特許第6052215号(P6052215)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱電機株式会社の特許一覧
<>
  • 特許6052215-蓄熱装置 図000002
  • 特許6052215-蓄熱装置 図000003
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6052215
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】蓄熱装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 1/18 20060101AFI20161219BHJP
   F24H 1/00 20060101ALI20161219BHJP
   F25B 27/00 20060101ALI20161219BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   F24H1/18 D
   F24H1/00 621G
   F24H1/00 621E
   F25B27/00 H
   F25B1/00 399Y
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-59849(P2014-59849)
(22)【出願日】2014年3月24日
(65)【公開番号】特開2015-183911(P2015-183911A)
(43)【公開日】2015年10月22日
【審査請求日】2016年1月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100115543
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 康男
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 信
【審査官】 柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−151329(JP,A)
【文献】 特開2010−181079(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/18
F24H 1/00
F25B 1/00
F25B 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側が高温で下側が低温の温度成層を形成して液体を貯留する蓄熱槽と、
液体を加熱するヒートポンプ加熱手段と、
太陽熱で液体を加熱する太陽熱加熱手段と、
前記蓄熱槽の下部から取り出した液体を前記ヒートポンプ加熱手段へ送る下部送り経路と、
液体を前記ヒートポンプ加熱手段から前記蓄熱槽の上部と下部との間の高さの位置へ戻す中部戻し経路と、
前記蓄熱槽の上部と下部との間の高さの位置から取り出した液体を前記太陽熱加熱手段へ送る中部送り経路と、
液体を前記太陽熱加熱手段から前記蓄熱槽の上部へ戻す上部戻し経路と、
を備える蓄熱装置。
【請求項2】
前記中部戻し経路と前記蓄熱槽との接続位置が、前記中部送り経路と前記蓄熱槽との接続位置より低い位置にある請求項1に記載の蓄熱装置。
【請求項3】
前記中部送り経路と前記蓄熱槽との接続位置より低い位置にて前記蓄熱槽に取り付けられた温度センサを備え、
前記温度センサで検知された温度に基づいて、前記ヒートポンプ加熱手段による蓄熱運転を開始させる請求項1または請求項2に記載の蓄熱装置。
【請求項4】
前記ヒートポンプ加熱手段の蒸発器の蒸発温度に応じて、前記ヒートポンプ加熱手段から出る液体の温度を変化させる請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の蓄熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ヒートポンプサイクルと太陽熱集熱器とを組み合わせた給湯装置が提案されている。下記特許文献1には、貯湯タンク内の残湯量が少なく、かつ、太陽熱集熱器の表面温度が高い場合、ヒートポンプ回路で加熱した湯を高温用太陽熱集熱器に流入させ貯湯する貯湯運転を行う装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5187184号公報(図2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示された装置では、ヒートポンプが停止している場合には、貯湯タンクの下部から取り出される低温水を太陽熱集熱器で加熱することになり、太陽エネルギーを有効に利用することができない。また、水回路の流路切替弁(第1三方弁58、第2三方弁60、第3三方弁86、第4三方弁87等)を多数必要とし、水回路構成が複雑で、機器コストが増大する。
【0005】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、単純な水回路構成で、太陽エネルギーを有効に利用できる蓄熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る蓄熱装置は、上側が高温で下側が低温の温度成層を形成して液体を貯留する蓄熱槽と、液体を加熱するヒートポンプ加熱手段と、太陽熱で液体を加熱する太陽熱加熱手段と、蓄熱槽の下部から取り出した液体をヒートポンプ加熱手段へ送る下部送り経路と、液体をヒートポンプ加熱手段から蓄熱槽の上部と下部との間の高さの位置へ戻す中部戻し経路と、蓄熱槽の上部と下部との間の高さの位置から取り出した液体を太陽熱加熱手段へ送る中部送り経路と、液体を太陽熱加熱手段から蓄熱槽の上部へ戻す上部戻し経路と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、単純な水回路構成で、太陽エネルギーを有効に利用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態1の蓄熱装置を示す構成図である。
図2】ヒートポンプユニットの加熱温度と、太陽光発電電力で駆動されたヒートポンプユニットの太陽エネルギー利用効率と、太陽熱集熱器の太陽エネルギー利用効率との関係を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1の蓄熱装置を示す構成図である。図1に示すように、本実施の形態1の蓄熱装置は、貯湯ユニット1と、ヒートポンプユニット2と、太陽熱集熱器3とを備える。貯湯ユニット1には、蓄熱槽6(貯湯タンク)が内蔵されている。蓄熱槽6は、上側が高温で下側が低温の温度成層を形成して液体(本実施の形態1では水)を貯留する。蓄熱槽6は、水の密度差による温度成層ができるように鉛直方向に長い形状となっている。なお、本発明では、水以外の液体(例えば、不凍液、ブラインなど)を蓄熱槽6に貯留しても良い。
【0010】
蓄熱槽6の下部には給水配管4が接続されている。水道等の水源から供給される低温水が給水配管4を通って蓄熱槽6の下部に流入する。蓄熱槽6の上部には給湯配管5が接続されている。給湯要求が発生した場合には蓄熱槽6の上部の高温水が給湯配管5を通って負荷側へ供給される。このとき、給水配管4からの低温水が蓄熱槽6の下部に流入することで、蓄熱槽6は満水状態に維持される。なお、本発明では、蓄熱槽6に貯留された液体を給湯配管5により暖房機器等へ送り、暖房機器等を通過した液体が給水配管4を通って蓄熱槽6に戻るように構成しても良い。
【0011】
ヒートポンプユニット2は、液体(水)を加熱するヒートポンプ加熱手段である。ヒートポンプユニット2は、圧縮機13、温水熱交換器14、膨張弁15及び蒸発器16が冷媒配管により順次接続された冷凍サイクル回路を有する。蒸発器16には、外気と冷媒との熱交換量を調整するための送風機17が設置されている。ヒートポンプユニット2の冷凍サイクル回路は、蒸発器16によって外気から採熱し、温水熱交換器14で水を加熱する運転を行う。
【0012】
蓄熱槽6の下部と、温水熱交換器14の水入口とは、下部送り経路26を介して接続されている。蓄熱槽6の上部と下部との間の高さの位置と、温水熱交換器14の水出口とは、中部戻し経路27を介して接続されている。中部戻し経路27の途中には、水ポンプ7が配置されている。
【0013】
太陽熱集熱器3は、太陽熱で液体(水)を加熱する太陽熱加熱手段である。蓄熱槽6の上部と下部との間の高さの位置と、太陽熱集熱器3の水入口とは、中部送り経路28を介して接続されている。中部送り経路28の途中には、水ポンプ8が配置されている。蓄熱槽6の上部と、太陽熱集熱器3の水出口とは、上部戻し経路29を介して接続されている。本実施の形態1では、上部戻し経路29は、蓄熱槽6の頂部20に接続されている。
【0014】
蓄熱槽6には、温度センサ9及び温度センサ10が取り付けられている。温度センサ9は、中部送り経路28と蓄熱槽6との接続位置12より低い位置に取り付けられている。温度センサ10は、接続位置12より高い位置に取り付けられている。
【0015】
ヒートポンプユニット2は、太陽光発電パネル22(太陽光発電手段)により発電された電力で稼動できる。太陽光発電パネル22は、パワーコンディショナ23に接続されている。パワーコンディショナ23は、系統電力線24に接続されている。また、パワーコンディショナ23は、ヒートポンプユニット電力線25を介してヒートポンプユニット2に接続されている。パワーコンディショナ23では、太陽光発電パネル22で発電された電力を、系統電力線24を介して系統電力に売却するか、ヒートポンプユニット電力線25を介してヒートポンプユニット2へ給電するかを、選択できるようになっている。ヒートポンプユニット2は、系統電力線24から供給される電力で稼動することもできる。
【0016】
本実施の形態1の蓄熱装置は、制御部50を備える。制御部50は、例えばマイクロコンピュータ等により構成され、ROM、RAM、不揮発性メモリ等を含む記憶部と、記憶部に記憶されたプログラムに基いて演算処理を実行する演算処理装置(CPU)と、演算処理装置に対して外部の信号を入出力する入出力ポートとを備える。制御部50は、蓄熱装置の各種のアクチュエータ及びセンサにそれぞれ接続される。蓄熱装置の運転動作は、制御部50により制御される。
【0017】
次に、本実施の形態1の蓄熱装置の運転動作について説明する。給湯要求が発生し、蓄熱槽6内の高温水が給湯配管5へ供給されると、給水配管4からの低温水(例えば10℃)が蓄熱槽6の下部に流入する。温度センサ9は、最低必要貯湯量を検知する温度センサである。制御部50は、温度センサ9で検知される温度が所定温度(例えば40℃)以下になった場合には、貯湯量が不足している判断し、ヒートポンプユニット2を用いた蓄熱運転(以下、「ヒートポンプ蓄熱運転」と称する)を開始させる。
【0018】
ヒートポンプ蓄熱運転では、圧縮機13が稼働し、蒸発器16で外気から受熱して蒸発した冷媒が圧縮機13で圧縮され、高温高圧になった冷媒が温水熱交換器14に送られる。また、水ポンプ7が稼動することで、蓄熱槽6と下部送り経路26との接続位置21から取り出された低温水が温水熱交換器14に送られる。温水熱交換器14では、高温高圧の冷媒と、水とが熱交換し、水が加熱される。温水熱交換器14で加熱された水は、蓄熱槽6と中部戻し経路27との接続位置11から蓄熱槽6に流入する。このようなヒートポンプ蓄熱運転により、蓄熱槽6内では、ヒートポンプユニット2の温水熱交換器14で加熱された水の層が、接続位置11から下方へ向かって拡大していく。
【0019】
太陽熱集熱器3の水出口側には、温度センサ18が設けられている。制御部50は、温度センサ18で検知される温度に基づいて、日射があるかどうかを判断する。制御部50は、温度センサ18で検知される温度が所定温度(例えば70℃)以上になった場合には、日射があると判断し、太陽熱集熱運転を開始する。太陽熱集熱運転では、水ポンプ8が稼動することで、蓄熱槽6と中部送り経路28との接続位置12から取り出された水が太陽熱集熱器3へ送られる。太陽熱集熱器3で加熱された水は、頂部20から蓄熱槽6に流入する。このような太陽熱集熱運転により、蓄熱槽6内では、太陽熱集熱器3で加熱された水の層が頂部20から下方へ向かって拡大していき、接続位置12より上の範囲に貯留される。太陽熱集熱器3は、外気温度及び入水温度の影響をほとんど受けずに、日射量の60%程度の熱量を温水加熱に利用できる。日射がある場合には常に太陽熱集熱運転を行うことが好ましい。
【0020】
温度センサ10は、太陽熱集熱器3によって昇温された領域を代表する上部貯湯温度を検知する。晴天日においては、この上部貯湯温度が例えば70℃程度まで昇温され、蓄熱槽6に蓄熱されている熱量が大きくなる。このように、太陽熱集熱運転による蓄熱量が大きい場合には、ヒートポンプ蓄熱運転による蓄熱量は比較的小さくて良い。このため、制御部50は、太陽熱集熱運転による蓄熱量が大きい場合には、ヒートポンプ蓄熱運転を終了するときの温度センサ9の検知温度を、比較的低い温度(例えば45℃程度)にする。
【0021】
曇天日が継続するなど、太陽熱集熱器3の集熱量が低い場合には、太陽熱集熱運転による蓄熱量が小さくなる。太陽熱集熱運転による蓄熱量が小さい場合には、蓄熱槽6の全蓄熱量を必要量以上にするため、ヒートポンプ蓄熱運転による蓄熱量を比較的大きくする。この場合、制御部50は、ヒートポンプ蓄熱運転を終了するときの温度センサ9の検知温度を、比較的高い温度(例えば55℃程度)にする。
【0022】
蓄熱槽6内の高温水が給湯配管5へ供給されることで、蓄熱槽6内に貯えられたヒートポンプユニット2で加熱された水の層が上方へ移動する。これにより、蓄熱槽6内に貯えられたヒートポンプユニット2で加熱された水の層が接続位置12に接する。よって、太陽熱集熱運転では、蓄熱槽6内に貯えられたヒートポンプユニット2で加熱された水が接続位置12から中部送り経路28へ取り出されて太陽熱集熱器3で加熱される。
【0023】
太陽熱集熱器3は、入水温度によらず、太陽から集熱した熱エネルギーをそのまま温水加熱に利用できる。このため、低温水を太陽熱集熱器3で加熱して中温水を生成するよりも、中温水を太陽熱集熱器3で加熱して高温水を生成する方が、得られるエクセルギーが大きい。すなわち、太陽熱集熱器3への入水温度が高い方が、得られるエクセルギーが大きい。本実施の形態1では、蓄熱槽6内に貯えられたヒートポンプユニット2で加熱された水(中温水)を太陽熱集熱器3で加熱して高温水を生成することができるので、得られるエクセルギーが大きくなり、太陽エネルギーをより有効に利用できる。なお、太陽熱集熱器3で高温水を生成する上では、太陽熱集熱器3からの放熱ロスを低減するため、太陽熱集熱器3を断熱性の高い構造にすることが望ましい。
【0024】
蓄熱槽6に貯留する温水をできるだけ高温にした方が蓄熱槽6の小型化が可能になる。本実施の形態1では、ヒートポンプユニット2で加熱された水(例えば50℃)を太陽熱集熱器3で加熱して高温水(例えば70℃)を生成することができるので、蓄熱槽6の蓄熱密度を大きくでき、蓄熱槽6の小型化が可能になる。これに対し、太陽熱で低温水から高温水まで加熱する場合には、得られる高温水の量が少なく、蓄熱槽6の蓄熱密度を大きくできない。
【0025】
本実施の形態1では、ヒートポンプユニット2が停止した状態であっても、蓄熱槽6内に貯えられたヒートポンプユニット2で加熱された水を太陽熱集熱器3に供給できる。このため、太陽熱集熱運転の際に、ヒートポンプユニット2が停止した状態であっても、太陽熱集熱器3への入水温度を高くできる。また、本実施の形態1では、水回路が流路切替弁等で複雑な構成になることを抑制でき、単純な水回路構成で、太陽エネルギーを有効に利用できる。
【0026】
ヒートポンプユニット2から出る水の温度すなわちヒートポンプユニット2の加熱温度が低いほど、ヒートポンプユニット2の効率は高い。本実施の形態1では、ヒートポンプユニット2で加熱された水を太陽熱集熱器3でさらに加熱するので、ヒートポンプユニット2の加熱温度は比較的低くて良い。このため、ヒートポンプユニット2の効率を高くできる。
【0027】
蓄熱槽6内の高温水が給湯配管5へ供給され、給水配管4からの低温水が蓄熱槽6の下部に流入することで、蓄熱槽6内の下側の低温水層が上方へ拡大していく。蓄熱槽6内の下側の低温水層が、中部送り経路28と蓄熱槽6との接続位置12に達すると、太陽熱集熱器3への入水温度が低下する。これに対し、本実施の形態1では、中部送り経路28と蓄熱槽6との接続位置12より低い位置にある温度センサ9で検知された温度に基づいてヒートポンプ蓄熱運転を開始させることで、蓄熱槽6内の下側の低温水層が接続位置12に達する前にヒートポンプ蓄熱運転を行うことができる。このため、太陽熱集熱器3への入水温度が低下することを確実に抑制できる。
【0028】
ヒートポンプユニット2の起動直後には、ヒートポンプユニット2から出る水の温度が低いため、接続位置11から蓄熱槽6に低温水が流入する場合がある。また、凍結防止運転などで、ヒートポンプユニット2を起動せずに水ポンプ7を稼動し、接続位置11から蓄熱槽6に低温水が流入する場合がある。低温水は密度が大きいので、接続位置11から蓄熱槽6に流入した低温水は下方に拡散する。よって、接続位置11から蓄熱槽6に低温水が流入しても、接続位置11より上の温水の温度は低下しない。本実施の形態1では、接続位置11が接続位置12より低い位置にあることで、接続位置11から蓄熱槽6に低温水が流入しても、接続位置12の温水の温度は低下しない。したがって、接続位置11から蓄熱槽6に低温水が流入した場合であっても、太陽熱集熱器3への入水温度が低下することを確実に抑制できる。
【0029】
続いて、本実施の形態1におけるヒートポンプユニット2への電力供給方法について説明する。ヒートポンプユニット2の電源系統は、太陽光発電パネル22により発電された電力と、系統電力線24から供給される電力との2系統を選択して使用できる。
【0030】
パワーコンディショナ23は、ヒートポンプ蓄熱運転が要求されたとき、太陽光発電パネル22により発電された電力(以下、「太陽光発電電力」と称する)を優先的に使用するように選択する。このとき、太陽熱集熱器3も稼働し、ヒートポンプ蓄熱運転と太陽熱集熱運転とが同時に運転される。この場合、図2に示すように、ヒートポンプ蓄熱運転及び太陽熱集熱運転のそれぞれがどれだけ温水加熱をするかによって、システム全体の運転効率が変化する。
【0031】
図2は、ヒートポンプユニット2の加熱温度と、太陽光発電電力で駆動されたヒートポンプユニット2の太陽エネルギー利用効率と、太陽熱集熱器3の太陽エネルギー利用効率との関係を示したグラフである。前述したように、太陽熱集熱運転では、蓄熱槽6内に貯えられたヒートポンプユニット2で加熱された水が太陽熱集熱器3に流入する。このため、太陽熱集熱器3への入水温度は、ヒートポンプユニット2の加熱温度におおむね等しい。太陽熱集熱器3の太陽エネルギー利用効率は、ヒートポンプユニット2の加熱温度(≒太陽熱集熱器3への入水温度)及び外気温度から受ける影響が小さく、ほぼ一定(およそ60%程度)である。一方、太陽光発電電力で駆動されたヒートポンプユニット2の太陽エネルギー利用効率は、ヒートポンプユニット2の加熱温度によって、大きく変化する。すなわち、ヒートポンプユニット2の加熱温度が低いほど、太陽光発電電力で駆動されたヒートポンプユニット2の太陽エネルギー利用効率が高くなる。また、蒸発器16の蒸発温度が高いほど、太陽光発電電力で駆動されたヒートポンプユニット2の太陽エネルギー利用効率が高くなる。外気温度が高いほど、蒸発器16の蒸発温度は高くなる。
【0032】
ヒートポンプユニット2の加熱温度が低い場合には、太陽光発電電力で駆動されたヒートポンプユニット2の太陽エネルギー利用効率は、太陽熱集熱器3の太陽エネルギー利用効率より高い。ヒートポンプユニット2の加熱温度が高くなるにつれて、太陽光発電電力で駆動されたヒートポンプユニット2の太陽エネルギー利用効率と、太陽熱集熱器3の太陽エネルギー利用効率との差は縮まり、さらには大小関係が逆転する。すなわち、ヒートポンプユニット2の加熱温度が高い場合には、太陽光発電電力で駆動されたヒートポンプユニット2の太陽エネルギー利用効率は、太陽熱集熱器3の太陽エネルギー利用効率より低くなる。
【0033】
前述したように、太陽熱集熱器3への入水温度(≒ヒートポンプユニット2の加熱温度)が高いほど、太陽熱集熱運転で得られるエクセルギーが大きくなる点で有利である。しかしながら、図2に示したように、ヒートポンプユニット2の加熱温度が高くなるほど、太陽光発電電力で駆動されたヒートポンプユニット2の太陽エネルギー利用効率が低下する。このため、本実施の形態1では、太陽光発電電力で駆動されたヒートポンプユニット2の太陽エネルギー利用効率と、太陽熱集熱器3の太陽エネルギー利用効率とがおおむね等しくなるようなヒートポンプユニット2の加熱温度が好ましく、図2のグラフの交点におけるヒートポンプユニット2の加熱温度が最適である。ヒートポンプユニット2の加熱温度をそのような好ましい目標値に制御することで、太陽熱集熱運転で得られるエクセルギーを十分に大きくしつつ、太陽光発電電力で駆動されたヒートポンプユニット2の太陽エネルギー利用効率を十分に高くできる。
【0034】
上述したように、ヒートポンプユニット2を太陽光発電電力で駆動する場合の最適なヒートポンプユニット2の加熱温度は、図2のグラフの交点である。したがって、蒸発器16の蒸発温度が高いほど、ヒートポンプユニット2を太陽光発電電力で駆動する場合の最適なヒートポンプユニット2の加熱温度は高くなる。よって、太陽光発電電力で駆動されるヒートポンプ蓄熱運転を行う場合、制御部50は、蒸発器16の蒸発温度に応じて、ヒートポンプユニット2の加熱温度を制御することが好ましい。すなわち、制御部50は、蒸発器16の蒸発温度が高いほど、ヒートポンプユニット2の加熱温度が高くなるように制御することが好ましい。なお、制御部50は、水ポンプ7による水流量を調整することで、ヒートポンプユニット2の加熱温度を目標値に制御することができる。ヒートポンプユニット2の加熱温度は、温水熱交換器14の出口側に設けられた温度センサ19で検知できる。また、蒸発器16の蒸発温度は、蒸発器16またはその近傍に温度センサを設けて検知しても良いし、外気温度等に基づいて蒸発温度を推定しても良い。以上のように制御することで、ヒートポンプユニット2を太陽光発電電力で駆動する場合のヒートポンプユニット2の加熱温度をより確実に最適値に近付けることができる。
【符号の説明】
【0035】
1 貯湯ユニット、2 ヒートポンプユニット、3 太陽熱集熱器、4 給水配管、5 給湯配管、6 蓄熱槽、7,8 水ポンプ、9,10 温度センサ、11,12 接続位置、13 圧縮機、14 温水熱交換器、15 膨張弁、16 蒸発器、17 送風機、18,19 温度センサ、20 頂部、21 接続位置、22 太陽光発電パネル、23 パワーコンディショナ、24 系統電力線、25 ヒートポンプユニット電力線、26 下部送り経路、27 中部戻し経路、28 中部送り経路、29 上部戻し経路、50 制御部
図1
図2