特許第6052197号(P6052197)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6052197-監視装置および監視方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6052197
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】監視装置および監視方法
(51)【国際特許分類】
   F17D 5/02 20060101AFI20161219BHJP
   G05B 9/02 20060101ALI20161219BHJP
   G05D 16/20 20060101ALI20161219BHJP
   G01M 3/28 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   F17D5/02
   G05B9/02 D
   G05D16/20 N
   G01M3/28 C
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-20607(P2014-20607)
(22)【出願日】2014年2月5日
(65)【公開番号】特開2015-148257(P2015-148257A)
(43)【公開日】2015年8月20日
【審査請求日】2015年9月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】宇野 正洋
【審査官】 礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−193810(JP,A)
【文献】 特開昭58−017290(JP,A)
【文献】 実開昭59−047200(JP,U)
【文献】 実開昭58−191500(JP,U)
【文献】 米国特許第04608857(US,A)
【文献】 米国特許第04643213(US,A)
【文献】 特開2006−308076(JP,A)
【文献】 特開2013−217387(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17D 1/00 − 5/08
G01M 3/00 − 3/40
G05B 9/00 − 9/05
G05D 16/00 − 16/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ループ型の圧縮空気配管の破損を監視する監視装置であって、
前記圧縮空気配管の長さ方向に配置され、該圧縮空気配管を開閉可能な複数のバルブと、
前記複数のバルブで区切られた前記圧縮空気配管内の各エリアの圧力を測定する測定手段と、
前記測定手段による圧力の測定値が所定の閾値以下か否かを判別し、前記圧力の測定値が前記閾値以下であった場合、前記各エリアのうち前記閾値以下の圧力の測定値であった破損発生のエリアの両端のバルブを閉止するように前記複数のバルブを制御する制御装置と、
を備え
前記圧縮空気配管からプロセスへ圧縮空気を供給する供給配管は、前記各エリアのうち互いに異なる複数のエリアに接続され、
前記制御装置は、前記破損発生のエリアの両端のバルブを閉止することにより、前記プロセスへ供給配管を介して圧縮空気を供給するエリアを、前記複数のエリアのうち前記破損発生のエリアから他のエリアに切り替えて、前記圧縮空気配管から供給配管を介して前記プロセスへ圧縮空気を継続して供給させることを特徴とする監視装置。
【請求項2】
ループ型の圧縮空気配管の破損を監視する監視方法であって、
前記圧縮空気配管の長さ方向に配置され、該圧縮空気配管を開閉可能な複数のバルブで区切られた前記圧縮空気配管内の各エリアの圧力を測定する測定ステップと、
前記測定ステップによる圧力の測定値が所定の閾値以下か否かを判別する判別ステップと、
前記測定ステップによる圧力の測定値が前記閾値以下であった場合前記各エリアのうち前記閾値以下の圧力の測定値であった破損発生のエリアの両端のバルブを閉止するように前記複数のバルブを制御する閉止ステップと、
を含み、
前記圧縮空気配管からプロセスへ圧縮空気を供給する供給配管は、前記各エリアのうち互いに異なる複数のエリアに接続され、
前記閉止ステップは、前記破損発生のエリアの両端のバルブを閉止することにより、前記プロセスへ供給配管を介して圧縮空気を供給するエリアを、前記複数のエリアのうち前記破損発生のエリアから他のエリアに切り替えて、前記圧縮空気配管から供給配管を介して前記プロセスへ圧縮空気を継続して供給させることを特徴とする監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギー分野で利用される圧縮空気を供給する圧縮空気配管の破損を監視する監視装置および監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
圧縮空気を利用してエネルギーを供給する技術が知られている。この技術は、電力や自然エネルギーを圧縮空気に変換して貯蔵して、それを需要家のニーズに合わせて供給し、発電や動力、あるいはエアレーションなどに利用するものである。この技術について、例えば、工場等で、圧縮空気コンプレッサーで製造された圧縮空気をループ型の圧縮空気配管を介して供給する運用形態が知られている。このような運用形態において、圧縮空気配管に破損が生じて圧縮空気が漏洩すると、工場全体での圧縮空気の運用に支障をきたすため、破損の影響を最小限に抑えなければならない。
【0003】
特許文献1には、圧縮空気を利用して管路の内壁面に沿って潤滑油を移動させて潤滑対象物に供給する装置において、圧縮空気と潤滑油とを混合した後、潤滑対象物に供給されるまでの供給路での圧力変化から管路の異常を検出する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−300293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術によれば、管路の異常が検知された場合にも、圧縮空気の漏洩箇所を探索して手動でバルブを閉める必要があるため、漏洩事故の発生からバルブを閉めるまでにタイムラグが発生し、工場全体の圧縮空気の運用に支障をきたすおそれがあった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ループ型の圧縮空気配管に破損が生じた際に、バルブを自動的に閉止して破損の影響を最小限に抑止可能な監視装置および監視方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明に係る監視装置は、ループ型の圧縮空気配管の破損を監視する監視装置であって、前記圧縮空気配管の長さ方向に配置され、該圧縮空気配管を開閉可能な複数のバルブと、前記バルブで区切られた前記圧縮空気配管内の各エリアの圧力を測定する測定手段と、前記測定手段による該エリアの圧力の測定値が所定の閾値以下になった場合に、該エリアの両端のバルブを閉止する閉止手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る監視方法は、ループ型の圧縮空気配管の破損を監視する監視方法であって、前記圧縮空気配管の長さ方向に配置され、該圧縮空気配管を開閉可能な複数のバルブと、前記バルブで区切られた前記圧縮空気配管内の各エリアの圧力を測定する測定ステップと、前記測定ステップにおける該エリアの圧力の測定値が所定の閾値以下になった場合に、該エリアの両端のバルブを閉止する閉止ステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ループ型の圧縮空気配管に破損が生じた際に、バルブを自動的に閉止して破損の影響を最小限に抑止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る圧縮空気配管および監視装置の構成を示す模式図である。
図2図2は、本実施の形態の監視処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について詳細に説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付して示している。
【0012】
図1は、本実施の形態の監視装置およびこの監視処理を適用した圧縮空気配管の構成を示す模式図である。ここで、圧縮空気配管1は、例えば製鉄工場内に設置され、工場内の各プロセスに圧縮空気に変換された動力を供給するものである。
【0013】
図1に示すように、この圧縮空気配管1は、ループ型の管路で構成され、圧縮空気コンプレッサー2と、各プロセスへの供給配管3とが接続されている。圧縮空気コンプレッサー2は、吸込口21から取り込んだ空気の圧力を吸込み弁22と放風弁23とを用いて調整して圧縮空気を製造し、吐出弁24を介して圧縮空気配管1内に圧縮空気を送り出す。圧縮空気配管1内に送り出された圧縮空気は、供給配管3を介して各プロセスに供給され動力として利用される。
【0014】
監視装置10は、バルブVと、圧力計Pと、制御装置Cとを備え、バルブVと圧力計Pとが制御ケーブル11を介して制御装置Cにデータを送受可能に接続されている。バルブVは、監視対象の圧縮空気配管1の長さ方向の複数箇所に配置され、制御装置Cの制御により開状態および閉状態が切り替え可能に構成される。このバルブVが配置された位置において、圧縮空気配管1内の圧縮空気の流通は、バルブVが閉止された(閉状態の)場合に遮断され、開状態の場合に開放される。圧力計Pは、バルブVによって区切られたエリアAごとに設置され、設置位置での圧縮空気配管1内の圧力を所定の周期で測定し、測定値を制御装置Cに送信する。
【0015】
制御装置Cは、ワークステーションやパソコン等の汎用コンピュータで実現され、CPU、更新記録可能なフラッシュメモリ等のROMやRAM等の各種メモリ、ハードディスク、CD−ROM等の記録媒体といった各種記録装置、通信装置、表示装置や印刷装置等の出力装置、入力装置等を備えて構成される。制御装置Cは、処理プログラム等を記憶したメモリおよび処理プログラムを実行するCPUなどを用いて監視装置10の各構成部を制御して、後述する監視処理を実行する。
【0016】
次に、図2のフローチャートを参照して、監視装置10による圧縮空気配管1の監視処理手順について説明する。図2のフローチャートは、例えば、操作者が制御装置Cの入力装置を操作して監視開始の指示を入力したタイミングで開始となり、監視処理はステップS1の処理に進む。
【0017】
ステップS1の処理では、制御装置Cが、所定の周期で、各圧力計Pの圧縮空気配管1内の圧力の測定値を取得する。これにより、ステップS1の処理は終了し、監視処理はステップS2の処理に進む。
【0018】
ステップS2の処理では、制御装置Cは、取得した測定値が所定の閾値以下か否かを判別する。この閾値は、圧縮空気配管1内に保持される圧縮空気の圧力の範囲に基づいて予め設定しておく。圧力の測定値が閾値より大きい場合には(ステップS2,No)、制御装置Cは、異常なしと判定し、ステップS1に処理に戻して監視処理を続行する。一方、圧力の測定値が所定の閾値以下であった場合は(ステップS2,Yes)、制御装置Cによる測定値取得の周期より短期間に急速に圧力が低下したことを意味する。このとき、制御装置Cは、圧縮空気配管1の圧力を測定した圧力計Pが設置されているエリアA内で、圧縮空気配管1の破損が発生したものと判定し、ステップS3に処理を進める。
【0019】
ステップS3の処理では、制御装置Cは、このエリアAの両端のバルブVを閉状態にする制御を行う。これにより、ステップS3の処理は完了し、一連の監視処理は終了する。
【0020】
以上の説明から明らかなように、本実施の形態の監視装置10による監視処理では、ループ型の圧縮空気配管1において、バルブVで区切られたエリアA内の圧力が制御装置Cによる測定値取得の周期より短期間に急速に低下した場合に、これを検知できる。これにより、エリアA内で圧縮空気配管1の破損が発生した場合に直ちに検知して、バルブVが自動的に閉止されるので、破損の影響を最小限に抑止して、圧縮空気を利用する工場全体に影響が拡大することを未然に防止することができる。
【0021】
なお、各プロセスへの供給配管3は、複数のエリアAに接続しておくことが望ましい。これにより、破損により閉塞されたエリアAから圧縮空気の供給を受けていたプロセスについても、他のエリアAに切り替えて圧縮空気を継続して利用することが可能となる。
【0022】
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、本実施形態による本発明の開示の一部をなす記述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、本実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0023】
1 圧縮空気配管
2 圧縮空気コンプレッサー
3 供給配管
10 監視装置
11 制御ケーブル
P 圧力計
V バルブ
C 制御装置
図1
図2