特許第6052199号(P6052199)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6052199
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】偏光光照射装置及び光配向用棒状光源
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1337 20060101AFI20161219BHJP
【FI】
   G02F1/1337
【請求項の数】12
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-24142(P2014-24142)
(22)【出願日】2014年2月12日
(65)【公開番号】特開2015-152662(P2015-152662A)
(43)【公開日】2015年8月24日
【審査請求日】2014年12月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000102212
【氏名又は名称】ウシオ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097548
【弁理士】
【氏名又は名称】保立 浩一
(72)【発明者】
【氏名】吉田 啓二
(72)【発明者】
【氏名】柳生 英昭
【審査官】 三笠 雄司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−152433(JP,A)
【文献】 実開昭59−63961(JP,U)
【文献】 特開2007−157583(JP,A)
【文献】 特表2000−514592(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/13
G02F 1/1337
H01J 61/50−65/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺な発光管内に発光材料を封入した棒状光源であって、照射対象物に偏光光を照射するための棒状光源と、
棒状光源と照射対象物との間に配置され、棒状光源からの光を偏光させる偏光素子と、
棒状光源の長手方向に延びた形状を有し、棒状光源を挟んで照射対象物とは反対側において棒状光源を覆ったミラーと
を備えており、
棒状光源の発光管の外面には第一第二の二つの反射膜が形成されており、
反射膜は、棒状光源の発光管内の発光部から、ミラーの反射面及び偏光素子の双方を見込まない領域を遮蔽する位置に形成されており、
棒状光源の発光管の長手方向に延び長手方向に垂直な断面において発光管の中心に位置する軸である中心軸上の点を原点とし、中心軸に対して各々垂直な方向をxy軸とするともに、y軸の正側を0度とした場合、第一の反射膜の周方向の中央位置は反時計回りで100度以上140度以下の範囲内にあり、第二の反射膜の周方向の中央位置は反時計回りで220度以上260度以下の範囲内にあり、
第一の反射膜の周方向の長さは、原点から見込む角度において20度以上70度以下であり、
第二の反射膜の周方向の長さは、原点から見込む角度において20度以上70度以下であり、
y軸は、棒状光源と照射対象物とを結ぶ方向に向いた軸であることを特徴とする偏光光照射装置。
【請求項2】
前記第一第二の二つの反射膜は、前記棒状光源の長手方向に延びる帯状であることを特徴とする請求項1記載の偏光光照射装置。
【請求項3】
前記第一第二の二つの反射膜は、前記棒状光源による偏光光の有効照射領域の長さ以上の長さの帯状であることを特徴とする請求項2記載の偏光光照射装置。
【請求項4】
前記ミラーの照射対象物の側の端部は、前記偏光素子から離間しており、
前記第一第二の二つの反射膜は、前記棒状光源の発光管内の発光部から、前記ミラーの照射対象物側の端部と前記偏光素子との間の空間を見込む領域を遮蔽する位置に形成されていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の偏光光照射装置。
【請求項5】
前記ミラーは、前記棒状光源の前記照射対象物とは反対側においてスリットを形成しつつ配置された一対のミラーであり、
前記棒状光源の発光管には、別の第三の反射膜が形成されており、別の第三の反射膜は、前記棒状光源の発光部からスリットを見込む領域を遮蔽する位置に形成されていることを特徴とする請求項4記載の偏光光照射装置。
【請求項6】
前記棒状光源は、前記発光管の中心軸回りの周方向の配置姿勢の目印を備えていることを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の偏光光照射装置。
【請求項7】
前記棒状光源は、両端に口金を備えており、口金は、前記発光管の中心軸に対して非対称の断面形状を有しており、非対称の断面形状が前記目印となっていることを特徴とする請求項6記載の偏光光照射装置。
【請求項8】
前記棒状光源を保持する一対の台座が設けられており、
台座は、前記口金の前記非対称の断面形状に適合した形状を有し、前記口金と嵌め合わされることで前記反射膜が前記領域を遮蔽する位置となる姿勢で前記棒状光源を保持するものであることを特徴とする請求項7記載の偏光光照射装置。
【請求項9】
請求項1に記載の偏光光照射装置に用いられる光配向用棒状光源であって、棒状の発光管と、発光管内に封入された発光材料とを備えており、
発光管の外面には、発光管の長手方向に延びる帯状の第一第二の二つの反射膜が形成されており、
発光管の長手方向に延び長手方向に垂直な断面において発光管の中心に位置する軸である中心軸上の点を原点とし、中心軸に対して各々垂直な方向をxy軸とするともに、y軸の正側を0度とした場合、第一の反射膜の周方向の中央位置は反時計回りで100度以上140度以下の範囲内にあり、第二の反射膜の周方向の中央位置は反時計回りで220度以上260度以下の範囲内にあり、
第一の反射膜の周方向の長さは、原点から見込む角度において20度以上70度以下であり、
第二の反射膜の周方向の長さは、原点から見込む角度において20度以上70度以下であることを特徴とする光配向用棒状光源。
【請求項10】
前記発光管の外面には別の第三の反射膜が形成されており、
別の第三の反射膜は、周方向の中央位置が前記y軸上にあり、周方向の長さは、原点から見込む角度において20度以上100度以下であることを特徴とする請求項9記載の光配向用棒状光源。
【請求項11】
前記発光管の中心軸回りの周方向の配置姿勢の目印が設けられていることを特徴とする請求項9又は10に記載の光配向用棒状光源。
【請求項12】
前記棒状光源は、両端に口金を備えており、口金は、前記発光管の中心軸に対して非対称の断面形状を有しており、非対称の断面形状が前記目印となっていることを特徴とする請求項11記載の光配向用棒状光源。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の発明は、光配向等の用途において使用される偏光光照射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶ディスプレイを中心とするディスプレイデバイスの製造において、光配向と呼ばれる技術が多く採用されるに至っている。例えば、液晶ディスプレイでは、液晶分子の向きを揃えるための膜である配向膜が内蔵されているが、配向膜を得るのに、以前はラビングと呼ばれる機械的な方法が採用されていた。しかしながら、配向特性の向上等の観点から、近年は膜に光を照射して配向膜を得る光配向の技術が多く採用されている。この他、ディスプレイデバイスで一般的に必要になる視野角補償のための層を得る際にも、光配向の技術が採用されている。以下、光照射により配向を生じさせた膜や層を総称して光配向膜と呼ぶ。尚、「配向」ないし「配向処理」とは、対象物の何らかの性質について方向性を与えることである。
【0003】
光配向は、光配向膜用の膜(以下、膜材)に対して偏光光を照射することにより行われる。膜材は、例えばポリイミドのような樹脂製であり、所望の方向に偏光させた偏光光が膜材に照射される。偏光光の照射により、膜材の分子構造(例えば側鎖)が偏光光の向きに揃った状態となり、光配向膜が得られる。このため、光配向膜の製造には、偏光光照射装置が使用される。
【0004】
ディスプレイデバイスの大型化に伴い、また生産性の向上の観点から、より大型の光配向膜を製造することが必要になってきている。TV用の液晶ディスプレイではパネルの大型化のために光配向膜はより大きなサイズにならざるを得ないし、一枚のガラス基板から多くのディスプレイデバイスを製造する際にも、基板サイズに合わせて光配向膜も大型化する傾向にある。例えば、一辺の長さが2000mm〜3000mmの方形の光配向膜が使われるようになってきている。
【0005】
このように大型の光配向膜を得るためには、より大きな照射領域に偏光光を照射できる装置が必要である。このため、長尺な発光部を成す棒状光源を使用し、膜材を移動させながら偏光光照射することで大面積をカバーする装置が提案されている(特許文献1〜3)。偏光素子としては、比較的大きな面積で偏光させることから、グリッド偏光素子が使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−145381号公報
【特許文献1】特開2002−328234号公報
【特許文献1】特開2003−508813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような偏光光照射装置において、より処理速度を高くして生産性を向上させるため、照射面での偏光光の照度をより高くすることが要請されている。高照度の偏光光照射のためには、ハイパワーの光源を使用することになるが、単に大きな定格電力の光源を使用するだけではなく、光の利用効率を上げること、即ち光の損失を極力少なくすることも重要である。
【0008】
この点に関し、従来の偏光光照射装置では、光源その他の部材の冷却に関連して課題が存在している。光源には一般的に冷却が必要で、高速処理のためにハイパワーの光源を使用する場合には特に必要になる。また、偏光素子についても耐熱温度があり、必要な偏光性能を維持するため、冷却が必要である。通常、光源や偏光素子を収納したボックス内に冷却用の送風路が設けられ、送風路を通して送風することで各部が冷却される。
【0009】
しかしながら、このような送風路の存在は、光の利用効率を低下させる要因となる。例えば、光源の背後(光源を挟んで対象物とは反対側)にはミラーが配置されるが、ミラーと偏光素子との間は、送風路の確保の観点から離間される。光源から放射される光のうち、ミラーの端部と偏光素子との間の空間(以下、ミラー端部空間という)に向かう光は、有効利用されずに損失となる。また、ミラーは、スリットを形成しつつ配置した一対のものが使用される。スリットも、送風路の確保のためであるが、スリットに向かう光も、有効利用されず損失となる。
【0010】
これら空間やスリットを閉じ、ミラーと偏光素子とで光源を隙間無く取り囲んでしまえば、光の利用効率は格段に向上するが、冷却が極めて不十分な状態となってしまう。
本願発明は、この課題を解決するために為されたものであり、光源や偏光素子の冷却を十分に行いつつ、光の利用効率を高くした構造の偏光光照射装置を提供することを目的とするものであり、またこのような装置を使用して光配向を行うのに使用される棒状光源を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本願の請求項1記載の発明は、長尺な発光管内に発光材料を封入した棒状光源であって、照射対象物に偏光光を照射するための棒状光源と、
棒状光源と照射対象物との間に配置され、棒状光源からの光を偏光させる偏光素子と、
棒状光源の長手方向に延びた形状を有し、棒状光源を挟んで照射対象物とは反対側において棒状光源を覆ったミラーと
を備えており、
棒状光源の発光管の外面には第一第二の二つの反射膜が形成されており、
反射膜は、棒状光源の発光管内の発光部から、ミラーの反射面及び偏光素子の双方を見込まない領域を遮蔽する位置に形成されており、
棒状光源の発光管の長手方向に延び長手方向に垂直な断面において発光管の中心に位置する軸である中心軸上の点を原点とし、中心軸に対して各々垂直な方向をxy軸とするともに、y軸の正側を0度とした場合、第一の反射膜の周方向の中央位置は反時計回りで100度以上140度以下の範囲内にあり、第二の反射膜の周方向の中央位置は反時計回りで220度以上260度以下の範囲内にあり、
第一の反射膜の周方向の長さは、原点から見込む角度において20度以上70度以下であり、
第二の反射膜の周方向の長さは、原点から見込む角度において20度以上70度以下であり、
y軸は、棒状光源と照射対象物とを結ぶ方向に向いた軸であるという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項2記載の発明は、前記請求項1の構成において、前記第一第二の二つの反射膜は、前記棒状光源の長手方向に延びる帯状であるという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項3記載の発明は、前記請求項1又は2の構成において、前記第一第二の二つの反射膜は、前記棒状光源による偏光光の有効照射領域の長さ以上の長さの帯状であるという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項4記載の発明は、前記請求項1、2又は3の構成において、前記ミラーの照射対象物の側の端部は、前記偏光素子から離間しており、
前記第一第二の二つの反射膜は、前記棒状光源の発光管内の発光部から、前記ミラーの照射対象物側の端部と前記偏光素子との間の空間を見込む領域を遮蔽する位置に形成されているという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項5記載の発明は、前記請求項4の構成において、前記ミラーは、前記棒状光源の前記照射対象物とは反対側においてスリットを形成しつつ配置された一対のミラーであり、
前記棒状光源の発光管には、別の第三の反射膜が形成されており、別の第三の反射膜は、前記棒状光源の発光部からスリットを見込む領域を遮蔽する位置に形成されているという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項6記載の発明は、前記請求項5の構成において、前記棒状光源は、前記発光管の中心軸回りの周方向の配置姿勢の目印を備えているという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項7記載の発明は、前記請求項1乃至6いずれかの構成において、前記棒状光源は、両端に口金を備えており、口金は、前記発光管の中心軸に対して非対称の断面形状を有しており、非対称の断面形状が前記目印となっているという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項8記載の発明は、前記請求項7の構成において、前記棒状光源を保持する一対の台座が設けられており、
台座は、前記口金の前記非対称の断面形状に適合した形状を有し、前記口金と嵌め合わされることで前記反射膜が前記領域を遮蔽する位置となる姿勢で前記棒状光源を保持するものであるという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項9記載の発明は、 請求項1に記載の偏光光照射装置に用いられる光配向用棒状光源であって、棒状の発光管と、発光管内に封入された発光材料とを備えており
発光管の外面には、発光管の長手方向に延びる帯状の第一第二の二つの反射膜が形成されており、
発光管の長手方向に延び長手方向に垂直な断面において発光管の中心に位置する軸である中心軸上の点を原点とし、中心軸に対して各々垂直な方向をxy軸とするともに、y軸の正側を0度とした場合、第一の反射膜の周方向の中央位置は反時計回りで100度以上140度以下の範囲内にあり、第二の反射膜の周方向の中央位置は反時計回りで220度以上260度以下の範囲内にあり、
第一の反射膜の周方向の長さは、原点から見込む角度において20度以上70度以下であり、
第二の反射膜の周方向の長さは、原点から見込む角度において20度以上70度以下であるという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項10記載の発明は、前記請求項9の構成において、前記発光管の外面には別の第三の反射膜が形成されており、
別の第三の反射膜は、周方向の中央位置が前記y軸上にあり、周方向の長さは、原点から見込む角度において20度以上100度以下であるという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項11記載の発明は、前記請求項9又は10の構成において、前記発光管の中心軸回りの周方向の配置姿勢の目印が設けられているという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項12記載の発明は、前記請求項11の構成において、前記棒状光源は、両端に口金を備えており、口金は、前記発光管の中心軸に対して非対称の断面形状を有しており、非対称の断面形状が前記目印となっているという構成を有する。
【発明の効果】
【0012】
以下に説明する通り、本願の請求項1記載の発明によれば、光の損失が低減されるので、棒状光源への投入電力が一定の場合でも、照射面での照度が高くなる。
また、請求項2記載の発明によれば、上記効果に加え、反射膜が棒状光源の長手方向に長いものであるので、長手方向において照度を高くする効果が得られる。
また、請求項3記載の発明によれば、上記効果に加え、反射膜が有効照射領域の長さ以上の長さであるので、有効照射領域において照度をより高くする効果が得られる。
また、請求項4記載の発明によれば、上記効果に加え、ミラー端部空間における光の損失が低減されるので、ミラーや偏光素子の冷却を十分に行いつつ照度をより高くする効果が得られる。
また、請求項5記載の発明によれば、上記効果に加え、一対のミラーを通して冷却用の送風路を確保しつつ、スリットにおける光の損失を低減することができる。
また、請求項6記載の発明によれば、上記効果に加え、周方向の配置姿勢の目印が棒状光源に設けられているので、より照度を高くできる姿勢に光源を配置するのが容易となる。
また、請求項7記載の発明によれば、上記効果に加え、棒状光源の口金の形状自体が目印であるので、別途目印を設ける必要がない。
また、請求項8記載の発明によれば、上記効果に加え、台座に口金を嵌め合わせることで周方向の最適な姿勢で棒状光源が配置されるので、光源の配置が容易である。
また、請求項9記載の発明によれば、偏光光照射装置に搭載された場合、光の損失が低減されるので、高い照度の偏光光を照射することで光配向が行えるようになり、より高い生産性で光配向処理が行える。
また、請求項10記載の発明によれば、上記効果に加え、偏光光照射装置が備える一対のミラーが形成するスリットにおける光の損失が低減されるので、さらに高い照度で光配向処理が行えるようになる。
また、請求項11記載の発明によれば、上記効果に加え、周方向の配置姿勢の目印が設けられているので、より照度を高くできる姿勢に棒状光源を配置するのが容易となる。
また、請求項12記載の発明によれば、上記効果に加え、口金の形状自体が目印であるので、別途目印を設ける必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本願発明の第一の実施形態の偏光光照射装置の斜視概略図である。
図2図1に示す実施形態の偏光光照射装置の正面断面概略図である。
図3】第一の実施形態の装置における棒状光源1の断面概略図である。
図4】第一の実施形態の装置における棒状光源1の斜視概略図である。
図5】反射膜の大きさとミラー端部空間を見込む領域との関係について示した正面断面概略図である。
図6】第二の実施形態の偏光光照射装置の正面断面概略図である。
図7】第二の実施形態の装置における棒状光源1の断面概略図である。
図8】反射膜無しの従来の棒状光源を使用した場合と反射膜付きの棒状光源を使用した場合とで照射面での照度がどのように変化するかを調べた実験の結果を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本願発明を実施するための形態(以下、実施形態)について説明する。以下の説明は、偏光光照射装置の発明の実施形態の説明であるが、光配向用棒状光源の発明の実施形態の説明も含んでいる。
図1は、本願発明の第一の実施形態の偏光光照射装置の斜視概略図であり、図2図1に示す実施形態の偏光光照射装置の正面断面概略図である。
【0015】
実施形態の偏光光照射装置において、照射対象物(以下、ワークという)Wは光配向膜用の膜材である。膜材Wは、樹脂製のシートであり、図1に示すようにロールに巻かれており、偏光光の照射位置まで引き出されるようになっている。ロールツーロールのワークの搬送の過程で偏光光が照射され、光配向処理がされるようになっている。尚、ワークWの搬送方向は水平方向である。
【0016】
図1及び図2に示すように、実施形態の偏光光照射装置は、長尺な発光部を成す棒状光源1と、棒状光源1の背後(ワークWとは反対側)に設けられたミラー2と、偏光素子ユニット3とを備えている。
図1に示すように、棒状光源1は、長さ方向がワークWの搬送方向に垂直な水平方向になるよう配置されている。この実施形態では、紫外域の光によって光配向を行うので、高圧水銀ランプやメタルハライドランプなどが使用される。
【0017】
ミラー2は、放物線状の断面形状を成す一対のものである。ミラー2の断面形状としては、放物線ではなく楕円の円弧状とされる場合もある。
一対のミラー2は、棒状光源1の長手方向に長いものであり、いわゆる樋状のミラーである。但し、一対のミラー2は、棒状光源1の背後において接触しておらず、スリット20を形成している。
【0018】
各ミラー2は、ガラスに反射用の蒸着膜を施したものやアルミ製のものが採用される。蒸着膜としては、赤外線のような長波長側の光を透過させてワークに照射しないようにしたものが採用される場合もある。尚、小さなミラーを並べて図に示すような長尺なミラー2と等価なものとする場合もある。
【0019】
このような棒状光源1や各ミラー2は、ランプハウス4内に収容されている。ランプハウス4は二重箱に近い構造となっており、棒状光源1や各ミラー2を保持したインナーボックス41を収容している。
インナーボックス41は、ほぼ断面コ字状となっており、開口を下に向けた姿勢である。インナーボックス41は、内部を上下に仕切る隔壁42を有しており、隔壁42には、棒状光源1の長手方向に延びるスリット状の通風口420が設けられている。
隔壁42には、通風口420の縁から下方に延びるようにして上側ミラー保持部21が設けられている。インナーボックス41の下端には下側ミラー保持部22が形成されており、ミラー2は、上側ミラー保持部21と下側ミラー保持部22とによって保持されている。
【0020】
偏光素子ユニット3は、グリッド偏光素子である偏光素子31と、偏光素子31を保持した枠状のフレーム32とから成る。偏光素子ユニット3において、複数の偏光素子31が並べられており、フレーム32によって一体に保持されている。偏光素子ユニット3は、図2に示すようにランプハウス4の光出射口40の縁に取り付けられている。
また、隔壁42には通風口420が形成されており、通風口420の上側には、ラジエータ6が配置されている。ラジエータ6の上側には、冷却ファン7が設けられている。ラジエータ6は、通風口420から上昇する冷却風が間を通過するよう多数のフィンを形成したものである。図2に示すように、ラジエータ6内には冷媒が循環される。
【0021】
冷却ファン7が動作すると、図2に破線矢印で示すように、冷却ファン7からの冷却風は、ランプハウス4とインナーボックス41との間の通風路を通って下降し、各ミラー2の端部の下側を通ってミラー2の下方に侵入する。この冷却風は、偏光素子31を冷却しながら上昇し、ミラー2の下面(反射面)や棒状光源1の表面に沿って流れた後、一対のミラー2の間の通風口420を通過する。そして、ラジエータ6において熱交換されて冷却風自体が冷却され、冷却ファン7に戻る。このように、冷却ファン7によりランプハウス4内に冷却風が循環し、ラジエータ6によって熱が奪われながら棒状光源1、ミラー2、偏光素子31等を冷却する。
【0022】
上記のように、各ミラー2の偏光素子31側の端部は偏光素子ユニット3から離間しており、ミラー端部空間201が両側に形成されている。ミラー端部空間201は、前述したように、冷却風の送風のために必要な空間である。そして、実施形態の装置では、棒状光源1の発光管11に反射膜を設けることで、ミラー端部空間201における光の損失を防止し、光の利用効率の向上を図っている。以下、この点について図2図3及び図4を使用して説明する。図3は、第一の実施形態の装置における棒状光源1の断面概略図、図4は、第一の実施形態の装置における棒状光源1の斜視概略図である。
【0023】
実施形態の装置において、光の利用効率を向上させるため、棒状光源1の発光管11には、反射膜81,82が形成されている。棒状光源1の発光管11は、図2及び図3に示すように断面円形である。説明の都合上、一対のミラー2の間のちょうど中間の位置を通り、照射面に対して垂直な仮想面をミラー基準面と呼び、図2及び図3にSで示す。尚、棒状光源1は図3の紙面を垂直に貫く方向に長いので、ミラー基準面Sも図3の紙面に対して垂直に交差している。
【0024】
一対のミラー2は、前述したように反射面の断面形状が放物線(放物面鏡)となっているが、その焦点Fはミラー基準面S上にあり、棒状光源1は、発光管11の中心軸が焦点Fに位置するよう配置されている。このため、発光管11から出た光のうち、ミラー2に反射した光は、ほぼ平行光となって出射する。
偏光素子31は、ミラー基準面Sに対して垂直な姿勢で配置される。したがって、ミラー2に反射した光は、図2に実線矢印で示すように、偏光素子31に対して垂直に入射するようになっている。
【0025】
そして、図2に示すように、反射膜81,82は、ミラー基準面Sを挟んで二つ設けられている。二つの反射膜(以下、第一第二の反射膜とする)81,82は、発光管11の中心が一対のミラーの焦点の位置に配置された際、発光管11の中心からミラー端部空間210を見込む位置に設けられている。図2において、一対のミラー2の焦点Fとミラー2の端縁とを結ぶ仮想線をミラー側仮想線と呼び、図2中に符合Lで示す。また、一対のミラー2が成す焦点Fと偏光素子ユニット31のミラー2側の端縁とを結ぶ仮想線を素子側仮想線と呼び、図2中に符合Lで示す。
【0026】
第一第二の反射膜81,82は、ミラー側仮想線Lと素子側仮想線Lとで挟まれた空間を丁度仕切る位置及びサイズで設けられている。図3において、一対のミラー2の焦点Fの位置を原点Oとし、ミラー基準面Sに沿った軸をy軸、ミラー基準面Sに垂直な軸に垂直な軸をx軸とした座標系を与える。第一の反射膜81において、周方向(発光管11の中心軸回りの方向)の中心位置と原点Oとを結ぶ線は、光軸に対する各反射膜の配置位置を規定している。y軸の正側を角度0度とし、これに対する反時計回りの角度として表現すると、第一の反射膜81の周方向中心位置の角度(図3にθ11で示す)は、ミラー側仮想線Lの角度と素子側仮想線Lの角度の丁度中間の角度となる。この角度は、一対のミラー2の大きさ、偏光素子ユニット3の大きさや配置位置によって決まるが、例えば100〜140度程度である。
【0027】
第一の反射膜81の周方向の長さも、発光管11の外径、ミラー2の大きさや位置、偏光素子ユニット3の位置によって適宜決定される。周方向の長さを発光管11の中心に対する角度で表現すると、第一の反射膜81の周方向長さθ12は、20〜70度程度である。
【0028】
第二の反射膜82についても同様で、ミラー側仮想線Lと素子側仮想線Lとで挟まれた空間を丁度仕切る位置に及びサイズで設けられている。第一第二の反射膜81,82は、ミラー基準面Sに対して対称に設けられているので、第二の反射膜82の周方向中心位置の角度(図3にθ21で示す)は、θ11と絶対値が同じでマイナスの向きの角度である(θ21=−θ11)。また、周方向の長さは、第一の反射膜81と同じである(θ22=θ12)。
【0029】
尚、図4に示すように、各反射膜81,82は、棒状光源1の長手方向に長い帯状である。各反射膜81,82は、有効照射領域の長さ以上の長さとされる。有効照射領域は、その領域内で必要な偏光光の照度が確保される領域として設定される領域である。有効照射領域は、ワークWの幅よりも大きい幅として設定される。図1に、有効照射領域を符号Rで示す。この実施形形態では、光源1は長手方向がワークWの幅方向とされるので、各反射膜81,82は、ワークWの幅よりも長いものとされる。
【0030】
各反射膜81,82は、ミラー端部空間201に向かおうとする光を反射させて戻し、発光管11内からミラー2を経て偏光素子31に向かわせるものであるため、少なくとも、照射しようとする波長の光を反射させるものであることが必要である。この実施形態では、例えば波長254nmや365nmのような紫外線の偏光光を照射することを想定しており、したがって200nm〜400nm程度の波長域において高い反射率を有するものが好適に使用される。高い反射率とは、例えば50%以上の反射率である。
【0031】
このような各反射膜81,82は、発光管11の外面に真空蒸着法、スパッタリング、CVD等によって形成され、例えば酸化タンタル、酸化タングステン、酸化ハフニウム、酸化チタン、酸化シリコンを積層した多層膜とされる。この他、アルミナの蒸着膜、アルミナの微粒子より成る膜、シリカの微粒子より成る膜、又はこれら微粒子の混合物より成る膜が各反射膜81,82として使用されることもある。
【0032】
また、このような各反射膜81,82は、必要な耐熱性を持ったものとされる。この実施形態の棒状光源1は、前述したように放電ランプであり、点灯時には発光管11の外面はかなりの高温になる。発光管11内の発光材料の蒸発状態を維持する観点から、発光管11内は所定の高温に保たれなければならず、したがって発光管11の外面が高温になることは避けられない。例えば水銀ランプ(低圧水銀ランプ又は高圧水銀ランプ)の場合、水銀の蒸発温度である350℃〜550℃程度以上の温度に発光管11内が維持されている必要がある。このため、各反射膜81,82は、少なくとも発光管11内の発光材料の蒸発温度以上の耐熱性を持つ必要がある。
尚、棒状光源1の発光管11は、石英ガラスのような耐熱性の高い材料で形成されるものの、限度以上の温度になると白化して光透過率が悪くなるといった問題が生じる。このため、通常、棒状光源1は、送風機構により強制空冷され、各反射膜81,82も強制空冷される。
【0033】
この実施形態の棒状光源1は、長手方向に垂直な断面で見ると、発光管11の内部の全域が発光部となる。図2及び図3から解るように、この発光部から出た光のうちの一部は、反射膜81,82で反射し、発光管11内を通過してミラー2に達し、ミラー2に反射して偏光素子31に照射される。この光は、反射膜81,82が無い場合にはミラー端部空間201に向かっていた光である。即ち、この実施形態では、ミラー端部空間201における光の損失が低減されており、光の利用効率が高くなっている。このため、偏光素子31を経て照射面に照射される偏光光の照度が高くなる。したがって、所定の光照射量を確保しつつもワークWを高速で搬送することが可能になり、生産性が高くなる。
【0034】
このように、実施形態の偏光光照射装置は、反射膜81,82付きの棒状光源1を使用することで光の利用効率を向上させているが、この効果は、上述したように、装置の各部の配置との関係で棒状光源1が適宜の姿勢で搭載されることで得られる。この点を考慮し、実施形態の偏光光照射装置は、棒状光源1の搭載のために最適化した構造を採用している。以下、この点について図4を使用して説明する。
【0035】
水銀ランプやメタルハライドランプのような棒状の棒状光源は、棒状の発光管の両端に口金を有する。口金は、通常、円柱状である。各口金の端面からは一対のリード棒が延びており、リード棒をソケットに差し込むことで棒状光源はソケットに装着される。
そして、棒状光源の保持のため、ランプハウス内には一対の台座が設けられる。棒状光源は、両端の口金が台座の上に載せられた状態で固定される。台座は、上面がV溝になっており、V溝内に落とし込むようにして口金が載せられる。
【0036】
このような構造が一般的であるが、この実施形態では、図4に示すように、各口金12は円柱状ではなく、平坦面を有する形状となっている。即ち、各口金12は、底面121と、棒状光源1の長手方向に沿った側面122とが平坦面になっている。
【0037】
一方、一対の台座5は、図4に示すように、棒状光源1の長手方向に垂直な断面で見た形状がコ字状となる溝(以下、コ字状溝という)51を有している。各コ字状溝51の寸法形状は、各口金12の断面形状(底面121と各側面122の寸法形状)に適合したものとなっている。棒状光源1を装着する場合、図4に示すように、各口金12の底面121を下に向けながら台座5のコ字状溝51に嵌め込み、不図示の固定具で各口金12を台座5に固定する。
図4に示すように、各台座5は、コ字状溝51の底壁がミラー基準面Sに対して垂直で、且つミラー基準面Sが溝の幅方向中央の位置となるよう固定されている。コ字状溝51の向かい合う側壁は、ミラー基準面Sに対して平行であり、ミラー基準面Sから互いに等距離の位置になる。
【0038】
一方、二つの口金12は、底面121が同一平面上となる状態で発光管11に対して接続されているとともに、底面121の幅方向中央の位置が発光管11の中心軸Cと同一平面上となる状態で発光管11に対して接続されている。各口金12の側面122は、底面121に対して垂直である。したがって、図4に示すように各口金12を台座5に嵌め込むと、発光管11の中心軸Cはミラー基準面S上に位置する。
また、前述したようにミラー2は放物面鏡であるものの、棒状光源1の長手方向に長いものであるので、その焦点Fも、実際には棒状光源1の長手方向に長いものである。したがって、この焦点が長手方向に連ねってできる仮想線を焦線と呼ぶ。
【0039】
図4において、各口金12の底面121が属する平面に対する発光管11の中心軸Cの離間距離をdとすると、各台座5は、コ字状溝51の底壁が焦線に対して距離dとなる位置で設けられている。したがって、図4に示すように各口金12を台座5に嵌め込むと、発光管11の中心軸Cと焦線とが一致した状態となる。
そして、棒状光源1において、二つの反射膜81,82は、口金12の断面形状に対して所定の位置関係で設けられている。説明の都合上、各口金12の底面121に対して幅方向中央で垂直に交差する面を発光管基準面と呼び、図4にSで示す。発光管11の中心軸Cは、発光管基準面S上にある。
【0040】
上記のように各口金12が台座5に嵌め込まれると、発光管11の中心軸Cはミラー基準面S上となる。即ち、発光管基準面Sがミラー基準面Sに一致する。したがって、各口金12との位置関係でいうと、第一の反射膜81は、発光管基準面Sに対してθ11の角度に位置し、第二の反射膜82は発光管基準面Sに対してθ21の角度に位置する。即ち、反射膜81,82は、口金12に対してθ11,θ12となる位置に形成される。このため、上記のように発光管基準面Sがミラー基準面Sに一致した状態として棒状光源1を装着すると、各反射膜81,82は、各ミラー端部空間201を見込む領域を遮蔽した状態となる。
【0041】
尚、各反射膜81,82は、上記のように各ミラー端部空間201を見込む領域を遮蔽するもので、この点で幾つかの異なる態様が考えられ、それぞれに優劣がある。以下、この点について図5を使用して説明する。図5は、反射膜の大きさとミラー端部空間を見込む領域との関係について示した正面断面概略図である。
【0042】
図5において、ミラー側仮想線Lと素子側仮想線Lとの間の領域が、ミラー端部空間を見込む領域である。反射膜81,82は、図3に示すように、ミラー端部空間201を見込む領域をちょうど遮蔽する長さとすることが好ましい。この場合、反射膜81,82の一方の端はミラー側仮想線L上にあり、他方の端は素子側仮想線L上にある。
【0043】
また、図5(1)に示すように、第一の反射膜81は、ミラー端部空間を見込む領域より少し長く、はみ出していても良い。この場合でも、ミラー端部空間における光の損失を無く効果は同様に得られる。はみ出した部分では、ミラー2又は偏光素子313に向かっていた光を反射してしまうので、好ましくないとも言えるが、ここで反射した光の多くは、発光管11内を経由してミラー2に達し、ミラー2に反射して偏光素子31に向かうので、大きな無駄にはならない。第二の反射膜82についても同様である。
【0044】
但し、発光管11から出てミラー2に反射した光のうち、発光管11内を通って反射膜81,82の内側面に達する光があり得る。この光は、反射膜81,82に反射することで、偏光素子への光路から逸れてしまうことがあり得る。つまり、反射膜81,82は、ミラーから偏光素子に向かう光にとっては遮蔽物になり得る。この点では、反射膜の長さは最小限にすべきで、どちらかというと図3の方が好ましい。
【0045】
また、図5(2)に示すように、第一の反射膜81は、ミラー端部空間を臨む領域に対して少し短い長さであっても良い。この場合でも、反射膜81が無い場合に比べると、ミラー端部空間における損失は低減できる。また、上記のように、ミラー2から偏光素子31に向かう光を遮蔽してしまう効果は反射膜81が短い方が少なく、この点では好ましい。第二の反射膜82についても同様である。
【0046】
いずれにしても、実施形態の紫外線偏光光照射装置によれば、ミラー端部空間201における光の損失が低減されるので、棒状光源1への投入電力が一定の場合でも、照射面での照度が高くなる。このため、光配向のような光プロセスの生産性をより高くできる。
また、反射膜81,82が棒状光源1の長手方向に長いものである点は、長手方向において照度を高くする位置があるし、反射膜81,82が有効照射領域Rの長さ以上の長さであるので、有効照射領域Rにおいて照度をより高くする位置がある。
【0047】
そして、前述した口金12の形状は、棒状光源1の周方向の配置姿勢の目印となるものであり、より照度を高くできる姿勢に光源を配置する作業(セッティング)を容易にする意義がある。さらに、口金12の形状自体が目印であるので、別途目印を設ける必要がなく、棒状光源1の製造工程が簡略化される。尚、上記のように台座5に口金12を嵌め合わせることで周方向の最適な姿勢で光源が配置されるので、棒状光源1の配置作業はさらに容易となっている。
【0048】
次に、第二の実施形態の偏光光照射装置について説明する。図6は、第二の実施形態の偏光光照射装置の正面断面概略図であり、図7は第二の実施形態の装置における棒状光源1の断面概略図である。
第二の実施形態の装置は、棒状光源1の発光管11において反射膜が追加して設けられた点が特徴点となっており、その他の点は、基本的に第一の実施形態と同様である。
【0049】
図6及び図7に示すように、第二の実施形態においても、棒状光源1の発光管11には、第一第二の反射膜81,82が形成されている。第一第二の反射膜81,82の位置や大きさは、第一の実施形態の場合と同様であり、発光管基準面Sに対して対称なθ11、θ21の位置である。したがって、発光管基準面Sがミラー基準面Sと一致し、発光管11の中心軸Cがミラー2の焦線に一致した状態で棒状光源1が配置されると、第一第二の反射膜81,82は、発光管11内の発光部からミラー端部空間201を見込む領域を遮蔽する状態となる。
【0050】
加えて、第二の実施形態では、発光管11の外面に第三の反射膜83が形成されている。図6に示すように、第三の反射膜83は、発光管基準面S上に位置する。より具体的には、第三の反射膜83は、長さ方向(発光管11の周方向)の中央位置が発光管基準面S上に位置している(Y軸と第三の反射膜83の周方向中央位置とのなす角度をθ31とすると、θ31=0°)。
【0051】
第三の反射膜83は、発光管11の上方に形成されたスリット20における光の損失を低減させるための反射膜である。上記のように、ミラー2や棒状光源1の発光管11、偏光素子31などを経由した冷却用の送風路を確保する観点から、ミラー2を一対のものとし、棒状光源1の背後においてスリット20が形成された構造が採用される。スリット20は、冷却用に必要ではあるものの、その箇所では光は反射されず、スリット20に向かう光は損失となる。このため、第二の実施形態では、棒状光源1の発光管11内の発光部からスリット20を見込む領域を遮蔽する位置に第三の反射膜83を設けている。
【0052】
一対のミラー2は、ミラー基準面Sに対して対称であり、棒状光源1は、発光管基準面Sがミラー基準面Sに一致した状態で配置されるので、第三の反射膜83は、ミラー基準面S上に位置し、発光管11内の発光部からスリット20を見込む空間を遮蔽する状態となる。
第三の反射膜83については、発光管11の中心からスリット20を見込む領域をちょうど遮蔽する長さとすることが好ましいが、これより多少長くても良く、短くても良い。但し、平面視でスリット20の幅よりも長くしてしまうと、無益に長くなり、ミラー2に達する光を遮蔽してしまうので、好ましくない。周方向の長さを発光管11の中心に対する角度で表現すると、第三の反射膜82の周方向長さθ32は、例えば20〜100度程度である。尚、第三の反射膜83も、光源1の長手方向に長い帯状であり、有効照射領域以上の長さとされる。
【0053】
第三の反射膜83についても第一第二の反射膜82と同様で、酸化タンタルと二酸化シリコン等との多層膜を発光管11の外面に蒸着することで形成することができ、アルミナの蒸着膜、アルミナの微粒子より成る膜、シリカの微粒子より成る膜、又はこれら微粒子の混合物より成る膜でも良い。そして、同様に発光管11内の発光材料の蒸発温度を越える耐熱性が必要であり、発光管11と同程度の耐熱性とすることがより好ましい。
【0054】
第二の実施形態では、第三の反射膜83が無い場合にスリット20に向かっていた光を第三の反射膜83が反射して発光管11内に戻す。この光は、発光管11下方を通過して偏光素子31に達するか、第一又は第二の反射膜81,82に反射し、さらにミラー2に反射して偏光素子31に達する。したがって、スリット20において損失となっていた多くの光が偏光素子31に達するようになり、この点で光の利用効率がさらに向上する。このため、一定の投入電力の下でも、照射面での照度がさらに高くなり、生産性が向上する。
【0055】
尚、この実施形態においても、棒状光源1の口金12の形状やランプハウス4内に設けられる台座5の構造は第一の実施形態と同様である。したがって、両側の口金12を台座5に対して嵌め込むだけで、第三の反射膜83は第一第二の反射膜81、82に対して上側に位置し、且つミラー基準面S上の所定位置(スリット20を見込む領域を遮蔽する位置)に位置することになる。
【0056】
上記各実施形態では、一対のミラー2は放物面鏡を構成していたが、楕円集光鏡を構成していても良い。ミラーが楕円集光鏡である場合、反射面の断面形状は楕円の円弧を成し、同様に棒状光源1の長手方向に長い一対のものということになる。
尚、上述したように実施形態の偏光光照射装置ではグリッド偏光素子が使用されているが、グリッド偏光素子の場合、光をより垂直に近い角度で入射させた方が偏光性能が高くなる。放物面鏡を使用した場合、偏光素子31に垂直に近い角度で入射する光が多くなるので、偏光性能を高くする点で好適である。
【0057】
一方、ミラーが楕円集光鏡である場合、楕円集光鏡の第二焦点の位置を通して搬送ラインが設定され、ワークWは第二焦点の位置を通して搬送される。楕円集光鏡の場合、光が第二焦点に集光されるので、放物面鏡を使用する場合に比べ照度が高くなる。いずれの場合もワークWは搬送の過程で偏光光が照射されるものの、より高いピーク照度で偏光光を照射する必要がある場合、楕円集光鏡の使用が推奨される。
【0058】
上述した各実施形態において、ワークWはロールツーロールで搬送される膜材であったが、膜材付きの基板がワークである場合もある。この場合は、基板を載せるステージと、ステージを移動させてワークを搬送する搬送機構とが設けられる。搬送機構としては、ボールねじとリニアガイドとを組み合わせた機構が採用され、有効照射領域Rを通過するようにして基板を搬送するよう構成される。
【0059】
上記各実施形態では、光配向を偏光光照射の用途として説明したが、他の用途においても高効率に偏光光を照射する必要がある場合、本願発明は好適に採用され得る。
また、棒状の棒状光源1において、断面で見た場合、発光部は発光管11内の全域に亘ると説明したが、例えば中心軸付近のように一部の領域に存在する場合もあり得る。この場合も、この発光部からミラー端部空間201を見込んだ領域を遮蔽する位置に反射膜は形成される。
尚、上述した各実施形態の説明において、各反射膜81,82,83の配置位置やサイズを基準面Sに対する角度により規定したが、これらの角度は、凡その偏光光照射装置において効果を奏する角度である。ミラーの寸法形状や偏光素子の配置は装置によって異なるので、程度に違いはあるものの、これらの角度範囲内としておけば、光の損失低減の効果は得られる。
【実施例】
【0060】
次に、実施例の説明として、照射面での照度向上の効果を確認した実験の結果について説明する。
図8は、反射膜無しの従来の棒状光源を使用した場合と反射膜付きの棒状光源を使用した場合とで照射面での照度がどのように変化するかを調べた実験の結果を示した図である。この実験では、定格出力24kWの高圧水銀ランプであって、反射膜の無いもの(従来例)と、反射膜付きのものとを用意し、同一の偏光光照射装置に搭載して照射面での照度を測定した。
【0061】
照射面は、棒状光源から約185mm程度の位置とし、ミラーの端部と偏光素子との離間距離は約80mmとした。
また、反射膜付きの棒状光源としては、第一の実施形態のもの(第一第二の反射膜付きのもの)と、第二の実施形態のもの(第一〜第三の反射膜付きのもの)とを用意し、それぞれについて照射面上の照度を測定した。
【0062】
尚、偏光光照射装置としては、上記のような放物面鏡のミラーの他、ミラーが楕円集光鏡である装置も使用し、これについても同様に反射膜無しと反射膜付きとでどのように照度が異なるかを測定した。ミラーとして楕円集光鏡を使用した装置は、ミラー以外については上記各実施形態の装置と同様とした。図8中、(1)は放物面鏡のミラーを使用した場合の実験結果、(2)は楕円集光鏡のミラーを使用した場合の実験結果を示す。図8(1)(2)では、反射膜の無い従来の棒状光源を使用した場合の照度を100とし、反射膜付きの棒状光源1を使用した場合の照度がこれに対する比率で示されている。
【0063】
図8(1)に示すように、放物面鏡タイプのミラーを使用した場合、反射膜の無い従来の棒状光源を使用した際の照度に対して、第一の実施形態の棒状光源では117%の照度となり、第二の実施形態の棒状光源では136%の照度となった。
また、図8(2)に示すように、楕円集光鏡タイプのミラーを使用した場合、反射膜の無い従来の棒状光源を使用した際の照度に対して、第一の実施形態の棒状光源では105%、第二の実施形態の棒状光源では124%となった。
このように、いずれのタイプのミラーにおいても、反射膜付きの棒状光源を使用することで照度がアップし、生産性の向上に寄与できることが確認された。
【符号の説明】
【0064】
1 棒状光源
11 発光管
12 口金
2 ミラー
20 スリット
3 偏光素子ユニット
31 偏光素子
32 フレーム
4 ランプハウス
5 台座
51 コ字状溝
6 ラジエータ
7 冷却ファン
81 第一の反射膜
82 第二の反射膜
83 第三の反射膜
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8