皮膚に適用しても、保湿性効果と持続性において十分ではなく、その保湿効果は一時的であり、保湿効果が持続して得られるものではなかった。これらの課題を鑑みて、濃度を高くした場合、皮膚刺激性(ヒリヒリ感)が強くなり、人によっては炎症を起こす場合もある。
【0005】
持続性を向上させる手段としては、皮膜形成高分子化合物や疎水性高分子化合物を配合することが知られている(特許文献3:特開2007−297392号公報,特許文献4:国際公開第06/080389号参照)。しかしながら、上記を使用した場合でも、その効果は不十分であり、また、つっぱり感等の使用性に課題がある場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2004/016236号
【特許文献2】特開2006−045181号公報
【特許文献3】特開2007−297392号公報
【特許文献4】国際公開第06/080389号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような問題点に鑑みなされたもので、皮膚の保湿効果及びその持続性を有し、つっぱり感や皮膚刺激(ヒリヒリ感)がほとんど感じられない化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、(A)ビニルピロリドンを構成単位として含む共重合体からなる両親媒性高分子化合物と、(B)ビワ葉エキスをエキス純分(B’)として0.001〜0.02質量%と、(C)ダイズエキスとを含有してなり、(C)ダイズエキスのエキス純分(C’)としたとき、(A)/[(B’)+(C’)]で表される、前記(A)、(B’)及び(C’)の含有質量比が1〜1000とすることにより、皮膚、頭皮の保湿効果及びその持続性を有し、つっぱり感や皮膚刺激(ヒリヒリ感)がほとんど感じられないことを見出し、本発明をなすに至ったものである。
【0009】
即ち、本発明は下記化粧料を提供する。
[1].(A)ビニルピロリドンを構成単位として含む共重合体からなる両親媒性高分子化合物と、(B)ビワ葉エキスをエキス純分(B’)として0.001〜0.02質量%と、(C)ダイズエキスとを含有してなり、(C)ダイズエキスのエキス純分(C’)としたとき、(A)/[(B’)+(C’)]で表される、前記(A)、(B’)及び(C’)の含有質量比が1〜1000である化粧料。
[2].(A)成分が、ビニルピロリドンと酢酸ビニルとの共重合体(ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体)、ビニルピロリドンとメタクリル酸ジメチルアミノエチルとの共重合体(ビニルピロリドン/メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体)及びビニルピロリドンとアクリル酸アミノプロピルメタクリルアミドとの共重合体(ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド共重合体)から選ばれる両親媒性高分子化合物である[1]記載の化粧料。
[3].共重合体のモノマーのモル比が1/99〜99/1である[2]記載の化粧料。
].(A)成分の含有量が、化粧料全量に対して0.001〜5質量%である[1]〜[3]のいずれかに記載の化粧料。
].(C)成分のエキス純分(C’)としての含有量が、化粧料全量に対して0.00002〜0.02質量%である[1]〜[4]のいずれかに記載の化粧料。
].さらに、(D)メントールを含有する[1]〜[]のいずれかに記載の化粧料。
[7].頭皮化粧料である[1]〜[]のいずれかに記載の化粧料。
[8].育毛剤、養毛剤及びスカルプエッセンスから選ばれるものである[7]記載の化粧料。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、皮膚の保湿効果及びその持続性を有し、つっぱり感や皮膚刺激(ヒリヒリ感)がほとんど感じられない化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の化粧料は、(A)ビニルピロリドンを構成単位として含む共重合体からなる両親媒性高分子化合物と、(B)ビワ葉エキスをエキス純分(B’)として0.001〜0.02質量%と、(C)ダイズエキスとを含有してなり、(C)ダイズエキスのエキス純分(C’)としたとき、(A)/[(B’)+(C’)]で表される、前記(A)、(B’)及び(C’)の含有質量比が1〜1000であるものである。
【0012】
(A)ビニルピロリドンを構成単位として含む共重合体からなる両親媒性高分子化合物
本発明の両親媒性高分子化合物は、分子中に親水性モノマーからなる構成単位及び疎水性モノマーからなる構成単位を有する高分子化合物を意味し、人体に使用することができるものであれば、特に限定されず、合成、半合成、天然のいずれも用いることができる。親水性モノマーからなる構成単位及び疎水性モノマーからなる構成単位は、それぞれ1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0013】
親水性モノマーとしては、N−ビニルピロリドン、ビニルカプロラクタム、クロトン酸、ポリオキシエチレン、アクリルアミド、メタアクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンメチル(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンエチル(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンプロピル(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンブチル(メタ)アクリレート、酸性基を有するアクリル酸、メタアクリル酸及びそれらの塩、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸等、並びに塩基性基を有するN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド及びそれらの塩等が挙げられる。
【0014】
疎水性モノマーとしては、酢酸ビニル、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレンアルキル(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンアルキル(メタ)アクリレート、ポリオキシテトラメチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシテトラメチレンアルキル(メタ)アクリレート、ポリオキシテトラメチレンポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシテトラメチレンポリオキシエチレンアルキル(メタ)アクリレート、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸アミノプロピルメタクリルアミド、メタクリル酸アミノプロピルメタクリルアミド、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート等のアクリレート誘導体およびメタクリレート誘導体、N−n−ブチルメタアクリルアミド等のN−置換アルキルメタアクリルアミド誘導体、塩化ビニル、アクリロニトリル等が挙げられる。
【0015】
これらの中で、皮膚への保湿効果の持続性の点から、ビニルピロリドンと酢酸ビニルとの共重合体(ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体)、ビニルピロリドンとメタクリル酸ジメチルアミノエチルとの共重合体(ビニルピロリドン/メタクリル酸ジメチルアミノエチルとの共重合体)、ビニルピロリドンとアクリル酸アミノプロピルメタクリルアミドとの共重合体(ビニルピロリドン/アクリル酸アミノプロピルメタクリルアミド共重合体)の1種以上が好ましく、ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体がより好ましい。
【0016】
これらの共重合体のモノマーのモル比率は特に限定されるものでないが、1/99〜99/1が好ましく、20/80〜80/20がより好ましく、30/70〜70/30がさらに好ましい。
【0017】
ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体としては市販品を用いることができ、特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、「PVP/VA S−630」(共重合体のモノマーのモル比率:ビニルピロリドン/酢酸ビニル=60/40、分子量:51,000、ガラス転移温度:110℃)、「ルビスコールVA73W」(共重合体のモノマーのモル比率:ビニルピロリドン/酢酸ビニル=70/30)、「ルビスコールVA64W」(共重合体のモノマーのモル比率:ビニルピロリドン/酢酸ビニル=60/40)等が挙げられる。
【0018】
(A)成分の含有量は、化粧料全量に対して、0.001〜5質量%が好ましく、0.01〜1質量%がより好ましい。0.001質量%以上とすることで、皮膚の保湿効果の持続性をより得ることができ、5質量%以下とすることで、つっぱり感抑制をより得ることができる。
【0019】
(B)ビワ葉エキス
ビワ葉エキスは、ビワEriobotrya japonica Lindley(Rosaceae)の葉から、水、エタノール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール又はこれらの混液にて抽出して得られるエキスである。なお、本発明で「ビワ葉エキス」とは、エキスそのものと抽出溶媒等の溶媒を含むものをいう。
【0020】
ビワ葉エキスは、市販品を用いることができ、例えば、ビワ抽出液−J(ビワ葉エキス1.4質量%(エキス純分)、水49.3質量%、エタノール49.3質量%)、ビワ葉エキスCA(ビワ葉エキス1質量%(エキス純分)、1,3−ブチレングリコール99質量%)、ビワ抽出液BG−J(ビワ葉エキス1.5質量%(エキス純分)、水49.25質量%、1,3−ブチレングリコール49.25質量%)、ビワ抽出液LA(ビワ葉エキス0.96質量%(エキス純分)、水69.33質量%、エタノール29.71質量%)(いずれも丸善製薬株式会社製)、ファルコレックス ビワリーフB(ビワ葉エキス1.5質量%(エキス純分)、水49.25質量%、エタノール49.25質量%)、ファルコレックス ビワリーフE(ビワ葉エキス1.58質量%(エキス純分)、水66.65%、エタノール31.77質量%)(いずれも一丸ファルコス株式会社製)等が挙げられる。
【0021】
(B)成分のビワ葉エキスの含有量は、化粧料全量に対して、エキス純分(B’)として0.001〜0.02質量%であり、0.004〜0.01質量%が好ましい。(B’)成分の含有量が、0.001質量%未満であると、皮膚の保湿効果及びその持続性が弱くなり、0.02質量%を超えると、皮膚刺激(ヒリヒリ感)が強くなることがある。
【0022】
(C)ダイズエキス
前記ダイズエキスは、大豆粉砕物を油脂、スクワラン、石油エーテル、ヘキサン、ベンゼン、アセトン、低級アルコール、多価アルコール、水等の溶剤等で抽出したエキス、水蒸気蒸留抽出エキス、圧搾エキス、液化ガス抽出エキス等が挙げられる。なお、本発明で「ダイズエキス」とは、エキスそのものと抽出溶媒等の溶媒を含むものをいう。
【0023】
ダイズエキスは、本発明の効果を損なわない範囲で、市販品を用いることができ、例えばフラボステロンSB(ダイズエキス又はダイズ種子エキス0.4質量%(エキス純分)、1,3−ブチレングリコール30質量%、水69.6質量%)、フラボステロンSE(ダイズエキス又はダイズ種子エキス0.43質量%(エキス純分)、水57.17質量%、無水エタノール42.4質量%)(いずれも丸善製薬株式会社製)等が挙げられる。
【0024】
(C)成分のエキス純分(C’)としての含有量は、0.000004〜0.02%が好ましく、化粧料全量に対して0.00002〜0.02質量%の範囲がより好ましい。この範囲とすることで、皮膚の保湿効果及びその持続性をより得ることができる。
【0025】
(A)/[(B’)+(C’)]で表される、(A)/[(B’)+(C’)](但し、(B’)は(B)ビワ葉エキスのエキス純分、(C’)は(C)ダイズエキスのエキス純分を示す)で表される、(A)、(B’)及び(C’)の含有質量比は、1〜1000であり、1〜124が好ましく、1〜100がより好ましく、4〜25がさらに好ましい。この範囲とすることで、皮膚の保湿効果の持続性を向上させ、皮膚のつっぱり感を抑えることができる。この含有質量比が、1未満であると、皮膚の保湿効果の持続性が低くなり、1000を超えると、皮膚の保湿効果が不十分となり、皮膚のつっぱり感が生じる。
【0026】
(D)メントール
本発明の化粧料にはメントールを配合することが好ましい。メントールを配合することで、上記効果を有すると共に、「清涼感」や「地肌に栄養成分が浸透する感じ」等の実効感を付与することができる。メントールとしては、特に制限はなく、合成品でも天然品でもよく、l−メントールでもdl−メントールでもよく、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。中でも、l−メントールが好ましい。メントールとしては市販品を用いることができ、具体的には、l−メントール(高砂香料工業株式会社)、l−メントール(東洋薄荷工業株式会社)、l−メントール(小城製薬株式会社)、l−メントール(長岡実業株式会社)等が挙げられる。
【0027】
(D)成分の含有量は、化粧料全量に対して0.1〜1.5質量%が好ましく、0.4〜1質量%がより好ましい。この範囲とすることで、「清涼感」や「地肌に栄養成分が浸透する感じ」等の実効感をより付与することができ、1.5質量%以下とすることで、皮膚刺激(ヒリヒリ感)を生じる可能性が低い。
【0028】
<任意成分>
本発明の化粧料には、本発明の効果を損なわない範囲で、化粧料に配合される任意成分を配合することができる。任意成分としては、化粧料に通常用いられているものの中から適宜選択することができ、1種単独で又は2種以上を適量配合することができる。例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩等のアニオン界面活性剤、アミンオキシド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、油分、シリコーン類、低級又は高級アルコール等のアルコール(含有量は化粧料全量に対して0.1〜99質量%)、ラノリン誘導体、蛋白誘導体、アクリル樹脂分散液、カチオン性ポリマー、アニオン性ポリマー、前記(A)成分を除くノニオン性ポリマー、ビタミン等の薬剤、清涼剤、防腐剤、pH調整剤、酸化防止剤、金属封鎖剤、紫外線吸収剤、動植物抽出物又はその誘導体、6−ベンジルアミノプリン、ニコチン酸アミド、ピロクトンオラミン、β−グリチルレチン酸、t−フラバノン、アデノシン、桐葉エキス、センブリ、ミノキシジル、塩化カルプロニウム、ペンタデカン酸グリセリド等の育毛有効成分、色素、香料、顔料、無機粉体、粘土鉱物、ナイロン、ポリエチレン等の水不溶性ポリマー粉体、プロピレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール等の多価アルコール(含有量は化粧料全量に対して0.1〜50質量%、より好ましくは1〜30質量%)、エタノール(含有量は化粧料全量に対して0〜80質量%、頭皮化粧料の場合は、化粧料全量に対して50〜80質量%)、水(含有量は化粧料全量に対して0.1〜99質量%)等が挙げられる。
【0029】
本発明の化粧料のpHは特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、25℃におけるpHが4.0〜8.0が好ましく、5.0〜7.0がより好ましい。この範囲とすることで、化粧料の皮膚及び頭皮での滞留性がよく、頭皮及び皮膚に刺激を与えることがない。なお、pHは、化粧料をpHメーター(東亜ディーケーケー株式会社製、HM−30G)を用いて測定することができる。化粧料のpHは、例えば、所望のpH調整剤を用いて調整することができる。前記pH調整剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、クエン酸、コハク酸、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、モノエタノールアミン等が好適である。
【0030】
本発明の化粧料は、皮膚化粧料、毛髪化粧料、頭皮化粧料、いずれにも適用でき、毛髪洗浄剤、毛髪化粧料、皮膚洗浄剤、皮膚化粧料等に広く適用できる。剤型は特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、液、ジェル、ローション、ミスト、クリーム、エアゾールフォーム、非エアゾールフォーム、エアゾールスプレー、非エアゾールスプレー等が挙げられる。その剤型に基づき、常法に基づいて調製することができる。また、容器も剤型等により適宜選定される。
【0031】
皮膚化粧料としては各種化粧用クリーム、乳液、化粧液、美容液、パック剤、プレメイクアップ、アンダーメイクアップ、ファンデーション、ジェル剤、軟膏等皮膚外用組成物、浴用化粧料、ボディソープ、ボディリンス等に好適に使用することができる。シャンプー、リンス、トリートメント、ヘアクリーム、ヘアジェル、へアスプレー、ヘアフォーム、ヘアウォーター、ヘアワックス等のインバスヘアケア剤、アウトバスヘアケア剤等の毛髪化粧料、育毛スプレー、育毛液、育毛ジェル、育毛ローション、育毛トニック、育毛クリーム、育毛フォーム等の育毛剤、養毛剤、スカルプエッセンス、発毛剤等の頭皮化粧料として幅広く利用でき、これらを製品の常用量で常法に従って使用することによって、頭皮の保湿効果が得られる。中でも、頭皮化粧料が好ましく、育毛剤、養毛剤、スカルプエッセンスが好ましい。
【実施例】
【0032】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において特に明記のない場合は、組成の「%」は質量%、比率は質量比を示す。
【0033】
[実施例1〜20、比較例1〜7]
表1〜5に示す配合組成(質量%)に基づき、エタノール中に、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び共通成分を順次投入し溶解し、室温〜40℃で撹拌装置を用いて撹拌することにより育毛剤を調製した。なお、表中の(B)及び(C)成分の上段は原液の量、下段はエキス純分の配合量を示す。
得られた各育毛剤を、pHメーター(東亜ディーケーケー株式会社製、HM−30G)を用い、25℃における1分後のpHを測定したところ、実施例及び比較例のpHはいずれも5.3であった。
得られた各育毛剤について、以下の方法で、保湿効果、保湿効果の持続性、つっぱり感のなさ、皮膚刺激のなさ(ヒリヒリ感のなさ)を評価した。
【0034】
官能評価<保湿効果>、<つっぱり感のなさ>、<ヒリヒリ感のなさ>
女性パネル20名が各育毛剤を1.5mL頭皮に塗布した直後の、「保湿効果」、「つっぱり感のなさ」、「ヒリヒリ感のなさ」の評価項目について、評価を行った。良好と回答した人数により下記評価基準で示した。
[評価基準]
◎:20名中、16名以上が良好と判断した。
○〜◎:20名中、13〜15名が良好と判断した。
○:20名中、11〜12名が良好と判断した。
△:20名中、6〜10名が良好と判断した。
×:20名中、5名以下が良好と判断した。
【0035】
官能評価<保湿効果の持続性>
女性パネル20名が各育毛剤を1.5mL頭皮に塗布し、6時間後の「保湿効果」について、評価を行った。良好と回答した人数により下記評価基準で示した。
[評価基準]
◎:20名中、16名以上が良好と判断した。
○〜◎:20名中、13〜15名が良好と判断した。
○:20名中、11〜12名が良好と判断した。
△:20名中、6〜10名が良好と判断した。
×:20名中、5名以下が良好と判断した。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】
【表4】
【0040】
【表5】
【0041】
[実施例21〜24]
表6に示す配合組成(質量%)に基づき、エタノール中に、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分及び共通成分を順次投入し溶解し、室温〜40℃で撹拌装置を用いて撹拌することにより育毛剤を調製した。得られた各育毛剤のpHを、上記と同様の方法で測定したところ、いずれも5.3であった。
得られた各育毛剤について、上記方法で、保湿効果、保湿効果の持続性、つっぱり感のなさ、皮膚刺激のなさ(ヒリヒリ感のなさ)、下記方法で、清涼感、地肌に栄養成分が浸透する感じを評価した。
【0042】
官能評価<清涼感>、<地肌に栄養成分が浸透する感じ>
女性パネル20名が各育毛剤を1.5mL頭皮に塗布した直後の、「清涼感」、「地肌に栄養成分が浸透する感じ」の評価項目について、評価を行った。「実感した」と回答した人数により下記評価基準で示した。
[評価基準]
◎:20名中、16名以上が「実感した」と判断した。
○〜◎:20名中、13〜15名が「実感した」と判断した。
○:20名中、11〜12名が「実感した」と判断した。
△:20名中、6〜10名が「実感した」と判断した。
×:20名中、5名以下が「実感した」と判断した。
【0043】
【表6】
【0044】
[実施例25〜29]
また、以下の毛髪洗浄剤のシャンプー、皮膚洗浄剤のボディソープ、皮膚化粧料の化粧液、頭皮化粧料の育毛スプレー、スカルプエッセンス等にも適用することが可能である。なお、上記実施例の育毛剤は実使用実験により、育毛効果が確認された。
【0045】
[実施例25:シャンプー]
表7に示す組成のシャンプーを常法により調製し、下記の評価を実施した。
官能評価<保湿効果>、<つっぱり感のなさ>、<ヒリヒリ感のなさ>
女性パネル20名がシャンプー組成物を6mL使用し、乾燥後の頭皮の、「保湿効果」、「つっぱり感のなさ」、「ヒリヒリ感のなさ」の評価項目について、評価を行った。良好と回答した人数により下記評価で示した。
◎:20名中、16名以上が良好と判断した。
○〜◎:20名中、13〜15名が良好と判断した。
○:20名中、11〜12名が良好と判断した。
△:20名中、6〜10名が良好と判断した。
×:20名中、5名以下が良好と判断した。
【0046】
官能評価<保湿効果の持続性>
女性パネル20名がシャンプー組成物を6mL使用し、乾燥6時間後の頭皮の「保湿効果」について、評価を行った。良好と回答した人数により下記評価で示した。
[評価基準]
◎:20名中、16名以上が良好と判断した。
○〜◎:20名中、13〜15名が良好と判断した。
○:20名中、11〜12名が良好と判断した。
△:20名中、6〜10名が良好と判断した。
×:20名中、5名以下が良好と判断した。
【0047】
【表7】
【0048】
[実施例26:ボディソープ]
表8に示す組成のボディソープを常法により調製し、下記の評価を実施した。
官能評価<保湿効果>、<つっぱり感のなさ>、<ヒリヒリ感のなさ>
女性パネル20名がボディソープ組成物を10mL使用し、乾燥後の肌の「保湿効果」、「つっぱり感のなさ」、「ヒリヒリ感のなさ」の評価項目について、評価を行った。結果を良好と回答した人数により下記評価基準で示した。
[評価基準]
◎:20名中、16名以上が良好と判断した。
○〜◎:20名中、13〜15名が良好と判断した。
○:20名中、11〜12名が良好と判断した。
△:20名中、6〜10名が良好と判断した。
×:20名中、5名以下が良好と判断した。
【0049】
官能評価<保湿効果の持続性>
女性パネル20名がボディソープ組成物を10mL使用し、乾燥後の肌の「保湿効果」について、評価を行った。良好と回答した人数により下記評価基準で示した。
[評価基準]
◎:20名中、16名以上が良好と判断した。
○〜◎:20名中、13〜15名が良好と判断した。
○:20名中、11〜12名が良好と判断した。
△:20名中、6〜10名が良好と判断した。
×:20名中、5名以下が良好と判断した。
【0050】
【表8】
【0051】
[実施例27:化粧液]
表9に示す組成の化粧液を常法により調製し、下記の評価を実施した。
官能評価<保湿効果>、<つっぱり感のなさ>、<ヒリヒリ感のなさ>
女性パネル20名が洗顔剤で洗顔した後、化粧液を左右の頬部に0.6g塗布した直後の「保湿効果」、「つっぱり感のなさ」、「ヒリヒリ感のなさ」の評価項目について、評価を行った。良好と回答した人数により下記評価で示した。
[評価基準]
◎:20名中、16名以上が良好と判断した。
○〜◎:20名中、13〜15名が良好と判断した。
○:20名中、11〜12名が良好と判断した。
△:20名中、6〜10名が良好と判断した。
×:20名中、5名以下が良好と判断した。
【0052】
官能評価<保湿効果の持続性>
女性パネル20名が洗顔剤で洗顔した後、化粧液を左右の頬部に0.6g塗布し、6時間後の「保湿効果」について、評価を行った。良好と回答した人数により下記評価基準で示した。
[評価基準]
◎:20名中、16名以上が良好と判断した。
○〜◎:20名中、13〜15名が良好と判断した。
○:20名中、11〜12名が良好と判断した。
△:20名中、6〜10名が良好と判断した。
×:20名中、5名以下が良好と判断した。
【0053】
【表9】
【0054】
[実施例28:育毛スプレー]
表10に示す組成の育毛スプレーを常法により調製し、下記の評価を実施した。
【0055】
官能評価<保湿効果>、<つっぱり感のなさ>、<ヒリヒリ感のなさ>
女性パネル20名が育毛スプレー3gを頭皮に塗布した直後の、「保湿効果」、「つっぱり感のなさ」、「ヒリヒリ感のなさ」の評価項目について、評価を行った。良好と回答した人数により下記評価で示した。
[評価基準]
◎:20名中、16名以上が良好と判断した。
○〜◎:20名中、13〜15名が良好と判断した。
○:20名中、11〜12名が良好と判断した。
△:20名中、6〜10名が良好と判断した。
×:20名中、5名以下が良好と判断した。
【0056】
官能評価<保湿効果の持続性>
女性パネル20名が育毛スプレー3gを頭皮に塗布し、6時間後の「保湿効果」について、評価を行った。良好と回答した人数により下記評価基準で示した。
[評価基準]
◎:20名中、16名以上が良好と判断した。
○〜◎:20名中、13〜15名が良好と判断した。
○:20名中、11〜12名が良好と判断した。
△:20名中、6〜10名が良好と判断した。
×:20名中、5名以下が良好と判断した。
【0057】
官能評価<清涼感>、<地肌に栄養成分が浸透した感じ>
女性パネル20名が育毛スプレー3gを頭皮に塗布した直後の、「清涼感」、「地肌に栄養成分が浸透した感じ」の評価項目について、評価を行った。「実感した」と回答した人数により、下記評価基準で示した。
[評価基準]
◎:20名中、16名以上が「実感した」と判断した。
○〜◎:20名中、13〜15名が「実感した」と判断した。
○:20名中、11〜12名が「実感した」と判断した。
△:20名中、6〜10名が「実感した」と判断した。
×:20名中、5名以下が「実感した」と判断した。
【0058】
【表10】
【0059】
【表11】
【0060】
[実施例29:スカルプエッセンス]
表12に示す組成のスカルプエッセンスを常法により調製し、下記の評価を実施した。
官能評価<保湿効果>、<つっぱり感のなさ>、<ヒリヒリ感のなさ>
女性パネル20名が洗髪しタオルドライした後、スカルプエッセンス1.5mLを頭皮全体に塗布した直後の、「保湿効果」、「つっぱり感のなさ」、「ヒリヒリ感のなさ」の評価項目について、評価を行った。良好と回答した人数により下記評価基準で示した。
[評価基準]
◎:20名中、16名以上が良好と判断した。
○〜◎:20名中、13〜15名が良好と判断した。
○:20名中、11〜12名が良好と判断した。
△:20名中、6〜10名が良好と判断した。
×:20名中、5名以下が良好と判断した。
【0061】
官能評価<保湿効果の持続性>
女性パネル20名が洗髪しタオルドライした後、スカルプエッセンス1.5mLを頭皮全体に塗布し、6時間後の「保湿効果」について、評価を行った。良好と回答した人数により下記評価基準で示した。
[評価基準]
◎:20名中、16名以上が良好と判断した。
○〜◎:20名中、13〜15名が良好と判断した。
○:20名中、11〜12名が良好と判断した。
△:20名中、6〜10名が良好と判断した。
×:20名中、5名以下が良好と判断した。
【0062】
官能評価<清涼感>、<地肌に栄養成分が浸透した感じ>
女性パネル20名が洗髪しタオルドライした後、スカルプエッセンス1.5mLを頭皮全体に塗布した直後の、「清涼感」、「地肌に栄養成分が浸透した感じ」の評価項目について、評価を行った。「実感した」と回答した人数により下記評価基準で示した。
[評価基準]
◎:20名中、16名以上が「実感した」と判断した。
○〜◎:20名中、13〜15名が「実感した」と判断した。
○:20名中、11〜12名が「実感した」と判断した。
△:20名中、6〜10名が「実感した」と判断した。
×:20名中、5名以下が「実感した」と判断した。
【0063】
【表12】
【0064】
【表13】
【0065】
【表14】
【0066】
実施例及び比較例を調製する際に用いた原料を以下に示す。
ビワ葉エキスCA(ビワ葉エキス1%(エキス純分)、1,3−ブチレングリコール99%)
フラボステロンSE(ダイズエキス又はダイズ種子エキス0.43%(エキス純分)、水57.17%、無水エタノール42.4%)
ポリエチレングリコール300(医薬部外品原料規格)