特許第6052203号(P6052203)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6052203
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】車両の後部構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 19/24 20060101AFI20161219BHJP
   B60R 19/04 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   B60R19/24 S
   B60R19/04 M
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-37567(P2014-37567)
(22)【出願日】2014年2月27日
(65)【公開番号】特開2015-160550(P2015-160550A)
(43)【公開日】2015年9月7日
【審査請求日】2016年2月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100133916
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 興
(72)【発明者】
【氏名】田中 和弘
(72)【発明者】
【氏名】坂本 敏男
(72)【発明者】
【氏名】土肥 由敬
【審査官】 田合 弘幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−142235(JP,A)
【文献】 特開平10−044890(JP,A)
【文献】 特開2011−016503(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 19/02 − 19/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の後端部を覆うリヤバンパフェイシャおよびリヤランプを備える車両の後部構造であって、
前記リヤバンパフェイシャの裏側に配置されるリヤバンパレインフォースメントと、
前記リヤバンパフェイシャの裏側、かつ、前記リヤランプの下方に設けられて上下方向に延びる補強部材とを備え、
前記補強部材は、前記リヤバンパフェイシャの裏面に沿って延びて当該リヤバンパフェイシャに加えられた荷重を受ける荷重受容部と、前記リヤバンパレインフォースメントの上端部から上方に離間した位置に設けられて、前記荷重受容部が荷重を受けるのに伴って下方に変位して前記リヤバンパレインフォースメントの上端部に当接する当接部とを備えることを特徴とする車両の後部構造。
【請求項2】
請求項1に記載の車両の後部構造において、
前記リヤバンパフェイシャは、リヤランプよりも後方に位置する本体部と、前記本体部から前方に突出して前記リヤランプの下部に沿って前方に延びる延出部とを有し、
前記荷重受容部は、前記リヤバンパフェイシャの延出部の裏側に沿って延びる第1受容部と、前記リヤバンパフェイシャの本体部に沿って延びる第2受容部とを備えることを特徴とする車両の後部構造。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車両の後部構造において、
前記補強部材は、当該補強部材の前方に配索されるワイヤハーネスを係止するためのハーネス係止部を備えることを特徴とする車両の後部構造。
【請求項4】
請求項3に記載の車両の後部構造において、
前記ワイヤハーネス係止部は、前記ワイヤハーネスを車幅方向に延びる姿勢で係止する第1係止部と、前記ワイヤハーネスを上下方向に延びる姿勢で係止する第2係止部とを有することを特徴とする車両の後部構造。
【請求項5】
請求項4に記載の車両の後部構造において、
前記第2係止部は、前記リヤバンパレインフォースメントよりも車幅方向外側の位置に設けられているとともに、当該リヤバンパレインフォースメントの上端よりも上方の位置からこの上端よりも下方の位置まで延びていることを特徴とする車両の後部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リヤバンパフェイシャを後端部に備える車両の後部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両の後端部には、リヤバンパフェイシャが設けられている。
【0003】
ここで、リヤバンパフェイシャは、衝撃を吸収可能なように比較的容易に変形するよう構成されている。しかしながら、リヤバンパフェイシャに運転者等が腰掛けた場合等において、この運転者等の荷重によりリヤバンパフェイシャが変形するのは好ましくない。
【0004】
これに対して、例えば、特許文献1には、リヤバンパフェイシャの裏側であって上下方向略中央に、リヤバンパフェイシャの裏面に沿って上下に延びる補強材が取り付けられたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−106977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1の構成では、補強材によりある程度リヤバンパフェイシャの変形は抑制されるが、その抑制効果は十分ではなく、特に運転者等が腰かけてリヤバンパフェイシャに下向きの荷重が加えられた際に、このリヤバンパフェイシャの変形を十分に抑制することができないという問題がある。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、リヤバンパフェイシャの変形をより確実に抑制することのできる車両の後部構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明は、車体の後端部を覆うリヤバンパフェイシャおよびリヤランプを備える車両の後部構造であって、前記リヤバンパフェイシャの裏側に配置されるリヤバンパレインフォースメントと、前記リヤバンパフェイシャの裏側、かつ、前記リヤランプの下方に設けられて上下方向に延びる補強部材とを備え、前記補強部材は、前記リヤバンパフェイシャの裏面に沿って延びて当該リヤバンパフェイシャに加えられた荷重を受ける荷重受容部と、前記リヤバンパレインフォースメントの上端部から上方に離間した位置に設けられて、前記荷重受容部が荷重を受けるのに伴って下方に変位して前記リヤバンパレインフォースメントの上端部に当接する当接部とを備えることを特徴とする車両の後部構造を提供する(請求項1)。
【0009】
本発明によれば、当接部がリヤバンパレインフォースメントと当接することにより、リヤバンパフェイシャの下方への変位が規制されるため、リヤバンパフェイシャの変形をより確実に抑制することができる。
【0010】
具体的には、この発明では、リヤバンパフェイシャに運転者等が腰かけて、これによりリヤバンパフェイシャに下向きの荷重が加えられると、この荷重が荷重受容部を介して補強部材に効果的に伝達される。そして、この荷重を受けて、リヤバンパフェイシャとともに補強部材は下方に変位するが、このとき、前記当接部がリヤバンパレインフォースメントの上端部に当接することで補強部材およびリヤバンパフェイシャの下方への移動を規制する。そのため、補強部材およびリヤバンパフェイシャの下方への変位を小さく抑えることができ、リヤバンパフェイシャの凹み等の変形を抑制することができる。
【0011】
本発明において、前記リヤバンパフェイシャは、リヤランプよりも後方に位置する本体部と、前記本体部から前方に突出して前記リヤランプの下部に沿って前方に延びる延出部とを有し、前記荷重受容部は、前記リヤバンパフェイシャの延出部の裏側に沿って延びる第1受容部と、前記リヤバンパフェイシャの本体部に沿って延びる第2受容部とを備えるのが好ましい(請求項2)。
【0012】
このようにすれば、補強部材は、第1受容部と第2受容部とによって、リヤバンパフェイシャに加えられた荷重を効果的に受け止めて、この荷重に応じて、前記当接部と前記リヤバンパレインフォースメントの上端部をより確実に当接させることができ、リヤバンパフェイシャの変形をより確実に抑制することができる。
【0013】
また、本発明において、前記補強部材は、当該補強部材の前方に配索されるワイヤハーネスを係止するためのハーネス係止部を備えるのが好ましい(請求項3)。
【0014】
この構成によれば、ワイヤハーネスを補強部材の前方に係止してワイヤハーネスを補強部材により保護することができるとともに、ハーネス係止部を別途設ける場合に比べて、構造を簡素化することができる。
【0015】
前記構成において、前記ワイヤハーネス係止部は、前記ワイヤハーネスを車幅方向に延びる姿勢で係止する第1係止部と、前記ワイヤハーネスを上下方向に延びる姿勢で係止する第2係止部とを有するのが好ましい(請求項4)。
【0016】
このようにすれば、補強部材によってリヤバンパフェイシャの変形を抑制しつつワイヤハーネスを係止することができる。そして、この補強部材の第1係止部と第2係止部とによって、補強部材の前方において車幅方向に配索されたワイヤハーネスの向きを上下方向に変えることができ、ワイヤハーネスの配索構造を簡素化することができる。
【0017】
前記構成において、前記ワイヤハーネス係止部は、前記ワイヤハーネスを車幅方向に延びる姿勢で係止する第1係止部と、前記ワイヤハーネスを上下方向に延びる姿勢で係止する第2係止部とを有するのが好ましい(請求項5)。
【0018】
このようにすれば、ワイヤハーネスをより下方まで案内することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明によれば、リヤバンパフェイシャの変形をより確実に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の車両の後部構造が適用される車両1の後部を示した概略図である。
図2図1に示す状態からリヤバンパフェイシャを外した状態の概略図である。
図3図2に示す状態から、リヤコンビネーションランプを取り外した状態の図である。
図4図3に対応する概略平面図である。
図5図4に対応する概略背面図である。
図6図5の一部を拡大して示す図である。
図7図3の一部を拡大して示す図である。
図8図3の一部を拡大して示す図である。
図9図1のIX−IX線断面図である。
図10図1のX−X線断面図である。
図11図1のXI−XI線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1は、本発明の車両の後部構造が適用される車両1の後部を示した概略図である。
【0023】
車両1の後部には、その外表面を構成する左右一対のアウタパネル3,3とリヤバンパフェイシャ4とが設けられている。アウタパネル3は、車両1の側部の外表面を構成しており、車両側部において前後方向に延びている。リヤバンパフェイシャ4は、車両1の後側面を構成しており、これらアウタパネル3、3の後方において車幅方向に延びている。
【0024】
図2は、図1に示す状態からリヤバンパフェイシャ4を取り外した状態の図である。リヤバンパフェイシャ4は、車体の後端部を後方から覆っており、リヤバンパフェイシャ4の前方には、上下および車幅方向に延びて車体の後面を構成するリヤエンドパネル7や、リヤエンドパネル7の後方に配設されるリヤバンパレインフォースメント10等が配設されている。リヤバンパレインフォースメント10は、リ車体の後端部の下端付近、図2に示す例ではリヤエンドパネル7の後端部付近、において車幅方向に延びている。
【0025】
また、車両1の後部には、トランクリッド2aにより開閉されるトランクルーム2が形成されている。トランクルーム2は、上方にのみ開口しており、この開口部の周囲には、閉じられた状態におけるトランクリッド2aの下面と対向する面が確保されている。具体的には、トランクルーム2の開口部の車幅方向両外側には前後方向に延びるトランクパネル6,6が配設されている。トランクパネル6,6は、トランクルーム2の開口縁とアウタパネル3との間に設けられている。トランクルーム2の開口部の後側には、リヤエンドパネル7の上端部が配設されている。リヤエンドパネル7の上端部はトランクパネル6,6間にわたって車幅方向に延びている。すなわち、リヤエンドパネル7は、上方に延びた後その上端部において前方に折り曲げられており、この上端部がトランクパネル6,6間に配設されている。
【0026】
リヤエンドパネル7の車幅方向両外側であって、トランクパネル6、6およびアウタパネル3、3の下方には、それぞれリヤコンビネーションランプ(リヤランプ)5,5が配設されている。
【0027】
図3は、図2に示す状態からリヤコンビネーションランプ5を取り外した状態の図である。図4は、図3に対応する平面図である。図5は、図3に対応する背面図である。
【0028】
トランクパネル6、6およびアウタパネル3、3の下方には、これらパネル6,3の後縁から下方に延びてリヤコンビネーションランプ5、5が配設されるランプパネル9、9がそれぞれ設けられている。ランプパネル9は、トランクパネル6およびアウタパネル3の後縁から下方に延びているとともに、リヤエンドパネル7の車幅方向外側縁の上部から車幅方向外側に延びている。ランプパネル9には、前方に突出する(前方に凹む)ランプ収容部9aが形成されている。リヤコンビネーションランプ5は、このランプ収容部9a内に収容されている。ランプ収容部9aは、その内側面がリヤコンビネーションランプ5の外側面に沿って延びるように凹んでいる。
【0029】
本実施形態では、リヤコンビネーションランプ5のうち車幅方向内側部分に設けられた第1ランプ5aのレンズは略円形形状を有し、車幅方向外側部分に設けられた第2ランプ5bのレンズは車幅方向に延びる略四角形状を有している。そして、リヤコンビネーションランプ5は、これらレンズから前方に延びている。これに伴い、ランプ収容部9aは、車幅方向内側において略半球状を有し、この略半球状の部分から車幅方向外側に延びている。
【0030】
リヤバンパフェイシャ4の詳細構造について説明する。
【0031】
リヤバンパフェイシャ4は、トランクルーム2の開口部の後縁から後方に延びてリヤエンドパネル7の上端部を上方から覆う上端部4aと、この上端部4aの後縁から下方に延びてリヤコンビネーションランプ5の後方においてアウタパネル3、3の車幅方向外側縁間にわたって車幅方向に延びる本体部4bと、本体部4bから前方に突出してリヤコンビネーションランプ5の下部に沿って延びるランプ受け部(延出部)4cとを有する。
【0032】
図1のIX−IX線断面図である図9等に示すように、リヤバンパフェイシャ4の本体部4bの上部4dは、下斜め後方に傾斜している。そして、この本体部4bの下部4eは、上部4dの下縁から、緩やかに下斜め前方に傾斜している。このように、本実施形態では、リヤバンパフェイシャ4の本体部4bは、その上下中央において後方にわずかに膨出している。
【0033】
図1のX−X線断面図である図10およびXI−XI線断面図である図11等に示すように、ランプ受け部4cは、リヤコンビネーションランプ5とランプ収容部9aの底面との間において前後方向に延びている。また、図1に示すように、ランプ受け部4cは、リヤコンビネーションランプ5の内側端部から、リヤコンビネーションランプ5の下方を通って、リヤコンビネーションランプ5の車幅方向外側端部まで延びている。すなわち、ランプ受け部4cは、車幅方向について、リヤコンビネーションランプ5の全体にわたって延びている。また、ランプ受け部4cは、リヤコンビネーションランプ5の下部に対応した形状を有している。具体的には、ランプ受け部4cは、その車幅方向内側部分において下方に膨出し、その車幅方向外側部分において略水平に延びている。
【0034】
本実施形態では、図1図10等に示すように、ランプ受け部4cは、リヤコンビネーションランプ5のレンズすなわち後側面よりも後方の位置まで延び出ている。特に、ランプ受け部4cのうち第1ランプの下方の部分は、比較的長く後方に延出している。
【0035】
ここで、リヤバンパフェイシャ4は、車両後突時等に加えられる衝撃を緩和する機能を有しており、衝撃を吸収可能なように比較的容易に変形できるよう構成されている。しかしながら、リヤバンパフェイシャ4に比較的小さい荷重が下向きに加えられた際に、この荷重によってリヤバンパフェイシャ4が下方に凹むのは好ましくない。具体的には、駐車時において乗員等がリヤバンパフェイシャ4に腰かける場合や荷物を仮置きする場合がある。特に、前記のように、リヤバンパフェイシャ4のランプ受け部4cが、リヤコンビネーションランプ5よりも後方に延出している場合では、このランプ受け部4cの周囲に乗員が腰かける場合があるが、この場合にリヤバンパフェイシャ4が下方に凹むのは好ましくない。
【0036】
これに対して、本実施形態では、リヤバンパフェイシャ4が、乗員の荷重等比較的小さい荷重を受けた際に凹むのを抑制するべく、リヤバンパフェイシャ4の裏側、かつ、リヤコンビネーションランプ5の下方に、上下方向に延びるセットプレート(補強部材)30を設けている。セットプレート30はランプパネル9とリヤバンパフェイシャ4との間に設けられており、セットプレート30は、ランプパネル9等に固定されている。セットプレート30は、例えば、樹脂製である。
【0037】
セットプレート30の詳細について次に説明する。図6は、図5の一部を拡大して示す図である。図7および図8は、それぞれ図3の一部を拡大して示す図である。ここで、図6に示したIX,X,XI線は、それぞれ図1に示すIX,X,XI線と対応する線である。
【0038】
セットプレート30は、互いに一体に成形された、第1荷重受容部(第1受容部、荷重受容部)31と、第2荷重受容部(第2受容部、荷重受容部)39と、第1ハーネス係止用突出部(突出部)34と、第2ハーネス係止用突出部35と、セットプレート延出部36とを有する。
【0039】
第1荷重受容部31は、リヤバンパフェイシャ4のランプ受け部4cの裏面(下面)に沿って前後および車幅方向に延びている。第1荷重受容部31は、ランプ受け部4cの裏面のほぼ全体に沿って延びている。第1荷重受容部31は、ランプ受け部4cの形状に対応して、リヤコンビネーションランプ5の車幅方向内側端部から車幅方向外側端部まで延びている。また、第1荷重受容部31は、ランプ受け部4cに沿うように、その車幅方向内側部分において下方に膨出し、その車幅方向外側部分において略水平に延びている。第1荷重受容部31は、その表面(上面)がランプ受け部4cの裏面に当接した状態で、この裏面の下方に配設されている。
【0040】
第2荷重受容部39は、第1荷重受容部31の後縁に沿って、下方および車幅方向内側に延びている。第2荷重受容部39は、リヤバンパフェイシャ4の本体部4bのうちランプ受け部4cから下方に延びる部分の裏面(前面)に沿って前後および車幅方向に延びている。第2荷重受容部39は、車幅方向に互いに離間する、内側荷重受容部32と、外側荷重受容部33とからなる。
【0041】
内側荷重受容部32は、車幅方向について、第1荷重受容部31の下方に膨出する部分の下端付近よりも車幅方向内側の領域に設けられており、リヤバンパフェイシャ4の本体部4bのうち第1ランプ5aの車幅方向内側および下側部分の周囲に配置される部分に沿って延びている。
【0042】
内側荷重受容部32は、第1荷重受容部31の後縁の車幅方向内側端部からこの第1荷重受容部31の後縁に沿って湾曲しつつ下方および車幅方向外側に延びた後、第1荷重受容部31の下端部(第1ランプ5aの下端部に対応する位置)付近から下方に延び、さらに、その下端部において車幅方向外側に延出している。
【0043】
外側荷重受容部33は、車幅方向について、第1荷重受容部31の下方に膨出する部分の下端付近であって第2荷重受容部32の上縁の車幅方向外側端よりも車幅方向に離間した位置から、車幅方向外側の領域に設けられており、リヤバンパフェイシャ4の本体部4bのうち第1ランプ5aの車幅方向外側および下側部分と第2ランプ5bの下方に配置される部分に沿って延びている。
【0044】
外側荷重受容部33は、第1荷重受容部31の後縁の車幅方向外側端部からこの第1荷重受容部31の後縁に沿って略水平に車幅方向内側に向かって延びた後、この第1荷重受容部31の後縁に沿って湾曲しつつ下方および車幅方向内側に延びている。外側荷重受容部33の上下方向の幅は、車幅方向内側の方が大きくなるように設定されている。
【0045】
第1ハーネス係止用突出部34は、内側荷重受容部32と、外側荷重受容部33との間に、これらおよび第1荷重受容部31に連続する状態で設けられている。この第1ハーネス係止用突出部34は、内側荷重受容部32および外側荷重受容部33よりも前方に突出している。
【0046】
具体的には、第1ハーネス係止用突出部34は、内側荷重受容部32の車幅方向外側縁から前方に突出する第1側壁34aと、外側荷重受容部33の車幅方向内側縁から前方に突出する第2側壁34bと、これら側壁34a、34bの前縁間にわたって上下および車幅方向に延びる底壁34cとを有する。ここで、これら側壁34a、34bと底壁34cとは、それぞれ、第1荷重受容部31と連続している。具体的には、第1荷重受容部31の内側荷重受容部32と外側荷重受容部33との間の部分は、前方に切り欠かれており、側壁34a、34bと底壁34cとは、この切り欠かれた部分から下方に延びている。
【0047】
第1ハーネス係止用突出部34の底壁34cの裏面(前面)には、ワイヤハーネスを係止するための第1ハーネス係止部(第1係止部、ワイヤハーネス係止部)51が固定されている。この第1ハーネス係止部51は、リヤバンパフェイシャ4の裏側に配索されるワイヤハーネスを車幅方向に延びる姿勢で係止する。具体的には、図9等に示すように、第1ハーネス係止部51は、内側に車幅方向に延びる貫通孔が形成された筒状部材であり、ワイヤハーネスは、この第1ハーネス係止部51の貫通孔に挿通されることで、車幅方向に延びる姿勢で係止される。
【0048】
このように、本車両1では、ワイヤハーネスをセットプレート30の前方に配策、係止することができるため、セットプレート30によりワイヤハーネスを保護することができる。特に、この車両1では、セットプレート30の後端面(第1荷重受容部39)よりも前方に突出する第1ハーネス係止用突出部34の底壁34cの裏面(前面)においてワイヤハーネスが係止されている。そのため、ワイヤハーネスをリヤバンパフェイシャ4からより離間した位置に配策することができ、ワイヤハーネスをより確実に保護することができる。また、ワイヤハーネスを係止するために他の部材を設ける場合に比べて、構造を簡素化することができる。
【0049】
第2ハーネス係止用突出部35は、内側荷重受容部32の車幅方向外側および外側荷重受容部33の下方に、外側荷重受容部33および第1ハーネス係止用突出部34に連続する状態で設けられている。この第2ハーネス係止用突出部35も、第1ハーネス係止用突出部34と同様に、内側荷重受容部32および外側荷重受容部33よりも前方に突出している。
【0050】
具体的には、第2ハーネス係止用突出部35は、内側荷重受容部32の下縁から前方に突出する第3側壁35dと、この第3側壁35dの車幅方向両縁からそれぞれ下方に延びる第4側壁35aおよび第5側壁35bと、これら第4側壁35aと第5側壁35bの下縁間にわたって略水平に延びる第6側壁(当接部)35cと、これら側壁35a、35b、35c、35dの前縁で囲まれた上下および車幅方向に延びる底壁35eとを有する。ここで、車幅方向内側に配設された第4側壁35aは、第1ハーネス係止用突出部34の第1側壁34aからこれに連続して下方に延びている。
【0051】
この第2ハーネス係止用突出部35の第6側壁35cは、セットプレート30が下方に変位した状態で、その車幅方向内側部分がリヤバンパレインフォースメント10の上端に上方から当接可能なように構成されている。
【0052】
具体的には、第6側壁35cは、リヤバンパレインフォースメント10の上方において、リヤバンパレインフォースメント10の車幅方向外側端部よりも車幅方向内側の部分から車幅方向外側に延びており、この第6側壁35cの車幅方向内側部分が、リヤバンパレインフォースメント10と当接可能となっている。第6側壁35cは、セットプレート30が変位していない状態において、リヤバンパレインフォースメント10から上方にわずかに離間した位置において、略水平に延びている。この離間距離は、セットプレート30ひいてはリヤバンパフェイシャ4の許容される変位量と同等の値に設定されており、例えば5mmに設定されている。セットプレート30が下方に変位した場合において、この変位量が前記離間距離となると、この第6側壁35cがリヤバンパレインフォースメント10に当接し、これによりセットプレート30のさらなる下方への変位は規制される。
【0053】
第2ハーネス係止用突出部35の底壁35eの裏面(前面)には、ハーネスを係止するための第2ハーネス係止部(第2係止部、ワイヤハーネス係止部)52が固定されている。この第2ハーネス係止部52は、セットプレート30の前方において、ハーネスを上下方向に延びる姿勢で係止する。具体的には、第2ハーネス係止部52は、内側に車幅方向に延びる貫通孔が形成された上下に延びる筒状部材であり、ハーネスは、この第2ハーネス係止部52の貫通孔に挿通されることで、上下に延びる姿勢で係止される。
【0054】
第2ハーネス係止部52は、第1ハーネス係止部51よりも後方および車幅方向外側に設けられている。従って、第1ハーネス係止部51により略水平に延びる姿勢で係止されたハーネスをこの第2ハーネス係止部52で係止することで、ハーネスを車幅方向外側に向かって略水平に案内した後、下方に案内することができる。
【0055】
このように、本車両1では、ワイヤハーネスをこの第2ハーネス係止部52によって係止することによっても、ワイヤハーネスをセットプレート30により保護することができる。特に、第2ハーネス係止部52が前方に突出する第2ハーネス係止用突出部35の底壁35eの裏面に設けられていることで、第1ハーネス係止部51の場合と同様に、ハーネスをリヤバンパフェイシャ4からより離間した位置に配策、係止することができ、ワイヤハーネスをより確実に保護することができる。
【0056】
また、前記第1ハーネス係止部51と第2ハーネス係止部52とによって同じワイヤハーネスを係止した場合には、ワイヤハーネスの向きを円滑に変更することができる。すなわち、第1ハーネス係止部51において車幅方向に延びる姿勢で係止されたワイヤハーネスを、第2ハーネス係止部52により係止することで、その向きを下向きに変更することができる。
【0057】
例えば、図2等に示すように、フォグランプ用のワイヤハーネス20を、車両1の前部から、車幅方向一方側のランプパネル9の後方に延設した後、車両1の車幅方向他方側の下端部に設けられたフォグランプ(不図示)に向けて配策する場合に、このワイヤハーネス20を第1ハーネス係止部51および第2ハーネス係止部52により係止すれば、このワイヤハーネス20の向きを、セットプレート30の前方において、車幅方向外向きから下向きに変更することができる。
【0058】
セットプレート延出部36は、第2ハーネス係止用突出部35の車幅方向外側部分から下方に延びている。具体的には、第2ハーネス係止用突出部35の第6側壁35cの車幅方向外側部分は前方に切り欠かれており、この切り欠かれた部分から下方にセットプレート延出部36が延びている。
【0059】
セットプレート延出部36は、第6側壁35cの車幅方向外側部分の後縁から下方に延びる底壁36eと、この底壁36eの車幅方向外側縁から後方に延びる第7側壁36bと、底壁36eの車幅方向内側縁から後方に延びる第8側壁36aとを有する。第7側壁36bは、第2ハーネス係止用突出部35の第4側壁35bからこれに連続して下方に延びている。第8側壁36aは、第6側壁35cの切り欠かれた部分の車幅方向外側縁からこれに連続して下方に延びている。
【0060】
セットプレート延出部36は、リヤバンパレインフォースメント10の上端付近から下方に延びている。第2ハーネス係止部52は、このセットプレート延出部36の前方まで延びている。従って、第2ハーネス係止部52に係止されるハーネス20はこのセットプレート延出部36により保護されつつ、第2ハーネス係止部52によってリヤバンパレインフォースメント10の上端部よりも下方の位置まで案内される。このように、本車両1では、ワイヤハーネスをセットプレート30により保護しつつより下方の位置まで案内することができる。
【0061】
以上のように構成された車両1では、リヤバンパフェイシャ4に乗員等が腰かける、あるいは、荷物が仮置きされて、リヤバンパフェイシャ4に下向きの荷重が加えられると、この荷重は第1荷重受容部31および第2荷重受容部39を介してセットプレート30に伝達される。この荷重が所定値以上の場合には、リヤバンパフェイシャ4およびセットプレート30は下方に変位するが、この変位量が所定値となると、第6側壁35cの車幅方向内側部分がリヤバンパレインフォースメント10に当接して、セットプレート30およびリヤバンパフェイシャ4の下方への変位を規制する。従って、この車両1では、セットプレート30およびリヤバンパフェイシャ4の過剰な下方への変位は回避され、乗員等が腰かけたこと等によりリヤバンパフェイシャ4が凹むのが回避される。
【0062】
特に、この車両1では、セットプレート30が、乗員等が腰かける機会の多いリヤコンビネーションランプ5の下方に配設されているため、乗員等が腰かけることによるリヤバンパフェイシャ4の凹みを抑制することができる。
【0063】
ここで、前記実施形態では、リヤバンパフェイシャ4の本体部4bの裏面に沿って延びる第2荷重受容部39を設けるとともに、リヤバンパフェイシャ4の本体部4bからリヤコンビネーションランプ5の下端部に沿って前方に延出するランプ受け部4cの裏面に、この裏面に沿って延びる第1荷重受容部31を設けた場合について説明したが、第1荷重受容部31は、省略可能である。
【0064】
ただし、前記実施形態のように、ランプ受け部4cの裏面に沿って前後に延びる第1荷重受容部31を設ければ、リヤバンパフェイシャ4に加えられた下向きの荷重をより効果的にセットプレート30に伝達することができる。特に、ランプ受け部4cがリヤコンビネーションランプ5のレンズよりも後方に延出している場合には、このランプ受け部4cに乗員等が腰かける場合が多いため、第1荷重受容部31によって、この乗員等の荷重を確実に受け止めることができる。
【0065】
また、前記実施形態では、前記セットプレート30に第1ハーネス係止部51および第2ハーネス係止部52を設けた場合について説明したが、これらハーネス係止部51、52は省略可能である。
【0066】
ただし、前記実施形態のようにセットプレート30にこれらハーネス係止部51、52を設ければ、セットプレート30によって、リヤバンパフェイシャ4の変形を抑制しつつハーネスの係止およびハーネスの保護を実現することができる
特に、前記実施形態のように、セットプレート30に、ハーネスを車幅方向に延びる姿勢で係止する第1ハーネス係止部51と、ハーネスを上下方向に延びる姿勢で係止する第2ハーネス係止部52とを設けるとともに、第2ハーネス係止部52を、第1ハーネス係止部51よりも車幅方向外側に配設すれば、ハーネスの向きをセットプレート30の前方において車幅方向外側向きから下向きに変更することができ、ハーネスの配策構造を簡素化することができる。
【0067】
また、前記実施形態のように、第2ハーネス係止部52を、リヤバンパレインフォースメント10よりも車幅方向外側において、このリヤバンパレインフォースメント10の上端よりも下方の位置まで延びるよう構成すれば、より下方の位置までハーネスを案内することができる。
【0068】
さらに、前記実施形態のように、セットプレート30に、リヤバンパレインフォースメント10よりも車幅方向外側において、このリヤバンパレインフォースメント10の上端よりも下方の位置まで延び、第2ハーネス係止部52の後方を覆うセットプレート延出部36を設ければ、この第2ハーネス係止部52に係止されるハーネスをより確実に保護することができる。
【符号の説明】
【0069】
4 リヤバンパフェイシャ
5 リヤコンビネーションランプ(リヤランプ)
10 リヤバンパレインフォースメント
30 セットプレート(補強部材)
31 第1荷重受容部(荷重受容部、第1受容部)
39 第2荷重受容部(荷重受容部、第2受容部)
35c 第6側壁(当接部)
51 第1ハーネス係止部(ワイヤハーネス係止部、第1係止部)
52 第2ハーネス係止部(第2係止部、ワイヤハーネス係止部)
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